JP6598719B2 - シリカ系複合粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
シャロートレンチ素子分離工程では、酸化ケイ素膜の研磨だけではなく、窒化ケイ素膜の研磨も行われる。素子分離を容易にするためには、酸化ケイ素膜の研磨速度が高く、窒化ケイ素膜の研磨速度が低い事が望ましく、この研磨速度比(選択比)も重要である。
このような仕上げ研磨としての2次研磨に用いる研磨剤に関して、従来、例えば次のような方法等が提案されている。
これは、焼成工程を含むセリア粒子の製造方法(焼成によりセリア粒子の結晶化度が高まる)に比べて、特許文献1に記載の酸化セリウム超微粒子の製法は、焼成工程を含まず、液相(硝酸第一セリウムを含む水溶液)から酸化セリウム粒子を結晶化させるだけなので、生成する酸化セリウム粒子の結晶化度が相対的に低く、また、焼成処理を経ないため酸化セリウムが母粒子と固着せず、酸化セリウムが研磨基材の表面に残留することが主要因であると、本発明者は推定している。
本発明は、以下の[1]〜[8]である。
[1]下記の工程1〜工程3を含むことを特徴とするシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
工程1:平均粒子径が40〜600nmの範囲にあり、画像解析法で測定された短径/長径比が0.95〜1.0の範囲にあるシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を、撹拌条件下、温度範囲5〜98℃、pH範囲7.0〜9.0に維持しながら、セリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子分散液を得る工程。
工程2:前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、温度範囲400〜1,200℃で焼成し、その後、解砕・粉砕し、粉体を得る工程。
工程3:前記粉体を溶媒に分散させてなる分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合粒子分散液を得る工程。
[2]前記シリカ微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(1)及び(2)のとおりであることを特徴とする上記[1]記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
(1)Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(2)U、Th、Cl、NO3、SO4およびFの含有率が、それぞれ5ppm以下。
[3]前記工程1において、シリカ微粒子分散液の温度範囲を48〜52℃として、前駆体粒子分散液を調製し、更に該前駆体粒子分散液を温度90〜98℃で熟成することを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
[4]前記工程1における、セリウムの金属塩の添加を0.5〜24時間かけて行うことを特徴とする上記[1]〜上記[3]の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
[5]前記工程1において、シリカ微粒子分散液のpH範囲を7.0〜9.0に維持するためにアルカリを添加することを特徴とする上記[1]〜上記[4]の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
[6]前記工程2において、更に、乾燥前の前駆体粒子分散液のpHを6.0〜7.0とすることを特徴とする上記[1]〜上記[5]の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
[7]前記工程3で得られたシリカ系複合微粒子分散液を、相対遠心加速度300G以上での遠心分離処理と沈降成分除去を1回以上繰り返してなる上記[1]〜上記[6]の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
[8]上記[1]〜上記[7]の何れかに記載の製造方法よって得られるシリカ系複合粒子分散液を、更に乾燥させてシリカ系複合粒子を得る、シリカ系複合粒子の製造方法。
本発明のシリカ系複合粒子分散液の製造方法においては、原料として、シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液とセリウムの金属塩を使用する。
1)シリカ微粒子分散液
原料として使用するシリカ微粒子分散液(シリカゾル)は、非晶質のシリカ微粒子が溶媒に分散してなるものである。
前記シリカ微粒子において、Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの各元素(以下、「特定不純物群1」と称する場合がある)の含有率が、それぞれ100ppm以下であることが好ましい。さらに50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましく、1ppm以下であることがよりいっそう好ましい。また、前記シリカ微粒子におけるU、Th、Cl、NO3、SO4及びFの各元素(以下、「特定不純物群2」と称する場合がある)の含有率は、それぞれ5ppm以下であることが好ましい。
一般に水硝子を原料として調製したシリカ微粒子は、原料水硝子に由来する前記特定不純物群1と前記特定不純物群2を合計で数千ppm程度含有する。
このようなシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液の場合、イオン交換処理を行って前記特定不純物群1と前記特定不純物群2の含有率を下げることは可能であるが、その場合でも前記特定不純物群1と前記特定不純物群2が合計で数ppmから数百ppm残留する。そのため水硝子を原料としたシリカ粒子を用いる場合は、酸処理等で不純物低減させることも行われている。
これに対し、アルコキシシランを原料として合成したシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液の場合、通常、前記特定不純物群1と前記特定不純物群2の含有率は、各元素それぞれ20ppm以下である。
なお、本発明において、シリカ微粒子におけるNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの各々の含有率は、それぞれ次の方法を用いて測定して求めた値とする。
・Na及びK:原子吸光分光分析
・Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びTh:ICP(誘導結合プラズマ発光分光分析)
・Cl:電位差滴定法
・NO3、SO4及びF:イオンクロマトグラフ
本発明のシリカ系複合粒子分散液の製造方法において、シリカ微粒子の平均粒子径が40〜600nmの範囲にある場合、得られたシリカ系複合粒子分散液は、研磨用途に適用した際に、優れた研磨速度を発揮し、更に被研磨基材上でのスクラッチの発生を抑制されたものとなる。前記シリカ微粒子の平均粒子径が40nm未満の場合、研磨用途において、研磨速度が不足したり、粒子の安定性に問題が生じたりするので好ましくない。同じく前記シリカ微粒子の平均粒子径が600nmを超える場合、研磨用途においてスクラッチが生じやすくなる傾向がある。
シリカ微粒子を水に分散させ、固形分濃度で1質量%のシリカ微粒子分散液を得た後、このシリカ微粒子分散液を、公知の動的光散乱法による粒子径測定装置(例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置や、大塚電子社製PAR−III)あるいはレーザー回折散乱法による測定装置(例えば、HORIBA社製LA―950)を用いて測定する。
本発明のシリカ系複合粒子分散液の製造方法で原料として使用されるセリウムの金属塩としては、セリウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシドなどを用いることができる。具体的には硝酸第一セリウム、炭酸セリウム、硫酸第一セリウム、塩化第一セリウムなどを挙げることができる。
なお、本発明のシリカ系複合粒子分散液の製造方法において、セリウムの金属塩として、通常、セリウムの金属塩に水又は水系溶媒を加えてセリウム金属塩水溶液としたものが使用される。しかしこれら金属塩に含まれる硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンなどは、腐食性を示す。そのため調合後に後工程で洗浄し5ppm以下に除去することが好ましい。一方、炭酸塩は炭酸ガスとして調合中に放出され、またアルコキシドは分解してアルコールとなるため、好ましい。
本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、以下に記載する工程1〜工程3を備える。
工程1:平均粒子径が40〜600nmの範囲にあり、画像解析法で測定された短径/長径比が0.95〜1.0の範囲にあるシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を、撹拌条件下、温度範囲5〜98℃、pH範囲7.0〜9.0に維持しながら、セリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子分散液を得る工程。
なかでも、硝酸第一セリウムが好ましい。中和と同時に過飽和となった溶液から、結晶性セリウム酸化物が生成し、それらは速やかにシリカ微粒子に凝集沈着機構で付着するので結合性酸化物形成の効率が高く好ましい。
なお、本発明のシリカ系複合粒子分散液の製造方法において、セリウムの金属塩は、通常、セリウムの金属塩に水又は水系溶媒を加えてセリウム金属塩水溶液としたものが使用される。セリウム金属塩水溶液のセリア濃度は、格別に制限されるものではないが、
作業性等を考慮すると、セリア濃度は1〜40質量%の範囲が好ましい。
工程2では、前駆体粒子分散液を乾燥させ、400〜1200℃で焼成し、その後、解砕・粉砕し、粉体を得る。
工程3では、水に分散させた状態の前記粉体について、300G以上にて遠心分離処理を行って、沈降成分を除去し、シリカ系複合粒子分散液を得る。
なお、相対遠心加速度とは、地球の重力加速度を1Gとして、その比で表したものである。
本発明の製造方法により得られたシリカ系複合粒子分散液(以下、「本発明の複合粒子分散液」ともいう)に含まれるシリカ系複合粒子は、具体的にはシリカ・セリア複合酸化物からなるシリカ系複合粒子である。
このようなシリカ系複合粒子を、以下では、「本発明の複合粒子」ともいう。「本発明の複合粒子」は、本発明の複合粒子分散液を乾燥させて得ることができる。
本発明の複合粒子は、例えば、球状粒子、略球状粒子などの混合物である。本発明の複合粒子は、後記の分析結果によれば、シリカ微粒子の表面に、粒子状の結晶性セリアが結合したものといえる。
セリアの結晶相としては、Cerianiteが挙げられる。
なお、「主成分」の定義は前述の通りである。
初めに、本発明の複合粒子を、乳鉢を用いて10分粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得る。そして、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面のピークの半価幅を測定し、下記のScherrerの式により、結晶子径を求める。
D=Kλ/βcosθ
D:結晶子径(オングストローム)
K:Scherrer定数
λ:X線波長(1.7889オングストローム Cuランプ)
β:半価幅(rad)
θ:反射角
シリカ微粒子に対する結晶性セリアの量が少なすぎると、シリカ微粒子同士が結合し、粗大粒子の発生や粒子同士の結合により粒子形状がいびつになり、また、解砕が困難になる。この場合に本発明の複合粒子から得る研磨剤は、研磨基材の表面に欠陥(スクラッチの増加などの面精度の低下)を発生させる可能性がある。また、シリカ微粒子に対する結晶性セリアの量が多すぎても、コスト的に高価になるばかりでなく、資源リスクが増大する。さらに、結晶性セリア粒子コートシリカ粒子の融着が進み、粗大化したり、あるいはセリア粒子が遊離しやすい。その結果、基板の表面粗度が上昇(表面粗さ(Ra)の悪化)したり、スクラッチが増加する、更に遊離したセリアが基板に残留する、研磨装置の廃液配管などへの付着といったトラブルを起こす原因ともなりやすい。
まず、乾燥させた試料(0.2g)を測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料の比表面積を測定する。
このようなBET比表面積測定法(窒素吸着法)は、例えば従来公知の表面積測定装置を用いて行うことができる。
本発明において比表面積は、特に断りがない限り、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
動的光散乱法による粒子径測定装置として、例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置や、大塚電子社製PAR−IIIを挙げることができる。レーザー回折散乱法による測定装置として、例えば、HORIBA社製LA―950を挙げることができる。
研磨用スラリーについて説明する。
本発明の複合粒子分散液、または本発明の複合粒子を用いて、研磨用スラリーを得ることができる。以下では「本発明の研磨用スラリー」ともいう。
[シリカ]
後述するシリカ微粒子分散液のSiO2重量は、珪酸ナトリウムを原料としたシリカ微粒子は1000℃灼熱減量を行って秤量により求めた。またアルコキシシランを原料としたシリカ微粒子は、シリカ微粒子分散液を150℃で1時間乾燥させた後に秤量して求めた。
[各元素]
各元素の含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
初めに、シリカ微粒子分散液からなる試料約1g(固形分20質量%)を白金皿に採取する。リン酸3ml、硝酸5ml、弗化水素酸10mlを加えて、サンドバス上で加熱する。乾固したら、少量の水と硝酸50mlを加えて溶解させて100mlのメスフラスコにおさめ、水を加えて100mlとする。この溶液でNa、Kは原子吸光分光分析装置(例えば日立製作所社製、Z−2310)で測定する。次に、100mlにおさめた溶液から分液10mlを20mlメスフラスコに採取する操作を5回繰り返し、分液10mlを5個得る。そして、これを用いて、Al、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びThについてICPプラズマ発光分析装置(例えばSII製、SPS5520)にて標準添加法で測定を行う。ここで、同様の方法でブランクも測定して、ブランク分を差し引いて調整し、各元素における測定値とする。
各陰イオンの含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
<Cl>
シリカ微粒子分散液からなる試料20g(固形分20質量%)に水50ml、酢酸5ml、0.001モル塩化ナトリウム溶液4mlを加えて0.002モル硝酸銀溶液で電位差滴定法(京都電子製:電位差滴定装置AT−610)で分析を行う。
ブランクとして試料を除いて同様の処理をして、値を差し引いて測定値とした。
<NO3、SO4、F>
シリカ微粒子分散液からなる試料5g(固形分20質量%)を水で希釈して100mlにおさめ、遠心分離機(日立製 HIMAC CT06E)にて4000rpmで20分遠心分離して、上澄液をイオンクロマトグラフ(DIONEX製 ICS−1100)にて分析した。
前述の方法に則り、実施例および比較例で得られたシリカ系複合粒子分散液を乾燥し、得られた粉体を乳鉢にて10分粉砕し、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得て、結晶型を特定した。
また、前述のように、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面のピークの半価幅を測定し、Scherrerの式により、結晶子径を求めた。
実施例および比較例で得られたシリカ系複合粒子分散液について、HNO3を用いてpHを3.5に調整した後、110℃に調整した乾燥機内に一晩載置し、乾燥した。そして、その後、デシケーター中で放冷した。
次に、乾固した試料約8mlを乳鉢に採取し、乳棒で1分間粉砕した。
次に、粉砕した試料を磁性ルツボ(15ml)に約1/2採取し、500℃の電気炉で1時間焼成し、その後、デシケーター中で放冷した。
実施例および比較例で得られたシリカ系複合粒子分散液について各工程の目的や想定される粒子径や粒度分布に応じて動的光散乱法粒子径測定装置(例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置や、大塚電子社製PAR−III)や、レーザー回折散乱装置(例えばHORIBA社製LA―950)を用いて測定したものである。具体的には100nm以下で粒度の揃った原料の単分散シリカ微粒子はPAR−IIIを用い、解砕によりミクロンメーターからナノメーターまで粒子径が幅広く変化する解砕工程では、マイクロトラックUPAやLA−950を用いることが好ましい。
走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、型番「S−5500」)により、シリカ微粒子分散液を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とした。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DS)とした。そして、比(DS/DL)を求めた。この測定を任意の50個の粒子について行い、その平均値を短径/長径比とした。
実施例および比較例の各々において得られたシリカ系複合粒子分散液を含むスラリー(研磨用スラリー)を調整した。ここで固形分濃度は9質量%とした。
被研磨基板として、ハードディスク用アルミノシリケート製ガラス基板を準備した。この基板はドーナツ形状で、外径65mm、内径20mm、厚み0.635mmである。この基板は一次研磨ずみで、表面粗さ(Ra)は0.3nmであった。
次に、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板荷重0.18MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20ml/分の速度で10分間供給して研磨を行った。
そして、研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
また、研磨基材の表面の平滑性(表面粗さRa)を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
スクラッチ(線状痕)の測定については、アルミニウムハードディスク用基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板荷重0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20ml/分の速度で5分間供給して研磨を行い、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Micro−MAX)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面に存在するスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計し、次の基準に従って評価した。
線状痕の個数 評 価
50個未満: 「非常に少ない」
50個〜80個未満: 「少ない」
80個以上: 「多い」
《シリカ微粒子分散液(シリカ微粒子の平均粒子径:60nm)》の調製
エタノール12,090gと正珪酸エチル6,363.9gとを混合し、混合液aとした。次に、超純水6,120gと29%アンモニア水溶液444.9gとを混合し、混合液bとした。
次に、超純水192.9gとエタノール444.9gとを混合して敷き水とした。
そして、敷き水を撹拌しながら75℃に調整し、ここへ、混合液aおよび混合液bを、各々10時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を75℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度を調整し、SiO2固形分濃度19質量%、大塚電子社製PAR−IIIにて測定された平均粒子径60nmのシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を9,646.3g得た。
メタノール2,733.3gと正珪酸エチル1,822.2gとを混合し、混合液aとした。次に、超純水1,860.7gと29%アンモニア水溶液40.6gとを混合し、混合液bとした。
次に、超純水59gとメタノール1,208.9gとを混合して敷き水として、前工程で得た平均粒子径60nmのシリカ微粒子が溶媒に分散してなる分散液922.1gを加えた。
そして、シリカ微粒子分散液を含んだ敷き水を撹拌しながら65℃に調整し、ここへ、混合液aおよび混合液bを、各々18時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を65℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度を調整し、(SiO2固形分濃度19質量%、動的光散乱法(大塚電子社製PAR−III)にて測定された平均粒子径108nm、透過型電子顕微鏡写真観察による短径/長径比=0.98、ICP測定によるNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率は何れも1ppm以下)の高純度シリカ微粒子分散液を得た。
この高純度シリカ微粒子分散液の固形分濃度を調整し、SiO2固形分濃度19質量%で高純度シリカ微粒子分散液3,600gを得た。
この高純度シリカ微粒子分散液のうち1,053gについて陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK−1BH)114gを徐々に添加して30分間攪拌した後、陽イオン交換樹脂を分離した。この時のpHは1.8であった。次に陰イオン交換樹脂(三菱化学社製SANUPC)30gを徐々に添加し、30分間攪拌した後、陰イオン交換樹脂を分離した。
この時のpHは4.2であった。得られたシリカ微粒子分散液に超純水を加えて、SiO2固形分濃度3質量%のA液を得た。
そして、B液の添加が終了したら、液温を93℃へ上げて4時間熟成を行った。熟成終了後に室内に放置することで放冷し、室温まで冷却した後に、限外膜にてイオン交換水を補給しながら洗浄を行った。洗浄を終了して得られた前駆体粒子分散液は、固形分濃度が7質量%、pHが9.1(25℃にて)、電導度が67μs/cm(25℃にて)であった。
B液の添加量の条件を8,453g(SiO2の100質量部に対して、CeO2が117.4質量部に相当)とし、他の条件は実施例1と同じ条件にしてシリカ・セリア複合酸化物を含むシリカ系複合粒子分散液を調製した。そして、実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。
実施例2で得られたシリカ系複合粒子分散液を再度遠心分離装置にて675Gで3分間遠心分離処理し、沈降成分を除去し、シリカ系複合粒子分散液を得た。そして実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。
実施例1で用いた平均粒子径108nmのシリカ微粒子が溶媒に分散しているシリカ微粒子分散液(SiO2固形分濃度19質量%、同じくTEM像観察による短径/長径比=0.98、ICP測定によるNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率は、何れも1ppm以下)のみを用いて評価を行った。
実施例1と比較して、平均粒子径は小さく、研磨速度はかなり低い結果であった。
前記B液(硝酸セリウム(III)6水和物を含む)を全く使用しない他は、実施例1と同じ条件にて、実施例1の前駆体粒子分散液に代えて、シリカ微粒子分散液を調製した。
次に実施例1と同様な条件にて、シリカ微粒子分散液を乾燥、焼成し、得られた粉体(シリカ粒子の焼成サンプル)についてX線回折法によって測定したところ、非晶質の回折パターンが見られた。
次に、前記粉体(シリカ粒子の焼成サンプル)125gにイオン交換水375gを加え、さらに3%アンモニア水溶液を用いてpHを約9に調整した後、φ0.25mmの高純度シリカビーズ(大研化学工業株式会社製)にて湿式解砕、粉砕を行い、20質量%のスラリー540gを得た。
実施例1と比較して、平均粒子径が非常に大きいが、これはシリカ粒子表面にセリアがないため、焼成中にシリカ粒子同士の焼結が少し進んだためと考えられる。
一方、研磨速度は低く、表面粗さが非常に大きく面精度が悪化する結果であった。
実施例2と同様の条件で調製した前駆体粒子分散液に、5質量%酢酸水溶液を加えてpHを7に調整して、100℃の乾燥機中で16時間乾燥させ、前駆体粒子の乾燥粉末を得た。
これは、研磨粒子表面のセリアが低結晶度であるため、基材表面に研磨粒子が付着し残留したものと推察される。
Claims (7)
- 下記の工程1〜工程3を含むことを特徴とするシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
工程1:平均粒子径が40〜600nmの範囲にあり、画像解析法で測定された短径/長径比が0.95〜1.0の範囲にあり、Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率がそれぞれ100ppm以下であり、U、Th、Cl、NO 3 、SO 4 およびFの含有率がそれぞれ5ppm以下であるシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を、撹拌条件下、温度範囲5〜98℃、pH範囲7.0〜9.0に維持しながら、セリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子分散液を得る工程。
工程2:前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、温度範囲400〜1,200℃で焼成し、
その後、解砕・粉砕し、粉体を得る工程。
工程3:前記粉体を溶媒に分散させてなる分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合粒子分散液を得る工程。 - 前記工程1において、シリカ微粒子分散液の温度範囲を48〜52℃として、前駆体粒子分散液を調製し、更に該前駆体粒子分散液を温度90〜98℃で熟成することを特徴とする請求項1に記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
- 前記工程1における、セリウムの金属塩の添加を0.5〜24時間かけて行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
- 前記工程1において、シリカ微粒子分散液のpH範囲を7.0〜9.0に維持するためにアルカリを添加することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
- 前記工程2において、更に、乾燥前の前駆体粒子分散液のpHを6.0〜7.0とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
- 前記工程3で得られたシリカ系複合粒子分散液を、相対遠心加速度300G以上での遠心分離処理と沈降成分除去を1回以上繰り返してなる請求項1〜請求項5の何れかに記載のシリカ系複合粒子分散液の製造方法。
- 請求項1〜請求項6の何れかに記載の製造方法よって得られるシリカ系複合粒子分散液を、更に乾燥させてシリカ系複合粒子を得る、シリカ系複合粒子の製造方法。
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