JP2004167299A - Co低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高温耐久後においてもCOとH2の共存するガスからCOを選択的に低減し得るCO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムを提供すること。
【解決手段】CO低減触媒は、銅とアルミナとアルミナのα化抑制能を有する酸素吸蔵材を含有して成る。
CO低減触媒の製造方法は、上述の如きCO低減触媒を製造する方法であって、まず、アルミナにマグネシウム、ランタン等の所定酸素吸蔵材を担持し、その後に銅を担持する。
排気ガス浄化システムは、上述の如きCO低減触媒とNOx浄化触媒を排気ガス流路に設置したものであり、該CO低減触媒を排気ガス流路の上流側に、NOx浄化触媒をその下流側に配置して成る。
【選択図】 なし
【解決手段】CO低減触媒は、銅とアルミナとアルミナのα化抑制能を有する酸素吸蔵材を含有して成る。
CO低減触媒の製造方法は、上述の如きCO低減触媒を製造する方法であって、まず、アルミナにマグネシウム、ランタン等の所定酸素吸蔵材を担持し、その後に銅を担持する。
排気ガス浄化システムは、上述の如きCO低減触媒とNOx浄化触媒を排気ガス流路に設置したものであり、該CO低減触媒を排気ガス流路の上流側に、NOx浄化触媒をその下流側に配置して成る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムに係り、更に詳細には、少なくとも一酸化炭素(CO)と水素(H2)の共存するガスからCOを選択的に除去してCO濃度を低減する触媒、その製造方法及び該CO低減触媒を用いた排気ガス浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、COとH2の共存するガスからCOを浄化する触媒が種々提案されており、例えば燃料改質用触媒では、COシフト反応を起こす触媒として銅−亜鉛系触媒などが知られている。
更に、特開2001−234737号公報には、排気ガスの(H2濃度/全還元性ガス濃度)をH2濃度が大となる所定値に制御することにより、排気ガス温度が300℃より高温のときに有用な、排気ガス浄化触媒が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のCO浄化触媒にあっては、高温耐久後においても浄化性能を維持できるものは見当たらない。
また、上記排気ガス浄化触媒においても、排気ガス温度300℃以下における(H2濃度/全還元性ガス濃度)の制御が十分とは言えず、更なる改良の余地があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高温耐久後においてもCOとH2の共存するガスからCOを選択的に低減し得るCO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、銅とアルミナのα化抑制能を有する所定の酸素吸蔵材を併用することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明のCO低減触媒は、銅と、アルミナと、アルミナのα化抑制能を有し塩基性酸化物を形成し得る元素を含有するの酸素吸蔵材、を含む。
また、本発明のCO低減触媒の製造方法は、上述の如きCO低減触媒を製造する方法であって、まず、アルミナにマグネシウム及び/又はランタン等の所定の酸素吸蔵材を担持し、その後に銅を担持する方法である。
更に、本発明の排気ガス浄化システムは、上述の如きCO低減触媒とNOx浄化触媒を排気ガス流路に設置したものであり、該CO低減触媒を排気ガス流路の上流側に、NOx浄化触媒をその下流側に配置して成るシステムである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のCO低減触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0008】
上述の如く、本発明のCO低減触媒は、銅(Cu)と、アルミナと、アルミナのα化抑制能を有する酸素吸蔵材を含有する。
まず、アルミナとしては、原則としてγ−アルミナを用いる。これは、アルミナは高温における耐久後にα−アルミナに相変態(α化)してしまうと表面積が著しく低下すると考えられており、銅によってCOを効率よく低減するためにはアルミナの表面積低下を抑制すべく、α−アルミナ以外のアルミナを使用することが望ましいからである。
なお、高温耐久としては、600℃以上で50時間、更には700℃以上で50時間の連続使用を挙げることができ、代表的には、エンジン単体の耐久試験における750℃で50時間などの連続使用を例示できる。
【0009】
また、OSC材としては、α化抑制能と酸素吸蔵能(OSC能)を有しているものを用いる。
ここで、アルミナのα化抑制能とは、上述のような高温耐久による、アルミナのα化を抑える能力をいう。本発明では、かかるOSC材としてマグネシウム(Mg)及びランタン(La)の一方又は双方を好適に用いることができる。
なお、マグネシウム及び/又はランタンは塩基性酸化物を形成可能であり、場合によっては、それぞれアルミネートを形成して、アルミナのα化抑制に寄与することがある。
【0010】
ところで、銅自体はCOシフト反応を促進するものとして知られているが、銅と上記OSC材との併用はあまり試みられていない。
本発明は、α化抑制能を有する上記のOSC材と銅を積極的に併用したものであり、前者が不存在の場合には、図1に示すように、COは触媒表面のCuにのみ吸着するに過ぎないが、両者を併用すると、COは上記塩基性OSC材中の酸素原子にも吸着するようになる(図2参照)ことを利用してCO吸着能を向上させている。
【0011】
これにより、例えば自動車の排気ガス浄化システムにおいては、排気ガス雰囲気を一時的に短時間リッチ状態にする(以下、「リッチスパイクを入れる」という)ことがあるが、この際に多目に存在するCOを効果的に吸着してCO低減を促進することができる。
【0012】
また、本発明のCO低減触媒においては、図2にも示したように、銅は上記耐久後においても銅−アルミネートの形態で存在していることが望ましい。
これは、銅が酸化銅(II)や酸化銅(I)などの結晶構造をとると、表面積が著しく低下すると考えられ、銅−アルミネートの形で存在することで、銅の表面積低下を抑制するとともに、アルミナとの化合物を形成してアルミナを不動態化し、上記α化抑制を助長することにより、CO低減性能を十分に発揮し得るからである。
【0013】
また、本発明のCO低減触媒には、白金(Pt)を含有させることも可能である。銅自体はCOシフト反応を促進することが知られており、吸着したCOが例えばマグネシウム及びランタンの一方又は双方の化合物などの上記塩基性OSC材の酸素とも反応して吸着能がいっそう向上することを上述したが(図3参照)、そこに白金が共存すると吸着したCOが二酸化炭素(CO2)に転換され易いと考えられ、これにより、リッチスパイクの時の(残H2量/残CO量)で示される選択性を高めることができる。
【0014】
なお、本発明のCO低減触媒を自動車の排気ガスの浄化触媒として使用するときは、このCO低減触媒は一体構造型担体、例えばコーディエライトなどのセラミックスやフェライト系ステンレスなどの金属等の耐熱性材料から成るモノリス担体に被覆して用いられる。
【0015】
次に、本発明のCO低減触媒の製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、アルミナにマグネシウム及びランタンの一方又は双方を先に含浸担持し、次いで銅を含浸担持する。
一般的には、同時に含浸する共含浸か、銅−アルミネートの形成を促進するために銅を先に含浸する。しかし、銅が先であると銅−アルミネートを形成する過程で、そのアルミナのα化が生じてしまうことがある。
そこで、マグネシウム及びランタンの一方又は双方を先に担持し、次いで銅を担持したところ、銅−アルミネートを形成する過程でもα化が起きず、マグネシウム及びランタンにはアルミナの結晶化を抑制する作用があると推定するに至った。よって、本発明の製造方法では、マグネシウム及びランタンの一方又は双方、銅の順序で逐次含浸担持を行う。
【0016】
次に、本発明の排気ガス浄化システムについて説明する。
本発明の排気ガス浄化システムは、上述したCO低減触媒と窒素酸化物(NOx)浄化触媒をこの順番で排気ガス流路に対して直列に配置して構築される。
かかるNOx浄化触媒としては、アルミナ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属及びこれの任意の混合物と白金、パラジウム又はロジウム及びこれらの任意の混合物とを含有するNOx吸着型触媒と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、ガリウム、ランタン、セリウム、亜鉛、チタン、カルシウム、バリウム又は銀及びこれの任意の混合物とを含有するNOx選択還元型触媒と、少なくともロジウムを含有し、活性温度が260〜380℃である触媒のいずれか又は組合せを用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。
【0018】
(実施例1)
硝酸銅と硝酸マグネシウムを溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu、Mg担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。
このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層250g/Lの本例のCO低減触媒を得た。なお、この触媒には、MgOが5.8g/L,CuOが46g/L含まれている(Cuのモル数の1/2としてMg原子を入れた)。
【0019】
(実施例2)
硝酸マグネシウムの代わりに硝酸ランタンを用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のCO低減触媒を得た。なお、この触媒には、La2O3が47g/L,CuOが46g/L含まれている(Cuのモル数の1/2としてLa原子を入れた)。
【0020】
(実施例3)逐次担持
硝酸ランタンを溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、La担持アルミナ粉末を得た。この粉末に、硝酸銅を溶解した水溶液を含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu、La担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。
このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層330g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるLa2O3及びCuO量は、実施例2と同様であった。
【0021】
(実施例4)
実施例1で得られたCu、Mg担持アルミナ粉末に、更にジニトロジアミノ白金硝酸溶液を含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、白金Pt担持Cu−Mg−アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層320g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるMgO及びCuO量は実施例1と同様であった。またPt量は、6.0g/Lであった。
【0022】
(実施例5)
実施例2で得られたCu、La担持アルミナ粉末に、更にジニトロジアミノ白金硝酸溶液を含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持Cu−La−アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層320g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるLa2O3及びCuO量は実施例2と同様であった。またPt量は、実施例4と同様であった。
【0023】
(比較例1)
硝酸銅を溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層250g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるCuO量は50g/Lであった。
【0024】
[性能評価]
次に示すモデルガス条件で、リッチに切り替えた直後から10秒間における各成分の量とした。なお、表1中の「残CO量」及び「残H2量」は下記の式から求めた。
(残CO量)=(10秒間の触媒出口CO濃度の積算)(単位:%sec)
また、COガスの分析には、堀場製作所自動車排ガス分析計MEXA−6000を用いた。
(残H2量)=(10秒間の触媒出口H2濃度)(単位:%sec)
H2ガスの分析には、10分間排気ガスのバッグサンプリングを行い、日立(株)製ガスクロマトグラフィーにて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1より、本発明の範囲に属する実施例1〜5のCO低減触媒は、本発明外の比較例1のCO低減触媒より(残H2量/残CO量)で示される選択性が優れていることが分かる。実施例1〜5のCO低減触媒は、高いCO低減能とH2透過能を有することが明らかである。
また、現時点では、Ptが存在しない場合にはMg添加する実施例1が優れ、これにPtを加え選択性を加速したという観点から、実施例4が最も良好な結果をもたらすものと思われる。
【0027】
以上、本発明を若干の実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施例では自動車用排気ガス浄化触媒を例にとって説明したが、本発明のCO低減触媒の用途はこれに限定されるものではなく、本発明のCO低減触媒は、いわゆる改質ガス中のCO低減にも適用することができ、この観点からからは、燃料電池の電極触媒としても使用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、銅とアルミナのα化抑制能を有する所定の酸素吸蔵材を併用することなどとしたため、高温耐久後においてもCOとH2の共存するガスからCOを選択的に低減し得るCO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
【図2】本発明のCO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
【図3】マグネシウム又はランタンを用いた本発明のCO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、CO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムに係り、更に詳細には、少なくとも一酸化炭素(CO)と水素(H2)の共存するガスからCOを選択的に除去してCO濃度を低減する触媒、その製造方法及び該CO低減触媒を用いた排気ガス浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、COとH2の共存するガスからCOを浄化する触媒が種々提案されており、例えば燃料改質用触媒では、COシフト反応を起こす触媒として銅−亜鉛系触媒などが知られている。
更に、特開2001−234737号公報には、排気ガスの(H2濃度/全還元性ガス濃度)をH2濃度が大となる所定値に制御することにより、排気ガス温度が300℃より高温のときに有用な、排気ガス浄化触媒が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のCO浄化触媒にあっては、高温耐久後においても浄化性能を維持できるものは見当たらない。
また、上記排気ガス浄化触媒においても、排気ガス温度300℃以下における(H2濃度/全還元性ガス濃度)の制御が十分とは言えず、更なる改良の余地があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高温耐久後においてもCOとH2の共存するガスからCOを選択的に低減し得るCO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、銅とアルミナのα化抑制能を有する所定の酸素吸蔵材を併用することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明のCO低減触媒は、銅と、アルミナと、アルミナのα化抑制能を有し塩基性酸化物を形成し得る元素を含有するの酸素吸蔵材、を含む。
また、本発明のCO低減触媒の製造方法は、上述の如きCO低減触媒を製造する方法であって、まず、アルミナにマグネシウム及び/又はランタン等の所定の酸素吸蔵材を担持し、その後に銅を担持する方法である。
更に、本発明の排気ガス浄化システムは、上述の如きCO低減触媒とNOx浄化触媒を排気ガス流路に設置したものであり、該CO低減触媒を排気ガス流路の上流側に、NOx浄化触媒をその下流側に配置して成るシステムである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のCO低減触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0008】
上述の如く、本発明のCO低減触媒は、銅(Cu)と、アルミナと、アルミナのα化抑制能を有する酸素吸蔵材を含有する。
まず、アルミナとしては、原則としてγ−アルミナを用いる。これは、アルミナは高温における耐久後にα−アルミナに相変態(α化)してしまうと表面積が著しく低下すると考えられており、銅によってCOを効率よく低減するためにはアルミナの表面積低下を抑制すべく、α−アルミナ以外のアルミナを使用することが望ましいからである。
なお、高温耐久としては、600℃以上で50時間、更には700℃以上で50時間の連続使用を挙げることができ、代表的には、エンジン単体の耐久試験における750℃で50時間などの連続使用を例示できる。
【0009】
また、OSC材としては、α化抑制能と酸素吸蔵能(OSC能)を有しているものを用いる。
ここで、アルミナのα化抑制能とは、上述のような高温耐久による、アルミナのα化を抑える能力をいう。本発明では、かかるOSC材としてマグネシウム(Mg)及びランタン(La)の一方又は双方を好適に用いることができる。
なお、マグネシウム及び/又はランタンは塩基性酸化物を形成可能であり、場合によっては、それぞれアルミネートを形成して、アルミナのα化抑制に寄与することがある。
【0010】
ところで、銅自体はCOシフト反応を促進するものとして知られているが、銅と上記OSC材との併用はあまり試みられていない。
本発明は、α化抑制能を有する上記のOSC材と銅を積極的に併用したものであり、前者が不存在の場合には、図1に示すように、COは触媒表面のCuにのみ吸着するに過ぎないが、両者を併用すると、COは上記塩基性OSC材中の酸素原子にも吸着するようになる(図2参照)ことを利用してCO吸着能を向上させている。
【0011】
これにより、例えば自動車の排気ガス浄化システムにおいては、排気ガス雰囲気を一時的に短時間リッチ状態にする(以下、「リッチスパイクを入れる」という)ことがあるが、この際に多目に存在するCOを効果的に吸着してCO低減を促進することができる。
【0012】
また、本発明のCO低減触媒においては、図2にも示したように、銅は上記耐久後においても銅−アルミネートの形態で存在していることが望ましい。
これは、銅が酸化銅(II)や酸化銅(I)などの結晶構造をとると、表面積が著しく低下すると考えられ、銅−アルミネートの形で存在することで、銅の表面積低下を抑制するとともに、アルミナとの化合物を形成してアルミナを不動態化し、上記α化抑制を助長することにより、CO低減性能を十分に発揮し得るからである。
【0013】
また、本発明のCO低減触媒には、白金(Pt)を含有させることも可能である。銅自体はCOシフト反応を促進することが知られており、吸着したCOが例えばマグネシウム及びランタンの一方又は双方の化合物などの上記塩基性OSC材の酸素とも反応して吸着能がいっそう向上することを上述したが(図3参照)、そこに白金が共存すると吸着したCOが二酸化炭素(CO2)に転換され易いと考えられ、これにより、リッチスパイクの時の(残H2量/残CO量)で示される選択性を高めることができる。
【0014】
なお、本発明のCO低減触媒を自動車の排気ガスの浄化触媒として使用するときは、このCO低減触媒は一体構造型担体、例えばコーディエライトなどのセラミックスやフェライト系ステンレスなどの金属等の耐熱性材料から成るモノリス担体に被覆して用いられる。
【0015】
次に、本発明のCO低減触媒の製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、アルミナにマグネシウム及びランタンの一方又は双方を先に含浸担持し、次いで銅を含浸担持する。
一般的には、同時に含浸する共含浸か、銅−アルミネートの形成を促進するために銅を先に含浸する。しかし、銅が先であると銅−アルミネートを形成する過程で、そのアルミナのα化が生じてしまうことがある。
そこで、マグネシウム及びランタンの一方又は双方を先に担持し、次いで銅を担持したところ、銅−アルミネートを形成する過程でもα化が起きず、マグネシウム及びランタンにはアルミナの結晶化を抑制する作用があると推定するに至った。よって、本発明の製造方法では、マグネシウム及びランタンの一方又は双方、銅の順序で逐次含浸担持を行う。
【0016】
次に、本発明の排気ガス浄化システムについて説明する。
本発明の排気ガス浄化システムは、上述したCO低減触媒と窒素酸化物(NOx)浄化触媒をこの順番で排気ガス流路に対して直列に配置して構築される。
かかるNOx浄化触媒としては、アルミナ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属及びこれの任意の混合物と白金、パラジウム又はロジウム及びこれらの任意の混合物とを含有するNOx吸着型触媒と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、ガリウム、ランタン、セリウム、亜鉛、チタン、カルシウム、バリウム又は銀及びこれの任意の混合物とを含有するNOx選択還元型触媒と、少なくともロジウムを含有し、活性温度が260〜380℃である触媒のいずれか又は組合せを用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。
【0018】
(実施例1)
硝酸銅と硝酸マグネシウムを溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu、Mg担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。
このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層250g/Lの本例のCO低減触媒を得た。なお、この触媒には、MgOが5.8g/L,CuOが46g/L含まれている(Cuのモル数の1/2としてMg原子を入れた)。
【0019】
(実施例2)
硝酸マグネシウムの代わりに硝酸ランタンを用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のCO低減触媒を得た。なお、この触媒には、La2O3が47g/L,CuOが46g/L含まれている(Cuのモル数の1/2としてLa原子を入れた)。
【0020】
(実施例3)逐次担持
硝酸ランタンを溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、La担持アルミナ粉末を得た。この粉末に、硝酸銅を溶解した水溶液を含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu、La担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。
このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層330g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるLa2O3及びCuO量は、実施例2と同様であった。
【0021】
(実施例4)
実施例1で得られたCu、Mg担持アルミナ粉末に、更にジニトロジアミノ白金硝酸溶液を含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、白金Pt担持Cu−Mg−アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層320g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるMgO及びCuO量は実施例1と同様であった。またPt量は、6.0g/Lであった。
【0022】
(実施例5)
実施例2で得られたCu、La担持アルミナ粉末に、更にジニトロジアミノ白金硝酸溶液を含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持Cu−La−アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層320g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるLa2O3及びCuO量は実施例2と同様であった。またPt量は、実施例4と同様であった。
【0023】
(比較例1)
硝酸銅を溶解した水溶液を市販のγ−アルミナ(表面積:約200m2/g)に含浸し、乾燥後空気中600℃で1時間焼成して、Cu担持アルミナ粉末を得た。この粉末とあらかじめ用意したゾル(粉末に対して2%の水酸化アルミナと硝酸水溶液)を磁性ボールミルに入れ、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコーディエライト質モノリス担体(容量:0.12L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃乾燥した後、600℃で1時間焼成し、コート層250g/Lの本例のCO低減触媒を得た。含有されるCuO量は50g/Lであった。
【0024】
[性能評価]
次に示すモデルガス条件で、リッチに切り替えた直後から10秒間における各成分の量とした。なお、表1中の「残CO量」及び「残H2量」は下記の式から求めた。
(残CO量)=(10秒間の触媒出口CO濃度の積算)(単位:%sec)
また、COガスの分析には、堀場製作所自動車排ガス分析計MEXA−6000を用いた。
(残H2量)=(10秒間の触媒出口H2濃度)(単位:%sec)
H2ガスの分析には、10分間排気ガスのバッグサンプリングを行い、日立(株)製ガスクロマトグラフィーにて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1より、本発明の範囲に属する実施例1〜5のCO低減触媒は、本発明外の比較例1のCO低減触媒より(残H2量/残CO量)で示される選択性が優れていることが分かる。実施例1〜5のCO低減触媒は、高いCO低減能とH2透過能を有することが明らかである。
また、現時点では、Ptが存在しない場合にはMg添加する実施例1が優れ、これにPtを加え選択性を加速したという観点から、実施例4が最も良好な結果をもたらすものと思われる。
【0027】
以上、本発明を若干の実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施例では自動車用排気ガス浄化触媒を例にとって説明したが、本発明のCO低減触媒の用途はこれに限定されるものではなく、本発明のCO低減触媒は、いわゆる改質ガス中のCO低減にも適用することができ、この観点からからは、燃料電池の電極触媒としても使用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、銅とアルミナのα化抑制能を有する所定の酸素吸蔵材を併用することなどとしたため、高温耐久後においてもCOとH2の共存するガスからCOを選択的に低減し得るCO低減触媒、その製造方法及び排気ガス浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
【図2】本発明のCO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
【図3】マグネシウム又はランタンを用いた本発明のCO低減触媒におけるCOの吸着状態を示す模式図である。
Claims (6)
- 銅、アルミナ及びアルミナのα化抑制能を有する酸素吸蔵材を含有して成るCO低減触媒であって、
上記酸素吸蔵材が塩基性酸化物を形成する元素を含有することを特徴とするCO低減触媒。 - 上記塩基性酸化物を形成する元素がマグネシウム及び/又はランタンであることを特徴とする請求項1に記載のCO低減触媒。
- 更に白金を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のCO低減触媒。
- 銅を銅−アルミネートとして含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のCO低減触媒。
- 請求項1〜4に記載のCO低減触媒を製造するに当たり、アルミナに上記塩基性酸化物を形成する元素を担持し、次いで銅を担持することを特徴とするCO低減触媒の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のCO低減触媒と、NOx浄化触媒をこの順番で排気ガス流路に対して直列に配置して成ることを特徴とする排気ガス浄化システム。
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JP2013528491A (ja) * | 2010-06-14 | 2013-07-11 | エスケー イノベーション カンパニー リミテッド | バイオマス由来ポリオールの水相改質用触媒及びその製造方法 |
JP2014069151A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Daihatsu Motor Co Ltd | 排ガス浄化用触媒 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333233A patent/JP2004167299A/ja active Pending
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