JP4226365B2 - Icカードの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベース基材、アンテナ本体およびICモジュールからなるインレット並びにインレットの両面に配されたコア材を具備してなるICカードの製造方法に関し、特に、ICカードの表面に設けられる印刷層の歪みを低減し、さらには基材シートの厚みを薄くしたICカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICチップを包含するICモジュールを備えたICカードは、機密性に優れ、磁気カードに比べて記憶容量が大きいことから、近年、多くの分野に応用され、利用されている。ICカードは、電気的接点の設けられたICモジュールがカード上に埋め込まれた接触式ICカードと、アンテナが内蔵された非接触式ICカードに大別されている。
【0003】
接触式ICカードは、銀行カードや携帯電話の加入者認証モジュールなどに適用されており、一方、非接触式ICカードは、交通機関の電子乗車券カードなどに適用されている。
また、近年、接触式ICカードの機能および非接触式ICカードの機能を1つのICチップで併せ持つ接触式/非接触式共用ICカードが開発されている。
【0004】
従来、絵柄印刷がなされたICカードを製造する方法としては、(1)アンテナやICチップが配されたインレットの両面または片面に、表面に印刷がなされた印刷シートを含む基材シートを積層し、ラミネートを行う方法があった。また、(2)アンテナやICチップが配されたインレットの両面に基材シートを積層し、ラミネートを行った後、表面に印刷を行う方法がある。さらに、(3)ICカードの表面に絵柄などを印刷する方法としては、例えば、ICモジュールを備えたICカード基体の片面または両面に、ベースシート上に絵柄層が形成されてなる絵柄層形成用転写シートを重ね合わせて、これを鏡面金属板などで挟持して加熱、加圧することによってICカード基体と絵柄層とを熱融着させ、次いで、絵柄層形成用転写シートのベースシートを剥離する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平5−30198号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の方法においては、インレット上に配されたアンテナやICチップの凹凸が絵柄印刷層にまで影響を及ぼし、印刷の歪が発生する。(2)の方法では、印刷に不良があった場合に、内部のインレットが無駄になってしまうという問題が発生する。また、(3)の特許文献1の方法では、絵柄層形成用転写シートのサイズは、転写ヘッドのサイズに制約があり、多面付けができず作業効率が悪かった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ICカードの表面に設けられる印刷層の歪みを低減し、さらには印刷層の厚みを薄くしたICカードの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、ベース基材、アンテナ本体およびICチップからなるインレット並びにインレットの両面にそれぞれ配された2つのコア材を具備してなるICカードの製造方法であり、前記インレットの両面にそれぞれ、前記コア材を重ね合わせ、前記インレットの両面に前記コア材を熱融着し、前記インレットと、前記コア材とからなる積層体を作製する工程と、剥離シート上にコア材より軟化点が高い部材からなる基材シートと印刷層からなる印刷シートを作製する工程と、前記剥離シートを剥離する工程と、前記コア材の少なくとも一方の外表面に、前記コア材および前記印刷シートが軟化する温度よりも硬化反応が開始する温度が低い熱硬化型接着剤を介して、前記基材シートが接するように前記印刷シートを重ね合わせて、これを熱硬化型接着剤の硬化反応が開始する温度に加熱することによって前記コア材と前記基材シートとを接着させ、前記印刷シートを前記コア材の外表面に配する工程とを有することを特徴とするICカードの製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のICカードについて図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のICカードの一実施形態の構成を示す概略図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図である。
図1に示したICカード10は、樹脂シートからなるベース基材16、ベース基材16上に形成されているアンテナ本体12、および、非接触式のインターフェースを有するICチップ13からなるインレットシート20と、インレットシート20の両面に配されたコア材30a、30bと、コア材30aの外表面に配されている印刷シート40とから概略構成されている。
【0012】
また、ICチップ13が接点15を介して、ベース基材16上に設けられたアンテナ本体12と接続され、電気的な導通がなされている。
さらに、コア材30aの外表面には、基材シート41と印刷層42とからなる印刷シート40が、基材シート41がコア材30aに接するように積層され、印刷層42が最表面となっている。
【0013】
コア材30a、30bとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、PET−G、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネートなどの樹脂からなるシートが用いられる。
また、コア材30a、30bの厚みは、インレットシート20と積層した後に、ICチップ13の形状に起因する凹凸が、その表面に現われない程度に、ICチップ13の形状に応じて、適宜調節されることが好ましい。
【0014】
ICカード10では、インレットシート20とコア材30a、30bとが、熱融着により、積層、一体化されている。なお、本発明のICカードはこれに限定されるものではなく、インレットシート20とコア材30a、30bとが、ポリエステル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤などのホットメルト接着剤をシート状にした接着シートを介して積層されていてもよい。
【0015】
印刷シート40は、樹脂シートからなる基材シート41と、この表面に形成された印刷インキからなる印刷層42とから構成されている。基材シート41の厚みは、100μm以下が好ましく、30μm〜100μmがより好ましい。印刷シート40の厚みが100μmを超えると、上記インレットシート20とコア材30a、30bの厚みを薄くしなければならなくなり、コア材30a、30bとインレットシート20と積層した後に、ICチップ13の形状に起因する凹凸が、その表面に現われない程度にコア材30a、30bの厚みを設定することができなくなる。
なお、一般的にICカードの厚みは、680〜840μm程度(JIS X8301規格による)であるため、基材シート41の厚みが厚くなれば、その他の構成材料の厚みがうすくなるという不都合が生じる。
【0016】
基材シート41としては、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、PET−G、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネートなどの樹脂からなるシートが用いられ、コア材30a、30bより軟化点が高い部材からなるシートが用いられる。
なお、コア材30a、30bにおいては、ポリ塩化ビニルを混合したPET−G、基材シート41においては、ポリカーボネートを混合した耐熱PET−Gが使用されるなど、軟化点の異なる構成とする。
【0017】
印刷層42は、基材シート41の表面の全面または一部に、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷法などにより形成された絵柄や文字などである。この印刷層42の存在により、ICカード10には、各種装飾や可視情報が付与される。
【0018】
ICカード10では、コア材30aと印刷シート40とが、熱融着により、積層、一体化されている。なお、本発明のICカードはこれに限定されるものではなく、コア材30aと印刷シート40とが、ポリエステル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、エポキシ系接着剤などを介して積層されていてもよい。
【0019】
また、ICカード10では、コア材30aの外表面に印刷シート40が積層されているが、本発明のICカードはこれに限定されるものではなく、コア材30bの表面にも印刷シート40を積層してもよい。
【0020】
さらに、ICカード10では、印刷層42が最表面となるように、印刷シート40が積層されているが、本発明のICカードはこれに限定されるものではなく、印刷シート40の印刷層42の上にさらに、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、PET−G、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネートなどの透明な樹脂からなる保護層を積層してもよい。また、印刷やコーティングにより保護層を設けてもよい。このような構成とすれば、印刷層42を保護することができるため、印刷層42による各種装飾や可視情報の耐久性が向上する。
【0021】
この実施形態のICカード10では、コア材30aの外表面に、基材シート41と印刷層42とからなる印刷シート40が、印刷層42が表面側となるように積層され、基材シート41はコア材30aよりも融点の低い部材からなるから、コア材30aと印刷シート40とが熱融着されても、ICチップ13の凹凸に起因してコア材30aの表面に発生する歪みを低減することができる。したがって、印刷層42の歪みを低減することができる。
【0022】
また、印刷シート40の厚みが100μm以下であるから、コア材30a、30bとインレットシート20と積層した後に、ICチップ13の形状に起因する凹凸が、コア材30a、30bの表面に現われない程度にこれらの厚みを十分に厚くすることができる。したがって、印刷層42が歪みを低減することができる。
【0023】
さらに、コア材30aと印刷シート40とが熱硬化型接着剤を介して積層されていれば、両者が貼り合わされる際には、熱硬化型接着剤の硬化反応が開始する程度に加熱すればよい。この場合、コア材30aや印刷シート40が軟化する温度よりも低い温度で反応が開始する熱硬化型接着剤を用いれば、コア材30aと印刷シート40とが貼り合わされる際に、ICチップ13の凹凸に起因してコア材30aの表面に発生する歪みを低減することができる。したがって、印刷層42の歪みを低減することができる。
【0024】
以下、図2〜図3に基づいて、この実施形態のICカードの製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、ベース基材16上に、エッチングなどによってループ形状のアンテナ本体12を形成する。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、アンテナ本体12上にICチップ13を搭載し、ICチップ13のICチップ13に設けられた接点15において、アンテナ本体12とICチップ13とを電気的に接続し、インレットシート20を作製する。
【0026】
次に、図2(c)に示すように、インレットシート20の両面に、それぞれコア材30a、30bを重ね合わせ、これらを熱圧着装置などに備えられた鏡面金属板(図示略)などで挟持し、加熱、加圧して熱融着し、インレットシート20と、コア材30a、30bとからなる積層体を作製する。
なお、加熱温度や加熱時間は、コア材30a、30bの種類などによって異なる。
【0027】
次に、図3(a)に示すように、インレットシート20と、コア材30a、30bとからなる積層体とは別体に、剥離シート50上にオフセット印刷、シルクスクリーン印刷法などにより印刷層42を形成する。
【0028】
次に、剥離シート50から印刷シート40を剥離し、剥離された印刷シート40を、図3(b)に示すように、コア材30aの外表面に、基材シート41が接するように印刷シート40を重ね合わせて、これらを熱圧着装置などに備えられた鏡面金属板(図示略)などで挟持し、加熱、加圧して熱融着し、コア材30aの表面に印刷シート40が積層された積層体を得ることにより、ICカード10が作製される。
【0029】
また、剥離シート50の上に厚みの薄い基材シート41を積層した後に、印刷加工により形成した印刷層42を形成するので、既存の設備によって、印刷加工を行うことができるため、製造コストの上昇を抑え、厚みの薄い印刷シート40を容易に作製することができる。したがって、相対的にインレットシート16とコア材30a、30bを厚くでき、インレットシート16とコア材30a、30bを一度熱融着させるので、この段階でICチップ13の対向する表面の歪が、コア材の流動がある程度済むので、基材シートを積層した時の印刷層の歪がなくなる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のICカードによれば、剥離シートの上に厚みの薄い基材シートを積層した後に、印刷加工により形成した印刷層を形成するので、既存の設備によって、印刷加工を行うことができるため、製造コストの上昇を抑え、厚みの薄い印刷シートを容易に作製することができる。したがって、相対的にインレットシートとコア材を厚くでき、インレットシートとコア材を一度熱融着させるので、この段階でICチップの対向する表面の歪が、コア材の流動がある程度済むので、基材シートを積層した時の印刷層の歪がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のICカードの一実施形態の構成を示す概略図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【図2】 本発明のICカードの製造方法を示す概略断面図である。
【図3】 本発明のICカードの製造方法を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10・・・ICカード、12・・・アンテナ本体、13・・・ICチップ、15・・・接点、16・・・ベース基材、20・・・インレット、30a,30b・・・コア材、40・・・印刷シート、41・・・基材シート、42・・・印刷層、50・・・剥離シート。
Claims (1)
- ベース基材、アンテナ本体およびICチップからなるインレット並びにインレットの両面にそれぞれ配された2つのコア材を具備してなるICカードの製造方法であり、
前記インレットの両面にそれぞれ、前記コア材を重ね合わせ、前記インレットの両面に前記コア材を熱融着し、前記インレットと、前記コア材とからなる積層体を作製する工程と、
剥離シート上にコア材より軟化点が高い部材からなる基材シートと印刷層からなる印刷シートを作製する工程と、
前記剥離シートを剥離する工程と、
前記コア材の少なくとも一方の外表面に、前記コア材および前記印刷シートが軟化する温度よりも硬化反応が開始する温度が低い熱硬化型接着剤を介して、前記基材シートが接するように前記印刷シートを重ね合わせて、これを熱硬化型接着剤の硬化反応が開始する温度に加熱することによって前記コア材と前記基材シートとを接着させ、前記印刷シートを前記コア材の外表面に配する工程とを有することを特徴とするICカードの製造方法。
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