JP2006131815A - ボールペン用インキ逆流防止剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このボールペン用インキ逆流防止剤組成物は,難揮発性液体に増ちょう剤のゲル化剤としてアルミニウム石けんを添加し,加熱溶解させた内容物を冷却し,難揮発性液体に予め決められた所定の適正量のアルミニウム石けんを配合させたものである。
【選択図】なし
Description
(1)耐高温性能は,輸送中,保管中等に遭遇する80℃程度の高温雰囲気においても基油と増ちょう剤としてのゲル化剤とが分離しないことであり,ボールペン用インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内でインキと分離して流動したり,インキ筒から外へ流出しないこと等である。
(2)インキへの追従性は,ボールペンの使用によるインキの消耗に従って,ボールペン用インキ逆流防止剤組成物がインキ末端から離れずに良好に追従して移動することであり,ボールペン用インキ逆流防止剤組成物がインキ末端から分離したり,インキ筒壁に付着してインキ筒の壁面に残らないことである。
(3)耐衝撃性は,ボールペンの落下等の衝撃があっても,ボールペン用インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動したり,インキ筒から流出しないこと等である。
(4)耐混合性は,油性ボールペン用又は水性ボールペン用のインキとボールペン用インキ逆流防止剤組成物とが混合して,インキ逆流防止剤組成物によってインキが汚染されないこと等である。
R−COO−Al(OH)O−CO−R
又は
R−COO−Al(OH)2
但し,Rは炭素数1〜30の飽和又は不飽和アルキル基である。
(1)耐高温性能試験は,ペン先を上向きにして80℃恒温空気浴に30日間静置後に,外観を観察した。インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動又はインキ筒から流出せず,基油とゲル化剤とに分離が無かったものを合格(〇)とした。また,インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動又はインキ筒から流出したもの及び基油とゲル化剤とに分離したものを不合格(×)とした。
(2)追従性試験は,10cm/secの速度でインキが無くなるまで連続して筆記を続け,インキ逆流防止剤組成物がインキの消耗に追従していくか否かを観察した。インキ逆流防止剤組成物がインキ筒壁に付着せず,インキに追従して移動し,スムーズに筆記できたものを合格(〇)とした。また,インキ逆流防止剤組成物の一部がインキ筒壁に付着してインキ筒末端部の残ったもの及びインキ逆流防止剤組成物が動かず,途中で筆記不能になったものを不合格(×)とした。
(3)耐衝撃性試験は,ペン先を上向きにして持ち,高さ1mの場所からコンクリート床に50回落下させた後,外観を観察した。インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内て流動したり,インキ筒から流出しなかったものを合格(〇)とした。また,インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内て流動又はインキ筒から流出したものを不合格(×)とした。
(4)耐混合性試験は,ペン先を上向きにして80℃恒温空気浴に30日間静置後,外観を観察した。インキ逆流防止剤組成物がインキと混合しなかったものを合格(〇)とした。また,インキ逆流防止剤組成物がインキと混合したものを不合格(×)とした。
(1)製造方法1は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌を止め,10分後に上記内容物の温度が100℃以下になるように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
(2)製造方法2は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌を止め,30分後に上記内容物の温度が100℃以下になるように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
(3)製造方法3は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌を止め,60分後に上記内容物の温度が100℃以下に成るように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
(4)製造方法4は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌しながら,10分後に上記内容物の温度が100℃以下になるように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
(5)製造方法5は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌しながら,30分後に上記内容物の温度が100℃以下に成るように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
(6)製造方法6は,原料を全量混合した後に,これらを攪拌混合し,混合物即ち内容物を140℃以上まで加熱し溶解した。続いて,攪拌しながら,60分後に上記内容物の温度が100℃以下に成るように温度を制御した。その後,上記内容物の温度が常温になるまで静置し,ロール処理し,真空脱泡してボールペン用インキ逆流防止剤組成物を製造した。
また,表4には,比較例1〜比較例6が示されている。
難揮発性液体として,40℃で40〜100,000mm2 /sの動粘度を有する精製鉱油,合成炭化水素油,エステル油,エーテル油及びその他の合成油から選ばれる1種又は2種以上の混合体を用いた。具体的には,難揮発性液体として,ポリブデンA,ポリブデンB,ジフェニールエーテル油,エステル油,ポリアルファオレフィン油,及び/又はポリオキシアルキレングリコール油を用いた。ポリブデンAは,平均分子量が400であり,動粘度が40℃で105mm2 /sであり,また,ポリブデンBは,平均分子量が1500,動粘度が40℃で32000mm2 /sである。
また,アルミニウム石けんとしては,モノステアリン酸アルミニウム,又はジステアリン酸アルミニウムを用いた。
実施例2は,ポリブデンAを98質量%にジステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例3は,ポリブデンAを99質量%にモノステアリン酸アルミニウムを1質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例4は,ポリブデンAを95質量%にモノステアリン酸アルミニウムを5質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例5は,ポリブデンAを99.9質量%にモノステアリン酸アルミニウムを0.1質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例6は,ポリブデンAを49質量%とポリブデンBを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例8は,鉱物油を49質量%とポリブデンAを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例9は,ポリアルファオレフィン油を49質量%とポリブデンAを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例10は,エステル油を49質量%とポリブデンAを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例11は,ポリオキシアルキレングリコール油を49質量%とポリブデンAを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例12は,ジフェニールエーテル油を49質量%とポリブデンAを49質量%とから成る難揮発性液体にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例14は,ポリブデンAを98質量%にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法4で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例15は,ポリブデンAを98質量%にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法5で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例16は,ポリブデンAを94質量%にモノステアリン酸アルミニウムを6質量%を添加し,製造方法2で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例17は,ポリブデンAを94質量%にモノステアリン酸アルミニウムを6質量%を添加し,製造方法4で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例18は,ポリブデンAを90質量%にモノステアリン酸アルミニウムを10質量%を添加し,製造方法3で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
実施例19は,ポリブデンAを90質量%にモノステアリン酸アルミニウムを10質量%を添加し,製造方法6で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
比較例2は,ポリブデンAを98質量%にモノステアリン酸アルミニウムを2質量%を添加し,製造方法6で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
比較例3は,ポリブデンAを99.05質量%にモノステアリン酸アルミニウムを0.05質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
比較例4は,ポリブデンAを90質量%にモノステアリン酸アルミニウムを10質量%を添加し,製造方法1で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
比較例5は,ポリブデンAを88質量%にモノステアリン酸アルミニウムを12質量%を添加し,製造方法3で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
比較例6は,ポリブデンAを88質量%にモノステアリン酸アルミニウムを12質量%を添加し,製造方法6で作製したボールペン用インキ逆流防止剤組成物である。
これに対して,比較例1〜6においては,25℃におけるスプレッドメーターでの1分値(SM値)と温度25℃における不混和ちょう度又は混和ちょう度は,比較例1では58と500以上(500<と記述)であり,比較例2では59と500以上であり,比較例3では58と500以上であり,比較例4では20と200であり,比較例5では20と200であり,比較例6では20と270であった。
また,表1〜表3から分かるように,実施例1〜実施例19のボールペン用インキ逆流防止剤組成物は,耐高温性能試験,追従性試験,耐衝撃性試験,及び耐混合性試験において全て合格(〇)した。しかしながら,表4に示す比較例1〜比較例6のボールペン用インキ逆流防止剤組成物は,何れかの性状試験で満足されない不合格(×)のものが有った。
Claims (6)
- 難揮発性液体に増ちょう剤としてのアルミニウム石けんを添加して加熱混合し,前記難揮発性液体に前記アルミニウム石けんが溶解した内容物を冷却して前記難揮発性液体中に前記アルミニウム石けんを予め決められた所定の適正量含有させたことを特徴とするボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
- 前記アルミニウム石けんの含有量は,0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載のボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
- 前記アルミニウム石けんは,下記一般式で表される組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
R−COO−Al(OH)O−CO−R
又は
R−COO−Al(OH)2
但し,Rは炭素数1〜30の飽和又は不飽和アルキル基である。 - 前記難揮発性液体は,40℃で40〜100,000mm2 /sの動粘度を有する精製鉱油,合成炭化水素油,エステル油,エーテル油及びその他の合成油から選ばれる1種又は2種以上の混合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
- 25℃におけるスプレッドメーターでの1分値は,20〜60mmであり,温度25℃における不混和ちょう度又は混和ちょう度は200〜500であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
- 前記難揮発性液体と前記アルミニウム石けんとから成る前記内容物の前記冷却は,急冷であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボールペン用インキ逆流防止剤組成物。
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