JP2004174508A - 摩擦撹拌接合装置、接合ツールおよび摩擦撹拌接合方法 - Google Patents

摩擦撹拌接合装置、接合ツールおよび摩擦撹拌接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合された被接合物の強度および各被接合部材の接合強度を向上することができる摩擦撹拌接合装置を提供する。
【解決手段】ツール保持具を角変位軸線まわりに角変位駆動するツール角変位駆動手段を含む。接合ツール20によって被接合物21を十分に撹拌した後、ツール保持具を角変位軸線まわりに角変位させた状態で、ツール保持具を被接合物21から離反させる。これによって一方の被接合部材21aの接合部分のうち、力を伝達する伝達領域123と、力を伝達しない非伝達領域124とで形状を異ならせることができる。これによって被接合物21の強度を向上させることができる。また接合ツール20を被接合物に没入させた状態で、首振りさせることによって撹拌領域21cを増やすことができ、被接合部材の接合強度を向上することができる。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物を部分的に固相撹拌して、各被接合部材を接合する摩擦撹拌接合装置および摩擦撹拌接合方法に関する。また、摩擦撹拌接合するために被接合物に没入される接合ツールに関する。なお、被接合部材を含んで設けられる状態は、複数の被接合部材が重ね合わされる場合および突き合わされる場合を含む。
【0002】
【従来の技術】
図39は、従来の技術の摩擦撹拌接合を説明するための断面図である。摩擦撹拌接合は、接合ツール2によって複数の被接合部材1a,1bを接合する。接合ツール2は、本体部3と、本体部3から突出するピン部4とを有する。
【0003】
従来の技術の摩擦撹拌接合は、図39(1)に示すように、接合ツール2を予め定める基準軸線L1まわりに回転させながら、基準軸線L1に沿って移動させる。次に、図39(2)に示すように、接合ツール2を基準軸線L1に沿って被接合物1に没入し、摩擦熱によって被接合物1を軟化および流動化させる。被接合物1には、流動化して撹拌された撹拌領域1cが生じる。また、複数の被接合部材1a,1bは、互いに隣接する隣接部分5a,5bが流動化して、境界がなくなり互いに混ざり合う。
【0004】
接合ツール2が接合物1から離脱すると、被接合物1は、冷えて撹拌領域1cが固まる。図39(3)に示すように、各被接合部材1a,1bが互いに混ざり合った撹拌領域1cが固まることによって、各被接合部材1a,1bを非溶融の状態で接合することができる(たとえば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−314982号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図40は、図39に示される摩擦撹拌接合された被接合物1を拡大して示す断面図である。先行技術では、接合ツール2の本体部3とピン部4とが一体的に回転しながら、被接合部材1a,1bに没入する。複数の被接合部材1a,1bのうち、接合ツール側の被接合部材1aは、ピン部4とともに本体部3が被接合物1へ没入することによって、接合部分6が陥没し、接合跡が形成される。
【0007】
このように、被接合部材1aが陥没すると、当該被接合部材1aの接合部分6が薄くなる。言換えると、一方の被接合部材1aのうち、接合部分6のツール没入方向の寸法である厚み寸法D1が小さくなる。この結果、被接合物の強度が低下するという問題がある。
【0008】
特に、厚み寸法D1が小さくなると、接合された複数の被接合部材1a,1bが互いに離れる力に対する強度、すなわち、せん断強度が小さくなる。たとえば、2つの被接合部材1a,1bが重ねられて設けられる重ね継手を、先行技術の摩擦撹拌接合によって接合した場合、せん断力を繰り返し与える疲労試験を行うと、一方の被接合部材1aのうち、厚み寸法D1が小さくなる部分で被接合物1が破断してしまう。
【0009】
また、被接合物1に生じる撹拌領域1cが少ない場合、複数の被接合部材1a,1bが混ざり合う領域が少なくなる。これによって、撹拌領域1cのうち、各被接合部材1a,1bの境界の延びる方向に沿う幅寸法D2が小さくなる。幅寸法D2が小さい場合には、各被接合部材1a,1bの接合強度が低下する。
【0010】
また、被接合物1には、本体部3が没入されて、流動化した被接合物1が本体部3の半径方向外方に押出されて隆起した隆起部分7、いわゆるバリが形成される場合がある。隆起部分7が形成されることによって、美観が低下するとともに、隆起部分7を除去するための仕上げ工程を必要とする。
【0011】
したがって、本発明の目的は、接合された被接合物の強度および各被接合部材の接合強度を向上することができる摩擦撹拌接合装置、接合ツールおよび摩擦撹拌接合方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、隆起部分を除去して美観を向上することができる接合ツールを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、
接合ツールを前記軸線と交差する角変位軸線まわりに角変位駆動するツール角変位駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置である。
【0014】
本発明に従えば、接合ツールによって被接合物を十分に撹拌した後、接合ツールを角変位軸線まわりに角変位し、接合ツールの軸線を被接合物の表面に対して傾斜させた状態で、接合ツールを被接合物から離反する方向に移動させる。これによって、被接合物のうち、接合ツールを傾斜させた側の傾斜部分と、接合ツールを傾斜させた側と反対方向の対向傾斜部分との接合後に形成される接合部分の形状を異ならせることができ、傾斜部分と対向傾斜部分とで耐え得る強度を変化させることができる。接合後の被接合物に与えられる力のうち、一方から受ける力が残余の方向から受ける力に比べて大きい場合、上述したように傾斜部分と対向傾斜部分とで接合跡の形状を異ならせることによって、一方から受ける大きい力に耐え得る強度を被接合物に持たせることができる。
【0015】
たとえば、接合ツールが円柱状の本体部と、本体部から突出する円柱状のピン部とを備える場合、接合ツールを傾斜させることによって、被接合物の傾斜部分と対向傾斜部分とにおいて、本体部が被接合物に没入する量を異ならせることができる。これによって、被接合物のうち、大きい力が一方から与えられるであろう部分における本体部の没入量を、小さくすることができるため、被接合物の強度、特にせん断強度を向上することができる。
【0016】
また、本発明の摩擦撹拌接合装置は、軸線まわりに回転する接合ツールを被接合物に没入させた状態で、接合ツールを角変位軸線まわりに揺動的に複数回角変位させることができる。接合ツールの被接合物に没入した部分を角変位させることによって、被接合物の撹拌領域の容積を増やすことができるため、各被接合部材の境界に沿って延びる撹拌領域の接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0017】
また、接合ツールを揺動的に複数回角変位させることで、接合ツールを被接合物に対して深く没入させることなく、撹拌領域の容積を増やすことができ、接合部分における厚み寸法が小さくなることを防いで、被接合物の強度を向上することができる。
【0018】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
第1の接合ツールを予め定める第1の基準軸線まわりに回転駆動するとともに、第1の接合ツールに対向して設けられる第2の接合ツールを、予め定める第2の基準軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
第1の接合ツールを第1の基準軸線方向に沿って変位駆動するとともに、第2の接合ツールを第2の基準軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置である。
【0019】
本発明に従えば、被接合物の一方側に第1の接合ツールを配置させて、被接合物の他方側に第2の接合ツールを配置させる。被接合物の一方側から第1の接合ツールを、回転させながら被接合物に没入し、被接合物の他方側から第2の接合ツールを、回転させながら被接合物に没入することにより、各接合ツールによって被接合物の両側に摩擦熱を発生させて、被接合物を流動化させて撹拌する。
【0020】
このように被接合物の両側から各接合ツールを没入することによって、片側から1つの接合ツールを没入する場合に比べて、単位時間あたり被接合物に発生する摩擦熱を多くして、流動化する被接合物を増加させることができる。また、被接合物の撹拌をより確実に行うことができるとともに、被接合物の撹拌領域の容積を増やして、撹拌領域の接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0021】
さらに、単位時間あたり被接合物に発生する摩擦熱を多くすることによって、接合ツールを被接合物に深く没入させることなく、撹拌領域の容積を増やすことができる。したがって、接合部分における厚み寸法が小さくなることを防ぎ、被接合物の強度を向上することができる。
【0022】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
被接合物に没入される撹拌部の外形形状を拡大および縮小自在である接合ツールと、
接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、
接合ツールの撹拌部の外形形状を拡大および縮小する撹拌部拡大縮小手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置である。
【0023】
本発明に従えば、接合ツールの撹拌部の外形形状を縮小させた状態で、被接合物を撹拌する。被接合物を撹拌した状態で、接合ツールを被接合物から離脱する方向に移動させると、接合ツールと被接合物とに隙間が形成される。この状態で撹拌部の外形形状を拡大させると、撹拌部に臨む流動化した被接合物を、接合ツールと被接合物との隙間に押出すことができ、隙間を埋めることができる。このように接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。これによって、接合部分の厚み寸法を大きくすることができ、被接合物の強度を向上させることができる。また、撹拌領域の接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0024】
たとえば、接合ツールが円柱状の本体部と、本体部から突出する円柱状のピン部とを備える場合、ピン部を拡大させることによって、接合ツールと被接合物との間の隙間に流動化した被接合物を流し込むことができ、被接合物に形成される凹所を埋めることができる。このように被接合物の厚み寸法を大きくすることで、被接合物の強度を向上することができる。
【0025】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、軸線まわりに回転しながら被接合物に撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部の外形形状が拡大および縮小可能に形成されることを特徴とする接合ツールである。
【0026】
本発明に従えば、撹拌部の外形形状が縮小された状態で、被接合物が撹拌されて、被接合物から離脱する方向に移動させると、接合ツールと被接合物とに隙間が形成される。この状態で撹拌部の外形形状が拡大されると、撹拌部に臨む流動化した被接合物を、接合ツールと被接合物との隙間に押出すことができ、隙間を埋めることができる。このように接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。たとえば、接合部分の厚み寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、被接合物の強度を向上させることができる。また、撹拌領域の接合幅寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0027】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部の表面部分が、被接合物に対する摩擦係数が高い材料によって形成されることを特徴とする接合ツールである。
【0028】
本発明に従えば、接合ツールと被接合物との摩擦係数が高くなるため、接合ツールと被接合物との間に生じる摩擦熱を大きくすることができ撹拌領域を増大させることができる。これによって、撹拌領域の接合幅寸法を大きくして、各被接合部材の接合強度を向上することができる。また、接合ツールと被接合部材とで摩擦係数が大きいので、流動化した被接合物は、接合ツールとともに回転させようとする力が働き、被接合物の固相撹拌をより確実にかつ短時間で行うことができる。
【0029】
また、摩擦力を大きくすることによって、接合ツールを被接合物に押圧する押圧力が小さくても必要な摩擦熱を得ることができ、接合ツールが被接合物に没入する没入量を小さくすることができ、被接合物の強度を向上することができる。
【0030】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部の表面部分が、凹凸形状に形成されることを特徴とする接合ツールである。
【0031】
本発明に従えば、接合ツールと被接合物との摩擦係数が高くなるため、接合ツールと被接合物との間に生じる摩擦熱が高くなり、撹拌領域を増大させることができる。これによって、撹拌領域の接合幅寸法を大きくして、各被接合部材の接合強度を向上することができる。また、接合ツールと被接合部材とで摩擦係数が大きいので、流動化した被接合物は、接合ツールとともに回転させようとする力が働き、被接合物の固相撹拌をより確実にかつ短時間で行うことができる。
【0032】
また、摩擦力を大きくすることによって、接合ツールを被接合物に押圧する押圧力が小さくても必要な摩擦熱を得ることができ、接合ツールが被接合物に没入する没入量を小さくすることができ、被接合物の強度を向上することができる。
【0033】
また、本発明は、撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に接触する接触端面が形成される没入防止部が、撹拌部の半径方向外方に設けられることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に没入防止部の接触端面が接触して、接合ツールが被接合物に没入する方向に加圧されても接合ツールが没入するために必要な力が増大するため、被接合物に接合ツールが必要以上に没入して、接合部分の厚み寸法が小さくなることを防ぎ、被接合物の接合強度が低下することを防止することができる。
【0035】
また、本発明は、撹拌部が被接合物に没入されることによって、被接合物が半径方向外方に押出されて隆起した部分を除去する隆起除去部が設けられることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、隆起除去部が被接合物の隆起した部分を除去するため、被接合物の美観を向上することができるとともに、隆起部分を除去するための仕上げ工程を必要とすることがなく、利便性を向上することができる。
【0037】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に接触する端面が形成される没入防止部が、撹拌部の半径方向外方に設けられることを特徴とする接合ツールである。
【0038】
本発明に従えば、没入防止部が設けられることによって、撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に没入防止部の端面が接触して、接合ツールが没入するために必要な力が増大する。これによって、被接合物に接合ツールが必要以上に没入して、接合部分の厚み寸法が小さくなることを防止することができるようになるため、被接合物の接合強度が低下することを防止することができる。
【0039】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部が被接合物に没入されることによって、被接合物が半径方向外方に押出されて隆起した部分を除去する隆起除去部が設けられることを特徴とする接合ツールである。
【0040】
本発明に従えば、隆起除去部が設けられることによって、被接合物の隆起した部分を除去することができるため、被接合物の美観を向上することができるとともに、隆起部分を除去するための仕上げ工程を必要とすることがなく、利便性を向上することができる。
【0041】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
接合ツールを被接合物に没入させた状態で、その軸線まわりに回転させて、被接合物を撹拌する撹拌工程と、
接合ツールの軸線を被接合物の表面に対して垂直な位置から傾斜させた状態で、接合ツールを被接合物から離脱させる離脱工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法である。
【0042】
本発明に従えば、接合ツールによって被接合物を十分に撹拌した後、接合ツールを角変位軸線まわりに角変位し、接合ツールの軸線を被接合物の表面に対して傾斜させた状態で、接合ツールを被接合物から離反する方向に移動させる。被接合物のうち、接合ツールを傾斜させた側の傾斜部分と、接合ツールを傾斜させた側と反対方向の対向傾斜部分との接合後に形成される接合跡の形状を異ならせることができ、傾斜部分と対向傾斜部分とで耐え得る強度を変化させることができる。被接合物に与えられる力のうち、一方から受ける力が残余の方向から受ける力に比べて大きい場合、上述したように接合ツールを傾斜部分と対向傾斜部分とで接合跡の形状を異ならせることによって、一方から受ける大きい力に耐え得る強度を被接合物に持たせることができる。これによって被接合物のうち、大きい力が与えられるであろう接合部分の厚みが小さくなることを防ぐことができるため、被接合物の強度、特にせん断強度を向上することができる。
【0043】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
接合ツールを被接合物に没入させた状態で、軸線まわりに回転させるとともに、軸線と交差する角変位軸線まわりに揺動的に角変位させる撹拌工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法である。
【0044】
本発明に従えば、軸線まわりに回転する接合ツールを被接合物に没入させた状態で、接合ツールを角変位軸線まわりに揺動的に角変位させることで、被接合物の撹拌領域の容積を増やすことができ、撹拌領域の接合幅寸法を大きくして、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0045】
また、接合ツールを揺動的に角変位させることで、接合ツールを被接合物に対して深く没入させることなく、撹拌領域の容積を増やすことができる。したがって、接合部分における厚み寸法が小さくなることを防いで、被接合物の強度を向上することができる。
【0046】
また、本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、没入される撹拌部の外形形状が拡大および縮小自在である接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
撹拌部の外径形状を縮小させた状態で、撹拌部を被接合物に没入し、被接合物を撹拌する撹拌工程と、
撹拌工程の後に、被接合物から離脱する方向に接合ツールを変位駆動して、接合ツールと被接合物との間に隙間を形成し、撹拌部の外径形状を拡大して、撹拌した被接合物を前記隙間に流し込む撹拌領域移動工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法である。
【0047】
本発明に従えば、撹拌部の外形形状が縮小された状態で、被接合物が撹拌されて、被接合物から離脱する方向に移動されると、接合ツールと被接合物とに隙間が形成される。この状態で撹拌部の外形形状が拡大されると、撹拌部に臨む流動化した被接合物を、接合ツールと被接合物との隙間に押出すことができ、隙間を埋めることができる。このように接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。たとえば、接合部分の厚み寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、被接合物の強度を向上させることができる。また、撹拌領域の接合幅寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である摩擦撹拌接合装置40を示す斜視図である。図2は、被接合物21に没入する接合ツール20を拡大して示す断面図である。本発明の実施の一形態である摩擦撹拌接合装置40は、たとえば、複数の被接合部材21a,21bが重ね合わされて設けられる被接合物21に接合ツール20を没入させて、各被接合部材21a,21bを摩擦撹拌接合(Friction
Stir Welding:略称FSW)する。摩擦撹拌接合装置40は、被接合部材21a,21bを局所的に接合するスポット接合に用いられる。
【0049】
摩擦撹拌接合装置40は、略円柱状の接合ツール20が装着される。摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20をその軸線まわりに回転させながら被接合物21に没入させる。被接合物21と接合ツール20とが回転接触することで、被接合物21は、加熱されて部分的に軟化および流動化する。
【0050】
接合ツール20は、被接合物21に没入した状態で回転することで、被接合物21の流動化した部分を撹拌する。被接合物21には、流動化した部分が撹拌される撹拌領域21cが生じる。流動化した各被接合部材21a,21bは、撹拌されることによって、互いに混ぜ合わされる。摩擦撹拌接合装置40は、被接合物21を十分に撹拌した後、接合ツール20を被接合物21から離脱させる。接合ツール20が被接合物21から離脱すると、各被接合部材21a,21bの互いに混ざり合った部分が固まり、各被接合部材21a,21bが接合される。
【0051】
摩擦撹拌接合装置40によって、接合される複数の被接合部材21a,21bは、たとえば、プレス成形されるアルミ製の薄厚材である。摩擦撹拌接合は、たとえば、自動車ボディ、意匠構造物およびその他の重ね合わせ接合物の製造に用いられる。
【0052】
図2に示すように、接合ツール20は、略円柱状に形成される本体部22と、本体部22から接合ツール20の軸線方向一方に突出し、略円柱状に形成されるピン部23とを有する。本体部22のうち、接合ツール20の軸線方向一方側端部となるショルダ部分22aには、接合ツール20の軸線に対して垂直なショルダ面27が形成される。
【0053】
ピン部23は、ショルダ面27から垂直に突出する。本体部22とピン部23とは、同軸に形成される。ピン部23の外径は、本体部22の外径よりも小さく形成される。摩擦撹拌接合にあたって、ピン部23およびショルダ部分22aが、被接合物21に没入する。
【0054】
摩擦撹拌接合にあたって、接合ツール20と対向する位置には、受け台30が設けられる。受け台30は、接合ツール20と反対側から被接合物21を支持する。受け台30は、円柱状に形成され、接合ツール20と同軸に形成される。受け台30は、接合ツール20のショルダ面27の面積以上に形成される受け面32が形成される。受け面32は、接合時に被接合物21に当接する。
【0055】
摩擦撹拌接合装置40は、予め定める基準軸線L1と、角変位軸線L2とが設定される。基準軸線L1は、摩擦撹拌接合装置40に対して基準となる軸線であって、摩擦撹拌接合装置40の予め定める位置に固定して設けられる。角変位軸線L2は、基準軸線L1に交差し、基準軸線L1に対して垂直に延びて設けられる。
【0056】
図1に示すように、摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20を着脱可能に保持するツール保持具41を備える。ツール保持具41は、接合ツール20を同軸に保持して回転軸線L3まわりに回転可能に設けられ、角変位軸線L2まわりに角変位可能に設けられる。また、ツール保持具41の回転軸線L3は、基準軸線L1に一致する角変位状態が存在する。
【0057】
したがって、ツール保持具41に保持された接合ツール20は、回転軸線L3まわりに回転し、角変位軸線L2まわりに角変位する。角変位軸線L2まわりに角変位する接合ツール20は、その軸線が基準軸線L1と一致する角変位状態が存在する。
【0058】
摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20が装着されるツール保持具41と、ツール保持具41を予め定める回転軸線L3まわりに回転駆動するツール回転駆動手段42と、ツール保持具41を回転軸線L3に沿って変位駆動するツール変位駆動手段43と、ツール保持具41に対して反対側から被接合物21を支持する受け台30を有する受け台形成部44と、受け台形成部44を予め定める基準軸線方向に変位駆動する受け台駆動手段45と、ロボットアーム29に連結される基台46とを含んで構成される。また、摩擦撹拌接合装置40は、ツール保持具41を角変位軸線L2まわりに角変位駆動するツール角変位駆動手段31を含んで構成される。
【0059】
ツール保持具41は、接合ツール20の軸線方向他方側の端部を挟持して、接合ツール20を着脱可能に保持する。ツール回転駆動手段42は、ツール保持具41を回転軸線L3まわりに回転自在に支持するツール回転用軸受47と、ツール保持具41を回転軸線L3まわりに回転させるためのツール回転モータ48と、ツール回転モータ48からの回転力をツール保持具41に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。たとえば、ツール回転モータ48は、サーボモータによって実現され、予め定められる回転速度で回転するために、ツール回転モータ48に流れる電流がフィードバック制御される。
【0060】
ツール変位駆動手段43は、直線状にスライド変位自在に構成される直線可動部(図示せず)と、直線可動部を直線状にスライド変位自在に支持する直線支持部49と、直線可動部を直線状にスライド変位駆動するためのツール変位モータ50と、ツール変位モータ50からの回転力を直線状にスライド変位する直進力に変換して直線可動部に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。たとえば、直線支持部49は、直線可動部を支持するガイドレールによって実現され、直線可動部は、ガイドレールの伸延方向に沿って移動するスライダによって実現される。
【0061】
たとえば、ツール変位モータ50は、サーボモータによって実現され、予め定められる回転速度で回転するためにツール変位モータ50に流れる電流がフィードバック制御される。伝達部は、ツール変位モータ50の回転力をねじまたは歯車などを用いて直進力に変換する。ツール変位駆動手段43は、リニアモータによって実現されてもよい。
【0062】
ツール変位駆動手段43の直線可動部には、ツール回転駆動手段42が固定される。またツール回転駆動手段42に支持されるツール保持具41の回転軸線L3と、直線可動部の移動方向とが平行となるように、ツール回転駆動手段42およびツール変位駆動手段43が配置される。直線可動部を駆動することによって、ツール保持具41を回転軸線L3に沿って、移動させることができる。
【0063】
ツール角変位駆動手段31は、角変位軸線L2まわりに角変位自在に構成される円弧可動部(図示せず)と、円弧可動部を角変位軸線L2まわりに角変位可能に支持する円弧支持部33と、円弧可動部を角変位軸線L2まわりに角変位駆動するツール変位モータ34と、ツール角変位モータ34からの回転力を角変位軸線L2まわりに角変位する力に変換して円弧可動部に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。
【0064】
円弧可動部は、円弧支持部33に支持されて角変位軸線L2を中心とする円弧に沿って変位自在である。たとえば、円弧支持部33は、円弧状に延びるガイドレールによって実現され、円弧可動部は、ガイドレールの伸延方向に沿って移動するスライダによって実現される。ツール角変位モータ34は、サーボモータによって実現される。伝達部は、ツール角変位モータ34の回転力をねじまたは歯車などを用いて角変位軸線L2まわりに角変位する力に変換する。
【0065】
ツール角変位駆動手段31の円弧可動部には、ツール変位駆動手段43の直線支持部49が固定される。また円弧可動部と角変位軸線L2とを結ぶ直線と、ツール保持具41の回転軸線L3とが平行となるように、ツール変位駆動手段43およびツール角変位駆動手段31の配置位置が決定される。ツール角変位駆動手段31の円弧可動部を駆動することによって、ツール保持具41を、角変位軸線L2まわりに角変位駆動することができる。
【0066】
受け台形成部44は、基準軸線L1に対して半径方向に間隔をあけて、基準軸線L1と平行に延びる受け台形成部第1部分51と、受け台形成部第1部分51の基準軸線方向A一端部51aに連なり、ツール保持具41に向かって突出し、基準軸線L1に垂直な方向に延びる受け台形成部第2部分52とを有する。基準軸線方向Aは、基準軸線L1が延びる方向である。
【0067】
受け台形成部第2部分52には、上述した受け台30が設けられる。受け台30は、受け台形成部第2部分52からツール保持具41に向かって突出し、基準軸線L1に同軸な略円柱状に形成される。受け台30は、ツール保持具41に対向する位置に配置される。
【0068】
受け台駆動手段45は、基準軸線方向Aに変位自在に構成される受け台可動部(図示せず)と、受け台可動部を基準軸線方向Aに変位自在に支持する受け台支持部53と、受け台可動部を基準軸線方向Aに変位駆動するための受け台変位モータ54と、受け台変位モータ54からの回転力を基準軸線方向Aの直進力に変換して可動部に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。受け台駆動手段45は、ツール変位駆動手段43と同様の構成を有し、説明を省略する。
【0069】
受け台駆動手段45の可動部には、受け台形成部第1部分51の基準軸線方向A他端部51bが固定される。受け台駆動手段45の支持部53は、基台46に固定される。受け台変位モータ54を回転させることによって、受け台可動部とともに受け台形成部44を基台46に対して基準軸線方向Aに変位駆動することができる。
【0070】
基台46には、ツール角変位駆動手段31の円弧支持部33と、受け台駆動手段45の受け台支持部53とが固定される。ツール角変位駆動手段31の円弧支持部33は、円弧状に延びて形成され、その周方向中央部付近で基台46に固定される。円弧可動部が円弧支持部33の周方向中央部に角変位した場合には、円弧可動部に連結されるツール保持具41の回転軸線L3と基準軸線L1とが一致する。
【0071】
この角変位位置では、直線支持部49が円弧支持部33に配置される位置と、円弧支持部33が基台46に固定されている部分とが近接しており、他の角変位位置に比べて、基準軸線方向Aに与えられる外力に対する強度が高くなる。言換えると、基準軸線L1と回転軸線L3とが一致する角変位位置では、基準軸線方向Aに与えられる外力に対する強度が高くなる。
【0072】
基台46は、ロボットアーム29の先端部と連結される。基台46は、ロボットアーム29によって変位駆動されて、接合が行われる被接合物21の接合位置に移動する。基台46が移動すると、基台46に固定される各手段もまた基台46と一体的に移動する。
【0073】
摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20の被接合物21に対する没入状態を検出する接合状態検出手段35を備える。接合状態検出手段35は、たとえば画像センサによって実現される。この場合、接合ツール20の被接合物21への没入状態を監視することによって、接合ツール20の被接合物21への接合状態を検出することができる。ツール回転モータ48またはツール変位モータ50の回転速度がフィードバック制御される場合、いずれか一方のモータ48,50に与えられるフィードバック電流を検出することによって、接合ツール20の被接合物21への没入状態を検出することができる。また、近接センサまたは接触センサなどの各種センサによっても接合ツール20の接合状態を検出してもよい。接合状態検出手段35は、検出した接合ツール20の没入状態を、制御手段63に与える。
【0074】
摩擦撹拌接合装置40は、各手段を制御する制御手段63を有する。制御手段63は、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43および受け台駆動手段45を制御する。さらに、制御手段63は、接合状態検出手段35から接合ツール20の接合状態を取得し、取得した接合状態に基づいてツール角変位駆動手段31を制御する。
【0075】
図3は、摩擦撹拌接合装置40の動作を説明するための断面図であり、図3(1)〜図3(3)の順に動作が進行する。図4は、ツール保持具41の角変位動作と接合ツール20の位置との時間的関係を示すタイミングチャートである。図4(1)にツール保持具41の角変位動作の開始および終了タイミングを示し、図4(2)に接合ツールの変位位置を示す。図5は、摩擦撹拌接合装置40の制御手段63の動作を示すフローチャートである。図3〜図5を参照して、摩擦撹拌接合装置40の動作を説明する。
【0076】
ステップa0で、接合ツール20がツール保持具41に装着されるとともに被接合物21が予め定める保持位置に保持される。次に、ロボットアーム29によって摩擦撹拌接合装置40が変位駆動される。変位駆動された摩擦撹拌接合装置40は、被接合物21の両側にそれぞれ接合ツール20および受け台30が配置される。このような摩擦撹拌接合における準備が完了するとステップa1に進み、制御手段63が動作を開始する。
【0077】
ステップa1では、制御手段63が、受け台駆動手段45を制御し、受け台形成部44を基準軸線方向他方A2に移動させて、受け台30を被接合物21に向けて移動させる。受け台30は、図4のT1時刻で、接合ツール20と反対側から被接合物21に当接する。受け台30の受け面32は、受け台側の被接合部材21bに当接し、被接合物21を接合ツール20と反対側から支持する。
【0078】
制御手段63は、受け台30が被接合物21に当接したか否かを判断する。摩擦撹拌接合装置40は、受け台30が被接合物21に当接したことを検出する受け台位置検出手段を備える。受け台位置検出手段は、受け台変位モータ54のフィードバック電流を検出することによって、受け台30が被接合物21に当接したことを判断する。また、受け台位置検出手段は、当接状態検出手段と同様に、各種センサによって実現されてもよい。制御手段63は、受け台30が被接合物21に当接したこと示す信号を、受け台位置検出手段から受け取ると、ステップa2に進む。
【0079】
ステップa2では、制御手段63が、ツール回転駆動手段42を制御し、ツール保持具41の回転軸線L3を基準軸線L1に一致させた状態で、ツール保持具41を回転軸線L3まわりに回転させる。基準軸線L1は、被接合物21の接合ツール側の面に垂直に設定される。制御手段63が、ツール変位駆動手段43を制御し、ツール保持具41を基準軸線L1に沿って移動させる。接合ツール20は、図3(1)に示すように、回転しながら受け台30に向かって基準軸線方向一方A1に移動する。
【0080】
接合ツール20は、図4のT2時刻で、ピン部23の端面24が最初に被接合物21に当接する。制御手段63は、ピン部23の端面24が被接合物21に当接しても、接合ツール20を受け台30に向かってさらに移動させる。すなわち、接合ツール20を受け台30に向かって押圧し、接合ツール20を被接合物21に没入させる。
【0081】
図4に示すT3時刻で、接合ツール20は、ショルダ部分22aのショルダ面27が被接合物21に当接する。ショルダ面27が被接合物21に当接すると、接合状態検出手段35が接合ツール20のショルダ部分22aが被接合物21に当接したことを示す信号を制御手段63に与える。
【0082】
制御手段63は、予め定める第1の設定時間が経過するまで、図3(2)に示すように、ツール保持具41を基準軸線方向一方A1に加圧し、接合ツール20のショルダ部分22aを被接合物21に没入させる。制御手段63は、図4のT4時刻に示すように、予め定める第1の設定時間または予め定める没入状態に達すると、ステップa3に進む。
【0083】
予め定める没入状態に達したか否かは、接合状態検出手段35によって検出してもよい。この場合、接合状態検出手段35は、接合ツール20のショルダ部分22aが被接合物21に予め定める量、没入したことを示す信号を制御手段63に与える。制御手段63は、この信号を受けて予め定める没入状態に達したことを判断する。
【0084】
ステップa3では、図4のT4時刻で、制御手段63が、接合ツール20の没入を停止させ、予め定める第2の設定時間が経過するまで接合ツール20を回転軸線L3まわりに回転させる。これによって、軟化した被接合物21を十分に流動化し、流動化した被接合物21を撹拌して各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。
【0085】
このとき制御手段63は、図3(3)に示すように、ツール保持具41を角変位軸線L2まわりに揺動的に角変位させる。具体的には、ツール保持具41の回転軸線L3を、基準軸線L1と一致する位置を中心として、両方向に複数回揺動的に角変位させる。これによって、接合ツール20を被接合物に40にさらに没入させることなく、ピン部23とショルダ部分22aから成る撹拌部62を被接合物21内で変位させることができる。制御手段63は、図4のT5時刻に示すように、予め定める第2の設定時間に達すると、ステップa4に進む。
【0086】
ステップa4では、図4のT5時刻で、制御手段63は、ツール保持具41の回転軸線L3を基準軸線L1と一致する位置に角変位させ、角変位軸線L2まわりに揺動的に角変位することを停止する。次に、ツール保持具41を基準軸線方向他方A2に移動させて、被接合物21から接合ツール20を離脱させる。制御手段63は、接合ツール20を予め定める初期位置に移動させて、図4のT6時刻に示すように、予め定める第3の設定時間に達すると、ツール保持具41の回転を停止し、ステップa5に進む。ステップa5では制御手段63は、動作を終了する。
【0087】
ステップa2およびa3における接合ツール20の回転速度は、ツール回転駆動手段42によって、予め定める速度で回転される。予め定める回転速度は、ステップa2およびa3において一定であってもよく、時間経過とともに変化してもよい。同様に接合ツール20が被接合物21に当接してから予め定める第1の設定時間に達するまでに、接合ツール20にツール変位駆動手段43から与える加圧力は、予め定める加圧力が与えられる。予め定める加圧力は、一定であってもよく、時間経過とともに変化してもよい。
【0088】
図6は、本実施の一形態の摩擦撹拌接合装置40を用い、ツール保持具41を角変位軸線L2まわりに変位させて接合した被接合物21を示す断面図である。図7は、ツール保持具41を角変位させずに接合した比較例の被接合物21を示す断面図である。
【0089】
本発明の摩擦撹拌接合装置40を用いて、ツール保持具41を揺動的に角変位させて被接合物21を固相撹拌した場合、図6に示すように、接合ツール20のピン部23が角変位され、流動化する被接合物21が増加する。ツール保持具41を角変位させずに接合した図7に示す比較例と比べて、本発明の場合には、被接合物21の撹拌領域21cを増加させることができる。
【0090】
撹拌領域21cを増加させることによって、図7の比較例における各被接合部材1a,1bの境界の延びる方向に沿う幅寸法D4よりも、本発明における各被接合部材1a,1bの境界の延びる方向に沿う幅寸法D3を大きくすることができる。この幅寸法D3が大きくなるほど、各被接合部材21a,21bの混ざり合う接合部分を多くすることができる。したがって、本発明によれば、幅寸法D3を大きくして、各被接合部材21a,21bの接合強度を向上させることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、接合ツール20の被接合物21への没入を停止したステップa3の状態にあって、角変位軸線L2は、接合ツールのピン部23とショルダ部分22aとの境界部分25を挿通するように設定される。ステップa3において、ピン部23とショルダ部分22aとの境界部分25を中心として、接合ツール20が角変位する。これによって、接合後に被接合物21に形成される接合跡26は、ピン部23の先端が没入した領域28bの内径D6よりも、ピン部23とショルダ部22aの境界部分25が没入した領域28aの内径D5を小さくすることができる。これによって、ピン部23が没入したことによる接合跡26の開口の寸法D5を、図7に示す比較例における接合跡26の開口の寸法D7と等しくすることができる。
【0092】
以上のように、本発明の実施の一形態である摩擦撹拌接合装置40によれば、接合ツール20によって被接合物40を十分に撹拌した状態で、ツール角変位駆動手段31によって、接合ツール20を角変位軸線L2まわりに揺動的に角変位、すなわち首振りさせることができる。これによって、被接合物21の撹拌領域21cの容積を増やすことができ、各被接合部材21a,21bの境界に沿って延びる撹拌領域21cの幅寸法D3を大きくして各被接合部材21a,21bの接合強度を向上することができる。
【0093】
また、接合ツール20を揺動的に角変位させることで、接合ツール20を被接合物21に対して深く没入させることなく、撹拌領域21cの容積を増やすことができる。したがって、接合ツール20を深く没入させて撹拌領域21cを増やす場合に比べて、接合部分における厚み寸法を大きくすることができる。
【0094】
また、接合ツール20を角変位させることによって、接合ツール20を基準軸線L1に対して垂直に変位させる場合に比べて、ロボットアームに与えられる力を小さくすることができる。また、受け台30は、接合ツール20が角変位している場合であっても、被接合物21を支持することができ、接合品質を良好に保つことができる。
【0095】
また、ツール保持具41の角変位駆動をステップa3の接合ツール20の没入を停止した状態で行うことによって、十分に被接合物21を流動化させた状態で接合ツール20を変位させることができる。これによってツール保持具41を角変位させるときに被接合物21から与えられる反力を小さくすることができる。また、摩擦撹拌接合装置40は、ツール保持具41の回転軸線L3と基準軸線L1とを一致させた状態で、基準軸線方向Aに与えられる外力に対する強度が高くなるように構成され、接合ツール20を基準軸線L1に沿って被接合物21に確実に没入させることができる。
【0096】
図8は、摩擦撹拌接合装置40の他の動作を示す断面図である。図8(1)〜図8(3)の順に動作が進行する。摩擦撹拌接合装置40は、図3〜図5に示す動作に換えて、図8に示す動作を行ってもよい。摩擦撹拌接合装置40は、図8(1)に示すように、基準軸線L1に対して回転軸線L3を角変位軸線L2まわりに予め定める第1の角度θ1角変位させた状態で、接合ツール20を被接合物21に没入させる。また摩擦撹拌接合装置40は、図8(3)に示すように、基準線L1に対して回転軸線L3を角変位軸線L2まわりに予め定める第2の角度θ2角変位させた状態で、接合ツール20を被接合物21から離脱させる。摩擦撹拌接合装置40の動作のうち、接合ツール20の被接合物21に対する没入および離脱以外の動作は、上述した図3〜図5に示す動作と同様である。
【0097】
たとえば、基準軸線L1に対して予め定める第1の角度θ1に傾けた状態で接合ツール20を被接合物21に没入し、基準軸線L1に対して予め定める第1の角度θ1とは異なる第2の角度θ2に傾けた状態で接合ツール20を離脱することによって、図3〜図5に示す動作と同様の効果を得ることができる。さらに、接合ツール20が被接合物21に没入しているときに、接合ツール20を揺動的に角変位することによって、より撹拌領域21cを増加させることができる。
【0098】
図9は、摩擦撹拌接合装置40のさらに他の動作を説明するための断面図である。摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20を被接合物21に没入させた状態で、回転軸線L3まわりに回転させて、被接合物21を撹拌する。次に、摩擦撹拌接合装置40は、回転軸線L3を被接合物21の表面に対して垂直な位置から予め定める角度θ3傾斜させた状態で、接合ツール20を被接合物21から離脱させる。
【0099】
被接合物21には、力が伝わる方向が予め定められている場合がある。たとえば、被接合物21は、重ね継手いわゆるラップ継手として設けられ、2つの被接合部材21a,21bが同方向に延び、一方の被接合部材21aの一端部121aと、他方の被接合部材21bの一端部121bとが重ね合わされる。
【0100】
この場合、一方の被接合部材21aから他方の被接合部材21bに力が伝わる。図9に示すように、まず矢符C1で示すように、一方の被接合部材21aの他端部122aから一方の被接合部材21aの一端部121aに力が伝わる。次に、矢符C2で示すように、一方の被接合部材21aの一端部121aから他方の被接合部材21bの一端部121aに力が伝わる。次に、矢符C3で示すように、他方の被接合部材21bの一端部121aから他方の被接合物21aの他端部122bに力が伝わる。
【0101】
このように力が継手内を伝わる経路が予め規定されている場合、摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール側の一方の被接合部材21aの接合部分のうち、力が伝わる経路側の領域であって、力を伝達する伝達領域123の厚み寸法D8が、伝達領域123と反対側の領域であって、力を伝達しない非伝達領域124の厚み寸法D9に比べて大きくなるように接合ツール20を傾斜させて離脱させる。ここで厚み寸法は、ツール没入方向の寸法である。
【0102】
図10は、摩擦撹拌接合装置40の制御手段63の動作を示すフローチャートである。制御手段63が、接合ツール20を傾斜させて離脱させる動作は、図5に示す動作と類似している。
【0103】
制御手段63は、ステップb0およびステップb1で、図5に示すステップa0およびステップa1と同様の動作を行い、ステップb2に進む。ステップb2では、制御手段63が、ツール回転駆動手段42およびツール変位駆動手段43を制御し、回転軸線L3と基準軸線L1とが一致した状態で、ツール保持具41を回転させながら回転軸線L3に沿って移動させる。
【0104】
接合ツール20は、ピン部23の端面24が最初に被接合物21に当接する。制御手段63は、ピン部23の端面24が被接合物21に当接しても、接合ツール20を受け台30に向かってさらに移動させる。すなわち、接合ツール20を受け台30に向かって押圧し、接合ツール20を被接合物21に没入させる。
【0105】
接合ツール20を被接合物21に没入させていくと、接合ツール20は、ショルダ部分22aのショルダ面27が被接合物21に当接する。ショルダ面27が被接合物21に当接すると、接合状態検出手段35が接合ツール20のショルダ部分22aが被接合物21に当接したことを示す信号を制御手段63に与え、ステップb3に進む。
【0106】
ステップb3では、制御手段63が、接合ツール20の没入を停止させ、予め定める第1の設定時間が経過するまで接合ツール20を回転軸線L3まわりに回転させる。これによって軟化した被接合物21を十分に流動化して撹拌して各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。制御手段63は、予め定める第1の設定時間に達すると、ステップb4に進む。
【0107】
ステップb4では、制御手段63がツール角変位駆動手段31によって、接合ツール20を傾斜させる。具体的には、基準軸線L3から見て、一方の被接合部材21aに力が伝わる経路側にピン部23の先端が向かうように、接合ツール20を基準軸線L1に対して予め定める角度θ3に達するまで傾斜させる。
【0108】
また、制御手段63は、予め定める第2の設定時間が経過するまで、ツール保持具41を基準軸線方向一方A1に加圧し、接合ツール20のショルダ部分22aを被接合物21に没入させる。制御手段63は、予め定める第2の設定時間または予め定める没入状態に達すると、ステップb5に進む。
【0109】
ステップb5では、制御手段63は、ツール変位駆動手段43を動作させ、接合ツール20を傾斜させた状態で、被接合物21から接合ツール20を離脱させる。被接合物21から接合ツール20を離脱させると、制御手段63は、接合ツール20を予め定める初期位置に移動させて、予め定める第3の設定時間に達すると、接合ツール20の回転を停止し、ステップb6に進む。ステップb6では制御手段63は、動作を終了する。
【0110】
以上のように摩擦撹拌接合装置40が動作することによって、接合ツール20を傾斜させない場合に比べて伝達領域123の厚み寸法D8を大きくすることができる。これによって伝達領域123で耐え得る強度を向上させることができ、被接合物21の強度、特にせん断強度を向上することができる。
【0111】
また、接合ツール離脱時に接合ツール20を傾斜させて、伝達領域123の厚み寸法を大きくすればよく、予め接合ツール20を傾斜させて被接合物21に没入させてもよい。また、離脱時に伝達領域123の厚み寸法D8を大きくすることが可能ならば、接合ツール20を没入させた状態で、接合ツール20を角変位軸線L2まわりに揺動的に角変位させた後、接合ツールを予め定める角度θ3に傾斜させて離脱させてもよい。このように接合ツール20を角変位軸線L2まわりに角変位させる動作は、上述する摩擦撹拌接合装置40を用いるほか、摩擦撹拌接合装置40を支持するロボット29を角変位させて実現させてもよい。
【0112】
図11は、本発明のさらに他の実施の形態である摩擦撹拌接合装置60の電気的構成を示すブロック図である。図12は、被接合物21に没入する接合ツール70を拡大して示す断面図である。摩擦撹拌接合装置60は、接合ツール70が装着され、この接合ツール70は、被接合物21に没入される撹拌部の外径形状を拡大および縮小自在である。
【0113】
接合ツール70は、図12に示すように、円柱状に形成される本体部72と、本体部72から接合ツール70の軸線方向一方に突出し、略円柱状に形成されるピン部73とを有する。本体部72のうち、接合ツール70の軸線方向一方側端部となるショルダ部分72aには、本体部72の軸線と垂直なショルダ面77が形成される。
【0114】
ピン部73は、ショルダ面27から垂直に突出する。本体部72とピン部73とは、同軸に形成される。ピン部73の外径は、本体部72の外径よりも小さく形成される。摩擦撹拌接合にあたって、ショルダ部分72aおよびピン部73が、被接合物21に没入し、被接合物21を撹拌する撹拌部62となる。
【0115】
ピン部73には、撹拌片64が内蔵される。撹拌片64は、ピン部73に対して、没入および突出自在に形成される。ピン部73に没入した状態の撹拌片64がピン部73から突出することによって、撹拌部62の外径形状が拡大する。ピン部73から突出した状態の撹拌片64がピン部73に没入することによって、撹拌部62の外径形状が縮小する。
【0116】
摩擦撹拌接合装置60は、図1に示す摩擦撹拌接合装置40とほぼ同様の構成を示し、ツール保持具41と、ツール回転駆動手段42と、ツール変位駆動手段43と、受け台形成部44と、受け台駆動手段45と、ロボットアーム29に連結される基台46と、接合状態検出手段35と、制御手段63とを含んで構成される。摩擦撹拌接合装置60は、上述する接合ツール70が装着され、撹拌部80の外径形状を拡大および縮小する撹拌部拡大縮小手段61を有する。図1に示す摩擦撹拌接合装置40と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0117】
制御手段63は、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43および受け台駆動手段45を制御する。さらに、制御手段63は、接合状態検出手段35から接合ツール20の接合状態を取得し、取得した接合状態に基づいて撹拌部拡大縮小手段61を制御する。
【0118】
図13は、接合ツール70を拡大して示す断面図である。なお、接合ツール70の軸線が延びる方向であるツール軸線方向Eのうち、一方E1は接合ツール70が被接合物21に没入する方向であり、他方E2は、接合ツール70が被接合物21から離脱する方向である。また、接合ツール70の軸線であるツール軸線L4は、接合ツール70の中心を長手方向に延びる。
【0119】
接合ツール70は、ピン部73の内部に先細部75を有する。先細部75は、ピン部73に対して、ツール軸線方向Eに変位自在に設けられる。この先細部75は、ツール軸線方向一方E1に向かうにつれて先細な形状に形成される。先細部75は、ツール軸線L4上に配置される。
【0120】
接合ツール70は、本体部72およびピン部73をツール軸線L4に沿って挿通して延びる挿通孔79が形成される挿通孔形成部80と、挿通孔79のうち、ツール軸線方向他方E2に連なり、ツール軸線L4に垂直な一垂直方向Cに延びて本体部72を貫通する貫通孔81が形成される貫通孔形成部82とを有する。接合ツール70は、挿通孔79に配置され、ツール軸線方向一方E1側端部に先細部75が形成される棒状の先細部形成部材83と、貫通孔81に配置される第1突出部材84と、貫通孔81に配置される第2突出部材85とを有する。接合ツール70は、第1ばね力発生部88と、第2ばね力発生部89とを有する。第1ばね力発生部88は、貫通孔81に配置され、第1突出部材84と第2突出部材85とを連結して、第1突出部材84および第2突出部材85に互いに離反する方向のばね力を与える。第2ばね力発生手段89は、先細部形成部材83を貫通孔81に向かって移動させるばね力を与える。
【0121】
挿通孔79および貫通孔81が形成されることによって、接合ツール70は、略T字状の空間が形成される。挿通孔79は、貫通孔81の一垂直方向Cの中央からツール軸線方向一方E1に延びる。なお、一垂直方向Cは、貫通孔81が延びる方向であって、ツール軸線L4と交差するとともにツール軸線L4に対して垂直に延びる。また、貫通孔81中央から貫通孔81の一方の開口86に向かう方向を一垂直方向一方C1とし、貫通孔中央81から貫通孔81の他方の開口87に向かう方向を一垂直方向他方C2とする。
【0122】
先細部形成部材83は、本体部72に対してまわり止めされ、本体部72と同方向に回転する。先細部形成部材83は、軸線方向一方E1側先端に先細部75が形成される先細部分83aと、先細部分83aの軸線方向他方E2に連なり、本体部72に対してまわり止めされるまわり止め部分83bと、まわり止め部分83bの軸線方向他方E2に連なって延びる軸部分83cとを有する。
【0123】
まわり止め部分83bは、たとえば4角柱に形成される。まわり止め部分83bの外径は、先端部分83aの外径よりも大きく形成される。軸部分83cの外径は、まわり止め部分83bの外径よりも小さく形成される。これら先端部分83a、まわり止め部分83bおよび軸部分83cは、ともに同軸に形成される。先細部形成部材83の軸線は、ツール軸線L4と一致する。
【0124】
挿通孔形成部80は、第1挿通孔部分80a、第2挿通孔部分80bおよび第3挿通孔部分80cが形成される。第1挿通孔部分80aは、先細部形成部材83の先端部分83aが挿通し、先端部分83aの外径寸法とほぼ同じ内径寸法を有する第1挿通孔領域79aが形成される。第2挿通孔部分80bは、先細部形成部材83のまわり止め部分83bが挿通し、4角柱形状に形成される第2挿通孔領域79bが形成される。第3挿通孔部分80cは、先細部形成部材83の軸部分83cが挿通し、軸部分83cの外径寸法とほぼ同じ内径寸法を有する第3挿通孔領域79cが形成される。この第1、第2および第3挿通孔領域79a,79b,79cは、互いに連なり1つの挿通孔79となる。挿通孔形成部80と先細部形成部材83とは、隙間が形成されることによって、軸線方向Eに移動可能に形成される。
【0125】
たとえば本体部72は、2つに分割して製作され、先端部形成部材83を挿通孔79に収容した状態で、2つに分割した状態から1つに組立てられる。このとき本体部72は、溶接またはボルト止めなどによって先端部形成部材83を収容した状態で組立てられる。
【0126】
図14は、図13のS14−S14の切断面線から見た断面図である。先細部形成部材83のまわり止め部分83bは、4角柱に形成される。接合ツール回転時には、まわり止め部分83bと第2挿通孔部分80bとが当接する。これによって挿通孔形成部80と先細部形成部材83とが相対的にツール軸線L4まわりに回転することが阻止され、挿通孔形成部80と先細部形成部材83とが一体的に回転する。
【0127】
図13に示すように、第2ばね力発生手段89は、先細部形成部材83を軸線方向他方E2に移動させるばね力を発生する。たとえば、第2ばね力発生手段89は、引張りコイルばねによって実現される。引張りコイルばねの伸縮方向一端部は、まわり止め部分83bの軸線方向他方E2側端部に固定される。引張りコイルばねの伸縮方向他端部は、第3挿通孔部分80cの軸線方向一方E1側端部に固定される。
【0128】
引張りコイルばねによって先細部形成部材83は、第3挿通孔部分80cに向かう第2ばね力F4が与えられる。軸部分83cの軸線方向他方E2側端部は、第3挿通孔部分80cを挿通し、第2突出部材85に当接する。
【0129】
第1突出部材84および第2突出部材85とは、第1ばね力発生手段88によって連結される。第1ばね力発生手段88は、圧縮コイルばねによって実現される。圧縮コイルばねは、第1突出部材84および第2突出部材85をツール軸線L4に対して垂直な一垂直方向Cに互いに離反させる力F5a,F5bを各突出部材84,85に与える。
【0130】
摩擦撹拌接合装置60は、ツール軸線方向Eに移動自在に形成される可動リング90と、可動リング90をツール軸線方向Eに変位駆動する可動リング駆動手段92とを有する。可動リング90および可動リング駆動手段92は、撹拌部62の外径形状を拡大および縮小する撹拌部拡大縮小手段61を構成する。可動リング90および可動リング駆動手段92は、たとえば、ツール保持具41を支持する部分に設けられる。可動リング駆動手段92は、たとえば、サーボモータによって実現される。
【0131】
可動リング90は、本体部72と間隔をあけて、本体部72をツール軸線L4まわりに一周するリング状に形成される。可動リング90の内周部分は、少なくとも貫通孔81の各開口86,87に臨んで設けられる。この内周部分には、各開口86,87に臨む傾斜面91を有する。傾斜面91は、ツール軸線方向一方E1側に向かうにつれて貫通孔81の各開口86,87から離反する方向に傾斜する。
【0132】
第1突出部材84および第2突出部材85は、第1ばね力発生手段によってばね力F5a,F5bが与えられて、部分的に接合ツール70の本体部72から突出して、可動リング90の傾斜面91に当接する。傾斜面91と各突出部材84,85とは、少なくともいずれか一方にベアリングなどによってその摩擦抵抗を小さくする摩擦抵抗低減部が形成されることが好ましい。これによって、各突出部材84,85が傾斜面91に接触移動したときに、発熱および磨耗することが防止される。
【0133】
可動リング90がツール軸線方向他方E2側に変位駆動されることによって、傾斜面91と本体部72とのツール軸線L4半径方向間隔が広まる。この場合、第1突出部材84および第2突出部材85は、ばね力によって、本体部72の中心から外方に向かって一垂直方向Cに変位し、本体部72から突出する突出部分84a,85aが増える。逆に可動リング90が軸線方向一方E1側に変位駆動されることによって、傾斜面と本体部72とのツール軸線L4半径方向間隔が狭まる。これによって第1突出部材84および第2突出部材85は、本体部72の外方から中心に向かって一垂直方向Cに変位し、本体部72から突出する突出部分84a,85aが少なくなる。
【0134】
図15は、図13のS15−S15切断面線から見た断面図である。第2突出部材85が第1突出部材84よりも長く形成される。第1突出部材84は、貫通孔81の一方の開口86から本体部72の半径方向に突出し、本体部72の軸線を通過しない長さ寸法で板状に形成される。第2突出部材85は、貫通孔81の他方の開口87から本体部72の半径方向に突出するとともに、本体部72の軸線を通過する長さ寸法で板状に形成される。
【0135】
第2突出部材85には、嵌合部95を含む。嵌合部95には、ツール軸線方向Eに挿通する嵌合孔93が形成される。嵌合部95は、先細部形成部材83の軸部分83cの外径よりも大きい内径を有し、軸部分83cが嵌合可能に形成される。嵌合部95は、第2突出部材85が一垂直方向C2に変位した場合に、嵌合孔93がツール軸線L4と同軸になるように第2突出部材85に形成される。
【0136】
嵌合孔93に臨む嵌合部95の周面94は、ツール軸線方向一方側E1に向かうにつれて内周が拡径するように傾斜して形成される。言換えると、嵌合孔93は、軸線方向一方E1に向かうにつれて拡径する円錐または円錐台形状に形成される。
【0137】
可動リング駆動手段92によって、可動リング90が軸線方向他方E2に変位駆動されると、第1ばね力発生手段88によって与えられるばね力によって、第1突出部材84および第2突出部材85が互いに離反する方向に変位し、接合ツール70の本体部72から一垂直方向Cに突出する突出量が増える。第1突出部材84は、一垂直方向一方C1に変位する。第2突出部材85は、一垂直方向他方C2に変位する。
【0138】
第2突出部材85が一垂直方向他方C2に変位することによって、ツール軸線L4位置よりも一垂直方向一方C1にある嵌合部95が、一垂直方向他方C2に移動する。これによって、嵌合孔93がツール軸線L4位置に移動する。先細部形成部材83は、第2ばね力発生手段89によって軸線方向他方E2に向かう力を与えられているので、嵌合孔93がツール軸線L4位置に移動すると、先細部形成部材83の軸部分83cが嵌合部95に嵌合し、先細部形成部材83が軸線方向他方E2に変位する。
【0139】
先細部形成部材83の軸部分83cが嵌合部95に嵌合した状態から、可動リング90を軸線方向一方E1に変位させることによって、第2突出部材85と可動リング90の当接面91とを当接させる。さらに、可動リング90が軸線方向一方E1に変位させることによって、第2突出部材85を一垂直方向一方C1に変位させることができる。
【0140】
第2突出部材85を一垂直方向一方C1に変位させることによって、嵌合部95も一垂直方向一方C1に変位する。これによって、先細部形成部材83の軸部分83cは、嵌合部95の周面94に当接する。嵌合部95の周面94に当接した軸部分83cは、嵌合部95がさらに一垂直方向一方C1に移動することによって、周面94の一垂直方向他方C2の面に沿って移動し、軸部分83cがツール軸線方向一方E1に案内され、先細部形成部材83がツール軸線方向一方E1に変位する。
【0141】
図16は、先細部75をツール軸線方向他方E2に移動させた場合を示す断面図であり、図17は、図16のS17−S17切断面線から見た断面図である。図18は、先細部75をツール軸線方向一方E1に移動させた場合を示す断面図であり、図19は、図18のS19−S19切断面線から見た断面図である。
【0142】
接合ツール70は、2つの撹拌片64と、撹拌片64にばね力を与える撹拌片ばね力発生手段65とを有する。各撹拌片64は、ツール軸線L4を挟んで両側に配置されて、ピン部73に内蔵される。各撹拌片64は、ツール軸線L4に垂直な方向に変位自在に設けられ、互いに近接および離反する方向に移動する。撹拌片ばね力発生手段65は、各撹拌片64を互いに近接する方向にばね力を与える。撹拌片ばね力発生手段65は、たとえば、板ばねによって実現され、板ばねが、一方の撹拌片64と他方の撹拌片64とを連結する。
【0143】
各撹拌片64は、互いに近接する方向に移動してピン部73の内部に没入可能である。各撹拌片64は、互いに離反する方向に移動してピン部73から突出する。各撹拌片64は、ツール軸線L4に関して対称に配置される。各撹拌片64には、互いに対向する対向面66が形成される。各対向面66のツール軸線L4に垂直な方向の間隔は、ツール軸線方向一方E1に向かうにつれて短くなる。すなわち各対向面66の少なくとも一方が、ツール軸線方向一方E1に向かうにつれて、ツール軸線L4に向かって傾斜する。
【0144】
各撹拌片64の間には、先細部75が嵌り込む。先細部75は、軸線方向一方E1に向かうにつれて、ツール軸線L4に近づく傾斜面67を有する。先細部75の傾斜面67は、ツール軸線L4を挟んで両側に設けられ、各傾斜面67が、撹拌片64の対向面66にそれぞれ当接する。
【0145】
先細部75が軸線方向一方E1に向かって変位すると、先細部75が対向面66を摺動して、撹拌片64をツール軸線L4から遠ざかる方向に押出す。これによって撹拌片64がピン部73から突出する。先細部75が軸線方向他方E2に向かって変位すると、撹拌片ばね力発生手段65が撹拌片64をツール軸線L4に向かう力を与えて、撹拌片64がピン部73に没入する。上述した可動リング駆動手段92によって、先細部75をツール軸線方向Eに変位駆動することによって、撹拌部62の外径形状を拡大および縮小することができる。
【0146】
図20は、摩擦撹拌接合装置60の動作を説明するための断面図であり、図20(1)〜図20(4)の順に動作が進行する。図21は、摩擦撹拌接合装置60の制御手段63の動作を示すフローチャートである。制御手段63が、接合ツール20を傾斜させて離脱させる動作は、図5に示す動作と類似している。
【0147】
制御手段63は、図5に示すステップa0,a1,a2と同様の動作を、ステップc0,c1,c2で行う。ステップc2において、制御手段63は、図20(1)に示すように、接合ツール70を基準軸線L1まわりに回転させながら基準軸線L1に沿って被接合物21に没入させる。制御手段63は、予め定める第1の設定時間または予め定める没入状態に達すると、ステップc3に進む。
【0148】
ステップc3では、制御手段63が、図20(2)に示すように、接合ツール70の没入を停止させ、予め定める第2の設定時間が経過するまで接合ツール70を基準軸線L1まわりに回転させる。これによって、軟化した被接合物21を十分に流動化して撹拌して、各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。制御手段63は、予め定める第2の設定時間に達すると、ステップc4に進む。
【0149】
ステップc4では、制御手段63は、ツール変位駆動手段42を動作させ、接合ツール70を軸線方向他方A2に予め定める量移動させる。予め定められる量移動した接合ツール70は、ピン部73が部分的に被接合物21に没入した状態を保つ。接合ツール70が軸線方向他方A2に移動することによって、接合ツール70と被接合物21との間に隙間68が生じる。
【0150】
次に、制御手段63は、撹拌部拡大縮小手段61を制御して、ピン部73から撹拌片64を突出させる。制御手段63は、図20(3)に示すように、撹拌片64を突出させた状態で、接合ツール70を回転させることによって流動化した被接合物21を押出す。これによって、流動化した被接合物21は、接合ツール70と被接合物21との間に生じた隙間68に流れ込む。撹拌片64を突出させた状態で、接合ツール70を回転させ、予め定める時間に達すると制御手段63は、ステップc5に進む。
【0151】
ステップc5では、制御手段63は、図5に示すステップa4と同様に動作を行い、図20(4)に示すように、被接合物21から離脱する。接合ツール70が予め定める位置に達すると、制御手段63は、ステップc6に進み動作を終了する。
【0152】
以上のように摩擦撹拌接合装置60によれば、接合ツール70の撹拌部62の外形形状を縮小させた状態で、被接合物21を十分に撹拌した後、被接合物21から離脱する方向であって、軸線方向他方A2に移動させる。この状態で撹拌部62の外形形状を拡大させて、撹拌部62に臨む流動化した被接合物21を、接合ツール70と被接合物21との隙間68に向かって押出す。このように接合ツール70と被接合物21との隙間68に流動化した被接合物21を移動させることによって、撹拌領域21cの形状を変更することができる。たとえば、基準軸線L1から遠ざかるように流動化した被接合物21を移動させて、接合部分の厚み寸法D20を大きくすることができ、被接合物21の強度を向上させることができる。また、流動化した被接合物21を被接合部材の境界部分に向けて移動させて、各被接合部材21a,21bの境界に沿って延びる撹拌領域21cの接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材21a,21bの接合強度を向上することができる。
【0153】
図22は、本発明のさらに他の実施の形態である摩擦撹拌接合装置200を示す斜視図である。摩擦撹拌接合装置200は、2つの接合ツール220a,220bが装着される。摩擦撹拌接合装置200は、被接合物21の厚み方向一方から第1の接合ツール220aを没入させ、被接合物21の厚み方向他方から第2の接合ツール220bを没入させる。したがって被接合物21の両側から被接合物21を加熱する。
【0154】
摩擦撹拌接合装置200は、第1の接合ツール220aが装着される第1のツール保持具241aと、第2の接合ツール220bが装着される第2のツール保持具241bとを有する。第1のツール保持具241aは、第1の基準軸線L10aまわりに回転自在にかつ第1の基準軸線10aに沿って変位自在に設けられる。第2のツール保持具241bは、第2の基準軸線L10bまわりに回転自在にかつ第2の基準軸線に沿って変位自在に設けられ、第1の接合ツール241aに対向させて第2の接合ツール241bが装着される。
【0155】
第1および第2の基準軸線L10a,L10bは、互いに平行に延び、かつ一致または近接した位置に設定される。本実施の形態では、第1の基準軸線L10aおよび第2の基準軸線L10bは、一致する。
【0156】
摩擦撹拌接合装置200は、各ツール保持具241a,241bをそれぞれ各基準軸線L10a,L10bまわりに回転駆動する各ツール回転駆動手段242a,242bと、各ツール保持具241a,241bをそれぞれ各基準軸線L10a,L10bに沿って変位駆動する各ツール変位駆動手段243a,243bと、ロボットアーム29に連結される基台246と、接合状態検出手段35とを備える。
【0157】
摩擦撹拌接合装置200の各手段の具体的な構成については、図1に示す摩擦撹拌接合装置40と同様の構成であり、説明を省略する。また、一対のツール保持具241a,241b、ツール回転駆動手段242a,242bおよびツール変位駆動手段243a,243bは、それぞれ同じ構造である。
【0158】
摩擦撹拌接合装置200は、図1に示す摩擦撹拌接合装置40におけるツール保持具41、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43に対応する位置に、第1のツール保持具241a、第1のツール回転駆動手段242aおよび第1のツール変位駆動手段243aが設けられる。第2のツール保持具241b、第2のツール回転駆動手段242bおよび第2のツール変位駆動手段243bは、第1および第2の基準軸線L10a,L10bに交差し、第1および第2の基準軸線L10a、L10bに垂直な対称線L11に関して、第1のツール保持具241a、第1のツール回転駆動手段242aおよび第1のツール変位駆動手段243aに対称に設けられる。言換えると、受け台30にかえて、第2のツール保持具241b、第2のツール回転駆動手段242bおよび第2のツール変位駆動手段243bが設けられる。基台246は、略C字状に形成される。第1のツール保持具241aは、基台246の周方向一端部246aに設けられ、第2のツール保持具241bは、基台246の周方向他端部246bに設けられる。
【0159】
図23は、被接合物21に没入する各接合ツール220a,220bを拡大して示す断面図である。摩擦撹拌接合装置200が装着される各接合ツール220a,220bは、図2に示す接合ツール20と同様の形状を示す。各接合ツール220a,220bは、本体部222a,222bと、本体部222a,222bから突出するピン部223a,223bとをそれぞれ有する。
【0160】
図24は、摩擦撹拌接合装置200の制御手段63の動作を示すフローチャートである。ステップd0で、各接合ツール220a,220bが各ツール保持具241a,241bに装着されるとともに被接合物21が予め定める保持位置に保持される。次に、ロボットアーム29によって摩擦撹拌接合装置200が変位移動される。変位移動された摩擦撹拌接合装置200は、被接合物21の一方側に第1の接合ツール220aが配置され、被接合物21の他方側に第2の接合ツール220bが配置される。このような摩擦撹拌接合における準備が完了するとステップd1に進み、制御手段63が動作を開始する。
【0161】
ステップd1では、制御手段63が、各ツール変位駆動手段243a,343bを制御し、各ツール保持具241a,241bを被接合物21に向けて各基準軸線L10a,L10bに沿って変位移動させる。また制御手段63は、各ツール角変位駆動手段242a,242bを制御し、各ツール保持具241a,241bを各基準軸線L10a,L10bまわりに回転させる。これによって、各接合ツール2220a,220bが、回転しながら互いに近接する方向に移動する。
【0162】
各ピン部223a,223bの端面が、被接合物21の両側にそれぞれ当接する。制御手段63は、各ピン部223a,223bの端面が被接合物21に当接しても、各接合ツール220a,220bを互いに近接する方向にさらに移動させる。各接合ツール220a,220bは、協働して被接合物21を両側から押圧し、被接合物21に没入する。
【0163】
各接合ツール220a,220bを被接合物21に没入させていくと、各接合ツール220a,220bは、そのショルダ部分222a,222bの各ショルダ面が被接合物21に当接して、接合状態検出手段35が、接合ツール20のショルダ部分22aが被接合物21に当接したことを示す信号を制御手段63に与える。
【0164】
制御手段63は、予め定める第1の設定時間が経過するまで、各ツール保持具241a,241bを基準軸線方向に加圧し、各接合ツール220a,220bのショルダ部分222a,222bを被接合物21に没入させる。制御手段63は、予め定める第1の設定時間または予め定める没入状態に達すると、ステップd2に進む。
【0165】
予め定める没入状態に達したか否かは、接合状態検出手段35によって検出してもよい。この場合、接合状態検出手段35は、各接合ツール220a,220bの各ショルダ部分222a,222bが被接合物21に予め定める量、没入したことを示す信号を制御手段63に与える。制御手段63は、この信号を受けて予め定める没入状態に達したことを判断する。
【0166】
ステップd2では、制御手段63が、各接合ツール220a,220bの没入を停止させ、予め定める第2の設定時間が経過するまで接合ツール20を回転させる。これによって、軟化した被接合物21を十分に流動化して撹拌して各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。被接合物21は、各接合ツール220a,220bによって両側から加熱されるので、撹拌領域21cを増やすことができる。制御手段63は、予め定める第2の設定時間に達すると、ステップd3に進む。
【0167】
ステップd3では、各接合ツール220a,220bを互いに離反する方向に移動させて、被接合物21から各接合ツール220a,220bを離脱させる。制御手段63は、接合ツール20を予め定める初期位置に移動させて、予め定める第3の設定時間に達すると、接合ツール220a,220bの回転を停止し、ステップd4に進む。ステップd4では制御手段63は、動作を終了する。
【0168】
以上のように、本発明の摩擦撹拌接合装置200に従えば、被接合物21を両側から加熱することができ、撹拌領域21cを増加させることができる。また、片側から1つの接合ツールを没入する場合に比べて、少なくともいずれか一方の接合ツール220aのピン部223aが被接合物21に没入する没入量を少なくして、十分な撹拌量を得ることができる。
【0169】
たとえば、図23に示すように、第1のピン部223aの軸線方向寸法D10は、第1の接合ツール223a側の被接合部材21aの厚み寸法D12よりも小さく設定する。また、第2のピン部223bの軸線方向寸法D11は、第2の接合ツール223b側の被接合部材21bの厚み寸法D13よりも小さく設定する。このように2つの被接合部材21a,21bの境界までピン部223a,223bの各端面が達していなくても十分に被接合物21を撹拌させることができる。
【0170】
このように少なくともいずれか一方のピン部が没入する量を少なくすることができるので、接合後に形成される接合跡の深さD10,D11を小さくすることができる。これによって、被接合物21の強度を向上させることができる。
【0171】
また、被接合物21は、接合後に流動化した部分が隆起し、被接合物21にいわゆるバリが生じる。被接合物21を両側から接合ツール220a,220bを没入することによって、片側から接合ツールを没入する場合に比べてバリを少なくすることができる。また、撹拌領域21cを増加させることができるので、各被接合部材21a,21bの接合強度を向上させることができる。
【0172】
また、被接合物21に与える加熱量を増やすことができるので、被接合物21の軟化および流動化を促進することができ、短時間で接合ツール20を被接合物内に没入させることができる。これによって施工時間を短縮することができる。
【0173】
図25は、他の形態の各接合ツール220a,220bを拡大して示す断面図である。各接合ツール220a,220bのピン部223a,223bの軸線方向寸法D10,D11が異なってもよい。また、各接合ツール220a,220bの回転方向は、互いに同方向であっても反対方向であってもよい。各接合ツール220a,220bを互いに反対方向に回転させることによって、被接合物21をより確実に撹拌することができる。
【0174】
図26は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール320を示す正面図である。接合ツール320は、上述した接合ツール20,70に対して撹拌部の表面部分が、被接合物に対する摩擦係数が高い材料によって形成される。たとえば接合ツール320は、ピン部323の表面に窒化クロム(CrN)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)からなる薄膜材料およびこれらを少なくとも1つ含む混合薄膜材料がコーティングされ、表面に硬質薄膜301が形成される。これらの硬質薄膜301は、たとえば物理蒸着(Physical VaporDeposition、略称、PVD)または化学蒸着(Chemical Vapour Deposition、略称、CVD)によって、上述した薄膜材料または混合薄膜材料をピン部323にコーティングする。
【0175】
また、薄膜301は、セラミックス成分を含む硬質粒子と、炭化チタン(TiC)成分を含む金属結合相とを含んで成る焼結複合材料、いわゆるTiCサーメット(CERMET)をピン部323に粉末焼結または溶射して、硬質薄膜301を形成してもよい。
【0176】
このような硬質材料301がピン部323にコーティングされる接合ツール320を用いることによって、ピン部323と被接合物21との摩擦抵抗を大きくすることができる。これによってピン部323が被接合物21に没入させた場合に、被接合物21に与えられる熱量を大きくして、流動化をさらに促進することができる。また、流動化した被接合物21の撹拌を効率的に行うことができる。さらに、接合ツール320を被接合物21に押し付ける加圧力が小さい場合であっても、被接合物21を加熱することができるので、接合ツール320の本体部322が被接合物21に没入する量を小さくすることができる。また、従来よりも被接合物21に与える熱量を大きくすることができるので、被接合物21の板厚が厚い場合であっても摩擦撹拌接合することができる。
【0177】
図27は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール420を示す斜視図である。接合ツール420は、上述した接合ツール320に対して硬質薄膜401がコーティングされる部分が異なる。接合ツール420は、ショルダ部分422aのショルダ面427に硬質薄膜401が形成される。このように、ショルダ面427に硬質薄膜401が形成される場合であっても、ショルダ部427が被接合物21に接触することによって、図26と同様の効果を得ることができる。
【0178】
図28は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール520を示す斜視図であり、図29は、接合ツール520を示す平面図である。接合ツール520は、上述した接合ツール20,70に対して、本体部522から突出する略円筒状のピン部523の形状が異なる。ピン部523は、その表面部分がスリット、粒状突起などによって凹凸形状に形成される。ピン部523が凹凸形状に形成されることによって、ピン部523の被接合物21に対する摩擦係数を高くすることができる。これによって図26と同様の効果を得ることができる。また、凹凸形状は、ピン部523の周方向に凹凸が形成され、軸線方向に延びることが好ましく、これによってピン部523を回転させた場合に流動化した被接合物21をより撹拌させることこができる。
【0179】
図30は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール620を示す斜視図であり、図31は、接合ツール620を示す平面図である。接合ツール620は、上述した接合ツール20,70に対して、ショルダ面677から突出する突部601が設けられる。このようにショルダ面677から突出する突部601が接合ツール620に設けられることによって、接合ツール20の被接合物に対する摩擦抵抗力を高めることができ、図27に示す接合ツールと同様の効果を得ることができる。
【0180】
上記に記載したように図26〜図30に示す接合ツールは、上述した各摩擦撹拌接合装置40,60,200に装着することができる。このように被接合物21に対する摩擦抵抗力を高くした接合ツールを用いることによって、さらに撹拌領域21cを増やすことができる。また、接合ツール320,420,520,620を被接合物21に押し付ける加圧力を小さくすることができ、被接合物21に接合ツール320,420,520,620が没入する量を小さくすることができる。これによって被接合物21の強度を向上することができ、また被接合部材21a,21bの接合強度を高めることができる。
【0181】
図32は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール720を示す斜視図である。接合ツール720は、略円柱状に形成される本体部722と、本体部722から接合ツール720の軸線方向L4一方に突出し、略円柱状に形成されるピン部723とを有する。本体部722のうち、接合ツール720の軸線方向L4一方側端部となるショルダ部分722aには、接合ツール720の軸線L4と垂直なショルダ面727が形成される。
【0182】
ピン部723は、ショルダ面727から垂直に突出する。本体部722とピン部723とは、同軸に形成される。ピン部723の外径は、本体部722の外径よりも小さく形成される。ショルダ部分722aおよびピン部723は、摩擦撹拌接合にあたって被接合物21に没入する撹拌部となる。これによってピン部723だけが被接合物21に没入される場合に比べて、加熱量を高めることができる。
【0183】
接合ツール720の本体部722には、ショルダ部分722に連なる部分に、没入防止部701が形成される。没入防止部701は、ショルダ面727の周縁に連なり、接合ツールの軸線L4から遠ざかる方向に延びる当接面702を有する。当接面702は、ツール軸線L4を一周するリング状に形成され、ツール軸線L4を含む切断面線で切断した場合に、ツール軸線L4に対して予め定める角度α1で傾斜する。当接面702は、ツール軸線L4から遠ざかるとともに、ピン部723から遠ざかる方向、すなわち軸線方向L4他方に傾斜する。
【0184】
接合ツール720が被接合物21に没入されて、ショルダ部分722aが被接合物21に没入した状態で、さらに接合ツール720が被接合物21に没入しようとすると、当接面702が被接合物21に当接する。これによって接合ツール720の更なる没入にともなって、当接面702が被接合物21に当接する領域が増加する。このように接合ツール720の没入にともなって、被接合物21と接合ツール720とが当接する面積が増加することで、接合ツール720の没入を阻止する力が増加する。たとえば、被接合物21の重ね合わせ不良によって、接合ツール720の没入速度が早まっても、当接面702が被接合物21に当接することによって、接合ツール720が必要以上に没入することを防止することができる。これによって被接合物21に形成される接合跡の深さが深くなりすぎることを防止することができ、被接合物21の強度を向上することができる。また、当接面702が傾斜して設けられることによって、接合後に被接合物21に生じるバリを抑えることができる。
【0185】
図33は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール820を示す斜視図である。接合ツール820は、没入防止部801の形状が異なる以外は、図32に示す接合ツール720と同様に形成される。没入防止部801は、ショルダ面827よりもツール軸線方向他方側に設けられる当接面802が形成される。接合ツール820の本体部822は、ショルダ面827と当接面802とが段状に形成される。当接面802は、ツール軸線L4を中心とするリング状に形成され、ツール軸線L4に対して垂直に設けられる。
【0186】
接合ツール820が被接合物21に没入されて、ショルダ部分822aが被接合物21に没入した状態で、さらに接合ツール820が被接合物21に没入すると、当接面802が被接合物21に当接する。これによって被接合物21と接合ツール820とが当接する面積が急激に増加して、接合ツール820の没入を阻止する力が増加するため、被接合物21に形成される接合跡の深さが深くなりすぎることを防止することができ、被接合物21の強度を向上することができる。
【0187】
図34は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール920を示す斜視図である。接合ツール920は、没入防止部801の形状が異なる以外は、図32に示す接合ツール720と同様に形成される。没入防止部901は、ショルダ面827よりもツール軸線方向他方側に設けられる当接面902が形成される。当接面902は、ツール軸線L4を一周するリング状に形成され、ツール軸線L4を含む切断面線で切断した場合に、ツール軸線L4に対して予め定める角度α2で傾斜する。当接面902は、ツール軸線L4から遠ざかるとともに、ピン部723から遠ざかる方向、すなわち軸線方向L4他方に傾斜する。このような形状であっても、図32および図33と同様の効果を得ることができる。また、ショルダ面927と当接面902の段差を調整することによって、接合ツール920の没入量を調整することができる。
【0188】
このように図32〜図34に示す接合ツール720,820,920は、上述した各摩擦撹拌接合装置40、60,100に装着することができる。このように被接合物21に対する必要以上の没入を阻止する接合ツール720,820,920を用いることによって、接合後に被接合物21に形成される接合跡の深さを小さくすることができる。これによって被接合物21の強度を向上することができ、また被接合物21の接合強度を高めることができる。また、接合跡の深さを小さくすることによって、接合後の被接合物21の美観を向上することができる。
【0189】
図35は、本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール950を示す断面図である。接合ツール950は、図1に示す接合ツール20と同様の構成を示しさらに、隆起除去部951を備える。図1に示す接合ツールと同様の構成については、同様の参照符号を付し、説明を省略する。隆起除去部951は、撹拌部62が被接合物21に没入されることによって、被接合物21が半径方向外方に押出されて隆起した隆起部分952を除去する。
【0190】
隆起除去部951は、円筒状に形成され、本体部23を一周する。隆起除去部951は、接合ツール950の軸線と同軸に配置される。また、隆起除去部951のツール軸線方向一方の端面である除去面953は、基準軸線L1に対して垂直に形成される。
【0191】
隆起除去部951は、被接合物21よりも硬い材質によって実現され、隆起した部分952に接触することによって、隆起部分952を除去する。たとえば隆起除去部951の被接合物21に当接する除去面953は、隆起部952を切削除去するための刃が設けられる。
【0192】
隆起除去部951は、本体部22と一体的に回転可能に設けられ、本体部22に対してツール軸線方向に変位自在に設けられる。摩擦撹拌接合装置のツール保持具41は、接合ツール950を保持する。摩擦撹拌接合装置は、本体部22に対して隆起除去部951をツール軸線方向に変位駆動する隆起除去部変位駆動手段をさらに備える。
【0193】
図36は、接合ツール950が装着される摩擦撹拌接合装置の動作を説明するための断面図である。摩擦撹拌接合装置は、隆起除去部951が被接合物21に接触しない位置に変位駆動させた状態で、接合ツール950の撹拌部62を被接合物21に没入する。接合ツール950を回転させることによって、被接合物21を固相撹拌し、各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。
【0194】
摩擦撹拌接合装置は、十分に被接合物21を流動化すると、図36に示すように、接合ツール950を被接合物21から離反させるとともに、隆起除去部951を被接合物21に回転接触させる。隆起除去部951は、被接合物21に形成される隆起部分952に除去面953が回転接触し、隆起部分952を除去する。このように隆起部分952を除去することによって、被接合物の美観を向上することができる。
【0195】
図37は、接合ツール950を示す断面図であり、図38は、図37とはツール軸線L4まわりに90度回転した断面から見た断面図である。接合ツール950は、ツール軸線に同軸に配置されツール軸線に沿って変位自在な変位部材955と、変位部材955と隆起除去部951とを連結する連結部954とを有する。
【0196】
接合ツール950の本体部22は、内部に空間956が形成される。この空間956に変位部材955が配置される。変位部材955は、ツール軸線L4に沿って延び、ツール軸線L4に沿って変位可能に設けられている。変位部材955は、本体部22に対してまわり止めされている。連結部954は、変位部材955のツール軸線一方側端部に連なり、変位部材955とともにツール軸線に沿って変位自在に設けられる。連結部954は、本体部22外部にある隆起除去部951に連なる。
【0197】
変位部材955が隆起除去部変位駆動手段によって変位駆動されることによって、隆起除去部951をツール軸線に沿って変位駆動させることができる。変位部材955と隆起除去部変位駆動手段とについては、図13に示す構造と同様の構成によって実現することができる。すなわち図13に示す先細部形成部材83にかえて変位部材955を設け、図13に示す可動リング90および可動リング駆動手段92によって隆起除去部変位駆動手段を構成することができる。その他接合ツール950の構成については、図13に示す接合ツール70と同様の構成によって実現することができる。
【0198】
上述した摩擦撹拌接合装置および接合ツールの構成は、本発明の実施の形態の一例示であって、発明の範囲内において、構成を変更することができる。摩擦撹拌接合は、重ね合わされた被接合部材21a,21bをスポット接合するとしたが、被接合物2は、被接合部材21a,21bが突き合わされた状態で接合してもよい。また、被接合部材21a,21bの材質についても、アルミ合金以外の材料であってもよい。また、上述した各実施形態を併用して用いてもよい。また、制御手段63によって摩擦撹拌接合動作を制御したが、動作の一部分を手動で制御してもよい。また、上述した各摩擦撹拌接合装置40,60,200と接合ツール20,70,320,430,520,620,720,820,920,950をそれぞれ併用して用いることによって、さらに確実に被接合物21の強度および被接合部材の接合強度を高めることができる。また、被接合物21に形成される隆起部952を除去して被接合物21の美観を向上することができる。さらに、本発明では、接合ツールは、ツール保持具41に着脱可能に装着されることとしたが、摩擦撹拌接合装置がツール保持具41を備えない場合であってもよい。すなわち接合ツールは、ツール回転駆動手段に一体的に固定されてもよい。
【0199】
また従来の技術の場合では、各被接合部材21a,21bが混ぜ合わされる部分がピン部の周囲に限られてしまい、必要な強度を得るためには、ピン部の形状および回転速度、押し付け力、施工時間などの接合条件を変更する必要がある。しかし、上述するように本発明に従えば、1つの接合ツールを用いて、撹拌領域21cを増やし、接合後の被接合物21に任意の強度を与えることができる。
【0200】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の本発明によれば、接合ツールによって被接合物を十分に撹拌した後、接合ツールを角変位軸線まわりに角変位させた状態で、接合ツールを被接合物から離反する方向に移動させることにより、接合ツールの軸線を被接合物の表面に対して傾斜させた状態で、被接合物から離脱させることができる。
【0201】
これによって被接合物のうち、接合ツールを傾斜させた側の傾斜部分と、接合ツールを傾斜させた側と反対方向の対向傾斜部分との接合後に形成される接合部分の形状を異ならせることができるため傾斜部分と対向傾斜部分とで耐え得る強度を変化させることができる。傾斜部分と対向傾斜部分とで接合跡の形状を異ならせることによって、一方から受ける大きい力に耐え得る強度を被接合物に持たせることができ、被接合物の強度、特にせん断強度を向上することができる。
【0202】
また、軸線まわりに回転する接合ツールを被接合物に没入させた状態で、ツール角変位駆動手段によって、接合ツールを角変位軸線まわりに揺動的に角変位させることで、被接合物の撹拌領域の容積を増やして撹拌領域の接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。また、接合ツールを被接合物に対して深く没入させることなく、撹拌領域の容積を増やすことができ、厚み寸法が小さくなることを防止し、被接合物の強度を向上することができる。
【0203】
請求項2記載の本発明によれば、被接合物の一方側に第1の接合ツールを配置させて、被接合物の他方側に第2の接合ツールを配置させて、被接合物を両側から同時に摩擦撹拌接合を行うことができる。両側から各接合ツールを没入することによって、片側から1つの接合ツールを没入する場合に比べて、単位時間あたり被接合物に発生する摩擦熱を多くして、流動化する被接合物を増加させることができる。また流動化した被接合物の撹拌をより確実に行うことができ、被接合物の撹拌領域の容積を増やすことができる。
【0204】
また、単位時間あたり被接合物に発生する摩擦熱を多くすることによって、接合ツールが被接合物に深く没入させることなく、接合部分における厚み寸法が小さくなることを防止することができ、被接合物の強度を向上することができる。
【0205】
請求項3記載の本発明によれば、接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。たとえば、流動化した被接合物を移動させることによって、接合部分の厚み寸法を大きくすることができ、被接合物の強度を向上させることができる。また、各被接合部材の境界に沿って延びる撹拌領域の接合幅寸法を大きくすることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0206】
請求項4記載の本発明によれば、接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。たとえば、流動化した被接合物を移動させることによって被接合物の強度を向上させることができる。また、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0207】
請求項5記載の本発明によれば、被接合物に対する摩擦係数が高い材料によって形成されることによって、接合ツールと被接合物との摩擦係数が高くなり、接合ツールと被接合物との間に生じる摩擦熱を大きくすることができる。これによって被接合物の流動化を促進させ、撹拌領域を増大させることでき、各被接合部材の接合強度を向上することができる。さらに、接合ツールと被接合部材とで摩擦係数が大きいので、被接合部材の撹拌をより確実にかつ短時間で行うことができる。
【0208】
また、摩擦力を大きくすることによって、接合ツールを被接合物に押圧する押圧力を小さくしても必要な摩擦熱を得ることができ、接合ツールが被接合物に没入する没入量を小さくして被接合物の強度を向上することができる。
【0209】
請求項6記載の本発明によれば、撹拌部の表面部分が凹凸形状に形成されることによって、接合ツールと被接合物との摩擦係数が高くなる。これによって摩擦係数が高くなることで、接合ツールと被接合物との間に生じる摩擦熱が高くなり、摩擦撹拌領域を増大させることができ、各被接合部材の接合強度を向上することができる。さらに、接合ツールと被接合部材とで摩擦係数が大きいので、流動化した被接合物は、接合ツールとともに回転させようとする力が働き、被接合部材の撹拌をより確実にかつ短時間で行うことができる。
【0210】
また、摩擦力を大きくすることによって、接合ツールを被接合物に押圧する押圧力を小さくしても必要な摩擦熱を得ることができ、接合ツールが被接合物に没入する没入量を小さくして、被接合物の強度を向上することができる。
【0211】
請求項7記載の本発明によれば没入防止部が設けられることによって、撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に接触端面を接触させることができるため、被接合物に接合ツールが必要以上に没入して、接合部分の厚み寸法が小さくなることを防止することができ、その結果被接合物の接合強度が低下することを防止することができる。
【0212】
請求項8記載の本発明によれば、隆起除去部が設けられることによって、被接合物の隆起した部分を除去することができるため、被接合物の美観を向上することができるとともに、隆起部分を除去するための仕上げ工程を必要とすることがなく、利便性を向上することができる。
【0213】
請求項9記載の本発明によれば、没入防止部が設けられることによって、撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に没入防止部の端面を接触させることができるため、被接合物に接合ツールが必要以上に没入して、接合部分の厚み寸法が小さくなることを防止することができ、その結果被接合物の接合強度が低下することを防止することができる。
【0214】
請求項10記載の本発明によれば、隆起除去部が設けられることによって、被接合物の隆起した部分を除去することができるため、被接合物の美観を向上することができるとともに、隆起部分を除去するための仕上げ工程を必要とすることがなく、利便性を向上することができる。
【0215】
請求項11記載の本発明によれば、接合ツールによって被接合物を十分に撹拌した後、接合ツールを角変位軸線まわりに角変位させた状態で、接合ツールを被接合物から離反する方向に移動させることによって接合ツールは、その軸線を被接合物の表面に対して傾斜させた状態で、被接合物から離脱させることができる。
【0216】
これによって、被接合物のうち、接合ツールを傾斜させた側の傾斜部分と、接合ツールを傾斜させた側と反対方向の対向傾斜部分との接合後に形成される接合跡の形状を異ならせることができるため傾斜部分と対向傾斜部分とで耐え得る強度を変化させることができる。被接合物に与えられる力のうち、一方から受ける力が残余の方向から受ける力に比べて大きい場合、上述したように接合ツールを傾斜部分と対向傾斜部分とで接合跡の形状を異ならせることによって、一方から受ける大きい力に耐え得る強度を被接合物に持たせることができる。
【0217】
請求項12記載の本発明によれば、回転軸線まわりに回転する接合ツールを被接合物に没入させた状態で、接合ツールを角変位軸線まわりに揺動的に角変位させる。このように接合ツールの被接合物に没入した部分を被接合物に対して角変位させることにより、被接合物の撹拌領域の容積を増やすことができるため、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【0218】
また、接合ツールを被接合物に対して深く没入させることなく、撹拌領域の容積を増やすことができる。したがって、接合部分における厚み寸法が小さくなることを防ぐことができ、被接合物の強度を向上することができる。
【0219】
請求項13記載の本発明によれば、撹拌部に臨む流動化した被接合物を、接合ツールと被接合物との隙間に押出すことができ、隙間を埋めることができる。接合ツールと被接合物との隙間に流動化した被接合物を移動させることによって、撹拌領域の形状を変更することができる。たとえば、接合部分の厚み寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、被接合物の強度を向上させることができる。また、撹拌領域の接合幅寸法が大きくなるように、流動化した被接合物を移動させることで、各被接合部材の接合強度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である摩擦撹拌接合装置40を示す斜視図である。
【図2】被接合物21に没入する接合ツール20を拡大して示す断面図である。
【図3】摩擦撹拌接合装置40の動作を説明するための断面図である。
【図4】ツール保持具41の角変位動作と接合ツール20の位置との時間的関係を示すタイミングチャートである。
【図5】摩擦撹拌接合装置40の制御手段63の動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施の一形態の摩擦撹拌接合装置40を用いて接合された被接合物21を示す断面図である。
【図7】ツール保持具41を角変位させずに接合された比較例の被接合物21を示す断面図である。
【図8】摩擦撹拌接合装置40の他の動作を示す断面図である。
【図9】摩擦撹拌接合装置40のさらに他の動作を説明するための断面図である。
【図10】摩擦撹拌接合装置40の制御手段63の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態である摩擦撹拌接合装置60の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】被接合物21に没入する接合ツール70を拡大して示す断面図である。
【図13】接合ツール70を拡大して示す断面図である。
【図14】図13のS14−S14の切断面線から見た断面図である。
【図15】図13のS15−S15切断面線から見た断面図である。
【図16】先細部75をツール軸線方向他方E2に移動させた場合を示す断面図である。
【図17】図16のS17−S17切断面線から見た断面図である。
【図18】先細部75をツール軸線方向一方E1に移動させた場合を示す断面図である。
【図19】図18のS19−S19切断面線から見た断面図である。
【図20】摩擦撹拌接合装置60の動作を説明するための断面図である。
【図21】摩擦撹拌接合装置60の制御手段63の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明のさらに他の実施の形態である摩擦撹拌接合装置200を示す斜視図である。
【図23】被接合物21に没入する各接合ツール220a,220bを拡大して示す断面図である。
【図24】摩擦撹拌接合装置200の制御手段63の動作を示すフローチャートである。
【図25】他の形態の各接合ツール220a,220bを拡大して示す断面図である。
【図26】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール320を示す正面図である。
【図27】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール420を示す斜視図である。
【図28】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール520を示す斜視図である。
【図29】接合ツール520を示す平面図である。
【図30】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール620を示す斜視図である。
【図31】接合ツール620を示す平面図である。
【図32】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール720を示す斜視図である。
【図33】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール820を示す斜視図である。
【図34】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール920を示す斜視図である。
【図35】本発明のさらに他の実施の形態である接合ツール950を示す断面図である。
【図36】接合ツール950が装着される摩擦撹拌接合装置の動作を説明するための断面図である。
【図37】接合ツール950を示す断面図である。
【図38】図37とはツール軸線L4まわりに90度回転した断面から見た断面図である。
【図39】従来の技術の摩擦撹拌接合を説明するために接合ツール2と被接合物1とを示す断面図である。
【図40】図39に示される摩擦撹拌接合された被接合物1の拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
21 被接合物
22 本体部
22a ショルダ部分
23 ピン部
27 ショルダ面
29 ロボット
30 受け台
31 ツール角変位駆動手段
35 接合状態検出手段
40,60,200 摩擦撹拌接合装置
41 ツール保持具
42 ツール回転駆動手段
43 ツール変位駆動手段
61 撹拌部拡大縮小手段
63 制御手段
20,70,320,430,520,620,720,820,920,950 接合ツール
L1 基準軸線
L2 角変位軸線
L3 回転軸線
L4 ツール軸線
L10a 第1の基準軸線
L10b 第2の基準軸線

Claims (13)

  1. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
    接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
    接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、
    接合ツールを前記軸線と交差する角変位軸線まわりに角変位駆動するツール角変位駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  2. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
    第1の接合ツールを予め定める第1の基準軸線まわりに回転駆動するとともに、第1の接合ツールに対向して設けられる第2の接合ツールを、予め定める第2の基準軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
    第1の接合ツールを第1の基準軸線方向に沿って変位駆動するとともに、第2の接合ツールを第2の基準軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  3. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
    被接合物に没入される撹拌部の外形形状を拡大および縮小自在である接合ツールと、
    接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
    接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、
    接合ツールの撹拌部の外形形状を拡大および縮小する撹拌部拡大縮小手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  4. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、軸線まわりに回転しながら被接合物に撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部の外形形状が拡大および縮小可能に形成されることを特徴とする接合ツール。
  5. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部の表面部分が、被接合物に対する摩擦係数が高い材料によって形成されることを特徴とする接合ツール。
  6. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部の表面部分が、凹凸形状に形成されることを特徴とする接合ツール。
  7. 撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に接触する接触端面が形成される没入防止部が、撹拌部の半径方向外方に設けられることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の接合ツール。
  8. 撹拌部が被接合物に没入されることによって、被接合物が半径方向外方に押出されて隆起した部分を除去する隆起除去部が設けられることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の接合ツール。
  9. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部が被接合物に没入された状態で、被接合物に接触する端面が形成される没入防止部が、撹拌部の半径方向外方に設けられることを特徴とする接合ツール。
  10. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、軸線まわりに回転しながら撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部が被接合物に没入されることによって、被接合物が半径方向外方に押出されて隆起した部分を除去する隆起除去部が設けられることを特徴とする接合ツール。
  11. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
    接合ツールを被接合物に没入させた状態で、その軸線まわりに回転させて、被接合物を撹拌する撹拌工程と、
    接合ツールの軸線を被接合物の表面に対して垂直な位置から傾斜させた状態で、接合ツールを被接合物から離脱させる離脱工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  12. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
    接合ツールを被接合物に没入させた状態で、軸線まわりに回転させるとともに、軸線と交差する角変位軸線まわりに揺動的に角変位させる撹拌工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  13. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に、没入される撹拌部の外形形状が拡大および縮小自在である接合ツールをその軸線まわりに回転させながら没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
    撹拌部の外径形状を縮小させた状態で、撹拌部を被接合物に没入し、被接合物を撹拌する撹拌工程と、
    撹拌工程の後に、被接合物から離脱する方向に接合ツールを変位駆動して、接合ツールと被接合物との間に隙間を形成し、撹拌部の外径形状を拡大して、撹拌した被接合物を前記隙間に流し込む撹拌領域移動工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
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