JP2004169391A - セグメントの軸方向継手及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】断面が三角形状の多数の円周凸条を有する継手ピンと、継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手において、継手ピンの引抜き荷重を増加させる。
【解決手段】継手ピン10の円周凸条16を有する部分の内部に、ヒータ50を備え、継手ピン10とソケットとを結合した後、ヒータ50に通電して円周凸条の頂部からソケットの内面に伝熱させ、内面を溶融させ、その後冷却して継手ピン10とソケットとを一体化させる。
【選択図】 図2
【解決手段】継手ピン10の円周凸条16を有する部分の内部に、ヒータ50を備え、継手ピン10とソケットとを結合した後、ヒータ50に通電して円周凸条の頂部からソケットの内面に伝熱させ、内面を溶融させ、その後冷却して継手ピン10とソケットとを一体化させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメントの軸方向継手及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルライニング用プレキャストコンクリートセグメントの隣接セグメント同士の軸方向継手には、ボルトによる締結、くさびを利用した締結、雄雌の精密嵌合による締結、ほぞによる締結等がある。
【0003】
これらの従来のコンクリートセグメントの軸方向継手は、これを取り付けたり、締め上げるために、セグメントに切欠きを設けたり、各種の複雑な部品を埋め込んだり、これらの複雑な部品を組み立てたりする必要があり、手間が掛かるものであった。また軸方向継手の配置を正確に位置決めする必要があり、芯合わせに手間が掛かるという問題があった。このような手間を避けるために、継手部品同士を可動にし、移動代を設けると、締結力が低下する他に、シール性が不完全となるなどの問題があった。またこれら従来の軸方向継手構造を形成するためには型枠が複雑となり、手間が掛かると共に高価となるという問題があった。
【0004】
セグメントのワンタッチ組立てを実現するために、従来のボルト方式にかわる種々の方式の継手が開発されている。このような継手の中には、雌継手がプラスチックでできているものがあり、「断面三角形の抜け止め螺旋溝を有する雄継手を、プラスチック円筒である雌継手に押し込んで締結する」ものなどは、その端的な例である。このようなコンクリートセグメントの軸方向継手として、
(a)一端側に溝断面が矩形の螺旋溝を有し他端側に溝断面が三角形の抜け止め螺旋溝を有する継手ピン
(b)一方のセグメント内に埋設され前記螺旋溝に螺合する螺旋部材
(c)他方のセグメント内に埋設され前記抜け止め溝部が嵌入する樹脂製ソケット
から構成されたコンクリートセグメントの軸方向継手がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この軸方向継手は、軸方向に隣接する一方のセグメントに予め螺旋部材を埋設しておき、この螺旋部材に継手ピンの基部の雄ねじを螺合して固定し、他方のセグメントの端面にこの継手ピンと対向させて樹脂製ソケットを埋設し、継手ピンを樹脂製ソケットに挿入して隣接するセグメントを連結するものである。この継手ピンの樹脂製ソケットに挿入される部分には、螺旋状又は円周リング状の抜け止め溝が形成されている。溝と溝との間は、螺旋凸条又は円周凸条となっており、凸条の外径を基準として考えると溝であり、溝の底の径を基準として考えると凸条である。
【0006】
上記の軸方向継手は、セグメントを容易に連結することができ、またセグメントを互いに押圧すると、継手ピンがガイドとなってセグメントの芯出しを高精度で行うことができ、優れた継手であるが、従来、螺旋凸条又は円周凸条(以下円周凸条で代表させる)と樹脂製ソケットとの引抜力特性については円周凸条とソケット内面の食い込みによる剪断力のみであり、確実性に疑問があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−152793号公報(第2−4頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
セグメント間を強固に締結するためには、引抜き荷重が大きいことが必要である。上記従来技術は、種々の利点があるが、従来のボルト方式に比較して引抜き荷重が小さい。このため施工後の土圧、水圧などの外力、あるいは軸力の減衰などによって、セグメント同士の目地に目開きが生ずる虞れがあり、信頼性がやや乏しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記セグメントの軸方向継手に改善を加え、上記問題点を解決したセグメントの軸方向継手及びその施工方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その技術手段は、一方のセグメントに基部を固定すると共に先端側に断面が三角形状の多数の円周凸条を有する継手ピンと、他方のセグメントに埋設され前記継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手において、前記継手ピンの円周凸条を有する部分の内部に、ヒータを備えたことを特徴とするセグメントの軸方向継手である。
【0011】
本発明は、コンクリートセグメントの軸方向継手であって、継手ピンが樹脂製ソケット内に挿入されて結合される形式の継手の継手ピンの改善に係るものである。この継手ピンは、断面が三角形状の円周凸条を多数備えており、この円周凸条を備えた部分を隣接するセグメント内に埋設された樹脂製のソケット内に挿入し、円周凸条がソケットの内面に食い込んで、抜け止めの作用をする。本発明は、この抜け止めの作用をさらに確実にするための手段を備えたものである。
【0012】
次に、本発明のセグメントの軸方向継手の施工方法は、断面が三角形状の多数の円周凸条を有する継手ピンと、継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手をセグメントに装着するに当たり、予め、前記継手ピンの円周凸条を有する部分の内部にヒータを装着しておき、前記継手ピンと前記ソケットとを結合した後、前記ヒータを加熱してソケットの内面を溶融固化させ、継手ピンの引抜き荷重を増加させることを特徴とするセグメントの軸方向継手の施工方法である。
【0013】
継手ピンと樹脂製ソケットとを締結した後、継手ピン(雄継手)内部に設けたヒータによって、樹脂製ソケット(雌継手)の内面を溶融再固化させることにより、継手ピンとソケットとが一体化され、継手ピンの引抜き荷重を増加させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図10はコンクリートセグメント100の例を示す斜視図である。コンクリートセグメント100は、円弧板状をなし、円周継手106でリング状にトンネル内で組み立て、トンネル内面をライニングする。孔107はこの円周継手を緊結するための孔である。次いで次のリングを組み立て、軸方向継手105でリング同士を連結する。
【0016】
図9はこのようにして連結された実施例の隣接セグメント100a、100bの軸方向継手の断面図を示すものである。継手ピン10は一方のセグメント100a中に埋設された螺旋部材20に基部をねじ込んで固定し、他方のセグメント100b中に埋設された樹脂製ソケット30内に先端側を挿入してセグメント100a、100bを連結している。図9において,102a、102bは鉄筋,103a、103bはシールパッキングである。
【0017】
図5はこの軸方向継手部分の組立状態を拡大して示したものである。軸方向継手は、継手ピン10と螺旋部材20と樹脂製ソケット30とから構成されている。図6、図7、図8は図5の組立前の状態の部材を示すものである。
【0018】
図6に示すように、一方のセグメント100a内に埋設されている螺旋部材20は、継手ピン10の螺旋溝12に螺合するものであり、コンクリート内に埋め込まれ、その内側は中空孔21となっている。その口元23は、ラッパ状をなしている。
【0019】
図7に示すように、他方のセグメント100b内に埋設された樹脂製ソケット30は、前記継手ピン10の抜け止め溝を有する挿入部14が嵌入する孔31を備えている。樹脂製ソケット30は、外面がコンクリート中にしっかりと固定されるように、円周溝33を形成しており、孔31の口元は拡大したラッパ状部32となっている。
【0020】
図8は継手ピン10を示している。継手ピン10は、基部側は螺旋溝12を有する丸棒11と他端側に螺旋状の抜け止め溝15を有する挿入部14であり、丸棒11と挿入部14とを連結したものである。
【0021】
図1(a)は本発明の実施例のセグメントの軸方向継手の継手ピン10の側面図、図1(b)はその縦断面図である。継手ピン10は、螺旋溝12を有する基部11と連結部13と螺旋状の溝15を有する挿入部14とから構成されている。この継手ピンの軸心に孔を設け、この孔にヒータ50を挿入してある。ヒータ50は加熱部が挿入部14の部分に位置する。ヒータ50を加熱する導線51は、基部11内を通って基部端から外部に、結線部52を露出している。
【0022】
本発明の継手ピンの施工方法を、図2を参照しながら説明する。
【0023】
ここでは、高ナットとボルトを固定用アンカーとして溶接したものをセグメント内に埋設させておくとともに、継手ピンの基部側は螺旋溝に代わりねじ山を形成し、高ナットにねじ込んで固定した。また、ソケットの大きな変形を防止するため、螺旋溝にはコイルを巻いたものを用いた。
【0024】
(a)図1に示すヒータを内蔵した継手ピン10を、図2(a)に示すように、一方のセグメント100aの軸方向接続端面から、内部の固定用アンカー90にねじ込んで固定し、この継手ピン10の先端を他方のセグメント100bの内部に固定したソケット30内に挿入するように対向させる。ヒータ50の結線部52は、一方のセグメント100aの内部に設けられた開口から露出させてある。セグメントの端面にはシールパッキング103を装着しておく。
【0025】
(b)次に、図2(b)に示すように、継手ピン10の先端側の部分をソケット30に挿入し、セグメント100a、100bを締結する。セグメント100b内に挿入された継手ピン1は、図4に示すように、円周凸条16の頂部が樹脂製ソケット30の内面に食い込んでいる。
【0026】
(c)次いで、図2(c)に示すように、ヒータ50の導線51に電源60を結線しヒータ50に給電する。ヒータ50は、継手ピンの内部から、円周凸条16の頂部を介して熱伝導によりソケットの内面を加熱する。この加熱によりソケットの内面は部分的に溶融し、図3に示すように、円周凸条16はソケット30の内面に深く食い込み、またソケット30の内面は円周溝15の中に入り込み、継手ピン10とソケット30との結合が強固な形状になる。ヒータを遮断し継手ピンを冷却させるとソケットの内面は固化し、継手ピン10の引抜き荷重は著しく増加する。導線を除去し孔を埋めると作業は完了する。
【0027】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0028】
リング外径5000mm、桁高250mmであるセグメントピースを用いて本発明の実施例の試験を実施した。図1に示す継手ピン10を用いた。継手ピンは、外径24mmφ、継手ピンの断面三角形状の円周凸条は、ピッチ12mm、凸条の高さ2mmである。継手ピン及びその固定用アンカーの中心軸に、継手ピンの先端から10mmの位置まで、基部側から直径5mmφの深孔を削孔し、継手ピンの円周凸条を備えた部分の内部にニクロムヒータ50を挿入し、基部の内部に導線を内蔵させた。また継手ピンの基部側コンクリートには、コンクリート打設時に、導線用通路および通電口を確保した。このコンクリートに設けた通電口は5cm角程度と小さく、通電終了後のモルタル埋め作業工数は僅かであり問題とならない。
【0029】
ソケットは入口内径24.5mmφで奥行きが縮小した内径を有する、テーパ1゜のナイロン切削品を用いた。継手ピンの挿入速度及び引抜き速度は100mm/minと一定にした。継手ピンはセグメントのコンクリート端面相互が突合わされるまで挿入した。継手ピンの平均挿入長さは約85mmであった。
【0030】
作業手順は次のとおりである。
(1)継手ピンをソケット中に挿入して、セグメント同士を締結する。
(2)ヒータに電源をセットし、ヒータに通電し、ソケット内面を部分的に溶融させる。ヒータに通電することによって、継手ピンの円周凸条が加熱され、円周凸条の頂部が食い込んだソケット内壁部分のプラスチックが溶融する。実施例の場合は、ヒータの消費電力400Wで2分間通電した。このときコンクリート温度20℃の雰囲気で、継手ピンの円周凸条の頂部は平均温度が約170℃となった。
【0031】
(3)ヒータの通電を停止し、内面の再固化を図る。円周溝には、従来より多くの体積のプラスチックが入りこみ、ピンの引抜きに対し、強固に抵抗するようになる。
【0032】
(4)電源を取り外し、セグメントの通電口にモルタル埋めを行う。
【0033】
本発明の実施例と従来例で、溶融の有無によって、引抜き強度と目開き量を比較し、表1に示した。目開き量は、セグメントを締結した後、軸力無しで3日放置し、引抜き荷重をかけ、シックネスゲージで隙間を計測し、10個の試験体の平均値を採用した。
【0034】
【表1】
【0035】
ソケット内面の溶融操作を行わない従来例では、引抜き強度150kNにおいて目開き量が0.3mmであったが、本発明の実施例では、引抜き強度320kNで目開き量は0.05mmであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセグメントの軸方向継手は以上のように構成されているので、ソケット内面が一旦溶融し、溶融部分が継手ピンの円周溝内に深く食い込むことにより、継手ピンの引抜きに対する抵抗力が増加する。このため、セグメントの目開きも抑制され、信頼性が大幅に向上し、寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のセグメントの軸方向継手の継手の側面図である。
【図2】実施例のセグメントの軸方向継手の継手ピンの縦断面図である。
【図3】継手ピンとソケットとの関係を説明する部分断面図である。
【図4】継手ピンとソケットとの関係を説明する部分断面図である。
【図5】従来例のコンクリートセグメントの軸方向継手を示す断面図である。
【図6】螺旋部材を示す断面図である。
【図7】樹脂製ソケットの断面図である。
【図8】継手ピンの側面図である。
【図9】セグメントの接合部の断面図である。
【図10】セグメントの斜視図である。
【符号の説明】
10 継手ピン
11 丸棒
12 螺旋溝
13 連結部
14 挿入部
15 抜け止め溝
20 螺旋部材
21 中空孔
23 口元
30 樹脂製ソケット
31 孔
32 ラッパ状部
33 螺旋溝
50 ヒータ
51 導線
52 結線部
90 固定用アンカー
100(100a,100b) セグメント
101(101a,101b) 端面
102(102a,102b) 鉄筋
103(103a,103b) パッキング
105 軸方向継手
106 周方向継手
107 孔
108 モルタル注入孔
109 パッキング
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメントの軸方向継手及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルライニング用プレキャストコンクリートセグメントの隣接セグメント同士の軸方向継手には、ボルトによる締結、くさびを利用した締結、雄雌の精密嵌合による締結、ほぞによる締結等がある。
【0003】
これらの従来のコンクリートセグメントの軸方向継手は、これを取り付けたり、締め上げるために、セグメントに切欠きを設けたり、各種の複雑な部品を埋め込んだり、これらの複雑な部品を組み立てたりする必要があり、手間が掛かるものであった。また軸方向継手の配置を正確に位置決めする必要があり、芯合わせに手間が掛かるという問題があった。このような手間を避けるために、継手部品同士を可動にし、移動代を設けると、締結力が低下する他に、シール性が不完全となるなどの問題があった。またこれら従来の軸方向継手構造を形成するためには型枠が複雑となり、手間が掛かると共に高価となるという問題があった。
【0004】
セグメントのワンタッチ組立てを実現するために、従来のボルト方式にかわる種々の方式の継手が開発されている。このような継手の中には、雌継手がプラスチックでできているものがあり、「断面三角形の抜け止め螺旋溝を有する雄継手を、プラスチック円筒である雌継手に押し込んで締結する」ものなどは、その端的な例である。このようなコンクリートセグメントの軸方向継手として、
(a)一端側に溝断面が矩形の螺旋溝を有し他端側に溝断面が三角形の抜け止め螺旋溝を有する継手ピン
(b)一方のセグメント内に埋設され前記螺旋溝に螺合する螺旋部材
(c)他方のセグメント内に埋設され前記抜け止め溝部が嵌入する樹脂製ソケット
から構成されたコンクリートセグメントの軸方向継手がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この軸方向継手は、軸方向に隣接する一方のセグメントに予め螺旋部材を埋設しておき、この螺旋部材に継手ピンの基部の雄ねじを螺合して固定し、他方のセグメントの端面にこの継手ピンと対向させて樹脂製ソケットを埋設し、継手ピンを樹脂製ソケットに挿入して隣接するセグメントを連結するものである。この継手ピンの樹脂製ソケットに挿入される部分には、螺旋状又は円周リング状の抜け止め溝が形成されている。溝と溝との間は、螺旋凸条又は円周凸条となっており、凸条の外径を基準として考えると溝であり、溝の底の径を基準として考えると凸条である。
【0006】
上記の軸方向継手は、セグメントを容易に連結することができ、またセグメントを互いに押圧すると、継手ピンがガイドとなってセグメントの芯出しを高精度で行うことができ、優れた継手であるが、従来、螺旋凸条又は円周凸条(以下円周凸条で代表させる)と樹脂製ソケットとの引抜力特性については円周凸条とソケット内面の食い込みによる剪断力のみであり、確実性に疑問があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−152793号公報(第2−4頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
セグメント間を強固に締結するためには、引抜き荷重が大きいことが必要である。上記従来技術は、種々の利点があるが、従来のボルト方式に比較して引抜き荷重が小さい。このため施工後の土圧、水圧などの外力、あるいは軸力の減衰などによって、セグメント同士の目地に目開きが生ずる虞れがあり、信頼性がやや乏しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記セグメントの軸方向継手に改善を加え、上記問題点を解決したセグメントの軸方向継手及びその施工方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その技術手段は、一方のセグメントに基部を固定すると共に先端側に断面が三角形状の多数の円周凸条を有する継手ピンと、他方のセグメントに埋設され前記継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手において、前記継手ピンの円周凸条を有する部分の内部に、ヒータを備えたことを特徴とするセグメントの軸方向継手である。
【0011】
本発明は、コンクリートセグメントの軸方向継手であって、継手ピンが樹脂製ソケット内に挿入されて結合される形式の継手の継手ピンの改善に係るものである。この継手ピンは、断面が三角形状の円周凸条を多数備えており、この円周凸条を備えた部分を隣接するセグメント内に埋設された樹脂製のソケット内に挿入し、円周凸条がソケットの内面に食い込んで、抜け止めの作用をする。本発明は、この抜け止めの作用をさらに確実にするための手段を備えたものである。
【0012】
次に、本発明のセグメントの軸方向継手の施工方法は、断面が三角形状の多数の円周凸条を有する継手ピンと、継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手をセグメントに装着するに当たり、予め、前記継手ピンの円周凸条を有する部分の内部にヒータを装着しておき、前記継手ピンと前記ソケットとを結合した後、前記ヒータを加熱してソケットの内面を溶融固化させ、継手ピンの引抜き荷重を増加させることを特徴とするセグメントの軸方向継手の施工方法である。
【0013】
継手ピンと樹脂製ソケットとを締結した後、継手ピン(雄継手)内部に設けたヒータによって、樹脂製ソケット(雌継手)の内面を溶融再固化させることにより、継手ピンとソケットとが一体化され、継手ピンの引抜き荷重を増加させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図10はコンクリートセグメント100の例を示す斜視図である。コンクリートセグメント100は、円弧板状をなし、円周継手106でリング状にトンネル内で組み立て、トンネル内面をライニングする。孔107はこの円周継手を緊結するための孔である。次いで次のリングを組み立て、軸方向継手105でリング同士を連結する。
【0016】
図9はこのようにして連結された実施例の隣接セグメント100a、100bの軸方向継手の断面図を示すものである。継手ピン10は一方のセグメント100a中に埋設された螺旋部材20に基部をねじ込んで固定し、他方のセグメント100b中に埋設された樹脂製ソケット30内に先端側を挿入してセグメント100a、100bを連結している。図9において,102a、102bは鉄筋,103a、103bはシールパッキングである。
【0017】
図5はこの軸方向継手部分の組立状態を拡大して示したものである。軸方向継手は、継手ピン10と螺旋部材20と樹脂製ソケット30とから構成されている。図6、図7、図8は図5の組立前の状態の部材を示すものである。
【0018】
図6に示すように、一方のセグメント100a内に埋設されている螺旋部材20は、継手ピン10の螺旋溝12に螺合するものであり、コンクリート内に埋め込まれ、その内側は中空孔21となっている。その口元23は、ラッパ状をなしている。
【0019】
図7に示すように、他方のセグメント100b内に埋設された樹脂製ソケット30は、前記継手ピン10の抜け止め溝を有する挿入部14が嵌入する孔31を備えている。樹脂製ソケット30は、外面がコンクリート中にしっかりと固定されるように、円周溝33を形成しており、孔31の口元は拡大したラッパ状部32となっている。
【0020】
図8は継手ピン10を示している。継手ピン10は、基部側は螺旋溝12を有する丸棒11と他端側に螺旋状の抜け止め溝15を有する挿入部14であり、丸棒11と挿入部14とを連結したものである。
【0021】
図1(a)は本発明の実施例のセグメントの軸方向継手の継手ピン10の側面図、図1(b)はその縦断面図である。継手ピン10は、螺旋溝12を有する基部11と連結部13と螺旋状の溝15を有する挿入部14とから構成されている。この継手ピンの軸心に孔を設け、この孔にヒータ50を挿入してある。ヒータ50は加熱部が挿入部14の部分に位置する。ヒータ50を加熱する導線51は、基部11内を通って基部端から外部に、結線部52を露出している。
【0022】
本発明の継手ピンの施工方法を、図2を参照しながら説明する。
【0023】
ここでは、高ナットとボルトを固定用アンカーとして溶接したものをセグメント内に埋設させておくとともに、継手ピンの基部側は螺旋溝に代わりねじ山を形成し、高ナットにねじ込んで固定した。また、ソケットの大きな変形を防止するため、螺旋溝にはコイルを巻いたものを用いた。
【0024】
(a)図1に示すヒータを内蔵した継手ピン10を、図2(a)に示すように、一方のセグメント100aの軸方向接続端面から、内部の固定用アンカー90にねじ込んで固定し、この継手ピン10の先端を他方のセグメント100bの内部に固定したソケット30内に挿入するように対向させる。ヒータ50の結線部52は、一方のセグメント100aの内部に設けられた開口から露出させてある。セグメントの端面にはシールパッキング103を装着しておく。
【0025】
(b)次に、図2(b)に示すように、継手ピン10の先端側の部分をソケット30に挿入し、セグメント100a、100bを締結する。セグメント100b内に挿入された継手ピン1は、図4に示すように、円周凸条16の頂部が樹脂製ソケット30の内面に食い込んでいる。
【0026】
(c)次いで、図2(c)に示すように、ヒータ50の導線51に電源60を結線しヒータ50に給電する。ヒータ50は、継手ピンの内部から、円周凸条16の頂部を介して熱伝導によりソケットの内面を加熱する。この加熱によりソケットの内面は部分的に溶融し、図3に示すように、円周凸条16はソケット30の内面に深く食い込み、またソケット30の内面は円周溝15の中に入り込み、継手ピン10とソケット30との結合が強固な形状になる。ヒータを遮断し継手ピンを冷却させるとソケットの内面は固化し、継手ピン10の引抜き荷重は著しく増加する。導線を除去し孔を埋めると作業は完了する。
【0027】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0028】
リング外径5000mm、桁高250mmであるセグメントピースを用いて本発明の実施例の試験を実施した。図1に示す継手ピン10を用いた。継手ピンは、外径24mmφ、継手ピンの断面三角形状の円周凸条は、ピッチ12mm、凸条の高さ2mmである。継手ピン及びその固定用アンカーの中心軸に、継手ピンの先端から10mmの位置まで、基部側から直径5mmφの深孔を削孔し、継手ピンの円周凸条を備えた部分の内部にニクロムヒータ50を挿入し、基部の内部に導線を内蔵させた。また継手ピンの基部側コンクリートには、コンクリート打設時に、導線用通路および通電口を確保した。このコンクリートに設けた通電口は5cm角程度と小さく、通電終了後のモルタル埋め作業工数は僅かであり問題とならない。
【0029】
ソケットは入口内径24.5mmφで奥行きが縮小した内径を有する、テーパ1゜のナイロン切削品を用いた。継手ピンの挿入速度及び引抜き速度は100mm/minと一定にした。継手ピンはセグメントのコンクリート端面相互が突合わされるまで挿入した。継手ピンの平均挿入長さは約85mmであった。
【0030】
作業手順は次のとおりである。
(1)継手ピンをソケット中に挿入して、セグメント同士を締結する。
(2)ヒータに電源をセットし、ヒータに通電し、ソケット内面を部分的に溶融させる。ヒータに通電することによって、継手ピンの円周凸条が加熱され、円周凸条の頂部が食い込んだソケット内壁部分のプラスチックが溶融する。実施例の場合は、ヒータの消費電力400Wで2分間通電した。このときコンクリート温度20℃の雰囲気で、継手ピンの円周凸条の頂部は平均温度が約170℃となった。
【0031】
(3)ヒータの通電を停止し、内面の再固化を図る。円周溝には、従来より多くの体積のプラスチックが入りこみ、ピンの引抜きに対し、強固に抵抗するようになる。
【0032】
(4)電源を取り外し、セグメントの通電口にモルタル埋めを行う。
【0033】
本発明の実施例と従来例で、溶融の有無によって、引抜き強度と目開き量を比較し、表1に示した。目開き量は、セグメントを締結した後、軸力無しで3日放置し、引抜き荷重をかけ、シックネスゲージで隙間を計測し、10個の試験体の平均値を採用した。
【0034】
【表1】
【0035】
ソケット内面の溶融操作を行わない従来例では、引抜き強度150kNにおいて目開き量が0.3mmであったが、本発明の実施例では、引抜き強度320kNで目開き量は0.05mmであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセグメントの軸方向継手は以上のように構成されているので、ソケット内面が一旦溶融し、溶融部分が継手ピンの円周溝内に深く食い込むことにより、継手ピンの引抜きに対する抵抗力が増加する。このため、セグメントの目開きも抑制され、信頼性が大幅に向上し、寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のセグメントの軸方向継手の継手の側面図である。
【図2】実施例のセグメントの軸方向継手の継手ピンの縦断面図である。
【図3】継手ピンとソケットとの関係を説明する部分断面図である。
【図4】継手ピンとソケットとの関係を説明する部分断面図である。
【図5】従来例のコンクリートセグメントの軸方向継手を示す断面図である。
【図6】螺旋部材を示す断面図である。
【図7】樹脂製ソケットの断面図である。
【図8】継手ピンの側面図である。
【図9】セグメントの接合部の断面図である。
【図10】セグメントの斜視図である。
【符号の説明】
10 継手ピン
11 丸棒
12 螺旋溝
13 連結部
14 挿入部
15 抜け止め溝
20 螺旋部材
21 中空孔
23 口元
30 樹脂製ソケット
31 孔
32 ラッパ状部
33 螺旋溝
50 ヒータ
51 導線
52 結線部
90 固定用アンカー
100(100a,100b) セグメント
101(101a,101b) 端面
102(102a,102b) 鉄筋
103(103a,103b) パッキング
105 軸方向継手
106 周方向継手
107 孔
108 モルタル注入孔
109 パッキング
Claims (2)
- 一方のセグメントに基部を固定すると共に先端側に断面が三角形状の多数の螺旋凸条又は円周凸条を有する継手ピンと、他方のセグメントに埋設され前記継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手において、前記継手ピンの螺旋凸条又は円周凸条を有する部分の内部に、ヒータを備えたことを特徴とするセグメントの軸方向継手。
- 断面が三角形状の多数の螺旋凸条又は円周凸条を有する継手ピンと、継手ピンの先端側の部分を挿入するソケットとからなるセグメントの軸方向継手をセグメントに装着するに当たり、予め、前記継手ピンの螺旋凸条又は円周凸条を有する部分の内部にヒータを装着しておき、前記継手ピンと前記ソケットとを結合した後、前記ヒータを加熱してソケットの内面を溶融固化させ、継手ピンの引抜き荷重を増加させることを特徴とするセグメントの軸方向継手の施工方法。
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CN103115721A (zh) * | 2013-02-05 | 2013-05-22 | 广东水电二局股份有限公司 | 一种盾构管片外侧渗压计的埋设装置及其安装方法 |
CN114718123A (zh) * | 2022-04-28 | 2022-07-08 | 中国一冶集团有限公司 | 一种预制顶管廊与现浇管廊对接施工方法 |
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2002
- 2002-11-20 JP JP2002335900A patent/JP2004169391A/ja not_active Withdrawn
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CN114718123B (zh) * | 2022-04-28 | 2023-10-24 | 中国一冶集团有限公司 | 一种预制顶管廊与现浇管廊对接施工方法 |
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