JP2004166106A - 距離測定補正システム、距離測定装置および距離測定補正装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スイッチ部13を通じて、予め決めたリファレンスチャンネル(基準音声チャンネル)と、他の1つの音声チャンネルを通じてテスト信号発生器16からのテスト信号を供給し、これに接続されたスピーカからテスト音声を放音させて測定用マイクロホンMicで収音し、この収音信号を測定装置が取り込み、ピーク検出計算部24において、ピーク検出を行い、2つのスピーカからのテスト信号の伝搬時間の時間差を求め、音響出力装置1の遅延部14の該当する音声チャンネルの遅延回路の遅延量を制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)装置などで再生されるマルチチャンネルの音声信号を聴取できるようにするマルチチャンネル音響再生環境下において、リファレンス信号を用いずに、測定用マイクロホンからの信号のみで、各スピーカからリスニングポジション(聴取位置)までの距離の相対値を測定し、各チャンネルの音声信号の遅延時間を適正に自動調整できるようにする距離測定補正システム、距離測定補正装置および距離測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、DVDなどをソースとした、マルチチャンネル音響出力装置において、一般的には、その各々の音声チャンネルごとの音響特性を測定するには、各音声チャンネル個々に、テストトーンと呼ばれるピンクノイズやホワイトノイズを再生し、それを、ユーザの耳で確認し、各チャンネルのレベル差を、ユーザがリモコンなどを用いて手動で調整することが行われている。
【0003】
また、高級なAV(Audio and Visual)アンプ装置などでは、リスニングポジションに測定用マイクロホンを置き、AVアンプ装置内部にテストトーンジェネレータを用意し、各音声チャンネル単位で、テストトーンを再生し、それを、測定用マイクロホンで収音し、その信号を取り込み、元のテストトーンをリファレンス信号として用いて、高速フーリエ変換(以下、この明細書においてはFFTと略称する。)等で解析し、自動的に、距離の差を調整する機能を持つものも提供されている。
【0004】
なお、後者のAVアンプ装置等に音響特性の測定補正機能を持たせるようにする技術に関連する技術として、特許文献1に記載された音響特性測定装置や、特許文献2に記載された伝達関数測定装置や、特許文献3に記載された遅延時間測定方法及び装置等がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−184488号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平8−184624号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平8−194027号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した前者の方法であるユーザが自分の耳で確認し調整する方法の場合には、手間や時間がかかり、また、正確に調整することが難しく、AVアンプ装置などのマルチチャンネル音響出力装置の操作に不慣れなユーザにとっては面倒な作業となってしまう。
【0009】
また、上述した後者の方法であるAVアンプ装置等のマルチチャンネル音響出力装置に音響特性の測定補正機能を持たせるようにする方法の場合、測定の解析には、リファレンス信号を用いなければいけない。その場合、測定装置が、AVアンプ装置などのマルチチャンネル音響出力装置と分離している場合、測定用マイクロホンからの信号のほかに、リファレンス信号をマルチチャンネル音響出力装置から取り込む必要がある。
【0010】
このため、測定装置がテストトーンを発生させ、AVアンプ装置等のマルチチャンネル音響出力装置に供給する構成も考えられるが、この場合には、供給経路におけるテストトーンの遅延時間を正確に把握していないと、その後の解析を正確に行うことができない場合がある。
【0011】
また、AVアンプ装置等のマルチチャンネル音響出力装置に測定装置の機能を搭載することも考えられるが、そもそもリファレンス信号を用いることなく、正確に各スピーカと聴取者との距離を把握することができれば、音響システムを柔軟に構築することができる。
【0012】
以上のことにかんがみ、この発明は、リファレンス信号を用いることなく、スピーカと聴取位置との位置関係を正確に把握し、各音声チャンネルの遅延時間を適正に自動調整することができる距離測定補正システム、距離測定装置および距離測定補正装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の距離測定補正システムは、複数の音声チャンネルを備えた音響出力装置と、聴取位置に配置されるマイクロホンからの収音音声の供給を受けて、前記音響出力装置の複数の前記音声チャンネルのそれぞれに接続されたスピーカの距離測定を行う測定装置とからなる距離測定補正システムであって、
前記音響出力装置は、
基準音声チャンネルと、他の音声チャンネルとを選択し、選択した音声チャンネルを通じてテスト信号を出力するようにするとともに、前記他の音声チャンネルを所定期間ごとに他の音声チャンネルに切り換えるようにする切り換え手段と、
前記測定装置からの距離パラメータの供給を受けて、前記複数の音声チャンネルごとに音声信号の遅延時間を制御する遅延手段と
を備え、
前記測定装置は、
前記マイクロホンにより収音した前記基準音声チャンネルのスピーカからの音声と前記他の音声チャンネルのスピーカからの音声とを含む測定信号に基づいて、聴取位置に対する測定対象のスピーカの相対的な距離を求めるようにする距離測定手段と、
前記距離測定手段の測定結果に基づいて、前記他の音声チャンネルに対する距離パラメータを形成し、これを前記前記音響出力装置に供給するようにするパラメータ形成手段と
を備えることを特徴とする。
【0014】
この請求項1に記載の発明の距離測定補正システムによれば、音響出力装置は複数の音声チャンネルを備えており、切り換え手段により、定められた基準音声チャンネルと、他の音声チャンネルを通じてテスト信号が出力するようにされるとともに、基準音声チャンネル以外の他の音声チャンネルは所定期間ごとに順次に他の音声チャンネルに切り換えられるようにされる。
【0015】
選択された音声チャンネルからの出力音声は、聴取位置に配置される測定用マイクロホンで収音され、この収音信号が測定信号として測定装置の距離測定手段に供給され、ここで測定対象のスピーカと聴取位置との距離の相対値が求められる。
【0016】
このような処理が、基準音声チャンネルを変えることなく、他の音声チャンネルが順次に変更されて、聴取位置に対する基準音声チャンネルのスピーカとこれ以外の他の全ての音声チャンネルのスピーカとの距離の相対値が求められる。
【0017】
この相対値に基づき、パラメータ形成手段により、音響出力装置の遅延手段に設定する距離パラメータが形成され、これが音響出力装置に提供されて遅延手段の遅延時間が調整(補正)するようにされる。
【0018】
これにより、リファレンス信号自体を距離測定に用いることなく、スピーカから放音されるテスト信号(テストトーン)に応じた音声のみに基づいて、聴取者である使用者の手を煩わせることなく、スピーカと聴取位置との相対的な距離を正確に把握し、各音声チャンネルの遅延時間を適正なものに自動調整することができるようにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明による距離測定補正装置、距離測定補正システム、距離測定装置の一実施の形態について説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
[距離測定補正システムの構成]
図1は、この発明による距離測定補正システムが適用されて形成されたこの第1の実施の形態の距離測定補正システムを説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の距離測定補正システムは、複数の音声チャンネルを有するマルチチャンネル音響出力装置1と測定装置2とからなっている。
【0021】
マルチチャンネル音響出力装置(以下、単に音響出力装置という。)1は、例えばAVアンプ装置などの機器であり、この実施の形態では5.1チャンネルの音声信号に対応することができるものである。また、測定装置2は、この発明による距離測定装置が適用されて構成されたものであり、マイクロホンからの収音信号の供給を受け付けるマイク端子を備えた、例えばパーソナルコンピュータなどの機器である。
【0022】
図1に示すように、音響出力装置1は、マルチチャンネルの音声信号の入力端子11と、デコーダ12と、スイッチ部13と、遅延部14と、増幅部15と、テスト信号発生器16とを備えたものである。そして、スイッチ部13、遅延部14、増幅部15のそれぞれは、図1に示すように、各音声チャンネルに対応して設けられるスイッチ回路131〜136、遅延回路141〜146、増幅回路151〜156を備えたものである。
【0023】
例えば、DVDなどからのマルチチャンネル方式にエンコードされた音声信号は、入力端子11を通じてデコーダ12に供給される。デコーダ12は、これに供給されたマルチチャンネル方式の音声信号をデコードして各音声チャンネルの音声信号に分けて対応する音声チャンネルに出力する。
【0024】
デコーダ12から各音声チャンネルに出力された音声信号は、スイッチ回路131〜136を通じて遅延回路141〜146に供給される。スイッチ回路131〜136のそれぞれは、後述もするように、スピーカとリスニングポジション(聴取位置)との位置関係を測定する場合に、処理対象とするスピーカ(この実施の形態においては選択された2つのスピーカ)のみにテスト信号(テストトーン)を供給するようにするためのオン/オフスイッチである。
【0025】
遅延回路141〜146は、各音声チャンネルのそれぞれの音声信号に対して遅延処理を施し、スピーカとリスニングポジションとの距離感の調整を行うようにするものである。
【0026】
なお、この実施の形態において、音響出力装置1のスイッチ回路131〜136は、後述する測定装置2からの制御信号に基づいて切り換えられるものであり、また、遅延回路141〜146は、測定装置2からの距離パラメータの供給を受けて、これに応じて対応する音声チャンネルの音声信号の遅延時間を調整するものである。
【0027】
そして、遅延回路141〜146のそれぞれから出力される音声信号は、対応する増幅回路151〜156に供給され、ここでレベル調整されて各音声チャンネルに対応するスピーカに供給される。この実施の形態においては、図1に示すように、音響出力装置1の各音声チャンネルには、対応するスピーカSP1〜SP6が接続されている。
【0028】
ここで、スピーカSP1、SP2、SP3、SP4は、聴取者の前方に設置されるスピーカであって、順に、フロントレフトスピーカ(L)、サブウーファー(Sub)、センタースピーカ(C)、フロントライトスピーカ(R)であり、スピーカSP5、SP6は、聴取者の後方に設置されるスピーカであって、順に、リアレフトスピーカ(SL)、リアライトスピーカ(SR)である。なお、リアレフトスピーカ(SL)は、サラウンドレフトスピーカ、リアライトスピーカ(SR)は、サラウンドライトスピーカとも呼ばれる。
【0029】
さらに、音響出力装置1には、図1に示したように、テスト信号発生器16が設けられている。テスト信号発生器16は、テスト時において、所定のテスト信号(テストトーン)を発生させて、各音声チャンネルに供給するものである。テスト信号発生器16は、テスト信号として所定の形状のパルス信号を発生させるものであり、この実施の形態においてはインパルス信号を発生させるものである。
【0030】
そして、テスト時においては、上述もしたように、スイッチ回路131〜136は、後述する測定装置2からの制御信号によって、選択された2つの音声チャンネルを通じてのみテスト信号を出力するように切り換えられる。
【0031】
この実施の形態においては、詳しくは後述もするように、スピーカSP3(センタースピーカ(C))に接続される音声チャンネルをリファレンスチャンネル(基準音声チャンネル)とし、このスピーカSP3に接続される音声チャンネルと、他の1つの音声チャンネルとの2つの音声チャンネルを通じてテスト信号を出力するようにする。
【0032】
また、この実施の形態においては、リファレンスチャンネルであるスピーカSP3に接続された音声チャンネルは変えることなく、リファレンスチャンネルと対になる他の1つの音声チャンネルを順次に変更していくようにし、テスト信号に応じた音声を、必ず基準チャンネルと他の1つの音声チャンネルとの2つの音声チャンネルから放音するようにする。
【0033】
そして、テスト時においては、図1に示すように、各スピーカSP1〜SP6から放音される音声を聴取する位置であるリスニングポジションに、測定用マイクロホンMicが設置される。測定用マイクロホンMicは、測定装置2のマイクロホン接続端子21に接続される。
【0034】
マイクロホン端子21の後段にはマイクアンプ22、A/D変換器23、ピーク検出計算部24が設けられている。マイクアンプ22は、マイクロホンMicからのアナログ収音信号を所定のレベルにまで増幅し、これをA/D変換器23に供給する。A/D変換機23は、これに供給されたアナログ収音信号をデジタル信号に変換し、これをピーク検出計算部24に供給する。
【0035】
ピーク検出計算部24は、これに供給されたデジタル収音信号のピークを検出することによって、リファレンスチャンネルに接続されたスピーカSP3と他の1つの音声チャンネルに接続されたスピーカSP3以外のスピーカとのリスニングポジションに対する相対的な距離を求めて、これに基づき、測定対象の音声チャンネルの遅延回路に対する距離パラメータを形成し、これを音声出力装置1に供給して、遅延部14の該当する遅延回路に設定するようにする。
【0036】
なお、測定装置2のピーク検出計算部24は、テスト中において、測定対象の2つの音声チャンネルの音声信号の遅延時間を変化させることによって、当該測定対象の2つの音声チャンネルに接続されたスピーカの位置関係を正確に検出するようにするとともに、テスト対象の2つの音声チャンネルを選択するために、切り換え制御信号を音声出力装置1のスイッチ部13に供給して、測定対象の音声チャンネルを選択することができるようにしている。
【0037】
すなわち、この実施の形態においては、図1に示したように、測定装置2と音響出力装置1とは、RS232C(Recommended Standard 232C)、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースが用いられて接続され、測定装置2から音響出力装置1を制御することができるようにしている。
【0038】
[距離測定補正処理について]
次に、図1に示したこの第1の実施の形態の距離測定補正システムにおいて行われる距離測定補正処理について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。図2は、この第1の実施の形態の距離測定補正システムにおいて行われる距離測定補正処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0039】
上述もしたように、この第1の実施の形態の距離測定補正システムにおいては、センタースピーカSP3に接続される音声チャンネル(センターチャンネルCch)をリファレンスチャンネル(基準音声チャンネル)とする。
【0040】
ここで、センターチャンネル以外の各音声チャンネルは、スピーカSP1に接続される音声チャンネルをフロントレフトチャンネル(Lch)とし、スピーカSP2に接続される音声チャンネルをサブウーファーチャンネル(Subch)とし、スピーカSP4に接続される音声チャンネルをフロントライトチャンネル(Rch)とする。また、スピーカSP5に接続される音声チャンネルをリアレフトチャンネル(SLch)とし、スピーカSP6に接続される音声チャンネルをリアライトチャンネル(SRch)と示すこととする。
【0041】
まず、測定装置2は、音響出力装置2のスイッチ13を制御し、スイッチ回路132、133をオン、その他をオフにして、フロントレフトチャンネル(Lch)とセンターチャンネル(Cch)とからテスト信号を出力するようにし、スピーカSP1、SP3から放音されるテスト音声を収音してスピーカSP1、SP3からのテスト信号の伝搬時間の時間差を測定する処理を行う(ステップS101)。
【0042】
次に、測定装置2は、音響出力装置2のスイッチ13を制御し、スイッチ回路134、133をオン、その他をオフにして、フロントライトチャンネル(Rch)とセンターチャンネル(Cch)とからテスト信号を出力するようにし、スピーカSP4、SP3から放音されるテスト音声を収音してスピーカSP4、SP3からのテスト信号の伝搬時間の時間差を測定する処理(相対的な距離を測定する処理)を行う(ステップS102)。
【0043】
次に、測定装置2は、音響出力装置2のスイッチ13を制御し、スイッチ回路135、133をオン、その他をオフにして、サラウンドレフトチャンネル(SLch)とセンターチャンネル(Cch)とからテスト信号を出力するようにし、スピーカSP5、SP3から放音されるテスト音声を収音してスピーカSP5、SP3からのテスト信号の伝搬時間の時間差を測定する処理(相対的な距離を測定する処理)を行う(ステップS103)。
【0044】
次に、測定装置2は、音響出力装置2のスイッチ13を制御し、スイッチ回路136、133をオン、その他をオフにして、サラウンドライトチャンネル(SRch)とセンターチャンネル(Cch)とからテスト信号を出力するようにし、スピーカSP6、SP3から放音されるテスト音声を収音してスピーカSP6、SP3からのテスト信号の伝搬時間の時間差を測定する処理(相対的な距離を測定する処理)を行う(ステップS104)。
【0045】
次に、測定装置2は、音響出力装置2のスイッチ13を制御し、スイッチ回路131、133をオン、その他をオフにして、サブウーファーチャンネル(Subch)とセンターチャンネル(Cch)とからテスト信号を出力するようにし、スピーカSP2、SP3から放音されるテスト音声を収音してスピーカSP2、SP3からのテスト信号の伝搬時間の時間差を測定する処理(相対的な距離を測定する処理)を行う(ステップS105)。
【0046】
この後、測定装置2は、ステップS101〜ステップS105の処理により得られた、リファレンスチャンネルであるセンターチャンネルCchと、他の各チャンネルLch、Rch、SLch、SRch、Subchとの音声信号の伝搬時間の時間差(相対値)を距離に換算する(ステップS106)。マルチチャンネルの音響出力装置では、スピーカと聴取位置の間の距離で設定する場合が多いので、伝搬時間は、音速を用いて、距離に換算するようにしている。
【0047】
そして、測定装置2は、ステップS106において求めたセンターチャンネルCchと、他のチャンネルLch、Rch、SLch、SRch、Subchとの伝搬時間の時間差に応じた距離から、各音声チャンネルの音声信号をどの程度遅延させるかを示す距離パラメータを形成し、これを音響出力装置1の遅延部14に供給して、各チャンネルの遅延回路141〜146に設定し、各スピーカSP1〜SP6とリスニングポジションとの距離感を調整することにより(ステップS107)、最適な聴取環境を整えるようにしている。
【0048】
例えば、センターチャンネルCchのスピーカとリスニングポジション間の距離が5m(メートル)であるとすると、その他の音声チャンネルのスピーカとリスニングポジション間の距離は、時間差に音速をかけて計算した距離差を5mに足すことにより得た距離を距離パラメータ(パラメータ値)として、音響出力装置1の遅延部14に提供することになる。
【0049】
[チャンネルの時間差測定の詳細]
そして、図2に示したステップS101〜ステップS105の各処理においては、処理対象の2つの音声チャンネルのスピーカの位置関係を正確に把握するために、この実施の形態の距離測定補正システムにおいては、処理対象の2つの音声チャンネルについて、片方ずつ遅延量を変えて測定を繰り返すことにより、どちらの音声チャンネルに接続されたスピーカが、リスニングポジションに近いのかを正確に判別することができるようにしている。
【0050】
図3〜図5のフローチャートおよび図6〜図7の図は、図2に示したステップS101〜ステップS105の各ステップにおいて行われる処理の詳細を説明するためのものである。これらの図を用いて、図2のステップS101〜ステップS105の各ステップで行われる処理について詳細に説明する。
【0051】
なお、図2においては、リファレンスチャンネル以外の各音声チャンネルに対する距離パラメータを一括して形成し、これを音響出力装置2に提供して設定する手順を説明した。しかし、測定対象となったリファレンスチャンネル以外の他の1つの音声チャンネルごとに、距離パラメータを形成して音響出力装置1に提供することも可能であるので、図3〜図5においては、他の1つの音声チャンネルごとに、距離パラメータを形成して設定するようにする場合を例にして説明する。
【0052】
まず、測定装置2は、音響出力装置1の遅延部14を制御し、処理対象の2つの音声チャンネルの遅延回路を制御して、処理対象の2つの音声チャンネルの遅延量(ディレイタイム)を同じにする(ステップS201)。ここでは、リファレンスチャンネルのスピーカをスピーカSPrで示し、他の1つの音声チャンネルのスピーカをスピーカSPnで示すことにする。
【0053】
そして、音響出力装置2は、テスト信号発生器16により、テスト信号(インパルス信号)を発生させ、これを測定対象の2つのスピーカSPn、SPrに供給し、その2つのスピーカSPn、SPrからテスト音声を放音するようにする(ステップS202)。そして、測定装置2は、2つのスピーカSPn、SPrからのテスト音声を収音する測定用マイクロホンMicからのアナログ収音信号(測定信号)をデジタル信号にして取り込み(ステップS203)、この取り込んだ信号からピークを検出する(ステップS204)。
【0054】
ステップS204のピーク検出処理を具体的に説明すると、取り込んだ収音信号をdB換算(利得換算)し、その値が他の値に対して一番大きく、他の値のトータルの平均に対して一定値以上(例えば40dB以上)差を持つデータをピークとみなす。このピークのある時点をリスニングポジションまでの伝搬時点(伝播時間)とする。
【0055】
そして、2つのピークが立った場合には、スピーカSPrとスピーカSPnの位置がずれているので、その2つのピーク間の距離を、スピーカSPrからリスニングポイントまでの音声の伝搬時間とスピーカSPnからリスニングポイントまでの音声の伝搬時間との時間差dとする(ステップS205)。
【0056】
そして、時間差dが0(ゼロ)か否かを判断し(ステップS206)、時間差dが0であると判断したときには、スピーカSPnとスピーカSPrとの距離差は無いので、スピーカSPrの音声チャンネルに対する遅延時間を0(ゼロ)とするとともに、スピーカSPnの音声チャンネルに対する遅延時間を0(ゼロ)として、音響出力装置2の遅延部14の対応する遅延回路に設定し(ステップS207)、この図3〜図5の処理を終了する。
【0057】
ステップS206の判断処理において、時間差dが0(ゼロ)ではないと判断したときには、図4に示す処理に進み、測定装置2は、音響出力装置1の遅延部14を制御するようにして、リファレンスチャンネル以外のもう一方の音声チャンネル(スピーカSPnの音声チャンネル)の音声信号を予め決められた時間t分遅延させるようにする(ステップS208)。
【0058】
そして、図3に示したステップS202〜ステップS205までの処理と同様に、音響出力装置2は、テスト信号発生器16により、テスト信号(インパルス信号)を発生させ、これを指定された2つのスピーカSPn、SPrに供給し、その2つのスピーカSPn、SPrからテスト音声を放音するようにする(ステップS209)。
【0059】
そして、測定装置2は、2つのスピーカSPn、SPrからのテスト音声を収音する測定用マイクロホンMicからのアナログ収音信号をデジタル信号にして取り込み(ステップS210)、この取り込んだ信号からピークを検出する(ステップS211)。
【0060】
そして、ステップS205の場合と同様に、2つのピーク間の距離を、スピーカSPrからリスニングポジションまでの音声の伝搬時間とスピーカSPnからリスニングポジションまでの音声の伝搬時間との時間差d1とする(ステップS212)。そして、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号についての遅延時間をクリアしてもとの状態に戻す(ステップS213)。
【0061】
このように、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号を時間t分だけずらして、再度の測定を行うことにより、ステップS212においては、スピーカSPnとスピーカSPrとの距離が開いたのか縮まったのかを知ることができるようにされる。
【0062】
次に、この実施の形態の距離測定補正システムにおいては、図5に示す処理に進み、測定装置2は、音響出力装置1の遅延部14を制御するようにして、リファレンスチャンネル(スピーカSPrの音声チャンネル)の音声信号を予め決められた時間t分遅延させるようにする(ステップS214)。
【0063】
そして、図3に示したステップS202〜ステップS205までの処理、図4に示したステップS209〜ステップS212までの処理と同様に、音響出力装置2は、テスト信号発生器16により、テスト信号(インパルス信号)を発生させ、これを指定された2つのスピーカSPn、SPrに供給し、その2つのスピーカSPn、SPrからテスト音声を放音するようにする(ステップS215)。
【0064】
そして、測定装置2は、2つのスピーカSPn、SPrからのテスト音声を収音する測定用マイクロホンMicからのアナログ収音信号をデジタル信号にして取り込み(ステップS216)、この取り込んだ信号からピークを検出する(ステップS217)。そして、ステップS212の場合と同様に、2つのピーク間の距離を、スピーカSPrからリスニングポジションまでの音声の伝搬時間とスピーカSPnからリスニングポジションまでの伝搬時間との時間差d2とする(ステップS218)。
【0065】
このように、スピーカSPrの音声チャンネルの音声信号を時間t分だけずらして、再度の測定を行うことにより、ステップS218においては、スピーカSPnとスピーカSPrとの距離が開いたのか縮まったのかを知ることができるようにされる。
【0066】
そして、測定装置2においては、図4に示したステップS212において求めた時間差d1は、ステップS218において求めた時間差d2より大きいか否かを判断する(ステップS219)。
【0067】
ステップS219の判断処理において、時間差d1が時間差d2より大きいと判断したときには、測定用マイクロホンMicが設置されたリスニングポジションに対して、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりも、スピーカSPnの方が遠い位置にあると判断する(ステップS220)。
【0068】
そして、この場合には、スピーカSPrの音声チャンネル(リファレンスチャンネル)の音声信号に対する遅延量を0(ゼロ)とし、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する遅延量を時間差dとして、この時間差dに基づきスピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する距離パラメータを形成して、音響出力装置1の遅延部14に供給して対応する遅延回路に設定するようにし(ステップS221)、この図3〜図5に示した処理を終了する。
【0069】
また、ステップS219の判断処理において、時間差d1が時間差d2より大きくない判断したときには、測定用マイクロホンMicが設置されたリスニングポジションに対して、スピーカSPnよりも、リファレンスチャンネルのスピーカSPrの方が遠い位置にあると判断する(ステップS222)。そして、この場合には、時間差d=d*(−1)で示される演算を行う(ステップS223)。なお、上述の計算式で記号*(アスタリスク)は乗算記号として用いている。図5のステップS223において同じ。
【0070】
そして、スピーカSPrの音声チャンネル(リファレンスチャンネル)の音声信号に対する遅延量を0(ゼロ)とし、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する遅延量を時間差−d(マイナスd)として、この時間差−dに基づきスピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する距離パラメータを形成して、音響出力装置1の遅延部14に供給して対応する遅延回路に設定するようにし(ステップS221)、この図3〜図5に示した処理を終了する。
【0071】
このように、リファレンスチャンネルのスピーカSPrの位置を基準にして、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnのリスニングポジションに対する位置を把握し、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する遅延時間(遅延量)を制御することによって、スピーカSPnから放音される音声が聞こえる位置の調整を行うようにする。
【0072】
この図3〜図5に示した処理を、図2に示した処理のステップS101〜ステップS105の各ステップにおいて、リファレンスチャンネル以外の他の1つの音声チャンネルを各ステップで変えるようにして、他の1つの音声チャンネルのスピーカの位置感を調整する。
【0073】
つまり、ステップS221においては、スピーカSPnの位置を物理的に動かすのではなく、リファレンスチャンネルのスピーカSPrの位置を基準にして、スピーカSPnが音声を放音していると聴取者が感じる位置(仮想的な位置)をスピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対する遅延量を補正することによって補正するのである。
【0074】
ここで、図3〜図5に示したスピーカSPnからリスニングポジションまでの距離の測定とスピーカSPnからの音声の放音位置の補正について図6〜図8を用いてより詳細に説明する。ここでは、リスニングポジションに対して、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりも他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnの方が遠い場合を例にして説明する。
【0075】
図6は、図3に示したステップS201〜ステップS205の処理の結果を示すようにした図である。図6(A)に示すように、所定のインパルス信号(テスト信号)を発生させ、これを対象の2つのスピーカSPr、SPnから放音させ、これを測定用マイクロホンMicにより収音してピーク値を求める。
【0076】
この場合、リスニングポジションに対するスピーカSPrとスピーカSPnの距離は、上述したように、スピーカSPnの方が遠い位置にある場合であるので、図6(D)に示すように、2つのピークが立ち、その差は時間差dと言うことになる。ここで、スピーカSPrからのテスト信号のピークは、図6(B)に示すように現れ、スピーカSPnからのテスト信号のピークは、図6(C)に示すように現れていることになる。
【0077】
しかし、この場合、スピーカSPrとスピーカSPnとの内、どちらのスピーカがリスニングポジションに対して近いか遠いかは判別することはできない。そこで、図4、図5に示した処理を行うことになる。図7は、図4に示したステップS208〜ステップS212の処理の結果を示すようにした図である。
【0078】
図4を用いて説明したように、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号を時間tだけ遅延させるようにし、スピーカSPr、スピーカSPnを通じてテスト信号を放音するようにする。この場合、スピーカSPnの出力(図7(A))と、スピーカSPrの出力(図7(B))は、時間t分の差が生じることになる。
【0079】
そして、スピーカSPr、スピーカSPnからのテスト信号の放音音声を測定用マイクロホンMicで収音し、ピークを求めると図7(E)に示すように、2つのピークが立ち、その差は時間差d1=d+tと言うことになる。この場合、スピーカSPrからのテスト信号のピークは、図7(C)に示すように現れ、スピーカSPnからのテスト信号のピークは、図7(D)に示すように現れていることになる。
【0080】
次に、図5に示した処理を行うことになる。図8は、図5に示したステップS214〜ステップS218の処理の結果を示すようにした図である。
【0081】
図5を用いて説明したように、今度は、スピーカSPrの音声チャンネルの音声信号を時間tだけ遅延させるようにし、スピーカSPr、スピーカSPnを通じてテスト信号を放音するようにする。この場合、スピーカSPnの出力(図8(A))と、スピーカSPrの出力(図8(B))は、時間t分の差が生じることになる。
【0082】
そして、スピーカSPr、スピーカSPnからのテスト信号の放音音声を測定用マイクロホンMicで収音し、ピークを求めると図8(E)に示すように、2つのピークが立ち、その差は時間差d2=d−tと言うことになる。この場合、スピーカSPrからのテスト信号のピークは、図8(C)に示すように現れ、スピーカSPnからのテスト信号のピークは、図8(D)に示すように現れていることになる。
【0083】
この後、図6のステップS219〜ステップS223を参照しながら説明したように、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号を時間t分遅延させた場合のスピーカSPrからのテスト音声とスピーカSPnからのテスト音声との伝搬時間の時間差d1と、スピーカSPrの音声チャンネルの音声信号を時間t分遅延させた場合のスピーカSPrからのテスト音声とスピーカSPnからのテスト信号との伝搬時間の時間差d2とを比較する。
【0084】
この場合、スピーカSPnからの音声信号を時間t分遅延させたときの時間差d1の方が、スピーカSPrからの音声信号を時間t分遅延させたときの時間差d2よりも大きいので、スピーカSPrよりもスピーカSPnの方がリスニングポジションに対して遠い位置にあることを正確に判別することができるようにされる。
【0085】
この図7〜図8においては、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりも、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnの方が、リスニングポジションに対して遠い位置にある場合を例にして説明した。しかし、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnよりもリファレンスチャンネルのスピーカSPrの方が遠い位置にある場合には、時間差d1よりも時間差d2の方が大きくなるので、スピーカSPnよりスピーカSPrの方がリスニングポジションに対して離れていることを正確に判別することができる。
【0086】
そして、スピーカSPrを基準として、スピーカSPnがリスニングポジションに対して近いか、遠いかに応じて、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号に対して、その遅延量を適切に補正し、スピーカSPnから放音される音声が所定の位置から放音されているように調整することができるようにされる。
【0087】
なお、上述もしたように、図3〜図5に示した例の場合には、順次に変えられるリファレンスチャンネル以外の他の1つの音声チャンネルごとに距離パラメータを形成し、音響出力装置1の対応する遅延回路に設定するようにしたが、これに限るものではない。他の1つの音声チャンネルごとに、時間差d、d1、d2を保持しておき、これを用いて図2に示したステップS106において距離換算し、ステップS107において、音響出力装置の遅延部14に設定するようにすることができるのは、図2を用いて説明した通りである。
【0088】
また、測定装置2は、例えばパーソナルコンピュータにより実現されるものとしたが、測定装置専用機として構成することももちろんできる。この場合には、図1に示したように、マイク入力端子21、マイクアンプ22、A/D変換器23、ピーク検出計算部24を備えたものであればよい。
【0089】
この場合、ピーク検出計算部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータとして実現できる。そして、図2、図3〜図5に示した処理を行うプログラムをピーク検出計算部24のROMに用意しておき、これを実行することによりこの実施の形態のピーク検出計算部24を実現できる。
【0090】
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態においては、テスト信号としてインパルス信号を用いるようにした。しかし、この第2の実施の形態においては、より正確にスピーカの相対的な位置を検出できるようにするために、テスト信号として例えばピンクノイズやホワイトノイズなどのノイズ信号を用いるとともに、自己相関を用いた分析によりピーク検出を行うようにしたものである。以下、この第2の実施の形態について説明する。
【0091】
図9は、この発明による距離測定補正システムが適用されて形成されたこの第2の実施の形態の距離測定システムを説明するためのブロック図である。この第2の実施の形態の距離測定システムにおいて、図1に示した第1の実施の形態の距離測定システムと同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0092】
そして、この第2の実施の形態の距離測定補正システムは、図1に示した第1の実施の形態の距離測定補正システムが音響出力装置1と測定装置2とを備えていたのと同様に、音響出力装置1、測定装置3とからなっている。この第2の実施の形態においても、音響出力装置1と測定装置3は、RC232−CやUSBによって接続され、測定装置3から音響出力装置1の制御を行うことができるようにしている。
【0093】
この第2の実施の形態においても、音響出力装置1は、上述した第1の実施の形態の音響出力装置1とほぼ同様に構成されたものであり、5.1チャンネルでエンコードされた音声信号を処理することができるマルチチャンネル対応のものであり、5.1チャンネル(6チャンネル)分の音声チャンネルを備えたものである。
【0094】
しかし、この第2の実施の形態の音響出力装置1のテスト信号発生部17は、テスト信号として所定のインパルス信号を発生させるものではなく、ある程度の時間継続するノイズ信号を発生させて出力するものであり、この第2の実施の形態においては、例えば、ピンクノイズを発生させて出力するものである。
【0095】
また、測定装置3は、マイクロホン端子31、マイクアンプ32、A/D変換器33を備えていることは、上述した第1の実施の形態の測定装置2と同様である。しかし、この第2の実施の形態の測定装置3は、自己相関関数計算部34を備えている点が、上述した第1の実施の形態の測定装置2とは異なるものである。
【0096】
そして、この第2の実施の形態の距離測定補正システムにおいても、第1の実施の形態の距離測定補正システムの場合と同様に、5.1チャンネルの内の所定の音声チャンネルをリファレンスチャンネル(基準音声チャンネル)とし、このリファレンスチャンネルのスピーカと、他の1つの音声チャンネルのスピーカについてのリスニングポイントに対する相対的な距離を測定するようにし、その測定結果に基づいて、当該他の1つの音声チャンネルの音声信号に対する遅延量を補正(調整)することにより、そのスピーカから放音される音声の放音位置を補正するようにしている。
【0097】
そして、リファレンスチャンネルは変更することなく、他の1つの音声チャンネルを順次に変えて、リファレンスチャンネルのスピーカと他の1つの音声チャンネルのスピーカとのリスニングポイントに対する相対的な距離を測定するようにし、その測定結果に基づいて、全ての音声チャンネルの音声信号の遅延量を補正し、それぞれの音声チャンネルに接続されたスピーカから放音される音声の放音位置を補正する。
【0098】
これにより、リファレンスチャンネルを基準として、他の全ての音声チャンネルのスピーカから放音される音声の放音位置を補正し、リスニングポジションにおいての音声の良好な聴取環境を整えることができるようにしている。
【0099】
このように、この第2の実施の形態の距離測定補正システムは、第1の実施の形態の距離測定補正システムの場合と同様に動作するものであるが、測定装置3において、処理の対象となる2つの音声チャンネルに接続されたスピーカから放音されるテスト音声を収音し、この収音音声からピークを検出する場合に、収音音声の自己相関を用いるようにしている。
【0100】
具体的に説明すれば、この第2の実施の形態の距離測定補正システムも、第1の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するものとして示した図2のフローチャートの動作をそのまま行うことができるものである。そして、図2に示したステップS101〜ステップS105の各ステップにおいて行われる処理が、以下に説明するように自己相関を用いた処理となる。
【0101】
なお、以下に説明するこの第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、リファレンスチャンネルに接続されるスピーカをスピーカSPrと呼び、リファレンスチャンネルと対になる他の1つの音声チャンネルに接続されるスピーカをスピーカSPnと呼ぶことにする。図10〜図15においても同じである。
【0102】
この第2の実施の形態の距離測定補正システムにおいても、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、センタースピーカ(C)SP3に接続された音声チャンネルをリファレンスチャンネルとし、このリファレンスチャンネルと他の音声チャンネルのスピーカの位置を比較していくことになる。
【0103】
図10〜図12は、この第2の実施の形態の距離測定補正システムが、図2に示したフローチャートのように各スピーカについての距離測定補正処理を行う場合に、上述したように、ステップS101〜ステップS105の各ステップで実行される処理であり、第1の実施の形態の距離測定補正システムの動作として説明した図3〜図5に示したフローチャートに対応する処理である。
【0104】
図10〜図12のフローチャートにおいて、図3〜図5に示したフローチャートの処理と同様に行われる部分には同じ参照符号(ステップ番号)を付し、その説明については省略することとする。
【0105】
そして、この第2の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図10のフローチャートと、これに対応する第1の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図3のフローチャートとを比較すると分かるように、図10におけるステップS304、図3におけるステップS204以外の各ステップは全く同じ処理である。
【0106】
また、この第2の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図11のフローチャートと、これに対応する第1の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図4のフローチャートとを比較すると分かるように、図11におけるステップS311、図3におけるステップS211以外の各ステップは全く同じ処理である。
【0107】
同様に、この第2の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図12のフローチャートと、これに対応する第1の実施の形態の距離測定補正システムの動作を説明するための図5のフローチャートとを比較すると分かるように、図12におけるステップS317、図3におけるステップS217以外の各ステップは全く同じ処理である。
【0108】
つまり、この第2の実施の形態の距離測定補正システムにおいても、図10に示した処理により、処理対象として選択したリファレンスチャンネルと他の1つの音声チャンネルとについて、音声信号の遅延量を同じにしてテスト信号に応じたテスト音声を放音するようにして、音声の伝搬時間の時間差dを求める。
【0109】
次に、図11に示した処理により、リファレンスチャンネルではないもう一方の他の1つの音声チャンネルの遅延時間を時間tだけ遅らせて、処理対象として選択したリファレンスチャンネルと他の1つの音声チャンネルとについて、テスト信号に応じたテスト音声を放音するようにして、音声の伝搬時間の時間差d1を求める。
【0110】
次に、図12に示した処理により、リファレンスチャンネルの遅延時間を時間tだけ遅らせ、一方の他の1つの音声チャンネルの遅延時間は基に戻して、処理対象として選択したリファレンスチャンネルと他の1つの音声チャンネルとについて、テスト信号に応じたテスト音声を放音するようにして、音声の伝搬時間の時間差d2を求める。
【0111】
そして、時間差d1と時間差d2との大小関係から、リスニングポジションに対するリファレンスチャンネルのスピーカSPrからの音声の伝搬時間と他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnからの音声の伝搬時間との差を求めることにより、リスニングポジションに対するスピーカSPr、スピーカSPnの相対的な距離(位置関係)を把握し、当該他の1つの音声チャンネルにおいての音声信号の遅延量を補正し、当該他の1つの音声チャンネルのスピーカから放音される音声の放音位置を適正な位置に補正するようにしている。
【0112】
そして、図10におけるステップS304の処理と、図11におけるステップS311の処理と、図12におけるステップS317の処理とにおいては、いずれの場合にも、以下に説明するように、測定用マイクロホンMicからの収音信号の自己相関に基づいて、ピーク値を算出するようにしている。
【0113】
以下、図10のステップS304と、図11のステップS311と、図12のステップS317とにおいて同様に行われる自己相関を用いた収音信号のピーク検出処理について説明する。この処理は、この第2の実施の形態の距離測定補正システムの測定装置3の自己相関関数計算部34において主に行われる処理である。
【0114】
測定装置3の自己相関関数計算部34は、測定用マイクロホンMicにより収音され、マイクアンプ32により増幅されて、A/D変換機33によりデジタル信号とされた収音信号を、まず(1)FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)することにより時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。
【0115】
次に、(2)周波数領域の信号に変換した収音信号からパワースペクトル(振動数スペクトル)を求め、(3)求めたパワースペクトルの平均を逆FFTすることにより、収音信号の自己相関を求める。そして、(4)自己相関の最初(位置0(ゼロ))を除くデータについてピークを検出する。(5)この検出したピークに基づいて、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、処理の対象になっている2つの音声チャンネルのスピーカから放音されたテスト音声の伝搬時間の時間差d、d1、d2を求める。
【0116】
この(1)〜(5)の処理を図10に示したステップS304、図11に示したステップS311、図12に示したステップS317において行うことにより、処理の対処になっている2つの音声チャンネルに接続された2つのスピーカのリスニングポジションに対する位置関係を確実かつ正確に把握することができる。
【0117】
そして、リファレンスチャンネル以外の他の1つの音声チャンネルの音声信号に対する遅延量を距離パラメータとして生成し、これを音響出力装置1の遅延部14を構成する遅延回路141〜146の内の対応する遅延回路に設定するようにすることにより、その音声チャンネルに接続されるスピーカから放音される音声の放音位置を適正な位置に補正することができるようにされる。
【0118】
この処理をリファレンスチャンネルを変えないで、他の全ての音声チャンネルについて行うことにより、リファレンスチャンネル以外の他の全ての音声チャンネルに接続されたスピーカからの音声の放音位置を適正に調整し、リスニングポジションにおける再生音声の良好な聴取環境を整えることができるようにされる。
【0119】
ここで、図10〜図12に示したリスニングポジションに対するリファレンスチャンネルのスピーカSPr、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnの相対的な距離の測定と、スピーカSPnからの放音音声の放音位置の補正について図13〜図15を用いてより詳細に説明する。ここでは、リスニングポジションに対して、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりも他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnの方が遠い場合を例にして説明する。
【0120】
図13は、図10に示したようにステップS304を含むステップS201〜ステップS205の処理の結果を示すようにした図である。図13(A)に示すように、所定のノイズ信号(テスト信号)を発生させ、これを測定対象の2つのスピーカSPr、SPnから放音させ、これを測定用マイクロホンMicにより収音してピーク値を求める。
【0121】
この場合、リスニングポジションに対するスピーカSPrとスピーカSPnの距離は、上述したように、スピーカSPnの方が遠い位置にある場合であるので、スピーカSPrから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図13(B)に示すようになり、スピーカSPnから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図13(C)に示すようになる。
【0122】
したがって、測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、実際には、図13(D)に示すように、図13(B)と図13(C)とが合わさった信号となる。
【0123】
この図13(D)に示した収音信号をFFTし、図13(E)に示すようにパワースペクトルを求め、このパワースペクトルの平均を逆FFTすることにより、図13(F)に示すように、自己相関が求められ、ピーク値が検出できる。そして検出したピーク値から、スピーカSPrから放音されたテスト音声と、スピーカSPnから放音されたテスト音声の伝搬時間の時間差dが求められる。
【0124】
しかし、この場合、スピーカSPrとスピーカSPnとの内、どちらのスピーカがリスニングポジションに対して近いか遠いかは判別することはできない。そこで、図11、図12に示した処理を行うことになる。図14は、図11に示したステップS311を含むステップS208〜ステップS212の処理の結果を示すようにした図である。
【0125】
ここでは、上述した第1の実施の形態において、図4を用いて説明したように、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号を時間tだけ遅延させるようにし、スピーカSPr、スピーカSPnを通じてテスト信号を放音するようにする。この場合、スピーカSPnの出力(図14(A))と、スピーカSPrの出力(図14(B))とは、時間t分の差が生じることになる。
【0126】
この場合、スピーカSPrから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図14(C)に示すようになり、スピーカSPnから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図14(D)に示すようになる。
【0127】
したがって、測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、実際には、図14(E)に示すように、図14(C)と図14(D)とが合わさった信号となる。
【0128】
この図14(E)に示した収音信号をFFTし、図14(F)に示すようにパワースペクトルを求め、このパワースペクトルの平均を逆FFTすることにより、図14(G)に示すように、自己相関が求められ、ピーク値が検出できる。そして検出したピーク値から、スピーカSPrから放音されたテスト音声と、スピーカSPnから放音されたテスト音声の伝搬時間の時間差d1=d+tが求められる。
【0129】
次に、図12に示した処理を行うことになる。図15は、図12に示したステップS317を含むステップS214〜ステップS218の処理の結果を示すようにした図である。
【0130】
上述した第1の実施の形態において、図5を用いて説明したように、今度は、スピーカSPrの音声チャンネルの音声信号を時間tだけ遅延させるようにし、スピーカSPr、スピーカSPnを通じてテスト信号を放音するようにする。この場合、スピーカSPnの出力(図15(A))と、スピーカSPrの出力(図15(B))は、時間t分の差が生じることになる。
【0131】
この場合、スピーカSPrから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図15(C)に示すようになり、スピーカSPnから放音され測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、図15(D)に示すようになる。
【0132】
したがって、測定用マイクロホンMicで取り込まれたテスト音声は、実際には、図15(E)に示すように、図15(C)と図15(D)とが合わさった信号となる。
【0133】
この図15(E)に示した収音信号をFFTし、図15(F)に示すようにパワースペクトルを求め、このパワースペクトルの平均を逆FFTすることにより、図15(G)に示すように、自己相関が求められ、ピーク値が検出できる。そして検出したピーク値から、スピーカSPrから放音されたテスト音声と、スピーカSPnから放音されたテスト音声の伝搬時間の時間差d2=絶対値[d−t]が求められる。
【0134】
この後、図12のステップS219〜ステップS223の処理が行うようにされ、スピーカSPnの音声チャンネルの音声信号を時間t分遅延させた場合のスピーカSPrからのテスト音声とスピーカSPnからのテスト音声との伝搬時間の時間差d1と、スピーカSPrの音声チャンネルの音声信号を時間t分遅延させた場合のスピーカSPrからのテスト音声とスピーカSPnからのテスト信号との伝搬時間の時間差d2とを比較する。
【0135】
この場合には、図14(G)にも示し、また、図15(H)にも示すように、図11に示した処理のステップS212で求めた時間差d1は、図15(G)に示した時間差d2より大きいので、スピーカSPnの方が、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりもリスニングポジションから離れていることが分かる。
【0136】
この図13〜図15においては、リファレンスチャンネルのスピーカSPrよりも、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnの方が、リスニングポジションに対して遠い位置にある場合を例にして説明した。しかし、他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnよりもリファレンスチャンネルのスピーカSPrの方が遠い位置にある場合には、時間差d1よりも時間差d2の方が大きくなるので、スピーカSPnよりスピーカSPrの方がリスニングポジションに対して離れていることを正確に判別することができる。
【0137】
そして、リスニングポジションにおける、リファレンスチャンネルのスピーカSPrからの放音音声の伝搬時間と他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnからの放音音声の伝搬時間との差である時間差dと、リスニングポジションに対して、リファレンスチャンネルのスピーカより遠いか近いかの判別結果に応じて、当該他の1つの音声チャンネルの音声信号の遅延量を調整するようにする距離パラメータを形成する。
【0138】
この形成した距離パラメータを音響出力装置1の遅延部14の該当する遅延回路に設定することにより、当該他の1つの音声チャンネルのスピーカSPnから放音される放音音声の放音位置を適正な位置となるように調整することができるようにされる。この処理を上述もしたように、リファレンスチャンネルは変更することなく、他の1つの音声チャンネルを順次に変更して行うことにより、リスニングポジションにおける再生音声の良好な聴取環境を整えることができるようにされる。
【0139】
[反射音などの影響の除去について]
なお、この第2の実施の形態の距離測定補正システムの場合には、事前に、各スピーカから放音されるテスト音声についての自己相関を求め、これを利用することによって、反射音などの影響を防ぐようにすることが可能である。
【0140】
すなわち、この第2の実施の形態の場合には、5.1チャンネルの各音声チャンネルに接続されたスピーカ個々について、テスト信号に応じたテスト音声を放音させ、その自己相関(スピーカ個々の自己相関)を求めておくようにする。
【0141】
そして、第2の実施の形態において詳述したように、測定の対象となる2つの音声チャンネルのスピーカからテスト信号に応じたテスト音声を同時に放音させ、その2つのスピーカからのテスト音声の自己相関を求めることになるが、この場合に、当該2つのスピーカからのテスト音声の自己相関と、測定の対象になっている2つのスピーカの個々の事前に求めた自己相関とを比較する。
【0142】
この比較の結果、当該2つのスピーカからのテスト音声の自己相関により近似している事前に求めたスピーカ個々の自己相関を、当該2つのスピーカからのテスト音声の自己相関から差し引き、この差し引き処理後の自己相関を測定の対象になっている当該2つのスピーカからのテスト音声の自己相関として用いるようにする。
【0143】
このようにすることにより、各スピーカ個々に求めた自己相関は、その場における壁などからの反射音をも含むテスト音声(収音信号)の自己相関となっており、測定対象の2つのスピーカからのテスト音声の自己相関にも同様に反射音などの成分が含まれているので、これを効果的にキャンセルし、測定対象の2つのスピーカの相対的な位置関係やその距離差(時間差)を正確に測定することができる。
【0144】
なお、各スピーカ個々の自己相関は、スピーカ個々にテスト音声を放音し、これを測定用マイクロホンMicで収音して、自己相関関数計算部34において、FFT→パワースペクトル演算→逆FFTの各処理を行うことにより求めることができる。
【0145】
このようにして求めたスピーカ個々の自己相関は、例えば、自己相関関数計算部34内、あるいは、測定装置3内に設けられるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの不揮発性メモリに記憶保持しておくようにする。そして、上述した自己相関の比較および差し引き演算は、自己相関関数計算部34において行うことになるが、この場合に、EEPROMなどの不揮発性メモリに記憶保持されているスピーカ個々の自己相関を参照するようにすればよい。
【0146】
なお、この第2の実施の形態において、測定装置3は、上述した第1の実施の形態の測定装置2の場合と同様に、例えばパーソナルコンピュータによって構成することが可能である。
【0147】
もちろん、マイク入力端子31、マイクアンプ32、A/D変換機33、自己相関関数計算部34を備えた専用測定装置を構成することも可能である。この場合、自己相関関数計算部34は、第1の実施の形態のピーク検出計算部24と同様に、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータとして実現できる。そして、図2、図10〜図12に示した処理を行うプログラムを自己相関計算部34のROMに用意しておき、これを実行することによりこの実施の形態の自己相関関数計算部34を実現できる。
【0148】
また、反射音などの影響を除去する場合には、測定対象の2つのスピーカからのテスト音声の自己相関と測定対象の2つのスピーカの個々の自己相関との比較処理、および、比較の結果に基づいて、測定対象の2つのスピーカからのテスト音声の自己相関から測定対象の2つのスピーカの個々の自己相関のうち当該測定対象の2つのスピーカからのテスト音声の自己相関に近似する方を差し引く処理を行うプログラムを自己相関計算部34のROMに用意しておき、これを実行することにより実現できる。
【0149】
[第1、第2の実施の形態の他の構成例]
上述した第1の実施の形態においては、テスト信号発生部16を音響出力装置1に設けるようにした。しかし、これに限るものではない。テスト信号発生部16を測定装置2側に設け、測定装置2から音響出力装置1にアナログ信号線、あるいは、デジタル信号線を通じてテスト信号を供給するようにしてもよい。もちろん、テスト信号発生器16を音響出力装置1、測定装置2とは別に設けるようにすることもできる。
【0150】
同様に、上述した第2の実施の形態においては、テスト信号発生部17を音響出力装置1に設けるようにした。しかし、これに限るものではない。テスト信号発生部17を測定装置3側に設け、測定装置3から音響出力装置1にアナログ信号線、あるいは、デジタル信号線を通じてテスト信号を供給するようにしてもよい。もちろん、テスト信号発生器17を音響出力装置1、測定装置3とは別に設けるようにすることもできる。
【0151】
また、上述した第1、第2の実施の形態においては、測定装置2、3が音響出力装置1のスイッチ部13を制御して、測定対象とリファレンスチャンネルと他の1つの音声チャンネルとの2つの音声チャンネルを選択するようにしたが、これに限るものではない。
【0152】
例えば、予めリファレンスチャンネルとなる音声チャンネルを決めておくとともに、他の1つのチャンネルとなる音声チャンネルの切り換え順を予め決めておくことにより、音響出力装置1側において、スイッチ部13の切り換えを制御するようにしてもよい。
【0153】
また、上述した第1、第2の実施の形態においては、測定対象の2つの音声チャンネルの音声信号を予め時間tだけ遅延させる場合には、音響出力装置1は測定装置2からの制御信号により制御されるものとして説明したが、これに限るものではなく、音響出力装置1側で自動的に調整するように制御することもできる。
【0154】
また、上述した第1、第2の実施の形態においては、音響出力装置1と、測定装置2と、測定装置3とはそれぞれ別体の装置であるものとして説明したが、これに限るものではない。音響出力装置1と測定装置2とを一体にした音響出力測定装置(距離測定補正装置)を形成することもできるし、また、音響出力装置1と測定装置3とを一体にした音響出力測定装置(距離測定補正装置)を形成することもできる。
【0155】
また、前述した第1、第2の実施の形態においては、図1、図9に示したように、測定装置2のピーク検出計算部24、あるいは、測定装置3の自己相関関数計算部34が、直接的に音響出力装置1のスイッチ部13、遅延部14を制御する形式に記載したが、これに限るものではない。
【0156】
つまり、音響出力装置1と測定装置2、3が別体である場合には、測定装置2、3からの制御信号距離パラメータなどの情報を音響出力装置1の図示しない制御部に送信し、音響出力装置1の制御部が、自機の各部、すなわち、スイッチ部13の各スイッチ回路や遅延部14の各遅延回路を制御するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0157】
[第1、第2の実施の形態の測定手順の他の例]
また、前述した第1、第2の実施の形態においては、測定対象の2つの音声チャンネルの音声信号について、まず、(1)遅延量を同じにして測定し、(2)次に一方の音声チャンネルの遅延量を所定時間t分遅延させて測定し、さらに、(3)当該一方の音声チャンネルの遅延量を元に戻して他方の音声チャンネルの遅延量を所定時間t分遅延させて測定するという3段間の測定を行うようにした。しかし、これに限るものではない。
【0158】
例えば、一方の音声チャンネルについてのみ、複数回遅延量を変えて、複数回測定を行うようにしてもよい。具体的には、まず、(1)遅延量を同じにして測定して伝搬時間の時間差dを求め、(2)次に一方の音声チャンネルの遅延量を所定時間t分遅延させて測定し、伝搬時間の時間差d1を求め、さらに、(3)当該一方の音声チャンネルの遅延量を所定時間tよりもさらに長い所定時間t1分遅延させて測定し、伝搬時間の時間差d2を求め、時間差d、d1、d2が大きくなったか、小さくなったかに応じて2つのスピーカの相対的な位置を判別することができる。
【0159】
つまり、測定対象の2つの音声チャンネルのそのそれぞれの遅延量を変えて測定を行わなくても、測定対象の2つの音声チャンネルの内の一方の音声チャンネルについて、遅延量を複数回(少なくとも2回)変えて測定を行うことにより、測定対象の2つのスピーカの相対的な位置を知ることができる。
【0160】
[第1の実施の形態のテスト信号の他の例]
前述した第1の実施の形態においては、テスト信号としていわゆるインパルス信号を用いるものとして説明したが、これに限るものではない。テスト信号は、種々の形状のパルス信号等を用いることができる。図16は、テスト信号の他の例について説明するための図である。
【0161】
例えば、図16Aに示したように、正極性と負極性の信号が連続するパルス信号を用いることにより、テスト信号のエネルギーを大きくすることができ、2つのスピーカの想定的な位置の測定を正確に行うようにすることができる。また、図16Bに示したように、記号aで示した部分の面積と記号cで示した部分の面積の和が、記号bで示した部分の面積と一致する形状のパルス信号を用いることにより、テスト信号に含まれる直流成分の影響を受けることがないようにして、2つのスピーカの想定的な位置の測定を正確に行うようにすることができる。
【0162】
また、図16Cに示すように、測定対象の2つの音声チャンネルのスピーカから、極性の異なるテスト信号(パルス信号)を出力するようにする。すなわち、測定対象の2つの音声チャンネルのスピーカの内、例えばリファレンスチャンネルのスピーカからは、図16C(イ)に示すような正極性のパルス信号を、また、他の1の音声チャンネルのスピーカからは、図16C(ロ)に示すような負極性のパルス信号を同時に出力するようにする。
【0163】
そして、正極性のピークと負極性のピークとの差が伝搬時間の時間差dであり、どちらの極性のピークが先にデータかを判別することにより、測定対象の2つのスピーカのリスニングポジションに対する位置関係も把握することができる。したがって、この場合には、音声チャンネルの遅延時間を変えることなく、1回の測定で、時間差dと2つのスピーカの相対的な位置関係を把握することができる。
【0164】
また、図16Dに示すように、テスト信号として、周期が整数倍の関係にない、いわゆる非調和の2つの信号を用いるようにしてもよい。この場合には、非調和の2つの信号である、例えば、図16D(イ)に示す信号と、図16D(ロ)に示す信号とを、測定対象の2つの音声チャンネルのスピーカに供給し、テスト音声を放音するようにする。このようにすることにより、測定対象の2つのスピーカのそれぞれから放音されたテスト音声の位相差を検出し、その位相差から遅延量を計算することができるようにされる。
【0165】
つまり、2つ以上のスピーカから放音される放音信号を収音して、そのピークの違いや位相差などを検出することが可能な種々の信号をテスト信号として用いることが可能である。
【0166】
また、上述した例以外にも、例えばTDS(Time Delay Spectrometry:Rife,Douglas D. and Vanderkooy, John; ”Transfer−Function Measurement with Maximum−Length Sequences,” J. Audio Eng. Soc., vol. 37, No. 6, Jun. 1989, pp. 419−442)法を用いて測定対象の2つのスピーカのリスニングポジションに対する相対的な位置を測定するようにしてもよい。
【0167】
なお、前述した第1、第2の実施の形態においては、センタースピーカ(C)SP3に接続された音声チャンネルをリファレンスチャンネルとして用いるようにしたが、これに限るものではなく、他のスピーカに接続された音声チャンネルをリファレンスチャンネルとして用いるようにすることももちろん可能である。
【0168】
また、各スピーカからリスニングポイントまでの距離がばらばらに大きく異なる場合などにおいては、他の1つのスピーカの音声チャンネルを複数設定し、リファレンスチャンネルのスピーカと、複数の他の1つの音声チャンネルのスピーカとを測定対象とし、リスニングポジションに対する、リファレンスチャンネルのスピーカと複数の他の1つの音声チャンネルのスピーカの相対的な距離を検出するようにすることも可能である。
【0169】
この場合には、所定時間t分遅延させて距離計測を行う工程を各チャンネル毎に行うようにしたり、レファレンスチャンネルの音声信号については、所定時間t分の遅延は行わずに、複数の他の1つの音声チャンネルの音声信号について、所定時間t分遅延させて、相対的な距離の測定を行うようにしたりすることができる。
【0170】
また、前述した測定装置2、3の機能をインターネットなどの公衆通信ネットワーク上やローカルエリアネットワーク上に設けられたサーバ装置などに持たせるようにすることもできる。そして、測定用マイクロホンMicで収音した収音信号(測定信号)を例えば一時記憶し、これを所定のネットワークを通じて当該サーバ装置に送信する。サーバ装置は、供給を受けた収音信号を処理(解析)し、リスニングポイントに対するスピーカの相対的な距離と位置関係を求め、距離パラメータを形成して、これを当該ネットワークを通じて音響出力装置に返信するようにすることもできる。
【0171】
この場合には、測定装置2、3に代えて、測定用マイクロホンMicからの収音信号を記憶保持し、これを目的とするサーバ装置に送信するとともに、サーバ装置から返信されてくる距離パラメータを受信して音響出力装置1に供給するようにする通信装置を別途も受けるか、あるいは、このような通信機能を音響出力装置1に設けるようにすればよい。
【0172】
つまり、測定装置2、3は、音響出力装置1の近隣に置かれるものに限られるものではなく、公衆通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク上に設けるようにすることも可能である。
【0173】
また、マルチチャンネル音響出力装置1としては、AVアンプ装置の他、DVDプレーヤなどのマルチチャンネル音響再生装置など、マルチチャンネル音声を出力する種々の電子機器が考えられることはいうまでもない。すなわち、この発明は、マルチチャンネル音声を出力する種々の音響出力装置に適用することができるものである。
【0174】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、リファレンス信号を用いず、測定用マイクロホンによって収音した収音信号のみを使って、リファレンスチャンネルのスピーカと他の音声チャンネルのスピーカとの相対的な位置を測定し、他の音声チャンネルのスピーカから放音される音声の放音位置を調整することができる。
【0175】
したがって、システムや各装置が複雑になること無く、比較的に簡単な構成で、リファレンスチャンネルに対する各音声チャンネルの相対的な位置を求め、スピーカからの放音音声の放音位置を調整するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による距離測定補正システムの一実施の形態が適用された距離測定補正システムを説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した距離測定補正システムにおいて行われる距離の測定および補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2に示したフローチャートのステップS101〜ステップS105の各ステップにおいて行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】図4に続くフローチャートである。
【図6】図3〜図5に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図7】図3〜図5に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図8】図3〜図5に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図9】この発明による距離測定補正システムの一実施の形態が適用された距離測定補正システムの他の例を説明するためのブロック図である。
【図10】図9に示した距離測定補正システムで行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10に続くフローチャートである。
【図12】図11に続くフローチャートである。
【図13】図10〜図12に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図14】図10〜図12に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図15】図10〜図12に示したフローチャートの処理の一例を具体的に説明するための図である。
【図16】テスト信号の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…音響出力装置、11…入力端子、12…デコーダ、13…スイッチ部、131〜136…スイッチ回路、14…遅延部、141〜146…遅延回路、15…増幅部、151〜156…増幅回路、2、3…測定装置、21、31…マイク端子、22、32…マイクアンプ、23、33…A/D変換器、24…ピーク検出計算部、34…自己相関関数計算部、SP1〜SP6…スピーカ、Mic…測定用マイクロホン
Claims (24)
- 複数の音声チャンネルを備えた音響出力装置と、聴取位置に配置されるマイクロホンからの収音音声の供給を受けて、前記音響出力装置の複数の前記音声チャンネルのそれぞれに接続されたスピーカの距離測定を行う測定装置とからなる距離測定補正システムであって、
前記音響出力装置は、
基準音声チャンネルと、他の音声チャンネルとを選択し、選択した音声チャンネルを通じてテスト信号を出力するようにするとともに、前記他の音声チャンネルを所定期間ごとに他の音声チャンネルに切り換えるようにする切り換え手段と、
前記測定装置からの距離パラメータの供給を受けて、前記複数の音声チャンネルごとに音声信号の遅延時間を制御する遅延手段と
を備え、
前記測定装置は、
前記マイクロホンにより収音した前記基準音声チャンネルのスピーカからの音声と前記他の音声チャンネルのスピーカからの音声とを含む測定信号に基づいて、聴取位置に対する測定対象のスピーカの相対的な距離を求めるようにする距離測定手段と、
前記距離測定手段の測定結果に基づいて、前記他の音声チャンネルに対する距離パラメータを形成し、これを前記前記音響出力装置に供給するようにするパラメータ形成手段と
を備えることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1に記載の距離測定補正システムであって、
前記音響出力装置は、前記所定期間内において、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとのうちの一方の音声信号の遅延時間を、あるいは、両方の音声チャンネルについて1チャンネルづつ音声信号の遅延時間を、変化させるようにする遅延変化手段を備えることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1に記載の距離測定補正システムであって、
前記測定装置は、
前記音響出力装置の前記遅延手段を制御して、前記所定期間内において、前記基準音声チャンネルと前記他の1つの音声チャンネルとのうちの一方の音声信号の遅延時間を、あるいは、両方のチャンネルについて1チャンネルづつ音声信号の遅延時間を、変化させるようにするための制御信号を形成して前記音響出力装置に供給するようにする遅延制御手段を備えることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1、請求項2または請求項3に記載の距離測定補正システムであって、
前記測定装置は、
前記テスト信号を発生させて、前記音響出力装置に供給するようにするテスト信号発生手段を備えることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の距離測定補正システムであって、
前記テスト信号は、所定形状のパルス信号であることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項5に記載の距離測定補正システムであって、
前記テスト信号は、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとでは、極性の異なるパルス信号であることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の距離測定補正システムであって、
前記テスト信号は、非調和の関係にある2周波の信号からなるものであることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の距離測定補正システムであって、
前記テスト信号は、ランダムノイズ信号であり、
前記測定装置の前記距離測定手段は、自己相関を用いて、聴取位置に対する測定対象の前記スピーカの相対的な距離を求めるようにすることを特徴とする距離測定補正システム。 - 請求項8に記載の発明の距離測定補正システムであって、
前記距離測定手段は、
前記測定信号について高速フーリエ変換を所定回実行する手段と、
高速フーリエ変換された前記測定信号のパワースペクトルの平均を求める手段と、
前記パワースペクトルの平均を逆高速フーリエ変換することにより、被測定物からの音声信号の自己相関を求める手段と、
求めた前記自己相関からピークを検出し、測定対象となっている前記スピーカについての前記聴取位置に対する相対的な距離を求める手段と
からなることを特徴とする距離測定補正システム。 - 複数の音声チャンネルを備え、供給される距離パラメータに応じて、前記複数の音声チャンネルごとに音声信号の遅延時間を制御することが可能な音響出力装置に対して、前記距離パラメータを形成して供給する距離測定装置であって、
前記音響出力装置は、基準音声チャンネルと、他の音声チャンネルとを選択し、選択した音声チャンネルを通じてテスト信号を出力するようにするとともに、前記他の音声チャンネルを所定期間ごとに他の音声チャンネルに切り換えることができるようにされており、
聴取位置に配置されるマイクロホンにより収音した前記基準音声チャンネルのスピーカからの音声と前記他の音声チャンネルのスピーカからの音声とを含む測定信号に基づいて、聴取位置に対する測定対象の前記スピーカの相対的な距離を求めるようにする距離測定手段と、
前記距離測定手段の測定結果に基づいて、前記他の音声チャンネルに対する距離パラメータを形成し、これを前記前記音響出力装置に供給するようにするパラメータ形成手段と
を備えることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項10に記載の距離測定装置であって、
前記音響出力装置を制御して、前記所定期間内において、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとのうちの一方の音声信号の遅延時間を、あるいは、両方の音声チャンネルについて1チャンネルづつ音声信号の遅延時間を、変化させるようにするための制御信号を形成して前記音響出力装置に供給するようにする遅延制御手段を備えることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項10または請求項11に記載の距離測定装置であって、
前記テスト信号を発生させて、前記音響出力装置に供給するようにするテスト信号発生手段を備えることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項請求項10、請求項11または12に記載の距離測定装置であって、
前記テスト信号は、所定形状のパルス信号であることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項13に記載の距離測定装置であって、
前記テスト信号は、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとでは、極性の異なるパルス信号であることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項10、請求項11または請求項12に記載の距離測定装置であって、
前記テスト信号は、非調和の関係にある2周波の信号からなるものであることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項10、請求項11、請求項12に記載の距離測定装置であって、
前記テスト信号は、ランダムノイズ信号であり、
前記距離測定手段は、自己相関を用いて、聴取位置に対する測定対象の前記スピーカの相対的な距離を求めるようにすることを特徴とする距離測定装置。 - 請求項16に記載の距離測定装置であって、
前記距離測定手段は、
前記測定信号について高速フーリエ変換を所定回実行する手段と、
高速フーリエ変換された前記測定信号のパワースペクトルの平均を求める手段と、
前記パワースペクトルの平均を逆高速フーリエ変換することにより、被測定物からの音声信号の自己相関を求める手段と、
求めた前記自己相関からピークを検出し、測定対象になっている前記スピーカについての前記聴取位置に対する相対的な距離を求める手段と
からなることを特徴とする距離測定装置。 - 音声信号を出力する複数の音声チャンネルを備えた距離測定補正装置であって、
供給される距離パラメータに応じて、前記複数の音声チャンネルごとに音声信号の遅延時間を制御する遅延手段と
前記複数の音声チャンネルから、基準音声チャンネルと、他の音声チャンネルとを選択し、選択した音声チャンネルを通じてテスト信号を出力するようにするとともに、前記他の音声チャンネルを所定期間ごとに他の音声チャンネルに切り換えるようにする切り換え手段と、
聴取位置に配置されるマイクロホンにより収音された前記基準音声チャンネルのスピーカからの音声と前記他の音声チャンネルのスピーカからの音声とを含む測定信号に基づいて、聴取位置に対する測定対象のスピーカの相対的な距離を求めるようにする距離測定手段と、
前記距離測定手段の測定結果に基づいて、前記他の音声チャンネルに対する距離パラメータを形成し、これを前記遅延手段に供給するようにするパラメータ形成手段と
を備えることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項18に記載の距離測定補正装置であって、
前記所定期間内において、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとのうちの一方の音声信号の遅延時間を、あるいは、両方の音声チャンネルについて1チャンネルづつ音声信号の遅延時間を、変化させるようにする遅延変化手段を備えることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項18または請求項19に記載の距離測定補正装置であって、
前記テスト信号は、所定形状のパルス信号であることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項20に記載の距離測定補正装置であって、
前記テスト信号は、前記基準音声チャンネルと前記他の音声チャンネルとでは、極性の異なるパルス信号であることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項18または請求項19に記載の距離測定補正装置であって、
前記テスト信号は、非調和の関係にある2周波の信号からなるものであることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項18または請求項19に記載の距離測定補正装置であって、
前記テスト信号は、ランダムノイズ信号であり、
前記距離測定手段は、自己相関を用いて、聴取位置に対する測定対象の前記スピーカの相対的な距離を求めるようにすることを特徴とする距離測定補正装置。 - 請求項23に記載の発明の距離測定補正装置であって、
前記距離測定手段は、
前記測定信号について高速フーリエ変換を所定回実行する手段と、
高速フーリエ変換された前記測定信号のパワースペクトルの平均を求める手段と、
前記パワースペクトルの平均を逆高速フーリエ変換することにより、被測定物からの音声信号の自己相関を求める手段と、
求めた前記自己相関からピークを検出し、測定対象になっている前記スピーカについての前記聴取位置に対する相対的な距離を求める手段と
からなることを特徴とする距離測定補正装置。
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