JP2004171100A - 非接触icカード及び非接触icカード用基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観性と印字適性の優れた非接触ICカードと非接触ICカード用基材を提供する。
【解決手段】本発明の非接触ICカード1は、ICチップを装着したアンテナシートを、接着シート13,14とスペーサシート15,16を介して表裏の印刷シート20,30間に挟持し、熱圧プレスして一体の基体にする非接触ICカードにおいて、表裏の印刷シートにポリエチレンテレフタレート樹脂製シートを使用し、かつ、アンテナシートの少なくとも突起のある側には、体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートと溶融粘度2500Poise(190°C)以下の接着シートを、印刷シートの間に設けてプレスラミネートしたことを特徴とする。
本発明のICカード用基材は、スペーサシートに用いられる二軸延伸PET樹脂シートであって、微細な空洞を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の非接触ICカード1は、ICチップを装着したアンテナシートを、接着シート13,14とスペーサシート15,16を介して表裏の印刷シート20,30間に挟持し、熱圧プレスして一体の基体にする非接触ICカードにおいて、表裏の印刷シートにポリエチレンテレフタレート樹脂製シートを使用し、かつ、アンテナシートの少なくとも突起のある側には、体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートと溶融粘度2500Poise(190°C)以下の接着シートを、印刷シートの間に設けてプレスラミネートしたことを特徴とする。
本発明のICカード用基材は、スペーサシートに用いられる二軸延伸PET樹脂シートであって、微細な空洞を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップとアンテナシートを内包する非接触ICカードに関する。特に、アンテナシートを含む複数のシートをプレスラミネートして製造する非接触ICカードにおいて、優れた外観品質を有すると共に、リライト記録層を有する場合に、その印字適性を改良したICカードを企図するものである。
従って、本発明の利用分野は非接触ICカードの製造や利用分野に関する。
【0002】
【従来技術】
非接触ICカードは、電磁誘導の原理により外部から電力と信号を非接触で得るため、カード内部にコイルを形成したアンテナシート(一般に「インレイ」ということもある。)を内包する。受送信する信号を処理し記憶するICチップは、コイルアンテナに接続してアンテナシートに一体にして使用する場合と、基板付きのICモジュールにしてカード表面に装着し、ICモジュールとアンテナシートとを接続する場合とがある。
前者の場合は、ICチップ(モジュール化する場合もある。)とコイルアンテナが共にカード基体内に埋設されているので、特に表面平滑性が低下し易い。
従来の非接触ICカードの基材は、塩ビまたはPETやPET−Gをプレスラミネートしたり、接着シートを貼り合わせして製造しているが、平滑性を高めるため塩ビを発泡したり、あるいは接着シートを発泡させたりしてICチップやコイルアンテナによって生じるカード表面の凹凸を吸収する試みがされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ICモジュールの外周部分に発泡樹脂を射出成形することにより発泡樹脂層を形成することが記載されているが、ICモジュールの外周部分のみという限られた範囲であるため、ICカードの全面を平滑にすることは困難と考えられる。
また、特許文献2では、アンテナコイルが内包する空気だまりを除去すべく、ICチップ付きコイルアンテナのコイルが形成する円形の内側に納まる大きさのスペーサシートを挿入して熱プレスする非接触型ICカードとその製造方法を提案しているが、ICチップの凹凸形状まで吸収するのは困難と考えられる。
また、本願出願人による先の出願(特許文献3)は、ICカード基材に、体積比率で20〜30%の微細な空洞を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートを、表裏印刷シートとして使用することを提案している。
なお、微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートに関しては、特許文献4等がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−183190号公報
【特許文献2】特開2001−109863号公報
【特許文献3】特願2002−148596号
【特許文献4】特開2001−342273号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記、先の出願(特願2002−148596号)の技術によれば、アンテナシート上に実装されるICチップやアンテナの突起を、ある程度吸収することができるが、それでもなお、カード表面には、多少の凹凸が生じていて、その平滑性は十分ではなかった。これらの凹凸は印刷絵柄に歪みを生じ、外観品質を低下するばかりか、特に、リライト記録層を有するカードでは、リライト印字適性を著しく阻害していた。
そこで、本願発明者は、非接触ICカードのなお一層の平滑性を達成すべく研究して本発明の完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、ICチップを装着したアンテナシートを、接着シートとスペーサシートを介して表裏の印刷シート間に挟持し、熱圧プレスして一体の基体にする非接触ICカードにおいて、表裏の印刷シートにポリエチレンテレフタレート樹脂製シートを使用し、かつ、アンテナシートの少なくとも突起のある側には、体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートと溶融粘度2500Poise(190°C)以下の接着シートを、印刷シートの間に設けてプレスラミネートしたことを特徴とする非接触ICカード、にある。
【0007】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、アンテナシートを基体内に埋設して設ける非接触ICカードの表裏印刷シートとアンテナシート間に用いるスペーサシート用基材であって、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂内に体積比率で20〜30%の微細な空洞を有することを特徴とする非接触ICカード用基材、にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
非接触ICカードには各種の形態があるが、JISおよびISOで規定するカード厚みとし、平滑なカード表面とするためには、ICチップを装着したアンテナシートを、表裏のカード基材で挟持した形態とするのが一般的である。
アンテナは捲線を使用しないで、金属薄膜をエッチング形成するものでも、前記のようにシート表面から20μm〜40μmの突起部を形成する。
アンテナの両端部に装着するICチップはさらに、150μm〜300μm程度もの厚み(突起)を有するので、アンテナシートは不可避的な突起または凹凸を有し、そのまま通常の表裏基材に挟んでプレスラミネートしたのでは、十分に平滑性の優れたICカードは得られない。
【0009】
本発明は、従来方法に起因する前記問題を解決すべく、以下の層構成とするものである。以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のカードの層構成を示す分解断面図、図2は、本発明で使用するアンテナシートの平面図、図3は、図1の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す表面側平面図、図4は、図3のA−A線断面図、である。
【0010】
アンテナシート10は、図2のようにポリエチレンテレフタレート(PET)等のシートに平面状のコイルアンテナ11を有し、コイルアンテナ11の両端部111,112にはICチップ12が装着されている。
コイルアンテナ11は省略して図示しているが、カード基体の周囲(斜線のハッチングを施した部分)を数回周回するように形成される。当該コイルアンテナ11は、シートにラミネートしたアルミ箔等にレジストを形成し、周知のフォトエッチング技術でコイル形状のみを残したものである。
なお、ICチップに限らず、樹脂封止したICモジュールでも良いが、以下、統一してICチップと表現することにする。
【0011】
カード基体を積層する場合は、図1のように、このアンテナシート10と表裏の印刷シート20,30の間に、接着シート13,14とスペーサシート15,16が、それぞれ挿入される。表裏の印刷シートには、空洞を有しない通常の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製シートを使用する。
スペーサシート15,16のうち、少なくともICチップ12の突起のある側に面するスペーサシート16には、微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のシートを使用する。微細な空洞により、熱圧プレスした際にアンテナシート10の凹凸を吸収するためである。
アンテナシート10の両面に微細な空洞を有する二軸延伸のPET樹脂製シートを使用することも勿論構わない。図1の場合は、双方のスペーサシートに微細空洞を有する二軸延伸PET樹脂製シートを使用した例が図示されている。
【0012】
スペーサシート15,16の微細な空洞は、体積比率で20〜30%の空洞を有することが好ましい。これにより、熱圧プレスした際にシート厚みの10〜15%が圧縮荷重によって収縮可能となる。ただし、横方向に対しては二軸延伸している影響もあり変位が殆ど生じない特徴がある。加熱によって横方向に流動する接着シートとは対照的である。
【0013】
微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂製シートからなるスペーサシート15,16は、空洞を有するスペーサ・コア層15c,16cとその両側のスペーサ・スキン層15s,16sとからなっている。
スペーサ・スキン層15s,16s自体は、層間の熱融着性を考慮して非結晶性ポリエステル系樹脂(PET−G樹脂)を使用している。PET−G樹脂は、一般的には芳香族ジカルボン酸とジオールとの脱水縮合体であって、共重合ポリエステルの中でも特に結晶性が低く、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂からなるものをいう。
【0014】
接着シート13,14を使用するのは、アンテナシートであるPETフィルムが熱融着性を有しないからであり、アンテナシート10とスペーサシート15,16間を強固に接着する役割をする。これにはホットメルト系の接着シートを好適に使用できる。
本発明のカード層構成の場合、接着シートの溶融粘度は190°Cで2500Poise以下であることが必要となる。プレスラミネート時の熱によって横方向に流動し、荷重によって厚み方向に圧縮されるスペーサシートと相まって、アンテナシートの凹凸を完全に吸収する効果を発揮するため、である。
【0015】
スペーサシート15,16のICチップ12が当接または位置する部分には、貫通孔151,161が形成されていて、ICチップの厚みを吸収できるようにされているが、接着シート13,14には貫通孔を設けない。貫通孔とICチップ間の隙間を無くして凹みの発生を防ぐと共に、ICチップ12の突起部の接着を強固にするためである。
【0016】
表裏の印刷シート20,30には、前記のように二軸延伸した白色PETシートを使用する。一般に、表面側印刷シート20には装飾的な表面印刷層21がプレス前に印刷されることが多く、裏面側印刷シート30には文字等の裏面印刷層31がプレス後に印刷されることが多いが、それに限定されるものではない。
交通機関用途等の場合には、表面印刷シート20面の一部または全面に感熱記録が可能なリライトシート22が貼着される。リライトシートは透明であって表面印刷層21の視認を妨げることはない。
リライトシートは、完成後はリライト記録層になり、サーマルヘッドにより、乗車区間や有効期間を明瞭に印字し、かつ使用済み後は消去して反復して利用することができる。その他、図示してないが昇華転写記録用の受像層を設けることや文字エンボスすることも自由である。
【0017】
図1の層構成をプレスラミネートした後は、図3、図4のような非接触ICカード1になる。図3は、表面側平面図であって、印刷絵柄21Pと共に、リライト記録層に印字したリライト印字22Pが視認できる。
図4は、図3のA−A線断面図である。ICチップ12が接着シート14により印刷シート30に、接着シート13により印刷シート20に、それぞれ強固に接着している。また、ICチップ12が、カード基体のほぼ中央に位置することになるので、ICチップの影響で外観を著しく損なうようなことはない。
図4において、アンテナシート10が屈曲しているのは、ICチップ部分のみであって、コイルアンテナ11自体は平面部分にあるので、通信特性に影響することもない。貫通孔151,161は接着シート13,14の溶融やスペーサシート15,16の変形によりほぼ埋まった状態になっている。
【0018】
スペーサシート15,16に使用するシートは上記のように体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂シートを使用する特徴がある。
空洞は通常、微粒子を中心に持ち、シート面に平行な微細な円板形状を有している。このようなシートは、強圧を受けた部分の空洞が強く圧縮されるため、結果的に突起や凹凸形状を吸収することができる。
空洞含有率を30%以下とするのは、30%を超えると強度が不足しカード基材として不十分となるからである。また、20%以上とするのは20%未満では空洞の含有量が少なく凹凸や突起形状を十分に吸収できないからである。
このものは通常のPETシートよりも約20%軽く、密度は1.1g/cm3 程度である。
【0019】
このような空洞の生成は、前記特許文献4にも記載するように、シートの成形工程において、ポリエステル中に無機微粒子を混合して延伸することにより粒子周辺に空洞を形成したり、ポリエステル樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂微小球等をポリエステル中に混合、分散させて、空洞形成の核として利用し、同様に延伸する方法が知られている。
後者の空洞形成剤としては、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂に代表されるポリオレフィン樹脂やポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0020】
【実施例】
図1、図2を参照して本発明の実施例を説明する。
(実施例)
<アンテナシートの準備>
厚み40μmのPETフィルムに、厚み20μmのアルミ箔を接着剤を介して貼り合わせ、このアルミ箔をエッチングすることで、コイルアンテナ11を形成した。さらに、厚み300μmのICチップ12をコイルの両端と電気的に接続して実装し、カード内に内包するアンテナシート10を完成した。
なお、ICチップ12は、厚み175μmのICチップに、補強板100μm、異方導電性シート50μmを重ねて付加し、プレスラミの圧力を受けた後、総厚300μmとなったものである。
【0021】
<カード基体の製造>
カード基体の層構成は、アンテナシート10の表裏に、厚さ50μmの接着シート13,14、と、その外側に体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂シートからなるスペーサシート15,16を使用した。
スペーサシート15,16は、それぞれ厚み100μmからなるスペーサ・コア層と、その両面にPET−G樹脂からなる厚み40μmのスペーサ・スキン層を有する総厚180μmからなるものである。
スペーサシート15,16のさらにその外側には、厚み125μmの二軸延伸したPET製印刷シート(東レ株式会社製造「ルミラー」)20,30を表裏が対称になるように配置した。カードの最表面側にのみ、厚み50μmのリライトシート22を設けて、カードを利用した日付けなどを表示できるようにした。
これにより、都合8層の層構成となった。コイルアンテナ11とICチップの厚みを含めない使用材料の総厚は800μmである。
【0022】
接着シート13,14には、アンテナシートのPETフィルムとスペーサシート15,16との接着適性を考慮して、ポリエステル系ホットメルト接着剤(溶融粘度2000Poise:190°C)を採用した。
スペーサシート15,16には、アンテナシート上に実装したICチップが貫通するように、予めICチップ12と同じ大きさ(約5mm×5mm)の貫通孔151,161を打ち抜いて設けたが、接着シート13,14には貫通孔を設けなかった。
【0023】
スペーサシート15,16の外側に設ける印刷シート20,30には、二軸延伸したPETシートを使用した。このシートは空洞を含有していず、プレスラミネートの熱と圧力を受けても伸縮しない。
カード表側の印刷シート20には、あらかじめ、インレイの配置に合わせた絵柄を印刷した。印刷はシルクスクリーン印刷した上にオフセット印刷を刷り重ねる方法で行なった。
【0024】
アンテナシート10と接着シート、スペーサシートの位置合わせは、アンテナシートと各接着シート、スペーサシートに設けた抜き穴をピンに嵌めることにより行った。
この8層からなる積層体をプレス機の熱板上に載置して、プレスラミネートした。プレス工程の条件は、熱板温度120°C、圧力2.0MPa、成形(加熱)時間20min.に設定して行った。
【0025】
プレスによって一体化したシートから、絵柄に合わせてカード形状に打ち抜いた後、最後に裏側に絵柄印刷(裏面印刷層31)を行った。印刷は表側と同様に、シルクスクリーン印刷の上にオフセット印刷を刷り重ねて行った。
このようにして総厚、0.80mmであって、リライト記録層付き非接触ICカード1が完成した。出来上がったカードは平滑で絵柄の歪みがなく、外観品質に優れ、リライト印字適性も優れていた。
全体の製造工程も特に困難性を伴うものではなかった。
【0026】
図5、図6を参照して本発明の比較例を説明する。
(比較例)
<アンテナシートの準備>
アンテナシートは実施例と同一の材料を使用し、同一厚みにして準備した。
【0027】
<カード基体の製造>
カード基体の層構成は図5のように構成した。すなわち、アンテナシート10の表裏に、厚さ50μmの接着シート33,34、その外側のカード表面側に厚さ180μmのPET−G製スペーサシート35、カード裏面側に厚さ180μmのPET−G製スペーサシート36、さらにその外側に厚さ125μmの微細な空洞を有する二軸延伸PETシート(東洋紡績株式会社製造「クリスパー」)を印刷シート40,50として配置し、カードの最表面側にのみ厚み50μmのリライトシート42を設けた。
これにより、都合8層の層構成となった。コイルアンテナとICチップの厚みを含めない使用材料の総厚は800μmである。
【0028】
接着シート33,34には、実施例と同一の材料を採用した。
アンテナシート10のICチップが突出する側のスペーサシート36と裏面側のスペーサシート35には、アンテナシート上に実装したICチップが貫通するように、予めICチップ12と同じ大きさ(約5mm×5mm)の貫通孔351,361を打ち抜きして設けておいた。
ただし、接着シート33,34には実施例と同様に貫通孔を設けなかった。
【0029】
各層の位置合わせを実施例と同様にして行い、この8層からなる積層体をプレス機の熱板上に載置して、プレスラミネートした。プレス工程の条件は、実施例と同一にし、熱板温度120°C、圧力2.0MPa、成形(加熱)時間20min.に設定して行った。
【0030】
プレスによって一体化したカード基体の表裏面に絵柄印刷を行い、最後に絵柄に合わせてカード形状に打ち抜いた。印刷は、シルクスクリーン印刷の上にオフセット印刷を刷り重ねて行った。
このようにして、図6断面図に示すような、総厚、800μmの非接触ICカードが完成した。
【0031】
比較例の非接触ICカードでは、平均して15μmの凹凸が生じており、印刷絵柄にわずかな歪みを生じていた。また、リライト記録層の印字が部分的にかすれたり濃くなったりする現象が見られた。これに対し、本願発明にかかる実施例の非接触ICカードの凹凸は、平均して5μm以下であり、印刷絵柄の歪みは全く無く、リライト記録層の印字むらも認められなかった。
なお上記において、平均の凹凸とは、複数のカードの段差量最大値(Hmax )を触針式表面粗さ計で測定した値を意味する。
【0032】
【発明の効果】
上述のように、本発明の非接触ICカードでは、ICチップがスペーサシートに設けた貫通孔に収まり、なおかつ、アンテナシートの突起は、プレスラミネート時の熱によって横方向に流動する接着シートと、荷重によって厚み方向に圧縮される空洞含有二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートによって、完全に吸収される。
その結果、印刷シートの絵柄には歪みを生じないため、外観品質の優れた非接触ICカードを製造できる。また、平滑で印字適性の優れたリライト記録層付きカードを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカードの層構成を示す分解断面図である。
【図2】本発明で使用するアンテナシートの平面図である。
【図3】図1の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す表面側平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】従来の非接触ICカードの層構成を示す分解断面図である。
【図6】図5の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非接触ICカード
10 アンテナシート
11 コイルアンテナ
12 ICチップ
13,14,33,34 接着シート
15,16,35,36 スペーサシート
20,30,40,50 印刷シート
21,41 表面印刷層
22,42 リライトシート
31,51 裏面印刷層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップとアンテナシートを内包する非接触ICカードに関する。特に、アンテナシートを含む複数のシートをプレスラミネートして製造する非接触ICカードにおいて、優れた外観品質を有すると共に、リライト記録層を有する場合に、その印字適性を改良したICカードを企図するものである。
従って、本発明の利用分野は非接触ICカードの製造や利用分野に関する。
【0002】
【従来技術】
非接触ICカードは、電磁誘導の原理により外部から電力と信号を非接触で得るため、カード内部にコイルを形成したアンテナシート(一般に「インレイ」ということもある。)を内包する。受送信する信号を処理し記憶するICチップは、コイルアンテナに接続してアンテナシートに一体にして使用する場合と、基板付きのICモジュールにしてカード表面に装着し、ICモジュールとアンテナシートとを接続する場合とがある。
前者の場合は、ICチップ(モジュール化する場合もある。)とコイルアンテナが共にカード基体内に埋設されているので、特に表面平滑性が低下し易い。
従来の非接触ICカードの基材は、塩ビまたはPETやPET−Gをプレスラミネートしたり、接着シートを貼り合わせして製造しているが、平滑性を高めるため塩ビを発泡したり、あるいは接着シートを発泡させたりしてICチップやコイルアンテナによって生じるカード表面の凹凸を吸収する試みがされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ICモジュールの外周部分に発泡樹脂を射出成形することにより発泡樹脂層を形成することが記載されているが、ICモジュールの外周部分のみという限られた範囲であるため、ICカードの全面を平滑にすることは困難と考えられる。
また、特許文献2では、アンテナコイルが内包する空気だまりを除去すべく、ICチップ付きコイルアンテナのコイルが形成する円形の内側に納まる大きさのスペーサシートを挿入して熱プレスする非接触型ICカードとその製造方法を提案しているが、ICチップの凹凸形状まで吸収するのは困難と考えられる。
また、本願出願人による先の出願(特許文献3)は、ICカード基材に、体積比率で20〜30%の微細な空洞を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートを、表裏印刷シートとして使用することを提案している。
なお、微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートに関しては、特許文献4等がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−183190号公報
【特許文献2】特開2001−109863号公報
【特許文献3】特願2002−148596号
【特許文献4】特開2001−342273号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記、先の出願(特願2002−148596号)の技術によれば、アンテナシート上に実装されるICチップやアンテナの突起を、ある程度吸収することができるが、それでもなお、カード表面には、多少の凹凸が生じていて、その平滑性は十分ではなかった。これらの凹凸は印刷絵柄に歪みを生じ、外観品質を低下するばかりか、特に、リライト記録層を有するカードでは、リライト印字適性を著しく阻害していた。
そこで、本願発明者は、非接触ICカードのなお一層の平滑性を達成すべく研究して本発明の完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、ICチップを装着したアンテナシートを、接着シートとスペーサシートを介して表裏の印刷シート間に挟持し、熱圧プレスして一体の基体にする非接触ICカードにおいて、表裏の印刷シートにポリエチレンテレフタレート樹脂製シートを使用し、かつ、アンテナシートの少なくとも突起のある側には、体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートと溶融粘度2500Poise(190°C)以下の接着シートを、印刷シートの間に設けてプレスラミネートしたことを特徴とする非接触ICカード、にある。
【0007】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、アンテナシートを基体内に埋設して設ける非接触ICカードの表裏印刷シートとアンテナシート間に用いるスペーサシート用基材であって、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂内に体積比率で20〜30%の微細な空洞を有することを特徴とする非接触ICカード用基材、にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
非接触ICカードには各種の形態があるが、JISおよびISOで規定するカード厚みとし、平滑なカード表面とするためには、ICチップを装着したアンテナシートを、表裏のカード基材で挟持した形態とするのが一般的である。
アンテナは捲線を使用しないで、金属薄膜をエッチング形成するものでも、前記のようにシート表面から20μm〜40μmの突起部を形成する。
アンテナの両端部に装着するICチップはさらに、150μm〜300μm程度もの厚み(突起)を有するので、アンテナシートは不可避的な突起または凹凸を有し、そのまま通常の表裏基材に挟んでプレスラミネートしたのでは、十分に平滑性の優れたICカードは得られない。
【0009】
本発明は、従来方法に起因する前記問題を解決すべく、以下の層構成とするものである。以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のカードの層構成を示す分解断面図、図2は、本発明で使用するアンテナシートの平面図、図3は、図1の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す表面側平面図、図4は、図3のA−A線断面図、である。
【0010】
アンテナシート10は、図2のようにポリエチレンテレフタレート(PET)等のシートに平面状のコイルアンテナ11を有し、コイルアンテナ11の両端部111,112にはICチップ12が装着されている。
コイルアンテナ11は省略して図示しているが、カード基体の周囲(斜線のハッチングを施した部分)を数回周回するように形成される。当該コイルアンテナ11は、シートにラミネートしたアルミ箔等にレジストを形成し、周知のフォトエッチング技術でコイル形状のみを残したものである。
なお、ICチップに限らず、樹脂封止したICモジュールでも良いが、以下、統一してICチップと表現することにする。
【0011】
カード基体を積層する場合は、図1のように、このアンテナシート10と表裏の印刷シート20,30の間に、接着シート13,14とスペーサシート15,16が、それぞれ挿入される。表裏の印刷シートには、空洞を有しない通常の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製シートを使用する。
スペーサシート15,16のうち、少なくともICチップ12の突起のある側に面するスペーサシート16には、微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のシートを使用する。微細な空洞により、熱圧プレスした際にアンテナシート10の凹凸を吸収するためである。
アンテナシート10の両面に微細な空洞を有する二軸延伸のPET樹脂製シートを使用することも勿論構わない。図1の場合は、双方のスペーサシートに微細空洞を有する二軸延伸PET樹脂製シートを使用した例が図示されている。
【0012】
スペーサシート15,16の微細な空洞は、体積比率で20〜30%の空洞を有することが好ましい。これにより、熱圧プレスした際にシート厚みの10〜15%が圧縮荷重によって収縮可能となる。ただし、横方向に対しては二軸延伸している影響もあり変位が殆ど生じない特徴がある。加熱によって横方向に流動する接着シートとは対照的である。
【0013】
微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂製シートからなるスペーサシート15,16は、空洞を有するスペーサ・コア層15c,16cとその両側のスペーサ・スキン層15s,16sとからなっている。
スペーサ・スキン層15s,16s自体は、層間の熱融着性を考慮して非結晶性ポリエステル系樹脂(PET−G樹脂)を使用している。PET−G樹脂は、一般的には芳香族ジカルボン酸とジオールとの脱水縮合体であって、共重合ポリエステルの中でも特に結晶性が低く、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂からなるものをいう。
【0014】
接着シート13,14を使用するのは、アンテナシートであるPETフィルムが熱融着性を有しないからであり、アンテナシート10とスペーサシート15,16間を強固に接着する役割をする。これにはホットメルト系の接着シートを好適に使用できる。
本発明のカード層構成の場合、接着シートの溶融粘度は190°Cで2500Poise以下であることが必要となる。プレスラミネート時の熱によって横方向に流動し、荷重によって厚み方向に圧縮されるスペーサシートと相まって、アンテナシートの凹凸を完全に吸収する効果を発揮するため、である。
【0015】
スペーサシート15,16のICチップ12が当接または位置する部分には、貫通孔151,161が形成されていて、ICチップの厚みを吸収できるようにされているが、接着シート13,14には貫通孔を設けない。貫通孔とICチップ間の隙間を無くして凹みの発生を防ぐと共に、ICチップ12の突起部の接着を強固にするためである。
【0016】
表裏の印刷シート20,30には、前記のように二軸延伸した白色PETシートを使用する。一般に、表面側印刷シート20には装飾的な表面印刷層21がプレス前に印刷されることが多く、裏面側印刷シート30には文字等の裏面印刷層31がプレス後に印刷されることが多いが、それに限定されるものではない。
交通機関用途等の場合には、表面印刷シート20面の一部または全面に感熱記録が可能なリライトシート22が貼着される。リライトシートは透明であって表面印刷層21の視認を妨げることはない。
リライトシートは、完成後はリライト記録層になり、サーマルヘッドにより、乗車区間や有効期間を明瞭に印字し、かつ使用済み後は消去して反復して利用することができる。その他、図示してないが昇華転写記録用の受像層を設けることや文字エンボスすることも自由である。
【0017】
図1の層構成をプレスラミネートした後は、図3、図4のような非接触ICカード1になる。図3は、表面側平面図であって、印刷絵柄21Pと共に、リライト記録層に印字したリライト印字22Pが視認できる。
図4は、図3のA−A線断面図である。ICチップ12が接着シート14により印刷シート30に、接着シート13により印刷シート20に、それぞれ強固に接着している。また、ICチップ12が、カード基体のほぼ中央に位置することになるので、ICチップの影響で外観を著しく損なうようなことはない。
図4において、アンテナシート10が屈曲しているのは、ICチップ部分のみであって、コイルアンテナ11自体は平面部分にあるので、通信特性に影響することもない。貫通孔151,161は接着シート13,14の溶融やスペーサシート15,16の変形によりほぼ埋まった状態になっている。
【0018】
スペーサシート15,16に使用するシートは上記のように体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂シートを使用する特徴がある。
空洞は通常、微粒子を中心に持ち、シート面に平行な微細な円板形状を有している。このようなシートは、強圧を受けた部分の空洞が強く圧縮されるため、結果的に突起や凹凸形状を吸収することができる。
空洞含有率を30%以下とするのは、30%を超えると強度が不足しカード基材として不十分となるからである。また、20%以上とするのは20%未満では空洞の含有量が少なく凹凸や突起形状を十分に吸収できないからである。
このものは通常のPETシートよりも約20%軽く、密度は1.1g/cm3 程度である。
【0019】
このような空洞の生成は、前記特許文献4にも記載するように、シートの成形工程において、ポリエステル中に無機微粒子を混合して延伸することにより粒子周辺に空洞を形成したり、ポリエステル樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂微小球等をポリエステル中に混合、分散させて、空洞形成の核として利用し、同様に延伸する方法が知られている。
後者の空洞形成剤としては、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂に代表されるポリオレフィン樹脂やポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0020】
【実施例】
図1、図2を参照して本発明の実施例を説明する。
(実施例)
<アンテナシートの準備>
厚み40μmのPETフィルムに、厚み20μmのアルミ箔を接着剤を介して貼り合わせ、このアルミ箔をエッチングすることで、コイルアンテナ11を形成した。さらに、厚み300μmのICチップ12をコイルの両端と電気的に接続して実装し、カード内に内包するアンテナシート10を完成した。
なお、ICチップ12は、厚み175μmのICチップに、補強板100μm、異方導電性シート50μmを重ねて付加し、プレスラミの圧力を受けた後、総厚300μmとなったものである。
【0021】
<カード基体の製造>
カード基体の層構成は、アンテナシート10の表裏に、厚さ50μmの接着シート13,14、と、その外側に体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸PET樹脂シートからなるスペーサシート15,16を使用した。
スペーサシート15,16は、それぞれ厚み100μmからなるスペーサ・コア層と、その両面にPET−G樹脂からなる厚み40μmのスペーサ・スキン層を有する総厚180μmからなるものである。
スペーサシート15,16のさらにその外側には、厚み125μmの二軸延伸したPET製印刷シート(東レ株式会社製造「ルミラー」)20,30を表裏が対称になるように配置した。カードの最表面側にのみ、厚み50μmのリライトシート22を設けて、カードを利用した日付けなどを表示できるようにした。
これにより、都合8層の層構成となった。コイルアンテナ11とICチップの厚みを含めない使用材料の総厚は800μmである。
【0022】
接着シート13,14には、アンテナシートのPETフィルムとスペーサシート15,16との接着適性を考慮して、ポリエステル系ホットメルト接着剤(溶融粘度2000Poise:190°C)を採用した。
スペーサシート15,16には、アンテナシート上に実装したICチップが貫通するように、予めICチップ12と同じ大きさ(約5mm×5mm)の貫通孔151,161を打ち抜いて設けたが、接着シート13,14には貫通孔を設けなかった。
【0023】
スペーサシート15,16の外側に設ける印刷シート20,30には、二軸延伸したPETシートを使用した。このシートは空洞を含有していず、プレスラミネートの熱と圧力を受けても伸縮しない。
カード表側の印刷シート20には、あらかじめ、インレイの配置に合わせた絵柄を印刷した。印刷はシルクスクリーン印刷した上にオフセット印刷を刷り重ねる方法で行なった。
【0024】
アンテナシート10と接着シート、スペーサシートの位置合わせは、アンテナシートと各接着シート、スペーサシートに設けた抜き穴をピンに嵌めることにより行った。
この8層からなる積層体をプレス機の熱板上に載置して、プレスラミネートした。プレス工程の条件は、熱板温度120°C、圧力2.0MPa、成形(加熱)時間20min.に設定して行った。
【0025】
プレスによって一体化したシートから、絵柄に合わせてカード形状に打ち抜いた後、最後に裏側に絵柄印刷(裏面印刷層31)を行った。印刷は表側と同様に、シルクスクリーン印刷の上にオフセット印刷を刷り重ねて行った。
このようにして総厚、0.80mmであって、リライト記録層付き非接触ICカード1が完成した。出来上がったカードは平滑で絵柄の歪みがなく、外観品質に優れ、リライト印字適性も優れていた。
全体の製造工程も特に困難性を伴うものではなかった。
【0026】
図5、図6を参照して本発明の比較例を説明する。
(比較例)
<アンテナシートの準備>
アンテナシートは実施例と同一の材料を使用し、同一厚みにして準備した。
【0027】
<カード基体の製造>
カード基体の層構成は図5のように構成した。すなわち、アンテナシート10の表裏に、厚さ50μmの接着シート33,34、その外側のカード表面側に厚さ180μmのPET−G製スペーサシート35、カード裏面側に厚さ180μmのPET−G製スペーサシート36、さらにその外側に厚さ125μmの微細な空洞を有する二軸延伸PETシート(東洋紡績株式会社製造「クリスパー」)を印刷シート40,50として配置し、カードの最表面側にのみ厚み50μmのリライトシート42を設けた。
これにより、都合8層の層構成となった。コイルアンテナとICチップの厚みを含めない使用材料の総厚は800μmである。
【0028】
接着シート33,34には、実施例と同一の材料を採用した。
アンテナシート10のICチップが突出する側のスペーサシート36と裏面側のスペーサシート35には、アンテナシート上に実装したICチップが貫通するように、予めICチップ12と同じ大きさ(約5mm×5mm)の貫通孔351,361を打ち抜きして設けておいた。
ただし、接着シート33,34には実施例と同様に貫通孔を設けなかった。
【0029】
各層の位置合わせを実施例と同様にして行い、この8層からなる積層体をプレス機の熱板上に載置して、プレスラミネートした。プレス工程の条件は、実施例と同一にし、熱板温度120°C、圧力2.0MPa、成形(加熱)時間20min.に設定して行った。
【0030】
プレスによって一体化したカード基体の表裏面に絵柄印刷を行い、最後に絵柄に合わせてカード形状に打ち抜いた。印刷は、シルクスクリーン印刷の上にオフセット印刷を刷り重ねて行った。
このようにして、図6断面図に示すような、総厚、800μmの非接触ICカードが完成した。
【0031】
比較例の非接触ICカードでは、平均して15μmの凹凸が生じており、印刷絵柄にわずかな歪みを生じていた。また、リライト記録層の印字が部分的にかすれたり濃くなったりする現象が見られた。これに対し、本願発明にかかる実施例の非接触ICカードの凹凸は、平均して5μm以下であり、印刷絵柄の歪みは全く無く、リライト記録層の印字むらも認められなかった。
なお上記において、平均の凹凸とは、複数のカードの段差量最大値(Hmax )を触針式表面粗さ計で測定した値を意味する。
【0032】
【発明の効果】
上述のように、本発明の非接触ICカードでは、ICチップがスペーサシートに設けた貫通孔に収まり、なおかつ、アンテナシートの突起は、プレスラミネート時の熱によって横方向に流動する接着シートと、荷重によって厚み方向に圧縮される空洞含有二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートによって、完全に吸収される。
その結果、印刷シートの絵柄には歪みを生じないため、外観品質の優れた非接触ICカードを製造できる。また、平滑で印字適性の優れたリライト記録層付きカードを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカードの層構成を示す分解断面図である。
【図2】本発明で使用するアンテナシートの平面図である。
【図3】図1の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す表面側平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】従来の非接触ICカードの層構成を示す分解断面図である。
【図6】図5の層構成をプレスラミネートした後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非接触ICカード
10 アンテナシート
11 コイルアンテナ
12 ICチップ
13,14,33,34 接着シート
15,16,35,36 スペーサシート
20,30,40,50 印刷シート
21,41 表面印刷層
22,42 リライトシート
31,51 裏面印刷層
Claims (5)
- ICチップを装着したアンテナシートを、接着シートとスペーサシートを介して表裏の印刷シート間に挟持し、熱圧プレスして一体の基体にする非接触ICカードにおいて、表裏の印刷シートにポリエチレンテレフタレート樹脂製シートを使用し、かつ、アンテナシートの少なくとも突起のある側には、体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂製のスペーサシートと溶融粘度2500Poise(190°C)以下の接着シートを、印刷シートの間に設けてプレスラミネートしたことを特徴とする非接触ICカード。
- スペーサシートにはICチップの厚みを吸収する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード。
- 最表面にリライト記録層を有することを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード。
- アンテナシートを基体内に埋設して設ける非接触ICカードの表裏印刷シートとアンテナシート間に用いるスペーサシート用基材であって、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂内に体積比率で20〜30%の微細な空洞を有することを特徴とする非接触ICカード用基材。
- スペーサシート用基材が、上記体積比率で20〜30%の微細な空洞を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートにPET−G樹脂からなるスキン層を設けたことを特徴とする請求項4記載の非接触ICカード用基材。
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