JP2004168638A - 酸化セリウム粒子及び多段階焼成による製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セリウム化合物を常温から昇温して400〜1200℃の温度範囲まで加熱を行い酸化セリウム粒子を製造する方法であり、少なくとも2〜60℃/時間の昇温速度からなる昇温段階を経る酸化セリウム粒子の製造方法。2〜60℃/時間の昇温速度からなる段階が、常温から昇温して200〜350℃の温度範囲に達するまで続けられる第1段階目の昇温である製造方法。第1段階目の昇温の後、2〜200℃/時間の第2段階目の昇温を行い、400〜1200℃の範囲まで加熱する製造方法である。
【選択図】 なし
Description
一次粒子径の中央値が30〜250nmであり粒子径の中央値が150〜600nmである酸化セリウム粒子を媒体に分散させたスラリーを含む酸化セリウム研磨剤が開示されている。炭酸セリウムを800℃で2時間焼成することにより、一次粒子径の分布の中央値が190nm、比表面積が10m2/gの酸化セリウムが、また炭酸セリウムを700℃で2時間焼成することにより、一次粒子径の分布の中央値が50nm、比表面積が40m2/gの酸化セリウムが得られると記載されている。(例えば、特許文献2参照。)
炭酸セリウムを相対湿度80%以上の高湿度下で、60〜100℃の温度範囲にて加湿加熱処理を行いモノオキシ炭酸セリウムにした後、焼成することを特徴とする酸化第二セリウムの製法が開示されている。比較例に、六角板状の炭酸セリウムを400℃で2時間焼成して比表面積が112m2/gの酸化セリウムが得られ、更に800℃で5時間再焼成するにより2.7m2/gの酸化セリウムが得られていることが記載されて
いる。(例えば、特許文献3参照。)
第2観点として、2〜60℃/時間の昇温速度からなる段階が、常温から昇温して200〜350℃の温度範囲に達するまで続けられる第1段階目の昇温である第1観点に記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第3観点として、第1段階目の昇温の後、2〜200℃/時間の第2段階目の昇温を行い、400〜1200℃の範囲まで加熱する第2観点に記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第4観点として、400〜1200℃の温度範囲に達した後、その温度で10分〜240時間保持する第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第5観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の方法に基づきセラミックス製容器中で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該容器内の粉末の表層部と内部との酸化セリウム粒子のガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)の差が、該容器の全体の酸化セリウム粒子のBET法換算粒子径の平均値に対し20%以内にある酸化セリウム粉末、
第6観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の方法に基づき複数のセラミックス製容器中で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該容器間の酸化セリウム粒子がガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)の標準偏差と、BET法換算粒子径の平均値とが、〔(標準偏差)/(平均値)〕×100の割合で3〜10の範囲にある酸化セリウム粉末、
第7観点として、シリカを主成分とする基板の研磨に使用される第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の酸化セリウム粉末から製造される水性酸化セリウムスラリー、及び
第8観点として、シリカを主成分とする基板の研磨が、水晶、フォトマスク用石英ガラス、半導体デバイスの有機膜、低誘電率膜、層間絶縁膜の研磨、トレンチ分離、及びガラス製ハードディスク基板の研磨である第7観点に記載の水性酸化セリウムスラリーである。
600〜1100℃の範囲まで加熱を行う方法で目的の酸化セリウム粒子が得られる。
この水性酸化セリウムスラリーは、酸性物質の添加によりpH1〜6に調整することができる。これらの物質としては、硝酸、塩酸、酢酸等が挙げられる。
また、水性酸化セリウムスラリーは、塩基性物質の添加によりpH8〜13に調整することができる。これらの塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムの他にエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びアンモニア等が挙げられる。
本願発明の水性酸化セリウムスラリーは、水溶性高分子、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を添加することができる。例えば、ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、メタクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩等の水溶性高分子類、オレイン酸アンモニウム、ラウリル酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタアンモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの添加量としては、酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01〜300重量部の割合で添加することができる。
(1)pH測定
pH計((株)東亜電波工業製HM−30S)を用いて測定した。
(2)電気伝導度の測定
電気伝導度計((株)東亜電波工業製CM−30G)を用いて測定した。
(3)レーザー回折法による平均粒子径の測定
レーザー回折法粒子径測定装置MASTERSIZER2000(MALVERN社製)を用いて平均粒子径を測定した。
(4)ガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)
予め所定の条件で乾燥した試料を窒素吸着法比表面積計(QUNTACHROME社製、MONOSORB MS−16型)を用いて比表面積の値を測定し、その測定値からBET法換算粒子径を計算した。
(5)走査型電子顕微鏡による炭酸セリウム水和物及び酸化セリウムの一次粒子径の観察
試料を走査型電子顕微鏡((株)日本電子(株)製、FE−SEM S−4100)にて、その観察試料の電子顕微鏡写真を撮影して一次粒子径を観察した。
(6)粉末X線回折の測定
粉末X線回折装置((理学電機(株)製)を用いて、焼成して得られた化合物を同定した。また酸化セリウムのhkl(111)ピークの半値幅を測定し、デバイ・シュラー法によりX線結晶子径を求めた。
(7)小粒子量の測定方法
純水で固形分17重量%に希釈した粉砕スラリー37gを50mlの遠心管に仕込み3000rpm(G=1000)で10分間遠心分離した後、上澄み液を22.5g採取し、110℃で乾燥して得られた粉末の重量を遠心前のスラリー中の固形分で割
り、小粒子量を求めた。この小粒子は、透過型電子顕微鏡で30nmより小さい粒子であった。
(8)大粒子のBET径粒子径の測定および透過型電子顕微鏡観察
純水で固形分15重量%に希釈した粉砕スラリー115gを100mlのガラス製沈降管に仕込み、1日後、底部から2mlのスラリーを回収した。回収したスラリーを所定の条件で乾燥した後、(4)と同様に比表面積値を測定し、BET法換算粒子径を求めた。またスラリーを乾燥し、粒子の一次粒子径を走査型電子顕微鏡で観察した。
(9)0.2μm以上の残留パーティクル数の測定
研磨試験したウェハーを洗浄後、パーティクル測定装置Surfscan6420(Tencor社製)を用いてウェハー1枚当りの面上に残留する0.2μm以上のパーティクル数及びスクラッチ数を測定した。
(10)研磨試験後の残存酸化膜厚測定
研磨したウェハーの残存酸化膜厚さを酸化膜厚計NANOSPEC AFT5100(NANOSPEC社製)で測定し、初期酸化膜厚さ(10000Å)から研磨速度を計算した。
(研磨用組成物の調整)
実験例1
走査型電子顕微鏡観察で2〜10μmの板状粒子を有し、レーザー回折法の平均粒子径が38μmの炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%含有していた。)20gを磁製ルツボに仕込み、蓋をした後、電気炉に仕込み、30℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた10分後に、ルツボを電気炉から取り出し粉末(A−1)が10.2g得られた。粉末(A−1)をX線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、またX線結晶子径は9.6nmであった。またこの粉末(A−1)の比表面積は163m2/gで、ガス吸着法による比表面積から概算した粒子径(以後BET法換算粒子径と記す)は5.1nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有していた。)20gを磁製ルツボに仕込み、蓋をした後、電気炉に仕込み、60℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた10分後に、ルツボを電気炉から取り出し、粉末(A−2)11.6gが得られた。粉末(A−2)を、X線回折装置で測定したところオキシ炭酸セリウムと酸化セリウムの混合物であった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有していた。)20gを各々3個の磁製ルツボに仕込み、蓋をした後、電気炉に仕込み、30℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた後、350℃〜770℃まで120℃/hrで上げ、770℃で15時間保持した後、冷却し、粉体(B−3−1〜3)が8.6g得られた。粉末(B−3−1〜3)を、粉末X線回折装置で測定したところ酸化セリウムであり、ルツボの表層部と内部では比表面積は異なり、表層部は各々14.7、14.1、及び13.8m2/gで、BET法概算粒子径は各々57、59、及び61nmであった。内部は各々16.8、16.3、及び16.5m2/gで、BET法概算粒子径は各々50、51、及び51nmであった。表層部と内部をそれぞれ3箇所を測定してその3箇所の平均値はそれぞれ、53.5、55.0、及び56.0nmであるから、上記3箇所について表層部と内部のBET法換算粒子径の差はBET法換算粒子径の平均値に対して13、15、及び18%であった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有していた。)20gを磁製ルツボに仕込み、蓋をした後、電気炉に仕込み、120℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた10分後に、ルツボを電気炉から取り出し粉末(C−1)が12.4g得られた。粉末(C−1)を、粉末X線回折装置で測定したところオキシ炭酸セリウムと酸化セリウムに加え、微量の炭酸セリウム水和物が検出された。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有していた。)20gを磁製ルツボに仕込み、蓋をした後、電気炉に仕込み、480℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた10分後に、ルツボを電気炉から取り出し粉末(C−2)が14.6g得られた。粉末(C−2)を、粉末X線回折装置で測定したところ炭酸セリウム水和物とオキシ炭酸セリウムと酸化セリウムの混合物であった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物を280mm×237mm×深さ97mmのアルミナ質容器24個に各々3kg充填し、0.5m3電気炉に仕込んだ後、60℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げ、350℃で5時間保持した。続けて764℃まで120℃/時間の昇温速度で上げ、764℃で15時間保持した。24個のアルナナ質容器から各々1.5kgの粉末が得られ、粉末X線回折装置で測定したところ、いずれも酸化セリウムであった。酸化セリウムの24サンプルのBET法換算粒子径を測定したところ、平均値は、57.8nm、標準偏差は4.6nmであり、〔標準偏差/平均値〕×100の割合は8で、BET換算粒子径の分布がシャープな酸化セリウム粉末が得られた。この酸化セリウム粉末を査型電子顕微鏡観察したところ、20〜40nmの一次粒子径を有する凝集粒子であった。
半径15cm×長さ73cmのポリエチレンを内張りしたSUS製容器に1mmφの部分安定化ジルコニアビーズ135kgを仕込み、ここで得られた酸化セリウム粉末13.5kg、純水27kg及び10%硝酸186gを仕込み、35rpmで6時間粉砕した。純水で水押し洗浄しながらビーズ分離した後、固形分濃度20重量%、pH5.3、電気伝導度47μm/Sの水性酸化セリウムスラリーを得た。このスラリーを300℃で乾燥した粉のBET法換算粒子径は37nmであった。またレーザー回折法の平均粒子径は175nmであった。このスラリーの30nmより小さい小粒子の割合は12.6%で、大粒子のBET換算粒子径は45.7nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物を280mm×237mm×深さ97mmのアルミナ質容器63個に各々3kg充填し、2m3ガス焼成炉に仕込んだ後、120℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げ、350℃で5時間保持した。続けて750℃まで120℃/時間の昇温速度で上げ、750℃で15時間保持した。63個のアルナ質容器から各々1.5kgの粉末が得られ、いずれも酸化セリウムであった。63サンプルの酸化セリウムのBET法換算粒子径を測定したところ、平均値は、58.5nm、標準偏差は14.0nmであり、〔標準偏差/平均値〕×100の割合は24で、BET換算粒子径の分布がブロードな酸化セリウム粒子群が得られた。この酸化セリウム粉末を走査型電子顕微鏡観察したところ、20〜40nmの一次粒子径を有する凝集粒子以外に板状炭酸セリウム粒子の形骸粒子及び400nm〜500nmの一次粒子も観察された。
半径15cm×長さ73cmのポリエチレンを内張りしたSUS製容器に1mmφの部分安定化ジルコニアビーズ135kgを仕込み、ここで得られた酸化セリウム粉末13.5kg、純水27kg及び10%硝酸186gを仕込み、35rpmで6時間粉砕した。純水で水押し洗浄しながらビーズ分離した後、固形分濃度20重量%、pH4.5、電気伝導度82μm/Sの水性酸化セリウムスラリーを得た。このスラリーを300℃で乾燥した粉のBET法換算粒子径は40nmであった。またレーザー回折法の平均粒子径は185nmであった。このスラリーの30nmより小さい小粒子の割合は13.9%であった。また大粒子のBET換算粒子径は44.8nmであり、粒子を透過型電子顕微鏡観察したところ、実施例3で認められなかった1μm以上の粗大粒子が観察された。
〔表1〕
第1表
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
研磨速度 0.2μm以上の スクラッチ数
残存パーティクル数
(nm/分) (個/ウェハー)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例4 76 11 少ない
比較例3 77 21 多い
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1表から、実施例4と比較例3を比較した場合、BET法換算粒子径が均一な酸化セリウム粒子から製造した実施例3の方が、残留パーティクル数及びスクラッチ数が少なく、優れた研磨特性が得られていることがわかる。
Claims (8)
- セリウム化合物を常温から昇温して400〜1200℃の温度範囲まで加熱を行い酸化セリウム粒子を製造する方法であり、少なくとも2〜60℃/時間の昇温速度からなる昇温段階を経る酸化セリウム粒子の製造方法。
- 2〜60℃/時間の昇温速度からなる段階が、常温から昇温して200〜350℃の温度範囲に達するまで続けられる第1段階目の昇温である請求項1に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- 第1段階目の昇温の後、2〜200℃/時間の第2段階目の昇温を行い、400〜1200℃の範囲まで加熱する請求項2に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- 400〜1200℃の温度範囲に達した後、その温度で10分〜240時間保持する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法に基づきセラミックス製容器中で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該容器内の粉末の表層部と内部との酸化セリウム粒子のガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)の差が、該容器の全体の酸化セリウム粒子のBET法換算粒子径の平均値に対し20%以内にある酸化セリウム粉末。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法に基づき複数のセラミックス製容器中で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該容器間の酸化セリウム粒子がガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)の標準偏差と、BET法換算粒子径の平均値とが、〔(標準偏差)/(平均値)〕×100の割合で3〜10の範囲にある酸化セリウム粉末。
- シリカを主成分とする基板の研磨に使用される請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化セリウム粉末から製造される水性酸化セリウムスラリー。
- シリカを主成分とする基板の研磨が、水晶、フォトマスク用石英ガラス、半導体デバイスの有機膜、低誘電率膜、層間絶縁膜の研磨、トレンチ分離、及びガラス製ハードディスク基板の研磨である請求項7に記載の水性酸化セリウムスラリー。
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