JP2004167896A - カード及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インキのバインダーに用いる樹脂、該樹脂を溶かす溶剤、着色顔料、及び、増粘剤を含有し、その重量割合が20〜30重量部:40〜60重量部:20〜30重量部:5〜10重量部であって、粘度が50〜150dPa・sである印刷インキを用いて、少なくとも磁気記録部を隠蔽する隠蔽層が印刷されてあり、該印刷の被印刷面が非晶性ポリエステルシートを用いていることを特徴とするカード及びその製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばキャッシュカードやクレジットカード、IDカード(身分証明書)、会員証、等に用いられる磁気記録媒体に関するものであり、高温中で保存する可能性のある車載用やコンピュータ等の家電製品内で長く使用された場合でも熱圧で変形せず、更には、これらが使用後に廃棄された時により廃棄しやすいようにしたカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の分野においては磁気記録媒体が広く利用されており、その素材としては主にポリ塩化ビニル(PVC)樹脂や塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が用いられており、特にポリ塩化ビニル樹脂が一般的である。ポリ塩化ビニル樹脂は物理的な機械特性や文字部のエンボス適性などが優れており、カード素材としては申し分なく最適な素材として現在も広く用いられている。
【0003】
一般的なカードの製造方法としては白色の塩化ビニル(PVC)基材にオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等公知の印刷方法で印刷を施し、その両面に透明性の高いPVCシート(オーバーシート)を積層した後磁気テープを転写し、加熱プレス機で熱融着によって一体化させ、所定サイズの金型で打ち抜いてカード形状にする。熱転写タイプの磁気テープは転写後にはカード表面より浮き出て段差を生じているが、加熱プレス機での熱融着時には埋め込まれ、カード表面と面一となる。
【0004】
磁気カードにおける磁気テープの役割は、個人の持っている固有データを記録しておき、使用時には読みとることができる大事な役割を持つもので、もし、この磁気テープがカード表面と面一になっていないと、カードホルダーによる携帯や、リーダ/ライターによる繰り返し使用によりテープのエッジ部が破損、または欠損し使用不可能のカードとなってしまう恐れがある。
【0005】
ちなみにJIS X 6301 4.2.6で規定しているカード表面の状態は、「磁気ストライプの周囲それぞれから、6.35mmの領域には磁気ストライプに対する情報の正常な書き込み又は磁気ストライプに記録された情報の正常な読み取りを損なう恐れのある表面不連続部を設けないこと。更に、II型においてはカードの下端から24mm以上の範囲で0.05mm以上のとつ部を設けないこと。・・・」とある。
【0006】
ところで、塩化ビニル樹脂の持つ物性の欠点としては耐熱性の低いことがあげられる。一般的には塩化ビニル樹脂は約60℃で軟化して変形するため、高温域でのアプリケーション、例えば家電用、車載用などには適していなかった。最近、磁気記録媒体はキャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の分野に留まらず、接触式のICチップを埋め込んだ磁気ストライプ付きICカードやアンテナとICモジュールを組み込んだ磁気ストライプ付き非接触ICカード、又はそれら全てを持ち合わせたカードなど種々あり、アプリケーションとしては、電子財布や定期券、テレホンカード、免許証、車載カードなどがあげられ、こういったカードに用いる素材には従来のカード以上に屈曲性、スクラッチ強度、引っ張り強度などの強度や、保存特性、耐熱性、耐薬品性等の耐性を含めた高い信頼性が求められている。
【0007】
また、ポリ塩化ビニル樹脂は物性や加工性、経済性が優れる反面、使用後廃棄する際、特に焼却時の塩化水素ガスを発生させ炉を傷めて寿命を縮めたり、ダイオキシンとの関連性は明確にはなってはいないものの、この問題でドイツ、北欧などをはじめ各国で脱PVCの動きが活発になってきており、国内でも建材分野や産業資材分野ではその流れにある。
【0008】
そこで、その他の樹脂を用いる考えもあり、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂等のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂があるが、これらの樹脂は単体ではカード状にはなるが物性が塩化ビニル樹脂とはかなり異なる為工夫が必要となってくる。
【0009】
一方、ポリエステル樹脂の一種であるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールを重縮合してできるが、シート製造工程中での延伸配向・熱固定によって結晶性が増したり、延伸の代わりに結晶核剤を添加することで結晶性の高い、高強度のシートができる。しかしながら、未延伸の状態やテレフタル酸とイソフタル酸を使った系では結晶性の低い低結晶性シートができ、また、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体から作られるシートも低結晶性のシートである。
【0010】
これらの低結晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂のシートの物性や磁気テープの埋め込み適性は塩化ビニル樹脂に近い物性を持っているものの、耐熱性に課題があった。これまでポリカーボネートなどの耐熱性のある樹脂を混合したシートを用いて耐熱性を持たせてきたが、PVCカードに用いてきた塩酢ビバインダー、ケトン系溶剤から成るスクリーンインキを印刷すると耐熱性を保持させることは難しいとされていた。特に、高耐熱性が求められる車載用のカードではカードリーダのつかみ部分による熱変形が起き、課題となっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
高耐熱を持つ基材であって、且つ、非塩ビ材料でもある非晶性ポリエステルを基材シートに用いたカードの需要がある。そして多くの場合、このカードには用途上の目的から磁気記録部も備えている。磁気記録部を隠蔽するために銀色インキを印刷した隠蔽印刷層を設ける例があるが、十分に隠蔽するためには、この隠蔽印刷層の厚みはある程度の厚さに設けなければ効果がない。その為、例えばそのインキを溶剤で50重量部程度の希釈して使用する対策もあったが、この溶剤のインキ中での含有量が多くなると、そのカードの耐熱性が低くなるとか、割れが起きやすくなるとか、又は、顔料の分散性が悪くなるとかいう問題点があった。この因果関係は現在は必ずしも明確ではないが、この溶剤が高耐熱基材である、非晶性ポリエステル基材から乾燥しにくく、この溶剤割合増加による対策を施した場合には、結果的に基材に残留する溶剤量が増えてしまい、溶剤の基材への悪影響力も増えてしまったためと想像される。
【0012】
つまるところ、例えばETC対応用に代表される車載用のカードの場合、もし夏場の駐車中の車の室内のような高温下になると、車載機であるカードリーダーがカードをクランプする力でも熱変形が起きて、前記の隠蔽印刷層上に噛み跡のような痕跡が生じてしまう心配があった。
【0013】
本発明は、従来の技術に鑑みてなされたものであり、カードに高耐熱基材である非晶性ポリエステル基材を使用し、磁気記録部を隠蔽する銀色の隠蔽印刷層を設ける場合でも、クランプによる痕跡ができないほど耐熱性を高めることになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたものである。
【0015】
請求項1の発明に係る解決する手段としては、高耐熱性を持つ非晶性ポリエステル基材に、樹脂、該樹脂を溶かす溶剤、着色顔料、及び、増粘剤から構成され、その割合が20〜30重量部:40〜60重量部:20〜30重量部:5〜10重量部であることにおける粘度が比較的高い50〜150dPa・sである印刷インキを用い、磁気記録部を隠蔽する隠蔽層を印刷するものである。
【0016】
このように増粘剤の効果により粘度の高くなったインキで印刷することにより、因果関係は明確ではないが、少ない希釈溶剤量で目的の厚みを出すことができる。これまで使用している増粘剤の入っていない同粘度(50〜150dPa・s)のインキを用いると希釈溶剤量を多くしないと目的の厚みはだせなかった。
前者の構成の増粘剤の入ったインキを使うことにより、希釈溶剤量が従来より少ないため、基材の残留溶剤が少なくなり、カード基材の高い耐熱性を保持し、割れが起こりにくく、また顔料の分散の良い印刷面を出すことができる。
【0017】
請求項2の発明に係る解決する手段としては、前記非晶性ポリエステルシートに、テレフタル酸と、シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールとの共重合体、又はその共重合体とポリカーボネート及び、またはポリアリレートとのポリマーアロイを用いていることを特徴とする請求項1記載のカードを提供するものである。
【0018】
また、請求項3の発明に係る解決する手段としては、前記記載のインキに用いる溶剤に、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、またはこれらの溶剤の混合物を用いていることを特徴とする請求項1記載のカードを提供するものである。
【0019】
さらに請求項4の発明に係る解決する手段としては、請求項1に記載の印刷インキを用いて、磁気記録部を持つカードの少なくとも該磁気記録部を隠蔽する隠蔽層を印刷する隠蔽層印刷工程を経てカードを製造する方法であって、該印刷の被印刷面が非晶性ポリエステルを主成分としていることを特徴とするカードの製造方法を提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1に本発明のインキを用いたカードの構成の一例の概略断面図を示す。
【0022】
本発明における非晶性ポリエステルシートに用いられる樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールとの共重合体、またはポリカードネート(以下PCと称する)及び、またはポリアリレートとのポリマーアロイである。
【0023】
また、用いられるポリエステルはエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの配合比を変えることで、ガラス転移温度を制御することが可能になる。
またそのポリエステルは、ポリカーボネートやポリアリレートを混合することにより耐熱性を向上させることができる。
【0024】
本発明における非晶性ポリエステルシート及び耐熱シート層は各々押し出し法によりシート化することができる。
【0025】
次に、本発明におけるカード素材を用いたカード製造方法には、加熱プレス機による溶融ラミネート方式がある。溶融ラミネート方式は、印刷された基材の両面に透明な保護シートを積層するが、その際両面の保護シートの種類は異なっていてもよい。溶融ラミネート方式は一回り大きい鏡面板で挟み込み、その後加熱溶融プレスによりカード素材を一体化する方法である。
【0026】
この時に用いる鏡面板は、ニッケル−クロムメッキした銅板、表面を研磨したステンレス板、表面を研磨したアルミ板などを用いることができる。また、基材への印刷は、紙やプラスチックフィルムの場合と同じ方法、すなわち、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等の公知の印刷法で文字或いは絵柄を印刷することができる。
【0027】
溶融ラミネート後、カード素材を鏡面板から剥がし、片刃またはオスーメスの金型による打ち抜きでカード形状に打ち抜き、カード基材とする。
【0028】
このカード基材には、例えば磁気記録層を設けることもでき、カード基材の片面あるいは両面に、従来から用いられている熱転写タイプの磁気テープを転写したり、或いは、カード基材に直接磁気記録層を印刷する方法が用いられる。
【0029】
通常、カード形状になった後は、エンボッサーにより浮き文字をエンボスし、その文字の上に熱転写箔によりティッピングして色付けしたり、磁気記録層に磁気情報をエンコードしたり、場合によっては顔写真やバーコード等を公知の画像形成技術で形成しカードを仕上げる。そして、文字、絵柄印刷層の摩耗等の耐性を向上させる目的で保護層を設けることもできる。
【0030】
上記の樹脂だけではカードとしての種々の物性が十分ではないため、これらの樹脂に各種フィラー、及び添加剤を添加、混練することによる樹脂の改質ができる。これらの樹脂に添加するフィラーは例えば、無定型フィラー内に重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、天然シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム等が添加、混練でき、また、板状フィラー内に例えばタルク、マイカガラスフレーク等が添加、混練でき、針状フィラー内に、例えば、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム等が添加混練できる。中でも樹脂に入れる白色顔料としては酸化チタンなどがよく用いられる。またエンボス加工性などをあげるためにタルクがよく利用される。前記フィラーを混練させることにより、剛度をはじめとして、耐久性、耐熱変形性、成形加工性、耐衝撃強度、寸法安定性、等の特性が改良できる。前述のフィラーは単体で添加することができるが、数種で同時に添加することもできる。目標の物性値によって、フィラーを選択して使用している。
【0031】
ところでこのような非晶性ポリエステル系シートに印刷するインキとしては、これまでシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、イソホロン等のケトン系溶剤または、1,3,5−トリメチルベンゼン等の芳香族系溶剤と塩酢ビ樹脂をバインダーとする一液型スクリーンインキが主に用いられてきた。このような塩酢ビ樹脂を用いたスクリーンインキは塩ビカード向けに広く用いられてきている。
【0032】
スクリーンインキに用いる溶剤には、これらの他に、アルコール系として、n−ブタノール、イソプロピルアルコール(以下IPAと称する)、多価アルコール誘導体として、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、炭化水素系として、トルエン、キシレン、テトラリン、テレピン油、またエステル系としては、酢酸n−ブチル、酢酸メトキシブチル、などが知られている。
【0033】
溶剤型スクリーンインキは、印刷方式上グラビアインキより蒸発速度が遅い溶剤で構成される。印刷機上での粘度上昇、刷版の目詰まりを防止するためには、可能な限り蒸発速度の遅い溶剤を用いればよいが、逆に印刷後の乾燥が悪くなる。一般に、機上安定性と乾燥速度が溶剤型スクリーンインキでは相反する性質がある。このため、溶剤組成は、比較的蒸発の速い溶剤と、インキ中の樹脂の親溶剤で、蒸発速度が遅く、乾燥後期に残る溶剤をバランス良く混合される。
【0034】
他の印刷方式のインキと同様、耐摩耗性、耐ブロッキング性など、機械的性能を付与するための添加剤や、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、等が配合される。
【0035】
スクリーンインキで最も特徴的な補助剤は、レオロジー改質でありチキソトロピー付与剤が使われる。これは増粘剤とも呼ばれる。増粘剤には塗料に用いられる植物油系、界面活性剤、ワックス膨潤体、体質顔料等が利用される。
【0036】
また被印刷面から版が離れる際に生じる発砲を抑制ないし消泡し、速やかに平滑な印刷表面を与えるための表面調整剤が必須成分である。その他には、艶消剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、可塑剤、硬化促進剤等が一部のインキに使用されている。また紫外線硬化型インキには光重合開始剤(増感剤)や重合禁止剤が使用される。
【0037】
ここまで、スクリーンインキを中心に説明をしてきたが、ロールコーティング法やグラビア印刷法などによって使用することも本特許に含まれる。
【0038】
(作用)
高耐熱を持つ基材であって、且つ、非塩ビ材料でもある非晶性ポリエステルを基材シートに用い磁気記録部を備えたカードの需要がある。磁気記録部を隠蔽するために銀色インキを印刷した隠蔽印刷層を設ける例があるが、十分に隠蔽するためには、この隠蔽印刷層の厚みはある程度の厚さに設けなければ効果がない。
【0039】
その為、例えばそのインキを溶剤で50重量部程度の希釈して使用する対策もあったが、この溶剤のインキ中での含有量が多くなると、そのカードの耐熱性が低くなるとか、割れが起きやすくなるとか、又は、顔料の分散性が悪くなるとかいう問題点があった。
【0040】
この因果関係は現在は必ずしも明確ではないが、この溶剤が高耐熱基材である、非晶性ポリエステル基材から乾燥しにくく、この溶剤割合増加による対策を施した場合には、結果的に基材に残留する溶剤量が増えてしまい、溶剤の基材への悪影響力も増えてしまったためと想像される。例えばETC対応用に代表される車載用のカードの場合、高温下になると、車載機であるカードリーダーにより熱変形が起きて、前記の隠蔽印刷層上に噛み跡のような痕跡が生じてしまう心配があった。
【0041】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたものである。高耐熱性を持つ非晶性ポリエステル基材に、樹脂、該樹脂を溶かす溶剤、着色顔料、及び、増粘剤から構成され、その割合が20〜30重量部:40〜60重量部:20〜30重量部:5〜10重量部であることにおける粘度が比較的高い50〜150dPa・Sである印刷インキを用い、磁気記録部を隠蔽する隠蔽層を印刷する。
【0042】
このように増粘剤の効果により粘度の高くなったインキで印刷することにより、因果関係は明確ではないが、少ない希釈溶剤量で目的の厚みを出すことができる。増粘剤の入ったインキを使うことにより、希釈溶剤量が従来より少ないため、基材の残留溶剤が少なくなり、カード基材の高い耐熱性を保持し、割れが起こりにくく、また顔料の分散の良い印刷面を出すことができる。他方、増粘剤があまりに多すぎるとインキ自体が白くなったり、印刷後の印刷面の色が変化したり、またインキ面が脆くなったりするような物性低下が起きる可能性があるので、上記範囲が良い。
【0043】
本発明はこのようなインキを用いたカード、及び隠蔽層を印刷する隠蔽層印刷工程を経てカードを製造する方法を提案するものである。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0045】
(実施例1)
以下図1の断面図を用いて説明する。
【0046】
樹脂(三菱レイヨン:UR−117)、該樹脂を溶かす溶剤(ブチルセロソルブ)、着色顔料(昭和アルミパウダー:2172EC)、及び、増粘剤(富士シリシア化学:サイリシア420)から構成され、その割合が20重量部:50重量部:20重量部:10重量部である、粘度が比較的高い110dPa・sである銀色インキを作製した。
【0047】
次に厚0.6mmの白色非晶性ポリエステル(テレフタル酸とエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールとの共重合体、以下PETGと称する)/PC(PETG:PC=70重量部:30重量部、以下同じ)(三菱樹脂:ディアフィクス)シート1の裏面に、絵柄印刷層を2をオフセット印刷により施した。そのシート1の表面に磁気テープ3を転写した厚み0.1mmの透明PETG/PC(三菱樹脂:ディアフィクス)シート4を、裏面にも同じシート5を重ね、表面を平滑にした厚み1〜1.5mmのステンレス板で挟み込み、140℃で20分間圧着熱融着させて冷却固化させた。そのシートの表面に前記隠蔽スクリーンインキを用い磁気隠蔽層6を厚み1.8〜3μm、スクリーン印刷により施した。その上に絵柄印刷層7をスクリーン印刷、あるいはオフセット印刷等により施し、その後保護層8を(東洋インキ製造株式会社製V223VCカード下ワニス)で厚み1〜2μm塗布した。次に表面を平滑にしたステンレス板で挟み込み、105℃で20分間圧着させ表面を面一にした後カード形状に打ち抜いてカード化した。
【0048】
増粘剤を多く混合させたインキを用いて印刷することにより希釈溶剤量が減り、カード基材の耐熱性を保持し、且つ顔料の分散の良い印刷面を持つカードを作製することができた。
【0049】
(実施例2)
以下図1の断面図を用いて説明する。なお、特記しないものは実施例1と同様である。
【0050】
樹脂(三菱レイヨン:UR−117)、該樹脂を溶かす溶剤(ブチルセロソルブ)、着色顔料(昭和アルミパウダー:2172EC)、及び、増粘剤(富士シリシア化学:サイリシア420)から構成され、その割合が20重量部:50重量部:20重量部:10重量部であることにおける粘度が比較的高い110dPa・sである銀色インキを作製した。また樹脂(三菱レイヨン:UR−117)、溶剤(ブチルセロソルブ)、白の着色顔料、及び、増粘剤(富士シリシア化学:サイリシア420)から構成され、その割合が20重量部:50重量部:20重量部:10重量部であることにおける粘度110dPa・sである白色インキを作製した。このようにして銀色印刷インキ、及び白色印刷インキを作製した。
【0051】
次に厚0.6mmの白色PETG/PC(三菱樹脂:ディアフィクス)シート9の裏面に、オフセット印刷により絵柄印刷層10を施した。そのシート9の表面に磁気テープ11を転写した厚み0.1mmの透明PETG/PC(三菱樹脂:ディアフィクス)シート12を、裏面にも同じシート13を重ね、表面を平滑にしたステンレス板で挟み込み、140℃で20分間圧着熱融着させて冷却固化させた。そのシートの表全面に前記銀色インキを用い磁気隠蔽層14をスクリーン印刷により施した。次いでその上全面に前記白インキを印刷した(15層)。
さらにその上に絵柄印刷層16をオフセット印刷等により施し、その後保護層17を塗布した。次に表面を平滑にしたステンレス板で挟み込み、105℃で20分間圧着させ表面を面一にした後カード形状に打ち抜いてカード化した。無溶剤である紫外線硬化型インキにより印刷をしたことでことで、カード基材の耐熱性を保持し、カードの耐熱性は高くなった。
【0052】
(比較例1)
以下図3の断面図を用いて説明する。
【0053】
厚み0.6mmの白色PETG/PC(三菱樹脂:ディアフィクス)シート18に、増粘剤の入っていないインキ、つまり、樹脂(三菱レイヨン:UR−117)、該樹脂を溶かす溶剤(ブチルセロソルブ)、着色顔料(昭和アルミパウダー:2172EC)から構成され、その割合が25重量部:53重量部:22重量部であることにおける粘度が110dPa・sである銀色インキを用いてスクリーン印刷を行った以外は、実施例1と同様に作った。
【0054】
(比較例2)
以下図4の断面図を用いて説明する。
【0055】
厚み0.6mmの白色PETG/PC(三菱樹脂:ディアフィクス)シート26に、増粘剤の入っていないインキ、つまり、樹脂(三菱レイヨン:UR−117)、該樹脂を溶かす溶剤(ブチルセロソルブ)、着色顔料(昭和アルミパウダー:2172EC)から構成され、その割合が25重量部:53重量部:22重量部であることにおける粘度が110dPa・sである銀色インキを用いてスクリーン印刷を行った以外は、実施例2と同様に作った。
【0056】
実施例1、2のカードは増粘剤の入ったインキにより隠蔽層を印刷をしたことでことで、希釈溶剤量が減ったためカード基材の耐熱性を保持し、カードの耐熱性は高くなり、印刷面の顔料の分散は良く磁気テープを充分に隠蔽していた。高耐熱性が要求される車載用カードとしても申し分ないものであった。
【0057】
比較例1、2のカードは、増粘剤の入っていないインキを用いて隠蔽層をスクリーン印刷を行っていた。そのため希釈溶剤量を多くして目的の厚みを出した。
溶剤量が多かったためカード基材のポリエステルシートから乾燥しにくく、残留していたため、高い耐熱性を保持できなかった。特に高耐熱性が要求される車載用カードとして使用した場合、噛み跡が大きく残り使用に耐えうるものではなかった。またこのカードは溶剤量が多かったため、顔料分散性が悪く磁気テープの隠蔽性が悪かった。これに対して、実施例1、2でのカードは増粘剤の入ったインキで印刷していたため、希釈溶剤量が少なくても目的の厚みが出せたため、溶剤の影響が少なく、カード基材の耐熱性を保持していたため、車載用カードで使用した場合の噛み跡は、比較例1に比べて非常に小さかった。特に比較例2のカードはこのインキによる印刷面が2層あったため、残留溶剤の影響が高く、耐熱性、顔料の分散性の点で使用に耐えうるものではなかった。
【0058】
これに対して実施例1、2のカードでは、増粘剤の入ったインキにより磁気テープの隠蔽層を印刷をし、希釈溶剤量が少なくても目的の厚みで印刷できたことから、カード基材の高い耐熱性を保持していた。高耐熱性が要求される車載用カードとしても申し分ないものであった。例えば真夏でも、車内におかれるETC等の車載器のおさえによる圧によっても変形は少なかった。また、溶剤量が少ないため、印刷層の顔料の分散性が良く、磁気テープの隠蔽性は良好であった。また、要求される耐光性、耐薬品性などは実使用上問題ないものであった。また、塩化ビニル樹脂を用いていないため、用済み後焼却したとしても極めて廃棄性に優れたカードといえることができる。
【0059】
【発明の効果】
高耐熱を持つ基材であって、且つ、非塩ビ材料でもある非晶性ポリエステルを基材シートに用い磁気記録部を備えたカードの需要がある。磁気記録部を隠蔽するために銀色インキを印刷した隠蔽印刷層を設ける例があるが、十分に隠蔽するためには、この隠蔽印刷層の厚みはある程度の厚さに設けなければ効果がない。
その為、例えばそのインキを溶剤で50重量部程度の希釈して使用する対策もあったが、この溶剤のインキ中での含有量が多くなると、そのカードの耐熱性が低くなるとか、割れが起きやすくなるとか、又は、顔料の分散性が悪くなるとかいう問題点があった。この因果関係は現在は必ずしも明確ではないが、この溶剤が高耐熱基材である、非晶性ポリエステル基材から乾燥しにくく、この溶剤割合増加による対策を施した場合には、結果的に基材に残留する溶剤量が増えてしまい、溶剤の基材への悪影響力も増えてしまったためと想像される。例えばETC対応用に代表される車載用のカードの場合、高温下になると、車載機であるカードリーダーにより熱変形が起きて、前記の隠蔽印刷層上に噛み跡のような痕跡が生じてしまう心配があった。
【0060】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたものである。高耐熱性を持つ非晶性ポリエステル基材に、樹脂、該樹脂を溶かす溶剤、着色顔料、及び、増粘剤から構成され、その割合が20〜30重量部:40〜60重量部:20〜30重量部:5〜10重量部であることにおける粘度が比較的高い110dPa・sである印刷インキを用い、磁気記録部を隠蔽する隠蔽層を印刷する。このように増粘剤の効果により粘度の高くなったインキで印刷することにより、因果関係は明確ではないが、少ない希釈溶剤量で目的の厚みを出すことができる。増粘剤の入ったインキを使うことにより、希釈溶剤量が従来より少ないため、基材の残留溶剤が少なくなり、カード基材の高い耐熱性を保持し、割れが起こりにくく、また顔料の分散の良い印刷面を出すことができる。本発明はこのようなインキを用いたカード、及び隠蔽層を印刷する隠蔽層印刷工程を経てカードを製造する方法を提案するものである。
【0061】
このカードは車内におかれる車載器(カードリーダー)のおさえによって圧がかかり高温下にさらされても、熱変形の少ない耐熱性の高いカードである。また、このカードは顔料の分散性の良い印刷面を備えたカードである。
【0062】
このカードはさらには使用後焼却された際に塩化水素の問題やダイオキシンの問題がない、廃棄処理を考慮した磁気カードとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のカードの断面図である。
【図2】本発明の実施例2のカードの断面図である。
【図3】本発明の比較例1のカードの断面図である。
【図4】本発明の比較例2のカードの断面図である。
【符号の説明】
1、9、18、26・・・白色PETG/ポリカーボネートアロイ(PETG/PC)シート
4、5、12、13、21、22、29、30・・・透明PETG/ポリカーボネートアロイ(PETG/PC)シート
6、14・・・増粘剤入りインキによる隠蔽印刷層
15・・・増粘剤入りインキによる白色印刷層
23、31・・・増粘剤の入っていないインキによる隠蔽印刷層
32・・・増粘剤の入っていないインキによる裏面白色印刷層
2、7、10、16、19、24、27、33・・絵柄、文字印刷層
3、11、20、28・・・磁気記録層
8、17、25、34・・・保護層
Claims (4)
- インキのバインダーに用いる樹脂、該樹脂を溶かす溶剤、着色顔料、及び、増粘剤を含有し、その重量割合が20〜30重量部:40〜60重量部:20〜30重量部:5〜10重量部であって、粘度が50〜150dPa・sである印刷インキを用いて、少なくとも磁気記録部を隠蔽する隠蔽層が印刷されてあり、該印刷の被印刷面が非晶性ポリエステルシートを用いていることを特徴とするカード。
- 前記非晶性ポリエステルシートに、テレフタル酸と、シクロヘキサンジメタノ
ール及びエチレングリコールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールとの共重合体、又はその共重合体とポリカーボネート及び、またはポリアリレートとのポリマーアロイを用いていることを特徴とする請求項1記載のカード。 - 前記記載のインキに用いる溶剤に、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、またはこれらの溶剤の混合物を用いていることを特徴とする請求項1記載のカード。
- 請求項1に記載の印刷インキを用いて、磁気記録部を持つカードの少なくとも該磁気記録部を隠蔽する隠蔽層を印刷する隠蔽層印刷工程を経てカードを製造する方法であって、該印刷の被印刷面が非晶性ポリエステルを主成分としていることを特徴とするカードの製造方法。
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JP2002337719A JP2004167896A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | カード及びその製造方法 |
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JP2011088376A (ja) * | 2009-10-23 | 2011-05-06 | Toppan Printing Co Ltd | オーバープリントカード |
-
2002
- 2002-11-21 JP JP2002337719A patent/JP2004167896A/ja active Pending
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