JPH0872465A

JPH0872465A - 水性ボ−ルペンレフィル

Info

Publication number: JPH0872465A
Application number: JP6230272A
Authority: JP
Inventors: Teruaki Fukazawa; 輝明深澤; Minoru Machida; 稔町田
Original assignee: Pilot Corp; Pilot Pen Co Ltd
Current assignee: Pilot Corp
Priority date: 1994-08-31
Filing date: 1994-08-31
Publication date: 1996-03-19

Abstract

(57)【要約】【目的】ノック式，回転式等のキャップレスボールペ
ンにおいて、チクソトロピック性を有する中粘度の水性
インキをインキ収容筒に直詰した水性ボールペンレフィ
ルの、インキ逆流によるインキ収容筒の後端部からのイ
ンキ流出を阻止する。【構成】プラスチック又は金属のインキ収容筒の先端
開口部にはボールペンチップが嵌着され、後端開口部に
は外気との通気手段を設けた尾栓が嵌着されてなるボー
ルペンレフィルにおいて、不使用時には高い粘性を有す
るが筆記時のボールの回転で粘度が低下するいわゆる、
チクソトロピック性を付与した中粘度の水性インキをイ
ンキ収容筒内に直詰し且つ、該水性インキの後部にはイ
ンキの消費とともに追従するフォロアを設けてなる水性
ボールペンレフィル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水性インキを用いた水
性ボールペンレフィルの改良に関する。

【０００２】

【従来技術と本発明が解決しようとする問題点】従来か
ら存在する水性ボールペンレフィルには、インキ収容筒
内に繊維状の中綿にインキを含浸させたインキ吸蔵体か
ら、インキ誘導芯を介してインキをボール部に誘導する
ように構成したいわゆる、低粘度インキを用いた例え
ば、実公平２−３９０９号公報，実公平５−１７２７４
号公報などの水性ボールペンレフィルや、不使用時には
比較的高い粘性を有するが、筆記時のボール回転で粘度
が低下して流出するいわゆるチクソトロピック性を付与
した中粘度の水性インキをインキ収容筒内に直詰し且
つ、該水性インキの後部にはインキの消費とともに追従
するフォロアを位置せしめて構成した中粘度インキを用
いた例えば、実公平３−５３９０２号公報，実開平６−
１７９７７号公報などの水性ボールペンレフィルがあ
る。

【０００３】しかして、インキ吸蔵体を用いる低粘度イ
ンキによる水性ボールペンレフィルはインキ吸蔵体が繊
維状の中綿にインキを含漬させるため、その容積の割に
インキ量を多く保持できない点や、筆端部へのインキの
供給を繊維を固く束ねた誘導芯によっていることも原因
して、使用中にインキが減少するにともない、筆端部へ
のインキ供給量も減少し、筆記濃度が一定でなくなると
いう悪弊が生じたりあるいはインキ収容筒内のインキ残
量が確認できないことなどにより、レフィルの筆記寿命
が近づいて替芯の持ち合せがない場合には、筆記濃度が
薄れてかたい筆感となり、いつインキ切れになるかと不
安や不快の念を抱きながら筆記するなどの問題があっ
た。以上のような問題点の改良を意図して透明又は半透
明のプラスチック材料からなるインキ収容筒にチクソト
ロピック性を付与した中粘度の水性インキを直詰し且
つ、該水性インキの後部に同インキがインキ収容筒内壁
に付着し残滓とならぬよう配慮されたフォロアを設けた
水性ボールペンレフィルが登場することになった。

【０００４】本発明者らは、独自に発明したチクソトロ
ピック性を付与しさらに、ペン先を下向きに携行した場
合に生ずるペン先部からのインキ垂れ下りを防止した中
粘度の水性インキを、インキ収容筒に直詰しこれをレフ
ィルとしてキャップレスボールペンに用いる出願を先に
特願平５−１４０１６３で行なった。しかしながら、こ
の先の出願は、ペン先部を上向きで筆記するいわゆる逆
さ書きが原因で生じるインキ収容筒後端開口部からイン
キが流出してしまうインキ逆流に対しての配慮が欠けた
ものであって、本発明は先の出願におけるこれら不備な
る点を補完し且つ、用途の拡大化を意図した改良に関す
るものである。

【０００５】

【問題解決のための手段】本発明は、先の出願（特願平
５−１４０１６３）の発明がペン先部を下向きに携行す
る軸筒の後端部にクリップが位置するキャップレスボー
ルペンを意図したため、逆さ書きによるインキ逆流に対
する配慮に欠けた点について、インキ収容筒の後端開口
部に外気との通気手段を設けた公知の油性ボールペンレ
フィル及び水性ボールペンレフィルの尾栓を止着するこ
とをもって問題解決のための手段となし、その通気孔は
インキの後部に位置する粘度の高いフォロアが進入不能
であって、外部へのインキ流出が阻止されることにな
る。

【０００６】

【作用】本発明はインキ収容筒に直詰される水性インキ
は、静止状態に近い状態での粘度が５００〜５，０００
センチポイズである中粘度水性インキであってチクソト
ロピック性を有するものであり且つ、ペン先部からのイ
ンキ垂れ下りを防止したものであるから、インキ収容筒
内に直接収蔵することが可能となり、インキ吸蔵体やイ
ンキ誘導芯の存在を不要としたキャップレスボールペン
が、簡単に得られる本発明者らによる先の出願の発明が
奏する作用に加えて、通気手段を設けた尾栓をインキ収
容筒の後端開口部に止着したので、使用上の不注意でそ
の数ははなはだ少数とは言え商品として不備であったイ
ンキ収容筒後端からのインキ流出を阻止することができ
るようになった。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００８】第１図に示す実施例１の水性ボールペンレ
フィルＲは、先の出願（特願平５−１４０１６３）のキ
ャップレスボールペン用レフィルに新たに尾栓を止着し
たものであり、インキ収容筒１は透明又は半透明のプラ
スチック材料からなり、該インキ収容筒１内には、ずり
速度１．９４Ｓｅｃ^-1のときの粘度が５００〜５，００
０ｍＰａ・Ｓであり且つ、チクソトロピック性を有する
中粘度水性インキ２が直詰される。該中粘度水性インキ
２は静止状態では極端に流動性に乏しいが、インキ収容
筒１の先端開口部１ａに嵌着されるチップ３のボール部
Ｂにおいては筆記状態ではボールの回転作動により粘度
が１００ｍＰａ・Ｓ以下となり、インキに流動性を得て
通常の低粘度水性インキによる場合と同様の筆記状態の
実現が可能となる。

【０００９】本発明で使用するチクソトロピック性を有
する中粘度水性インキ２の一例としては、チクソトロピ
ック性付与剤として架橋型アクリル酸重合体，着色剤と
して染料，垂れ下り防止剤として造膜性を有する水溶性
樹脂を，そして他に保湿湿潤剤，防錆潤滑剤，耐水性付
与剤，ｐＨ調整剤，防菌剤に水を加えた成分となってお
り、架橋型アクリル酸重合体の増粘作用に影響を及ぼさ
ぬようインキ中の金属イオンの濃度を０．４５％以下に
特定したものである。

【００１０】チクソトロピック性付与剤として用いた架
橋型アクリル酸重合体は、分岐を有するアクリル酸重合
体がカルボキシル基以外の部分で互いに架橋して網状構
造を形成している重合体であり、インキの経時安定性に
優れ且つ、インキを適切な塑性流体になし、曳糸性や粘
着性が発生しないという効果も奏する。そして、実験結
果から、分子量１７０万未満だと筆跡に線割れが発生
し、６００万を越えると溶解時に白濁が発生することが
わかっており、配合量についてはインキの粘度から概
ね、０．４重量％〜１．０重量％が好ましい結果を与え
る。

【００１１】着色剤に染料を選定したのは水溶性である
のでインキの安定性を良好にし、ペン先のボールに対し
て摩耗作用を持たず、ペン先で目詰まりを起こすことな
く、色調も良好であるためであって、該染料は架橋型ア
クリル酸重合体の増粘機構に影響を与えないため、含有
金属イオンの絶対数の少ないしかも、架橋型アクリル酸
重合体より解離定数の小さいものが良く、配合量は３〜
１０重量％である。なお、インキの安定性，良好な筆記
性能，あざやかな色調等で総合的に秀れたインキとして
染料を用いたものを例示したが、着色剤に顔料を用いる
ことも、顔料のもつ筆跡の耐水性の良さなどの特性を生
かすことで当然考えられて良い。

【００１２】垂れ下り防止剤として造膜性を有する水溶
性樹脂が使用されるが、特にポリエチレン・ポリエチレ
ングリコール共重合体が好ましく、この共重合体を使用
すると架橋型アクリル酸重合体と協力して、ペン先にお
いて空気に触れたインキが流動性を失いシール剤として
の作用を奏し、ペン先部からのインキの垂れ下りが防止
される。なお、該垂れ下り防止剤の作用により薄膜状に
ボール部をシールしたインキ膜は、筆記することにより
破れて新しいインキが供給されるので、それまで膜とな
っていたインキは水に再溶解して流動性を得るので、常
に良好な筆記が行なえる点でキャップレス用レフィルに
適する大きな特徴となっており、その配合量は０．３〜
０．５重量％である。なお、キャップレス用として用い
ないレフィルについては、垂れ下り防止剤による効果を
大きく期待せずとも良いので垂れ下り防止剤を省いても
良く、逆に顔料を着色剤とするインキ配合の場合は、顔
料は一度流動性を失った状態から水が供給されても再分
散しないので、元のインキの状態に戻らなくなって筆記
不能となってしまうから、垂れ下り防止剤は添加すべき
ではない。

【００１３】例示するインキは更に保湿湿潤剤，防錆潤
滑剤，耐水性付与剤，ｐＨ調整剤，防菌剤に水を加えた
成分で配合され、インキ中の金属イオンの濃度を０．４
５％以下としている。ちなみにここに例示したキャップ
レス用インキの配合例を参考までに掲げる。ＤｉｒｅｃｔＢｌａｃｋ１５４７．５重量％架橋型アクリル酸重合体（分子量３００万）０．７重量％保湿湿潤剤（エチレングリコール）２０．０重量％垂れ下り防止剤０．５重量％（ポリエチレン・ポリエチレングリコール共重体）耐水性付与剤１．０重量％ｐＨ調整剤１．０重量％防錆潤滑剤０．２重量％防菌剤１．０重量％イオン交換水残部該インキは以上の記載のとおり、ペン先部を下向きで携
行するノック式や回転式などのレフィル繰出式のキャッ
プレスボールペンに適したインキである。他方ペン先部
からのインキ垂れ下りに対して、キャップ内に位置する
弾性体等によるパッキンで、ペン先部を密閉することが
できるキャップ式用レフィルには、別途配合のインキを
用いて良いことは当然である。

【００１４】また、第１図に示す実施例１の水性ボール
ペンレフィルＲは、チクソトロピック性を有する該中粘
度水性インキ２の後部にフォロア４を軸心方向の長さ５
ｍｍ〜１５ｍｍに位置させてある。該フォロア４は液状
ポリブデン等の潤滑油にＳｉＯ₂ 等の石けん系又は（及
び）非石けんの疎水性増稠剤とその他の添加剤を加えて
滴点８０℃以上で且つ、２５℃における稠度を２００〜
４００に調製したもので、筆記によるインキの消費とと
もに追従し、インキがインキ収容筒１の内壁に付着して
残滓とならぬようクリーニングするとともに、自体も可
能な限りインキ収容筒１の内壁に付着してその体積を減
じないものが望ましい。

【００１５】更に、インキ収容筒１の後端開口部１ｂに
は外気との通気手段である通気孔６を設けた尾栓５が止
着される。該尾栓５に設けられる通気孔６の形状，長さ
等は問わないがその断面積は、逆流した場合のフォロア
４の通気孔６への進入を妨げる０．０４ｍｍ² 〜３．２
ｍｍ² に設定してある。なお、外気との通気手段につい
て第１図示の実施例１では尾栓５に通気孔６を設けた
が、これに限るものでなく尾栓５が止着されるインキ収
容筒１の嵌合部に通気溝を設けることもすでに知られて
いることである。

【００１６】第２図に示した実施例２の水性ボールペン
レフィルＲ₁ は、インキ収容筒１₁が金属材料を用いた
もので、実施例１のプラスチック材料に比べ、インキ収
容筒１₁ の外径を小径にすることができる利点があっ
て、細身のボールペン外装にも十分対応できるものであ
り、その構成は実施例１の水性ボールペンＲと同様に、
インキ収容筒１₁ にチクソトロピック性を有する中粘度
水性インキ２を直詰し、該中粘度水性インキ２の後部に
フォロアを所定長さ注入し、インキ収容筒１₁ の先端及
び後端には、それぞれチップ３と通気孔６を有する尾栓
５₁ を嵌着して成したものである。

【００１７】かかる構成と成した実施例１の水性ボール
ペンレフィルＲは、第３図の中粘度水性インキ２による
従来のレフィルのようにまた、本発明者らによる先の出
願（特願平５−１４０１６３）で問題とされた、上向き
筆記（逆さ書き）によってインキ収容筒１外へインキが
流出するインキ逆流が防止でき、また、実施例２の水性
ボールペンレフィルＲ₁ は、第４図で示したインキ収容
筒１₁ 内に位置する繊維から成る中綿に低粘度水性イン
キを吸蔵させたインキ吸蔵体７から、インキ誘導芯８を
介してボール部にインキを誘導するように構成したいわ
ゆる、従来の水性ボールペンレフィルの代替品となり、
筆記濃度が筆記中に低下したり、インキ量を多く保持で
きないなどの筆記性能上の問題も解消し且つ、コスト低
減にも多大な成果をもたらすとともに、細身外装のキャ
ップ式や回転繰出式の高価格の商品のレフィルとしても
使用できるなど、その用途は広範なものとなった。

【００１８】

【効果】本発明により、チクソトロピック性を付与した
中粘度の水性インキをインキ収容筒内に直詰し、その後
部にフォロアを位置せしめ且つ、インキ収容筒の先端開
口部にはボールペンチップを後端開口部に外気との通気
手段である通気孔を設けた尾栓を止着して構成された水
性ボールペンレフィルは、その用途が先の出願（特願平
５−１４０１６３）のノック式や回転式ボールペンのよ
うにレフィルの筆端部が繰出操作で出没し、通常は外装
の後部に位置するクリップで着衣のポケット等に保持
し、ペン先部を下向きに携行するいわゆる、ペン先部を
特に隠蔽部材で覆うことをしないキャップレス用として
は、着色剤に染料と、チクソトロピック性の付与剤とし
て架橋型アクリル酸重合体をそして、垂れ下り防止剤と
して造膜性を有する水溶性樹脂を配合した中粘度水性イ
ンキを特定して用いたが、インキ収容筒後部に尾栓を止
着したことにより、インキ逆流によるインキ収容筒外へ
のインキの流出が防止されたので、該インキによるレフ
ィルは携帯時にはペン先部が上向きとなるキャップ式用
としても共通性が持てるようになった。

【００１９】更に、細身化が容易なインキ収容筒が金属
による水性ボールペン用レフィルはインキが直詰できる
ので、インキ収容量も十分確保できるばかりか、コスト
低減にも効果を発揮し加えて、細身外装のキャップ式や
回転繰出式の高価格な商品のレフィルとしても使用でき
る利点から、チクソトロピック性を有する中粘度水性イ
ンキのますますの利用拡大が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例（実施例１）であるインキ収容
筒がプラスチック材料からなる水性ボールペンレフィル
の縦断面図である。

【図２】本発明の実施例（実施例２）であるインキ収容
筒が金属材料からなる水性ボールペンレフィルの縦断面
図である。

【図３】従来の中粘度水性インキによる水性ボールペン
レフィルの縦断面である。

【図４】従来の低粘度水性インキによる水性ボールペン
レフィルの縦断面である。

【符号の説明】

１インキ収容筒（プラスチック材料）１₁ インキ収容筒（金属材料）２中粘度水性インキ３チップ４フォロア５尾栓５₁ 尾栓６通気孔７インキ吸蔵体８インキ誘導芯Ｒ水性ボ−ルペンレフィルＲ₁ 水性ボ−ルペンレフィルＢボール部１ａ先端開口部１ｂ後端開口部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】プラスチック又は金属のインキ収容筒の
先端開口部にはボールペンチップが嵌着され、後端開口
部には外気との通気手段を設けた尾栓が嵌着されてなる
ボールペンレフィルにおいて、不使用時には高い粘性を
有するが筆記時のボールの回転で粘度が低下するいわゆ
る、チクソトロピック性を付与した中粘度の水性インキ
をインキ収容筒内に直詰し且つ、該水性インキの後部に
はインキの消費とともに追従するフォロアを設けてなる
ことを特徴とする水性ボールペンレフィル。
【請求項２】少なくとも染料３〜１０重量％、架橋型
アクリル酸重合体からなるチクソトロピック性付与剤
０．４〜１．０重量％、垂れ下り防止剤０．３〜０．５
重量％が添加配合され、ずり速度１．９４Ｓｅｃ^-1のと
きの粘度が５００〜５，０００ｍＰａ・Ｓで、ボール回
転時の粘度が１００ｍＰａ・Ｓ以下であって且つ、イン
キ中の金属イオン濃度を０．４５％以下とした水性ボー
ルペン用インキを、インキ収容筒内に直詰した請求項１
に記載された水性ボールペンレフィル。
【請求項３】潤滑油に石けん系又は（及び）非石けん
の疎水性増稠剤と添加剤とを加えて２５℃における稠度
を２００〜４００に調製してなるフォロアを、インキ収
容筒内に直詰したチクソトロピック性を付与した中粘度
水性インキの後部に、軸心方向の長さ５ｍｍ〜１５ｍｍ
に位置させてなる請求項１に記載された水性ボールペン
レフィル。
【請求項４】インキ収容筒の後端開口部に止着させる
尾栓の通気孔の断面積が０．０４ｍｍ² 〜３．２ｍｍ²
である請求項１に記載された水性ボールペンレフィル。