JP2004170629A - 感光材料処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボトルがない状態でオープナーが動作したときでも、ベローズ体を破損させることのない感光材料処理装置を提供する。
【解決手段】感光材料の処理に用いる処理液が収容されたボトルを開封し、該ボトル内の処理液を供給可能な感光材料処理装置であって、前記ボトルを倒立状態で保持するボトルホルダ40と、保持されたボトルの開口部を開封するオープナー63と、保持されたボトルの開口部を覆い、オープナー63とともに動作するベローズ体65と、オープナー63とともに動作するベローズ体65の開口端が略平行となるように、保持されたボトルの開口部外周の対向する位置において、ベローズ体65の開口端を抑止する保護材50、501とを備える。
【選択図】 図5
【解決手段】感光材料の処理に用いる処理液が収容されたボトルを開封し、該ボトル内の処理液を供給可能な感光材料処理装置であって、前記ボトルを倒立状態で保持するボトルホルダ40と、保持されたボトルの開口部を開封するオープナー63と、保持されたボトルの開口部を覆い、オープナー63とともに動作するベローズ体65と、オープナー63とともに動作するベローズ体65の開口端が略平行となるように、保持されたボトルの開口部外周の対向する位置において、ベローズ体65の開口端を抑止する保護材50、501とを備える。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルから処理液を感光材料処理装置に対して供給するための処理液供給装置に関するものである。
【従来の技術】
感光材料処理装置の処理槽に対して、ボトルに充填された処理液を適宜供給する技術が知られている。例えば、特開平9−073158号公報には、ボトルホルダを感光材料処理装置に回動自在に設けておき、ボトル開口部を上にしてボトルホルダにセットし、該ボトルホルダを奥側に向けて大きく回動操作することで、ボトル開口部が下方に向くようにして装填を行う構成が示されている。そして、ボトルを装填した後に、オープナーが上昇し、ボトル開口部の開封を行うことにより、感光材料処理装置の処理液槽に対して現像液や定着液、安定液等の各処理液の送液を行うようにしている。
【0002】
感光材料処理装置にボトルが装填された状態では、一般にボトルの開口部はベローズ体に覆われており、ボトル開封時に漏れ出た処理液が回収可能な構造となっている。図6および図7を用いて、かかる構造について簡単に説明する。
【0003】
図6は感光材料処理装置にボトルが装填された状態を示す図であり、同図において、601はボトルであり、ボトルホルダ602に保持され、ボトル開口部605が下方に向くように装填されている(なお、感光材料処理装置のうち、同図に示す部分を「ボトル収容部分」と称す。以下同じ。)。
【0004】
603はベローズ体であり、ボトル601が装填されていない状態では、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は上方に向かって開放されるところ、ボトルが装填された状態では、ボトル小径部607またはボトルホルダ602と接し、ボトル開口部605全体を覆う。
【0005】
604はオープナーであり、オープナー604が上昇し、ボトル開口部605を開封することでボトル601内の処理液が流れ出る。このとき、ベローズ体603の固定側(矢印603−2に示す側)は、オープナー604と一体となって上下動するベローズ体603の受け皿部材606に固定されており、オープナー604が上昇すると、図7に示すような状態となる。
【0006】
図7は、オープナー604がボトル開口部605を開封した状態を示す図である。ベローズ体603の固定側(矢印603−2に示す側)がオープナー604とともに上昇する一方、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は、ボトルホルダ602およびボトル小径部607により抑止され、その結果、ベローズ体603が弾性変形し、所定の押圧力をもってボトル小径部607およびボトルホルダ602と接するため、ベローズ体603とボトル小径部605及びボトルホルダ602との間の密閉性が増す。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−073158号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に示した感光材料処理装置によれば、ボトル601を装填していない状態で、オープナー604を上下させた場合に、オープナー604がベローズ体603を破損させてしまうという問題があった。図8および図9を用いて、かかる問題について詳細に説明する。
【0009】
図8は、ボトルを装填していない状態であって、かつオープナー604が下降位置にある状態のボトル収容部分を示す図である。上述したように、ボトルが装填されていない状態では、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は上方に向かって開放されており、一部分がボトルホルダ602に接触した状態となっている。
【0010】
この状態でオープナー604を上昇させると、図9に示すように、ベローズ体603の開口側のうち、ボトルホルダ602に接している部分は、ベローズ体603が抑止される一方、ボトルホルダ602に接していない部分は、オープナー604とともに上昇する。このため、ベローズ体603はボトルホルダ602側に湾曲し、その結果、ベローズ体603がオープナーの動作経路に入り、オープナー604がベローズ体603にささり(太矢印901で示す部分)、ベローズ体を破損させることがあった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ボトルがない状態でオープナーが動作したときでも、ベローズ体を破損させることのない感光材料処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる感光材料処理装置は、以下の構成を備える。即ち、
感光材料の処理に用いる処理液が収容されたボトルを開封し、該ボトル内の処理液を供給可能な感光材料処理装置であって、
前記ボトルを倒立状態で保持する保持部と、
前記保持されたボトルの開口部を開封する開封手段と、
前記保持されたボトルの開口部を覆い、前記開封手段とともに動作するベローズ体と、
前記開封手段とともに動作するベローズ体の開口端が略平行となるように、前記保持されたボトルの開口部外周の対向する位置において、該ベローズ体の開口端を抑止する保護材とを備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な一実施形態について添付の各図面を参照して述べる。なお、説明にあっては、本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置について説明したうえで、同装置の処理液供給部分の説明を行い、最後に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の特徴であるボトル収容部分について詳細を説明するものとする。
【0014】
<感光材料処理装置>
本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置について説明する。図1は感光材料処理装置1(以下、装置1とも言う)の全体構成の要部を示すために筐体2に対して着脱自在に設けられるカバーを全て取り外して示した正面図である。なお、図1では印画紙P(ぺーパーPとも呼ぶ)の処理を行う場合について述べる。
【0015】
図1において、装置1は、紙面の表裏方向に極力偏平となるように構成されており、設置後の占有面積を極力小さくする一方で、前面側から主要な各部分に簡単に近づくことができるようにしている。また、装置1は感光材料であるネガフィルムまたはポジフィルムの現像処理を行うために、処理液槽と乾燥装置が一体的に設けられる機種も含まれるが、このように構成される機種については説明を省略し、感光材料であるペーパーPの処理を行う機種で代表して以下に述べる。
【0016】
先ず、印画形成面となる発色乳剤塗布面を外側にして巻かれたロールペーパーRPは、所定幅寸法(例えば、89mm幅)の連続した長尺ロールとしてコアに捲回されており、光を完全に遮断した遮光状態でペーパーマガジン3内で回転自在に保持され、かつ暗室内で簡単に着脱できるように内蔵されている。
【0017】
これらのペーパーマガジン3は、装置1を正面から見て左側下方に位置する左右収納部に図示のように同時あるいはいずれか一方の収納部に装填可能に設けられている。
【0018】
この装填操作のために、各ペーパーマガジン3は、前方から引き出すことで全体を外部に取り出しできるように不図示のガイドレール上に装填可能に構成されており、装填してから奥側に移動することで図示の所定位置にセットできるように構成されている。
【0019】
また、これらのペーパーマガジン3は図示のように左右収納部のいずれにも収容できるように、図示のように左右対称の形状に形成され、表裏面の両方の壁面に取出し及び装填用のハンドル(不図示)が夫々設けられている。
【0020】
また、内蔵されたロールペーパーRPをペーパーマガジン3の外部に向けて矢印方向に排出する際に自動的に開口部を開く自動開閉機構が設けられており、ペーパーマガジン3の右収納部とペーパーマガジン3の左収納部のどちらか一方あるいは双方に同時に装填した場合に、同じように自動開閉するように構成されている。このようにしてペーパーマガジン3の構成部品の共通化を図るとともに、使用者は左右収納部への装填を意識せずにサイズの異なるペーパーを使用頻度に応じて使えるようにすることで、使い勝手を向上させている。
【0021】
これらのペーパーマガジン3の開口部の近傍には夫々カッターユニット4が配設されている。これらのカッターユニット4は、ペーパーマガジン3の開口部から送り出された直後のロールペーパーRPを露光する前に所望のカットサイズに切断するために設けられている。各カッターユニット4で所定のカットサイズに切断された印画形成前のペーパーPは、暗箱7の底面部位に配設された露光テーブル5の露光位置に順次送られる。この搬送のために露光テーブル5には切断後のペーパーPの乳剤面側の裏面を走行面で吸引した状態で搬送し、かつ図示の露光位置まで搬送するための不図示の吸着搬送機構が内蔵されている。この吸着搬送機構は、ペーパーPを一時的に露光位置に吸着保持する機能に加えて90度分の旋回を行う旋回機能を有している。
【0022】
以上のようにして、露光の準備が整うと、露光部6に対してフィルムFを順次駒送りして、ズームレンズ等からなる光学系9を自動または手動にて調整して所望のサイズの像をペーパーP上に結像して露光を行う。さらに、上記の旋回機能は、吸引パッドでぺーパーPを吸引した後に90度分旋回することで、異なるサイズのペーパーの露光を行う。
【0023】
この露光後に、ペーパーPは搬送部10に向けて矢印D1方向に搬送され、この搬送途中で、大判ペーパーであるか否かの判断が行われて、下流方向に搬送される。ここで、ペーパーサイズが小型(例えば、127×89mm)の時は、振り分け装置12により左右に振り分けて搬送するようにして、下流側の第2の部屋14に設けられた各処理液槽16内を2列で搬送する。このように2列で搬送することで、処理速度をアップできることになる。また、パノラマ写真(254×89mm)のように縦長の場合も、同じように2列で搬送できる。
【0024】
一方、露光部6に装填されるフィルムFの搬送方向に対して直交するように露光を行いたい場合には、上記の旋回機能により吸着保持されているパーパーPを90度分旋回してから露光する。このようにして、同一種類の幅寸法のペーパーのままで、複数の種類の異なるサイズのペーパーPの露光処理を行えるように構成されている。
【0025】
以上説明した左右収納部と、暗室7と露光テーブル5と搬送部10は処理液槽16に貯められた各処理液が温度上昇などで気化して発生したガスの影響を受けないように形成された第1の部屋13の内部に配設されている。このために、第1の部屋13は、上記の第2の部屋14との間に仕切り壁11が設けられており、この仕切り壁11に設けられた開口部に配設されたシャッター装置15の蓋部材の開閉動作を行うことで、ペーパーPを図中の矢印D2方向に搬送するときのみ蓋部材を開くようにして、気化ガスまたは水蒸気が第2の部屋14から第1の部屋3に向けて進入しないようにしている。また、第1の部屋13の内圧を第2の部屋14以上に維持することで、シャッター装置15の蓋部材が開いている状態でも気化ガスが進入しないようにして万全を尽くしている。
【0026】
なお、以上のカッターユニット4と露光テーブル5と搬送部10はいずれも筐体2の手前に簡単に引き出せるように構成されており、ペーパージャム解除及び各種点検作業が簡単に行えるように構成されている。
【0027】
シャッター装置15を矢印D2方向に通過したぺーパーPは、搬送ラック装置17内において破線図示の搬送路に沿うように搬送される。このために、露光後のペーパーPの現像処理を行うために処理液槽16内で矢印D3方向となるように方向転換して送られる。これらの搬送ラック装置17は、筐体2に開閉自在に設けられる不図示の天井部材を上方に向けて開いた後に、図示のように各処理液槽16中に個別に内蔵されており、搬送ラック17の搬送ローラに付着した処理液の固化成分等を定期的に除去する清掃作業を行うときに、搬送ラック17を上方に移動して、外部に簡単に取り出すことができるように設けられている。また、各搬送ラック17の搬送ローラは、共通の破線図示の駆動モータ20からウォームギアを用いた動力伝達機構を介して動力伝達されることで、搬送ラック17の全ての搬送ローラが同期駆動されるように構成されており、搬送ローラ間において速度差が発生することなく搬送できるように構成されている。
【0028】
この搬送ラック17による搬送動作により、ペーパーPの先端が各処理液槽間に配設された案内装置18により案内されて矢印D4方向に向かう方向転換が行われて、漂白定着を行う次の処理液槽16に送られる。その後、図示のように搬送されて、最後に安定処理を行う処理液槽16を出てから矢印D5方向に方向転換するように案内されて、乾燥装置22に送り込まれる。この乾燥装置22は、破線図示のように搬送する途中で、ペーパーPの乳剤面への温風吹き付けをノズルを介して行い乾燥させた後に、上方に向けて搬送される。また、乾燥装置22の下方の空間を占める筐体2内には電源部が設けられるとともに、この電源部の上には上記の各処理液槽16及び後述する種々の制御を行うためのプロセッサーの制御部30が配設されている。
【0029】
乾燥装置22の上方には、サイズ毎に搬送する不図示のサイズ分別装置が設けられており、このサイズ分別装置により、例えば4つ切りの大型サイズのペーパーPと、8つ切りの大サイズのペーパーPと小サイズのサービス版サイズのペーパーPとを分別して排出するように構成されている。
【0030】
一方、上記の各処理液槽16の下方には、ボトル内に上記の各処理液の原液ないし濃縮液を収納したボトル29が着脱自在に設けられており、この下方の補充用の補充タンク19に対して原液を供給可能にするとともに、水タンク21から水の供給を行うことで、補充タンク19内の処理液の濃度を一定に保つようにしている。
【0031】
このようにして各ボトル29に充填された原液を導入するために、ボトル開口部はシール部材で密閉されるとともに、ボトル開口部を下にしてセットされる。また、現像液と定着液と安定液を個別に貯蔵したボトル29は、一つの箱体に収納されており、これを感光材料処理装置の前面側から着脱するようにして、後述する開封装置が上方に移動されることでボトル29の各開口部を覆うシール部材を穿孔して、不図示のチューブからタンク19内に向けて処理液を供給するように構成されている。
【0032】
<処理液供給部分>
次に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の処理液供給部分について説明する。図2は、図1中におけるX−X線矢視断面図であり、感光材料処理装置の処理液供給部分を示す図である。また、図3は、図2のX−X線矢視断面図であって、現像液と定着液と安定液とを個別に貯蔵したボトル29を一つの箱体43に収納したものを感光材料処理装置1の前面に設けられたボトルホルダ40にセットした後に装填位置にした後の様子を夫々示している。
【0033】
図2と図3に図示したように現像液と定着液と安定液を個別に貯蔵したボトル29は一列に揃えた状態で箱体43に収納されている。この箱体43は、ダンボール製であり、この箱体43を交換単位としている。この箱体43には開口部43aが形成されており、各ボトル小径部29aを、箱体43の開口部43aを介して図示のように下方に向かうように突出させた状態にして、装置1に対して着脱する。ここで、この箱体43に収容せずに個別にボトル29を交換することもできるように構成されている。
【0034】
このようにして、装置1の前面から箱体43を交換するために、ボトルホルダ40は前面において後述する開状態と図示の閉状態になる支持部材41が設けられている。この支持部材41は、筐体2に固定された一対の蝶番である軸支部144により回動自在に軸支されている。
【0035】
さらに、図3のX−X線矢視断面図である図4に示すように、支持部材41の底面には、係止片44が固定されている。この係止片44は、ボトル29のボトル小径部29aに形成されたネック部29bの約半分の半円形状部分に対して挿入するU字型の切り欠き形状の形状部44aをボトル29の個数分形成している。
【0036】
このようにして係止片44によりボトル29を係止するために、図3に示すように、ボトル29にはボトル小径部29aの外周面から溝状に半径寸法を少なくして形成されたネック部29bが形成されている。このネック部29bの約半分の部分に係止片44の各形状部44aが潜入することで、ボトル小径部29aが保持される。この結果、装填位置においてボトル29は不動状態になる。
【0037】
以上のようにボトル29を不動状態にすることで、後述する穿孔動作を行うときに発生する反力によって、ボトル29が上方に移動しないようにしている。また、図3と図4において、支持部材41の左右部位には箱体43をボトルホルダ40にセットするときに、箱体43の両側面を案内するための壁体51、52が固定されている。
【0038】
さらに係止片44の下側には保護板50が設けられており、係止片44と同様、U字型の切り欠き形状のボトル小径部29aをボトル29の個数分有している(図4には不図示)。そして、当該U字型の切り欠きには、ボトル29のボトル小径部29aが挿入されることとなる。なお、ボトル小径部29aに対して、保護板50と対向する位置には、保護板501が設けられているが、保護板501については、図5を用いて後述するものとする。
【0039】
また、ボトル小径部29aの開口面29cには表面が樹脂コートされたアルミシート製のシール部材55(破線図示)が接着されている。このシール部材55は、図示のようにボトル開口面29cを下にしてボトル29をセットした状態において、処理液の重量を支えるための密封状態を維持できる強度を有している。
【0040】
このシール部材55の下方には、図中の実線と二点鎖線で図示される位置との間で上下駆動される開封手段(オープナー)を構成するカッター62が設けられている。このカッター62を二点鎖線で図示される位置に上昇移動するときに、破線図示のシール部材55の一部がボトル小径部29a側に残される円形形状に穿孔される。そして、ボトル29内の各処理液をカッター62内の流路60に流出させた後に、下方のチューブ39を介して上記の補充タンク19中に処理液を供給する。
【0041】
このように穿孔するカッター62には内径部と外周部とが形成されている。この内径部と外周部は逃げ角の30度を有しており、かつ先端において同じ高さの刃部と、浅い浅谷部と、深い深谷部とを形成している。このように形成されるカッター62を用いてシール部材55を穿孔することで、シール部材55が最初に刃部により破られてから、さらに円形に破られ、浅谷部のエッジ部でも破られ、深谷部まで到達すると一部をボトル29内側に残すようにした状態とすることができるようになる。
【0042】
以上のようにカッター62を構成することで、シール部材55の穿孔のための駆動力を小さくでき、かつまたシール部材55を穿孔した後には大きな円形開口が形成されることとなる。また、破られたシール部分はボトル29内側に退避するので、流出抵抗を小さくすることができ流出時間の短縮が可能となる。また、処理液がボトル29の内部に殆ど残留することがないので、ボトル29のリサイクル使用を行う場合には洗浄作業が簡単になる。
【0043】
カッター62は、流路60を内周壁面に形成した筒状体63と一体形成しても良いが、別部品として形成しておき、筒状体63に対してパチン嵌合を含む固定法により固定してもよい。この筒状体63の廻りには回収部材であって、自然状態でボトル小径部29aを取り囲む位置に弾性変形するベローズ体65が設けられている。また、筒状体63の外周面とベローズ体65の内周壁面との間には、筒状体63の側面に穿設された回収孔部63bに連通する流路61がさらに形成されており、カッター62の廻りから漏れ出た処理液を流路60内に回収できるようにしている。このために、ベロース体65の下方側は、筒状体63に固定される受け皿部材69に固定されており、この受け皿部材69のテーパ面に沿って処理液が上記の回収孔部63bに流入できるように構成されている。このようにベローズ体65をボトル小径部29aを取り囲むように設けてボトル29内の処理液を正確に補充タンク19に入れることができるようにしている。
【0044】
以上説明した流路60、61を形成した筒状体63を、穿孔位置と待機位置との間で上下駆動する機構としては、種々の形式のものが採用可能である。一例として筒状体63の外周面に対して外力を作用させて上下方向に駆動する機構例について以下に述べる。
【0045】
筐体2に固定された基部256にはモータ58が固定されている。このモータ58の出力軸にはモータギア84が固定されている。このモータギア84には、基部256に両軸端が回動自在に軸支された軸体76に固定されたギア83が噛合している。この軸体76にはカム部材75が固定されている。
【0046】
また、レバー部材73は一端が基部256に固定された軸体82回りに回動自在に保持されるとともに、端部に貫通孔部73aを形成している。また、レバー部材73の途中部位において、カム部材75のカム面に摺接することで回転するローラ74が軸支されている。筒状体63の下方の外周面には、カムフォロア部材71が固定されている。このカムフォロア部材71には上記のレバー部材73の貫通孔部73aに潜入するピン72が固定されている。一方、基部に固定される摺動軸受68とカムフォロア部材71の間には圧縮コイルバネ70が設けられている。
【0047】
以上の構成により、モータ58への通電制御を制御部30からの指示により実施する。なお、図3では一つのボトル29のみが示されており、一つのシール部材55を開封する様子が示されているが、他のボトル29については、軸体76に対して異なる取り付け角度で固定されたカム部材75により所定のタイミングで穿設されるように構成されている。このようにカム部材の固定角度に差を持たせることで、モータ58に対して同時に負荷が発生しないようにして、より低トルクのモータを使用可能にしている。
【0048】
一方、流路60と回収部材であるベローズ体65の夫々の内壁面に向けて希釈液を噴射する噴射手段として上端が封止された中空管66が筒状体63の中心部の位置に固定されている。この中空管66は、上記の水タンク21に接続される配管77とポンプ79と電磁弁78と柔軟な配管77に開口部が接続されており、中空管66の上端近傍に穿設された複数の噴射孔部を介して流路60、61の内壁面に向けて勢い良く水を噴射することで、処理液を洗い流して処理液の付着及び固化の防止を図るようにしている。
【0049】
この中空管66を筒状体63と同心円上に配置するために、チューブ39が筒状体63の下方の側面から延設されるとともに、エルボウ管81が図示のように接続されており、このエルボウ管81の接続管81aに対して上記の柔軟な配管77を接続している。また、筒状体63の内部に設けられる中空管66の中央部位には流路60を妨げない形状のスペーサ67が設けられており、中空管66の倒れを防止して中心位置に固定するように構成されている。また、チューブ39内を流れた処理液は補充タンク19内に流入され、液面レベルセンサ80により満杯になるまで水の供給が上記の中空管66を介して行われることで、現像液と定着液と安定液とを希釈して個別に貯めるとともに、補充タンク19の配管77とポンプ79により上記の各処理液槽16に対して適宜処理液の供給を行うように構成されている。
【0050】
<ボトル収容部分>
次に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の特徴であるボトル収容部分の詳細について図5を用いて説明する。
【0051】
図5は、ベローズ体の破損を回避するために、新たに保護板501を取り付けた本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置のボトル収容部分を示す図である。
【0052】
図5に示すように、保護板501はボトルがセットされた場合の、ボトル開口部の外側であって、保護板50と対向する位置に配されている。これにより、ベローズ体の開口端は、その一部がボトルホルダ40の保護板50に接触し、他の一部は当該保護板501に接触することとなる。なお、このとき、ベローズ体の開口端が略平行を維持するように、保護板50と保護板501とは、ほぼ同じ高さに成っている。
【0053】
このように、保護板50、501とにより、ベローズ体の開口端を抑止することで、ボトルがボトルホルダ40にセットされていない状態において、オープナーが上昇しても、ベローズ体が湾曲することがなく安定した姿勢を保持することが可能となる。この結果、オープナーの動作経路にベローズ体が侵入することがなくなり、ベローズ体の破損を回避することが可能となる。
【0054】
また、保護板はボトル開口部の外側に配されているため、ボトルホルダにボトルをセットする際にも干渉することはない。さらに、図5より明らかなように、保護板501を新たに設けた場合であっても、ベローズ体はボトル開口部29cを完全に覆っていることから、従来と同様に、処理液の回収が可能である。
【0055】
(実施例)
図10に、実際に保護板501を配置したボトル収容部分を有する感光材料処理装置の処理液供給部分の機械図面を添付する。本実施例では、上記保護板501を本願出願人による特願2002−215360号に記載した、折りたたみ自在のステー部材に取り付ける構造としている。なお、上述したように、オープナー上昇時でも、ベローズ体がバランスよく弾性変形するように、ベローズ体を抑止する高さが平行となるように保護板が取り付けられていればよく、取り付け位置は本実施例に限られないことは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボトルがない状態でオープナーが動作したときでも、ベローズ体の破損を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の処理液供給部分を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の一部を示すもので、図1のX−X線矢視断面図である。
【図4】図3のX−X線矢視断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置におけるボトル収容部分を示す図である。
【図6】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットした状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図7】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットした状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図8】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットしていない状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図9】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットしていない状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置におけるボトル収容部分の具体的配置を示した機械図である。
【符号の説明】
1 感光材料処理装置
2 筐体
16 処理液槽
17 搬送ラック
19 補充タンク
21 水タンク
22 乾燥装置
29 ボトル
29a ボトル小径部
29b ネック部
29c 開口面
33 廃液タンク
40 ボトルホルダ
41 支持部材
43 箱体
43a 開口部
44 係止片
45 当接部材
50 保護板
51、52 壁体
55 シール部材
58 モータ
60、61 流路
62 カッター
63 筒状体
65 ベローズ体
69 受け皿部材
P ペーパー(印画紙)
501 保護板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルから処理液を感光材料処理装置に対して供給するための処理液供給装置に関するものである。
【従来の技術】
感光材料処理装置の処理槽に対して、ボトルに充填された処理液を適宜供給する技術が知られている。例えば、特開平9−073158号公報には、ボトルホルダを感光材料処理装置に回動自在に設けておき、ボトル開口部を上にしてボトルホルダにセットし、該ボトルホルダを奥側に向けて大きく回動操作することで、ボトル開口部が下方に向くようにして装填を行う構成が示されている。そして、ボトルを装填した後に、オープナーが上昇し、ボトル開口部の開封を行うことにより、感光材料処理装置の処理液槽に対して現像液や定着液、安定液等の各処理液の送液を行うようにしている。
【0002】
感光材料処理装置にボトルが装填された状態では、一般にボトルの開口部はベローズ体に覆われており、ボトル開封時に漏れ出た処理液が回収可能な構造となっている。図6および図7を用いて、かかる構造について簡単に説明する。
【0003】
図6は感光材料処理装置にボトルが装填された状態を示す図であり、同図において、601はボトルであり、ボトルホルダ602に保持され、ボトル開口部605が下方に向くように装填されている(なお、感光材料処理装置のうち、同図に示す部分を「ボトル収容部分」と称す。以下同じ。)。
【0004】
603はベローズ体であり、ボトル601が装填されていない状態では、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は上方に向かって開放されるところ、ボトルが装填された状態では、ボトル小径部607またはボトルホルダ602と接し、ボトル開口部605全体を覆う。
【0005】
604はオープナーであり、オープナー604が上昇し、ボトル開口部605を開封することでボトル601内の処理液が流れ出る。このとき、ベローズ体603の固定側(矢印603−2に示す側)は、オープナー604と一体となって上下動するベローズ体603の受け皿部材606に固定されており、オープナー604が上昇すると、図7に示すような状態となる。
【0006】
図7は、オープナー604がボトル開口部605を開封した状態を示す図である。ベローズ体603の固定側(矢印603−2に示す側)がオープナー604とともに上昇する一方、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は、ボトルホルダ602およびボトル小径部607により抑止され、その結果、ベローズ体603が弾性変形し、所定の押圧力をもってボトル小径部607およびボトルホルダ602と接するため、ベローズ体603とボトル小径部605及びボトルホルダ602との間の密閉性が増す。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−073158号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に示した感光材料処理装置によれば、ボトル601を装填していない状態で、オープナー604を上下させた場合に、オープナー604がベローズ体603を破損させてしまうという問題があった。図8および図9を用いて、かかる問題について詳細に説明する。
【0009】
図8は、ボトルを装填していない状態であって、かつオープナー604が下降位置にある状態のボトル収容部分を示す図である。上述したように、ボトルが装填されていない状態では、ベローズ体603の開口側(矢印603−1に示す側)は上方に向かって開放されており、一部分がボトルホルダ602に接触した状態となっている。
【0010】
この状態でオープナー604を上昇させると、図9に示すように、ベローズ体603の開口側のうち、ボトルホルダ602に接している部分は、ベローズ体603が抑止される一方、ボトルホルダ602に接していない部分は、オープナー604とともに上昇する。このため、ベローズ体603はボトルホルダ602側に湾曲し、その結果、ベローズ体603がオープナーの動作経路に入り、オープナー604がベローズ体603にささり(太矢印901で示す部分)、ベローズ体を破損させることがあった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ボトルがない状態でオープナーが動作したときでも、ベローズ体を破損させることのない感光材料処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる感光材料処理装置は、以下の構成を備える。即ち、
感光材料の処理に用いる処理液が収容されたボトルを開封し、該ボトル内の処理液を供給可能な感光材料処理装置であって、
前記ボトルを倒立状態で保持する保持部と、
前記保持されたボトルの開口部を開封する開封手段と、
前記保持されたボトルの開口部を覆い、前記開封手段とともに動作するベローズ体と、
前記開封手段とともに動作するベローズ体の開口端が略平行となるように、前記保持されたボトルの開口部外周の対向する位置において、該ベローズ体の開口端を抑止する保護材とを備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な一実施形態について添付の各図面を参照して述べる。なお、説明にあっては、本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置について説明したうえで、同装置の処理液供給部分の説明を行い、最後に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の特徴であるボトル収容部分について詳細を説明するものとする。
【0014】
<感光材料処理装置>
本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置について説明する。図1は感光材料処理装置1(以下、装置1とも言う)の全体構成の要部を示すために筐体2に対して着脱自在に設けられるカバーを全て取り外して示した正面図である。なお、図1では印画紙P(ぺーパーPとも呼ぶ)の処理を行う場合について述べる。
【0015】
図1において、装置1は、紙面の表裏方向に極力偏平となるように構成されており、設置後の占有面積を極力小さくする一方で、前面側から主要な各部分に簡単に近づくことができるようにしている。また、装置1は感光材料であるネガフィルムまたはポジフィルムの現像処理を行うために、処理液槽と乾燥装置が一体的に設けられる機種も含まれるが、このように構成される機種については説明を省略し、感光材料であるペーパーPの処理を行う機種で代表して以下に述べる。
【0016】
先ず、印画形成面となる発色乳剤塗布面を外側にして巻かれたロールペーパーRPは、所定幅寸法(例えば、89mm幅)の連続した長尺ロールとしてコアに捲回されており、光を完全に遮断した遮光状態でペーパーマガジン3内で回転自在に保持され、かつ暗室内で簡単に着脱できるように内蔵されている。
【0017】
これらのペーパーマガジン3は、装置1を正面から見て左側下方に位置する左右収納部に図示のように同時あるいはいずれか一方の収納部に装填可能に設けられている。
【0018】
この装填操作のために、各ペーパーマガジン3は、前方から引き出すことで全体を外部に取り出しできるように不図示のガイドレール上に装填可能に構成されており、装填してから奥側に移動することで図示の所定位置にセットできるように構成されている。
【0019】
また、これらのペーパーマガジン3は図示のように左右収納部のいずれにも収容できるように、図示のように左右対称の形状に形成され、表裏面の両方の壁面に取出し及び装填用のハンドル(不図示)が夫々設けられている。
【0020】
また、内蔵されたロールペーパーRPをペーパーマガジン3の外部に向けて矢印方向に排出する際に自動的に開口部を開く自動開閉機構が設けられており、ペーパーマガジン3の右収納部とペーパーマガジン3の左収納部のどちらか一方あるいは双方に同時に装填した場合に、同じように自動開閉するように構成されている。このようにしてペーパーマガジン3の構成部品の共通化を図るとともに、使用者は左右収納部への装填を意識せずにサイズの異なるペーパーを使用頻度に応じて使えるようにすることで、使い勝手を向上させている。
【0021】
これらのペーパーマガジン3の開口部の近傍には夫々カッターユニット4が配設されている。これらのカッターユニット4は、ペーパーマガジン3の開口部から送り出された直後のロールペーパーRPを露光する前に所望のカットサイズに切断するために設けられている。各カッターユニット4で所定のカットサイズに切断された印画形成前のペーパーPは、暗箱7の底面部位に配設された露光テーブル5の露光位置に順次送られる。この搬送のために露光テーブル5には切断後のペーパーPの乳剤面側の裏面を走行面で吸引した状態で搬送し、かつ図示の露光位置まで搬送するための不図示の吸着搬送機構が内蔵されている。この吸着搬送機構は、ペーパーPを一時的に露光位置に吸着保持する機能に加えて90度分の旋回を行う旋回機能を有している。
【0022】
以上のようにして、露光の準備が整うと、露光部6に対してフィルムFを順次駒送りして、ズームレンズ等からなる光学系9を自動または手動にて調整して所望のサイズの像をペーパーP上に結像して露光を行う。さらに、上記の旋回機能は、吸引パッドでぺーパーPを吸引した後に90度分旋回することで、異なるサイズのペーパーの露光を行う。
【0023】
この露光後に、ペーパーPは搬送部10に向けて矢印D1方向に搬送され、この搬送途中で、大判ペーパーであるか否かの判断が行われて、下流方向に搬送される。ここで、ペーパーサイズが小型(例えば、127×89mm)の時は、振り分け装置12により左右に振り分けて搬送するようにして、下流側の第2の部屋14に設けられた各処理液槽16内を2列で搬送する。このように2列で搬送することで、処理速度をアップできることになる。また、パノラマ写真(254×89mm)のように縦長の場合も、同じように2列で搬送できる。
【0024】
一方、露光部6に装填されるフィルムFの搬送方向に対して直交するように露光を行いたい場合には、上記の旋回機能により吸着保持されているパーパーPを90度分旋回してから露光する。このようにして、同一種類の幅寸法のペーパーのままで、複数の種類の異なるサイズのペーパーPの露光処理を行えるように構成されている。
【0025】
以上説明した左右収納部と、暗室7と露光テーブル5と搬送部10は処理液槽16に貯められた各処理液が温度上昇などで気化して発生したガスの影響を受けないように形成された第1の部屋13の内部に配設されている。このために、第1の部屋13は、上記の第2の部屋14との間に仕切り壁11が設けられており、この仕切り壁11に設けられた開口部に配設されたシャッター装置15の蓋部材の開閉動作を行うことで、ペーパーPを図中の矢印D2方向に搬送するときのみ蓋部材を開くようにして、気化ガスまたは水蒸気が第2の部屋14から第1の部屋3に向けて進入しないようにしている。また、第1の部屋13の内圧を第2の部屋14以上に維持することで、シャッター装置15の蓋部材が開いている状態でも気化ガスが進入しないようにして万全を尽くしている。
【0026】
なお、以上のカッターユニット4と露光テーブル5と搬送部10はいずれも筐体2の手前に簡単に引き出せるように構成されており、ペーパージャム解除及び各種点検作業が簡単に行えるように構成されている。
【0027】
シャッター装置15を矢印D2方向に通過したぺーパーPは、搬送ラック装置17内において破線図示の搬送路に沿うように搬送される。このために、露光後のペーパーPの現像処理を行うために処理液槽16内で矢印D3方向となるように方向転換して送られる。これらの搬送ラック装置17は、筐体2に開閉自在に設けられる不図示の天井部材を上方に向けて開いた後に、図示のように各処理液槽16中に個別に内蔵されており、搬送ラック17の搬送ローラに付着した処理液の固化成分等を定期的に除去する清掃作業を行うときに、搬送ラック17を上方に移動して、外部に簡単に取り出すことができるように設けられている。また、各搬送ラック17の搬送ローラは、共通の破線図示の駆動モータ20からウォームギアを用いた動力伝達機構を介して動力伝達されることで、搬送ラック17の全ての搬送ローラが同期駆動されるように構成されており、搬送ローラ間において速度差が発生することなく搬送できるように構成されている。
【0028】
この搬送ラック17による搬送動作により、ペーパーPの先端が各処理液槽間に配設された案内装置18により案内されて矢印D4方向に向かう方向転換が行われて、漂白定着を行う次の処理液槽16に送られる。その後、図示のように搬送されて、最後に安定処理を行う処理液槽16を出てから矢印D5方向に方向転換するように案内されて、乾燥装置22に送り込まれる。この乾燥装置22は、破線図示のように搬送する途中で、ペーパーPの乳剤面への温風吹き付けをノズルを介して行い乾燥させた後に、上方に向けて搬送される。また、乾燥装置22の下方の空間を占める筐体2内には電源部が設けられるとともに、この電源部の上には上記の各処理液槽16及び後述する種々の制御を行うためのプロセッサーの制御部30が配設されている。
【0029】
乾燥装置22の上方には、サイズ毎に搬送する不図示のサイズ分別装置が設けられており、このサイズ分別装置により、例えば4つ切りの大型サイズのペーパーPと、8つ切りの大サイズのペーパーPと小サイズのサービス版サイズのペーパーPとを分別して排出するように構成されている。
【0030】
一方、上記の各処理液槽16の下方には、ボトル内に上記の各処理液の原液ないし濃縮液を収納したボトル29が着脱自在に設けられており、この下方の補充用の補充タンク19に対して原液を供給可能にするとともに、水タンク21から水の供給を行うことで、補充タンク19内の処理液の濃度を一定に保つようにしている。
【0031】
このようにして各ボトル29に充填された原液を導入するために、ボトル開口部はシール部材で密閉されるとともに、ボトル開口部を下にしてセットされる。また、現像液と定着液と安定液を個別に貯蔵したボトル29は、一つの箱体に収納されており、これを感光材料処理装置の前面側から着脱するようにして、後述する開封装置が上方に移動されることでボトル29の各開口部を覆うシール部材を穿孔して、不図示のチューブからタンク19内に向けて処理液を供給するように構成されている。
【0032】
<処理液供給部分>
次に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の処理液供給部分について説明する。図2は、図1中におけるX−X線矢視断面図であり、感光材料処理装置の処理液供給部分を示す図である。また、図3は、図2のX−X線矢視断面図であって、現像液と定着液と安定液とを個別に貯蔵したボトル29を一つの箱体43に収納したものを感光材料処理装置1の前面に設けられたボトルホルダ40にセットした後に装填位置にした後の様子を夫々示している。
【0033】
図2と図3に図示したように現像液と定着液と安定液を個別に貯蔵したボトル29は一列に揃えた状態で箱体43に収納されている。この箱体43は、ダンボール製であり、この箱体43を交換単位としている。この箱体43には開口部43aが形成されており、各ボトル小径部29aを、箱体43の開口部43aを介して図示のように下方に向かうように突出させた状態にして、装置1に対して着脱する。ここで、この箱体43に収容せずに個別にボトル29を交換することもできるように構成されている。
【0034】
このようにして、装置1の前面から箱体43を交換するために、ボトルホルダ40は前面において後述する開状態と図示の閉状態になる支持部材41が設けられている。この支持部材41は、筐体2に固定された一対の蝶番である軸支部144により回動自在に軸支されている。
【0035】
さらに、図3のX−X線矢視断面図である図4に示すように、支持部材41の底面には、係止片44が固定されている。この係止片44は、ボトル29のボトル小径部29aに形成されたネック部29bの約半分の半円形状部分に対して挿入するU字型の切り欠き形状の形状部44aをボトル29の個数分形成している。
【0036】
このようにして係止片44によりボトル29を係止するために、図3に示すように、ボトル29にはボトル小径部29aの外周面から溝状に半径寸法を少なくして形成されたネック部29bが形成されている。このネック部29bの約半分の部分に係止片44の各形状部44aが潜入することで、ボトル小径部29aが保持される。この結果、装填位置においてボトル29は不動状態になる。
【0037】
以上のようにボトル29を不動状態にすることで、後述する穿孔動作を行うときに発生する反力によって、ボトル29が上方に移動しないようにしている。また、図3と図4において、支持部材41の左右部位には箱体43をボトルホルダ40にセットするときに、箱体43の両側面を案内するための壁体51、52が固定されている。
【0038】
さらに係止片44の下側には保護板50が設けられており、係止片44と同様、U字型の切り欠き形状のボトル小径部29aをボトル29の個数分有している(図4には不図示)。そして、当該U字型の切り欠きには、ボトル29のボトル小径部29aが挿入されることとなる。なお、ボトル小径部29aに対して、保護板50と対向する位置には、保護板501が設けられているが、保護板501については、図5を用いて後述するものとする。
【0039】
また、ボトル小径部29aの開口面29cには表面が樹脂コートされたアルミシート製のシール部材55(破線図示)が接着されている。このシール部材55は、図示のようにボトル開口面29cを下にしてボトル29をセットした状態において、処理液の重量を支えるための密封状態を維持できる強度を有している。
【0040】
このシール部材55の下方には、図中の実線と二点鎖線で図示される位置との間で上下駆動される開封手段(オープナー)を構成するカッター62が設けられている。このカッター62を二点鎖線で図示される位置に上昇移動するときに、破線図示のシール部材55の一部がボトル小径部29a側に残される円形形状に穿孔される。そして、ボトル29内の各処理液をカッター62内の流路60に流出させた後に、下方のチューブ39を介して上記の補充タンク19中に処理液を供給する。
【0041】
このように穿孔するカッター62には内径部と外周部とが形成されている。この内径部と外周部は逃げ角の30度を有しており、かつ先端において同じ高さの刃部と、浅い浅谷部と、深い深谷部とを形成している。このように形成されるカッター62を用いてシール部材55を穿孔することで、シール部材55が最初に刃部により破られてから、さらに円形に破られ、浅谷部のエッジ部でも破られ、深谷部まで到達すると一部をボトル29内側に残すようにした状態とすることができるようになる。
【0042】
以上のようにカッター62を構成することで、シール部材55の穿孔のための駆動力を小さくでき、かつまたシール部材55を穿孔した後には大きな円形開口が形成されることとなる。また、破られたシール部分はボトル29内側に退避するので、流出抵抗を小さくすることができ流出時間の短縮が可能となる。また、処理液がボトル29の内部に殆ど残留することがないので、ボトル29のリサイクル使用を行う場合には洗浄作業が簡単になる。
【0043】
カッター62は、流路60を内周壁面に形成した筒状体63と一体形成しても良いが、別部品として形成しておき、筒状体63に対してパチン嵌合を含む固定法により固定してもよい。この筒状体63の廻りには回収部材であって、自然状態でボトル小径部29aを取り囲む位置に弾性変形するベローズ体65が設けられている。また、筒状体63の外周面とベローズ体65の内周壁面との間には、筒状体63の側面に穿設された回収孔部63bに連通する流路61がさらに形成されており、カッター62の廻りから漏れ出た処理液を流路60内に回収できるようにしている。このために、ベロース体65の下方側は、筒状体63に固定される受け皿部材69に固定されており、この受け皿部材69のテーパ面に沿って処理液が上記の回収孔部63bに流入できるように構成されている。このようにベローズ体65をボトル小径部29aを取り囲むように設けてボトル29内の処理液を正確に補充タンク19に入れることができるようにしている。
【0044】
以上説明した流路60、61を形成した筒状体63を、穿孔位置と待機位置との間で上下駆動する機構としては、種々の形式のものが採用可能である。一例として筒状体63の外周面に対して外力を作用させて上下方向に駆動する機構例について以下に述べる。
【0045】
筐体2に固定された基部256にはモータ58が固定されている。このモータ58の出力軸にはモータギア84が固定されている。このモータギア84には、基部256に両軸端が回動自在に軸支された軸体76に固定されたギア83が噛合している。この軸体76にはカム部材75が固定されている。
【0046】
また、レバー部材73は一端が基部256に固定された軸体82回りに回動自在に保持されるとともに、端部に貫通孔部73aを形成している。また、レバー部材73の途中部位において、カム部材75のカム面に摺接することで回転するローラ74が軸支されている。筒状体63の下方の外周面には、カムフォロア部材71が固定されている。このカムフォロア部材71には上記のレバー部材73の貫通孔部73aに潜入するピン72が固定されている。一方、基部に固定される摺動軸受68とカムフォロア部材71の間には圧縮コイルバネ70が設けられている。
【0047】
以上の構成により、モータ58への通電制御を制御部30からの指示により実施する。なお、図3では一つのボトル29のみが示されており、一つのシール部材55を開封する様子が示されているが、他のボトル29については、軸体76に対して異なる取り付け角度で固定されたカム部材75により所定のタイミングで穿設されるように構成されている。このようにカム部材の固定角度に差を持たせることで、モータ58に対して同時に負荷が発生しないようにして、より低トルクのモータを使用可能にしている。
【0048】
一方、流路60と回収部材であるベローズ体65の夫々の内壁面に向けて希釈液を噴射する噴射手段として上端が封止された中空管66が筒状体63の中心部の位置に固定されている。この中空管66は、上記の水タンク21に接続される配管77とポンプ79と電磁弁78と柔軟な配管77に開口部が接続されており、中空管66の上端近傍に穿設された複数の噴射孔部を介して流路60、61の内壁面に向けて勢い良く水を噴射することで、処理液を洗い流して処理液の付着及び固化の防止を図るようにしている。
【0049】
この中空管66を筒状体63と同心円上に配置するために、チューブ39が筒状体63の下方の側面から延設されるとともに、エルボウ管81が図示のように接続されており、このエルボウ管81の接続管81aに対して上記の柔軟な配管77を接続している。また、筒状体63の内部に設けられる中空管66の中央部位には流路60を妨げない形状のスペーサ67が設けられており、中空管66の倒れを防止して中心位置に固定するように構成されている。また、チューブ39内を流れた処理液は補充タンク19内に流入され、液面レベルセンサ80により満杯になるまで水の供給が上記の中空管66を介して行われることで、現像液と定着液と安定液とを希釈して個別に貯めるとともに、補充タンク19の配管77とポンプ79により上記の各処理液槽16に対して適宜処理液の供給を行うように構成されている。
【0050】
<ボトル収容部分>
次に本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の特徴であるボトル収容部分の詳細について図5を用いて説明する。
【0051】
図5は、ベローズ体の破損を回避するために、新たに保護板501を取り付けた本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置のボトル収容部分を示す図である。
【0052】
図5に示すように、保護板501はボトルがセットされた場合の、ボトル開口部の外側であって、保護板50と対向する位置に配されている。これにより、ベローズ体の開口端は、その一部がボトルホルダ40の保護板50に接触し、他の一部は当該保護板501に接触することとなる。なお、このとき、ベローズ体の開口端が略平行を維持するように、保護板50と保護板501とは、ほぼ同じ高さに成っている。
【0053】
このように、保護板50、501とにより、ベローズ体の開口端を抑止することで、ボトルがボトルホルダ40にセットされていない状態において、オープナーが上昇しても、ベローズ体が湾曲することがなく安定した姿勢を保持することが可能となる。この結果、オープナーの動作経路にベローズ体が侵入することがなくなり、ベローズ体の破損を回避することが可能となる。
【0054】
また、保護板はボトル開口部の外側に配されているため、ボトルホルダにボトルをセットする際にも干渉することはない。さらに、図5より明らかなように、保護板501を新たに設けた場合であっても、ベローズ体はボトル開口部29cを完全に覆っていることから、従来と同様に、処理液の回収が可能である。
【0055】
(実施例)
図10に、実際に保護板501を配置したボトル収容部分を有する感光材料処理装置の処理液供給部分の機械図面を添付する。本実施例では、上記保護板501を本願出願人による特願2002−215360号に記載した、折りたたみ自在のステー部材に取り付ける構造としている。なお、上述したように、オープナー上昇時でも、ベローズ体がバランスよく弾性変形するように、ベローズ体を抑止する高さが平行となるように保護板が取り付けられていればよく、取り付け位置は本実施例に限られないことは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボトルがない状態でオープナーが動作したときでも、ベローズ体の破損を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の処理液供給部分を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置の一部を示すもので、図1のX−X線矢視断面図である。
【図4】図3のX−X線矢視断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置におけるボトル収容部分を示す図である。
【図6】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットした状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図7】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットした状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図8】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットしていない状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図9】従来の感光材料処理装置において、ボトルをセットしていない状態のボトル収容部分の様子を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる感光材料処理装置におけるボトル収容部分の具体的配置を示した機械図である。
【符号の説明】
1 感光材料処理装置
2 筐体
16 処理液槽
17 搬送ラック
19 補充タンク
21 水タンク
22 乾燥装置
29 ボトル
29a ボトル小径部
29b ネック部
29c 開口面
33 廃液タンク
40 ボトルホルダ
41 支持部材
43 箱体
43a 開口部
44 係止片
45 当接部材
50 保護板
51、52 壁体
55 シール部材
58 モータ
60、61 流路
62 カッター
63 筒状体
65 ベローズ体
69 受け皿部材
P ペーパー(印画紙)
501 保護板
Claims (1)
- 感光材料の処理に用いる処理液が収容されたボトルを開封し、該ボトル内の処理液を供給可能な感光材料処理装置であって、
前記ボトルを倒立状態で保持する保持部と、
前記保持されたボトルの開口部を開封する開封手段と、
前記保持されたボトルの開口部を覆い、前記開封手段とともに動作するベローズ体と、
前記開封手段とともに動作するベローズ体の開口端が略平行となるように、前記保持されたボトルの開口部外周の対向する位置において、該ベローズ体の開口端を抑止する保護材と
を備えることを特徴とする処理液供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002335385A JP2004170629A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光材料処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002335385A JP2004170629A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光材料処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004170629A true JP2004170629A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32699528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002335385A Withdrawn JP2004170629A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 感光材料処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004170629A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010035619A (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-18 | Olympus Medical Systems Corp | 内視鏡洗浄消毒装置 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002335385A patent/JP2004170629A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010035619A (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-18 | Olympus Medical Systems Corp | 内視鏡洗浄消毒装置 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |