JP3941890B2 - 向流再生式イオン交換装置とその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換装置に係り、特に、純水装置などの下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置とその再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のイオン交換装置は再生剤を節約でき、且つ良好な処理水質が得られることから向流再生式が採用されることが多い。純水装置の場合、原水水質によっては弱電解質型イオン交換樹脂、及び強電解質型イオン交換樹脂を使用した複層床とし、通水を弱電解質型イオン交換樹脂から強電解質型イオン交換樹脂へと行い、通薬を強電解質型イオン交換樹脂から弱電解質型イオン交換樹脂へと行えば更に再生剤が節約できる。
向流再生は下降流通水・上昇流通薬を行うものと、上昇流通水・下降流通薬を行うものに大別される。何れの方式においても向流再生式の特長を発揮するには上昇流操作中、即ち下降流通水・上昇流通薬においては通薬時に、上昇流通水・下降流通薬においては通水時にイオン交換樹脂層を固定床に維持する必要が有る。
【0003】
上昇流通水・下降流通薬は通水の中断によりイオン交換樹脂層が乱れ、処理水質が悪化し易く、また通水中にイオン交換樹脂層に蓄積した懸濁物質の排出に特別の操作が必要なのに対し、下降流通水・上昇流通薬では通水の中断による水質悪化は生ぜず、短時間で操作が終了する通薬時のみ固定床を維持すれば良いため、採用例が多い。また弱電解質型イオン交換樹脂、及び強電解質型イオン交換樹脂を使用した複層床では、弱電解質型イオン交換樹脂の方が比重が小さく、上昇流通水・下降流再生では樹脂塔内部を物理的に仕切らなくては複層床を適用できないのに対し、下降流通水・上昇流通薬では物理的な仕切が無くても比重差により2層を分離できる特徴がある。本発明は応用範囲の広い下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置の改良に関するものである。
【0004】
下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置では、上昇流通薬時に如何にイオン交換樹脂層を固定床に維持するかが開発の最大のポイントになる。この方法は種々考案されてきたが、その原理は、▲1▼イオン交換樹脂層上部に物理的な装置を配して、この装置から下のイオン交換樹脂層を押さえて固定床に維持する方法、▲2▼樹脂塔内にイオン交換樹脂を充満充填して固定床に維持する方法、に大別される。▲1▼の方法の中ではイオン交換樹脂層上部に中間集水管を埋設し、上部から水、又は空気を導入して再生廃液と共に中間集水管から排出する方法が広く実用化されている。▲1▼、▲2▼の方法においてイオン交換樹脂の一部を比重が1以下の不活性樹脂と置き換える方法も提案されている。
【0005】
イオン交換樹脂は再生剤に接触すると収縮する傾向が有り、特に弱電解質型イオン交換樹脂を再生する場合に著しい。上昇流通薬時にイオン交換樹脂が収縮するとイオン交換樹脂層の一部が流動化し、イオン交換帯が乱れるため処理水質の悪化を招く。従って実際に上昇流通薬で満足する結果を得るためには更なる工夫が必要である。
従来法においてはイオン交換樹脂の収縮による流動化防止の方法として、▲1▼通薬途中で通薬を中断し、収縮したイオン交換樹脂を沈静させてから通薬を再開することを何回か繰り返す方法、▲2▼低濃度の再生剤を使用することにより、収縮の影響を軽減する方法、▲3▼上部から導入する水、又は空気量を増す方法、▲4▼カチオン交換樹脂の再生剤を加温し、再生剤の粘度を下げて通薬する方法などが有る。これらの方法によってイオン交換樹脂層の流動化は一応防止できているが、再生操作の複雑化による再生時間の延長、再生廃液量の増加、再生コストの増加、装置そのものの複雑化などの不利益が生じる。
【0006】
向流再生式イオン交換装置では、逆洗を行うとイオン交換帯が乱れ、向流再生の効果が失われるため、通水中にイオン交換樹脂層に蓄積した懸濁物質の排出を、如何に行うかが開発の重要なポイントになる。中間集水管を設置したものでは、中間集水管上部の樹脂は毎回逆洗することが可能であるが、中間集水管下部の樹脂は通常の再生では逆洗しない。しかし、このままだと懸濁物質の蓄積、及び樹脂粒子の固着が生じるので、通常再生10回に1回程度の割合で下部からイオン交換樹脂全層を逆洗する必要がある。イオン交換樹脂全層を逆洗した場合には、イオン交換帯が乱れるため、通常再生の2〜3倍の再生剤量が必要となる。
【0007】
充満充填したものでは、通常再生10回に1回程度の割合で、充填樹脂の一部を別塔に移送する特別の操作が必要となる。この場合にもイオン交換帯が乱れるため、通常再生の2〜3倍の再生剤量が必要となる。また別塔の設置が必要で、再生操作も複雑となる。
下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式純水装置では、弱電解質型イオン交換樹脂と強電解質型イオン交換樹脂は比重差があるため、樹脂塔内に物理的な仕切り無しで複層床として使用可能である。しかし、この比重差は両樹脂が再生形となった場合のみで、イオンが負荷された場合には比重差が無くなる。このため実際には、再生による樹脂の膨潤・収縮、不適切な逆洗などによりかなりの混合が生じ、複層床としての性能が発揮できず、処理水質悪化、採水量不足などのトラブルを生じている装置も多い。従って、複層床式では両樹脂の分離を維持することも開発の重要なポイントとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれら従来の下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置の持つ欠点、即ち再生時間の延長、再生廃液量の増加、再生コストの増加、逆洗に伴う諸問題の発生、強・弱樹脂の混合、及び装置・再生操作の複雑化などを一挙に解決し、シンプルでコンパクトなイオン交換装置と、その装置の簡単で短時間に終了する再生方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、イオン交換樹脂を充填した樹脂塔に下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置において、樹脂塔の上部と下部に一対の集配水装置を設け、下部集配水装置の上部にイオン交換樹脂を充填した充填部と、更にその上部にイオン交換樹脂の充填部の最大層高の2〜15%のフリーボード部を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂を充填した充填部とを配備し、その上部に上部集配水装置が配され、前記下部集配水装置には処理水流出弁、逆洗水流入弁、再生剤流入弁及び洗浄弁を有する集配水管が接続され、また上部集配水装置には原水流入弁及び再生排水流出弁を有する集配水管が接続されていることとしたものである。
【0010】
前記装置において、不活性樹脂充填部は、イオン交換樹脂の有効径の2〜8倍の粒径の不活性樹脂を使用して層高を100〜300mmにするのがよい。
本発明のイオン交換装置は、純水装置のカチオン塔、アニオン塔として使用でき、このときのイオン交換樹脂の充填部は、強酸性カチオン交換樹脂単床、弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填することができる。
【0011】
また、本発明では、前記の向流再生式イオン交換装置の再生方法において、下記(a)〜(e)の工程を順次行い樹脂を再生することとしたものである。
(a)、下部集配水装置からの高速逆洗によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂層に押しつけ、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集配水装置から排出除去すると共にイオン交換樹脂の固定床を形成する工程、
(b)、高速逆洗に引き続き、高速逆洗より低速で且つ、上記(a)工程で形成された固定床を維持するに必要な流速で再生剤を下部集配水装置から通薬する工程、
(c)、通薬に引き続き、通薬工程(b)とほぼ同じ流速で下部集配水装置から処理水を通水し、残留する再生剤を押出す押出工程、
(d)、押出終了後、通水を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈静工程、
(e)、上部集配水装置から下降流で通水して樹脂を洗浄する洗浄工程。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を示した図1によって本発明の詳細を説明する。
図1において、樹脂塔1の上下に一対の集配水装置2、3を設け、下部集配水装置2の上部にイオン交換樹脂4を充填し、更にその上部には若干のフリーボード5を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂6を充填する。下部集配水装置には処理水流出弁9、逆洗水流入弁10、再生剤流入弁11、洗浄弁12が接続されており、上部集配水装置3には原水流入弁7、再生排水流出弁8が接続されている。
本発明の樹脂塔では塔に接続する配管・弁・内装品が少なく、フリーボードもイオン交換樹脂層高の2〜15%と少ない。不活性樹脂を充填することを考慮に入れてもシンプルでコンパクトな装置となっている。これに対し中間集水管を持つタイプの樹脂塔はイオン交換樹脂層高の50〜100%の逆洗用フリーボードを持つ必要があり、充満充填するタイプの樹脂塔はフリーボードは持たないが、逆洗塔を別に持つ必要があるなど、従来装置は装置構成、配管が複雑となり、コンパクトさに欠ける。
【0013】
再生に際しては
(a)逆洗水流入弁10、再生排水流出弁8を開き、下部集配水装置2からの高速逆洗によりイオン交換樹脂4の大部分を不活性樹脂層6に押しつけ、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集配水装置3から排出除去すると共にイオン交換樹脂4の固定床を形成する高速逆洗工程
(b)高速逆洗に引き続き、逆洗水流入弁10を閉じ、再生剤流入弁11を開くことにより高速逆洗より低速で且つ、(a)で形成された固定床を維持するに必要な流速で再生剤を下部集配水装置2から通薬する工程
(c)通薬に引き続き、通薬工程とほぼ同じ流速で下部集配水装置2から処理水を通水し、残留する再生剤を押出す押出工程
(d)押出終了後、再生剤流入弁11、再生排水流出弁8を閉じ、押出を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈静工程
(e)原水流入弁7、洗浄弁12を開き、上部集配水装置2から下降流で原水を通水して樹脂を洗浄する洗浄工程
の5工程により樹脂を再生する。
【0014】
工程(a)の高速逆洗は本発明独自のもので、イオン交換樹脂の固定床を実質的に維持したまま、短時間の内に上部に移動させる。この時に必要な逆洗流速はイオン交換樹脂の種類、フリーボードの割合などにより異なる。一例を挙げるとフリーボード10%の場合強電解質型カチオン交換樹脂で25m/h程度以上、強電解質型アニオン交換樹脂で15m/h程度以上が必要である。これ以下の逆洗流速ではイオン交換樹脂層の下部が流動層となる割合が増加する。固定床として維持される割合が減じると向流再生の効果が充分に発揮されず、処理水質が悪化する。
本発明においてフリーボードの割合の選択は重要で、小さ過ぎると樹脂の膨潤を吸収しきれない場合が生じる可能性が有り、大き過ぎると高速逆洗の工程でイオン交換樹脂層の下部が流動層となる割合が増加し、処理水質悪化の危険性が増加する。フリーボードとしてはイオン交換樹脂の最大層高の2〜15%とするのが適切である。高速逆洗に使用する水は原水でも良いが、イオン交換樹脂層下部に無用のイオン負荷を与え、処理水質悪化の原因となるので処理水を使用するのが好ましい。
【0015】
本発明において工程(a)はイオン交換樹脂の固定床を形成する他にも重要な役割を持っている。即ち高速逆洗によりイオン交換樹脂層が上方に移動し、不活性樹脂層にぶつかって止まる衝撃で、通水時にイオン交換樹脂層表面に蓄積した懸濁物質がイオン交換樹脂層からはずれ、不活性樹脂層を経由して上部集配水装置から高濃度で排出除去される。従来の逆洗が懸濁物質の排出に10〜20分程度必要であるのと比較して、本発明では従来の逆洗とは全く異なった原理で懸濁物質が排出されるため、1〜3分程度と極めて短時間で終了する。また本発明では再生毎に高速逆洗を行うため、懸濁物質の蓄積も生じ難い。
本発明において不活性樹脂の粒径選択は重要で、細か過ぎると懸濁物質の排出除去が不十分となり易く、大きすぎるとイオン交換樹脂のリーク、あるいは上部集配水装置の目詰まりの危険性を生じる。不活性樹脂の粒径としてはイオン交換樹脂の有効径の2〜8倍のものを使用することが必要である。不活性樹脂層高としては100〜300mmが適切である。
【0016】
工程(a)の高速逆洗で一度形成された固定層は、逆洗流速を下げても固定床が維持できる。本発明では工程(b)の通薬流速を固定床が維持できる必要最小限以上で通薬することにより、固定床の維持とイオン交換樹脂と再生剤の接触時間の両立を図っている。固定床が維持できる限界の通薬流速の一例は強電解質型カチオン交換樹脂で8m/h程度以上、強電解質型アニオン交換樹脂で4m/h程度以上である。本発明でも通薬中にイオン交換樹脂の収縮が起こるが、通薬流速を固定床が維持できる限界流速以上としているため、収縮による流動層の発生は全く認められず、固定床下端部が収縮した分だけ上方に移動する。即ち従来法では多大の工夫を要していた「通薬時のイオン交換樹脂の収縮による流動層の発生を防止」が、本発明では工程(a)の高速逆洗と、それに引き続く工程(b)の固定床が維持できる必要最小限以上の流速で通薬するという簡単な操作だけで達成されている。
工程(c)の押出は従来法と特に変わった点は無いが、工程(d)の沈静は本発明独自のものである。即ち押出工程ではイオン交換樹脂層は不活性樹脂層に押しつけられて固定床を形成しているが、押出停止と共に固定床下部から順次崩壊し、下部集配水装置の上に積層する。新たに形成された固定床は再生後のイオン交換帯をほぼ保っているため、通水時に処理水質が悪化することはない。
【0017】
本発明ではこの工程によりイオン交換樹脂の全層が再生毎にほぐされ、固着などが解消されるため、イオン交換樹脂層の差圧増加が極めて生じ難い。またイオン交換樹脂層内に入り込んだ懸濁物質、イオン交換樹脂の破砕によって生じた破片などがイオン交換樹脂層が順次崩壊する過程で固定床下部から樹脂塔上方に移送され、次回の再生で塔外に排出される確率が高くなる効果も生じる。同様な効果として弱電解質型イオン交換樹脂、及び強電解質型イオン交換樹脂を使用した複層床では、両樹脂の比重差が生じる再生形となってから沈静工程を迎えるため、軽い弱電解質型イオン交換樹脂が樹脂塔上方に移送され易くなり、両樹脂の混合の進行を防止できる。
工程(e)の洗浄は従来法と特に変わった点は無いが、フリーボードが少ないこと及び工程(d)でイオン交換樹脂層の固着が解消されることから、洗浄に要する時間が短く、洗浄に要する水量も少なくなる傾向が認められる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
内径60mm、高さ1950mmの樹脂塔に強酸性カチオン交換樹脂ダウエックス HGR−W2(有効径0.62mm)をH形で層高1640mm充填し、その上に不活性樹脂ダウエックスIF−62(径2.5〜3.5mm)を200mm充填した。フリーボードは110mmでイオン交換樹脂層高の6.7%に相当する。
この樹脂塔に表1に示すイオン組成の原水に、懸濁物質としてポリ塩化アルミニウムで凝集したカオリンを1mg/リットル添加した原水を80リットル/hで20時間通水し、通水後は表2に示す再生条件で再生した。
カチオン樹脂量: 4.2リットル(基準形)
再生レベル: 71.5g−HCl/リットル
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
この条件で通水・再生を40サイクル繰り返した結果を表3に示す。通薬時間が14分と短いにも関わらず、40サイクル目においてもカチオン塔はブレークせず良好な水質であった。再生時の懸濁物質の除去は1サイクル目では低かったが、その後、上昇しほぼ100%となった。通水開始時の差圧はサイクルを重ねても特に上昇する傾向は認められなかった。
【0021】
【表3】
【0022】
実施例2
内径60mm、高さ1950mmの樹脂塔に強酸性カチオン交換樹脂ダウエックス HGR−W2(有効径0.62mm)をH形で層高1015mm、弱酸性カチオン交換樹脂ダウエックス MAC−3(有効径0.53mm)をH形で層高625mm充填し、その上に不活性樹脂ダウエックスIF−62(径2.5〜3.5mm)を200mm充填した。フリーボードは110mmでイオン交換樹脂層高の6.7%に相当する。
この樹脂塔に表4に示すイオン組成の原水を60リットル/hでカチオンブレーク(エンドポイント10μS/cm)まで通水し、通水後は表5に示す再生条件で再生した。
強カチオン樹脂量: 2.6リットル(基準形)
弱カチオン樹脂量: 1.6リットル(基準形)
再生レベル: 122.3g−HCl/リットル−強樹脂
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
この条件で通水・再生を40サイクル繰り返した結果を表6に示す。通薬時間が15分と短いにも関わらず、40サイクル目においてもカチオン塔の処理水質は良好であった。採水量は1170リットル前後とほぼ一定で、再生効率はほぼ90%と良好であった。また40サイクル後においても強カチオン樹脂と弱カチオン樹脂の分離状態は良好に保たれていた。
【0025】
【表6】
【0026】
実施例3
内径300mm、高さ1020mmの樹脂塔に強酸性カチオン交換樹脂ダウエックス HGR−W2(有効径0.62mm)をH形で層高820mm充填し、その上に不活性樹脂ダウエックスIF−62(径2.5〜3.5mm)を150mm充填した。フリーボードは50mmでイオン交換樹脂層高の6.1%に相当する。
この樹脂塔に懸濁物質として粉末イオン交換樹脂を14mg/リットル、カオリンを1mg/リットル添加した純水を1200リットル/hで1時間通水し、通水後は逆洗LV=25m/hで2分間高速逆洗を行った。
この条件で通水・高速逆洗を10サイクル繰り返した結果を表7、逆洗排水中の懸濁物質濃度変化の一例を図2に示す。通水終了時には差圧がかなり上昇しているが、高速逆洗により懸濁物質はほぼ除去され、通水開始時の差圧はほぼ元の値に復帰した。逆洗排水量は60リットルで、逆洗排水中の懸濁物質濃度は高速逆洗開始後15〜30秒で最高値を示し、その値は3000mg/リットル以上と極めて高い。逆洗排水中の懸濁物質濃度はその後急速に低下し、2分後には10mg/リットル以下となった。
【0027】
【表7】
【0028】
比較例1
内径300mm、高さ1020mmの樹脂塔に強酸性カチオン交換樹脂ダウエックス HGR−W2(有効径0.62mm)をH形で層高520mm充填した。フリーボードは500mmでイオン交換樹脂層高の96%に相当する。
この樹脂塔に懸濁物質として粉末イオン交換樹脂を14mg/リットル、カオリンを1mg/リットル添加した純水を1200リットル/hで1時間通水し、通水後は逆洗LV=15m/hで10分間通常の逆洗を行った。
この条件で通水・通常逆洗を10サイクル繰り返した結果を表8、逆洗排水中の懸濁物質濃度変化の一例を図3に示す。通常逆洗によっても懸濁物質はほぼ除去され、通水開始時の差圧はほぼ元の値に復帰した。逆洗排水量は180リットルで、逆洗排水中の懸濁物質濃度は逆洗開始後2〜3分で最高値に達したが、実施例3と比較すると一桁低く、その後の低下も緩やかで10分後でも50mg/リットル程度と、完全に低下しなかった。
【0029】
【表8】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば従来の下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置の持つ欠点、即ち再生時間の延長、再生廃液量の増加、再生コストの増加、逆洗に伴う諸問題の発生、強・弱樹脂の混合、及び装置・再生操作の複雑化などが解決できる。その結果、シンプルでコンパクトなイオン交換装置、及び簡単で短時間に終了する再生方法を提供でき、良好な処理水質を安価にかつ安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の1例を示すイオン交換塔の概略図。
【図2】実施例3における逆洗排水中の懸濁物質濃度の経時変化を示すグラフ。
【図3】比較例1における逆洗排水中の懸濁物質濃度の経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1:樹脂塔、2:下部集配水装置、3:上部集配水装置、4:イオン交換樹脂、5:フリーボード、6:不活性樹脂、7:原水流入弁、8:再生排水流出弁、9:処理水流出弁、10:逆洗水流入弁、11:再生剤流入弁、12:洗浄弁、
Claims (5)
- イオン交換樹脂を充填した樹脂塔に下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置において、樹脂塔の上部と下部に一対の集配水装置を設け、下部集配水装置の上部にイオン交換樹脂を充填した充填部と、更にその上部にイオン交換樹脂の充填部の最大層高の2〜15%のフリーボード部を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂を充填した充填部とを配備し、その上部に上部集配水装置が配され、前記下部集配水装置には処理水流出弁、逆洗水流入弁、再生剤流入弁及び洗浄弁を有する集配水管が接続され、また上部集配水装置には原水流入弁及び再生排水流出弁を有する集配水管が接続されていることを特徴とする向流再生式イオン交換装置。
- 前記不活性樹脂充填部は、イオン交換樹脂の有効径の2〜8倍の粒径の不活性樹脂を使用して層高を100〜300mmにすることを特徴とする請求項1記載の向流再生式イオン交換装置。
- 前記イオン交換装置は、純水装置のカチオン塔、アニオン塔であることを特徴とする請求項1又は2記載の向流再生式イオン交換装置。
- 前記イオン交換装置に用いるイオン交換樹脂の充填部が、強酸性カチオン交換樹脂単床、弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填することを特徴とする請求項3記載の向流再生式イオン交換装置。
- 前記請求項1〜4のいずれか1項記載の向流再生式イオン交換装置の再生方法において、下記(a)〜(e)の工程を順次行い樹脂を再生することを特徴とする向流再生式イオン交換装置の再生方法。
(a)、下部集配水装置からの高速逆洗によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂層に押しつけ、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集配水装置から排出除去すると共にイオン交換樹脂の固定床を形成する工程、
(b)、高速逆洗に引き続き、高速逆洗より低速で且つ、上記(a)工程で形成された固定床を維持するに必要な流速で再生剤を下部集配水装置から通薬する工程、
(c)、通薬に引き続き、通薬工程(b)とほぼ同じ流速で下部集配水装置から処理水を通水し、残留する再生剤を押出す押出工程、
(d)、押出終了後、通水を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈静工程、
(e)、上部集配水装置から下降流で通水して樹脂を洗浄する洗浄工程。
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