JP2004167417A - イオン交換樹脂塔の再生方法 - Google Patents

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陽 浜口
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Abstract

【課題】イオン交換樹脂塔の再生方法を提供する。
【解決手段】処理すべき水の塔内への供給を停止し、塔の底部から頂部に向けて、樹脂充填部全体に上向きに水を線速3〜25m/hで2分間以下の時間だけ流通させ、塔内の中間部から頂部に向けて、樹脂充填部の上層部に上向きに水を流通させ、塔の底部から中間部に向けて、再生用薬剤を含む水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて、水を流通させ、塔の底部から中間部に向けて水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて水を流通させ、塔の頂部から底部に向けて水を流通させ、処理すべき水と同種の水を塔の頂部から底部に向けて循環流通させ、処理すべき水を塔の頂部から底部に向けて流通させ、処理後の水を採取する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換樹脂塔の再生方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔の再生方法であって、比較的簡単な操作で、薬剤処理時の偏流を防止し、効率的にかつ完全に実施することが可能であるという特徴を有するイオン交換樹脂塔の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔は広く用いられている。イオン交換樹脂塔は、一定期間使用することにより処理能力が減退するので、定期的に再生する必要がある。そしてその再生にはより効率的な再生をおこなうため、樹脂層を固定して薬剤を上向きに流通させる上向流再生方式が用いられる。このとき、樹脂層を固定したまま、処理中に生じた樹脂層の圧密状態を解消し、再生薬剤を均一に通過させることが非常に重要である。たとえば、特許文献1には、イオン交換塔上部に不活性樹脂を充填した、高速流逆洗型イオン交換塔の再生方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−117680号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法においては、比較的簡単な操作で、かつ効率的に実施することが可能であるという観点からは必ずしも満足できるものではなかった。
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔の再生方法であって、比較的簡単な操作で、薬剤処理時の偏流を防止し、効率的にかつ完全に実施することが可能であるという特徴を有するイオン交換樹脂塔の再生方法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔の再生方法であって、下記の工程を有するイオン交換樹脂塔の再生方法に係るものである。
工程1:処理すべき水の塔内への供給を停止する工程
工程2:塔の底部から頂部に向けて、樹脂充填部全体に上向きに水を線速3〜25m/hで2分間以下の時間だけ流通させる工程
工程3:塔内の中間部から頂部に向けて、樹脂充填部の上層部に上向きに水を流通させる工程
工程4:塔の底部から中間部に向けて、再生用薬剤を含む水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて、水を流通させる工程
工程5:塔の底部から中間部に向けて水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて水を流通させる工程
工程6:塔の頂部から底部に向けて水を流通させる工程
工程7:処理すべき水と同種の水を塔の頂部から底部に向けて循環流通させる工程
工程8:処理すべき水を塔の頂部から底部に向けて流通させ、処理後の水を採取する工程
【0006】
【発明の実施の形態】
イオン交換樹脂としては、特に制限はなく、強酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂等をあげることができる。
【0007】
イオン交換樹脂塔についても、特に制限はない。通常は、直径1m〜3m、長さ2m〜5mの円筒内の下部付近に、イオン交換樹脂を支持する板にストレーナーが設けられており、その上にイオン交換樹脂が充填されている。
【0008】
本発明の対象は、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔である。すなわち、処理すべき水を塔の上部(頂部)に供給し、該水はイオン交換樹脂と接触しながら塔内を下方へ移動し、塔の下部(底部)から塔外へ排出される。
【0009】
本発明の再生方法の工程1は、処理すべき水の塔内への供給を停止する工程である。本工程は塔への水の供給ラインの弁を閉止することにより行なわれる。
【0010】
工程2は、塔の底部から頂部に向けて、樹脂充填部全体に上向きに水を線速3〜25m/hで2分間以下の時間だけ流通させる工程である。該線速が遅すぎると樹脂層を上方に移動させる効果が少なくなり、一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される。流通時間は2分間以下であり、好ましくは1〜2分間である。該時間が長すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される。一方、該時間が短すぎると樹脂層を上方に移動させる効果が少なくなる場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。
【0011】
工程3は、塔内の中間部から頂部に向けて、樹脂充填部の上層部に上向きに水を流通させる工程である。水の線速は通常3〜25m/hであり、流通時間は通常10〜30分である。該線速が遅すぎると樹脂の間に蓄積した懸濁物質を取り除く効果が少なくなり、一方該線速が速すぎると蓄積した懸濁物質とともに樹脂が外部に流出する恐れがある。該時間が長すぎると再生時間が長くなるため処理水量が減少することとなり、一方該時間が短すぎると蓄積した懸濁物質を取り除けない場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。なお、塔内の中間部とは図1の中間集水管2の部分である。
【0012】
工程4は、塔の底部から中間部に向けて、再生用薬剤を含む水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて、水を流通させる工程である。再生用薬剤としては、塩酸および水酸化ナトリウムをあげることができる。流通させる水中の再生用薬剤濃度は、通常2〜4%である。水の線速は通常5〜10m/hであり、流通時間は通常20〜40分である。該線速が遅すぎると再生に必要な薬剤量を通過させるために再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなる。一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される場合がある。該時間が長すぎると再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなり、一方該時間が短すぎると 再生に必要な薬剤量を通過させることができない場合がある。
【0013】
工程5は、塔の底部から中間部に向けて、水を流通させる工程である。水の線速は通常5〜10m/hであり、流通時間は通常30〜60分である。該線速が遅すぎると樹脂層の薬剤がきれいに押し出されない場合があり、一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される場合がある。該時間が長すぎると再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなり、一方該時間が短すぎると樹脂層の薬剤がきれいに押し出されない場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。
【0014】
工程6は、塔の頂部から底部に向けて水を流通させる工程である。水の線速は通常30〜50m/hであり、流通時間は通常10〜30分である。該線速が遅すぎたり該時間が短すぎると樹脂の洗浄不足となる場合があり、一方該線速が速すぎたり該時間が長すぎると本工程で使用される水が過剰となり無駄となる。本工程で用いられる水は通常処理すべき水である。
【0015】
工程7は、処理すべき水と同種の水を塔の頂部から底部に向けて循環流通させる工程である。水の線速は通常30〜50m/hであり、流通時間は通常10〜20分である。該線速が遅すぎたり該時間が長すぎると再生時間が長くなって、処理できる時間が短くなってしまう。一方該線速が速すぎると再生のためのポンプ動力が無駄となり、該時間が短すぎると再生終了時の処理水水質が悪化する場合がある。
【0016】
工程8は、処理すべき水を塔の頂部から底部に向けて流通させ、処理後の水を採取する工程である。この工程により、定常のイオン交換運転となる。水の線速は通常20〜50m/hであり、流通時間は通常10〜22時間である。再生の頻度は、通常1〜2回/日程度である。
【0017】
本発明の最大の特徴は、工程2を用いる点にある。本工程により、薬剤処理時の偏流を防止し、効率的にかつ完全に再生を実施することが可能となるのである。
【0018】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
強塩基性陰イオン交換樹脂塔の実施例である。
本発明の再生方法の工程1は、処理すべき水の塔内への供給を停止する工程である。本工程は塔への水の供給ラインの弁を閉止することにより行なわれる。
【0019】
工程2は、塔の底部から頂部に向けて、樹脂充填部全体に上向きに水を線速6.4m/hで1分40秒間だけ流通させる工程である。該線速が遅すぎると樹脂層を上方に移動させる効果が少なくなり、一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される。該時間が長すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される。一方、該時間が短すぎると樹脂層を上方に移動させる効果が少なくなる場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。
【0020】
工程3は、塔内の中間部から頂部に向けて、樹脂充填部の上層部に上向きに水を流通させる工程である。水の線速は6.4m/hであり、流通時間は10分である。該線速が遅すぎると樹脂の間に蓄積した懸濁物質を取り除く効果が少なくなり、一方該線速が速すぎると蓄積した懸濁物質とともに樹脂が外部に流出する恐れがある。該時間が長すぎると再生時間が長くなるため処理水量が減少することとなり、一方該時間が短すぎると蓄積した懸濁物質を取り除けない場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。なお、塔内の中間部とは中間集水管2の部分である。
【0021】
工程4は、塔の底部から中間部に向けて、再生用薬剤を含む水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて、水を流通させる工程である。再生用薬剤としては、水酸化ナトリウムをあげることができる。流通させる水中の再生用薬剤濃度は、2.0%である。水の線速は通常5.6m/hであり、流通時間は38分である。該線速が遅すぎると再生に必要な薬剤量を通過させるために再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなる。一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される場合がある。該時間が長すぎると再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなり、一方該時間が短すぎると 再生に必要な薬剤を通過させることができない場合がある。
【0022】
工程5は、塔の底部から中間部に向けて、水を流通させる工程である。水の線速は5.6m/hであり、流通時間は40分である。該線速が遅すぎると樹脂層の薬剤がきれいに押し出されない場合があり、一方該線速が速すぎると固定されていた樹脂層が乱れて混合される場合がある。該時間が長すぎると再生時間が長くなり、処理できる時間が短くなり、一方該時間が短すぎると樹脂層の薬剤がきれいに押し出されない場合がある。本工程で用いられる水は通常イオン交換塔で処理された純水である。
【0023】
工程6は、塔の頂部から底部に向けて水を流通させる工程である。水の線速は35.6m/hであり、流通時間は10分である。該線速が遅すぎたり該時間が短すぎると樹脂の洗浄不足となる場合があり、一方該線速が速すぎたり該時間が長すぎると本工程で使用される水が過剰となり無駄となる。本工程で用いられる水は通常処理すべき水である。
【0024】
工程7は、処理すべき水と同種の水を塔の頂部から底部に向けて循環流通させる工程である。水の線速は35.6m/hであり、流通時間は14分である。該線速が遅すぎたり該時間が長すぎると再生時間が長くなって、処理できる時間が短くなってしまう。一方該線速が速すぎると再生のためのポンプ動力が無駄となり、該時間が短すぎると再生終了時の処理水水質が悪化する場合がある。
【0025】
工程8は、処理すべき水を塔の頂部から底部に向けて流通させ、処理後の水を採取する工程である。この工程により、定常のイオン交換運転となる。水の線速は42.7m/hであり、流通時間は10時間である。再生の頻度は、2回/日である。
【0026】
比較例1
工程2を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、再生数回ごとに計画量の採水前に不純物であるシリカがリークし、処理水水質不良が発生した。このとき、樹脂層の圧密化により処理水や再生薬剤の偏流が発生しており、その対応として樹脂層全体の逆洗とそれによって混合された樹脂再生のために2倍量の再生薬剤が必要であった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔の再生方法であって、比較的簡単な操作で、薬剤処理時の偏流を防止し、効率的にかつ完全に実施することが可能であるという特徴を有するイオン交換樹脂塔の再生方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたイオン交換樹脂塔の概略図である。
【符号の説明】
1 イオン交換樹脂
2 中間集水管
3 処理すべき水
4 逆洗排水
5 薬注排水
6 表層逆洗水
7 全層逆洗水
8 処理された水

Claims (1)

  1. イオン交換樹脂が充填され、処理すべき水を下向きに流通させて用いるイオン交換樹脂塔の再生方法であって、下記の工程を有するイオン交換樹脂塔の再生方法。
    工程1:処理すべき水の塔内への供給を停止する工程
    工程2:塔の底部から頂部に向けて、樹脂充填部全体に上向きに水を線速3〜25m/hで2分間以下の時間だけ流通させる工程
    工程3:塔内の中間部から頂部に向けて、樹脂充填部の上層部に上向きに水を流通させる工程
    工程4:塔の底部から中間部に向けて、再生用薬剤を含む水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて、水を流通させる工程
    工程5:塔の底部から中間部に向けて水を流通させ、塔の頂部から中間部に向けて水を流通させる工程
    工程6:塔の頂部から底部に向けて水を流通させる工程
    工程7:処理すべき水と同種の水を塔の頂部から底部に向けて循環流通させる工程
    工程8:処理すべき水を塔の頂部から底部に向けて流通させ、処理後の水を採取する工程
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