JP3907013B2 - 均一粒径樹脂を用いた向流式イオン交換装置とその再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、純水装置等の下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置に係り、特に上昇流通薬時にイオン交換樹脂を樹脂塔上部に押し上げて固定床を形成する向流再生式イオン交換装置とその再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のイオン交換装置は再生剤が節約でき、且つ良好な処理水質が得られることから向流再生式が採用されることが多い。純水装置の場合、原水水質によっては弱型イオン交換樹脂、及び強型イオン交換樹脂を使用した複層床とし、通水を弱型イオン交換樹脂から強型イオン交換樹脂へと行い、通薬を強型イオン交換樹脂から弱型イオン交換樹脂へと行えば更に再生剤が節約できる。
向流再生は下降流通水・上昇流通薬を行うものと、上昇流通水・下降流通薬を行うものに大別される。何れの方式においても向流再生式の特長を発揮するには上昇流操作中、即ち下降流通水・上昇流通薬においては通薬時に、上昇流通水・下降流通薬においては通水時にイオン交換樹脂を固定床に維持する必要が有る。
【0003】
上昇流通水・下降流通薬は通水の中断によりイオン交換樹脂層が乱れ、処理水質が悪化し易く、また通水中にイオン交換樹脂層に蓄積した懸濁物質の排出に特別の操作が必要なのに対し、下降流通水・上昇流通薬では通水の中断による水質悪化は生ぜず、短時間で操作が終了する通薬時のみ固定床を維持すれば良いため、採用例が多い。また弱型イオン交換樹脂、及び強型イオン交換樹脂を使用した複層床では、弱型イオン交換樹脂の方が比重が小さく、上昇流通水・下降流再生では樹脂塔内部を物理的に仕切らなくては複層床を適用できないのに対し、下降流通水・上昇流通薬では物理的な仕切が無くても比重差により2層に分離できる特徴がある。
【0004】
下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置では、上昇流通薬時に如何にイオン交換樹脂層を固定床に維持するかが開発の最大のポイントになる。この方法は種々考案されてきたが、その原理は、▲1▼ イオン交換樹脂層上部に物理的な装置を配し、樹脂塔下部にイオン交換樹脂層を押さえて固定床に維持する方法、▲2▼ 樹脂塔内にイオン交換樹脂を概略充満充填し、樹脂塔上部にイオン交換樹脂層を押し上げて固定床に維持する方法、に大別される。▲1▼の方法の中ではイオン交換樹脂層上部に中間集水管を埋設し、上昇流通薬時の流速は比較的遅くして上部から水、又は空気を導入して再生廃液と共に中間集水管から排出する方法が広く実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂塔上部にイオン交換樹脂層を押し上げて固定床に維持するにはある程度の通薬流速が必要である。イオン交換樹脂を固定床に維持するに必要な最低流速は樹脂粒径、樹脂比重等により定まり、一例を示すと、強型カチオン交換樹脂で8m/h程度以上、強型アニオン交換樹脂で4m/h程度以上である。この通薬流速より遅い通薬流速では、イオン交換樹脂層の一部〜全体が流動化し、向流再生が行えなくなる。
一方、イオン交換樹脂の再生にはある程度の再生剤濃度が必要で、再生剤とイオン交換樹脂とのある程度の接触時間も必要である。再生剤濃度が低かったり、再生剤とイオン交換樹脂との接触時間が短いと、イオン交換樹脂の良好な再生ができなくなる。特に、下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置では、良好な処理水水質を得るには樹脂層下部の再生状態を良好に保つことが不可欠であり、これができないと向流再生式イオン交換装置の特徴が発揮できなくなる。
【0006】
通常のイオン交換樹脂の粒径は0.3mm〜1.2mm程度と粒径分布の幅が広く、下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置で使用すると分級作用により樹脂層下部に大粒径樹脂が集まる傾向がある。このように分級されたイオン交換樹脂層を固定床に維持するには、より速い通薬流速が必要となる。一方、樹脂層下部の大粒径樹脂を良好に再生するにはより高い再生剤濃度、より長い再生剤接触時間が必要となる。向流再生式イオン交換装置は、もともと再生剤使用量は少なくてよいが、通常のイオン交換樹脂を使用した場合、設計条件によっては固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての再生条件を満足することが困難な場合も多かった。この場合、再生剤使用量を増せば全ての再生条件を満足することができるが、再生剤使用量が少ないという向流再生式イオン交換装置の利点が失われる。
本発明は、向流再生式イオン交換装置の利点を維持しつつ、上記の問題を一挙に解決した向流再生式イオン交換装置とその再生方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、イオン交換樹脂を充填した樹脂塔の上部と下部に一対の集水装置を設け、下部集水装置の上部にイオン交換樹脂を充填した充填部と、更にその上部にイオン交換樹脂層高の2〜15%のフリーボード部を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂を充填した充填部とを配備し、その上部に上部集水装置が配され、前記下部集水装置には処理水流出弁、逆洗水流入弁、再生剤流入弁及び洗浄弁を有する集配水管が接続され、また上部集水装置には原水流入弁及び再生排水流出弁を有する集配水管が接続された樹脂塔に下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置において、前記充填するイオン交換樹脂として、平均粒径の±0.15mmの粒径範囲に全粒子の85%以上が存在する均一粒径のイオン交換樹脂を使用することとしたものである。
【0008】
前記において、均一粒径のイオン交換樹脂は、平均粒径が0.4mm以上、0.8mm以下であるのがよい。
また、本発明において、イオン交換樹脂の充填部は、強酸性カチオン交換樹脂単床、弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填するのがよく、前記で複層床を充填する場合は、強型イオン交換樹脂の平均粒径は、弱型イオン交換樹脂と同じか、それより若干大きくするのがよい。
【0009】
また、本発明では、上記した向流再生式イオン交換装置の再生方法において、下記(a)〜(e)の工程を順次行い樹脂を再生することとしたものである。
(a)下部集水装置から高流速逆洗によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂層に押しつけ、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集水装置から排出除去すると共に、イオン交換樹脂の固定床を形成する工程、
(b)高流速逆洗に引き続き、高流速逆洗より低速で且つ、(a)工程で形成された固定床を維持するのに必要な流速で再生剤を下部集水装置から通薬する工程、
(c)通薬に引き続き、通薬工程(b)とほぼ同じ流速で下部集水装置から処理水を通水し、残留する再生剤を有効に利用する押出工程、
(d)押出終了後、通水を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈整工程、
(e)上部集水装置から下降流で通水して樹脂を洗浄する洗浄工程。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
通常の樹脂は0.3mm〜1.2mmと幅広い粒径分布を持っており、その粒径分布は篩い分け試験により有効径(篩い分けにより全体の10%が通過する径)、均等係数(篩い分けにより全体の60%が通過する径と10%が通過する径の比)で示す。本発明で使用する均一粒径樹脂は、粒径分布の幅が狭く、篩い分け試験によって有効径、均等係数を求めることができず、その大きさは平均径で表示される。均一粒径樹脂の粒径分布の一例を示すと85%以上が平均粒径の±0.15mmの間に存在する。
【0011】
本発明で使用する均一粒径樹脂は、通常樹脂の小粒径側、大粒径側を除去することによっても調製することは可能であるが、調製時に除去される樹脂量が極めて多くなり、経済的ではない。これまでにも粒径分布に制限を加えた樹脂は存在しているが、これらの樹脂は通常樹脂の一部(小粒径側、又は大粒径側、又は両側)を必要最小限除去したもので、本発明で使用する均一粒径樹脂と比較すると、まだ粒径分布の幅が広く、これらの樹脂を使用した場合には、本発明の効果は十分に得られない。均一粒径樹脂、通常樹脂、及び通常樹脂の一部を除去した樹脂の粒径分布の概念を図2に示す。
近年、特殊な製造方法により粒径分布の幅が極めて狭い均一粒径樹脂が各社で開発されており、モノスフィア(ダウケミカル社製)、ユニビーズ(三菱化学社製)、モノディスパース(バイエル社製)、アンバージェット(ローム&ハース社製)等の名称で発売されている。本発明ではこれらの樹脂が好適に使用できる。
【0012】
本発明によれば均一粒径樹脂を使用することにより、樹脂層下部に大粒径樹脂が集まることがなく、イオン交換樹脂層を固定床に維持するに必要な通薬流速を遅くできる。また低い再生剤濃度、短い再生剤接触時間でも十分な再生が可能となるため、固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての条件を満足することが容易となる。
本発明では、均一粒径樹脂の平均粒径が0.4mm以上、0.8mm以下のものを使用するのが良い。平均粒径が0.4mm以下の樹脂では通水時の圧力損失が増大し、0.8mm以上では粒径分布の幅が広い通常のイオン交換樹脂を使用した場合と同様に、固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての条件を満足することが困難となり、均一粒径樹脂使用の特徴が発揮されない。
【0013】
本発明のイオン交換装置は、純水装置のカチオン塔、アニオン塔として使用でき、このときのイオン交換樹脂の充填部は強酸性カチオン交換樹脂単床、弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填することができる。
強・弱型イオン交換樹脂を一塔内に充填した複層床は、強型イオン交換樹脂単床を充填した場合より再生効率が高いため、固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての条件を満足することがより困難となる。複層床は比重の小さい弱型イオン交換樹脂をイオン交換樹脂充填部の上部に、比重の大きい強型イオン交換樹脂を下部に充填する。従がって、本発明の効果を発揮するには、下部に充填する強型イオン交換樹脂に均一粒径樹脂を使用することが不可欠であり、均一粒径樹脂を使用する事により、全ての条件を満足することが容易となる。
【0014】
複層床の特長を発揮するには強・弱型イオン交換樹脂を2層に分離・維持する必要がある。強・弱型イオン交換樹脂が混合すると処理水質不良、採水量不足等のトラブルが発生する。弱型樹脂については必ずしも均一粒径樹脂である必要は無いが、均一粒径樹脂を使用すれば強・弱型の分離・成層化が一層容易となる。その結果、強型樹脂の平均粒径は弱型樹脂と同じか、若干大きくする程度で十分に分離・成層化が可能となるため、本発明ではより好都合に使用できる。
【0015】
以下に本発明の装置の概略構成を示した図1によって本発明の詳細を説明する。
本発明では樹脂塔1の上下に一対の集水装置2,3を設け、下部集水装置2の上部に均一粒径のイオン交換樹脂4を充填し、更にその上部にはイオン交換樹脂層高の2〜15%のフリーボード5を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂6を充填する。下部集水装置には処理水流出弁9、逆洗水流入弁10、再生剤流入弁11、洗浄弁12が接続されており、上部集水装置3には原水流入弁7、再生排水流出弁8が接続されている。
【0016】
再生に際しては
(a)下部集水装置から高流速逆洗によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂層に押しつて、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集水装置から排出除去すると共にイオン交換樹脂の固定床を形成する工程、
(b)高流速逆洗に引き続き、高流速逆洗より低速で且つ、(a)工程で形成された固定床を維持するのに必要な流速で再生剤を下部集水装置から通薬する工程、
(c)通薬に引き続き、通薬工程(b)とほぼ同じ流速で下部集水装置から処理水を通水し、残留する再生剤を有効に利用する押出工程、
(d)押出終了後、通水を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈整工程、
(e)上部集水装置から下降流で通水して樹脂を洗浄する洗浄工程
の5工程により樹脂を再生する。本発明において均一粒径樹脂を使用するメリットは工程(a)〜(c)で生じる。
【0017】
工程(a)ではイオン交換樹脂の固定床を実質的に維持したまま、短時間の内に樹脂塔上部に移動させる必要がある。この時に必要な逆洗流速は、イオン交換樹脂の種類、フリーボードの割合等により異なる。一例を挙げると、フリーボード10%の場合、強型カチオン交換樹脂で25m/h程度以上、強型アニオン交換樹脂で15m/h程度以上が必要である。これ以下の逆洗流速では、イオン交換樹脂の下部が流動層となる割合が増加する。固定床として維持される割合が減じると向流再生の効果が充分に発揮されず、処理水質が悪化する。通常のイオン交換樹脂の粒径は0.3mm〜1.2mm程度と粒径分布の幅が広く、下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置で使用すると分級作用により樹脂層下部に大粒径樹脂が集まる傾向がある。
【0018】
このように分級されたイオン交換樹脂層を固定床に維持するにはより速い逆洗流速が必要となる。本発明では均一粒径樹脂を使用することにより、粒径分布の幅が広い通常のイオン交換樹脂を使用した場合より逆洗流速を低めに設定できる。
本発明においてフリーボードの割合の選択は重要で、小さ過ぎると樹脂の膨潤を吸収しきれない場合が生じる可能性が有り、大き過ぎると高速逆洗の工程でイオン交換樹脂層の下部が流動層となる割合が増加し、処理水質悪化の危険性が増加する。フリーボードとしてはイオン交換樹脂の最大層高の2〜15%とするのが適切である。高速逆洗に使用する水は原水でも良いが、イオン交換樹脂層下部に無用のイオン負荷を与え、処理水質悪化の原因となるので処理水を使用するのが好ましい。
【0019】
本発明において工程(a)はイオン交換樹脂の固定床を形成する他にも重要な役割を持っている。即ち高流速逆洗によりイオン交換樹脂層が上方に移動し、不活性樹脂層にぶつかって止まる衝撃で、通水時にイオン交換樹脂層表面に蓄積した懸濁物質がイオン交換樹脂層からはずれ、不活性樹脂層を経由して上部集水装置から高濃度で排出除去される。従来の逆洗が懸濁物質の排出に10〜20分程度必要であるのと比較して、本発明では従来の逆洗とは全く異なった原理で懸濁物質が排出されるため、1〜3分程度と極めて短時間で終了する。また本発明では再生毎に高流速逆洗を行うため、懸濁物質の蓄積も生じ難い。
【0020】
本発明において不活性樹脂の粒径選択は重要で、細か過ぎると懸濁物質の排出除去が不十分となり易く、大きすぎるとイオン交換樹脂のリーク、あるいは上部集水装置の目詰まりの危険性を生じる。不活性樹脂の粒径としてはイオン交換樹脂の有効径の2〜8倍のものを使用することが必要である。不活性樹脂層高としては100〜400mmが適切である。
工程(a)の高流速逆洗で一度形成された固定層は、逆洗流速を下げても固定床が維持できる。固定床が維持できる限界の通薬流速の一例は強型カチオン交換樹脂で8m/h程度以上、強型アニオン交換樹脂で4m/h程度以上である。粒径分布の幅が広い通常のイオン交換樹脂を使用した場合、分級されたイオン交換樹脂層を固定床に維持するにはより速い通薬流速が必要となる。一方、樹脂層下部の大粒径樹脂を良好に再生するにはより高い再生剤濃度、より長い再生剤接触時間が必要となる。
【0021】
向流再生式イオン交換装置はもともと再生剤使用量が少ない。限られた再生剤使用量では設計条件によっては固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての再生条件を満足することが困難な場合も多かった。この場合、再生剤使用量を増せば全ての再生条件を満足することができるが、再生剤使用量が少ないという向流再生式イオン交換装置の利点が失われる。本発明では均一粒径樹脂を使用することにより、工程(b)で固定床が維持できる通薬流速が低くでき、また低い再生剤濃度、短い再生剤接触時間でも十分な再生が可能となるため、固定床を維持するための通薬流速、再生剤濃度、再生剤接触時間の全ての条件を満足することが容易となる。
工程(c)の押出は従来法と特に変わった点は無いが、工程(d)の沈整は本発明独自のものである。即ち押出工程ではイオン交換樹脂層は不活性樹脂層に押しつけられて固定床を形成しているが、押出停止と共に固定床下部から順次崩壊し、下部集水装置の上に積層する。新たに形成された固定床は再生後のイオン交換帯をほぼ保っているため、通水時に処理水質が悪化することはない。
【0022】
本発明ではこの工程によりイオン交換樹脂の全層が再生毎にほぐされ、固着などが解消されるため、イオン交換樹脂層の差圧増加が極めて生じ難い。またイオン交換樹脂層内に入り込んだ懸濁物質、イオン交換樹脂の破砕によって生じた破片などがイオン交換樹脂層が順次崩壊する過程で固定床下部から樹脂塔上方に移送され、次回の再生で塔外に排出される確率が高くなる効果も生じる。同様な効果として弱型イオン交換樹脂、及び強型イオン交換樹脂を使用した複層床では、両樹脂の比重差が生じる再生形となってから沈整工程を迎えるため、軽い弱型イオン交換樹脂が樹脂塔上方に移送され易くなり、両樹脂の混合の進行を防止できる。
工程(e)の洗浄は従来法と特に変わった点は無いが、フリーボードが少ないこと及び工程(d)でイオン交換樹脂層の固着が解消されることから、洗浄に要する時間が短く、洗浄に要する水量も少なくなる傾向が認められる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
内径60mm、高さ1950mmの樹脂塔に均一粒径の強型カチオン樹脂ダウエックス モノスフィア C−500(平均径0.50mm)をH形で層高1640mm充填し、その上に不活性樹脂ダウエックスIF−62(径2.5〜3.5mm)を200mm充填した。フリーボードは110mmでイオン交換樹脂層高の6.7%に相当する。
この樹脂塔に表1に示すイオン組成の原水を60リットル/hでカチオンブレーク(エンドポイント10μS/cm)まで通水し、通水後は表2に示す再生条件で再生した。
カチオン樹脂量 : 4.2リットル(基準形)
再生レベル : 50.5g−HCl/リットル
【0024】
【表1】
Figure 0003907013
【0025】
【表2】
Figure 0003907013
【0026】
この条件で通水・再生を40サイクル繰り返した結果を表3に示す。通薬時間が10分と短いにも関わらず、カチオン塔の処理水質は良好であった。採水量は800リットル前後とほぼ一定で、再生効率はほぼ94%と良好であった。
【表3】
Figure 0003907013
【0027】
実施例2
強型カチオン樹脂として均一粒径樹脂のダウエックス モノスフィア C−500の単床の替わりに均一粒径の強型カチオン樹脂ダウエックス モノスフィアC−500(平均径0.50mm)をH形で層高1015mm、弱型カチオン樹脂ダウエックス MAC−3(有効径0.53mm)をH形で層高625mm充填した複層床を充填した他は、実施例1と同一の条件で通水・再生を40サイクル繰り返した。結果を表4に示す。
強型カチオン樹脂量 : 4.2リットル(基準形)
弱型カチオン樹脂量 : 1.6リットル(基準形)
再生レベル : 81.6g−HCl/リットル−強樹脂
通薬時間が10分と短いにも関わらず、カチオン塔の処理水質は良好であった。採水量は830リットル前後とほぼ一定で、再生効率はほぼ98%と良好であった。
【0028】
【表4】
Figure 0003907013
【0029】
比較例1
強型カチオン樹脂として均一粒径樹脂のダウエックス モノスフィア C−500の替わりにダウエックス HGR−W2(有効径0.62mm)を充填した他は、実施例1と同一の条件で通水・再生を40サイクル繰り返した。結果を表5に示す。
通薬時間が10分と短いためカチオン塔の処理水質は実施例1より悪く、採水量も540〜750リットルと変動が大きく、再生効率も64〜88%と変動した。
【0030】
【表5】
Figure 0003907013
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば均一粒径樹脂を使用することにより、高流速逆洗での固定床維持が容易となり、再生も良好となるため、粒径分布の幅が広い通常の樹脂を使用した場合と比較して再生効率が高く、処理水水質も良好となる。その結果、シンプルでコンパクトなイオン交換装置、及び簡単で短時間に終了する再生方法を提供でき、良好な処理水質を安価にかつ安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の1例を示すイオン交換塔の概略図。
【図2】本発明で使用する均一粒径樹脂、及び通常樹脂の粒径分布を示す概念図。
【符号の説明】
1:樹脂塔、2:下部集水装置、3:上部集水装置、4:均一粒径イオン交換樹脂、5:フリーボード、6:不活性樹脂、7:原水流入弁、8:再生排水流出弁、9:処理水流出弁、10:逆洗水流入弁、11:再生剤流入弁、12:洗浄弁

Claims (5)

  1. イオン交換樹脂を充填した樹脂塔の上部と下部に一対の集水装置を設け、下部集水装置の上部にイオン交換樹脂を充填した充填部と、更にその上部にイオン交換樹脂層高の2〜15%のフリーボード部を介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1より小さい不活性樹脂を充填した充填部とを配備し、その上部に上部集水装置が配され、前記下部集水装置には処理水流出弁、逆洗水流入弁、再生剤流入弁及び洗浄弁を有する集配水管が接続され、また上部集水装置には原水流入弁及び再生排水流出弁を有する集配水管が接続された樹脂塔に下降流通水・上昇流通薬を行う向流再生式イオン交換装置において、前記充填するイオン交換樹脂として、平均粒径の±0.15mmの粒径範囲に全粒子の85%以上が存在する均一粒径のイオン交換樹脂を使用することを特徴とする向流再生式イオン交換装置。
  2. 前記均一粒径のイオン交換樹脂は、平均粒径が0.4mm以上、0.8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の向流再生式イオン交換装置。
  3. 前記イオン交換樹脂の充填部は、強酸性カチオン交換樹脂単床、弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填することを特徴とする請求項1又は2記載の向流再生式イオン交換装置。
  4. 前記イオン交換樹脂の充填部が弱酸性カチオン交換樹脂と強酸性カチオン交換樹脂の複層床又は弱塩基性アニオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂の複層床を充填する場合、強型イオン交換樹脂の平均粒径は、弱型イオン交換樹脂と同じか、それより若干大きくすることを特徴とする請求項3記載の向流再生式イオン交換装置。
  5. 前記請求項1〜4のいずれか1項記載の向流再生式イオン交換装置の再生方法において、下記(a)〜(e)の工程を順次行い樹脂を再生することを特徴とする向流再生式イオン交換装置の再生方法。
    (a)下部集水装置から高流速逆洗によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂層に押しつけ、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂層を経由して上部集水装置から排出除去すると共に、イオン交換樹脂の固定床を形成する工程、
    (b)高流速逆洗に引き続き、高流速逆洗より低速で且つ、(a)工程で形成された固定床を維持するのに必要な流速で再生剤を下部集水装置から通薬する工程、
    (c)通薬に引き続き、通薬工程(b)とほぼ同じ流速で下部集水装置から処理水を通水し、残留する再生剤を有効に利用する押出工程、
    (d)押出終了後、通水を停止し、再生された樹脂を自由に落下させる沈整工程、
    (e)上部集水装置から下降流で通水して樹脂を洗浄する洗浄工程。
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