JP2004166058A - スキャナの画像読取機構、スキャナ装置及び画像読取方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一種のローパスフィルタを形成する光学的平滑化処理を実行し、画像処理全体のスループット向上することができるスキャナの画像読取機構を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿61は、スキャナ押さえローラ21によって押さえられ、矢印62の方向にイメージセンサ24で読取られながら、矢印62に向かって搬送される。シャッタ板11は、透明な板部材であり、厚みdを有する。この厚みdによって、イメージセンサ24の焦点位置がわずかに原稿からずれる。このように、イメージセンサ24の焦点位置を原稿からずらすことによって、原稿は、ぼかされて、イメージセンサ24によって読み取られる。このぼかしによる光学的平滑化処理を実行し、粒状ノイズは、シャープネス処理を施しても、強調されることはなく、2値化処理後の粒状ノイズの残存を減少させ、同時に、画像処理時間の短縮を図る。
【選択図】 図3
【解決手段】原稿61は、スキャナ押さえローラ21によって押さえられ、矢印62の方向にイメージセンサ24で読取られながら、矢印62に向かって搬送される。シャッタ板11は、透明な板部材であり、厚みdを有する。この厚みdによって、イメージセンサ24の焦点位置がわずかに原稿からずれる。このように、イメージセンサ24の焦点位置を原稿からずらすことによって、原稿は、ぼかされて、イメージセンサ24によって読み取られる。このぼかしによる光学的平滑化処理を実行し、粒状ノイズは、シャープネス処理を施しても、強調されることはなく、2値化処理後の粒状ノイズの残存を減少させ、同時に、画像処理時間の短縮を図る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャナの画像読取機構に関する。特に、原稿とイメージセンサの間に隙間を設け、光学的平滑処理を行うスキャナの画像読取機構、スキャナ装置及び画像読取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、小切手等の画像をスキャナで読み取った後、その読み取った画像から背景領域の不必要な情報を除去するために、ソフトウェアによるシャープネス処理を行ない、画像強調する。このシャープネス画像データは、原画像と同様に、グレイレベルで表現される。従って、一定の閾値を設けて、さらに、不必要な背景レベルを削減し、画像データ量の削減を図るため2値化処理を行う。しかし、粒状ノイズは、高域の周波数成分を有するために、シャープネス処理を行うと、却って、上記ノイズが強調され2値化処理の結果、粒状ノイズが残存し、画像データ量が増加してしまう恐れがある。
【0003】
そこで、シャープネス処理の前処理として、粒状ノイズの高域の周波数成分を減少させることにより、粒状ノイズの輝度レベルを下げる効果を有する平滑化処理を実行した後、シャープネス処理を実行している。図8に、従来のソフトウェアによる画像処理フローを示す。イメージセンサから画像データを取り込み(ステップS100)、ステップS104まで実行し、画像データを出力する。ここで、ステップS101の平滑化処理を付加することにより、粒状ノイズの輝度レベルを下げ、輝度レベルの変化率を小さくすることで、2値化処理(ステップS103)による粒状ノイズの残存を減少させ、画像データ量の増加を防ぐことが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−126055
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ソフトウェアによる平滑化処理は、アルゴリズムの変更に対応できるなど、種々の利点がある一方、CPU等のハードウェアの処理能力に制限がある場合には、画像処理におけるスループットの低下等の弊害をもたらす恐れもある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ソフトによる平滑化処理に代わり、画像入力時に、光学的平滑化処理を実行することで画像処理全体のスループットの向上を図ることができるスキャナの画像読取機構、スキャナ装置及び画像読取方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に一態様に係るスキャナ読取機構は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、イメージセンサをスキャナの筐体に固定するために、イメージセンサを保持するホルダ部材と、透光性を有する所定の厚みのシャッタ部材をイメージセンサと原稿との間に挿入し、又は退避させるシャッタ機構と、原稿をシャッタ部材を介して又は直接前記イメージセンサに押圧しつつ搬送するスキャナ押えローラと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本態様では、イメージセンサを保持するホルダ部材と、イメージセンサと原稿との間に厚みを有するシャッタ板を挿入することで、イメージセンサの焦点位置をずらし、小切手等の原稿をぼかして読み取ることにより、光学的な平滑化処理を行うことが可能である。これにより、画像処理のスループットを向上することができる。
【0009】
本発明に他の態様に係るスキャナ読取機構は、前記シャッタ機構は、前記シャッタ部材を先端に取り付けたシャッタ支持部材と、前記シャッタ支持部材を回動させる回動軸と、前記回動軸に固定された駆動歯車と、該駆動歯車を駆動するモータと、を備えたシャッタ機構であることを特徴とする
本態様では、小切手等の原稿をぼかして読み取ることと、焦点を合わせて、読み取ることを可能とする。これにより、平滑化フィルタとフィルタなしの処理を適時、実行することが可能である。
【0010】
本発明に他の態様に係るスキャナ読取機構は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像情報を読み込むイメージセンサと、イメージセンサをスキャナの筐体に固定するために、イメージセンサを保持するホルダ部材とを備え、前記イメージセンサは、そのイメージセンサの読取位置が前記スキャナ押さえローラの前記原稿の押さえ位置から所定の距離だけずれるように設定され、前記原稿は、前記イメージセンサの読取位置より僅かに外側に離れた所定の位置で読み取られるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に一態様に係るスキャナ装置は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、イメージセンサを原稿の搬送路面から僅かに窪んだ位置に段差を持って保持するホルダ部材と、原稿を収納して搬送する所定の剛性を有し、透光性を有する原稿ホルダと、原稿ホルダをホルダ部材方向に押圧するスキャナ押えローラとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に一態様に係る画像読取方法は、被読取媒体に印刷されている画像情報をイメージセンサにより取得する画像読取方法であって、(a)被読取媒体の画像情報を、イメージセンサの焦点を僅かにずらした状態で取得する工程と、(b)取得した画像情報に基づき画像処理する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に他の態様に係る画像読取方法は、工程(a)が、被読取媒体とイメージセンサの間に所定の厚みの透光性を有する間隙部材を挿入することにより、イメージセンサにより前記画像情報を取得することを特徴とする。
【0014】
本発明に他の態様に係る画像読取方法は、工程(a)が、原稿を所定の剛性の透明性を有する原稿ホルダに収納して搬送することによりイメージセンサにより画像情報を取得することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスキャナの画像読取機構の斜視図である。
【0016】
スキャナの画像読取機構1は、シャッタ支持部材10、シャッタ板11、スキャナヘッド20、スキャナ押えローラ21を備えており、シャッタ支持部材10は、支持軸12により筐体23に軸支されている。支持軸12には、駆動歯車22が取り付けられており、モータ26(図2に図示)により駆動される。
【0017】
また、スキャナ押えローラ21のスキャナ押えローラ軸29(以下、ローラ軸という)は、スライド穴28に支持されており、スキャナヘッド20に対して前後に移動することができる。ローラ軸29は、シャッタ板11の開閉状態に応じて、スキャナヘッド20に対して前後に移動する。
【0018】
図2は、図1に示したスキャナの画像読取機構とプリンタとを組み合わせた複合装置の用紙搬送経路を示す図である。
【0019】
図2を使用して、スキャナの画像読取機構1の動作を詳細に説明する。スキャナヘッド20は、イメージセンサ24とこれを保持するホルダ部材25で構成される。シャッタ支持部材10の先端にシャッタ板11が取り付けられている。駆動歯車22が回転することによって、シャッタ支持部材10の全体が回転して、シャッタ板11は、イメージセンサ24に対して開閉する。図2では、シャッタ板11が、イメージセンサ24に対して閉じた状態を示している。イメージセンサ24としては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)を使用することができる。
【0020】
シャッタ板11は、その厚みによりイメージセンサ24の焦点を僅かにずらす役割を果たす透明な板である。小切手等は、このシャッタ板11を挟んだ状態でイメージセンサにより読み取られる。
【0021】
一方、プリンタ50は、紙挿入口51、紙搬送ローラ52a、紙検出器53、フォームストッパ54、フォームストッパ駆動部55、裏面印字ヘッド56、裏面印字用プラテン57、紙搬送ローラ52b、表面印字用プラテン59及び表面印字ヘッド60を備えている。
【0022】
小切手等の原稿(以下、原稿という)は、紙挿入口51から挿入され、紙搬送ローラ52aによって搬送され、裏面印字ヘッド56で裏面に印字される。裏面印字された原稿は、紙搬送ローラ52bによって、さらに搬送された後、表面印字ヘッド60により、表面に印字される。表面印字された後、原稿は、プリンタ50から離れて、スキャナの画像読取機構1に供給される。シャッタ板11が開いた状態の場合には、供給された原稿は、イメージセンサ24の表面上を通過し、一方、シャッタ板11が閉じた状態の場合には、供給された原稿は、シャッタ板11の表面上を通過する。
【0023】
シャッタ板11が閉じた状態での読取では、スキャナ押えローラ21とイメージセンサ24の間に原稿を挿入することができるように、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スライド穴28の所定の位置より、スキャナセンサ24に対して後方に移動する。原稿がスキャナセンサ24の読取位置まで搬送されると、ローラ軸29は、シャッタ板11の方向に移動し、原稿をシャッタ板11に押し付ける。その後、原稿は、イメージセンサ24によって、読み取られながらスキャナ押えローラ21により搬送され、原稿排出口30に送られる。
【0024】
一方、シャッタ板11を開くときには、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スキャナセンサ24に対して後方に移動し、シャッタ板11の移動を可能にする。その後、駆動歯車22が回転することによって、シャッタ支持部材10は、シャッタ板11が開く方向(図5に示すA方向と逆方向)に回転し、スキャナセンサ24に対してシャッタ板11が開き、原稿が、スキャナセンサ24の表面上を通過することができる。なお、シャッタ板駆動モータ26は、モータドライバ27からの指令を受けて、駆動歯車22を駆動する。
【0025】
図3は、原稿61、シャッタ板11及びイメージセンサ24の位置関係を示す図である。図3(a)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板11が挿入されている場合(シャッタ板が閉じた状態)を示す図である。図3(b)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板が挿入されていない場合を示す図である。
【0026】
図3(a)において、原稿61は、スキャナ押えローラ21によって、シャッタ板11に押さえつけられて、イメージセンサ24により読取られながら、矢印62の方向に搬送される。シャッタ板11は、透明な板部材であり、厚みdを有する。一方、イメージセンサ24の焦点位置は、イメージセンサ24の表面位置にある。従って、この厚みdによって、イメージセンサ24の焦点位置は、原稿61面から僅かにずれる。一例として、この厚みdは、約0.5mmである。
【0027】
このように、イメージセンサ24の焦点を僅かにずらすことによって、原稿61は、ぼかされて、イメージセンサ24により読み取られる。このぼかしは、ソフトウェアの平滑化処理の効果と同様な効果をもたらし、高域の周波数成分を有する粒状ノイズの周波数成分から高域成分を減少させることができる。即ち、粒状ノイズの輝度の急峻な傾きを滑らかにする。輝度の傾きが滑らかになった粒状ノイズに、シャープネス処理を施しても、強調されることはなく、2値化処理した後、この粒状ノイズの残存を減少させることができる。
【0028】
図4を用いて、この場合の処理手順を説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態を利用した画像処理フローを示す。上述のようにシャッタ板11を介して画像データを読み取ると、イメージの焦点が僅かにぼけるため、原稿を読取ながら光学的に平滑処理を実行することができる(ステップS200)。そのためソフトウェアによる平滑化処理を実行する時間を削除でき画像の入力から画像出力までの処理全体のスループットの向上を図ることが可能である。なお、ステップS201から画像出力(S203)までの処理フローは、従来の画像処理フローと同様である。
【0030】
シャッタ板11の板部材は、透明な部材としているが、例えば、特定な波長帯域のみの光を通すような部材であってもよく、特定な色情報を使用して、後段のシャープネス処理を行うことで、背景領域の画像と必要な画像情報の分離を容易にすることも可能である。
【0031】
なお、イメージセンサ24の読み取り位置は、スキャナ押えローラ21が原稿61を押さえている位置、即ち、スキャナ読取位置Pである。
【0032】
最終の画像出力として、処理画像ではなく、原画像そのものを記憶しておく必要がある場合がある。例えば、原稿との照合をする場合等のケースがあげらる。このように、原稿の原画像を取得したい要求があった場合、即ち、シャープネス処理、2値化処理を実行せずに原画像のみを取得したい場合には、図3(b)に示すように、シャッタ板11を開いた状態で原稿61の読み取りを行う。
【0033】
シャッタ板11を開いた状態では、スキャナ押えローラ21とイメージセンサ24の間の厚みdによる間隙が存在しない。従って、光学的な平滑化処理が行われず、原画像(グレースケール・データ)を取り込むことができる。従って、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、シャッタ板11がイメージセンサ24に対して開いた状態にある場合には、シャッタ板11の厚みdの分だけ、さらにスキャナセンサ24に対して前方に移動し、原稿の押さえ位置を変える必要がある。スキャナ押えローラ21のローラ軸29の動作については、下記の図5を使用して説明する。
【0034】
図5は、スキャナの画像読取機構部のシャッター支持部材の駆動による原稿の読取手順を示す図である。
【0035】
図5(a)から(c)までの図は、シャッター支持部材10を駆動して、シャッタ板11がイメージセンサ24の表面を閉じた後、光学的平滑化処理を実行しながら原稿61の読取を行う手順を示す。
【0036】
図5(a)は、原稿61の読取の初期状態を示す(ステップS1)。シャッター支持部材10の先端に取り付けられているシャッタ板11は、イメージセンサ24の表面から一定の角度を向いており、イメージセンサ24の表面が、開放している。また、原稿61は、まだ挿入されていない状態を示す。ここで、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スライド穴28の所定の位置よりスキャナセンサ24に対して後方に移動しており、原稿61をシャッタ板11に押し付ける位置から離れている。
【0037】
図5(b)は、原稿61の読取の次ステップを示す(ステップS2)。ステップS1の状態から、シャッタ板駆動モータ26により、駆動歯車22が回転し、シャッター支持部材10は、図6(a)に示すA方向に回転する。その後、シャッタ板11が、イメージセンサ24に対して閉じた位置で止まる。この状態で、原稿61がイメージセンサ24の読取位置C1に挿入される。しかし、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、まだ、スライド穴28の所定の位置よりスキャナセンサ24に対して前方に移動しており、原稿61は、スキャナ押えローラ21によりシャッタ板11に押し付けられていない。
【0038】
図5(c)は、原稿61の読取のステップS3を示す。ステップS2の状態から、スキャナ押えローラ21のローラ軸29を、ローラ軸29を支持しているスライド穴28の所定の位置より図5(b)に示すB方向即ちスキャナセンサ24に対して前方に移動させる。これにより、原稿61は、スキャナ押えローラ21によりシャッタ板11に押し付けられる。このような状態で、スキャナ押えローラ21が、C方向に回転しつつ、原稿61は、イメージセンサ24により読み込まれながら、搬送される。
【0039】
次に、図5(d)は、光学的平滑化処理を行わずに、原稿61を読み込む場合を示す。シャッター支持部材10の位置は、図5(a)と同様に、イメージセンサ24の表面から一定の角度を向いて保持され、シャッタ板11は、イメージセンサ24に対して開いている。このような状態から、スキャナ押えローラ21のローラ軸29を、シャッタ板11の厚さd分だけ、スライド穴28の図5(c)に示す位置よりスキャナセンサ24に対して、さらに前方に移動させる。これにより、原稿61は、イメージセンサ24に押し付けられる。このような状態において、スキャナ押えローラ21のC方向に回転することによって、原稿61は、イメージセンサ24により読み込まれながら、搬送される。
【0040】
次に本発明の他の実施形態を説明する。シャッタ板11を用いた読み取りと同様の効果は後述する原稿ホルダを用いても得ることができる。図6を用いて説明する。
【0041】
図6(a)は、原稿ホルダとホルダ部材の位置関係を示す図である。また、図6(b)は、原稿ホルダの拡大図である。
【0042】
イメージセンサ24を保持するホルダ部材25は、矢印62に示す搬送方向の上流と下流側の両側又はどちらか一方に、イメージセンサ24の読取面に対して、僅かに段差d1を設けたものである。この段差の上端部に図6(b)に示す原稿ホルダ63を載せて、スキャナ押えローラ21により、搬送しながら、原稿61を読取みとる。この原稿ホルダ63は、透明なフィルム部材で構成されており、スキャナ押えローラ21の押圧により弛むことが無い程度の硬さを有したものである。また、原稿61は、図6(b)に示すように、この原稿ホルダ63内に挟まれた状態で読取みとられる。
【0043】
なお、この原稿ホルダ63の部材は、一般的には透明な部材であるが、シャッタ板11と同様に、例えば、特定な波長帯域のみの光を通すような部材であってもよく、特定な色情報を使用して、後段のシャープネス処理を行うことで、背景領域の画像と必要な画像情報の分離を容易にすることも可能である。
【0044】
このホルダ部材25の段差d1があることにより、原稿61とイメージセンサ24の間に隙間ができ、原稿61は、イメージセンサ24の焦点位置から僅かながらずれて読み取られる。このように、図3に示したシャッタ板11の厚みdにより原稿61が、イメージセンサ24の焦点位置から僅かながらずれて読み取られる場合と同様に、原稿61は、ぼかされて、イメージセンサ24により読み取られ、光学的平滑処理を実行することができる。
【0045】
なお、段差d1は、図3(a)に示したシャッタ板11の厚みdと同様、一例として、約0.5mmである。
【0046】
図7は、スキャナ押えローラの押さえ位置からイメージセンサが原稿を読取る位置をずらした場合を示す図である。
【0047】
イメージセンサ24を保持するホルダ部材25は、矢印62に示す搬送方向の上流及び下流の両側に段差d1を有している。このとき、スキャナ押えローラ21の押さえ所定の位置C1に対して、イメージセンサ24の読取位置C2を距離d2だけずらす。原稿61は、スキャナ押えローラ21によりイメージセンサ24の面のC1の位置で押さえられるが、原稿ホルダ63の段差d1の存在のため、イメージセンサ24の読取位置C2の位置では、原稿61は、一定の距離d3だけイメージセンサ24から浮き上がる。このため、原稿61は、イメージセンサ24の焦点位置から距離d3だけずれて読み取られる。
【0048】
これにより、僅かに、ぼかした画質で原稿61を読み込むことができる。即ち、図3に示したシャッタ板11の厚みによる効果と同様に光学的平滑化フィルタの効果をもたらすことができる。
【0049】
この場合、距離d3により、ぼかしの程度が大きく、シャープネス処理を行っても文字判読性を損なうことがあってはならない。
【0050】
なお、上記に説明した実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、イメージセンサと読み取り原稿との距離を機械的に離隔し、イメージセンサの焦点位置を原稿から僅かにずらすことによって、一種の光学的ローパスフィルタを形成し、粒状ノイズの輝度レベルを下げることで2値化処理後における粒状ノイズの残存を減少させ、画像データ量の増加を防ぐことができる。これにより、画像入力と同時に実行することができるため、画像処理全体のスループットの向上を図ることができる。
【0052】
さらに、シャープネス処理、2値化処理を実行せずに原稿の原画像を取得する要求があった場合、シャッタ支持部材の先端に取り付けられているシャッタ板をイメージセンサに対して開いた状態で、イメージセンサにより原稿を読み取とることによって、原稿の原画像データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に一実施形態に係るスキャナの画像読取機構部の斜視図である。
【図2】図1に示したスキャナの画像読取機構とプリンタとを組み合わせた複合装置の用紙搬送経路を示す図である。
【図3】(a)は、原稿、シャッタ板及びイメージセンサの位置関係を示す図であり、(b)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板が挿入されていない場合を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を利用した画像処理フローを示す。
【図5】スキャナの画像読取機構部のシャッター支持部材の駆動による原稿の読取手順を示す図である。
【図6】(a)は、原稿ホルダとホルダ部材の位置関係を示す図であり、(b)は、原稿ホルダの拡大図である。
【図7】スキャナ押えローラの押さえ所定の位置からイメージセンサの読取位置をずらした場合を示す図である。
【図8】従来のソフトウェアによる画像処理フローを示す。
【符号の説明】
1 スキャナの画像読取機構部、 10 シャッター支持部材、
11 シャッタ板、 12 支持軸、
20 スキャナヘッド、 21 スキャナ押えローラ、
22 駆動歯車、 23 筐体、
24 イメージセンサ、 25 ホルダ部材、
26 シャッタ板駆動モータ、 27 モータドライバ、
28 スライド穴、 29 スキャナ押えローラ軸、
30 原稿排出口、 50 プリンタ、
51 紙挿入口、 52a、52b 紙搬送ローラ
53 紙検出器、 54 フォームストッパ、
55 フォームストッパ駆動部、 56 裏面印字ヘッド、
57 裏面印字用プラテン、 59 表面印字用プラテン、
60 表面印字ヘッド、 61 原稿、
63 原稿ホルダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャナの画像読取機構に関する。特に、原稿とイメージセンサの間に隙間を設け、光学的平滑処理を行うスキャナの画像読取機構、スキャナ装置及び画像読取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、小切手等の画像をスキャナで読み取った後、その読み取った画像から背景領域の不必要な情報を除去するために、ソフトウェアによるシャープネス処理を行ない、画像強調する。このシャープネス画像データは、原画像と同様に、グレイレベルで表現される。従って、一定の閾値を設けて、さらに、不必要な背景レベルを削減し、画像データ量の削減を図るため2値化処理を行う。しかし、粒状ノイズは、高域の周波数成分を有するために、シャープネス処理を行うと、却って、上記ノイズが強調され2値化処理の結果、粒状ノイズが残存し、画像データ量が増加してしまう恐れがある。
【0003】
そこで、シャープネス処理の前処理として、粒状ノイズの高域の周波数成分を減少させることにより、粒状ノイズの輝度レベルを下げる効果を有する平滑化処理を実行した後、シャープネス処理を実行している。図8に、従来のソフトウェアによる画像処理フローを示す。イメージセンサから画像データを取り込み(ステップS100)、ステップS104まで実行し、画像データを出力する。ここで、ステップS101の平滑化処理を付加することにより、粒状ノイズの輝度レベルを下げ、輝度レベルの変化率を小さくすることで、2値化処理(ステップS103)による粒状ノイズの残存を減少させ、画像データ量の増加を防ぐことが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−126055
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ソフトウェアによる平滑化処理は、アルゴリズムの変更に対応できるなど、種々の利点がある一方、CPU等のハードウェアの処理能力に制限がある場合には、画像処理におけるスループットの低下等の弊害をもたらす恐れもある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ソフトによる平滑化処理に代わり、画像入力時に、光学的平滑化処理を実行することで画像処理全体のスループットの向上を図ることができるスキャナの画像読取機構、スキャナ装置及び画像読取方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に一態様に係るスキャナ読取機構は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、イメージセンサをスキャナの筐体に固定するために、イメージセンサを保持するホルダ部材と、透光性を有する所定の厚みのシャッタ部材をイメージセンサと原稿との間に挿入し、又は退避させるシャッタ機構と、原稿をシャッタ部材を介して又は直接前記イメージセンサに押圧しつつ搬送するスキャナ押えローラと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本態様では、イメージセンサを保持するホルダ部材と、イメージセンサと原稿との間に厚みを有するシャッタ板を挿入することで、イメージセンサの焦点位置をずらし、小切手等の原稿をぼかして読み取ることにより、光学的な平滑化処理を行うことが可能である。これにより、画像処理のスループットを向上することができる。
【0009】
本発明に他の態様に係るスキャナ読取機構は、前記シャッタ機構は、前記シャッタ部材を先端に取り付けたシャッタ支持部材と、前記シャッタ支持部材を回動させる回動軸と、前記回動軸に固定された駆動歯車と、該駆動歯車を駆動するモータと、を備えたシャッタ機構であることを特徴とする
本態様では、小切手等の原稿をぼかして読み取ることと、焦点を合わせて、読み取ることを可能とする。これにより、平滑化フィルタとフィルタなしの処理を適時、実行することが可能である。
【0010】
本発明に他の態様に係るスキャナ読取機構は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像情報を読み込むイメージセンサと、イメージセンサをスキャナの筐体に固定するために、イメージセンサを保持するホルダ部材とを備え、前記イメージセンサは、そのイメージセンサの読取位置が前記スキャナ押さえローラの前記原稿の押さえ位置から所定の距離だけずれるように設定され、前記原稿は、前記イメージセンサの読取位置より僅かに外側に離れた所定の位置で読み取られるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に一態様に係るスキャナ装置は、光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、イメージセンサを原稿の搬送路面から僅かに窪んだ位置に段差を持って保持するホルダ部材と、原稿を収納して搬送する所定の剛性を有し、透光性を有する原稿ホルダと、原稿ホルダをホルダ部材方向に押圧するスキャナ押えローラとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に一態様に係る画像読取方法は、被読取媒体に印刷されている画像情報をイメージセンサにより取得する画像読取方法であって、(a)被読取媒体の画像情報を、イメージセンサの焦点を僅かにずらした状態で取得する工程と、(b)取得した画像情報に基づき画像処理する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に他の態様に係る画像読取方法は、工程(a)が、被読取媒体とイメージセンサの間に所定の厚みの透光性を有する間隙部材を挿入することにより、イメージセンサにより前記画像情報を取得することを特徴とする。
【0014】
本発明に他の態様に係る画像読取方法は、工程(a)が、原稿を所定の剛性の透明性を有する原稿ホルダに収納して搬送することによりイメージセンサにより画像情報を取得することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスキャナの画像読取機構の斜視図である。
【0016】
スキャナの画像読取機構1は、シャッタ支持部材10、シャッタ板11、スキャナヘッド20、スキャナ押えローラ21を備えており、シャッタ支持部材10は、支持軸12により筐体23に軸支されている。支持軸12には、駆動歯車22が取り付けられており、モータ26(図2に図示)により駆動される。
【0017】
また、スキャナ押えローラ21のスキャナ押えローラ軸29(以下、ローラ軸という)は、スライド穴28に支持されており、スキャナヘッド20に対して前後に移動することができる。ローラ軸29は、シャッタ板11の開閉状態に応じて、スキャナヘッド20に対して前後に移動する。
【0018】
図2は、図1に示したスキャナの画像読取機構とプリンタとを組み合わせた複合装置の用紙搬送経路を示す図である。
【0019】
図2を使用して、スキャナの画像読取機構1の動作を詳細に説明する。スキャナヘッド20は、イメージセンサ24とこれを保持するホルダ部材25で構成される。シャッタ支持部材10の先端にシャッタ板11が取り付けられている。駆動歯車22が回転することによって、シャッタ支持部材10の全体が回転して、シャッタ板11は、イメージセンサ24に対して開閉する。図2では、シャッタ板11が、イメージセンサ24に対して閉じた状態を示している。イメージセンサ24としては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)を使用することができる。
【0020】
シャッタ板11は、その厚みによりイメージセンサ24の焦点を僅かにずらす役割を果たす透明な板である。小切手等は、このシャッタ板11を挟んだ状態でイメージセンサにより読み取られる。
【0021】
一方、プリンタ50は、紙挿入口51、紙搬送ローラ52a、紙検出器53、フォームストッパ54、フォームストッパ駆動部55、裏面印字ヘッド56、裏面印字用プラテン57、紙搬送ローラ52b、表面印字用プラテン59及び表面印字ヘッド60を備えている。
【0022】
小切手等の原稿(以下、原稿という)は、紙挿入口51から挿入され、紙搬送ローラ52aによって搬送され、裏面印字ヘッド56で裏面に印字される。裏面印字された原稿は、紙搬送ローラ52bによって、さらに搬送された後、表面印字ヘッド60により、表面に印字される。表面印字された後、原稿は、プリンタ50から離れて、スキャナの画像読取機構1に供給される。シャッタ板11が開いた状態の場合には、供給された原稿は、イメージセンサ24の表面上を通過し、一方、シャッタ板11が閉じた状態の場合には、供給された原稿は、シャッタ板11の表面上を通過する。
【0023】
シャッタ板11が閉じた状態での読取では、スキャナ押えローラ21とイメージセンサ24の間に原稿を挿入することができるように、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スライド穴28の所定の位置より、スキャナセンサ24に対して後方に移動する。原稿がスキャナセンサ24の読取位置まで搬送されると、ローラ軸29は、シャッタ板11の方向に移動し、原稿をシャッタ板11に押し付ける。その後、原稿は、イメージセンサ24によって、読み取られながらスキャナ押えローラ21により搬送され、原稿排出口30に送られる。
【0024】
一方、シャッタ板11を開くときには、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スキャナセンサ24に対して後方に移動し、シャッタ板11の移動を可能にする。その後、駆動歯車22が回転することによって、シャッタ支持部材10は、シャッタ板11が開く方向(図5に示すA方向と逆方向)に回転し、スキャナセンサ24に対してシャッタ板11が開き、原稿が、スキャナセンサ24の表面上を通過することができる。なお、シャッタ板駆動モータ26は、モータドライバ27からの指令を受けて、駆動歯車22を駆動する。
【0025】
図3は、原稿61、シャッタ板11及びイメージセンサ24の位置関係を示す図である。図3(a)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板11が挿入されている場合(シャッタ板が閉じた状態)を示す図である。図3(b)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板が挿入されていない場合を示す図である。
【0026】
図3(a)において、原稿61は、スキャナ押えローラ21によって、シャッタ板11に押さえつけられて、イメージセンサ24により読取られながら、矢印62の方向に搬送される。シャッタ板11は、透明な板部材であり、厚みdを有する。一方、イメージセンサ24の焦点位置は、イメージセンサ24の表面位置にある。従って、この厚みdによって、イメージセンサ24の焦点位置は、原稿61面から僅かにずれる。一例として、この厚みdは、約0.5mmである。
【0027】
このように、イメージセンサ24の焦点を僅かにずらすことによって、原稿61は、ぼかされて、イメージセンサ24により読み取られる。このぼかしは、ソフトウェアの平滑化処理の効果と同様な効果をもたらし、高域の周波数成分を有する粒状ノイズの周波数成分から高域成分を減少させることができる。即ち、粒状ノイズの輝度の急峻な傾きを滑らかにする。輝度の傾きが滑らかになった粒状ノイズに、シャープネス処理を施しても、強調されることはなく、2値化処理した後、この粒状ノイズの残存を減少させることができる。
【0028】
図4を用いて、この場合の処理手順を説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態を利用した画像処理フローを示す。上述のようにシャッタ板11を介して画像データを読み取ると、イメージの焦点が僅かにぼけるため、原稿を読取ながら光学的に平滑処理を実行することができる(ステップS200)。そのためソフトウェアによる平滑化処理を実行する時間を削除でき画像の入力から画像出力までの処理全体のスループットの向上を図ることが可能である。なお、ステップS201から画像出力(S203)までの処理フローは、従来の画像処理フローと同様である。
【0030】
シャッタ板11の板部材は、透明な部材としているが、例えば、特定な波長帯域のみの光を通すような部材であってもよく、特定な色情報を使用して、後段のシャープネス処理を行うことで、背景領域の画像と必要な画像情報の分離を容易にすることも可能である。
【0031】
なお、イメージセンサ24の読み取り位置は、スキャナ押えローラ21が原稿61を押さえている位置、即ち、スキャナ読取位置Pである。
【0032】
最終の画像出力として、処理画像ではなく、原画像そのものを記憶しておく必要がある場合がある。例えば、原稿との照合をする場合等のケースがあげらる。このように、原稿の原画像を取得したい要求があった場合、即ち、シャープネス処理、2値化処理を実行せずに原画像のみを取得したい場合には、図3(b)に示すように、シャッタ板11を開いた状態で原稿61の読み取りを行う。
【0033】
シャッタ板11を開いた状態では、スキャナ押えローラ21とイメージセンサ24の間の厚みdによる間隙が存在しない。従って、光学的な平滑化処理が行われず、原画像(グレースケール・データ)を取り込むことができる。従って、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、シャッタ板11がイメージセンサ24に対して開いた状態にある場合には、シャッタ板11の厚みdの分だけ、さらにスキャナセンサ24に対して前方に移動し、原稿の押さえ位置を変える必要がある。スキャナ押えローラ21のローラ軸29の動作については、下記の図5を使用して説明する。
【0034】
図5は、スキャナの画像読取機構部のシャッター支持部材の駆動による原稿の読取手順を示す図である。
【0035】
図5(a)から(c)までの図は、シャッター支持部材10を駆動して、シャッタ板11がイメージセンサ24の表面を閉じた後、光学的平滑化処理を実行しながら原稿61の読取を行う手順を示す。
【0036】
図5(a)は、原稿61の読取の初期状態を示す(ステップS1)。シャッター支持部材10の先端に取り付けられているシャッタ板11は、イメージセンサ24の表面から一定の角度を向いており、イメージセンサ24の表面が、開放している。また、原稿61は、まだ挿入されていない状態を示す。ここで、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、スライド穴28の所定の位置よりスキャナセンサ24に対して後方に移動しており、原稿61をシャッタ板11に押し付ける位置から離れている。
【0037】
図5(b)は、原稿61の読取の次ステップを示す(ステップS2)。ステップS1の状態から、シャッタ板駆動モータ26により、駆動歯車22が回転し、シャッター支持部材10は、図6(a)に示すA方向に回転する。その後、シャッタ板11が、イメージセンサ24に対して閉じた位置で止まる。この状態で、原稿61がイメージセンサ24の読取位置C1に挿入される。しかし、スキャナ押えローラ21のローラ軸29は、まだ、スライド穴28の所定の位置よりスキャナセンサ24に対して前方に移動しており、原稿61は、スキャナ押えローラ21によりシャッタ板11に押し付けられていない。
【0038】
図5(c)は、原稿61の読取のステップS3を示す。ステップS2の状態から、スキャナ押えローラ21のローラ軸29を、ローラ軸29を支持しているスライド穴28の所定の位置より図5(b)に示すB方向即ちスキャナセンサ24に対して前方に移動させる。これにより、原稿61は、スキャナ押えローラ21によりシャッタ板11に押し付けられる。このような状態で、スキャナ押えローラ21が、C方向に回転しつつ、原稿61は、イメージセンサ24により読み込まれながら、搬送される。
【0039】
次に、図5(d)は、光学的平滑化処理を行わずに、原稿61を読み込む場合を示す。シャッター支持部材10の位置は、図5(a)と同様に、イメージセンサ24の表面から一定の角度を向いて保持され、シャッタ板11は、イメージセンサ24に対して開いている。このような状態から、スキャナ押えローラ21のローラ軸29を、シャッタ板11の厚さd分だけ、スライド穴28の図5(c)に示す位置よりスキャナセンサ24に対して、さらに前方に移動させる。これにより、原稿61は、イメージセンサ24に押し付けられる。このような状態において、スキャナ押えローラ21のC方向に回転することによって、原稿61は、イメージセンサ24により読み込まれながら、搬送される。
【0040】
次に本発明の他の実施形態を説明する。シャッタ板11を用いた読み取りと同様の効果は後述する原稿ホルダを用いても得ることができる。図6を用いて説明する。
【0041】
図6(a)は、原稿ホルダとホルダ部材の位置関係を示す図である。また、図6(b)は、原稿ホルダの拡大図である。
【0042】
イメージセンサ24を保持するホルダ部材25は、矢印62に示す搬送方向の上流と下流側の両側又はどちらか一方に、イメージセンサ24の読取面に対して、僅かに段差d1を設けたものである。この段差の上端部に図6(b)に示す原稿ホルダ63を載せて、スキャナ押えローラ21により、搬送しながら、原稿61を読取みとる。この原稿ホルダ63は、透明なフィルム部材で構成されており、スキャナ押えローラ21の押圧により弛むことが無い程度の硬さを有したものである。また、原稿61は、図6(b)に示すように、この原稿ホルダ63内に挟まれた状態で読取みとられる。
【0043】
なお、この原稿ホルダ63の部材は、一般的には透明な部材であるが、シャッタ板11と同様に、例えば、特定な波長帯域のみの光を通すような部材であってもよく、特定な色情報を使用して、後段のシャープネス処理を行うことで、背景領域の画像と必要な画像情報の分離を容易にすることも可能である。
【0044】
このホルダ部材25の段差d1があることにより、原稿61とイメージセンサ24の間に隙間ができ、原稿61は、イメージセンサ24の焦点位置から僅かながらずれて読み取られる。このように、図3に示したシャッタ板11の厚みdにより原稿61が、イメージセンサ24の焦点位置から僅かながらずれて読み取られる場合と同様に、原稿61は、ぼかされて、イメージセンサ24により読み取られ、光学的平滑処理を実行することができる。
【0045】
なお、段差d1は、図3(a)に示したシャッタ板11の厚みdと同様、一例として、約0.5mmである。
【0046】
図7は、スキャナ押えローラの押さえ位置からイメージセンサが原稿を読取る位置をずらした場合を示す図である。
【0047】
イメージセンサ24を保持するホルダ部材25は、矢印62に示す搬送方向の上流及び下流の両側に段差d1を有している。このとき、スキャナ押えローラ21の押さえ所定の位置C1に対して、イメージセンサ24の読取位置C2を距離d2だけずらす。原稿61は、スキャナ押えローラ21によりイメージセンサ24の面のC1の位置で押さえられるが、原稿ホルダ63の段差d1の存在のため、イメージセンサ24の読取位置C2の位置では、原稿61は、一定の距離d3だけイメージセンサ24から浮き上がる。このため、原稿61は、イメージセンサ24の焦点位置から距離d3だけずれて読み取られる。
【0048】
これにより、僅かに、ぼかした画質で原稿61を読み込むことができる。即ち、図3に示したシャッタ板11の厚みによる効果と同様に光学的平滑化フィルタの効果をもたらすことができる。
【0049】
この場合、距離d3により、ぼかしの程度が大きく、シャープネス処理を行っても文字判読性を損なうことがあってはならない。
【0050】
なお、上記に説明した実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、イメージセンサと読み取り原稿との距離を機械的に離隔し、イメージセンサの焦点位置を原稿から僅かにずらすことによって、一種の光学的ローパスフィルタを形成し、粒状ノイズの輝度レベルを下げることで2値化処理後における粒状ノイズの残存を減少させ、画像データ量の増加を防ぐことができる。これにより、画像入力と同時に実行することができるため、画像処理全体のスループットの向上を図ることができる。
【0052】
さらに、シャープネス処理、2値化処理を実行せずに原稿の原画像を取得する要求があった場合、シャッタ支持部材の先端に取り付けられているシャッタ板をイメージセンサに対して開いた状態で、イメージセンサにより原稿を読み取とることによって、原稿の原画像データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に一実施形態に係るスキャナの画像読取機構部の斜視図である。
【図2】図1に示したスキャナの画像読取機構とプリンタとを組み合わせた複合装置の用紙搬送経路を示す図である。
【図3】(a)は、原稿、シャッタ板及びイメージセンサの位置関係を示す図であり、(b)は、原稿とイメージセンサとの間にシャッタ板が挿入されていない場合を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を利用した画像処理フローを示す。
【図5】スキャナの画像読取機構部のシャッター支持部材の駆動による原稿の読取手順を示す図である。
【図6】(a)は、原稿ホルダとホルダ部材の位置関係を示す図であり、(b)は、原稿ホルダの拡大図である。
【図7】スキャナ押えローラの押さえ所定の位置からイメージセンサの読取位置をずらした場合を示す図である。
【図8】従来のソフトウェアによる画像処理フローを示す。
【符号の説明】
1 スキャナの画像読取機構部、 10 シャッター支持部材、
11 シャッタ板、 12 支持軸、
20 スキャナヘッド、 21 スキャナ押えローラ、
22 駆動歯車、 23 筐体、
24 イメージセンサ、 25 ホルダ部材、
26 シャッタ板駆動モータ、 27 モータドライバ、
28 スライド穴、 29 スキャナ押えローラ軸、
30 原稿排出口、 50 プリンタ、
51 紙挿入口、 52a、52b 紙搬送ローラ
53 紙検出器、 54 フォームストッパ、
55 フォームストッパ駆動部、 56 裏面印字ヘッド、
57 裏面印字用プラテン、 59 表面印字用プラテン、
60 表面印字ヘッド、 61 原稿、
63 原稿ホルダ
Claims (7)
- 光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、
前記イメージセンサを前記スキャナの筐体に固定するために、前記イメージセンサを保持するホルダ部材と、
透光性を有する所定の厚みのシャッタ部材を前記イメージセンサと前記原稿との間に挿入し、又は退避させるシャッタ機構と、
前記原稿を前記シャッタ部材を介して、又は直接、前記イメージセンサに押圧しつつ搬送するスキャナ押えローラと、
を備えたことを特徴とするスキャナの画像読取機構。 - 前記シャッタ機構は、前記シャッタ部材を支持するシャッタ支持部材と、前記シャッタ支持部材を回動させる回動軸と、前記回動軸に固定された駆動歯車と、該駆動歯車を駆動するモータとを備えることを特徴とする請求項1に記載のスキャナの画像読取機構。
- 光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像情報を読み込むイメージセンサと、
前記イメージセンサを前記スキャナの筐体に固定するために、前記イメージセンサを保持するホルダ部材と、
前記原稿を、前記イメージセンサの読取り面より僅かに上流又は下流側の位置に押圧するスキャナ押えローラとを備え、
前記イメージセンサは、該イメージセンサの読取位置が前記スキャナ押さえローラの前記原稿の押さえ位置から所定の距離だけずれるように設定され、前記原稿は、前記イメージセンサの読取位置より僅かに外側に離れた所定の位置で読み取られるように設定されていることを特徴とするスキャナの画像読取機構。 - 光学的平滑化処理を行うスキャナの画像読取機構であって、原稿の画像データを読み込むイメージセンサと、
前記イメージセンサを前記原稿の搬送路面から僅かに窪んだ位置に段差を持って保持するホルダ部材と、
前記原稿を収納して搬送する所定の剛性を有し、透光性を有する原稿ホルダと、前記原稿ホルダを前記ホルダ部材方向に押圧するスキャナ押えローラと、
を備えることを特徴とするスキャナ装置。 - 被読取媒体に印刷されている画像情報をイメージセンサにより取得する画像読取方法であって、
(a)前記被読取媒体の前記画像情報を、前記イメージセンサの焦点を僅かにずらした状態で取得する工程と、
(b)前記取得した画像情報に基づき画像処理する工程と、
を備えることを特徴とする画像読取方法。 - 前記工程(a)は、前記被読取媒体とイメージセンサの間に所定の厚みの透光性を有する間隙部材を挿入することにより、前記イメージセンサにより前記画像情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の画像読取方法。
- 前記工程(a)は、前記原稿を所定の剛性の透明性を有する原稿ホルダに収納して搬送することにより前記イメージセンサにより前記画像情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の画像読取方法。
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