JPH11268470A - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JPH11268470A
JPH11268470A JP10093890A JP9389098A JPH11268470A JP H11268470 A JPH11268470 A JP H11268470A JP 10093890 A JP10093890 A JP 10093890A JP 9389098 A JP9389098 A JP 9389098A JP H11268470 A JPH11268470 A JP H11268470A
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ink
joint
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modified
writing instrument
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JP10093890A
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Kazuhiko Furukawa
和彦 古川
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の水性直液式筆記具の改良であり、筆記
時のインク流路を確保する、特にペン先などの保持圧入
部が割れたりインクの内容成分が揮発する問題の解決を
目的とする。さらにはインク流路となる部材のインクの
濡れ性の問題の改良と、確実かつ安価で性能の良い筆記
具を製造上や長期保存性にも問題のない状態で提供する
事を目的とする。 【構成】 水性インクを直接保蔵し、インク流路となる
継手部品を変性ポリスチレン系の部材で成形する。さら
に濡れ性改質処理をした事を特徴とする筆記具。特に継
手に圧入部がある場合には割れ等の問題が発生せず有効
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筆記部であるペン先を
有しており、インクタンクにインク等液体を直接保蔵す
るタイプの筆記具または筆記具状の化粧品、塗布具等に
おいてしばしば問題となる、インク流路となる部品がイ
ンクをはじいてしまい、筆記性や保存性に問題が生じて
しまう問題や圧入部の割れに関する改良であって、詳し
くはインク流路となる部材の限定と濡れ性改質に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、筆記具や筆記具に類似した化粧品
や塗布具等では、インクを直接インクタンクに保蔵する
タイプの筆記具ではインクを保蔵するインクタンクを透
明等内部のインク残量が見えるようになし、大径のイン
クタンクと小径のペン先とをそれぞれ圧入保持する継手
を有している物が多い。
【0003】インクを直接保蔵する筆記具としては、低
粘度の水性インクをコレクターと呼ばれる複数の細い溝
を組み合わせたインク保留体で筆記具内圧を調整する機
構が知られており、コレクターの内圧調整のための濡れ
を向上させる目的で、酸やアルカリ溶液に浸積して表面
を改質する化学処理をしたり、プラズマ処理により改質
して内圧調整機能を十分に発揮させるようにしている。
プラズマ処理方法としては特開平5−238186など
の発明を本出願人は開示しているが、一例としては10
-3から10トールの減圧下でのプラズマ重合性のないガ
スによる低温プラズマ処理などが知られている。コレク
ター式にはペン先を圧入保持する口プラがコレクターに
圧入保持され、コレクターはインクタンクに圧入される
構造になっている物が多く、口プラを省略した物も見ら
れる。
【0004】コレクター式以外の直液式筆記具、例えば
内部に剪断減粘性を有する水性のインクを押し出し管の
インクタンクに直接保蔵した中粘度式の直液式水性ボー
ルペンやコレクター式サインペンや内部にバルブを有し
たバルブ式水性マーカーなどの直液式筆記具が存在して
いるが、これらの筆記具にはインクタンクからペン先の
間に継手部材が入ることが多く、継手内部はインクに接
触してインク流路となっている。
【0005】上述の直液式筆記具は、インクタンクとペ
ン先の間にある部品を成形部品とすることが多く、成形
部品は必ずしもインクに対する濡れが良いとは限らな
い。それは比較的濡れやすいABS樹脂が用いられるコ
レクターでさえも濡れ改質処理しなければならないこと
からも明らかであり、コレクターを含むインク流路とな
る継手部品の内面ではその内面を濡れ改質処理しない場
合はインクがはじかれる状態ではあるが、インクヘッド
やはじかれる空間がないことから一見するとはじかれて
はいないものの、常にインクがはじかれるように応力を
受けた状態となっている。
【0006】濡れ改質していない樹脂部品の内部では、
インクが濡れにくいながらも直液式であるため見かけ上
はインクが充満して筆記可能なインクが流れている。し
かしながら、筆記を連続的に行ったり、上向きで放置し
たり、長期保存したり、高温下で放置されたり、気泡が
混入した場合などでは、インクの流路が途中で切れた
り、流路が狭くなって、カスレや筆記不能などの問題を
起こす場合がある。
【0007】濡れやすくさせるには、濡れ改質が可能か
つある程度長期にわたって濡れ改質の効果が持続する必
要があるため、樹脂材料は限定されるが、濡れの改質の
ためには一般的に樹脂の分子構造の中または樹脂に分散
されている成分の中に水酸基が存在している事、または
改質処理によって発現する事が望ましく、ごく一般的に
はABS樹脂が用いられている。
【0008】しかしながら、ABS樹脂は、耐酸性や耐
アルカリ性やアルコール系溶剤やグリコール系溶剤に対
しての耐薬品性が基本的にやや劣る上に、濡れ改質処理
は樹脂そのものあるいは樹脂の内部の成分の一部を変質
させたり分解したりする事によって濡れ性の改善をする
原理であることから、さらに耐薬品性が劣化して、組立
時や経時的に割れてインク漏れが発生する問題が生じや
すい。耐薬品性の良いPP、PE、POMなどは濡れ性
改質処理が困難であったり持続性が全くなかったり、濡
れ性改質してしまうと極端に物性が変化して脆くなって
しまったりする問題がある。ポリカーボネート(PC)
やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)などの樹脂では内部にエス
テル結合があり、水に接触していると夏の倉庫程度の加
温でも樹脂が加水分解して非常に脆く割れやすくなって
しまうので水性インクが直接接触する場合は使用できな
い。
【0009】特に、従来の濡れ改善した部品にペン先な
ど他の部品を圧入し、その圧入部にインクが接触してい
る場合には物理的な割れに加えて、薬品による応力割れ
の問題が発生しやすく、部品の寸法精度を厳密にして圧
入代を減らしたり、圧入部の肉厚を増やしたり、インク
漏れ防止の為の特別な圧入部をわざわざ別個に設けなけ
ればならないなどの対応を強いられることから、コスト
アップや組立性の悪化や外観を細くできないなどの問題
も生じている。
【0010】水は純水の状態では表面張力が非常に高く
約73dyn/cm程度であり、吹き出し性を意識して
いるコレクター式水性インクは各種添加剤を調合したイ
ンクの状態で40dyn/cm前後であるがこの表面張
力でも部材の方を濡れ改質しないと安定した濡れ状態と
ならず、内部の筆記用のインク流路でインクがはじかれ
て筆記異常になってしまう問題が生じる。
【0011】インクの表面張力を低下させて濡れやすく
すると、部材の濡れに関しては向上するが、紙面に対し
てもにじみやすくなってしまったり、ペン先からのイン
ク漏れである直流が発生してしまったり、樹脂部材への
浸透性もアップしてABS部品では濡れ改質処理をして
いなくても応力腐食割れが増大してしまったりする。
【0012】従来から用いられているABS樹脂では吸
水性がやや高く防湿性に劣っており、内部にインクが接
触状態で入っている筆記具の容器としては、使用しにく
く、さらに外部にPP、PEなどの防湿性のあるカバー
が必要であり、容器として防湿性が高い材質にできれば
カバー部品を省略することが可能となる。ナイロン系の
樹脂は耐薬品性が良く、非常に水に濡れ易いものの吸水
性が非常に高く防湿性が全くない。ポリアセタール樹脂
は耐薬品性は良いものの、濡れ性が悪く改質処理もやり
にくく、吸水率がやや高いために容器としてはカバーが
必要になる場合も多い。ポリプロピレン樹脂などのオレ
フィン系樹脂は濡れ性が非常に悪く、インクをはじいて
しまう上に長期的に安定した濡れ性改質処理を施すこと
が困難である。また、ABS樹脂等はエチルアルコール
やエチレングリコールなどの水溶性溶剤に対しての耐溶
剤性が低く、インク中にドライアップ防止剤として一般
的に入れてあるエチレングリコール等のグリコール系溶
剤などで、割れが発生したり膨潤したりして、圧入状態
を厳しく設定したり、別途のシール部品を設けたり、イ
ンクを限定する問題が発生する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、主に
普及型の筆記具の改良を目的としており、インクの濡れ
に起因する筆記性異常の発生の問題を解決するだけでは
なく、各種のインクとの組み合わせでも筆記性の問題を
発生させない上、ペン先からインクがしみ出す割れや直
流の問題や、組立性、性能安定性、保存性などを考慮し
て複雑な機構とならない安価な筆記具を提供するという
課題を解決する。
【0014】
【課題を解決するための手段】筆記部であるペン先を有
しており、インクタンクにインク等液体を直接保蔵する
タイプの筆記具または筆記具状の化粧品や塗布具等にお
いて、上記の課題解決を達成する為に、本発明の筆記具
は、まず、インクタンクとペン先との間の接続部品で単
体または複数の部品の組合せである継手を変成PPO、
変成PPE、シンジオタチックポリスチレンの基本アロ
イのいずれか又はそれらにゴム分等をさらにアロイ化し
た物やそれら3種の内の複数の混合物、やこれらの材質
製の部品の組合せによって構成した。樹脂材質の内容は
上記3材質がメインの材料であれば良く、グラフト重合
等の重合型や分散型やブレンド型、相溶化型など適宜選
択され、グラフト成分やグラフト率、さらに通常の射出
成形用材料に添加される可塑剤、安定剤、加工助剤、酸
化防止剤、顔料等着色剤、ガラス繊維やタルクなどの無
機物、などを含有せしめることができ特に限定するもの
ではない。
【0015】前方にはペン先を圧入保持し後方にはイン
クタンクを圧入保持する継手、またはインク調節体のコ
レクターとペン先を保持する口プラを圧入組み合わせた
複数部品による継手(以後は単に継手と呼ぶ)を樹脂製
となして、インクの漏れの無い様にそれぞれの部品は圧
入保持されている。アンダーカット等を利用してさらに
インクシール漏れを防止しても良い。
【0016】本発明では、さらに継手内部をインクに対
して濡れ性が向上するように、濡れ性改質処理を施し
た。具体的には、塩酸、硝酸、クロム酸混液などの酸や
水酸化ナトリューム、水酸化カリューム、アンモニアな
どのアルカリによる化学的処理や、プラズマによる処
理、コロナ放電による電気的処理、炎等によるフレーム
処理などが行えられる。最も安定した処理としては例え
ば低温プラズマによるプラズマ処理であるが、部材の形
状やコストや組立方法や品質安定度などを考慮して化学
処理などでも適宜選択することは可能である。
【0017】さらに本発明の応用としては、濡れ性改質
処理した場合でも割れの発生が少ないことから、継手と
ペン先やインクタンクとの圧入状態を単純な圧入とする
ことができ、継手の外気とのシール遮断をするキャップ
を継手を覆う必要がない物にするように構成する事がで
きる。
【0018】
【実施例】以下、図示した実施例について詳説する。図
1は本発明の第1の構造例を示している。図に示すよう
に透明または半透明樹脂製のインクタンク3の内部にイ
ンク7を保蔵する筆記具である。水をベースとした擬塑
性(チクソトロピック性とも呼ばれる)のある、筆記時
のような高剪断下では低粘度で保存時のような低剪断時
には粘度が高いインクであり、リフィール後方には揮発
しにくいグリス状のフォロワー8を内蔵し、筆記部とな
る筆記ボール14を保持するチップ1には内部に筆記ボ
ール14を円周状のカシメ部によって抜け止めされると
ともに筆記ボールを回転自在に遊嵌してペン先内部は筆
記に必要な流路を確保してある。インクタンク3先端側
には継手2が圧入されている中性ボールペンである。
【0019】ここで使用しているインク7は、一般的な
中粘度インクで23℃のインクの粘度を高剪断時383
Sec-1で20から300mPa〓S、低剪断時3.8
3Sec-1で100から3000mPa〓Sの剪断減粘
性を有するインク、もしくは中粘度水性インクで、ほぼ
どの剪断域でも粘度20から3000mPa〓Sのイン
クとした。インクの表面張力は各種添加剤によって調整
可能であるが、紙面へのニジミ性やペン先からの直流性
や内部流路での部品によるはじき性を考慮してインクの
表面張力を30から40dyn/cmの間に調整した。
【0020】本発明では、先端側にペン先1を、後端側
にパイプ状の押し出し成形によるインクタンク3をそれ
ぞれ圧入保持して内部に逆流防止機構を有する継手2
に、低温プラズマ処理等濡れ性改質処理を施してインク
に対して濡れを向上させた。濡れを向上させない場合に
は、内部のインク流路でインクがはじかれた状態で応力
を受けており、筆記を早くした場合や大流量の太いペン
先とした場合などにインク7の流量が不足して所謂イン
ク切れ状態となって筆記カスレが発生し、また上向きで
長期に保存した場合も同様にインクが切れてしまい筆記
異常となる場合があったが、本発明ではこの問題は発生
しない。
【0021】インクタンク3、尾栓6、継手2などキャ
ップをしても外気に触れる部品はインク7の主溶剤であ
る水の揮発性が少ない材質が望ましい。具体的には水性
インクではポリプロピレン(PP)やポリエチレン(P
E)やポリメチルペンテン(TPX)などの結晶性オレ
フィン系樹脂、非結晶性のポリオレフィン樹脂、変成ポ
リフェニレンオキシド(変成PPO)や変性ポリフェニ
レンエーテル(変成PPE)やアクリロニトリルスチレ
ン樹脂(AS)など非結晶ポリスチレン系樹脂、結晶性
のポリスチレン樹脂(シンジオタクチックポリスチレ
ン:SPS)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(P
ET)、等々及び上記の材質をベースとしてゴム分や他
の樹脂とのアロイなどの改質種であるコポリマーやブロ
ックコポリマーやランダムコポリマー等樹脂や、金属、
無機物などの単独またはこれらの混合、組合せなどが考
えられる。本発明では、インクタンク3をPPとなし、
インク7の後端にある難揮発性グリス状のフォロワー8
によって揮発は防止されており、継手2を変成PPO、
変成PPE、SPSのいずれかで成形した。
【0022】変成PPO、変成PPE、SPSの3樹脂
の組成上の特長は、 1)いずれもスチレンをベース第1成分としたものに第
2成分以上を含有する変成樹脂である、 2)耐熱性や耐薬品性を向上させる第2成分(PPO、
PPE、結晶化したPS)を相溶化又は分散させてい
る、 3)伸びや耐応力緩和を目的としたゴム分を分散または
グラフト重合等により含有したものである、 4)エステル結合が無く加水分解性が無い、などであ
る。
【0023】機能上の特長としては、 1)20%前後の伸びがあり圧入固定に使用できる、 2)酸、アルカリ性やインクに使用する水溶性溶剤(ア
ルコール類、グリコール類など)の水希釈液に対しての
耐性が高いので化学的な処理や圧入による割れが発生し
にくい、 3)加水分解しないので水やインクなどの水で希釈した
溶剤中での加温でも分解や劣化しにくい、 4)適度な剛性や耐熱性があり、比重が1.05前後で
軽く軽量化がはかられるとともにペン先などを圧入して
も経時後に抜け落ちる耐クリープ性に優れる、 5)吸水率が0.05から0.1%程度であり、ABS
の半分以下である事からある程度の防湿性を有しており
水性インクの容器部材として使用できる、 6)スチレンをベースとしているため成形性が良く複雑
な形状や多数個で部品成形が可能なため筆記具のような
ローコスト部品に使用できる。
【0024】本発明の他の構造例としては、図2に示す
ようなコレクター式の水性ボールペンであり、第1の実
施例との相違点は、インク7が低粘度のインクであり、
粘度は2から10mPa〓Sである事、コレクター2b
を変成PPOで成形して低温プラズマ処理や水酸化ナト
リューム10分の化学処理などの濡れ性改質処理を施し
たこと、さらに口プラ2aも濡れの改質処理を施してあ
る事、インクタンク3を半透明のPPで射出成形した
事、ペン先1からインクタンク3まではインク誘導芯4
とコレクター芯5を設けてある事、などである。
【0025】コレクター2bはインク調節体としての機
能を満足させるために低温プラズマによる濡れ性改質処
理を施されているが、同時に内部のインクの濡れも向上
させている。実際に濡れ性が向上したかどうかは表面張
力が40dyn/cm程度のテストインクにより接触角
や濡れ具合の観察をすることで判定できる。さらにイン
ク流路となる口プラ2aも濡れ改質していることで、イ
ンクタンク3からペン先1までインク7の流路が切れる
ことが無くなっている。口プラ2aを濡れ改質処理しな
い場合には、この口プラ2aの周辺でインクがはじかれ
てしまい速書きでの筆記異常や保存後のインク切れの問
題が発生してしまう事が見られた。つまり本発明の複数
組合せの継手とはコレクター2bと口プラ2aの組合せ
の事である。
【0026】単体の継手2やコレクター2bと口プラ2
aの組合せの継手2などを本発明の構成とした場合に
は、インクタンク3のみではなく、継手2からのインク
の揮発性防止がはかれるため、図1のようにキャップは
ペン先1の先端部のみをシールすれば良く、従来の方式
のように、揮発しにくい部品をわざわざ追加したり、キ
ャップを全体のシールする構成とする必要が無くなる構
成とすることも可能であり、従来の揮発の多い部品を使
用した物よりもインクの変化が少なくなり長期保存が可
能となったり、インクやペン先を適宜選定すればキャッ
プレス筆記具とできるものである。
【0027】以下に上述の構造例と各種の材質、インク
を組み合わせた実施例とその評価について詳述する。評
価する内容は、初期の機械筆記性、速書きでの筆記性、
50℃上向き保存6ヶ月後の筆記性を評価した。第1実
施例としては、図1の様な第1の機構例として三菱鉛筆
(株)製の中粘度式筆記具であるUM−100を使用
し、継手を変成PPO(GE社製、ノリル731J)で
成形、10-3から10トール望ましくは0.01から1
トールの減圧下でプラズマ重合性のない気体(例えばア
ルゴン)中でのプラズマ処理を行い、インクの表面張力
を紙面へのニジミを意識した40dyn/cmとした。
結果は、筆記性はいずれも問題なく、保存後筆記性も初
期とほぼ変わりなく、問題なかった。部品の割れもなく
インク漏れや揮発の異常もなかった。
【0028】第2実施例としては、継手を変成PPE
(三菱化学社製、ユピエースAV40)で成形し、その
他は実施例1と同じ処理や構成とした物である。結果
は、筆記性はいずれも問題なく、保存後筆記性も初期と
ほぼ変わりなく、問題なかった。
【0029】第3実施例としては、継手をSPS(出光
化学社製、ザレックS100)で成形し、その他は実施
例1と同じ処理や構成とした物である。結果は、筆記性
はいずれも問題なく、保存後筆記性も初期とほぼ変わり
なく、問題なかった。
【0030】第4実施例としては、軸機構をコレクター
式筆記具である三菱鉛筆(株)製UB−150とし、イ
ンクを擬塑性のない粘度3mPa〓S、表面張力40d
yn/cmのインクとし、部品の省略が可能か調査する
ため図3のPP製の継手カバー部品を取り付けず、図2
の様にコレクターが直に外気に接するような状態でテス
トした。さらに口プラとコレクターを共に変成PPO
(ノリル)で成形し、どちらも低温プラズマ処理にて濡
れ性改質した。結果は、筆記性はいずれも問題なく、保
存後筆記性も初期とほぼ変わりなく、問題なかった。
【0031】第5実施例としては、口プラとコレクター
を共に変成PPO(ノリル)で成形し、どちらも水酸化
ナトリューム10分の化学処理後水洗した濡れ性改質し
た。結果は、プラズマ処理に比べて改質処理の時間的な
変化が見られ、コレクター機能を維持するためには濡れ
改質処理後1週間以内に素早く組み立てる必要はあった
ものの、筆記性はいずれも問題なく、保存後筆記性も初
期とほぼ変わりなく、問題なかった。
【0032】第1比較例としては、継手を濡れ性改質処
理しなかったこと以外は全て第1実施例と同じ構成とし
た。結果は、初期筆記性はいずれも問題なかったが、保
存後筆記性でインク切れ現象が発生し、実使用可能では
あるがカスレが発生した。内部ではインクがわずかにド
ロップした状態となってインクが継手にはじかれている
部分があった。
【0033】第2比較例としては、継手をポリアセター
ル樹脂(ポリプラスチックス社製ジュラコン20F)で
成形し濡れ性改質処理しなかったこと以外は全て第1実
施例と同じ構成とした。結果は、初期筆記性はいずれも
問題なかったが、保存後筆記性でインク切れ現象が発生
し、実使用不可能なほどカスレが発生した。内部ではイ
ンクが完全にドロップした状態となってインクが継手に
はじかれていた。
【0034】第3比較例としては、継手をABS(JS
R社製ABS#15)で成形し、水酸化ナトリューム1
0分の化学処理後水洗した濡れ性改質処理を施した以外
は第1実施例と同じ構成とした。結果は、初期の評価で
は継手のペン先圧入部に僅かにひび割れが見られたが初
期の筆記性は問題なかった。しかし、経時中の評価はペ
ン先圧入後数日で30%以上の試料で割れが発生し、イ
ンク漏れにより全ての比較評価できない状態となった。
【0035】第3比較例としては、口プラを変成PPO
(ノリル)でコレクターをABS(JSR#15)で成
形し、どちらも水酸化ナトリューム10分の化学処理後
水洗する濡れ性改質した以外は実施例4と同じ構成とし
た。結果は、初期は筆記性はどれも問題なかったが、コ
レクターの圧入部に微小な割れが発生し、インク漏れは
無かったものの、揮発性が悪化してインクがやや増粘
し、保存後の筆記性はインク流量がダウンしてしまい筆
記描線が薄くなり、防湿性を目的としたカバー部材を省
略できない結果が得られた。
【0036】
【作用】実施例に於いて、本発明の作用を説明する。内
部をインクが流れる流路となる単体又は複数の部品の組
合せである継手で、ペン先などの部材が圧入される場合
に生じやすい割れの問題とインクの成分が揮発してしま
う問題は本発明の樹脂の選択をすることで解決できる作
用を有している。通常のインク漏れを防ぐための部材の
圧入では割れや水性インク溶剤で応力腐食割れを起こす
ことはなく、割れのためにインクが漏れたりペン先が抜
けてしまう事故は発生しない。
【0037】特にプラスチックに濡れにくい水をベース
とした水性インクの場合は濡れが悪く、はじかれた状態
となって筆記性の問題が発生しやすいが、本発明では既
に述べたようにさらに継手部材に濡れの改質処理を施し
たので、内部でインクをはじく状態にならない事から、
筆記時の流量が安定したものになったり、速書きや大流
量のペン先の場合でもかすれがなくなる作用を有してい
る。インクがはじかれる応力を受けた状態で、上向き保
存を行うと経時的にインクが切れてしまうインクドロッ
プの現象が発生するが、本発明ではインクタンクからペ
ン先の間の部品である継手内部はインクに十分に濡れる
状態であるため、インクがはじかれる応力を受けておら
ず、経時的にインクドロップする問題は発生しない。
【0038】さらに、継手の材質をポリスチレン系の変
成樹脂の3種類のいずれか又はそれらの組合せに限定し
たことで、材質内の組成がポリスチレンとゴム分と第3
成分との組合せになっており、濡れの改質処理がしやす
いと言われているABS樹脂とかなり似通った内部組成
を有していることから、インクの表面張力をある程度調
整すれば濡れ改質しないでも実使用上の問題のない筆記
具が提供でき、ABS並の濡れ改質効果が得られること
から濡れ改質する場合の処理が容易かつ安定した製造が
できる作用を有している。
【0039】ABS樹脂で問題となる、耐薬品性がやや
劣ることによる圧入応力割れや、吸水性がやや高く水性
インクの容器としてはPPなどのカバー部材が必要でコ
スト高になること、などが、本発明の樹脂の限定によっ
てほぼ問題なくなり、組立性が容易になる、割れの問題
の発生しない安全な筆記具が提供できる、コストダウン
が可能、細く外観の良い筆記具が提供できる等の作用を
有している。
【0040】本発明の構成とすることで、ペン先やイン
クを適宜選定すれば、経時保存後のインクの流れも良く
なる上、容器からの揮発も抑えられることから、吸水性
のやや高いABS樹脂製継手を有する場合では不可能な
キャップレス筆記具への応用も可能になる作用も有して
いる。
【0041】
【発明の効果】本発明の筆記具の構成及び作用は以上の
如くであり、筆記カスレや筆記異常などの事故にはなら
ない筆記具を提供できる効果があり、直流しないインク
の採用など安全性の高い筆記具の機能を満足させるだけ
ではなく、保存時や軽い衝撃でもインクが中で切れてし
まう現象が無く、優れた筆記性と安定性を有した上でユ
ーザーの使用が簡便に行える使いやすい筆記具を提供す
ることが可能となる効果を有している。
【0042】さらに製造上の問題も少なく、インク種に
よって各種の部品を組み合わせる必要がないすべての水
性インクで共通した筆記具とすることが可能となって、
部品構成が簡略化されるだけでなく、安価で機能性の良
い長期の耐久性と保存安定性を考慮された安定した製品
を提供できる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である筆記具の全体を示す
縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例である筆記具の先端主要部
を示す縦断面図である。
【図3】従来例である筆記具の先端主要部を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
1 ペン先 2 継手 2a 口プラ 2b コレクター 3 インクタンク 4 インク誘導芯 5 コレクター芯 6 尾栓 7 インク 8 フォロワー 9 カバー 10 逆流防止弁 11 先端シール 12 キャップ 13 中キャップ 14 筆記ボール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペン先の後方にインクタンクを、その内
    部に水を含有した水性インクを直接保蔵した直液式筆記
    具に於いて、前方でペン先を保持し後方でインクタンク
    を保持する単体又は複数の部品の組合せの継手を有し、
    筆記に要するインクがインクタンクからペン先まで導通
    する流路となる該継手部品を変成PPO(ポリフェニレ
    ンオキシドとポリスチレンとのアロイ)、変成PPE
    (ポリフェニレンエーテルとポリスチレンとのアロ
    イ)、SPS(シンジオタクチックポリスチレンとゴム
    分とのアロイ)、のいずれかもしくはさらにゴム分等第
    3成分以上の成分を含有するもの、又はそれらの部品の
    組合せにて成形した事を特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 単体又は複数の部品組合せである継手に
    は、インクに対する濡れ性が向上するような濡れ性改質
    処理が施されたことを特徴とする請求項1に記載の筆記
    具。
  3. 【請求項3】 単体又は複数の部品組合せである継手に
    処理される濡れ性改質処理が低温プラズマ処理であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の筆記具。
  4. 【請求項4】 該継手部品には、インク漏れを防止しつ
    つ相手部材を圧入固定されて常に応力を受ける固定部を
    有することを特徴とする請求項1、2及び3に記載の筆
    記具。
  5. 【請求項5】 複数の羽状溝で筆記具内部の内圧を調整
    する調節体であるコレクターを有する筆記具に於いて、
    該継手部品がコレクター部品となっており、コレクター
    部品は羽状の外周部と共に内面も濡れ改質した事を特徴
    とする請求項1、2、3及び4に記載の筆記具。
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