JP2004173571A - レトルト卵加工品 - Google Patents
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- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
Abstract
【課題】薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグに調味液を加えてレトルト製品にしても、薄膜状凝固卵により調味液が混濁せず、その結果、スクランブルエッグと調味液が本来の色調をしている新規なレトルト卵加工品を提供する。
【解決手段】パウチ内に薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液とが、調味液が薄膜状凝固卵により混濁しない状態で密封・加熱殺菌されていることを特徴とするレトルト卵加工品。
【選択図】なし
【解決手段】パウチ内に薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液とが、調味液が薄膜状凝固卵により混濁しない状態で密封・加熱殺菌されていることを特徴とするレトルト卵加工品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なレトルト卵加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグが開発されており、このスクランブルエッグは、オムライスや親子丼用の凝固卵として、或いは中華スープの具として用いられている。このスクランブルエッグにソースやタレを加えて調理すれば比較的簡便に卵料理が得られるからである(例えば、特許文献1及至3参照)。
【特許文献1】
特許第2923485号公報
【特許文献2】
特許第2956050号公報
【特許文献3】
特許第2946503号公報
【0003】
ところで、さらに簡便に卵料理が得られるようにするため、上記スクランブルエッグに、調味液として例えばトマトソースを加えてパウチに詰め、これをレトルトで加熱殺菌してレトルト卵加工品(オムライスの素)を製することが考えられる。
しかしながら、本発明者等がそのような製品を試作し、流通を想定した振動試験をしてみたところ、トマトソースがスクランブルエッグから剥離した薄膜状凝固卵によって混濁し、もともと鮮やかな赤色であったソースが黄褐色又は黄色のまだら模様の褐色に変色してしまうばかりでなく、スクランブルエッグの鮮やかな黄色が混濁したソースによって見えなくなってしまうという問題があった。このスクランブルエッグは薄膜凝固卵が多数集合しただけのものであり、これをソース等の調味液中に入れてレトルト処理し、さらに流通過程での振動を受けると、スクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離して調味液中に浮遊し、これが原因で調味液を混濁させてしまうことになるからである。
オムライスのソースの鮮やかな赤色とスクランブルエッグの鮮やかな黄色のコントラストは、オムライスの生命であるから、上記のような見た目に感じの悪いレトルト卵加工品は商品とはなりえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグにソースやスープ等の調味液を加えてレトルト製品としても、薄膜状凝固卵により調味液が混濁せず、その結果、スクランブルエッグと調味液が本来の色調をしている新規なレトルト卵加工品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、調味液の粘度を所定以上に上昇させると、調味液中に入れたスクランブルエッグは振動に強くなって、スクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離しないことをつきとめ、さらに研究の結果、本発明を完成したものである。
本発明は、上記目的を達成するため、
(1)パウチ内に薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液とが、調味液が薄膜状凝固卵により混濁しない状態で密封・加熱殺菌されていることを特徴とするレトルト卵加工品、
(2)黄色を呈したスクランブルエッグを、調味液として赤色のソースを用いてオムライスの素とした(1)のレトルト卵加工品、からなるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をいう。
本発明においてレトルト卵加工品とは、レトルトパウチに詰められ加熱殺菌された卵加工品であって、パウチに詰めたままあたためて取り出せば、そのまま或いはご飯やめんにかけるだけで供食することのできる、例えばタレ入り玉子丼の素、ソース入りオムライスの素、タレをあんかけした芙蓉蟹や蟹玉のような製品をいう。
【0007】
また、本発明でスクランブルエッグとは、特許文献1及至3に記載されているような卵加工品であって、卵白、卵黄、全卵等の卵液を流動させた熱水中で処理して、面積5〜300mm2、厚さ2mm以下の薄膜状凝固卵とし、この薄膜状凝固卵を多数集合させて一定の大きさの塊としたものをいう。
このスクランブルエッグの具体例としては、特許文献1に記載されているように、卵液に固形分に対して油脂を8〜32%添加して上記の方法で製したもの、特許文献2に記載されているように、スクランブルエッグを構成する薄膜状凝固卵として黄色のものと白色のものが混合されたもの、及び特許文献3に記載されているように、ラムダカラギーナンを含有する卵液を卵蛋白の凝固温度以上に加熱変性させた半熟様のスクランブルエッグ又は清水、油脂、酵素処理卵黄を含有する乳化物を加熱変性させた半熟様のスクランブルエッグ等がある。なお、卵黄や全卵を原料としたスクランブルエッグは、卵黄の色素によって黄色を呈し、卵白を用いたものは白色である。
本発明で用いるスクランブルエッグは、薄膜状凝固卵を単に集合させたものであるから、これを調味液中に入れて振動を与えるとスクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離しやすい性質がある。
【0008】
また、本発明で調味液とは、トマトソース、デミグラスソース等のソース類ばかりでなく、タレ、スープ、ツユ等のスクランブルエッグと一緒にパウチに詰められる液状の調味料をいう。
この調味液は、澱粉(天然澱粉、化工澱粉等)やガム質(キサンタンガム、グアーガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム等)等の増粘剤を加えて、60℃における粘度が7000mPa・s以上になるように調整することが肝要である。その理由は、後述の試験例で示すように、その粘度を7000mPa・s以上とすることにより、レトルト卵加工品を製したとき、はじめて、流通過程での振動試験でも薄膜状凝固卵によるソースの混濁の発生が防止できるからである。ただし、その粘度を余り高くし過ぎると流動性がなくなって調味液としての役割をしなくなるので、60℃における粘度が70000mPa・s以下とするのが実用的である。
調味液の粘度は、B型粘度計(東京計器製)を用いて、調味液温度60℃、ローターNo.3〜6、回転速度10rpmの条件で測定した値として定義される。
なお、本発明で調味液の粘度について60℃のときを基準とするのは、その温度付近で発明品のレトルト卵加工品が供食されるのが一般的だからである。
【0009】
本発明のレトルト卵加工品において、パウチ内に詰められるスクランブルエッグと調味液の比率は任意で差し支えないが、スクランブルエッグ1部に対して調味液を2〜5部と多くすれば、薄膜状凝固卵による調味液の混濁を防ぐ効果がより顕著にみられる。
【0010】
本発明のレトルト卵加工品を製造するには、薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液を用い、その他の事項はレトルト食品の一般的な製法によればよい。なお、調味液の粘度は、パウチ詰め前とパウチ詰めして製品化した後とで変化が見られず、ほぼ同じとなる。
【0011】
本発明において、レトルト卵加工品の調味液の60℃における粘度を7000mPa・s以上とすると薄膜状凝固卵による調味液の混濁が防止されるのは、製品に振動を与えても調味液が振動を吸収しスクランブルエッグからの薄膜状凝固卵の剥離を防いでいるものと考えられる。
以下、本発明の実施例と試験例を述べる。
【0012】
【実施例】
実施例1
スクランブルエッグとして、スノーマン印、商品名「ふわふわエッグ」(キユーピー株式会社販売)を用意した。このスクランブルエッグは特許文献1第3頁実施例1の方法で製したものであり、具体的には、全卵82部、澱粉3部、キサンタンガム0.2部菜種油14.8部からなる卵液を、95℃の熱湯を流速2m/分で流動させている水槽中にノズルから1kg/分の速さで滴下し、約3分間経過させて100〜200mm2で厚さ0.5〜1mm程度の膜状に凝固させ、金網でとり、水切りしたものである。
このスクランブルエッグ(黄色)を30gずつ40mm×60mmの容器に充填し、−30℃に冷凍した。
【0013】
これとは別に、次の原料を用意した。
そして、上記各原料を混合して、オムライス用のソース(赤色)を製した。
【0014】
次に、130mm×170mmアルミ平パウチに上記スクランブルエッグを解凍したもの30gと上記ソース90gずつを詰めた後シールし、118℃で30分間、レトルトで加熱殺菌後冷却し、本発明のレトルト卵加工品(オムライスの素)を得た。この製品を常温(20℃)に3ヶ月間保管後に開封したところ、ソースは混濁しておらず、スクランブルエッグの黄色とソースの赤色のコントラストが鮮やかであった。ソースの60℃における粘度は16000mPa・sであった。
【0015】
実施例2
スクランブルエッグとして、スノーマン印、商品名「ふわふわエッグ」(実施例1で用いたものと同じ)を用意した。
このスクランブルエッグを90gずつ60mm×120mmの容器に充填し、−30℃に冷凍した。
【0016】
これとは別に、次の原料を用意した。
そして、上記各原料を混合して、タレを製した。
【0017】
次に、130mm×170mmアルミ平パウチに上記スクランブルエッグを解凍したもの90gと上記タレ40gずつを詰めた後シールし、118℃で30分間、レトルトで加熱殺菌後冷却し、本発明のレトルト卵加工品(玉子丼の素)を得た。この製品を常温(20℃)に3ヶ月間保管後に開封したところ、タレは混濁しておらずきれいであった。なお、60℃におけるタレの粘度は16000mPa・sであった。
【0018】
【試験例】
化工澱粉の使用量をソースに対して、それぞれ0%、0.4%、0.7%、1.7%、3.0%(得られるソースの60℃における粘度はそれぞれ2250、6200、7000、16000、38000mPa・sであった)としたほかは、実施例1と同じ原料と配合割合で実施例1に準じてソースの粘度の異なる5種類のレトルト卵加工品を試作した。
得られた各サンプルを三つのグループに分け、第1のグループは5℃の恒温機に、第2のグループは20℃の恒温機に、第3のグループは35℃の恒温機にそれぞれ3ヶ月間保管した後、流通過程を想定して振動試験機(EMIC CORPORATION VIBRATION TESTING SYSTEM F−250AM/A−E78使用)にかけて、横方向と縦方向の振動(プログラム:2000kmランダム)を与えた。
【0019】
そして、各サンプルを開封し、ソースの混濁状態を観察したところ、表1の結果が得られた。なお、開封したとき各サンプルの60℃におけるソースの粘度を測定してみたが、パウチに充填前の60℃におけるソースの粘度とほぼ同じであった。
【0020】
【表1】
【0021】
表1より、レトルト卵加工品の60℃におけるソースの粘度を7000mPa・s以上とすれば、保管後振動を与えるという商品テストをしても、ソースが混濁しない製品になることが理解できる。
なお、実施例2の玉子丼の素のついても上記試験例と同じテストをしてみたが、表1とほぼ同じ結果が得られた。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば薄膜状凝固卵が剥離しやすい性質を有するスクランブルエッグを用いても、薄膜状凝固卵により調味液が混濁せず、その結果、スクランブルエッグと調味液が本来の色調をしている新規なレトルト卵加工品を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なレトルト卵加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグが開発されており、このスクランブルエッグは、オムライスや親子丼用の凝固卵として、或いは中華スープの具として用いられている。このスクランブルエッグにソースやタレを加えて調理すれば比較的簡便に卵料理が得られるからである(例えば、特許文献1及至3参照)。
【特許文献1】
特許第2923485号公報
【特許文献2】
特許第2956050号公報
【特許文献3】
特許第2946503号公報
【0003】
ところで、さらに簡便に卵料理が得られるようにするため、上記スクランブルエッグに、調味液として例えばトマトソースを加えてパウチに詰め、これをレトルトで加熱殺菌してレトルト卵加工品(オムライスの素)を製することが考えられる。
しかしながら、本発明者等がそのような製品を試作し、流通を想定した振動試験をしてみたところ、トマトソースがスクランブルエッグから剥離した薄膜状凝固卵によって混濁し、もともと鮮やかな赤色であったソースが黄褐色又は黄色のまだら模様の褐色に変色してしまうばかりでなく、スクランブルエッグの鮮やかな黄色が混濁したソースによって見えなくなってしまうという問題があった。このスクランブルエッグは薄膜凝固卵が多数集合しただけのものであり、これをソース等の調味液中に入れてレトルト処理し、さらに流通過程での振動を受けると、スクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離して調味液中に浮遊し、これが原因で調味液を混濁させてしまうことになるからである。
オムライスのソースの鮮やかな赤色とスクランブルエッグの鮮やかな黄色のコントラストは、オムライスの生命であるから、上記のような見た目に感じの悪いレトルト卵加工品は商品とはなりえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグにソースやスープ等の調味液を加えてレトルト製品としても、薄膜状凝固卵により調味液が混濁せず、その結果、スクランブルエッグと調味液が本来の色調をしている新規なレトルト卵加工品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、調味液の粘度を所定以上に上昇させると、調味液中に入れたスクランブルエッグは振動に強くなって、スクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離しないことをつきとめ、さらに研究の結果、本発明を完成したものである。
本発明は、上記目的を達成するため、
(1)パウチ内に薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液とが、調味液が薄膜状凝固卵により混濁しない状態で密封・加熱殺菌されていることを特徴とするレトルト卵加工品、
(2)黄色を呈したスクランブルエッグを、調味液として赤色のソースを用いてオムライスの素とした(1)のレトルト卵加工品、からなるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をいう。
本発明においてレトルト卵加工品とは、レトルトパウチに詰められ加熱殺菌された卵加工品であって、パウチに詰めたままあたためて取り出せば、そのまま或いはご飯やめんにかけるだけで供食することのできる、例えばタレ入り玉子丼の素、ソース入りオムライスの素、タレをあんかけした芙蓉蟹や蟹玉のような製品をいう。
【0007】
また、本発明でスクランブルエッグとは、特許文献1及至3に記載されているような卵加工品であって、卵白、卵黄、全卵等の卵液を流動させた熱水中で処理して、面積5〜300mm2、厚さ2mm以下の薄膜状凝固卵とし、この薄膜状凝固卵を多数集合させて一定の大きさの塊としたものをいう。
このスクランブルエッグの具体例としては、特許文献1に記載されているように、卵液に固形分に対して油脂を8〜32%添加して上記の方法で製したもの、特許文献2に記載されているように、スクランブルエッグを構成する薄膜状凝固卵として黄色のものと白色のものが混合されたもの、及び特許文献3に記載されているように、ラムダカラギーナンを含有する卵液を卵蛋白の凝固温度以上に加熱変性させた半熟様のスクランブルエッグ又は清水、油脂、酵素処理卵黄を含有する乳化物を加熱変性させた半熟様のスクランブルエッグ等がある。なお、卵黄や全卵を原料としたスクランブルエッグは、卵黄の色素によって黄色を呈し、卵白を用いたものは白色である。
本発明で用いるスクランブルエッグは、薄膜状凝固卵を単に集合させたものであるから、これを調味液中に入れて振動を与えるとスクランブルエッグから薄膜状凝固卵が剥離しやすい性質がある。
【0008】
また、本発明で調味液とは、トマトソース、デミグラスソース等のソース類ばかりでなく、タレ、スープ、ツユ等のスクランブルエッグと一緒にパウチに詰められる液状の調味料をいう。
この調味液は、澱粉(天然澱粉、化工澱粉等)やガム質(キサンタンガム、グアーガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム等)等の増粘剤を加えて、60℃における粘度が7000mPa・s以上になるように調整することが肝要である。その理由は、後述の試験例で示すように、その粘度を7000mPa・s以上とすることにより、レトルト卵加工品を製したとき、はじめて、流通過程での振動試験でも薄膜状凝固卵によるソースの混濁の発生が防止できるからである。ただし、その粘度を余り高くし過ぎると流動性がなくなって調味液としての役割をしなくなるので、60℃における粘度が70000mPa・s以下とするのが実用的である。
調味液の粘度は、B型粘度計(東京計器製)を用いて、調味液温度60℃、ローターNo.3〜6、回転速度10rpmの条件で測定した値として定義される。
なお、本発明で調味液の粘度について60℃のときを基準とするのは、その温度付近で発明品のレトルト卵加工品が供食されるのが一般的だからである。
【0009】
本発明のレトルト卵加工品において、パウチ内に詰められるスクランブルエッグと調味液の比率は任意で差し支えないが、スクランブルエッグ1部に対して調味液を2〜5部と多くすれば、薄膜状凝固卵による調味液の混濁を防ぐ効果がより顕著にみられる。
【0010】
本発明のレトルト卵加工品を製造するには、薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液を用い、その他の事項はレトルト食品の一般的な製法によればよい。なお、調味液の粘度は、パウチ詰め前とパウチ詰めして製品化した後とで変化が見られず、ほぼ同じとなる。
【0011】
本発明において、レトルト卵加工品の調味液の60℃における粘度を7000mPa・s以上とすると薄膜状凝固卵による調味液の混濁が防止されるのは、製品に振動を与えても調味液が振動を吸収しスクランブルエッグからの薄膜状凝固卵の剥離を防いでいるものと考えられる。
以下、本発明の実施例と試験例を述べる。
【0012】
【実施例】
実施例1
スクランブルエッグとして、スノーマン印、商品名「ふわふわエッグ」(キユーピー株式会社販売)を用意した。このスクランブルエッグは特許文献1第3頁実施例1の方法で製したものであり、具体的には、全卵82部、澱粉3部、キサンタンガム0.2部菜種油14.8部からなる卵液を、95℃の熱湯を流速2m/分で流動させている水槽中にノズルから1kg/分の速さで滴下し、約3分間経過させて100〜200mm2で厚さ0.5〜1mm程度の膜状に凝固させ、金網でとり、水切りしたものである。
このスクランブルエッグ(黄色)を30gずつ40mm×60mmの容器に充填し、−30℃に冷凍した。
【0013】
これとは別に、次の原料を用意した。
そして、上記各原料を混合して、オムライス用のソース(赤色)を製した。
【0014】
次に、130mm×170mmアルミ平パウチに上記スクランブルエッグを解凍したもの30gと上記ソース90gずつを詰めた後シールし、118℃で30分間、レトルトで加熱殺菌後冷却し、本発明のレトルト卵加工品(オムライスの素)を得た。この製品を常温(20℃)に3ヶ月間保管後に開封したところ、ソースは混濁しておらず、スクランブルエッグの黄色とソースの赤色のコントラストが鮮やかであった。ソースの60℃における粘度は16000mPa・sであった。
【0015】
実施例2
スクランブルエッグとして、スノーマン印、商品名「ふわふわエッグ」(実施例1で用いたものと同じ)を用意した。
このスクランブルエッグを90gずつ60mm×120mmの容器に充填し、−30℃に冷凍した。
【0016】
これとは別に、次の原料を用意した。
そして、上記各原料を混合して、タレを製した。
【0017】
次に、130mm×170mmアルミ平パウチに上記スクランブルエッグを解凍したもの90gと上記タレ40gずつを詰めた後シールし、118℃で30分間、レトルトで加熱殺菌後冷却し、本発明のレトルト卵加工品(玉子丼の素)を得た。この製品を常温(20℃)に3ヶ月間保管後に開封したところ、タレは混濁しておらずきれいであった。なお、60℃におけるタレの粘度は16000mPa・sであった。
【0018】
【試験例】
化工澱粉の使用量をソースに対して、それぞれ0%、0.4%、0.7%、1.7%、3.0%(得られるソースの60℃における粘度はそれぞれ2250、6200、7000、16000、38000mPa・sであった)としたほかは、実施例1と同じ原料と配合割合で実施例1に準じてソースの粘度の異なる5種類のレトルト卵加工品を試作した。
得られた各サンプルを三つのグループに分け、第1のグループは5℃の恒温機に、第2のグループは20℃の恒温機に、第3のグループは35℃の恒温機にそれぞれ3ヶ月間保管した後、流通過程を想定して振動試験機(EMIC CORPORATION VIBRATION TESTING SYSTEM F−250AM/A−E78使用)にかけて、横方向と縦方向の振動(プログラム:2000kmランダム)を与えた。
【0019】
そして、各サンプルを開封し、ソースの混濁状態を観察したところ、表1の結果が得られた。なお、開封したとき各サンプルの60℃におけるソースの粘度を測定してみたが、パウチに充填前の60℃におけるソースの粘度とほぼ同じであった。
【0020】
【表1】
【0021】
表1より、レトルト卵加工品の60℃におけるソースの粘度を7000mPa・s以上とすれば、保管後振動を与えるという商品テストをしても、ソースが混濁しない製品になることが理解できる。
なお、実施例2の玉子丼の素のついても上記試験例と同じテストをしてみたが、表1とほぼ同じ結果が得られた。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば薄膜状凝固卵が剥離しやすい性質を有するスクランブルエッグを用いても、薄膜状凝固卵により調味液が混濁せず、その結果、スクランブルエッグと調味液が本来の色調をしている新規なレトルト卵加工品を提供することができる。
Claims (2)
- パウチ内に薄膜状凝固卵が多数集合してなるスクランブルエッグと60℃における粘度が7000mPa・s以上の調味液とが、調味液が薄膜状凝固卵により混濁しない状態で密封・加熱殺菌されていることを特徴とするレトルト卵加工品。
- 黄色を呈したスクランブルエッグを、調味液として赤色のソースを用いてオムライスの素とした請求項1記載のレトルト卵加工品。
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Cited By (3)
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CN104757595A (zh) * | 2015-04-20 | 2015-07-08 | 王铁证 | 一种麻鸭鸭蛋的烤制方法 |
CN107708439A (zh) * | 2015-09-16 | 2018-02-16 | 丘比株式会社 | 蛋加工品的制造方法 |
CN108618000A (zh) * | 2017-03-21 | 2018-10-09 | 日清食品控股株式会社 | 蛋花的制造方法 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343269A patent/JP2004173571A/ja active Pending
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