JP2971672B2 - 排水回収装置の通水休止時のバクテリア繁殖防止方法 - Google Patents

排水回収装置の通水休止時のバクテリア繁殖防止方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体や、液晶ディスプ
レー等の電子部品製造工程排水回収装置の運転休止時に
おける該装置内のバクテリアの繁殖防止方法に関し、更
に詳述すれば回収装置中のイオン交換装置内に発生する
バクテリアの繁殖防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体を製造する工程では、その洗浄に
高純度の純水を用いている。当該洗浄工程において発生
する洗浄排水は、洗浄に用いる有機溶媒に起因する有機
物や、各種酸に起因するイオンや、各種のバクテリア等
の不純物を含んでいる。しかし、当該不純物の量が比較
的少量であれば、通常図1に示すような処理工程によっ
て処理されて、高純度純水の製造のための原水の一部と
したり、あるいは他の用途の工程用水として回収されて
いる。
【0003】すなわち活性炭濾過器1で排水中の有機物
の一部を吸着除去し、次いでイオン交換装置2で各種不
純物イオンを除去し、その後次亜塩素酸ナトリウム、過
酸化水素等の酸化剤を添加した後、紫外線酸化装置3で
有機物を酸化分解処理し、次いで活性炭濾過器4で残留
する有機物や酸化剤を除去して回収水とするものであ
る。
【0004】かかる回収処理装置において、水中のバク
テリアについて調査したところ、活性炭濾過器1の出口
で500〜3,000CFU/mlものバクテリアが生
存する事が判った。
【0005】このバクテリアはイオン交換装置2へ持ち
込まれ、装置に各種の性能低下を起させる。殊に、通水
処理を行なった後、イオン交換装置を休止しておき、再
度通水する際には、イオン交換装置内にスライムが発生
しており、このため濾過差圧上昇や流量低下が著しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した排
水回収装置におけるイオン交換装置の休止時に問題とな
るバクテリアの増殖を効果的に防止する方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、少なくともイオン交換装置を有する電子部
品製造工程排水回収装置の通水休止時のバクテリア繁殖
防止方法において、回収装置の通水を休止する期間中は
再生薬剤でイオン交換装置内を満たしておくもので、排
水回収装置が、イオン交換装置の上流側に活性炭濾過器
を備えたものであること、イオン交換装置が陰イオン交
換装置であって、再生薬剤が水酸化ナトリウム水溶液で
あること、及びイオン交換装置が陽イオン交換装置であ
って、再生薬剤が塩酸水溶液又は硫酸水溶液であること
を含む。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明方法を実施する排水回収装置の構成
としては、代表的には活性炭濾過器と、その下流側に連
結したイオン交換装置とを有し、その一例は前記図1に
示すものである。活性炭濾過器1とイオン交換装置2と
は必ずしも直接連結されたものである必要はなく、その
間に例えば紫外線照射装置その他の装置を介装していて
も良い。
【0010】活性炭濾過器、イオン交換装置、及びその
他の必要に応じて用いられる、例えば紫外線酸化装置、
後段の活性炭濾過装置等は従来公知のもので、該排水回
収装置の目的に応じて適宜選択されるものである。イオ
ン交換装置は例えば、強塩基性および/または弱塩基性
陰イオン交換体を充填してなる陰イオン交換装置、ある
いは強酸性および/または弱酸性陽イオン交換体を充填
してなる陽イオン交換装置があり、これらのいずれも本
発明に含むものである。
【0011】本発明においては、上記排水回収装置の運
転の停止、休止時、即ち通水を休止する期間中におい
て、0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の濃
度の再生薬剤でイオン交換装置内を満たしておくもので
ある。
【0012】再生薬剤としては、イオン交換体が陽イオ
ン交換体である場合は、塩酸又は硫酸水溶液が好まし
く、イオン交換体が陰イオン交換体である場合には水酸
化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。イオン交
換装置はイオン交換体を再生するための薬剤を供給する
再生装置が付設されている場合が一般的であるが、この
ものは本発明の実施に好都合に利用できる。
【0013】即ち、上記再生装置を利用して、例えば2
〜5重量%の再生薬剤をイオン交換装置内に流入させ
て、イオン交換装置内の水を再生薬剤と置換し、その
後、装置内に再生薬剤を満たした状態のままイオン交換
装置を休止させる事によって、本法を実施することが可
能となる。
【0014】次に、通水の休止期間が終了して通水を開
始する場合には、常法により純水を用いた押出し、洗浄
工程を実施すれば良く、これによりイオン交換装置内の
再生薬剤が除去されると共に、イオン交換体は再生され
た状態となっているので、再度イオン交換体の再生を行
なう必要がなく、都合が良い。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 実施例1,比較例1 排水回収装置として、図2に示すように、活性炭濾過器
1に1000lのダイヤホープ008(三菱化成(株)
製)、陰イオン交換装置5に600lの弱塩基性陰イオ
ン交換樹脂アンバーライトIRA−68(ローム&ハー
ス社製)を各々充填した定格10m3 /Hのものを用い
た。この装置自体は排水回収装置として超純水製造装置
に組込まれて従来使用されている公知のものであり、陰
イオン交換装置5には従来の装置と同様に再生薬剤を供
給する再生装置(図示せず)が付設されていた。
【0016】実施例1として、通水処理状態にあった陰
イオン交換装置5の通水を停止した後、再生装置を用い
て2.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を陰イオン交
換装置5に送った。これにより、陰イオン交換装置5内
はすべて2.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で満た
された。この状態で1週間経過後(1週間休止後)、常
法によって20分間押出し洗浄を行なった。この洗浄に
より、陰イオン交換装置5内の水酸化ナトリウムは完全
に排出されていた。その後、採水処理を行なった。採水
処理1時間後の陰イオン交換装置5の入口生菌数、出口
生菌数、通水量、及び陰イオン交換装置5のイオン交換
塔差圧を測定し、その結果を表1に示した。
【0017】なお、生菌数の測定方法は、ASTM法フ
ィールドモニターで入口水、及び出口水の各2mlを濾
過し、培地を添加後、35℃で2日間培養し、その後菌
数をカウントするものである。
【0018】比較例1として、2.0重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液で陰イオン交換装置を満たす操作をしな
かった以外は実施例1と同様に操作した。結果を表1に
示した。
【0019】
【表1】 表1から明らかなように、本発明方法によれば、出口生
菌数は比較例と比較して極めて少なく、生菌数(バクテ
リア数)の低減によって回収装置のイオン交換装置にお
けるスライム発生が防止できた。このため、装置休止後
の立上げの際、差圧上昇や流量低下といった問題は発生
しなかった。 実施例2,比較例2 用いた排水回収装置の構成を図3に示した。図中1は活
性炭濾過器で、内部に活性炭ダイヤホープ008(三菱
化成(株)製)800lを充填した。6は陽イオン交換
装置で、内部に強酸性カチオン交換樹脂であるアンバー
ライトIR−124(ローム&ハース社製)を250l
充填した。7は陰イオン交換装置で、内部に弱塩基性ア
ニオン交換樹脂であるアンバーライトIRA−94S
(ローム&ハース社製)を480l充填した。
【0020】また、この排水回収装置の定格は6m3
hであった。
【0021】実施例2においては、上記装置を用いて、
通水停止後、再生装置(図示せず)を用いて2.0重量
%の塩酸を陽イオン交換装置へ注入すると共に、1.0
重量%の水酸化ナトリウム水溶液を陰イオン交換装置へ
注入してその内部を完全に満たした状態で1週間保っ
た。その後、押出し洗浄を20分間行ない、次いで採水
のための通水を行なった。
【0022】採水1時間後の陽イオン交換装置6の入口
生菌数、陽イオン交換装置および陰イオン交換装置出口
生菌数、通水量、陽イオン交換装置および陰イオン交換
装置塔差圧を求め、結果を表2に示した。
【0023】比較例2として、上記塩酸及び水酸化ナト
リウム水溶液を満たす操作を省略する以外は実施例2と
同様に操作し、その結果を表2に併記した。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明方法によれば、運転休止中におけ
るイオン交換装置内のバクテリアの増殖を確実に防止で
きる。従って、バクテリアの増殖に基づく通水時の差圧
の発生により、給水ポンプに負荷を与える事もない。更
に、酸又はアルカリの注入操作も、イオン交換装置に付
設された再生装置を用いれば簡単に行なえ、新たに装置
を変更又は新設する必要はなく、かつ、休止期間終了後
の通水開始に際しては、常法による押出し、洗浄工程を
実施するのみで、直ちに通水工程に移行することができ
る。
【0026】つまり、本発明方法は、回収装置の運転効
率を向上させ、ひいては経済的にも極めて効果が高い方
法といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電子部品製造工程排水回収装置の一例を
示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明の他の実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 活性炭濾過器 5 陰イオン交換装置 6 陽イオン交換装置 7 陰イオン交換装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/42 B01J 49/00 - 49/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともイオン交換装置を有する電子
    部品製造工程排水回収装置の通水休止時のバクテリア繁
    殖防止方法において、回収装置の通水を休止する期間中
    は再生薬剤でイオン交換装置内を満たしておくことを特
    徴とする排水回収装置の通水休止時のバクテリア繁殖防
    止方法。
  2. 【請求項2】 排水回収装置が、イオン交換装置の上流
    側に活性炭濾過器を備えたものである、請求項1記載の
    バクテリア繁殖防止方法。
  3. 【請求項3】 イオン交換装置が陰イオン交換装置であ
    って、再生薬剤が水酸化ナトリウム水溶液である請求項
    1または2記載のバクテリア繁殖防止方法。
  4. 【請求項4】 イオン交換装置が陽イオン交換装置であ
    って、再生薬剤が塩酸水溶液又は硫酸水溶液である請求
    項1または2記載のバクテリア繁殖防止方法。
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