JP3162614B2 - 高流速逆洗型イオン交換塔の再生方法 - Google Patents

高流速逆洗型イオン交換塔の再生方法

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JP3162614B2 JP30230695A JP30230695A JP3162614B2 JP 3162614 B2 JP3162614 B2 JP 3162614B2 JP 30230695 A JP30230695 A JP 30230695A JP 30230695 A JP30230695 A JP 30230695A JP 3162614 B2 JP3162614 B2 JP 3162614B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換樹脂を
用いた下降流通水・上昇流通薬を行う向流式イオン交換
塔の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のイオン交換装置は再生剤が節約で
き、且つ良好な処理水質が得られることから向流式が採
用されることが多い。純水装置の場合、強酸性カチオン
交換樹脂(以下強型カチオン樹脂と称す)もしくは、強
塩基性アニオン交換(以下強型アニオン樹脂と称す)の
単床を用いるよりも、原水水質によっては、カチオン塔
は複層床として、採水時は弱酸性カチオン交換樹脂(以
下弱型カチオン樹脂と称す)→強型カチオン樹脂と通
し、再生時は強型カチオン樹脂→弱型カチオン樹脂と通
薬することによって、単一の樹脂を用いるよりも更に再
生剤が節約できる。本発明でいう複層床とは、中間隔壁
で仕切らず、直接強型カチオン交換樹脂の上に弱型イオ
ン交換樹脂が充填されているものである。
【0003】向流式には、下降流通水・上昇流通薬を行
うものと、上昇流通水・下降流通薬を行うものにわけら
れる。何れの方式においても、向流式の特長を発揮する
には上昇流の工程中、すなわち下降流通水・上昇流通薬
方式においては通薬時に、上昇流通水・下降流通薬方式
においては、通水時にイオン交換樹脂を固定層に維持す
る必要がある。上昇流通水・下降流通薬方式は、通水の
中断により固定層が、すなわちイオン交換帯が乱れ、処
理水質が悪化し易い、また通水中にイオン交換樹脂に蓄
積した懸濁物質の排出に、逆洗用のフリーボードをつく
るため、樹脂の移送工程等の特別の操作が必要である。
一方下降流通水・上昇流通薬方式では通水の中断による
水質悪化は生じないため、採水時にON−OFF運転が
自由にできるメリットがある。
【0004】また、弱型イオン交換樹脂、及び強型イオ
ン交換樹脂を使用した複層床では、弱型イオン交換樹脂
の方が比重が小さく、上昇流通水・下降流再生方式では
樹脂塔内部を物理的に仕切らないと、弱型と強型を同時
に適用できないのに対し、下降流通水・上昇流通薬では
物理的な仕切(中間隔壁)が無くても、比重差により2
層に分離できる特徴がある。図3に例示するように中間
集水管20を用いて、下降流通水、上昇流通薬方式を物
理的仕切(中間隔壁)無しで、実施する場合下記の問題
点がある。
【0005】(1)カチオン塔は、〔弱型カチオン樹脂
+強型カチオン樹脂〕、アニオン塔は、〔弱型アニオン
樹脂+強型アニオン樹脂〕の組合せで使用することにな
る。弱型と強型の比重の差は再生形ではかなりあるため
再生形での分離は可能である。 <各樹脂の比重例> 弱型カチオン樹脂 : 1.13〜1.18 強型カチオン樹脂 : 1.25〜1.30 弱型アニオン樹脂 : 1.04 強型アニオン樹脂 : 1.08〜1.10 しかし、塩形、あるいは弱型アニオン樹脂が有機物を吸
着すると比重差がほとんどなくなり、弱型と強型の混合
が進み、ついには処理水質不良、採水量がとれない等の
問題が生じる。
【0006】この対策として下記の方法が提案されてい
る。 従来の粒径分布の広い樹脂にかわって粒径分布のせ
まい樹脂(均一粒径が好ましい)を用い、かつ強型イオ
ン樹脂は粒径の大きい、弱型イオン樹脂は粒径の小さい
ものを採用し分離を良くする。 再生は一般的には図3の如く、弱型イオン交換樹脂
5の上部に中間集水管20を配して中間集水管下部の樹
脂を塔上部から弁18を開として加圧水又は加圧空気を
導入して固定層とし、上昇流で通薬していく。そして、
再生廃液排出弁17を開として再生廃液を排出してい
く。
【0007】(2)イオン交換樹脂は再生剤に接触する
と収縮する傾向が有り、特に上昇流通薬時に弱型イオン
交換樹脂では著しい。この収縮現象は主に弱型イオン交
換樹脂が再生されやすいため、イオン形が塩形から再生
形(R−H、R−OH)に、急激に変換するためであ
る。塩形と再生形の体積変化の例を表1に示す。
【表1】
【0008】強型イオン交換樹脂は塩形では小さく、再
生形では体積を増す。反対に弱型イオン交換樹脂では再
生形で小さく塩形になると体積を増す。すなわち再生
時、強型イオン交換樹脂では再生液による若干の収縮、
また、再生されにくい性質を加味しても一般的に再生後
は、特に押出工程終了後は再生前の4〜10%程度は膨
潤する方向にある。しかし弱型イオン交換樹脂では、再
生されやすいため、塩形から再生形へほぼ100%近く
変換するため通水する原水イオンの構成によっても異な
るが、その体積は再生後は再生前の約20〜30%体積
が減少してしまう。一方、採水時は弱型イオン交換樹脂
は再生形から塩形へ変換していくため、その体積は膨潤
していき、樹脂層の圧密化が生じやすい。強型イオン交
換樹脂は反対に体積収縮方向となるため、圧密化は生じ
にくいと言ってよい。
【0009】以上に述べた如く、弱型イオン交換樹脂の
イオン形の変化が再生時に大きく、かつ急激に生ずるた
め、弱型と強型の分離界面付近では空隙ができやすくな
り、樹脂の一部が流動化し、再生剤の不均一分散(チャ
ネリング)の危険が増してくる。そして処理水質の悪化
を招くことが多い。 (3)(2)で述べた問題点を解決するため、従来いろ
いろの工夫がされてきた。イオン交換樹脂の収縮による
流動化を防止し、再生剤の均一分散を達成するため、
通薬途中で通薬を中断し、収縮したイオン交換樹脂を沈
静させてから通薬を再開することを何回か繰り返す方
法、低濃度の再生剤を低流速で通薬することにより、
収縮の影響を軽減する方法、上部から導入する加圧
水、又は空気量を増す方法等が提案されている。これら
の方法によってイオン交換樹脂層の流動化は一応防止で
きている。しかし、再生操作の複雑化による長い再生時
間、再生廃液量の増加、装置そのものの複雑化、再生コ
ストの増加、等の不利益が生じている。
【0010】(4)中間集水管20上部の非有効樹脂2
1はそのまま毎回逆洗しており、中間集水管20下部の
樹脂は通常の再生時は逆洗しない。しかし、この状態で
運転をつづけると懸濁物質の蓄積、及び樹脂粒子の圧密
化が生じるので通常〔再生−採水〕7〜20回に1回程
度の割合で下部のイオン交換樹脂全層を逆洗している。
全層を逆洗した場合にはイオン交換帯が乱れるため、通
常再生の2〜2.5倍の再生剤量が必要となる。そし
て、弱型イオン交換樹脂を大部分再生した条件で逆洗分
離し、初期の弱型と強型が十分に分離した条件に戻す必
要がある。
【0011】(5)しかし前述の如く、(再生−採水)
の工程が進むにつれて、特に塔径が大きい程、弱型と強
型の混合が進み、通薬時のチャンネリング、処理水質の
悪化、採水量の不足を生じることが多い。これを避ける
ため、設計当初から混合することを考慮して必要量の2
0〜30%増しの樹脂を充填しておくことも多い。すな
わち、このような方式は塔径が大きくなる程不適となり
採用できないのが実状である。 (6)中間集水管20が樹脂層内にある採水時の圧力損
失等による繰り返し荷重によって破損事故の生ずること
もある。それ故、下降流通水・上昇流通薬方式におい
て、弱型と強型のイオン交換樹脂を同一塔内で使用する
ことは、現状では塔径が大きくなる程安定した運転を達
成することは、かなり困難であることが明白になってき
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、下降流通水
・上昇流通薬方式を改良し、前記の問題点、すなわち長
い再生時間、再生廃液量の増加、弱型と強型イオン交換
樹脂の混合、通薬時の諸問題、及び装置・再生操作の複
雑化等を解決し、コンパクトなイオン交換塔を用いて短
時間に再生でき、かつ安定した運転のできる向流式イオ
ン交換塔の再生方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、イオン交換塔の上下に集水装置を設
け、下部集水装置の上部にイオン交換樹脂を充填し、更
にその上部に採水終了時のイオン交換樹脂の5〜25%
のフリーボードを介してイオン交換樹脂より大粒径で且
つ、イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1.0
より小さい不活性樹脂を充填した下降流通水・上昇流通
薬を行う向流式イオン交換塔の再生方法において、下記
(a)〜(f)の工程を順次行い樹脂を再生することと
したものである。 (a)、塔下部に設けた下部集水装置からの高流速逆洗
によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂に押しつ
け、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂を経由して
塔上部に設けた上部集水装置から排出除去すると共に、
イオン交換樹脂の固定層を形成する高流速逆洗工程、
(b)、高流速逆洗工程より低速で、(a)工程で形成
された固定層を維持するに必要な流速で再生剤を下部集
水装置から上昇流で通薬する通薬工程、(c)、大部分
の前記固定層を維持できる流速で下部集水装置から処理
水を上昇流で通水し、残留する再生剤を有効に利用する
押出工程、(d)、再度前記(a)工程を行い懸濁物質
を上部集水装置から排出する工程、(e)、上部集水装
置から塔下部の洗浄排水弁を開とするか、又は塔頂部の
空気抜弁と塔下部の洗浄排水弁を開として、水の下降流
を用いて前記形成された固定層を塔下部に移動させる樹
脂移動工程、(f)、上部集水装置から下降流で通水し
て樹脂を洗浄する洗浄工程。
【0014】前記再生方法において、該再生処理及び採
水処理の一定頻度毎に、又は採水時、圧力損失が増大し
た時等に、採水終了後、又は前記(c)の押出工程終了
後に、前記(a)工程と、通水を停止し樹脂を自由に落
下させる沈整工程を繰り返して、蓄積した懸濁物質を弱
型、強型イオン交換樹脂から分離促進して、不活性樹脂
層を経由して上部集水装置から排出除去する工程を行う
こともできる。これらの工程はフリーボード割合が大き
い程、効果的であるので、フリーボード割合が最も大き
くなった条件で実施するのが好ましい。前記再生方法に
おいて、不活性樹脂は、イオン交換樹脂の有効径の2〜
8倍の粒径のものを使用し、不活性樹脂層高を100〜
400mmにするのがよく、また、イオン交換樹脂は、
強酸性カチオン交換樹脂単床、強酸性カチオン交換樹脂
と弱酸性カチオン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン
交換樹脂単床、強塩基性アニオン交換樹脂と弱塩基性ア
ニオン交換樹脂の複層床のいずれかを充填することがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の再生方法を適用す
るイオン交換塔の一例を示した図1及び図2を用いて、
本発明を詳細に説明する。図1は、強型イオン交換樹脂
の単一樹脂を用いる例であり、図2は、強型イオン交換
樹脂と弱型イオン交換樹脂とを用いる複層床の例であ
る。図において、イオン交換塔1の上下に集水装置2、
3を設け、下部集水装置2の上部に強型イオン交換樹脂
4又は強型イオン交換樹脂4と弱型イオン交換樹脂5を
充填し、更にその上に若干のフリーボード6を介してイ
オン交換樹脂4、5より大粒径で、かつイオン交換樹脂
を保持できる大きさで比重が1.0より小さい不活性樹
脂7を100〜400mm充填する。
【0016】上下の集水装置2、3はノズル付の多孔板
方式が好ましいが多孔管方式のものでもかまわない。上
部集水装置2には原水流入弁8、再生廃液排出弁9、下
部集水装置3には処理水流出弁10、逆洗水流入弁1
1、再生剤兼押出水流入弁12、洗浄排水弁13、そし
て塔頂部には空気抜弁14が接続されている。また、イ
オン交換塔壁には、イオン交換樹脂量、不活性樹脂量を
調整できるように手動ボール弁15、16、17が設け
られている。サイトグラス、マンホール等は適宜適切な
ところに設ける。従来の中間集水管を持つタイプの向流
式は通常75〜100%の逆洗用フリーボードを持つ必
要がある。充満充填するタイプの向流式ではフリーボー
ドはもたないが、別に逆洗塔を有する必要があること等
従来法においては、装置構成配管が複雑となっている。
【0017】本発明においては、塔内の構成を代表的に
図1の如くしている。フリーボード6が従来法よりはる
かに小さく不活性樹脂層7を加えても塔内は有効に活用
されて、コンパクトなものとなる。そして更にその上
に、イオン交換樹脂の有効径の2〜8倍の比重1.0以
下の不活性樹脂7を100〜400mm充填した構成と
する。本発明の構成において重要なのはフリーボード6
をいくらにするかである。図1に示す単一樹脂の場合、
このフリーボード6を最大膨潤した時より小さくとって
しまうと最も膨潤した時、すなわち2〜3倍量の再生を
行い、再生形が大幅に増した時、また、再生形の樹脂を
使用し、交換補給、充填した場合、前記表1のように塩
形から再生形になり樹脂の体積が増し、これによる膨潤
圧がかかってしまうことになる。それ故、図1に示すフ
リーボード6は樹脂が再生形の時の2〜10%とし、樹
脂の膨潤圧が万一にも塔にかからないようにしておく必
要がある。
【0018】このようにしておくと、実際の1サイクル
の採水終了後における樹脂の体積は、負荷イオンの種
類、採水量、樹脂の種類等によって異なるが、前記2〜
10%の再生形に対するフリーボードの割合は、採水終
了後の体積収縮により、若干大きくなり強型カチオン樹
脂で5〜18%、弱型アニオン樹脂で15〜25%程度
となる。この採水終了後のフリーボードの割合は、維持
管理上重要であり、定期的に1サイクルの採水終了時の
樹脂レベルをチェックし、適正にフリーボード6が保た
れていることを確認することが重要である。また、再生
後についても、通常再生レベル時、及び必要に応じて2
〜2.5倍量再生する時も同様に確認しておくことが重
要である。図2に示す強型イオン交換樹脂と強型イオン
交換樹脂とを用いる複層床では、更に複雑な樹脂体積の
膨潤を示す。
【0019】強型イオン交換樹脂は表1に示すように、
採水時、再生形から塩形になるため収縮し、再生時は反
対に膨潤する。一方、弱型イオン交換樹脂は完全に逆に
なる。弱型カチオン樹脂の体積変化は樹脂の種類、ま
た、負荷イオン形によってかなり異なっているが、一例
を示せば次のようになる。 <イオン形の体積変化例> R−H → R−Ca : + 5〜+15% R−H → R−Na : +40〜+55% 弱型カチオン樹脂5は原水の硬度(Ca+Mg)がM−
アルカリ度より大きい場合、採水終了時のイオン形は大
部分〔R−Ca+R−Mg〕となり、一部にR−Na、
及び再生形(R−H)がふくまれる。
【0020】また、原水の硬度がM−アルカリ度より小
さい場合、原水の硬度分はすべてR−Ca、R−Mgに
なるが、〔Mアルカリ度−硬度〕分に相当するNaHC
3もイオン交換するため、R−Naもかなり生成す
る。この場合、原水のイオン組成及び1サイクルの各々
のイオンの負荷量によってR−Ca、R−Mg、R−N
a、未利用のR−Hの生成量がきまる。一方、弱型アニ
オン樹脂は、一般に脱炭酸塔後の酸性軟水を原水として
用いられることが多いので、その負荷イオン形はR−C
l、R−SO4 を主体とする。 しかし、R−HCO3 形では弱型カチオン樹脂と同様の
かなり大きい膨潤率を示す樹脂もある。そして脱炭酸塔
を設けないでHCO3 - 、CO2 を負荷させる装置もあ
る。
【0021】したがって、図2に示す強型・弱型イオン
交換樹脂を用いる場合、樹脂のイオン形、負荷イオン
量、樹脂の種類だけでなく、強型4と弱型5との充填比
率によっても、採水終了時の体積、再生後の体積は異な
ってくる。その故、採水終了時、再生時の膨潤、収縮の
変化の多い弱型5は最大でも、全樹脂の6割以下の充填
量として、その膨潤圧による塔への影響を小さくするの
が良い。そして、1サイクルの採水終了後の平均体積
(V1 )と、再生後の平均体積(V2 )を求めておく。
一般には再生後の平均体積(V2 )の方が小さくなるた
め、フリーボードの割合は、下記のように決めるのがよ
い。
【0022】1サイクルの採水終了後の平均体積(膨潤
傾向を一般に示す)を基準にして、それに水質変動、す
なわち採水終了時の負荷イオン形、各イオン形の生成
量、更に弱型イオン交換樹脂5の充填割合を考慮して、
フリーボード6の割合を決める。一般に、採水終了後の
平均体積の5〜25%をフリーボードの割合としておけ
ばよい。弱型イオン交換樹脂の割合が多い程、フリーボ
ード6の割合を大き目にして塔の安全を図るのが良い。
また、1サイクルの採水終了時の樹脂レベルをチェック
し、前記の如き5〜25%のフリーボード6が確保され
ていることを定期的に確認することが不可欠である。そ
して、水質変動等によって、膨潤が大きくなった時は、
弁16、弁17から強型又は弱型イオン交換樹脂を抜き
出して、適正なフリーボード6の割合を維持していく。
【0023】また、本発明で使用する不活性樹脂の材質
は、比重1.0以下の例えばポリプロピレン等で、再生
剤の残留性のない、洗浄しやすい、かつイオン交換樹脂
の膨潤圧をある程度吸収できる、弾力性のある材質、形
状であればよい。その粒径は、捕捉した懸濁物質が排出
しやすいように、イオン交換樹脂の有効径が通常、0.
65mm程度であるので、その2〜8倍程度であればよ
い。すなわち不活性樹脂の粒径としては、概略1.0〜
5.0mmφのものを、好ましくは2〜4mmφ程度の
ものとするのがよい。この粒径が小さすぎると、捕捉し
た懸濁物質の排出が困難となる。また、大きすぎると上
昇流の通薬時、押出時等にイオン交換樹脂4、5が不活
性樹脂7を通り抜け、上部集水装置2の集水口(スリッ
ト)を防ぎ、設定流量が流れにくくなる。
【0024】また、不活性樹脂7の層高は、100〜4
00mmでよいが、塔径が大きい場合、不活性樹脂層が
均一にフラットになるかどうか考慮し、大き目に設定し
ておく。しかし、この層高が大きすぎると、高流速逆洗
時の懸濁物質の排出がしにくくなるので注意する。不活
性樹脂7自体も、破砕することによって目詰まりの原因
となるので、定検時毎に不活性樹脂全量を排出し、塔内
点検し破砕、粉化した不活性樹脂を除去して再充填する
ことも考慮しておく必要がある。以上のようなフリーボ
ードの割合及びその管理をふまえた塔構造を用いて、本
発明は採水終了後、下記の再生工程を行い、フリーボー
ドの割合が大きくなっても、イオン交換帯が乱れにく
く、また採水時に捕捉した懸濁物質を排出させ易くして
いる。
【0025】(a)カチオン塔でLV20〜26m/h
以上、アニオン塔でLV14〜20m/h以上の高流速
逆洗を2〜3分間、下部集水装置3から上向流で処理水
を用いて行い、強型、弱型イオン交換樹脂4又は4+5
の大部分を不活性樹脂7に押し付け固定層を形成させ
る。この高流速逆洗の流速は樹脂の比重、水温、フリー
ボード6の割合によって若干異なるが、要するに固定層
を形成できる流速であればよい。この時、採水時に図1
の強型カチオン樹脂4に蓄積した、また図2で主に弱型
カチオン樹脂5に蓄積した懸濁物質も一部排出されてい
く。 (b)この形成された固定層を維持できる流速、例えば
カチオン塔の強型カチオン樹脂ではLV6〜8m/h以
上、アニオン塔の強型アニオン樹脂ではLV4〜6m/
h以上の流速で、再生剤として各々2.5〜4%のHC
l、1.5〜4%NaOH(30〜45℃)を通薬して
いく。
【0026】(c)次いで、この固定層を維持できる流
速で処理水を通水し、押出工程を行う。通薬工程、押出
工程において、弱型イオン交換樹脂は強型イオン交換樹
脂より、比重が小さいので、固定層を維持する流速は強
型イオン交換樹脂に必要な流速でよい。また、通薬工
程、押出工程において、強型イオン交換樹脂は塩形から
再生形に変換していくため樹脂は膨潤する。このため、
図1の例において、この膨潤による樹脂の圧変化が生
じ、カチオン塔において、捕捉した懸濁物質の排出が困
難になることが懸念されたが、実験の結果、実用的な塔
径の大きい、500φ以上の場合、充填層高Lと塔径D
の比L/Dが2〜3以下であれば、押出工程終了時にお
いて、樹脂の膨潤による圧密化は全く生じないことがわ
かった。
【0027】これは下記の理由によると思われる。本発
明では、実施する高流速逆洗工程で形成された固定層を
維持する程度の低流速で通薬工程、押出工程を実施する
ため、この強型イオン交換樹脂の膨潤分の体積、強型カ
チオン樹脂で4〜5%の増加分は、樹脂が下方に落下す
る力も作用することによって、塔の横方向でなく下方に
向かっていくため膨潤圧は開放されていくものと考えら
れる。また、その膨潤する体積も強型カチオン樹脂で前
記のように、再生後で4〜5%の増加であり、小さいこ
とにもよろう。
【0028】このため、原水と最初に接触する図1のカ
チオン塔においても、捕捉した懸濁物質は、通薬、押出
工程において上方に移行し易くなっている。弱型カチオ
ン樹脂の場合は、上向流の流れの通薬工程、押出工程に
よって、イオン形は塩形から再生形になるため、体積が
通常20〜25%収縮し、採水時、圧密化傾向にあった
樹脂自体の圧密化もなくなり、樹脂間にすきまが多くな
り、捕捉していた懸濁物質は徐々に上方へと移行してい
く。アニオン塔の場合、懸濁物質の混入はほとんどない
が、強型、弱型アニオン樹脂も同様の傾向となるため、
圧密化が解消され、破砕した樹脂等が徐々に上方へ移行
していく。
【0029】(d)続いて、(a)と同様に高流速逆洗
工程を行い、これらの懸濁物質や、破砕され微細化した
樹脂を一気に不活性樹脂層を通り、上部集水装置から系
外に排出する。(b)、(c)、(d)の工程による懸
濁物質、破砕した微細な樹脂の排出は、図1の強型カチ
オン樹脂単層の場合より、図2の強型、弱型カチオン樹
脂を用いた複層床の方がし易い。これは次の理由によ
る。すなわち、採水時、特に原水が最初に流入する弱型
カチオン樹脂は再生形から塩形へとなっていくため、膨
潤傾向となり、原水中の懸濁物質を捕捉し易いことによ
って、弱型カチオン樹脂の表層から400〜600mm
程度までしか懸濁物質は入り込みにくい。したがって、
大部分は弱型カチオン樹脂で捕捉され、強型カチオン樹
脂へ入り込むのは極くわずかであることによる。前述の
如く、弱型カチオン樹脂5は、塩形から再生形への体積
の収縮が大きく、通薬、押出工程後の再度の高流速逆洗
によって、懸濁物質の排出が更に確実になっているので
ある。
【0030】(e)次いで、上部集水装置から、塔下部
の洗浄排水弁13を開として、又は塔頂部の空気抜弁1
4、洗浄排水弁13を開として、水の下降流を用いて高
流速逆洗で形成された固定層を塔下部に移動させる樹脂
移動工程を行う。この工程はフリーボードが小さいた
め、0.5〜2分程度で終了するので、空気抜弁14と
洗浄排水弁13を開としてゆっくり行う方が好ましい。
空気抜弁14を開として行った場合は、その後塔内の満
水工程が必要になる。
【0031】(f)最後の工程として、原水流入弁8、
洗浄排水弁13を開として通常の洗浄を行い、規定水
質、時間で再生を終了する。また、本発明においては、
特にカチオン塔において生じ易いが、懸濁物質等がかな
りの量樹脂層に入り込み、採水時の圧力損失の増大や、
通薬・押出工程での再生剤不均一分散等が生じた場合の
対策として、次のような方法を採用している。すなわ
ち、表層よりかなり深いところまで懸濁物質が入り込ん
だ場合、図1の強型カチオン樹脂4単層の場合は、採水
終了後の塩形の樹脂体積の最も小さい条件で、フリーボ
ードが最も大きくなった条件下で原水又は処理水を用い
て高流速逆洗を2〜3分間行い、続いて、形成された固
定層への通水を止め、樹脂を自由沈降させて樹脂と懸濁
物質との分離を促進させる5〜15分間の沈整工程を繰
り返して、懸濁物質を排出していくのである。
【0032】図2の複層床の場合は、再生前、再生後の
どちらでもよいが、好ましくはトータルとして全樹脂の
体積が小さくなる再生後に処理水を用いて同様に行うの
がよい。これは弱型イオン交換樹脂の体積は、再生形で
最も小さくなるからである。すなわち、通常再生レベル
の通薬、押出終了後、2〜10分間の沈整工程を行い、
2〜3分間の高流速逆洗を繰り返す通常カチオン塔で3
回程度でよい。アニオン塔は、懸濁物質の混入が通常ほ
とんどないので、カチオン塔のような頻度で行われなく
てもよい。本操作のあとは、再度通常再生を行い、トー
タルとして2〜2.5倍量の再生レベルとなるようにす
ると安定した処理水が得られる。このような高流速逆洗
工程と沈整工程の繰り返しにより、異常時の対策も本発
明では実施できるのである。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 内径1300φ×3200H(胴長)のイオン交換塔の
大部室に強型カチオン樹脂としてHCR−W2をR−H
形で2780mm層高となるように充填した。 上下の集水装置 : ノズル付き多孔板方式 フリーボード : 再生形に対して、220mm(6.8%)、 採水終了後、370〜390mm(14.2〜15.0 %)、 不活性樹脂 : ポリプロピレン製2.5〜3.5mmφ、 再生レベル : 29.5g/リットル−R(強型カチオン樹脂R−Na )、100%HCl、
【0034】 原 水 : 河川水 凝集ろ過水 処理濃度:0.5度以下 表2に原水のイオン組成を示す。
【表2】
【0035】表3に再生工程(カチオン塔)の再生条件
を示す。
【表3】 注)樹脂移動工程:空気抜弁開として行った。
【0036】 〔結 果〕 1)採水時間: 19.1時間、採水 30m3 /h、 2)採水量: 572.5m3 /c アニオン塔出口 エンドポイント:5μS/cm 3)再生効率: 75% 4)処理水質: 0.2〜5.0μS/cm 5)再生時間: 約78分 6)圧力損失の上昇は10サイクル目でも認められなかった。
【0037】実施例2 内径1200φ×2500H(胴長)のイオン交換塔に
強型カチオン樹脂としてダウエックス650CをR−H
形で1200mm、その上に弱型カチオン樹脂、レバチ
ットCNP80をR−H形で750mm充填し、表2の
原水を通水した。 上下の集水装置: ノズル付多孔板方式 フリーボード: 350mm 弱型カチオン樹脂再生形 1350mm 強型カチオン樹脂再生形 750mm この時のフリーボード% 16.7% 1サイクル採水終了後の層高 弱型カチオン樹脂 810mm 強型カチオン樹脂 1310mm この時のフリーボード% 16.5% 再生剤量: 100%HCl 85kg 不活性樹脂: ポリプロピレン製 2.5〜3.5mmφ、200mm
【0038】表4に再生工程の再生条件を示す。
【表4】
【0039】 〔結 果〕 1)採水時間 : 19時間、採水 30m3 /h、 2)採水量 : 570m3 /c アニオン塔出口 エンドポイント:5μS/cm 3)再生効率 : 88.1% 4)処理水質 : 0.2〜5.0μS/cm 5)再生時間 : 約80分 6)圧力損失の上昇は10サイクル目でも認められなかった。
【0040】実施例3 実施例2のイオン交換塔を用い、原水に河川底泥の懸濁
物質を濁度として0.5度〜2度の範囲で注入した。実
施例2と同一の方法で再生した。また10サイクル毎に
塩酸通薬前に処理水を用い、高流速逆洗工程2分間と通
水を停止し、樹脂を自由に落下させる沈整工程、5分間
を2回繰り返す懸濁物質の排出を行う特別再生を行っ
た。特別再生の再生剤量は通常時と同一とした。
【0041】 〔結 果〕 1)採水時間 : 18.8時間、採水 30m3 /h、 2)採水量 : 565m3 アニオン塔出口 エンドポイント:5μS/cm 3)再生効率 : 87.3% 4)処理水質 : 0.2〜5.0μS/cm 5)再生時間 : 通常時 約80分間、特別再生時 約105分 6)圧力損失の上昇はサイクルが進んでも見られなかった。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば従来の下降流通水・上昇
流通薬を行う向流式イオン交換塔の持つ欠点、すなわち
再生時間の延長、再生廃液量の増加、逆洗に伴う諸問題
の発生、強・弱樹脂の混合、及び装置・再生操作の複雑
化、再生コストの増加等が解決できる。その結果、シン
プルでコンパクトなイオン交換装置、及び簡単で短時間
に終了する再生方法を提供でき、良好な処理水質を安価
にかつ安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の再生方法に用いる強型イオン交換樹脂
の単層のイオン交換塔の概略図。
【図2】本発明の再生方法に用いる強型と弱型イオン交
換樹脂の複層床のイオン交換塔の概略図。
【図3】中間集水方式を用いた従来法のイオン交換塔の
概略図。
【符号の説明】
1:イオン交換塔、2:上部集水装置、3:下部集水装
置、4:強型イオン交換樹脂、5:弱型イオン交換樹
脂、6:フリーボード、7:不活性樹脂、8:原水流入
弁、9:再生排水流出弁、10:処理水流出弁、11:
逆洗水流入弁、12:再生剤兼押出水流入弁、13:洗
浄排水弁、14:空気抜弁、15:不活性樹脂量調整
弁、16:強型イオン交換樹脂量調整弁、17:弱型イ
オン交換樹脂量調整弁、18:加圧水又は加圧空気導入
弁、19:上部逆洗水弁、20:中間集水装置、21:
逆洗排水弁、22:非有効樹脂、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 49/00 C02F 1/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換塔の上下に集水装置を設け、
    下部集水装置の上部にイオン交換樹脂を充填し、更にそ
    の上部に採水終了時のイオン交換樹脂の5〜25%のフ
    リーボードを介してイオン交換樹脂より大粒径で且つ、
    イオン交換樹脂を保持できる大きさで比重が1.0より
    小さい不活性樹脂を充填した下降流通水・上昇流通薬を
    行う向流式イオン交換塔の再生方法において、下記
    (a)〜(f)の工程を順次行い樹脂を再生することを
    特徴とする向流式イオン交換塔の再生方法。 (a)、塔下部に設けた下部集水装置からの高流速逆洗
    によりイオン交換樹脂の大部分を不活性樹脂に押しつ
    け、通水時に蓄積した懸濁物質を不活性樹脂を経由して
    塔上部に設けた上部集水装置から排出除去すると共に、
    イオン交換樹脂の固定層を形成する高流速逆洗工程、
    (b)、高流速逆洗工程より低速で、(a)工程で形成
    された固定層を維持するに必要な流速で再生剤を下部集
    水装置から上昇流で通薬する通薬工程、(c)、大部分
    の前記固定層を維持できる流速で下部集水装置から処理
    水を上昇流で通水し、残留する再生剤を有効に利用する
    押出工程、(d)、再度前記(a)工程を行い懸濁物質
    を上部集水装置から排出する工程、(e)、上部集水装
    置から塔下部の洗浄排水弁を開とするか、又は塔頂部の
    空気抜弁と塔下部の洗浄排水弁を開として、水の下降流
    を用いて前記形成された固定層を塔下部に移動させる樹
    脂移動工程、(f)、上部集水装置から下降流で通水し
    て樹脂を洗浄する洗浄工程。
  2. 【請求項2】 前記の再生処理及び採水処理の一定頻度
    毎に、採水終了後、又は前記(c)の押出工程終了後
    に、前記(a)工程と、通水を停止し樹脂を自由に落下
    させる沈整工程を繰り返して、蓄積した懸濁物質を不活
    性樹脂層を経由して上部集水装置から排出除去する工程
    を行うことを特徴とする請求項1記載の向流式イオン交
    換塔の再生方法。
  3. 【請求項3】 前記不活性樹脂はイオン交換樹脂の有効
    径の2〜8倍の粒径のものを使用し、不活性樹脂層高を
    100〜400mmにすることを特徴とする請求項1又
    は2記載の向流式イオン交換塔の再生方法。
  4. 【請求項4】 前記イオン交換樹脂は、強酸性カチオン
    交換樹脂単床、強酸性カチオン交換樹脂と弱酸性カチオ
    ン交換樹脂の複層床、強塩基性アニオン交換樹脂単床、
    強塩基性アニオン交換樹脂と弱塩基性アニオン交換樹脂
    の複層床のいずれかを充填することを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の向流式イオン交換塔の再生方法。
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