JP2004004188A - 画像読取装置 - Google Patents

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Tetsutsugu Ito
伊藤 哲嗣
Makoto Masuda
増田 麻言
Yasuhiro Ono
小野 泰宏
Hisashi Yamanaka
山中 久志
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Abstract

【課題】密着イメージセンサ方式の画像読取手段において、基準部材に汚れや傷等が付かない構成にすると共に精度の高いシェーディング補正を行う。さらに、一つの基準部材を複数の画像読取手段で兼用してシェーディング補正に用いる。
【解決手段】原稿を支持する第1プラテン部80を基準部材層82が透明なカバー部材層81と支持部材層83との間に配置された3層構造で形成する。支持部材層83において原稿を支持するための強度が担保され、カバー部材層81は、原稿を支持するための強度を備える必要がなく薄く形成することができる。それにより、原稿の位置と基準部材層82との位置のずれが小さくなり高い精度でシェーディング補正を行うことができる。さらに、支持部材層83を透明部材で形成し、支持部材層83側からも基準部材層をシェーディング補正に使用することで基準部材を兼用する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、原稿の画像情報を読み取る画像読取装置に関するものであり、特に画像情報に対するシェーディング補正に使用される基準部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的に読み取った原稿の画像情報をディジタルデータに変換した後、種々の補正を施して最終的に画像データとして画像形成装置やパソコン等に出力する画像読取装置がある。この画像読取装置で行われる補正の一つにシェーディング補正がある。
【0003】
シェーディング補正は、原稿の画像情報を忠実に読み取るため、画像読取装置にて原稿の画像情報を読み取った際に照明手段の照明ムラ、収束レンズの収差などによる光量ムラや受光手段であるイメージセンサの各光電変換素子の感度ムラなどを補正する。
【0004】
シェーディング補正では、まず、基準となる均一な光反射特性を有する標準反射板である通常は白色の基準部材の画像情報を読み取る。この時得られた前記基準部材の画像データをシェーディング補正データとしてシェーディング補正用のメモリ等に格納しておく。そして、原稿の画像情報を読み取った時に得られたデータに対してシェーディング補正データを掛け合わせること等で読取データの補正を行う。
【0005】
正確なシェーディング補正を行うためには、基準部材を原稿の表面と同じ位置に配置する必要がある。通常、基準部材は、画像読取部が固定されていて読み取り時に原稿が移動するタイプでは、原稿が接触して搬送されるガイドなどに設けられたり、原稿を支持する透明の支持部材の裏側に汚れないように設けられたりしている。また、特開2001−320558号公報において開示されている原稿読取装置のように画像読取手段を複数有する画像読取装置では、各画像読取手段ごとに基準部材が設けられている。
【0006】
また、画像読取装置の画像読取手段の光学系の方式には、被読取原稿からイメージセンサに原稿の画像を結像させるまでの距離(以下、光路長と言う。)が長い縮小光学系を用いる方式と、光路長の短い等倍光学系を用いる密着イメージセンサ方式とがある。画像読取手段を複数有する画像読取装置では、装置を小型にするために読取手段の少なくとも1つが読取光学系の光路長の短い密着イメージセンサであることが多い。
【0007】
ここで、縮小光学系を用いる方式では、光路長が長く焦点深度が深いため基準部材を設ける位置に自由度があり、原稿表面から読取手段までの距離と基準部材表面から画像読取手段までの距離との差が数mm程度であれば、充分に正確なシェーディング補正データを求めることができる。
【0008】
しかし、密着イメージセンサ方式では、結像レンズにレンズアレイ、例えばセルフォックレンズ等が用いられ、光路長が非常に短く焦点深度が浅いため、基準部材が原稿面と数mm程度でも異なる位置に設けられると正確なシェーディング補正データを求めることができない。
【0009】
この場合に基準部材と原稿面との位置のずれをなくすため、原稿読み取り時に原稿を支持するガイド(プラテンとも言う。)の表面を基準部材として使用すると原稿と接触するために基準部材が汚れたり傷付いたりして、徐々に正確なシェーディングデータが得られなくなってしまう。
【0010】
そのため従来は、プラテンを透明にし、プラテンの原稿を支持する面とは反対側の面に基準部材を設けてプラテンが基準部材を保護し、それによって精度の落ちたシェーディング補正データを用いた簡易的なシェーディング補正を行う構成のものが一般的であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラテンの原稿支持面とは反対側の面に基準部材を設けると、基準部材が、原稿面とは異なる位置に配置されるため、基準部材は焦点がずれてしまい、正確なシェーディング補正データを得られないという問題がある。
【0012】
この発明の目的は、密着イメージセンサ方式の画像読取手段において、基準部材に汚れや傷等が付かない構成にすると共に精度の高いシェーディング補正を行うことができる画像読取装置を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、一つの基準部材を複数の画像読取手段で兼用してシェーディング補正に用いることができる画像読取装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0014】
(1)原稿を支持するプラテン部を備え、このプラテン部に支持された前記原稿の表面に対し光源から光を照射し、前記原稿からの反射光をイメージセンサの受光部に結像させて画像情報を読み取る画像読取装置において、
前記プラテン部が、原稿側から順に、透明なカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する支持部材層の3層から構成されたことを特徴とする。
【0015】
この構成においては、原稿を支持するプラテン部が、基準部材層を保護するための透明部材で形成されたカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する支持部材層の3層から構成される。したがって、支持部材層において原稿を支持するための強度が担保され、カバー部材層は、原稿を支持するための強度を備える必要がなく、薄く形成され、原稿表面からイメージセンサまでの距離と基準部材層の表面から上記イメージセンサまでの距離との差が大きくならず、シェーディング補正の精度が低下することがない。また、原稿と基準部材層との間にカバー部材層が位置しているため基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがない。
【0016】
(2)原稿を支持するプラテン部を備え、このプラテン部に支持された前記原稿の表面に対し光源から光を照射し、前記原稿の表面及び裏面からの反射光を個別のイメージセンサの受光部に結像させて画像情報を読み取る画像読取装置において、
前記プラテン部が、支持される原稿側から順に透明なカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する透明な支持部材層の3層構造から構成されたことを特徴とする。
【0017】
この構成においては、複数のイメージセンサを備えた画像読取装置において、原稿を支持するプラテン部が、基準部材層を保護するための透明部材で形成されたカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する透明部材で形成された支持部材層の3層から構成される。したがって、支持部材層が透明部材で形成されることで各イメージセンサは、カバー部材層側及び支持部材層側の両側から基準部材層がシェーディング補正に使用され、複数のイメージセンサについて単一の基準部材からシェーディング補正データが取得される。
【0018】
また、支持部材層において原稿を支持するための強度が担保され、カバー部材層は、原稿を支持するための強度を備える必要がなく、薄く形成され、原稿表面からイメージセンサまでの距離と基準部材層の表面から上記イメージセンサまでの距離との差が大きくならず、シェーディング補正の精度が低下することがない。また、原稿と基準部材層との間にカバー部材層が位置しているため基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがない。
【0019】
(3)前記カバー部材層の厚さは、前記イメージセンサの焦点深度と原稿の厚さとの差、及び前記カバー部材層の原稿搬送方向の強度とに基づいて設定することを特徴とする。
【0020】
この構成においては、カバー部材層の厚さをイメージセンサの焦点深度から原稿の厚さを引いた値とカバー部材層の原稿搬送方向の強度とから求められた値に基づいて設定する。したがって、カバー部材層において原稿搬送方向の強度が担保され、基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがない。また、イメージセンサの焦点深度を考慮してカバー部材層の厚さを設定することで基準部材層の焦点ずれがなく、シェーディング補正の精度が低下することがない。
【0021】
(4)前記基準部材層は、白色であることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、基準部材層が、白色のシート部材、または白色の塗料を基準部材層あるいはカバー部材層と支持部材層との間の面に塗布する等、原稿の下地である白色で形成される。したがって、シェーディング補正では原稿の白レベルを決定するため、シェーディング補正の精度が低下することがない。
【0023】
(5)前記カバー部材層は、ガラス部材で形成されたことを特徴とする。
【0024】
この構成においては、カバー部材層が、透明性が高く光学特性に優れ、原稿との接触における滑り性がよく、傷付きにくく強度の高いガラス部材で形成される。したがって、カバー部材層を薄く形成し、原稿表面から画像読取手段までの距離と基準部材層の表面から前記画像読取手段までの距離との差が大きくならず、シェーディング補正の精度が低下すことがない。また、カバー部材層表面は傷付きにくく、原稿との接触等により前記表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがない。
【0025】
(6)前記カバー部材層、前記基準部材層、前記支持部材層は、平面形状を同一にして互いに対向面の全面を接着剤を介して接着したことを特徴とする。
【0026】
この構成においては、カバー部材層、基準部材層、支持部材層の各層の平面形状を同一にして互いの対向面の全面を接着して一体形成する。したがって、各層の形状は、単純に形成される。また、一体形成することで各層の強度を増し撓みや反り等が発生することがなく、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがなく、また、原稿の搬送においても悪影響を与えることがない。
【0027】
(7)前記接着剤は、紫外線硬化樹脂から成る接着剤であることを特徴とする。
【0028】
この構成においては、カバー部材層、基準部材層、支持部材層の互いの対向面を接着し一体形成するために、紫外線硬化樹脂から成る接着剤を使用する。前接着剤は、無色透明で透明部材との接着性に優れ硬化時間が短い等の性質を有する。また、硬化の際に気泡などが発生する虞が少なく、接着硬化時に熱等を加える必要がないため、熱ストレスが加わらず、応力が残らない。したがって、各部材層は、歪んだり変形した状態で一体形成されることがない。
【0029】
(8)前記ガバー部材層は、透明なプラスチックで形成されたことを特徴とする。
【0030】
この構成においては、カバー部材層が、透明なプラスチックで形成される。プラスチックは、複雑な形状の形成に適している。したがって、カバー部材層に取り付け部等を一体形成して、接着によることなくカバー部材層、基準部材層、支持部材層が嵌合により一体化される。
【0031】
(9)前記カバー部材層は、前記支持部材層に対して着脱自在に設けたことを特徴とする。
【0032】
この構成においては、カバー部材層が着脱自在な形状に形成される。したがって、カバー部材層に傷が付いた際にカバー部材層を交換することにより、徐々にシェーディング補正の精度が低下していくことがなく、また、プラテン部全ての交換が不要となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1及び図2により本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の一部をより詳細に示す断面図である。
【0034】
図1及び図2に示す本発明の本体装置である画像読取装置1では、原稿を静止させて画像情報を読み取る静止読取モード、原稿を搬送させながら画像情報を読み取る走行読取モード、あるいは、原稿を搬送させながら原稿の両面の画像情報を読み取る両面読取モードにより、原稿の画像情報を読み取るようになっている。これらのモードは、画像読取装置1に備えられる図示しない、設定情報に関する情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示器及び設定入力を受け付けるボタン等により構成されている操作部を用いて入力される。
【0035】
そして、静止読取モードでは、下部筐体2内の第2読取部10によって画像を読み取る一方、走行読取モードでは、上部筐体3内の第1読取部22あるいは下部筐体2内の第2読取部10によって画像の読み取りを行う。また、両面読取モードでは、これら第1読取部22及び第2読取部10の双方が同時に用いられる。
【0036】
図1に示すように、画像読取装置1は、下部筐体2、下部筐体2の上部に配置されている上部筐体3を備え、さらに下部筐体2の側面に原稿排出トレイ4が配置されている。
【0037】
下部筐体2は、内部に第2読取部10、第1プラテン部80及び第2プラテンガラス11を備えている。そして、第2読取部10は、第1走査ユニット12、第2走査ユニット13、結像レンズ14及びCCD(Charge Coupled Device)15を備えている。なお、第1プラテン部80は、本発明のプラテン部に相当する。
【0038】
図2に示すように、第2プラテンガラス11には原稿載置基準板40が備えられている。この原稿載置基準板40は、第1プラテンガラス11に載置する原稿のサイズ、載置方向を示す指標が示されている。従って、ユーザーは、この指標に従って、第2プラテンガラス11に原稿を容易に載置できる。なお、上記第2プラテンガラス11は、ブック原稿等を載置した場合に上部より加えられる押圧力に対して十分な強度を有していなければならない。そのため、本発明の実施形態においては、3.3mmの厚さのガラス板を使用している。
【0039】
第1走査ユニット12は、原稿表面を露光する光源(露光ランプ)50と原稿の反射光を第2操作ユニット13へ導く第1反射ミラー51とを備えている。第2走査ユニット13は、第1反射ミラー51からの光を結像レンズ14、CCD15に導く第2、第3反射ミラー52、53を備えている。
【0040】
結像レンズ14は、第3反射ミラー53からの反射光を、CCD15上で結像させる。CCD15は、結像レンズ14からの光をアナログの電気信号に変換する。なお、この電気信号は、後述する画像処理部100にディジタルデータに変換された後に所定の画像処理を施され、画像データとして画像メモリ113に記憶され、又は画像形成装置114や外部の機器などに出力される。
【0041】
上部筐体3は、画像読取装置1の奥側(紙面奥側)に下部筐体2との間に設けられたヒンジ(図示せず。)を回動支点として、上方に回動する。これにより、画像読取装置1では、紙面手前側から、第2プラテンガラス11の上面及び第1プラテン部80の上面を開放できるようになっている。そして上部筐体3は、図1に示すように、OCマット20、原稿セットトレイ21、第1読取部22等から構成されている。
【0042】
OCマット20は、上部筐体3を閉めたときに原稿を第2プラテンガラス11に押し付けて密着させる。原稿セットトレイ21は、走行読取モード及び両面モードで読み取る原稿を収納する。
【0043】
第1読取部22は、原稿セットトレイ21に収納された原稿の画像を読み取るためのものであり、原稿搬送手段30、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)31、原稿搬送路32及び原稿排出部33を備えている。
【0044】
原稿搬送手段30は、原稿セットトレイ21に収納された原稿を1枚ずつ整合ローラ対62を含むローラ等を経由して原稿搬送路32へ搬送する。CIS31は、搬送されている原稿の画像を読み取る。原稿排出部33は、CIS31によって画像を読み取られた後の原稿を、原稿排出トレイ4に排出する。
【0045】
原稿搬送路32は、整合ローラ対62、第2プラテンガラス11、第1プラテン部80までの搬送路及び上側原稿搬送ガイド70と第1プラテン部80との間に構成されている。
【0046】
上側原稿搬送ガイド70は、第2プラテンガラス11と第1プラテン部80との上に配置されている。なお、この上側原稿搬送ガイド70における水平方向の位置は、位置決め突起70aによって第2プラテンガラス11と第1プラテン部80との間隔が所定の間隔になるように設定される。
【0047】
CIS31は、上部筐体3に設けられており、原稿搬送路32を走行する原稿における上側の画像情報を読み取る。第1プラテン部80は、透明のカバー部材層81、基準部材層82、支持部材83の3層構造となっている。基準部材層82は、後述するように、第1読取部22のCIS31及び第2読取部10のCCD15のシェーディング補正(光源の光量ムラの補正や各受光素子の感度ムラ補正による白レベルの決定)を実施する際に使用する。
【0048】
次に本画像読取装置における読取処理について図1を用いて説明する。
【0049】
静止読取モード時では、片面読取モードだけが選択可能となり、第2読取部10だけが原稿の読取に用いられる。この時、第2読取部10の第1走査ユニット12は、まずホームポジション(図1中のPos3とPos1との間である。)に配置される。そして、後述の読取制御部101の指示に応じて、Pos1から第2プラテンガラス11上に載置された原稿を走査しながら、第2走査ユニット13とともにPos2の方向へ原稿サイズ検出手段で検出された原稿サイズに応じて所定距離だけ移動する。この時、第1走査ユニット12は、一定速度Vで移動し、第2走査ユニット13は、一定速度V/2で第1走査ユニット12を追従する。これにより、CCD15には、原稿画像面の全面における反射光が光路長を一定にして結像する。このようにして、第2読取部10は、静止した原稿の下側の面(原稿表面)に形成されている画像を読み取る。
【0050】
なお、第1走査ユニット12と第2走査ユニット13とには、これらの移動を同期させるために、プーリに張架されたワイヤ(図示せず。)を介して、ステッピングモータ(図示せず。)の回転が伝達される。
【0051】
走行読取モード時では、片面読取モードと両面読取モードの両方が選択可能となる。走行読取モードの片面読取モード時には、第2読取部10だけが原稿の読み取りに用いられる。この走行読取モードでの片面読取モードの指示があると、第2読取部10の第1走査ユニット12は、ホームポジションの位置からPos3の位置に移動して停止し、そのまま停止状態を保持して、走行する原稿の読み取りを行う。そして、読取制御部101の指示に応じて、CCD15が、第2プラテンガラス11を介して、原稿搬送路32を搬送される原稿の画像を下側から読み取る。すなわち、第2読取部10は、原稿の下側の面(原稿表面)に形成されている画像を読み取る。
【0052】
走行読取モードの両面読取モード時には、第2読取部10及び第1読取部22の双方が原稿の読み取りに用いられる。この時、第2読取部10の第1走査ユニット12は、走行読取モードの片面読取モード時と同様に、図1中のPos3の位置に停止する。
【0053】
そして、読取制御部101の指示に応じて、第2読取部10が、第2プラテンガラス11を介して、原稿搬送路32を搬送される原稿の下側の面(原稿表面)に形成されている画像情報を読み取る。また、同様に、第1読取部22が、搬送される原稿の上側の面(原稿裏面)に形成されている画像を第1プラテン部80の上側から読み取る。
【0054】
また、待機中において、第1走査ユニット12は、ホームポジションに停止している。
【0055】
このように、画像読取装置1における両面読取モードでは、第2読取部10及び第1読取部22が、搬送中の原稿の表裏両面の画像を原稿が原稿搬送路32を一回搬送される間に上下方向から読み取る。
【0056】
次に、本画像読取装置1における制御系について、図3を用いて説明する。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の制御の構成を示すブロック図である。図3に示すように、システムコントローラ111には、バス112を介して読取制御部101、画像処理中継部110及び画像メモリ113等が接続されている。システムコントローラ111は、原稿の読取動作が適切に行われるように、読取制御部101を備える画像読取装置1の全体を制御する。
【0058】
図3に示すように、第1光源制御基板130は、読取制御部101の信号に基づいて、第1読取部22の後述する光源71、72を点灯、消灯する。また、第2光源制御基板120は、読取制御部101の信号に基づいて、第2読取部10の光源50を点灯、消灯する。
【0059】
第2読取走査系駆動モータ制御基板122は、読取制御部101の信号に基づいて、第2読み取り走査系駆動モータ123を制御して、第1走査ユニット12、第2走査ユニット13を、図1中における左右両方向に移動する。
【0060】
第2読取走査系位置センサ群124は、第1走査ユニット12がホームポジションやPos1、Pos2、Pos3に配置された時に、読取制御部101に基準位置信号を出力する。
【0061】
読取制御部101は、第2読取走査系位置センサ群124の基準位置信号と第2読取走査系駆動モータ123のステップ数とを基に、第1走査ユニット12の位置を算出して、第2読取走査系駆動モータ123を正逆転制御して、各走査ユニット12、13を往復移動させる。
【0062】
自動原稿送り装置(原稿搬送手段30、原稿排出部33)の自動原稿送り装置駆動モータ制御基板140は、読取制御部101の信号により、ステッピングモータである自動原稿送り装置駆動モータ141をオンオフ制御して、自動原稿送り装置の駆動系を駆動し、上述の整合ローラ対62及び他の搬送ローラに駆動力を伝える。また、自動原稿送り装置駆動モータ141は、自動原稿送り装置駆動モータ制御基板140からのパルスレートにより回転速度を変えられるようになっている。
【0063】
原稿排出センサ54、原稿セット検出センサ60、給送タイミングセンサ61は、原稿がセンサの位置に到達した時に、原稿の有無信号を読取制御部101に伝える。これに対して、読取制御部101は、各センサ54、60、61からの原稿の有無信号とタイマとにより、原稿が適切なタイミングで搬送されているか否かを算出して、搬送不良の場合にはジャム等の発生の信号をバス112を介してシステムコントローラ111に伝える。
【0064】
原稿搬送用ローラクラッチ群143は、読取制御部101からの信号によりローラクラッチをオンオフして、自動原稿送り装置のそれぞれの駆動系に対して接続又は非接続に切り換えて、駆動系を停止又は回転させる。
【0065】
次に、片面読取モード時、及び両面読取モード時の読み取り走査により得られた電気的画像信号の処理に関して説明する。
【0066】
図3に示すように、CCD15及びCIS31により得られた電気的画像信号(以下、画像信号と言う。)は、画像処理部100に送られて、所定の画像処理を施された後に、画像処理中継部110にてさらに別の画像処理(領域分離処理、領域分離結果に基づく空間フィルタ処理、誤差拡散などの中間調処理や解像度変換処理等)を施された後、バス112を介して1ページ毎に区別されて画像メモリ113に記憶される。画像処理部100は、アナログ信号処理部150、160、A/D変換部151、161、シェーディング補正部152、162、フィルタ処理部153、163、濃度変換部154、164、ラインバッファ155、165で構成されている。これら画像処理部100の各要素は、読取制御部101の制御下で動作する。
【0067】
アナログ信号処理部150、160は、それぞれ、CCD15及びCIS31から入力される画像信号に、レベル変換処理、サンプルホールド処理及び信号増幅処理を施して、A/D(アナログ/ディジタル)変換部151、161に出力する。CCD15とCIS31とでは、光源光量、光電変換効率及び出力信号レベル等が異なるため、CCD15、CIS31用にそれぞれ専用のアナログ信号処理部150、160が設けられている。
【0068】
A/D変換部151、161は、アナログ信号処理部150、160から入力されるアナログの画像信号をディジタル変換して、量子化した画像信号をシェーディング補正部152、162に出力する。
【0069】
シェーディング補正部152、162は、A/D変換部151、161から入力される量子化された画像信号に対して黒再生及び白再生を施して、フィルタ処理部153、163に出力する。
【0070】
なお、黒再生時には、CCD15あるいはCIS31の暗示出力をサンプリングして記憶し、読取データである原稿読取時のCCD15あるいはCIS31から入力される画像信号から減算することにより、暗示出力の影響を削除する。
【0071】
また、白再生時には、反射率の均一な基準部材層82を読み取ったときの画素毎の画像信号に基づいて、原稿読取時の画像信号を画素毎に正規化し、光量むらや光学部品の影響及びCIS31やCCD15の画素感度のバラツキを補正する。
【0072】
フィルタ処理部153、163(フィルタ処理手段)は、シェーディング補正部152、162から入力される画像信号に、読取制御部101から設定されるフィルタ特性を決定する係数に基づいて所定のフィルタ処理、具体的には、空間フィルタリング処理を施すことにより、画像の高周波成分を強調して、画像の「ぼやけ」の修復を行う。
【0073】
すなわち、CCD15及びCIS31から入力される画像信号には、レンズやミラー等の光学部品、CCD15やCIS31の受光面のアパーチャ開口度、CCD15やCIS31の転送効率や残像、物理的な走査による積分効果及び操作むら等に起因するMTF(Modulation Transfer Function)の劣化があり、フィルタ処理部によりこのMTFの劣化を補償している。
【0074】
このように、MTFは、CCD15とCIS31とによりその劣化具合も大きく異なるため、適切なフィルタ処理を行っている。また、MTFの劣化は、高周波域ほど顕著であるので、フィルタ処理部153、163は、高周波域の画像信号に対して強調処理を施すことにより、「ぼやけ」を修復して画像品質を向上させている。フィルタ処理部153、163は、入力画像信号がCCD15からの画像信号であるか、CIS31からの画像信号であるかによりフィルタ処理が異なる。
【0075】
図3に示すように、濃度変換部154、164は、それぞれ濃度変換手段及び2値化手段を備えている。この154、164は、フィルタ処理部153、163でフィルタ処理された画像信号に濃度変換を行う。例えば、画像信号をファクシミリ通信する場合や印字条件が2値化指定された場合に2値化手段によって画像信号を2値化処理し、また、写真画像等のように印字条件が多値である場合に所定の濃度特性に基づいて濃度変換手段において濃度変換を行い、画質を向上させる。
【0076】
濃度変換部154、164は、RAM制御部(図示せず。)及びRAM等(図示せず。)を備え、入力画像信号をアドレスデータとしてRAMにセットされたデータ変換用のルックアップテーブルに格納されているテーブル値を読み出すことにより、データ変換を行って、濃度変換処理を行う。
【0077】
濃度が確定した画像信号は、画像処理中継部110を中継して画像メモリ113に格納される。また、この時、画像メモリ113に格納しながら画像形成装置114に出力してもよい。
【0078】
画像メモリ113に格納された画像信号はシステムコントローラ111により所定のタイミングで読み出され画像形成装置114に出力される。この画像形成装置114は電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式などにより紙などの記録媒体上に画像を形成するものであるが、特に限定されるものではない。
【0079】
続いて、本発明の実施形態に係る第1プラテン部80の構成を説明する。図2に示されるように、第1プラテン部80は、基準部材層82が透明のカバー部材層81と支持部材層83との間に配置され、3層構造で形成されている。
【0080】
基準部材層82としては、濃度が既知で均一な反射特性を有する材料であれば特に限定はされないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエステル樹脂等の材質の白色のシート部材を用いることが好ましい。また、基準部材層82は、透明なカバー部材層81の裏面(原稿が接触しない側)あるいは、支持部材層83の上面(カバー部材層81に接触する側)に白色の塗料にて均一な塗布を行うことにより形成されてもよい。
【0081】
カバー部材層81としては、透明な部材であれば特に限定されないが、好ましくは、薄くかつある程度の強度を有する材質のものを用いる方がよい。本発明の実施形態においては、カバー部材層81としてガラスを用いる。上記の場合、カバー部材層81、基準部材層82、支持部材層83は、平面形状を同一にして互いの対向面に全面が接着されることが好ましい。これにより、第1プラテン部80の強度を上げ、カバー部材層81の撓みや反りの発生により原稿の搬送に悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0082】
各部材層81、82、83の接着に使用される接着剤には、各部材層81、82、83との接着性に優れ、硬化時間が短いなどの性質を有する無色透明な接着剤を使用することが好ましい。接着剤として使用できるものには、例えば紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。特に、硬化の際に気泡などが発生する虞が少ない、接着硬化時に熱等を加える必要がないため熱ストレスによる残留応力がない、さらに硬化時間が短いなどの理由から、紫外線硬化樹脂からなる接着剤を使用することがより好ましい。
【0083】
紫外線硬化樹脂の具体例としては、例えばエポキシアクリレート系、エポキシメタクリレート系、ウレタンメタクリレート系等が挙げられる。さらに具体的には、例えばオプトマーKR400、BYK304(UV硬化型エポキシ樹脂、旭電化社製商品)、OP−3010P(UV硬化型アクリル系、電気化学工業社製商品)を挙げることができるがこの限りではない。また、上記市販品のほか、ウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、東亜合成化学社製、M−1100、M−1200、M−1600等)、ポリエステルアクリレートオリゴマー(例えば、東亜合成化学社製、M−6100、M−6200、M−7100、M−8300)、あるいはエポキシアクリレート(例えば、昭和高分子社製、リポキシVR60、VR90)を低粘度各種アクリルモノマーで希釈し粘度調製したものに、開始剤を添加したものなどが挙げられる。
【0084】
支持部材層83は、原稿を支持して搬送させる基盤となる部材であるため、強度を有する部材を使用することが好ましい。さらに、本実施形態においては、後述するように第2読取部10のシェーディング補正にも基準部材層82を使用するため、支持部材層83には透明なガラス板を使用するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
そして、第1プラテン部80と接する側の第2プラテンガラス11の端面、および、第2プラテンガラス11と接する側の支持材層83の端面の少なくとも一方は、不透明部材を貼り付けたり、端面表面を粗くしたり、黒塗装を施すなどして、遮光処理をすることが好ましい。これにより、第2プラテンガラス11内を透過する光が第1プラテン部80に入射して、あるいは、第1プラテン部80内を透過する光が第2プラテンガラス11に入射して各読取部10、23で光干渉を起こし難くすることができる。
【0086】
なお、本発明の他の実施形態として、第1読取部22および第2読取部10の基準部材を別々に設ける構成としてもよい。上記の場合には、第2読取部10のCCD15用の基準部材は、図11の従来の画像読取装置の構成を示す部分断面図に示すような従来の画像読取装置と同様に原稿載置基準板40の下側で第2プラテンガラス11の上側又は下側に設けられる。
【0087】
この場合、基準部材層82は第1読取部22のCIS31専用の基準部材であるため、第1プラテン部80の支持部材層83を透明にする必要はない。そのため、支持部材層83には金属性の部材を使用することができ、ガラスの部材を使用した場合と比較して薄く形成することができる。
【0088】
続いて、画像読取装置1におけるシェーディング補正処理について説明する。
【0089】
図4は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の両面読取モード時における第1読取部、第2読取部、第1プラテン部の状態を示す部分断面図である。第1読取部22は、光源71、72、導光手段73、CIS31などにより構成される。光源71、72は、原稿表面を露光する。原稿表面の露光により得られた反射光を導光手段73がCIS31へ導き、CIS31上に上記反射光を結像させる。この場合の原稿読取位置は、図4に示すようにB点である。また、両面読取モード時の場合、上記原稿表面の裏面については、第2読取部10によって、原稿読取位置A点において画像が読み取られる。この場合、第1走査ユニット12はPos3の位置に停止する。
【0090】
次に、シェーディング補正時の第1読取部22、第2読取部10の状態について説明する。
【0091】
第1読取部32においてシェーディング補正を行う場合は、基準部材層82における基準部材層読取位置B′点にて基準部材層82の画像情報の読み取りが行われる。一方、第2読取部10のシェーディング補正を行う場合には、基準部材層82におけるC点にて基準部材層82の画像情報の読み取りが行われる。この場合、第2読取部10の第1走査ユニット12は、Pos4の位置に停止する。
【0092】
ところで、第1読取部22と第2読取部10とでは、被読取面からCIS31あるいはCCD15までの光路長に差がある。光路長の差によって、第1読取部22と第2読取部10とでは、被読取面までの光路長と読取出力との関係は、図5に示すような相違を生ずる。
【0093】
図5に示すように、第1読取部22では、被読取面の位置がわずかにずれることによって、被読取面からCIS31までの光路長がわずかに異なった場合でも、読取出力に与える影響は大きくなる。
【0094】
すなわち、第2読取部10では、原稿の焦点深度が深く原稿の位置が多少変化してもピントの合致具合はあまり変化しないが、第1読取部22では、原稿の位置がわずかに変化しただけで、ピントの合致具合が大きく変化する。さらに、各光源50あるいは、71、72と原稿との距離についても、第2読取部10に比べ、第1読取部22は近いため、原稿の位置の変化による照度変化が大きくなる。従って、第1読取部22では、カバー部材層81の厚さtによって、原稿読取位置Bにおける読取出力と、基準部材層82の読取位置B′における読取出力とに差が生ずる。
【0095】
図6〜図9は、本発明の実施形態に係る画像読取装置のカバー部材層の厚さと読取出力の関係を示す図である。
【0096】
図6〜図9は、カバー部材層81の厚さtを0(カバー部材層81なし)、1、2、3.3mmと変化させた場合の、第1読取部22における白色原稿面の読取出力および基準部材層82表面の読取出力の検出結果を示す。図6はt=0(カバー部材層81なし)の場合、図7はt=3.3mmの場合、図8はt=2mmの場合、図9はt=1mmの場合である。なお、実線が白色原稿面、破線が基準部材層82の読取出力である。図6、図9に示すように、t=0あるいは、t=1mmの場合は、実線の白色原稿面の読取出力と破線の基準部材層82の読取出力がほぼ重なっており、原稿面と基準部材層82との読取出力は、ほぼ同じであることがわかる。一方、図7、図8に示すように、t=3.3mmあるいは、t=2mmの場合は、実線の白色原稿面の読取出力が主に上部に位置し、破線の基準部材層82の読取出力は主に下部に位置し、原稿面と基準部材層82との読取出力に差があることがわかる。
【0097】
なお、図11に示すような従来の画像読取装置においては、第1プラテン部90をガラス板で形成し、強度を有するために2mmまでしか薄くすることができない。従って、上記第1プラテン部90の下部に位置する基準部材91を第1読取部22で読み取ると、その読取出力は図8に示すような状態となり、正確なシェーディング補正ができないことがわかる。
【0098】
上記の結果より、カバー部材層81の厚さtは、1.2mm以下であることが好ましく、薄ければ薄いほどシェーディング補正に対しては好ましい。しかしながら、カバー部材層81は、薄くするほど強度が弱くなり、取り扱いが難しくなるため、上記厚さtは、0.8mm以上であることが好ましい。そして、正確なシェーディング補正と、強度の保持とを両立させるためには、上記厚さtは、1.0mmとすることがより好ましい。
【0099】
なお、縦軸の読取データは狭い範囲をかなり大きく拡大しているために波を打っているが、実際は非常に小さな幅のものである。この波はレンズアレイであるセルフォックレンズとイメージセンサの光電変換素子のピッチが異なる為に発生しているものであり、これらのムラもシェーディング補正の補正対象となる。
【0100】
以上のようにして、本発明の実施形態に係る画像読取装置では、2つの読取部10、23に対して、1つの基準部材層82を用いて、シェーディング補正を行うことができる。そして、第1プラテン部80を3層構造にすることにより、カバー部材層81が基準部材層82を保護するため基準部材層82の表面は傷や汚れが付かず、また、支持部材層83において原稿を支持するための強度が担保されるため充分な強度を有する第1プラテン部80が得られる。これにより、カバー部材層81の厚さtをシェーディング補正に適当な値にすることができ、精度の高いシェーディング補正を実施することが可能となる。
【0101】
また、本発明の他の実施形態として、カバー部材層81を透明なプラスチックで形成してもよい。カバー部材層81にプラスチックを用いると、複雑な形状に形成可能であるため、第1プラテン部80を図10に示すような構成にすることができる。図10は、本発明に係る画像読取装置のカバー部材層をプラスチックで形成した場合の第1プラテン部の構成を示す断面図である。
【0102】
上記の構成によれば、図10に示すように、カバー部材層81によって支持部材層83を基準部材層82に対して、接着剤を使用することなく、隙間なく押さえつけることができる。また、カバー部材層81を着脱可能な構成にすることも可能であり、カバー部材層81に傷が付いた場合に容易に交換が可能となっている。さらにカバー部材層81の表面にハードコートを施すことにより、傷付きにくくすることもできる。さらに、上述のように、支持部材層83の端面あるいは、カバー部材層81の第2プラテンガラス11側の端面の何れか一方に遮光処理を施すことが好ましい。
【0103】
なお、前記プラスチックは、プラスチックレンズの材料など光学特性を有するものを使用することが好ましい。具体的には、吸水性が非常に小さく、吸水によって屈折率がほとんど変化しないアクリル樹脂(商品名:アクリルペットVH、三菱レーヨン株式会社製)、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンH3000、三菱瓦斯化学(株)製)、非結晶質ポリオレフィン(商品名:ゼオネックス)を用いることが好ましい。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0105】
(1)原稿を支持するプラテン部を、基準部材層を保護するための透明部材で形成されたカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する支持部材層の3層から構成することにり、支持部材層において原稿を支持するための強度が担保され、カバー部材層は、原稿を支持するための強度を備える必要がなく、薄く形成することが可能となり、原稿表面からイメージセンサまでの距離と基準部材層の表面から上記イメージセンサまでの距離との差を小さくすることができ、精度の高いシェーディング補正を行うことができる。また、原稿と基準部材層との間にカバー部材層が位置しているため基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、シェーディング補正の精度を維持することができる。
【0106】
(2)複数のイメージセンサを備えた画像読取装置において、原稿を支持するプラテン部を、基準部材層を保護するための透明部材で形成されたカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する透明部材で形成された支持部材層の3層から構成することにより、支持部材層が透明部材で形成されることで各イメージセンサは、カバー部材層側及び支持部材層側の両側から基準部材層をシェーディング補正に使用することが可能となり、複数のイメージセンサについて単一の基準部材のみでシェーディング補正を行うことができ、各イメージセンサ用の複数の基準部材を設けてシェーディング補正データを取得する必要がなくなる。
【0107】
また、支持部材層において原稿を支持するための強度が担保され、カバー部材層は、原稿を支持するための強度を備える必要がなく、薄く形成することが可能となり、原稿表面からイメージセンサまでの距離と基準部材層の表面から上記イメージセンサまでの距離との差を小さくすることができ、精度の高いシェーディング補正を行うことができる。さらに、原稿と基準部材層との間にカバー部材層が位置しているため基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、シェーディング補正の精度を維持することができる。
【0108】
(3)カバー部材層の厚さをイメージセンサの焦点深度から原稿の厚さを引いた値とカバー部材層の原稿搬送方向の強度とから求められた値に基づいて設定することにより、カバー部材層において原稿搬送方向の強度が担保され、基準部材層に汚れ、傷等が付くことがなく、さらに原稿との接触等によりカバー部材層表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、シェーディング補正の精度を維持することができる。また、イメージセンサの焦点深度を考慮してカバー部材層の厚さを設定することで基準部材層の焦点のずれがなくなり、精度の高いシェーディング補正を行うことができる。
【0109】
(4)基準部材層を、白色のシート部材又は白色の塗料を基準部材層あるいはカバー部材層と支持部材層との間の面に塗布する等、原稿の下地である白色で形成することにより、シェーディング補正にて原稿の正確な白レベルを決定でき、精度の高いシェーディング補正を行うことができる。
【0110】
また、基準部材層を白色のシート部材で形成した場合は、容易に且つ低価格で均一な基準部材層を形成することができる。白色の塗料で形成した場合は、カバー部材層との隙間ができない利点や部品点数が少なくなるなどの利点がある。
【0111】
(5)カバー部材層を、ガラス部材で形成することにより、カバー部材層を薄く形成することが可能となり、原稿表面から画像読取手段までの距離と基準部材層の表面から前記画像読取手段までの距離との差小さくすることができ、シェーディング補正の精度が低下すことがない。また、カバー部材層表面は傷付きにくくなり、原稿との接触等により前記表面に付いた汚れ等を拭き取ることで、シェーディング補正の精度を維持することができる。
【0112】
(6)カバー部材層、基準部材層、支持部材層の各層の平面形状を同一にして互いの対向面の全面を接着して一体形成することにより、各層の形状を単純に形成することができ、各層の強度が増し撓みや反り等の発生を防止し、シェーディング補正の精度を維持することができ、また、原稿の搬送においても、悪影響を与えることを防止できる。
【0113】
(7)カバー部材層、基準部材層、支持部材層の互いの対向面を接着し一体形成するために、紫外線硬化樹脂から成る接着剤を使用することにより、各部材層は、歪みや変形がなく一体形成され、精度の高いシェーディング補正を行うことができる。
【0114】
(8)カバー部材層を、透明なプラスチックで形成することにより、カバー部材層に取り付け部等を一体形成して、接着することなくカバー部材層、基準部材層、支持部材層を嵌合し一体形成することができる。
【0115】
(9)カバー部材層を、着脱自在な形状に形成することにより、カバー部材層に傷が付いた際に容易にカバー部材層を交換でき、シェーディング補正の精度を維持できる。また、プラテン部全ての交換が不要となり、コストも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】同画像読取装置の構成の一部をより詳細に示す断面図である。
【図3】同画像読取装置の制御の構成を示すブロック図である。
【図4】同画像読取装置の両面読取モード時における第1読取部、第2読取部、第1プラテン部の状態を示す部分断面図である。
【図5】同画像読取装置の各読取部毎の光路長と読取出力の関係を示す図である。
【図6】同画像読取装置のカバー部材層の厚さと読取出力の関係を示す図である。
【図7】同画像読取装置のカバー部材層の厚さと読取出力の関係を示す図である。
【図8】同画像読取装置のカバー部材層の厚さと読取出力の関係を示す図である。
【図9】同画像読取装置のカバー部材層の厚さと読取出力の関係を示す図である。
【図10】同画像読取装置のカバー部材層がプラスチックで形成された場合の第1プラテン部の構成を示す断面図である。
【図11】従来の画像読取装置の構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1−画像読取装置
10−第2読取部
15−CCD
22−第1読取部
31−CIS
80−プラテン部
81−カバー部材層
82−基準部材層
83−支持部材層

Claims (9)

  1. 原稿を支持するプラテン部を備え、このプラテン部に支持された前記原稿の表面に対し光源から光を照射し、前記原稿からの反射光をイメージセンサの受光部に結像させて画像情報を読み取る画像読取装置において、
    前記プラテン部が、原稿側から順に、透明なカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する支持部材層の3層から構成されたことを特徴とする画像読取装置。
  2. 原稿を支持するプラテン部を備え、このプラテン部に支持された前記原稿の表面に対し光源から光を照射し、前記原稿の表面及び裏面からの反射光を個別のイメージセンサの受光部に結像させて画像情報を読み取る画像読取装置において、
    前記プラテン部が、支持される原稿側から順に、透明なカバー部材層、シェーディング補正用の基準部材層、カバー部材層及び基準部材層を原稿とともに支持する透明な支持部材層の3層構造から構成されたことを特徴とする画像読取装置。
  3. 前記カバー部材層の厚さは、前記イメージセンサの焦点深度と原稿の厚さとの差、及び前記カバー部材層の原稿搬送方向の強度に基づいて設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
  4. 前記基準部材層は、白色であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像読取装置。
  5. 前記カバー部材層は、ガラス部材で形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像読取装置。
  6. 前記カバー部材層、前記基準部材層、前記支持部材層は、平面形状を同一にして互いに対向面の全面を接着剤を介して接着したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の画像読取装置。
  7. 前記接着剤は、紫外線硬化樹脂から成る接着剤であることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
  8. 前記カバー部材層は、透明なプラスチックで形成されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像読取装置。
  9. 前記カバー部材層は、前記支持部材層に対して着脱自在に設けたことを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
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