JP2004167997A - 筆記具用インキ収容部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材Aであって、該筆記具用インキ収容部材は有機高分子化合物から構成される有機高分子化合物層11aと無機化合物から構成される無機化合物層11cとの多層構造から構成されることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
【選択図】 図1
Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキ等の筆記具用インキを収容する加圧又は非加圧の筆記具用インキ収容容器、インキ収容管等の筆記具用インキ収容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多種多様の筆記具が知られているが、一般にコレクター構造を有する直液筆記具、中綿式筆記具などのインキ収容容器やボールペンのインキ収容管(インキチューブ、リフィール)の役目は、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキ等の筆記具用インキを収容し、かつインキを構成している溶媒を防止することが主目的であった。
【0003】
通常、これらの筆記具用インキ収容容器やインキ収容管は、化学的安定性、耐溶剤性、経済性、生産性等の点からポリプロピレン等の有機高分子化合物(合成樹脂等)から構成されているものである。
【0004】
しかしながら、本発明者らの研究及び知見によれば、経時的にみるとインキ収容容器やインキ収容管に空気、中でも酸素が透過してインキ収容容器やインキ収容管の中に入ることにより、インキが酸化され、インキの増粘、色剤の濃度低下等の直接的なインキの劣化や、気泡等の発生によるインキの固化やインキ供給流路の閉塞による筆記性の低下や内圧上昇によるインキ吹き出し等の問題が加速され、筆記具として性能品質や寿命を短くするという課題を有している。
【0005】
筆記具用インキが水性インキの場合では、インキ主溶媒である水が水蒸気となりインキ収容部材を透過し減量することにより、インキの固化、色剤の凝集、粘度上昇などのインキの劣化が起こり、筆記性の低下、筆記距離の低下等の筆記具品質や寿命を短くするという課題を有している。
また、筆記具用インキが油性インキでは、空気中に存在する水蒸気(湿度)がインキ収容部材を透過しインキに溶け込むことで、樹脂や色剤の析出による粘度上昇等のインキ劣化が起こり、筆記品質や寿命を短くするという課題を有している。
更に、加圧ボールペンでは、安価で成形性、透明性に優れるポリプロピレン等をインキ収容部材に使用した場合、インキ収容容器及びインキ収容管内の窒素ガス等の加圧気体が容器外に透過して容器内圧が低下することによる筆記不良を生じるという課題を有している。
【0006】
一方、従来の筆記具用インキ収容部材として、例えば、インキ収容管とボールペンチップ、チップホルダー又は尾栓等の嵌合部からのインキ漏れ防止及び外観上の高級化を得るために、ボールペン用インキを直に充填した樹脂製からなるインキ収容管の先端に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着してなるボールペンリフィールにおいて、前記インキ収容管の外周をステンレス鋼、黄銅などの金属部材で被覆したことを特徴とするボールペンリフィール(例えば、特許文献1参照)や、筆記具用インキ中に含まれる溶剤の揮発及び/又は水分の蒸発を防止するために、樹脂層を2層以上形成してなる多層構造からなり、樹脂層の少なくとも1層を、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)で形成することを特徴とする筆記具用インキを収容する樹脂成形容器(例えば、特許文献2参照)が知られている。
他方、筆記具の変色防止としては、例えば、抗菌剤入り筆記具などの包装方法に関して、包装材中に脱酸素剤を内在せしめて空気中の酸素や湿気との接触を極力抑えることにより文具類の変色防止を図ることができる抗菌剤入り文具類の包装方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−11989号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開2002−307890号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】
特開平8−133346号公報(特許請求の範囲等)
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるボールペンリフィールでは、インキ収容管の外周に金属部材を単に被覆しているので、視認性に劣ることとなり、インキ残量の確認が困難となる課題を有し、また、樹脂と金属部材との接合作業等が煩雑となる課題を有するものである。
また、上記特許文献2に記載される多層構造の筆記具用インキ収容樹脂成形容器は、10〜150μmのフィルム状のEVOH層を有するものであるが、未だガスバリアー性に劣り、インキの吹き出し性、筆記品質の点で劣るという課題を有を有するものである。
更に、上記特許文献3に記載される技術では、長期間にわたり店頭の陳列棚等に陳列放置された場合(製造後から消費者にわたるまで)の抗菌剤入り筆記具などの文具類の酸化による変色を防止するものであり、本発明とはその目的、作用及びその構成(技術的思想)が異なるものである。
【0009】
また、インキの調整や充填に際して取り込まれるインキ中に混入する空気(酸素)によるインキの酸化防止策として、インキ中に抗酸化剤であるポリフェノールやビタミンC、ビタミンE、その他酸素と反応又は吸収するなどの成分を添加する技術も知られている。
しかしながら、これらの技術は、インキへの添加量には自ずと制限があり、極微量の添加量となるため、比較的短期間にその機能を喪失するという課題を有している。なお、上記技術にはインキ収容部材の酸素透過により生じるインキの酸化劣化や、水蒸気透過による揮発劣化や吸湿劣化等の課題の認識はないものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容容器やインキ収容管などの筆記具用インキ収容部材に、空気中の酸素や窒素が透過することによるインキの劣化防止、インキの吹き出し及び気泡発生の抑制、インキ流出安定性の向上、並びに、香料入りインキの保香性の向上、並びに、加圧ボールペン等の窒素ガス等の加圧気体による加圧式筆記具などにおけるインキ収容容器内の加圧気体が外気側へ透過して、容器内圧が低下することによる筆記不良を解決でき、しかも、視認性に優れ、インキ残量の確認も容易となる筆記具用インキ収容部材を提供することを目的とする。
また、水性インキを用いるものにおいては、主溶剤である水が水蒸気となり、インキ収容部材を透過して減量することによって起こる性能品質や寿命の低下、油性インキにおいては、空気中の湿気がインキ収容部材を透過してインキに溶け込むことによって起こる、性能品質や寿命の低下等の課題も解決できる筆記具用インキ収容部材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材を、有機高分子化合物から構成される層と無機化合物から構成される層との多層構造とすることにより、上記目的の筆記具用インキ収容部材が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用インキ収容部材は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材であって、該筆記具用インキ収容部材は有機高分子化合物から構成される有機高分子化合物層と無機化合物から構成される無機化合物層との多層構造から構成されることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(2) 筆記具用インキ収容部材の平行光線透過率が50%以上である上記(1)に記載の筆記具用インキ収容部材。
(3) 無機化合物層が、SiO、SiO2、Al2O3、CaF2、SnO2、CeF3、MgO、ZnO、TiO2、MgAlO4、In2O3、SrCu2O2、CuInO2、CuInSe2、ITOからなる無機化合物群の中から選ばれる少なくとも一種以上の化合物から構成される上記(1)又は(2)に記載の筆記具用インキ収容部材。
(4) 筆記具用インキ収容部材の酸素透過度が25℃−65wet%で10cc/m2・Day・atm以下であり、水蒸気透過度が40℃−90wet%で10g/m2・Day・atm以下である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(5) 筆記具用インキ収容部材が、有機高分子フィルムの一方の一面に無機化合物層を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ法及び化学的気相法の何れか一つの方法でコーテングし、他方の一面に接着層をコートした多層フィルムを、有機高分子化合物からなる成型体に接合することによって得られる上記(1)〜(4)の何れか1つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(6) 筆記具用インキ収容部材が筆記具用インキ収容容器又はインキ収容管である上記(1)〜(5)の何れか1つに記載の筆記具用インキ収容部材。
【0012】
なお、本発明(後述する実施例を含む)で規定する「気体透過度」(10cc/m2・Day・atm)とは、単位分圧差で単位時間に単位面積の試験片を透過する気体の体積及び重量のことをいい、ある時間にフィルム試験片を透過した気体の量を実測することによって下記式によって算出される値をいう。
気体透過度=気体透過量/〔(高圧側分圧−低圧側分圧)×透過面積×時間〕
上記式で求まる気体透過度には、厚さの因子が入っていないが、インキ収容部材及びインキ収容管の気体透過度そのものが、筆記具の品質に影響を与えていると判断したからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
本発明の筆記具用インキ収容部材は、筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材であって、該筆記具用インキ収容部材は有機高分子化合物から構成される有機高分子化合物層と無機化合物から構成される無機化合物層との多層構造から構成されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の筆記具用インキ収容部材の構造としては、例えば、図1及び図2におけるボールペンにおけるインキ収容管(リフィール)、図3におけるコレクター構造を備えた直液式筆記具におけるインキを直接貯蔵する軸体(インキ容器)となるインキタンク部が挙げられ、更に、図示しないが、バルブ機能を有する筆記具におけるインキを直接貯蔵する軸体(インキ容器)となるインキタンク部、または、中綿式筆記具におけるインキをインキ吸蔵体に吸蔵させて収容するインキ収容部などにも適用でき、筆記具用インキを収容する部材であれば特に限定されるものではない。
【0015】
本発明では、筆記具用インキ収容部材を、少なくとも有機高分子化合物から構成される層と無機化合物の層から構成される二層以上の多層構造とするものである。
本発明において、筆記具用インキ収容部材は、二層以上の多層構造で構成されるものであり、その少なくとも一層を、無機化合物により構成されるピンホールのない連続層となる無機化合物層とすることが必要であり、好ましくは、インキの残量や色相が確認できる透明性と、気体透過度が低く、特に、酸素透過度と水蒸気透過度が低くなるような無機化合物層となるものが望ましい。
また、二層構造以上の多層構造の態様としては、例えば、二層構造、三層構造、四層構造、五層構造が挙げられ、気体の透過抑制効果を更に防止して優れた効果を発揮させるために、上記特性の気体透過度の無機化合物層は二層構造の場合は最外層に、三層構造の場合はその中間層に、四層構造の場合は、その最外層と最内層の間に一層以上設けられることが望ましい。
【0016】
本発明における上記特性を有する無機化合物層は、有機高分子化合物層に均一に連続なコーティング層を構成できるものであれば、特に限定されず、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu、Mg、Fe、Ti、Su等の金属やSiO、SiO2、Al2O3、CaF2、SnO2、CeF3、MgO、ZnO、TiO2、MgAlO4、In2O3、SrCu2O2、CuInO2、CuInSe2、ITOからなる無機化合物群の中から選ばれる少なくとも一種以上の化合物から構成されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
好ましくは、有機高分子化合物層上に無機化合物コーティング層を構成したインキ収容部材の透明性が高く、インキ残量や色相が確認できるものが望ましく、JIS K7105−1981の「5.5光線透過率及び全光線反射率」で規定された平行光線透過率が50%以上を呈することができるSiO、SiO2、Al2O3、CaF2、SnO2、CeF3、MgO、ZnO、TiO2、MgAlO4、In2O3、SrCu2O2、CuInO2、CuInSe2、ITOからなる無機化合物群の中から選ばれる少なくとも一種以上の化合物から構成されるものが更に望ましく、特に好ましくは、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、SiO、SiO2、Al2O3、SnO2、TiO2である。
【0017】
本発明の有機高分子化合物層上に無機化合物コーティング層を構成する方法としては、均一でピンホールのない連続な層が構成できる手法であれば、特に限定されるもではない。
好ましくは、作業性に優れると共に、有機高分子化合物層に無機化合物層を確実に密着でき、層間の密着性に優れる点から、プラズマを利用したプラズマ製膜法、化学的気相法(CVD法)、真空蒸着法、蒸発源内の分子に電子ビームを照射して加熱・蒸発させて膜を形成するイオンプレーティング法、スパッタリング法等が挙げられる。
【0018】
本発明のインキ収容部材に用いられる有機高分子化合物層の化合物は、押し出し法、ブロー法、射出法などの通常の成形加工法で用いられる樹脂であれば、特に限定されるものではない。
好ましくは、平行光線透過率が50%以上となる透明性の高いポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン、アミド系樹脂、メチルメタアクリレートとその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレブチレート、ポリスチレンとその共重合体、TPX、環状オレフィン樹脂、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニルとその共重合体、塩化ビニリディンとその共重合体、ポリエチレンとその共重合体等が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明のインキ収容部材の無機化合物層を構成する手法としては、上記特性を有する有機高分子化合物で成形加工された成形体に、直接無機化合物層を作製しても構わないし、間接的に接着層を設けた手法を用いても構わない。
直接無機化合物層を作製する場合は、密着性の向上を図るために、層を新たに形成する有機高分子化合物表面を、汚れや油脂類の除去クリーニング処理の実施や、プラズマや酸処理等の表面活性処理の実施をすることが好ましい。
間接的に接着層を設ける手法としては、例えば、有機高分子フィルムの一方の一面に無機化合物の層を蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、プラズマ法、CVD等の手法でコーティングし、もう一方の一面に接着層をコートした多層フィルムを作製し、その無機化合物層を有したフィルムを、有機高分子化合物で成形加工された成形体に接合し、多層構造からなるインキ収容部材を作製する手法などが挙げられ、この手法は作業性、経済性の点から好ましい形態である。
【0020】
上記無機化合物層を有したフィルムとしては、例えば、Alの層を有した東セロ社製のメタラインフィルム;、東洋紡社製のVM−PET,VM−ONY,VM−CPP;、SiOの層を有した凸版社製のGLフィルム;、東洋インキ社製のGTフィルム、三菱化学社製のテックバリヤー、Van Lee社製のSILAMINATE、Galileo社製のDOB、尾池工業社製のMOS、Aluswiss社製のCERAMIS、Airco社製のQLF、PCMaterials社製のSUPERBARRIER;、SiO2の層を有したCeTeV社製DOB、FlexProduct社製のTANS PACK;、Al2O3の層を有した東洋メタライジング社製のBARRIALOK 101、凸版社製のGL−AU、GL−AE、GL−AEYなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の筆記具用インキ収容部材の透明性を確認する手段としては、JIS K 7105−1981 プラスチックの光学的特性試験方法の「5.5光線透過率及び全光線透過率」に規定された試験にしたがって行い、平行光線透過率が40%以上有するとインキの残量が確認することができ、50%以上有するとインキ自身の外観色が確認することができるので、本発明の筆記具用インキ収容部材としては50%以上とすることが更に好ましいものとなる。
本発明では、上述の如く、平行光線透過率が50%以上となる透明性の高い樹脂、並びに、平行光線透過率が良好となる無機化合物群、好ましくは平行光線透過率が50%以上となる無機化合物群の中から選ばれる少なくとも一種以上の化合物の中から得らばれる少なくとも1種を好適に組合わせて多層構造とすることにより、平行光線透過率が40%以上、好ましくは50%以上となる筆記具用インキ収容部材が得られることとなる。
【0022】
本発明の有機高分子化合物層と無機化合物層とから構成される多層構造となる筆記具用インキ収容部材は、気体透過性の抑制効果があり、インキの劣化や筆記品質・寿命の低下を防止することができ、好ましくは、酸素透過度は25℃−65wet%で10cc/m2・Day・atm以下であり、水蒸気透過度は40℃−90wet%で10g/m2・Day・atm以下となるものが望ましい。
なお、上記特性値以下の酸素透過度及び/又は水蒸気透過度とするためには、有機高分子化合物層を構成する上述の樹脂種及び無機化合物層を構成する上述の無機化合物種、層構造、作製法等を適宜好適に組合わせることにより、調整することができる。
【0023】
本発明の筆記具用インキ収容部材の気体の透過度を確認する手段としては、例えば、JIS K 7126−1987におけるプラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法の「7.B法(等圧法)」に規定された試験方法で行うことができる。
例えば、酸素透過度は窒素−水素ガスに試験片を透過した酸素が混入した際の電位差変化を測定し求めることができ、MOCON社製 酸素透過率測定装置 OX−TRAN2で測定できる。
この酸素透過度を25℃−65wet%の環境条件下で測定し、酸素透過度が10cc/m2・Day・atmを越えて多い場合は、水性インキを充填した筆記具用インキ収容部材内に外部よりインキ収容部材を透過し酸素が混入し、インキの酸劣化やインキ中に気泡が発生し、インキ供給流路を閉塞することによる筆記性能の低下や、筆記具としての寿命が短くなる原因となる。そのため、本発明における筆記具用インキ収容部材の酸素透過度は、10cc/m2・Day・atm以下が望ましい。
また、水蒸気透過度は、試験片から透過してくる水蒸気を赤外センサーで計測することができ、MOCON社製 水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3で測定できる。
この水蒸気透湿度を40℃−90wet%の環境条件下で測定し、10g/m2・Day・atmを越えて多い場合は、水性インキを充填した筆記具用インキ収容器から、インキの主成分である水分が水蒸気となりインキ収容部材を透過し、インキ自身の水分減量による増粘、固化等の劣化が起こり、筆記性能の低下や、筆記具としての寿命が短くなる原因となるため、本発明の筆記具用インキ収容部材の水蒸気透過度は10g/m2・Day・atm以下が望ましい。
この酸素透過度と水蒸気透過度がそれぞれ10cc/m2・Day・atm以下であれば、油性インキの水分吸収や酸化劣化による品質低下抑制、香料添加インキの保香性の向上、加圧ボールペンのインキ収容容器内の窒素加圧維持による筆記品質寿命向上につながり、更に望ましいものである。
【0024】
本発明の筆記具用インキ収容部材に収容されるインキは、一般に用いられている筆記具のインキであれば、特に限定されず、ボールペン用、加圧ボールペン用、サインペン用、マーキングペン用、アンダーライン用等の水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具インキが収容されるものである。
【0025】
次に、本発明の筆記具用インキ収容部材の具体的な実施形態を図1〜図3により、更に詳しく説明する。
図1(a)、(b)及び図2は、本発明の筆記具用インキ収容部材ボールペンにおけるインキ収容管(リフィール)に適用した場合である。本実施形態の筆記具用インキ収容部材Aは、先端にボールペン型チップ10を具備したインキ収容管11を有している。なお、12はインキ収容管に充填されているボールペン用インキ、13はペン先部とインキ収容管との継ぎ手部材であり、14はインキ追従体である。
このインキ収容管11は、有機高分子化合物を押し出し成形によって成型された成形体の外層部にPET基材に無機化合物の層とホットメルト接着層を有したフィルムを熱処理法により接合して設けたものであり、図1(b)に示すように最内側11aに有機高分子化合物層が、最外側11cに無機化合物の層が、最内部と最外部の中間にホットメルト接着層11bが構成された多層構造となっている。
この筆記具用インキ収容部材Aは、図2に示すように、ボールペン用軸体15に装着してボールペンとして用いられる。なお、16は尾栓、17はキャップ体、18はシールゴムである。
【0026】
図3は、本発明の筆記具用インキ収容部材をコレクター構造を備えた直液式筆記具におけるインキを直接貯留する軸体(インキ容器)となるタンク部に適用したものである。
本実施形態の筆記具用インキ部材Bは、インキ20を中綿に吸収させないで直接貯留する軸体となるインキタンク部21から構成されたものである。
なお、インキタンク部21の前部には、インキタンク部21内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にインクタンク部21から押し出されるインキ20をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保留するインキ保留体(コレクター部材)22が内蔵され、コレクター部材22の先端には繊維芯からなるペン先23が設けられた構成となっている。
インキタンク部21からペン先23へのインキ導出は、コレクター部材22の中心孔に付設されたインキ流路22aを設けた中継芯24を介してインキタンク部21からインキ20をペン先23に導出することにより行われる。
なお、図3中の25はホルダー部材であり、26はインキタンク部21の後部に固着される後部軸体であり、27はキャップである。また、中継芯24を介在させることなく、ペン先23の後部をインクタンク部21内に直接配置してインキの導出を行っても良い。
このインキ収容管となるタンク部21は、有機高分子化合物を押し出し成形によって成型された成形体の外層部に無機化合物の層を設けたものであり、有機高分子化合物層と無機化合物層が構成された2層構造となっている。
【0027】
本発明の筆記具用インキ収容部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の形態に変更できることはいうまでもない。
本発明の筆記具用インキ収容部材は、無機化合物層と有機高分子化合物層から構成される多層構造となる筆記具用インキ収容部材であることを要旨とするので、本発明を各種筆記具に用いた場合には、上記筆記具用インキ収容部材以外の構造は、特に限定されるものではなく、ボールペン、サインペン、マーキングペン、筆ペン、アンダーラインペン、修正液等各筆記具の構造が適用されるものである。
また、本発明の筆記具用インキ収容部材の厚さ(全体の肉厚)は、筆記具の用途により変動するものであるが、好ましくは、0.5〜5.0mm、更に好ましくは、0.5〜3mm程度であり、また、上記無機化合物層の厚さ(二層以上となる場合は合計の厚さ)は、作業性、成形性、本発明の更なる効果を発揮させる点から、0.01〜20μm、更に好ましくは、0.01〜16μm程度とすることが望ましい。
【0028】
このように構成される本発明の筆記具用インキ収容部材では、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキ等の筆記具用インキを収容するボールペンのインキ収容管(リフィール)等や、筆記具用インキを収容するコレクター構造を有する直液式筆記具、中綿式筆記具等のインキ収容容器等の筆記具用インキ収容部材、すなわち、少なくとも均一な連続層からなる無機化合物層と有機化合物層とを有する多層構造の筆記具インキ収容部材では、部材の光線透過性を損なうことなく、酸素、水蒸気などの気体の透過性を抑制し、筆記具の性能品質や寿命を更に向上することができるものとなる。
また、本発明の多層構造筆記具用インキ収容部材では、少なくとも50%以上の平行光線透過率を有する多層構造体を選択することで、インキの残量や色相を確実に視認することができるものとなる。
更に、本発明の多層構造筆記具用インキ収容部材では、気体の透過度の抑制、具体的には、酸素透過度を25℃−65wet%の条件で10cc/m2・Day・atm以下にする多層構造体を選択することで、外気からの酸素が透過することを抑制することができるので、インキの劣化防止、インキの吹き出し及び気泡発生を抑制することができると共に、インキ流出の安定性を向上させることができる。
また、水蒸気透過度を40℃−90wet%の条件で10g/m2・Day・atm以下にする多層構造体を選択することで、外気から湿気が透過することを抑制することによるインキの劣化を抑制することができ、インキ中の水分が透過し揮発減量することを抑制することによる、インキ劣化や固化などの問題点を改善することができることとなる。
更にまた、加圧ボールペン等の気体による加圧式筆記具でのインキ収容容器内の内圧低下による筆記不良を防止や香料入りインキの保香性の向上を図ることができることとなる。
【0029】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〜5及び比較例1〜2〕
下記各方法により実施例及び比較例に用いる筆記具用インキ収容部材となる試作ペン体A−1〜A−7を作製した。また、下記配合組成のインキB−1及びB−2を調製した。
【0031】
(試作ペン体A−1:ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容管(リフィール)を作製した。このインキ収容管は、図1の図示符号11に準拠するのであり、ポリプロピレンを押し出し成形法で成形し、厚さ0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmのチューブ状成形体を得た。
このインキ収容部材を用いて、図1及び図2に示すボールペン用リフィールを組み立てた。
【0032】
(試作ペン体A−2:ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容管(リフィール)を作製した。このインキ収容管は、図1の図示符号11に準拠するのであり、ポリプロピレンを押し出し成形法で成形し、厚さ0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmのチューブ状成形体の外側に、凸版社製のGL−AUフィルム(厚み10μmPETを基材に1μmのAl2O3層とホットメルト接着剤層を有した多層複合フィルム)を接合溶着し、無機化合物層−有機高分子化合物層−有機高分子化合物層からなる3層を有した多層構造のインキ収容部材を得た。このインキ収容部材を用いて、図1及び図2に示すボールペン用リフィールを組み立てた。
【0033】
(試作ペン体A−3:ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容管(リフィール)を作製した。このインキ収容管は、図1の図示符号11に準拠するのであり、ポリプロピレンを押し出し成形法で成形し、厚さ0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmのチューブ状成形体の外側に、三菱化学社製のテックバリア(厚み12μmPETを基材に1.0μmのSiOx層とホットメルト接着剤層を有した多層複合フィルム)を接合溶着し、無機化合物層−有機高分子化合物層−有機高分子化合物層からなる3層を有した多層構造のインキ収容部材を得た。このインキ収容部材を用いて図1及び図2に示すボールペン用リフィールを組み立てた。
【0034】
(試作ペン体A−4:ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容管(リフィール)を作製した。このインキ収容管は、図1の図示符号11に準拠するのであり、ポリプロピレンを押し出し成形法で成形し、厚さ0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmのチューブ状成形体の外側に、プラズマCVD製膜法で0.1μmのSiOx膜層を作製し、無機化合物層−有機高分子化合物層からなる2層を有したインキ収容部材を得た。
このインキ収容部材を用いて、図1及び図2に示すボールペン用リフィールを組み立てた。
【0035】
(試作ペン体A−5:ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容管(リフィール)を作製した。このインキ収容管は、図1の図示符号11に準拠するのであり、ポリプロピレンを押し出し成形法で成形し、厚さ0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmのチューブ状成形体の外側に、プラズマCVD製膜法で0.1μmのAl膜層を作製し、無機化合物層−有機高分子化合物層からなる2層を有したインキ収容部材を得た。
このインキ収容部材を用いて,図1及び図2に示すボールペン用リフィールを組み立てた。
【0036】
(試作ペン体A−6:直液式サインペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容容器(リフィール)を作製した。このインキ収容容器は、図3の図示符号21に準拠するのであり、ポリプロピレンを射出成形法で成形し、厚さ0.75mm、内径7.0mm、長さ90mmの成形体を得た。
このインキ収容部材を用いて、図3に示す直液サインペンを組み立てた。
【0037】
(試作ペン体A−7:直液式サインペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容容器(リフィール)を作製した。このインキ収容容器は、図3の図示符号21に準拠するのであり、ポリプロピレンを射出成形法で成形し、厚さ0.75mm、内径7.0mm、長さ90mmの成形体外側に、プラズマCVD製膜法で0.1μmのSiOx膜層を作製し、無機化合物層−有機高分子化合物層からなる2層を有したインキ収容部材を得た。
このインキ収容部材を用いて,図3に示す直液サインペンを組み立てた。
【0038】
(試作インキB−1:水性ゲル状インキ)
下記のインキ材料を、均一に溶解及び分散するように撹拌混合し筆記具用水性ゲル状インキを調製した(全量100部)。
このインキ粘度(25℃)を東機産業社製のEMD型粘度計1rpmで測定した結果、1420mPa・sの値を得た。
(色 剤) C.I.Direct Black−154 7.0部
(色 剤) C.I. Direct Black−19 2.0部
(pH調整剤)トリエタノールアミン 0.5部
(潤滑剤) 不飽和脂肪酸カリウム石鹸 0.5部
(防腐剤) ベンゾイソチアゾリン 0.1部
(防錆剤) ベンゾトリアゾール 0.3部
(ゲル化剤) キサンタンガム 0.3部
(媒 体) プロピレングリコール 15.0部
(媒 体) 精製水 残 部
【0039】
(試作インキB−2:水性インキ)
下記のインキ材料を、均一に溶解及び分散するように撹拌混合し筆記具用水性インキを調製した(全量100部)。
(色 剤) C.I.Direct Black−154 4.5部
(色 剤) C.I. Direct Black−19 1.5部
(pH調整剤)トリエタノールアミン 0.3部
(固着剤) スチレンアクリル樹脂 3.0部
(界面活性剤)インゲンP(第一製薬工業) 0.2部
(防腐剤) ベンゾイソチアゾリン 0.1部
(媒 体) エチレングリコール 10.0部
(媒 体) グリセリン 10.0部
(媒 体) 精製水 残 部
このインキ粘度(25℃)を東機産業社製のEMD型粘度計1rpmで測定した結果、10mPa・sの値を得た。
【0040】
上記で得た各試作ペン体A−1〜A−7の平行光線透過率、酸素透過度、水蒸気透過度について、下記方法により、測定した。
得られた各試作ペン体A−1〜A−7の平行光線透過率、酸素透過度、水蒸気透過度等を下記表1に示す。
(平行光線透過率の測定方法)
JIS K 7105−1981 プラスチックの光学的特性試験方法の「5.5光線透過率及び全光線透過率」に準拠して測定した。
(酸素透過度の測定方法、水蒸気透過度の測定方法)
JIS K 7126−1987 プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法の「7.B法(等圧法)」に準拠し、酸素透過度は、MOCON社製 酸素透過率測定装置 OX−TRAN2により、水蒸気透過度はMOCON社製 水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3により測定した。
【0041】
(実施例1)
上記試作ペン体A−2のインキ収容管に、試作インキB−1を充填し、水性ボールペンを作製した。
(実施例2)
上記試作ペン体A−3のインキ収容管に、試作インキB−1を充填し、水性ボールペンを作製した。
(実施例3)
上記試作ペン体A−4のインキ収容管に、試作インキB−1を充填し、水性ボールペンを作製した。
(実施例4)
上記試作ペン体A−5のインキ収容器に、試作インキB−1を充填し、水性ボールペンを作製した。
(実施例5)
上記試作ペン体A−7のインキ収容容器に、試作インキB−2を充填し、直液式水性サインペンを作製した。
【0042】
(比較例1)
上記試作ペン体A−1のインキ収容管に、試作インキB−1を充填し、水性ボールペンを作製した。
(比較例2)
上記試作ペン体A−6のインキ収容管に、試作インキB−2を充填し、直液式水性サインペンを作製した。
【0043】
上記実施例1〜5及び比較例1〜2の各ペン体のインキ収容管内に収容されたインキの揮発減量及びインキの粘度変化を下記方法により評価し、また、経時的な外観変化(気泡の存在の有無)、インキの吹き出し性、筆記性能について下記評価方法により評価した。
これらの結果を下記表2に示す。
【0044】
(インキの揮発減量の評価方法)
各ペン体を50℃−30%の環境下で放置して、1ケ月、3ケ月後のインキの揮発減量を、ペン体の重量変化として測定した。
(インキ粘度の測定方法)
インキ粘度は、EMD型粘度計及びELD型粘度計(東機産業製)を用い、25℃の条件下で1rpmの粘度値を測定し、その経時的変化(1ケ月、3ケ月)を測定した。
【0045】
(外観変化性の評価方法)
50℃−30%環境下でキャップした状態で下向きに保存し、1ヶ月、3ヶ月保存したときのペン体を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:気泡の存在が全く認められない。
○:0.1mm未満の小さな気泡が5個未満認められる。
△:0.1mm未満の小さな気泡が5個以上あるいは、0.1mm以上の気泡が5個未満認められる。
×:0.1mm以上の気泡が5個以上認められる。
【0046】
(インキ吹き出し性の評価方法)
50℃−30%環境下でキャップした状態で保存し、1ヶ月、3ヶ月保存したときのペン体を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキの吹き出しが全くない。
○:インキの吹き出しが肉眼でやっと確認できるが、実用上問題ない。
△:インキの吹き出しがややある。
×:インキの吹き出しが連続して発生している。
【0047】
(筆記性能の評価方法)
50℃−30%環境下でキャップした状態で下向きに保存し、1ヶ月、3ヶ月保存したときのペン体の筆記性能を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:全くカスレが認められず、描線がクリアで変化が認められない。
○:全くカスレは認められないが、描線の濃度がややうすく認められる。
△:ややカスレが認められ、描線の濃度も低下している。
×:頻繁にカスレが認められ、描線の濃度もかなり低下している。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
上記表1及び2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べ、無機化合物層と有機高分子化合物層とから構成される多層構造の筆記具用インキ収容部材は、酸素、水蒸気の気体透過度が抑制できることにより、インキ自身の劣化抑制や気泡の発生及びインキ吹き出しによる筆記性能の低下や寿命低下を抑制できる、筆記具用インキ収容部材であることが判明した。
比較例1及び2は、有機化合物層(PP単層)からなるインキ収容部材であるため、インキ自身の劣化抑制や気泡の発生を防止することができず、また、インキ吹き出しによる筆記性能の低下や寿命低下を生じることが判明した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素、水蒸気などの気体の透過性を抑制でき、インキ自身の劣化抑制や気泡の発生及びインキ吹き出しによる筆記品質の低下や寿命低下を抑制できる筆記具用インキ収容部材が提供される。
また、この多層構造のインキ収容部材自身の平行光線透過率を50%以上に維持することで、インキの残量やインキ色相を外部より確認できる、優れた筆記具用インキ収容部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の筆記具用インキ収容部材をボールペン用インキ収容管に適用した一例を、断面態様で示す縦断断面図であり、(b)は、その要部を示す部分横断面図である。
【図2】図1のボールペン用インキ収容管を備えたボールペンの縦断面図である。
【図3】本発明の筆記具用インキ収容部材を直液式サインペンに適用した一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
11 :インキ収容管
11a:有機化合物層
11c:無機化合物層
Claims (6)
- 筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材であって、該筆記具用インキ収容部材は有機高分子化合物から構成される有機高分子化合物層と無機化合物から構成される無機化合物層との多層構造から構成されることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
- 筆記具用インキ収容部材の平行光線透過率が50%以上である請求項1に記載の筆記具用インキ収容部材。
- 無機化合物層が、SiO、SiO2、Al2O3、CaF2、SnO2、CeF3、MgO、ZnO、TiO2、MgAlO4、In2O3、SrCu2O2、CuInO2、CuInSe2、ITOからなる無機化合物群の中から選ばれる少なくとも一種以上の化合物から構成される請求項1又は2に記載の筆記具用インキ収容部材。
- 筆記具用インキ収容部材の酸素透過度が25℃−65wet%で10cc/m2・Day・atm以下であり、水蒸気透過度が40℃−90wet%で10g/m2・Day・atm以下である請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
- 筆記具用インキ収容部材が、有機高分子フィルムの一方の一面に無機化合物層を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ法及び化学的気相法の何れか一つの方法でコーテングし、他方の一面に接着層をコートした多層フィルムを、有機高分子化合物からなる成型体に接合することによって得られる請求項1〜4の何れか1つに記載の筆記具用インキ収容部材。
- 筆記具用インキ収容部材が筆記具用インキ収容容器又はインキ収容管である請求項1〜5の何れか1つに記載の筆記具用インキ収容部材。
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