JP2004169219A - 壁紙 - Google Patents
壁紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004169219A JP2004169219A JP2002336158A JP2002336158A JP2004169219A JP 2004169219 A JP2004169219 A JP 2004169219A JP 2002336158 A JP2002336158 A JP 2002336158A JP 2002336158 A JP2002336158 A JP 2002336158A JP 2004169219 A JP2004169219 A JP 2004169219A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nonwoven fabric
- wallpaper
- wet
- polyolefin
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
- Paper (AREA)
Abstract
【課題】嵩高性に富み、印刷適性や表面の汚れ防止性にも優れた壁紙を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含み、光の平均反射率が45%以上であり、目付が10〜100g/m2である湿式不織布と乾式不織布とが接合一体化された表紙を用いてなる壁紙。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含み、光の平均反射率が45%以上であり、目付が10〜100g/m2である湿式不織布と乾式不織布とが接合一体化された表紙を用いてなる壁紙。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁紙に関するものであり、より詳細には嵩高性に富み、かつ耐摩耗性、印刷適性や表面の汚れ防止性に優れた壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁紙として塩化ビニル系樹脂を用いてなる壁紙が広く利用されていたが、近年、環境保護の観点から不織布を用いた壁紙が提案されており、例えば裏打ち紙に乾式不織布を配して両者を一体化した壁紙が知られている(特許文献1参照)。
また、嵩高性や汚れ防止性の向上を目的として、熱可塑性繊維を含む乾式不織布の表面に、紙または湿式不織布を配置し、積層一体化した壁紙が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これら壁紙の場合、両者の接合に水系または溶剤系の接着剤やホットメルト樹脂等を介して張り合わせ加工を行う場合がほとんどであり、接合に時間とコストがかかるという欠点があった。さらに汚れ防止性についても、壁紙の表面にコーティングする汚れ防止剤に大きく依存するものであり、決して満足できる性能を有するものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−96197号公報
【特許文献2】
特開2001−1698号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するものであり、嵩高性やエンボス適性に富み、かつ表面の磨耗強度、印刷適性や汚れ防止性に優れ、さらに経済性にも優れた壁紙を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の如き壁紙を有利に提供すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、ポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含み、光の平均反射率が45%以上であり、目付が10〜100g/m2である湿式不織布と乾式不織布とが接合一体化された表紙を用いてなる壁紙である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の壁紙は、表紙が乾式不織布とその上に積層される湿式不織布の2層から形成されている。
本発明の壁紙に用いられる湿式不織布の目付は10〜100g/m2の範囲にあることが必要で、特に10〜60g/m2が好ましい。該湿式不織布の目付が10g/m2未満では、壁紙の隠蔽性が悪くなる上、印刷適性や汚れ防止効果に欠ける。一方、目付が100g/m2を超えると、得られる壁紙が重くなって加工性が悪くなり、更にはコストアップにもつながり不経済である。
【0007】
また本発明の壁紙を構成する湿式不織布は、構成成分としてポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含む点に特徴を有する。かかるポリオレフィン系合成パルプは親水性を有するパルプ状多分岐繊維で、容易に水中に分散し通常の湿式法によりシート化することができる。該合成パルプを含有する湿式不織布は、地合の均質性に優れ、また特に隠蔽性、表面強度や表面平滑性にも富むため、表面への印刷がきれいに仕上り、さらには防汚性にも優れ、防汚撥水処理などの後処理も容易に行うことができるといった利点を有する。さらには熱融着力も強いので他のシートとの加熱接合も容易に行えるといった利点も有している。例えば、嵩高な乾式不織布と湿式不織布の2層を積層して一体化する場合、ポリオレフィン系合成パルプを含まない湿式不織布を用いた場合には、接着剤を介して両者を接合するか、エンボス処理、カレンダー処理等で加熱加圧して部分的または全体的に融着して一体化する等の手段をとる必要があり、コストや時間がかかったり、乾式不織布の嵩高性が損なわれる等の欠点を有している。一方、本発明のように湿式不織布にポリオレフィン系合成パルプが含まれる場合には、乾式不織布との積層の際に僅かの圧力を加えて加熱するだけで両者の接合が達成される。
【0008】
該ポリオレフィン系合成パルプを構成する素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンや、エチレン−プロピレン共重合体に代表されるエチレン−α−オレフィン共重合体等を用いることができるが、強度やコスト的観点からポリエチレンを用いることが好ましい。なお、ポリオレフィン系合成パルプは例えば三井化学社より「SWP」(登録商標)として市販されており、容易に入手可能である。
【0009】
本発明に用いる湿式不織布を構成する他の成分としては、一般に用いられる木材パルプ等が挙げられるが、木材パルプの他にも、コットン、ケナフ、或いはレーヨンその他の合成繊維などを用いることができる。他の繊維として合成繊維を用いる場合には、該湿式不織布の隠蔽性を向上させるために酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、白度向上を目的とした蛍光増白剤や、撥水性付与のための撥水剤など各種添加剤を加えることも可能である。
【0010】
また、壁紙には壁下地の汚れを隠す役目も要求されることから、本発明に用いる湿式不織布は光の平均反射率が45%以上であり、60%以上がより好ましい。なお、本発明にいう平均反射率は、後述する方法で測定することができ、平均反射率が高いほど隠蔽性が優れている。
【0011】
該湿式不織布の下方に配置される乾式不織布は、壁紙に嵩高性や立体感を付与するのに必要であり、樹脂結合タイプや熱融着タイプ、或いはニードルパンチや水流による絡合タイプ等が用いられる。もっとも好ましくは、嵩高性を有している熱融着タイプ、特にエアースルータイプが用いられる。乾式不織布の構成繊維としては、通常の天然繊維や合成繊維が用いられるが、特に本発明における乾式不織布においては、繊維表面がポリオレフィンである複合繊維が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上含まれていることが湿式不織布との熱接着の上で好ましい。
乾式不織布に用いるポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、あるいはこれらを変性した樹脂が用いられるが、ポリプロピレンより融点の低いポリエチレンを配合することによって、乾式不織布と湿式不織布をより低温で、大きな圧力をかけることなく、強く接合できるので、嵩を低減させるというデメリットもなく、また経済的にも好ましいことである。
【0012】
また本発明においては、乾式不織布の構成繊維の一部にレーヨンや親水性合成繊維を用いることが望ましい。すなわち、本発明の壁紙表紙と裏打ち紙とを酢酸ビニル系エマルジョンなどの接着剤を介して接合する場合、乾式不織布中に親水性繊維を混綿することにより、表紙と裏打ち紙との接着をより確実にかつ容易に行うことができるので極めて経済的である。なお、本発明においては、乾式不織布を構成する繊維の形状としては、各種用いることができるが、より嵩高な壁紙を製造する上では、中空繊維を用いることが有効である。
【0013】
湿式不織布と乾式不織布との接合は、両者を積層した状態で連続して走行するネットの間にはさみ、キャンドライヤーや熱風炉を通過させて両不織布を熱的に一体化する。両不織布をカレンダーロールやエンボスロールを用いて加熱加圧すると本発明の目的とする嵩高性が得られなくなるので不適当である。一方、嵩高性を得るため加圧の程度を下げ過ぎると両者は接合されない。
すなわち本発明においては、湿式不織布と乾式不織布とをネットにはさんで熱処理することが極めて重要である。かかる方法を採用することにより、湿式不織布中に含まれるポリオレフィン系合成パルプが両層間の接合材として作用し、同時に乾式不織布中に含まれる複合繊維のポリオレフィン成分がポリオレフィン系合成パルプ中のポリオレフィン成分と強く結びついて層間接着をより強固にする。本発明においては加熱時に強い圧力を必要としないので、乾式不織布の嵩高性がそのまま保たれるため壁紙表紙に高級感や好ましい諸特性を与えることができる。本発明に用いられるネットはポリエステルなど耐熱性のある合成樹脂フィラメントからなる織物などが用いられる。
【0014】
本発明の壁紙は、得られた表紙と裏打ち紙を接着することにより得ることができる。本発明に用いる裏打ち紙は、特に制限されないが、目付40〜150g/m2の紙を用いることが好ましい。隠蔽性が付与された紙は特に好ましい。
本発明の壁紙は、該表紙と裏打ち紙を接着後、印刷処理や防汚処理等を施し得ることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本発明の各物性値は以下の方法により測定したものである。
【0016】
・光の平均反射率(%)
自記分光光度計(島津製作所社製、UV−3101PC)を用い、標準白板として硫酸バリウムを用い、スリット巾設定値が20nmの条件下、400〜1200nmの波長域での平均反射率を求めた。
【0017】
・汚れ防止性評価
(i)液体汚染
ダイヤペースト1gを100mlのモーターオイルに分散させ、標準汚れ液を調製した。
次にポリエチレンシートの上に試験片1枚を表面(湿式不織布)が上になるよう平らに置いた。メスピペットに標準汚れ液を取り、試験片のほぼ中央に0.1ml滴下した。滴下後、試験片の上にポリエチレンシートを被い、この上に荷重(7g/cm2)を載せ、60秒間放置した。次いで、荷重を取り除き、上に被ったポリエチレンシートを除去し、汚れを拭き取り評価した。
ダイヤペーストの成分;
カーボンブラック 16.7%
牛脂極度硬化油 20.8%
流動パラフィン 62.5%
【0018】
(ii)固体汚染
学振型摩擦試験機(JIS L 0823に規定の摩擦試験機II型)の摩擦子にクレヨン(サクラクレパス社製「サクラクレヨン」ふとまき:赤色)をセロハンテープにより固定した。試験片表面をクレヨンで5往復摩擦した。但し、摩擦子の荷重は200gとし、クレヨンは先端をカットした後一度空試験を行い、角を取ってから本試験を行った。
【0019】
(iii)汚染物の拭き取り方法
1.乾拭き拭き取り
綿布(JIS L 0803に規定の添付白布)を用いて乾拭きし、丁寧に拭き取った。
2.洗剤拭き取り
綿布(JIS L 0803に規定の添付白布)に台所用合成洗剤(ライオン社製「ママレモン」)の5%水溶液を含ませて、丁寧に拭き取った後、乾拭きした。
【0020】
(iv)判定方法
JIS L 0805の汚染用グレースケールを用いて汚れを拭き取った部分と汚れの付着していない部分とを比較し、0.5級刻み、1〜5級で評価した。なお、評価は試験片に汚れが残っていない場合を5級とした。また、同時に表面状態も目視により判定した。
【0021】
実施例1
パルプ80%、ポリオレフィン系合成パルプ(三井化学社製「SWP」、ポリエチレンタイプE400)20%を含有する水分散液から湿式法によって目付42g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均光反射率は69.5%であった。一方で、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする複合繊維(3.3dtex、カット長51mm)ステープル70%と、レーヨン(3.3dtex、カット長51mm)の30%からなる目付50g/m2のカードウエブを作製し、135℃のオーブンに導入して熱融着を行い、厚み0.40mmの乾式不織布を得た。
次に、得られた2種類の不織布を積層し、ポリエステルフィラメントからなる平織のネットにはさんで50m/分の速度で連続的に135℃に加熱されたキャンドライヤー11本を合計接触時間が25秒となるよう通過させたところ、両者は強固に接合されており、目付92g/m2、厚み0.42mmの嵩高な壁紙表紙が得られた。得られた壁紙用表紙と目付100g/m2の裏打ち紙とを酢酸ビニル系エマルジョンにより接着後、湿式不織布面に印刷し、汚れ防止剤(明成化学工業社製、「ハイソフターK−10」)により防汚処理を施し、エンボス加工したところ、極めて鮮明な印刷模様と高度な防汚性とを有する壁紙が得られた。
得られた壁紙は充分な嵩高性、表面強度、エンボスパターンの安定性を具備していた。また、壁紙を用いて施工したところ隠蔽性や形態の安定性も満足のいくものであった。結果を表1に示す。
【0022】
実施例2
木材パルプ60%、ポリオレフィン系合成パルプ(三井化学社製「SWP」、ポリエチレンタイプEST−8)30%、ポリエステルステープル(1.1dtex、カット長3mm)10%を含む水分散液から湿式法によって目付30g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均反射率は55%であった。一方で、ポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする複合繊維ステープル(2.2dtex、カット長41mm)60%と、耐久性親水性油剤(主成分:ポリオキシ脂肪酸アミド、アルキルホスフェート塩等)の付与されたポリエステル繊維(5.5dtex、カット長51mm)40%からなる目付40g/m2のカードウエブを作製し、150℃の熱風炉中で熱融着し厚み0.43mmの乾式不織布を得た。
得られた2種類の不織布を積層し、実施例1と同様の処理したところ、両者は強固に接合されており、目付70g/m2、厚み0.44mmの嵩高な壁紙表紙が得られた。次いで、実施例1と同様に後加工を施し、壁紙を得た(表1)。
【0023】
比較例1
コットンリンター45%と芯成分がポリエステル、鞘成分がポリエチレンである複合繊維ステープル(1.7dtex、カット長3mm)45%、ポリエステルステープル(2.9dtex、カット長3mm)10%を含む水分散液から湿式法によって目付30g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均反射率は28%であった。この湿式不織布と実施例2で用いた乾式不織布とを積層し、130℃に加熱されたカレンダーロールで処理し取り出したところ、両者の接着は不充分で、容易に手で剥離してしまった。しかも厚みは0.32mmしかなかった。
この不織布の湿式不織布面に印刷及び防汚の後加工を施したところ、印刷模様は不鮮明であり、かつ防汚性、隠蔽性や表面強度も著しく劣っていた(表1)。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明により、嵩高性に優れ、表面の強度、印刷鮮明性や防汚性にも優れた壁紙を経済的に提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁紙に関するものであり、より詳細には嵩高性に富み、かつ耐摩耗性、印刷適性や表面の汚れ防止性に優れた壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁紙として塩化ビニル系樹脂を用いてなる壁紙が広く利用されていたが、近年、環境保護の観点から不織布を用いた壁紙が提案されており、例えば裏打ち紙に乾式不織布を配して両者を一体化した壁紙が知られている(特許文献1参照)。
また、嵩高性や汚れ防止性の向上を目的として、熱可塑性繊維を含む乾式不織布の表面に、紙または湿式不織布を配置し、積層一体化した壁紙が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これら壁紙の場合、両者の接合に水系または溶剤系の接着剤やホットメルト樹脂等を介して張り合わせ加工を行う場合がほとんどであり、接合に時間とコストがかかるという欠点があった。さらに汚れ防止性についても、壁紙の表面にコーティングする汚れ防止剤に大きく依存するものであり、決して満足できる性能を有するものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−96197号公報
【特許文献2】
特開2001−1698号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するものであり、嵩高性やエンボス適性に富み、かつ表面の磨耗強度、印刷適性や汚れ防止性に優れ、さらに経済性にも優れた壁紙を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の如き壁紙を有利に提供すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、ポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含み、光の平均反射率が45%以上であり、目付が10〜100g/m2である湿式不織布と乾式不織布とが接合一体化された表紙を用いてなる壁紙である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の壁紙は、表紙が乾式不織布とその上に積層される湿式不織布の2層から形成されている。
本発明の壁紙に用いられる湿式不織布の目付は10〜100g/m2の範囲にあることが必要で、特に10〜60g/m2が好ましい。該湿式不織布の目付が10g/m2未満では、壁紙の隠蔽性が悪くなる上、印刷適性や汚れ防止効果に欠ける。一方、目付が100g/m2を超えると、得られる壁紙が重くなって加工性が悪くなり、更にはコストアップにもつながり不経済である。
【0007】
また本発明の壁紙を構成する湿式不織布は、構成成分としてポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含む点に特徴を有する。かかるポリオレフィン系合成パルプは親水性を有するパルプ状多分岐繊維で、容易に水中に分散し通常の湿式法によりシート化することができる。該合成パルプを含有する湿式不織布は、地合の均質性に優れ、また特に隠蔽性、表面強度や表面平滑性にも富むため、表面への印刷がきれいに仕上り、さらには防汚性にも優れ、防汚撥水処理などの後処理も容易に行うことができるといった利点を有する。さらには熱融着力も強いので他のシートとの加熱接合も容易に行えるといった利点も有している。例えば、嵩高な乾式不織布と湿式不織布の2層を積層して一体化する場合、ポリオレフィン系合成パルプを含まない湿式不織布を用いた場合には、接着剤を介して両者を接合するか、エンボス処理、カレンダー処理等で加熱加圧して部分的または全体的に融着して一体化する等の手段をとる必要があり、コストや時間がかかったり、乾式不織布の嵩高性が損なわれる等の欠点を有している。一方、本発明のように湿式不織布にポリオレフィン系合成パルプが含まれる場合には、乾式不織布との積層の際に僅かの圧力を加えて加熱するだけで両者の接合が達成される。
【0008】
該ポリオレフィン系合成パルプを構成する素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンや、エチレン−プロピレン共重合体に代表されるエチレン−α−オレフィン共重合体等を用いることができるが、強度やコスト的観点からポリエチレンを用いることが好ましい。なお、ポリオレフィン系合成パルプは例えば三井化学社より「SWP」(登録商標)として市販されており、容易に入手可能である。
【0009】
本発明に用いる湿式不織布を構成する他の成分としては、一般に用いられる木材パルプ等が挙げられるが、木材パルプの他にも、コットン、ケナフ、或いはレーヨンその他の合成繊維などを用いることができる。他の繊維として合成繊維を用いる場合には、該湿式不織布の隠蔽性を向上させるために酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、白度向上を目的とした蛍光増白剤や、撥水性付与のための撥水剤など各種添加剤を加えることも可能である。
【0010】
また、壁紙には壁下地の汚れを隠す役目も要求されることから、本発明に用いる湿式不織布は光の平均反射率が45%以上であり、60%以上がより好ましい。なお、本発明にいう平均反射率は、後述する方法で測定することができ、平均反射率が高いほど隠蔽性が優れている。
【0011】
該湿式不織布の下方に配置される乾式不織布は、壁紙に嵩高性や立体感を付与するのに必要であり、樹脂結合タイプや熱融着タイプ、或いはニードルパンチや水流による絡合タイプ等が用いられる。もっとも好ましくは、嵩高性を有している熱融着タイプ、特にエアースルータイプが用いられる。乾式不織布の構成繊維としては、通常の天然繊維や合成繊維が用いられるが、特に本発明における乾式不織布においては、繊維表面がポリオレフィンである複合繊維が少なくとも40%以上、好ましくは60%以上含まれていることが湿式不織布との熱接着の上で好ましい。
乾式不織布に用いるポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、あるいはこれらを変性した樹脂が用いられるが、ポリプロピレンより融点の低いポリエチレンを配合することによって、乾式不織布と湿式不織布をより低温で、大きな圧力をかけることなく、強く接合できるので、嵩を低減させるというデメリットもなく、また経済的にも好ましいことである。
【0012】
また本発明においては、乾式不織布の構成繊維の一部にレーヨンや親水性合成繊維を用いることが望ましい。すなわち、本発明の壁紙表紙と裏打ち紙とを酢酸ビニル系エマルジョンなどの接着剤を介して接合する場合、乾式不織布中に親水性繊維を混綿することにより、表紙と裏打ち紙との接着をより確実にかつ容易に行うことができるので極めて経済的である。なお、本発明においては、乾式不織布を構成する繊維の形状としては、各種用いることができるが、より嵩高な壁紙を製造する上では、中空繊維を用いることが有効である。
【0013】
湿式不織布と乾式不織布との接合は、両者を積層した状態で連続して走行するネットの間にはさみ、キャンドライヤーや熱風炉を通過させて両不織布を熱的に一体化する。両不織布をカレンダーロールやエンボスロールを用いて加熱加圧すると本発明の目的とする嵩高性が得られなくなるので不適当である。一方、嵩高性を得るため加圧の程度を下げ過ぎると両者は接合されない。
すなわち本発明においては、湿式不織布と乾式不織布とをネットにはさんで熱処理することが極めて重要である。かかる方法を採用することにより、湿式不織布中に含まれるポリオレフィン系合成パルプが両層間の接合材として作用し、同時に乾式不織布中に含まれる複合繊維のポリオレフィン成分がポリオレフィン系合成パルプ中のポリオレフィン成分と強く結びついて層間接着をより強固にする。本発明においては加熱時に強い圧力を必要としないので、乾式不織布の嵩高性がそのまま保たれるため壁紙表紙に高級感や好ましい諸特性を与えることができる。本発明に用いられるネットはポリエステルなど耐熱性のある合成樹脂フィラメントからなる織物などが用いられる。
【0014】
本発明の壁紙は、得られた表紙と裏打ち紙を接着することにより得ることができる。本発明に用いる裏打ち紙は、特に制限されないが、目付40〜150g/m2の紙を用いることが好ましい。隠蔽性が付与された紙は特に好ましい。
本発明の壁紙は、該表紙と裏打ち紙を接着後、印刷処理や防汚処理等を施し得ることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本発明の各物性値は以下の方法により測定したものである。
【0016】
・光の平均反射率(%)
自記分光光度計(島津製作所社製、UV−3101PC)を用い、標準白板として硫酸バリウムを用い、スリット巾設定値が20nmの条件下、400〜1200nmの波長域での平均反射率を求めた。
【0017】
・汚れ防止性評価
(i)液体汚染
ダイヤペースト1gを100mlのモーターオイルに分散させ、標準汚れ液を調製した。
次にポリエチレンシートの上に試験片1枚を表面(湿式不織布)が上になるよう平らに置いた。メスピペットに標準汚れ液を取り、試験片のほぼ中央に0.1ml滴下した。滴下後、試験片の上にポリエチレンシートを被い、この上に荷重(7g/cm2)を載せ、60秒間放置した。次いで、荷重を取り除き、上に被ったポリエチレンシートを除去し、汚れを拭き取り評価した。
ダイヤペーストの成分;
カーボンブラック 16.7%
牛脂極度硬化油 20.8%
流動パラフィン 62.5%
【0018】
(ii)固体汚染
学振型摩擦試験機(JIS L 0823に規定の摩擦試験機II型)の摩擦子にクレヨン(サクラクレパス社製「サクラクレヨン」ふとまき:赤色)をセロハンテープにより固定した。試験片表面をクレヨンで5往復摩擦した。但し、摩擦子の荷重は200gとし、クレヨンは先端をカットした後一度空試験を行い、角を取ってから本試験を行った。
【0019】
(iii)汚染物の拭き取り方法
1.乾拭き拭き取り
綿布(JIS L 0803に規定の添付白布)を用いて乾拭きし、丁寧に拭き取った。
2.洗剤拭き取り
綿布(JIS L 0803に規定の添付白布)に台所用合成洗剤(ライオン社製「ママレモン」)の5%水溶液を含ませて、丁寧に拭き取った後、乾拭きした。
【0020】
(iv)判定方法
JIS L 0805の汚染用グレースケールを用いて汚れを拭き取った部分と汚れの付着していない部分とを比較し、0.5級刻み、1〜5級で評価した。なお、評価は試験片に汚れが残っていない場合を5級とした。また、同時に表面状態も目視により判定した。
【0021】
実施例1
パルプ80%、ポリオレフィン系合成パルプ(三井化学社製「SWP」、ポリエチレンタイプE400)20%を含有する水分散液から湿式法によって目付42g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均光反射率は69.5%であった。一方で、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする複合繊維(3.3dtex、カット長51mm)ステープル70%と、レーヨン(3.3dtex、カット長51mm)の30%からなる目付50g/m2のカードウエブを作製し、135℃のオーブンに導入して熱融着を行い、厚み0.40mmの乾式不織布を得た。
次に、得られた2種類の不織布を積層し、ポリエステルフィラメントからなる平織のネットにはさんで50m/分の速度で連続的に135℃に加熱されたキャンドライヤー11本を合計接触時間が25秒となるよう通過させたところ、両者は強固に接合されており、目付92g/m2、厚み0.42mmの嵩高な壁紙表紙が得られた。得られた壁紙用表紙と目付100g/m2の裏打ち紙とを酢酸ビニル系エマルジョンにより接着後、湿式不織布面に印刷し、汚れ防止剤(明成化学工業社製、「ハイソフターK−10」)により防汚処理を施し、エンボス加工したところ、極めて鮮明な印刷模様と高度な防汚性とを有する壁紙が得られた。
得られた壁紙は充分な嵩高性、表面強度、エンボスパターンの安定性を具備していた。また、壁紙を用いて施工したところ隠蔽性や形態の安定性も満足のいくものであった。結果を表1に示す。
【0022】
実施例2
木材パルプ60%、ポリオレフィン系合成パルプ(三井化学社製「SWP」、ポリエチレンタイプEST−8)30%、ポリエステルステープル(1.1dtex、カット長3mm)10%を含む水分散液から湿式法によって目付30g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均反射率は55%であった。一方で、ポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする複合繊維ステープル(2.2dtex、カット長41mm)60%と、耐久性親水性油剤(主成分:ポリオキシ脂肪酸アミド、アルキルホスフェート塩等)の付与されたポリエステル繊維(5.5dtex、カット長51mm)40%からなる目付40g/m2のカードウエブを作製し、150℃の熱風炉中で熱融着し厚み0.43mmの乾式不織布を得た。
得られた2種類の不織布を積層し、実施例1と同様の処理したところ、両者は強固に接合されており、目付70g/m2、厚み0.44mmの嵩高な壁紙表紙が得られた。次いで、実施例1と同様に後加工を施し、壁紙を得た(表1)。
【0023】
比較例1
コットンリンター45%と芯成分がポリエステル、鞘成分がポリエチレンである複合繊維ステープル(1.7dtex、カット長3mm)45%、ポリエステルステープル(2.9dtex、カット長3mm)10%を含む水分散液から湿式法によって目付30g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の平均反射率は28%であった。この湿式不織布と実施例2で用いた乾式不織布とを積層し、130℃に加熱されたカレンダーロールで処理し取り出したところ、両者の接着は不充分で、容易に手で剥離してしまった。しかも厚みは0.32mmしかなかった。
この不織布の湿式不織布面に印刷及び防汚の後加工を施したところ、印刷模様は不鮮明であり、かつ防汚性、隠蔽性や表面強度も著しく劣っていた(表1)。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明により、嵩高性に優れ、表面の強度、印刷鮮明性や防汚性にも優れた壁紙を経済的に提供することができる。
Claims (2)
- ポリオレフィン系合成パルプを10〜50質量%含み、光の平均反射率が45%以上であり、目付が10〜100g/m2である湿式不織布と乾式不織布とが接合一体化された表紙を用いてなる壁紙。
- 該乾式不織布が40%以上の複合繊維を含み、該複合繊維の表面がポリオレフィン系樹脂からなる請求項1記載の壁紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002336158A JP2004169219A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 壁紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002336158A JP2004169219A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 壁紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004169219A true JP2004169219A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32700072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002336158A Withdrawn JP2004169219A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 壁紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004169219A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007040792A (ja) * | 2005-08-02 | 2007-02-15 | Japan Synthetic Textile Inspection Inst Foundation | 拭き取り性試験方法及び装置 |
JP2007077526A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 壁紙用裏打ち紙 |
JP2012159144A (ja) * | 2011-02-01 | 2012-08-23 | Toshiba Home Technology Corp | 真空断熱材およびそれを使用したホルダ |
-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002336158A patent/JP2004169219A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007040792A (ja) * | 2005-08-02 | 2007-02-15 | Japan Synthetic Textile Inspection Inst Foundation | 拭き取り性試験方法及び装置 |
JP2007077526A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 壁紙用裏打ち紙 |
JP2012159144A (ja) * | 2011-02-01 | 2012-08-23 | Toshiba Home Technology Corp | 真空断熱材およびそれを使用したホルダ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101084890B1 (ko) | 부드럽고 부피가 큰 복합 직물 | |
JP4521274B2 (ja) | 多層不織布 | |
EP1697121B1 (en) | Ultrasonically laminated multi-ply fabrics | |
JP6960719B2 (ja) | ウェットワイプス用不織布及びその製造方法 | |
JP2014133959A (ja) | プリント用不織布及びプリント不織布 | |
JP2004169219A (ja) | 壁紙 | |
JP2009287149A (ja) | 化繊混抄紙及び紙製ワイパー | |
JP4122182B2 (ja) | 印刷性に優れたカイロ包材用不織布および使い捨てカイロ | |
JP5313488B2 (ja) | ウェットワイパー用基材シート及びウェットワイパー | |
JP4109438B2 (ja) | 表層材および壁紙とその製造方法 | |
JP4098439B2 (ja) | 包装材、その製造方法および包装袋 | |
JP4424541B2 (ja) | 水解紙の製造方法および水解紙 | |
JP4459508B2 (ja) | 使い捨て衛生材料 | |
JP6804288B2 (ja) | セルロース繊維不織布/pp樹脂繊維不織布の複層不織布 | |
JP2001192954A (ja) | 壁紙用不織布 | |
JP7430052B2 (ja) | 不織布及び自動車内装用表皮材 | |
JP2001030395A (ja) | 積層加工紙 | |
JP5134929B2 (ja) | 化繊混抄紙 | |
JPH0236574Y2 (ja) | ||
TW404994B (en) | Textured nonwoven composite material and method for making the same | |
JP2003251725A (ja) | 内装材基材用積層体、内装材基材、及び内装材 | |
JPH04344235A (ja) | 印刷用シート | |
JP3348083B2 (ja) | 壁 紙 | |
JP2001355171A (ja) | ハードボード及び間仕切 | |
JPH05195401A (ja) | 不織布接着芯地 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050302 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070126 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070717 |