JP2004163112A - ポリマー分析方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を的確に分析する方法、および該分析方法を用いたポリカルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸の分析方法であって、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することを特徴とする。本発明にかかるポリカルボン酸の製造方法は、前記ポリマー分析方法により工程管理を行う、ことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明にかかるポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸の分析方法であって、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することを特徴とする。本発明にかかるポリカルボン酸の製造方法は、前記ポリマー分析方法により工程管理を行う、ことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を製造する際に有用な分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸(以下、「ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸」と称することもある。)は、例えば高性能AE減水剤として有用であり、従来から汎用されている。このようなポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させて得るのが一般的であり、従来は、該重合により得られた反応生成物を、例えば、溶剤を用いて沈殿精製した後に、例えばNMR分析、GPC分析、酸滴定等の方法で分析して、例えば高性能AE減水剤に用いるようにしていた(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、通常、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合反応においては、反応生成物として、目的とする1種類のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸だけが得られるとは限らないため、従来の分析方法では、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの区別がつかなかったり、その組成比(各単量体の構造単位の割合)を正確に特定できないなど、的確に分析できないのが現状であった。
例えば、前記重合反応においては、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合性の差によって単量体の重合率が異なることがあり、得られたポリマーは、原料の仕込み比率と同じ比率の組成になるとは限らない。したがって、従来は、通常、液体クロマトグラフィーにより残存する単量体の重量を測定し、その結果と仕込み量から間接的にポリマーを構成する単量体の組成比を推定するようにしていた。しかしながら、重合反応において、組成比が異なる2種以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している可能性もある。しかも、生成している2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分子量が同一である場合には、従来のGPC分析だけでは、単一ポリマーか2種以上のポリマー混合物かの区別がつかない。このため、そのような場合には、残存する単量体の重量と仕込み量から間接的にポリマーを構成する単量体の組成比を推定することでは、2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の混合物の平均の組成比なのか、単一ポリマーの組成比なのか、はっきりしないという問題があり、その組成比を正確に把握することは困難であった。
【0004】
また、未反応原料として残存したポリアルキレングリコール系不飽和単量体や、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来のポリアルキレングリコール(原料であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体中に不純物として含まれる場合もあり、重合反応中に副生する場合もある)などが反応生成物中に含まれていることがあるが、従来の溶剤を用いた沈殿精製ではこれらを充分に分離することができなかった。このため、このような反応生成物中について不飽和カルボン酸由来の構造単位の比率を酸滴定により分析した場合、見かけ上、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来の構造単位の割合が多くなり、不飽和カルボン酸由来の構造単位の比率は、実際よりも小さい値として算出される結果になるという問題があった。
【0005】
例えば、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を高性能AE減水剤に使用する場合には、2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を混合して用いたり、ポリアルキレングリコールを添加したり、消泡剤等のその他のセメント混和剤を添加したりするのが一般的であるが、前述のように重合反応で得られた反応生成物を的確に分析できない現状では、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の量や、添加するポリアルキレングリコールやその他のセメント混和剤の量について、高性能AE減水剤として最適な処方をすることが困難となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−213653号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平8−290948号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を的確に分析する方法、および該分析方法を用いたポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行うことにより、反応生成物中に含まれるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸以外のモノマー成分をほぼ完全に除去し、かつ前述した従来の分析方法に加えて、電気泳動分析を併用することにより、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを明確に区別し、さらに熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することにより、ポリマーを構成する各構造単位の種類やその組成比を決定することができることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明にかかるポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸の分析方法であって、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用する、ことを特徴とする。
本発明にかかるポリカルボン酸の製造方法は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を製造する方法において、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行うことにより、工程管理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分析方法であり、後述するように、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させるポリカルボン酸の製造方法で得られる反応生成物の分析に有用なものである。
本発明のポリマー分析方法においては、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行うことが重要である。これにより、例えば、未反応原料として残存したポリアルキレングリコール系不飽和単量体や、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来のポリアルキレングリコール(原料であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体中に不純物として含まれる場合もあり、重合反応中に副生する場合もある)など、反応生成物中に含まれるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸以外の成分を除去することができる。そして、その結果、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来の構造単位の割合が見かけ上多くなって、分析で得られたポリマーの組成比(各構造単位の割合)が実際と異なる結果になるのを防ぐことができるのである。
【0012】
非水溶性成分の除去は、具体的には、以下のi)〜iii)の操作により行えばよい。
i)まずpH調整を行う。このとき、pHは、12〜12.5とすることが好ましい。また、pH調整には、例えば、一価金属または二価金属の水酸化物、塩化物、炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等を用いることができ、中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物のアルカリ水溶液が好ましい。
ii)i)で得られた反応液を濃縮・乾固させる。例えば、エバポレーター等を用いて濃縮した後、真空乾燥器等で乾燥し、乾固させればよい。このとき、乾燥温度は、20〜100℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは50℃とするのが好ましい。
【0013】
iii)ii)で得られた乾固物を溶剤でソックスレイ抽出することにより、可溶分を除去する。このとき、溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、石油エーテル、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム等を用いればよい。
低分子量成分の除去は、具体的には、透析や限外濾過等の手段で行えばよい。
このとき、通常は、約40〜50重量%の溶液として行われ、用いる透析装置や限外濾過装置は、特に制限されない。限外濾過を行う場合、分画分子量は、GPCの分子量分布曲線により決定すればよく、例えば1000〜15000の範囲で使い分けるようにするのがよい。また、限外濾過を行う場合、限外濾過膜出口圧力と限外濾過膜入口圧力が0.01Mpa以上になるように循環速度を調整することが好ましく、濾液濃度は、0.1〜10重量%に調整することが好ましい。なお、これらの低分子量成分除去操作の終点は、NMRや液体クロマトグラフィー等で残存モノマーが除去できたことことを確認することにより決定すればよい。
【0014】
なお、前処理において、非水溶性成分の除去と低分子量成分の除去とは、どちらを先に行ってもよいが、先に非水溶性成分の除去を行った後に低分子量成分の除去を行うことが好ましい。
本発明のポリマー分析方法においては、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することが重要である。詳しくは、従来、GPC分析単独で行っていた単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を、電気泳動分析で補足するようにし、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを明確にしたうえで、従来行われていたNMR分析や酸滴定とともに、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することにより、ポリマーを構成する各構造単位の種類やその組成比を決定するようにする。
【0015】
本発明の分析方法において、GPC分析と電気泳動分析を組み合わせることにより、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを判断するに際しては、GPC分析により、分子量の異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が混在しているかどうかを判断し、電気泳動分析により、組成比(各単量体由来の構造単位の割合)が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が混在しているかどうかを判断する。例えば、2種類以上のポリマー混合物として、分子量は同じであるが組成比(各単量体由来の構造単位の割合)が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している場合、電気泳動分析ではチャート上に2つのピーク検出されるか、ピークに肩があることが確認できるが、GPC分析ではチャート上にピークは1つしか検出されず、電気泳動分析だけでは単一ポリマーであると誤認してしまうことなる。一方、2種類以上のポリマー混合物として、組成比(各単量体由来の構造単位の割合)は同一であるが分子量が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している場合、GPC分析ではチャート上に2つのピークが検出されるか、ピークに肩があることが確認できるが、電気泳動分析ではチャート上にピークは1つしか検出されず、電気泳動分析だけでは単一ポリマーであると誤認してしまうことなる。このように、GPC分析、電気泳動分析のいずれか一方だけでは、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を的確に行うことができないのである。
【0016】
なお、本発明において、ピークに肩があるとは、ピークトップとこれより右側のベースラインとの間もしくはピークトップとこれより左側のベースラインとの間の少なくとも一方において、変曲点が2つ以上存在することを言い、ピークに肩がないとは、ピークトップとこれより右側のベースラインとの間およびピークトップとこれより左側のベースラインとの間の両方において、それぞれ変曲点が1つしか存在しないことを言うものとする。
本発明のポリマー分析方法におけるGPC分析では、分子の大きさの差を利用して、電気泳動分析との組み合わせで単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を行うと同時に、ポリマーの分子量や分散度等を決定する。なお、GPC分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
【0017】
本発明のポリマー分析方法における電気泳動分析では、分子の電気特性の差を利用して、GPC分析との組み合わせで単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を行う。なお、電気泳動分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
本発明のポリマー分析方法においては、前記NMR分析により、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を構成する構造単位を推定するとともに、ポリマー中におけるポリアルキレングリコール構造を構成するアルキレンオキシドの付加モル数を決定する。このとき、通常は、水素核を観測核とすればよい。
また、1H−NMR分析により、ポリマー中におけるポリアルキレングリコール構造の含有量(重量%)も求めることができる。具体的には、ポリアルキレングリコール構造がポリエチレングリコール構造である場合、ポリマーと内部標準物質との重量比、およびポリマーのポリエチレン構造由来のピークと内部標準物質由来のピークとの1H−NMR積分比を求め、他方、検量線物質として例えば「−OCH2CH2−」の含有量が既知のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの1H−NMRを測定し、その重量比および1H−NMR積分比とから検量線を作製し、これらを用いて算出すればよい。なお、NMR分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
【0018】
本発明のポリマー分析方法においては、前記酸滴定により、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が有する総カルボン酸酸価を決定する。ここで、総カルボン酸酸価とは、試料1g中に含まれるカルボン酸を中和するのに必要なKOHのmg数のことである。具体的には、まず、試料を塩酸や硫酸等の強酸でpH2.5以下に調整した後、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で電位差滴定を行い、滴定曲線上で、強酸が完全に中和される第1変曲点から、カルボン酸が完全に中和される第2変曲点までの間に必要となったアルカリ水溶液の量を求め、これを基に実施例で後述する式により算出すればよい。なお、酸滴定に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、例えば、実施例で後述する装置および条件で行えばよい。
【0019】
本発明のポリマー分析方法においては、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析により、ポリマーを構成する構造単位の種類を決定する。なお、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
本発明のポリマー分析方法においては、必要に応じて、さらに、ICP、イオンクロマトグラフィー、原子吸光、元素分析等の手段を併用し、金属元素等の含有元素の定性・定量分析、および構造単位の含有率の決定を行えばよい。なお、これら各手段の具体的な手法や条件等については、特に制限はなく、通常の方法で行えばよい。
【0020】
本発明のポリマー分析方法においては、必要に応じて、さらに、IR(赤外線分析)やUV(紫外線分析)等の手段を併用し、官能基の定性・定量分析、および構造単位の含有率の決定を行えばよい。なお、これら各手段の具体的な手法や条件等については、特に制限はなく、通常の方法で行えばよい。
本発明のポリカルボン酸の製造方法は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させる製造方法において、前記本発明の分析方法により工程管理を行うものである。具体的には、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分析方法であり、後述するように、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合反応で得られる反応生成物を前記本発明の分析方法で分析することにより、重合反応の進行具合を判断したり、得られたポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の品質評価を行ったりするものである。
【0021】
本発明においてポリカルボン酸の製造の原料である前記不飽和カルボン酸系単量体としては、不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを有する単量体であれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の不飽和カルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸無水物等の不飽和ジカルボン酸類;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアルコールとのハーフエステル、前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド;等が挙げられる。
【0022】
本発明においてポリカルボン酸の製造の原料である前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とを有する単量体であれば特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコールエステル系単量体やポリアルキレングリコールエーテル系単量体等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、例えば、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物等が挙げられ、中でも、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが好適である。また、前記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルの他にも、例えば、炭素数1〜22のアルコールや炭素数1〜22のアミンに炭素数2〜4のオキシアルキレンを1〜300モル付加させたアルキルポリアルキレングリコールと前記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステルもしくはジエステル;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数2〜4のグリコール平均付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステルもしくはジエステル;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノマレイン酸エステルや(アルコキシ)ポリアルキレングリコールジマレイン酸エステル等を用いることもできる。
【0023】
前記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、例えば、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、等が挙げられる。なお、前記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体のポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキシドの付加モル数は、1〜300であることが好ましく、より好ましくは2〜300、さらに好ましくは4〜150、最も好ましくは15〜100であるのがよい。
【0024】
本発明のポリカルボン酸の製造方法においては、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させる際に、さらに他の不飽和単量体を併用してもよい。他の不飽和単量体としては、例えば、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の二官能アクリル酸エステル類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、スチレンスルホン酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の不飽和スルホン酸類;(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテルまたはアリルエーテル類;等が挙げられる。
【0025】
本発明のポリカルボン酸の製造方法において、前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際の各単量体の使用割合は、特に制限されないが、例えば、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体/不飽和カルボン酸系単量体/他の不飽和単量体=1〜99/1〜99/0〜60(重量比)とすることが好ましく、より好ましくは5〜99/2〜80/0〜40(重量比)、さらに好ましくは10〜95/5〜50/0〜25(重量比)とするのがよい。
本発明のポリカルボン酸の製造方法において、前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際の重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、溶媒中での重合、塊状重合等の方法により行えばよい。また、溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行うことができる。
【0026】
溶媒中で重合を行う場合、溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;等の1種または2種以上を用いることができる。中でも、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等が特に好ましい。
水を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、例えば、アンモニウム、アルカリ金属の過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等の促進剤を併用することもできる。低級アルコール、芳香族あるいは脂肪族炭化水素、エステル化合物、またはケトン化合物を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることが好ましい。この際、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。なお、水−低級アルコール混合溶剤を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、前述した種々の重合開始剤の中から適宜選択し、必要に応じて前述した種々の促進剤を併用すればよい。
【0027】
溶媒中で重合を行う場合、重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤等により適宜設定すればよいが、通常は0〜120℃の範囲で行うことが好ましい。
塊状重合の場合は、重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることが好ましい。
塊状重合の場合、重合温度は、用いる重合開始剤等により適宜設定すればよいが、通常は50〜200℃の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際には、得られるポリカルボン酸の分子量調節のために、例えば、次亜リン酸(塩)やチオール系連鎖移動剤等を用いるようにしてもよい。チオール系連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。さらに、得られるポリカルボン酸の分子量調整のためには、原料として連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0029】
本発明のポリカルボン酸の製造方法においては、前記重合後、得られた反応生成物をアルカリ性物質で中和しておくことが好ましい。これにより、水に対する溶解性を向上させ、非水溶性成分を低減させることができる。アルカリ性物質としては、例えば、一価金属または二価金属の水酸化物、塩化物、炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等を用いることができ、中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物が好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中、特にことわりのない限り、「%」は「重量%」を、また、「部」は「重量部」を表すものとする。
(実施例1)
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えたガラス製反応容器に、水912部を仕込み、攪拌下で窒素置換し50℃まで加熱した。次に、該反応容器に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレングリコールの繰り返し単位数10)474部、メタクリル酸126部、水900部からなる単量体混合水溶液を4時間かけて、10%過硫酸アンモニウム水溶液300部を5時間かけて、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液300部を5時間かけて、それぞれ滴下した。全ての滴下終了後、さらに50℃で1時間攪拌し、水溶液重合反応を完結させた。その後、得られた反応液を30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ポリマー溶液(ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸)を得た。
【0031】
次に、次のようにして前処理を行った。すなわち、まず、得られたポリマー溶液を、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12〜12.5に調整した後、エバポレーターで濃縮し、次いで50℃の真空乾燥器で15時間乾燥して、乾固させた。得られた乾固物をジエチルエーテルを溶剤としてソックスレイ抽出し、可溶分と不溶分に分離した。次いで、得られた不溶分を限外濾過膜(Mw6000)で限外濾過し、液体クロマトグラフィーで確認される残存モノマーが0.5重量%以下になるようにした。このとき、限外濾過膜出口圧力と限外濾過膜入口圧力が0.01Mpa以上になるように循環速度を調整し、濾液濃度は0.1〜10重量%に調整した。なお、限外濾過は下記の装置および条件で行った。
・限外濾過装置(フナコシ製「FILTRATION SYSTEM PS−24001」)
・ペンシル型モジュール(旭化成工業(株)製「型式AIP−0013」)
材質;中空糸膜:ポリアクリロニトリル(PAN)
ハウジング:ポリスルフォン
接着剤:エポキシ樹脂
仕様;膜内径:0.8mm
使用膜本数:100本
有効膜面積:170cm2
公称分画分子量:6000
使用条件;最高使用圧力(kPa):100
使用可能温度(℃):50
使用可能pH範囲:2〜10
・モジュール寸法(mm):20φ×130L
以上のようにして得られた前処理済みのポリマー溶液を用いて、GPC分析、酸滴定、および電気泳動分析を行った。また、得られた前処理済みのポリマー溶液をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器にて50℃で15時間乾燥し、乾固させたポリマーを用いて、NMR分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
【0032】
(GPC分析) GPC分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:Waters LCM1
・使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn SWXL(6.0×40mm)+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL(7.8×300mm)+G2000SWXL(7.8×300mm)
・溶離液:水100999gとアセトニトリル6001gとの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解させ、さらに30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液
・サンプル濃度:0.5重量%(固形分換算)
・打ち込み量:100μL
・溶離液流速:0.8ml/sec
・カラム温度:35℃
・標準物質:重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470のポリエチレングリコール。
・検出器:日本Waters社製 示差屈折検出器
・解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.2.18
GPC分析の結果、図1に示すチャートが得られた。GPCピークには肩がなく、ピークが1つであることが確認でき、得られたポリマー液が単一物であることを示唆された。また、重量平均分子量(Mw)は39348、ピークトップ(MP)は34476、数平均分子量(Mn)は13347、分散度は2.94であることが判った。
【0033】
(電気泳動分析) 電気泳動分析は、下記の条件で行った。
・泳動バッファー:50mMホウ酸水溶液
・キャピラリー:WAT036559 75μL×60cm
・電圧:20kV
・検出器:UV、Hgランプ254nm
・サンプル濃度:2重量%(固形分換算)
電気泳動分析の結果、図2に示すチャートが得られた。電気泳動ピークには肩がなく、ピークが1つであることが確認でき、この結果および上記GPC分析の結果から、得られたポリマー液は、目的物であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとメタクリル酸との共重合体の単一物であり、各原料モノマーのホモポリマーは含まれていないことが判った。
【0034】
(NMR分析) NMR分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:varian社製 geminin2000(200MHz)
・プローブ:CHスウィチャブルプローブ
・観測核:水素核(共鳴周波数 199.9)
・測定条件:90度パルス 10μsec(45度パルスを照射)
待ち時間 1.25秒
積算回数 16回
NMR分析の結果、図3に示すチャートが得られた。この結果から、ピークA,Bよりメタクリル酸骨格が確認でき、ピークCよりメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートモノマー由来のエステル横のメチレン基のピークが確認でき、ピークDよりメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートモノマー由来のメトキシ基のピークが確認でき、ピークCおよびDの積分値の合計とピークDの積分値よりポリエチレンオキサイドの付加モル数は、下記式より10であることが判った。
n=[(3.6+64.2)/4]/[4.9/3]≒10
(酸滴定) 酸滴定は、下記の装置および条件で行った。
・機種:平沼産業株式会社製 自動滴定装置 COM−550
・試薬:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液(和光純薬工業製、容量分析用試薬)、0.1mol/L塩酸溶液(和光純薬工業製、容量分析用試薬)
・溶媒:イオン交換水/アセトニトリル=50/50vol%
・測定方法:▲1▼100mlのビーカーにサンプルを有姿で約1g(固形分換算で0.2〜0.5g)を小数点以下4桁まで精秤し、この値を(W)とする。▲2▼溶媒50mlで希釈する。▲3▼塩酸溶液でpH2.5以下に調整した後、水酸化ナトリウム溶液で電位差滴定を行なう。▲4▼第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム水溶液量(mL)を求め、(V)とする。▲5▼下記式より総カルボン酸酸価(mgKOH/g)を算出する。
総カルボン酸酸価=(V×0.1×fn×56.11)/(W×NV)
但し、fn:0.1mol/L 水酸化のファクター
NV(重量%):サンプルの固形分濃度
酸滴定の結果、図4に示すチャートが得られた。サンプル採取量(固形分換算)0.4490g、第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム水溶液量10.421mL、初期pH2.20、第1変曲点pH3.86、第2変曲点pH9.59、fnは1.001であり、この結果から、総カルボン酸酸価は、10.421×0.1×0.998×56.11/1.1226=130.0mgKOH/gであり、酸はポリマー固形分中にメタクリル酸ナトリウム換算で25重量%含有されていることが判った。
【0035】
(熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析) 熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:日立製作所 N−5000(四重極型)
・カラム:GLscience DB−1(0.25mm×30m×0.25μm)
・Curie Point Pyrolyzer測定法(590℃)
・昇温プログラム:50℃(Hold5min)−(5℃/min)−150℃−(10℃/min)−250℃(Hold5min)
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析の結果、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜4)、1,4−ジオキサン、9−クラウン−3−エーテル、12−クラウン−4−エーテルを検出した。この結果から、ポリマー溶液は、メタクリル酸由来の構造単位と、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート由来の構造単位とから構成されていることが判った。
【0036】
以上のNMR分析、GPC分析、酸滴定、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析の結果を総合的に判断すると、得られたポリマーは、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとメタクリル酸の部分ナトリウム塩との共重合体であり、メタクリル酸の部分ナトリウム塩はメタクリル酸ナトリウム換算で25重量%共重合していることが確認できた。
さらに、精製後、ポリマーの5重量%水溶液のpHを測定したところ、7.2であり、カルボン酸は部分中和されている事が確認できた。また、ICP分析を行ったところ、ナトリウムを検出し、ナトリウム塩を確認できた。
【0037】
(実施例2)
実施例1で得られたポリマー溶液100重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量1,000)2重量部とを混合して得たポリマー溶液を用いて、実施例1と同様の前処理を行い、その後、得られた前処理済みのポリマー溶液について、NMR分析、GPC分析、酸滴定、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
その結果、ポリエチレングリコールは前処理で除去されており、いずれの分析においても実施例1と同様の結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、例えばポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリカルボン酸を製造するに際し、反応生成物として得られるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を的確に分析することができ、ポリカルボン酸の製造を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるGPCチャートである。
【図2】実施例1における電気泳動チャートである。
【図3】実施例1における1H−NMRチャートである。
【図4】実施例1における酸滴定のチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を製造する際に有用な分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸(以下、「ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸」と称することもある。)は、例えば高性能AE減水剤として有用であり、従来から汎用されている。このようなポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させて得るのが一般的であり、従来は、該重合により得られた反応生成物を、例えば、溶剤を用いて沈殿精製した後に、例えばNMR分析、GPC分析、酸滴定等の方法で分析して、例えば高性能AE減水剤に用いるようにしていた(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、通常、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合反応においては、反応生成物として、目的とする1種類のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸だけが得られるとは限らないため、従来の分析方法では、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの区別がつかなかったり、その組成比(各単量体の構造単位の割合)を正確に特定できないなど、的確に分析できないのが現状であった。
例えば、前記重合反応においては、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合性の差によって単量体の重合率が異なることがあり、得られたポリマーは、原料の仕込み比率と同じ比率の組成になるとは限らない。したがって、従来は、通常、液体クロマトグラフィーにより残存する単量体の重量を測定し、その結果と仕込み量から間接的にポリマーを構成する単量体の組成比を推定するようにしていた。しかしながら、重合反応において、組成比が異なる2種以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している可能性もある。しかも、生成している2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分子量が同一である場合には、従来のGPC分析だけでは、単一ポリマーか2種以上のポリマー混合物かの区別がつかない。このため、そのような場合には、残存する単量体の重量と仕込み量から間接的にポリマーを構成する単量体の組成比を推定することでは、2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の混合物の平均の組成比なのか、単一ポリマーの組成比なのか、はっきりしないという問題があり、その組成比を正確に把握することは困難であった。
【0004】
また、未反応原料として残存したポリアルキレングリコール系不飽和単量体や、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来のポリアルキレングリコール(原料であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体中に不純物として含まれる場合もあり、重合反応中に副生する場合もある)などが反応生成物中に含まれていることがあるが、従来の溶剤を用いた沈殿精製ではこれらを充分に分離することができなかった。このため、このような反応生成物中について不飽和カルボン酸由来の構造単位の比率を酸滴定により分析した場合、見かけ上、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来の構造単位の割合が多くなり、不飽和カルボン酸由来の構造単位の比率は、実際よりも小さい値として算出される結果になるという問題があった。
【0005】
例えば、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を高性能AE減水剤に使用する場合には、2種類以上のポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を混合して用いたり、ポリアルキレングリコールを添加したり、消泡剤等のその他のセメント混和剤を添加したりするのが一般的であるが、前述のように重合反応で得られた反応生成物を的確に分析できない現状では、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の量や、添加するポリアルキレングリコールやその他のセメント混和剤の量について、高性能AE減水剤として最適な処方をすることが困難となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−213653号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平8−290948号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を的確に分析する方法、および該分析方法を用いたポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行うことにより、反応生成物中に含まれるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸以外のモノマー成分をほぼ完全に除去し、かつ前述した従来の分析方法に加えて、電気泳動分析を併用することにより、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを明確に区別し、さらに熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することにより、ポリマーを構成する各構造単位の種類やその組成比を決定することができることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明にかかるポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸の分析方法であって、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用する、ことを特徴とする。
本発明にかかるポリカルボン酸の製造方法は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を製造する方法において、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行うことにより、工程管理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマー分析方法は、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分析方法であり、後述するように、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させるポリカルボン酸の製造方法で得られる反応生成物の分析に有用なものである。
本発明のポリマー分析方法においては、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行うことが重要である。これにより、例えば、未反応原料として残存したポリアルキレングリコール系不飽和単量体や、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来のポリアルキレングリコール(原料であるポリアルキレングリコール系不飽和単量体中に不純物として含まれる場合もあり、重合反応中に副生する場合もある)など、反応生成物中に含まれるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸以外の成分を除去することができる。そして、その結果、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体由来の構造単位の割合が見かけ上多くなって、分析で得られたポリマーの組成比(各構造単位の割合)が実際と異なる結果になるのを防ぐことができるのである。
【0012】
非水溶性成分の除去は、具体的には、以下のi)〜iii)の操作により行えばよい。
i)まずpH調整を行う。このとき、pHは、12〜12.5とすることが好ましい。また、pH調整には、例えば、一価金属または二価金属の水酸化物、塩化物、炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等を用いることができ、中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物のアルカリ水溶液が好ましい。
ii)i)で得られた反応液を濃縮・乾固させる。例えば、エバポレーター等を用いて濃縮した後、真空乾燥器等で乾燥し、乾固させればよい。このとき、乾燥温度は、20〜100℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは50℃とするのが好ましい。
【0013】
iii)ii)で得られた乾固物を溶剤でソックスレイ抽出することにより、可溶分を除去する。このとき、溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、石油エーテル、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム等を用いればよい。
低分子量成分の除去は、具体的には、透析や限外濾過等の手段で行えばよい。
このとき、通常は、約40〜50重量%の溶液として行われ、用いる透析装置や限外濾過装置は、特に制限されない。限外濾過を行う場合、分画分子量は、GPCの分子量分布曲線により決定すればよく、例えば1000〜15000の範囲で使い分けるようにするのがよい。また、限外濾過を行う場合、限外濾過膜出口圧力と限外濾過膜入口圧力が0.01Mpa以上になるように循環速度を調整することが好ましく、濾液濃度は、0.1〜10重量%に調整することが好ましい。なお、これらの低分子量成分除去操作の終点は、NMRや液体クロマトグラフィー等で残存モノマーが除去できたことことを確認することにより決定すればよい。
【0014】
なお、前処理において、非水溶性成分の除去と低分子量成分の除去とは、どちらを先に行ってもよいが、先に非水溶性成分の除去を行った後に低分子量成分の除去を行うことが好ましい。
本発明のポリマー分析方法においては、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することが重要である。詳しくは、従来、GPC分析単独で行っていた単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を、電気泳動分析で補足するようにし、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを明確にしたうえで、従来行われていたNMR分析や酸滴定とともに、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用することにより、ポリマーを構成する各構造単位の種類やその組成比を決定するようにする。
【0015】
本発明の分析方法において、GPC分析と電気泳動分析を組み合わせることにより、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かを判断するに際しては、GPC分析により、分子量の異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が混在しているかどうかを判断し、電気泳動分析により、組成比(各単量体由来の構造単位の割合)が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が混在しているかどうかを判断する。例えば、2種類以上のポリマー混合物として、分子量は同じであるが組成比(各単量体由来の構造単位の割合)が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している場合、電気泳動分析ではチャート上に2つのピーク検出されるか、ピークに肩があることが確認できるが、GPC分析ではチャート上にピークは1つしか検出されず、電気泳動分析だけでは単一ポリマーであると誤認してしまうことなる。一方、2種類以上のポリマー混合物として、組成比(各単量体由来の構造単位の割合)は同一であるが分子量が異なる2種類以上のアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が生成している場合、GPC分析ではチャート上に2つのピークが検出されるか、ピークに肩があることが確認できるが、電気泳動分析ではチャート上にピークは1つしか検出されず、電気泳動分析だけでは単一ポリマーであると誤認してしまうことなる。このように、GPC分析、電気泳動分析のいずれか一方だけでは、単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を的確に行うことができないのである。
【0016】
なお、本発明において、ピークに肩があるとは、ピークトップとこれより右側のベースラインとの間もしくはピークトップとこれより左側のベースラインとの間の少なくとも一方において、変曲点が2つ以上存在することを言い、ピークに肩がないとは、ピークトップとこれより右側のベースラインとの間およびピークトップとこれより左側のベースラインとの間の両方において、それぞれ変曲点が1つしか存在しないことを言うものとする。
本発明のポリマー分析方法におけるGPC分析では、分子の大きさの差を利用して、電気泳動分析との組み合わせで単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を行うと同時に、ポリマーの分子量や分散度等を決定する。なお、GPC分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
【0017】
本発明のポリマー分析方法における電気泳動分析では、分子の電気特性の差を利用して、GPC分析との組み合わせで単一ポリマーか2種類以上のポリマー混合物かの判断を行う。なお、電気泳動分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
本発明のポリマー分析方法においては、前記NMR分析により、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を構成する構造単位を推定するとともに、ポリマー中におけるポリアルキレングリコール構造を構成するアルキレンオキシドの付加モル数を決定する。このとき、通常は、水素核を観測核とすればよい。
また、1H−NMR分析により、ポリマー中におけるポリアルキレングリコール構造の含有量(重量%)も求めることができる。具体的には、ポリアルキレングリコール構造がポリエチレングリコール構造である場合、ポリマーと内部標準物質との重量比、およびポリマーのポリエチレン構造由来のピークと内部標準物質由来のピークとの1H−NMR積分比を求め、他方、検量線物質として例えば「−OCH2CH2−」の含有量が既知のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの1H−NMRを測定し、その重量比および1H−NMR積分比とから検量線を作製し、これらを用いて算出すればよい。なお、NMR分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
【0018】
本発明のポリマー分析方法においては、前記酸滴定により、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸が有する総カルボン酸酸価を決定する。ここで、総カルボン酸酸価とは、試料1g中に含まれるカルボン酸を中和するのに必要なKOHのmg数のことである。具体的には、まず、試料を塩酸や硫酸等の強酸でpH2.5以下に調整した後、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で電位差滴定を行い、滴定曲線上で、強酸が完全に中和される第1変曲点から、カルボン酸が完全に中和される第2変曲点までの間に必要となったアルカリ水溶液の量を求め、これを基に実施例で後述する式により算出すればよい。なお、酸滴定に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、例えば、実施例で後述する装置および条件で行えばよい。
【0019】
本発明のポリマー分析方法においては、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析により、ポリマーを構成する構造単位の種類を決定する。なお、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析に用いる測定装置や測定条件等は、特に制限されるものではなく、従来公知の装置を用い、通常の測定条件で行えばよい。
本発明のポリマー分析方法においては、必要に応じて、さらに、ICP、イオンクロマトグラフィー、原子吸光、元素分析等の手段を併用し、金属元素等の含有元素の定性・定量分析、および構造単位の含有率の決定を行えばよい。なお、これら各手段の具体的な手法や条件等については、特に制限はなく、通常の方法で行えばよい。
【0020】
本発明のポリマー分析方法においては、必要に応じて、さらに、IR(赤外線分析)やUV(紫外線分析)等の手段を併用し、官能基の定性・定量分析、および構造単位の含有率の決定を行えばよい。なお、これら各手段の具体的な手法や条件等については、特に制限はなく、通常の方法で行えばよい。
本発明のポリカルボン酸の製造方法は、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させる製造方法において、前記本発明の分析方法により工程管理を行うものである。具体的には、ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の分析方法であり、後述するように、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体との重合反応で得られる反応生成物を前記本発明の分析方法で分析することにより、重合反応の進行具合を判断したり、得られたポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸の品質評価を行ったりするものである。
【0021】
本発明においてポリカルボン酸の製造の原料である前記不飽和カルボン酸系単量体としては、不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを有する単量体であれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の不飽和カルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸無水物等の不飽和ジカルボン酸類;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアルコールとのハーフエステル、前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド;等が挙げられる。
【0022】
本発明においてポリカルボン酸の製造の原料である前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とを有する単量体であれば特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコールエステル系単量体やポリアルキレングリコールエーテル系単量体等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、例えば、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物等が挙げられ、中でも、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルが好適である。また、前記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルの他にも、例えば、炭素数1〜22のアルコールや炭素数1〜22のアミンに炭素数2〜4のオキシアルキレンを1〜300モル付加させたアルキルポリアルキレングリコールと前記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステルもしくはジエステル;前記不飽和ジカルボン酸類と炭素数2〜4のグリコール平均付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステルもしくはジエステル;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノマレイン酸エステルや(アルコキシ)ポリアルキレングリコールジマレイン酸エステル等を用いることもできる。
【0023】
前記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、例えば、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、等が挙げられる。なお、前記ポリアルキレングリコールエーテル系単量体のポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキシドの付加モル数は、1〜300であることが好ましく、より好ましくは2〜300、さらに好ましくは4〜150、最も好ましくは15〜100であるのがよい。
【0024】
本発明のポリカルボン酸の製造方法においては、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させる際に、さらに他の不飽和単量体を併用してもよい。他の不飽和単量体としては、例えば、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の二官能アクリル酸エステル類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、スチレンスルホン酸、もしくはこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等の不飽和スルホン酸類;(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテルまたはアリルエーテル類;等が挙げられる。
【0025】
本発明のポリカルボン酸の製造方法において、前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際の各単量体の使用割合は、特に制限されないが、例えば、ポリアルキレングリコール系不飽和単量体/不飽和カルボン酸系単量体/他の不飽和単量体=1〜99/1〜99/0〜60(重量比)とすることが好ましく、より好ましくは5〜99/2〜80/0〜40(重量比)、さらに好ましくは10〜95/5〜50/0〜25(重量比)とするのがよい。
本発明のポリカルボン酸の製造方法において、前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際の重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、溶媒中での重合、塊状重合等の方法により行えばよい。また、溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行うことができる。
【0026】
溶媒中で重合を行う場合、溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;等の1種または2種以上を用いることができる。中でも、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等が特に好ましい。
水を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、例えば、アンモニウム、アルカリ金属の過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等の促進剤を併用することもできる。低級アルコール、芳香族あるいは脂肪族炭化水素、エステル化合物、またはケトン化合物を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることが好ましい。この際、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。なお、水−低級アルコール混合溶剤を溶媒とする重合の場合は、重合開始剤として、前述した種々の重合開始剤の中から適宜選択し、必要に応じて前述した種々の促進剤を併用すればよい。
【0027】
溶媒中で重合を行う場合、重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤等により適宜設定すればよいが、通常は0〜120℃の範囲で行うことが好ましい。
塊状重合の場合は、重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることが好ましい。
塊状重合の場合、重合温度は、用いる重合開始剤等により適宜設定すればよいが、通常は50〜200℃の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
前記ポリアルキレングリコール系不飽和単量体および不飽和カルボン酸系単量体と必要に応じて前記他の不飽和単量体とを重合させる際には、得られるポリカルボン酸の分子量調節のために、例えば、次亜リン酸(塩)やチオール系連鎖移動剤等を用いるようにしてもよい。チオール系連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。さらに、得られるポリカルボン酸の分子量調整のためには、原料として連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0029】
本発明のポリカルボン酸の製造方法においては、前記重合後、得られた反応生成物をアルカリ性物質で中和しておくことが好ましい。これにより、水に対する溶解性を向上させ、非水溶性成分を低減させることができる。アルカリ性物質としては、例えば、一価金属または二価金属の水酸化物、塩化物、炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等を用いることができ、中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物が好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中、特にことわりのない限り、「%」は「重量%」を、また、「部」は「重量部」を表すものとする。
(実施例1)
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えたガラス製反応容器に、水912部を仕込み、攪拌下で窒素置換し50℃まで加熱した。次に、該反応容器に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレングリコールの繰り返し単位数10)474部、メタクリル酸126部、水900部からなる単量体混合水溶液を4時間かけて、10%過硫酸アンモニウム水溶液300部を5時間かけて、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液300部を5時間かけて、それぞれ滴下した。全ての滴下終了後、さらに50℃で1時間攪拌し、水溶液重合反応を完結させた。その後、得られた反応液を30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ポリマー溶液(ポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸)を得た。
【0031】
次に、次のようにして前処理を行った。すなわち、まず、得られたポリマー溶液を、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12〜12.5に調整した後、エバポレーターで濃縮し、次いで50℃の真空乾燥器で15時間乾燥して、乾固させた。得られた乾固物をジエチルエーテルを溶剤としてソックスレイ抽出し、可溶分と不溶分に分離した。次いで、得られた不溶分を限外濾過膜(Mw6000)で限外濾過し、液体クロマトグラフィーで確認される残存モノマーが0.5重量%以下になるようにした。このとき、限外濾過膜出口圧力と限外濾過膜入口圧力が0.01Mpa以上になるように循環速度を調整し、濾液濃度は0.1〜10重量%に調整した。なお、限外濾過は下記の装置および条件で行った。
・限外濾過装置(フナコシ製「FILTRATION SYSTEM PS−24001」)
・ペンシル型モジュール(旭化成工業(株)製「型式AIP−0013」)
材質;中空糸膜:ポリアクリロニトリル(PAN)
ハウジング:ポリスルフォン
接着剤:エポキシ樹脂
仕様;膜内径:0.8mm
使用膜本数:100本
有効膜面積:170cm2
公称分画分子量:6000
使用条件;最高使用圧力(kPa):100
使用可能温度(℃):50
使用可能pH範囲:2〜10
・モジュール寸法(mm):20φ×130L
以上のようにして得られた前処理済みのポリマー溶液を用いて、GPC分析、酸滴定、および電気泳動分析を行った。また、得られた前処理済みのポリマー溶液をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器にて50℃で15時間乾燥し、乾固させたポリマーを用いて、NMR分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
【0032】
(GPC分析) GPC分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:Waters LCM1
・使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn SWXL(6.0×40mm)+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL(7.8×300mm)+G2000SWXL(7.8×300mm)
・溶離液:水100999gとアセトニトリル6001gとの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解させ、さらに30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液
・サンプル濃度:0.5重量%(固形分換算)
・打ち込み量:100μL
・溶離液流速:0.8ml/sec
・カラム温度:35℃
・標準物質:重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470のポリエチレングリコール。
・検出器:日本Waters社製 示差屈折検出器
・解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.2.18
GPC分析の結果、図1に示すチャートが得られた。GPCピークには肩がなく、ピークが1つであることが確認でき、得られたポリマー液が単一物であることを示唆された。また、重量平均分子量(Mw)は39348、ピークトップ(MP)は34476、数平均分子量(Mn)は13347、分散度は2.94であることが判った。
【0033】
(電気泳動分析) 電気泳動分析は、下記の条件で行った。
・泳動バッファー:50mMホウ酸水溶液
・キャピラリー:WAT036559 75μL×60cm
・電圧:20kV
・検出器:UV、Hgランプ254nm
・サンプル濃度:2重量%(固形分換算)
電気泳動分析の結果、図2に示すチャートが得られた。電気泳動ピークには肩がなく、ピークが1つであることが確認でき、この結果および上記GPC分析の結果から、得られたポリマー液は、目的物であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとメタクリル酸との共重合体の単一物であり、各原料モノマーのホモポリマーは含まれていないことが判った。
【0034】
(NMR分析) NMR分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:varian社製 geminin2000(200MHz)
・プローブ:CHスウィチャブルプローブ
・観測核:水素核(共鳴周波数 199.9)
・測定条件:90度パルス 10μsec(45度パルスを照射)
待ち時間 1.25秒
積算回数 16回
NMR分析の結果、図3に示すチャートが得られた。この結果から、ピークA,Bよりメタクリル酸骨格が確認でき、ピークCよりメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートモノマー由来のエステル横のメチレン基のピークが確認でき、ピークDよりメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートモノマー由来のメトキシ基のピークが確認でき、ピークCおよびDの積分値の合計とピークDの積分値よりポリエチレンオキサイドの付加モル数は、下記式より10であることが判った。
n=[(3.6+64.2)/4]/[4.9/3]≒10
(酸滴定) 酸滴定は、下記の装置および条件で行った。
・機種:平沼産業株式会社製 自動滴定装置 COM−550
・試薬:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液(和光純薬工業製、容量分析用試薬)、0.1mol/L塩酸溶液(和光純薬工業製、容量分析用試薬)
・溶媒:イオン交換水/アセトニトリル=50/50vol%
・測定方法:▲1▼100mlのビーカーにサンプルを有姿で約1g(固形分換算で0.2〜0.5g)を小数点以下4桁まで精秤し、この値を(W)とする。▲2▼溶媒50mlで希釈する。▲3▼塩酸溶液でpH2.5以下に調整した後、水酸化ナトリウム溶液で電位差滴定を行なう。▲4▼第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム水溶液量(mL)を求め、(V)とする。▲5▼下記式より総カルボン酸酸価(mgKOH/g)を算出する。
総カルボン酸酸価=(V×0.1×fn×56.11)/(W×NV)
但し、fn:0.1mol/L 水酸化のファクター
NV(重量%):サンプルの固形分濃度
酸滴定の結果、図4に示すチャートが得られた。サンプル採取量(固形分換算)0.4490g、第1変曲点から第2変曲点までに必要な水酸化ナトリウム水溶液量10.421mL、初期pH2.20、第1変曲点pH3.86、第2変曲点pH9.59、fnは1.001であり、この結果から、総カルボン酸酸価は、10.421×0.1×0.998×56.11/1.1226=130.0mgKOH/gであり、酸はポリマー固形分中にメタクリル酸ナトリウム換算で25重量%含有されていることが判った。
【0035】
(熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析) 熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析は、下記の装置および条件で行った。
・機種:日立製作所 N−5000(四重極型)
・カラム:GLscience DB−1(0.25mm×30m×0.25μm)
・Curie Point Pyrolyzer測定法(590℃)
・昇温プログラム:50℃(Hold5min)−(5℃/min)−150℃−(10℃/min)−250℃(Hold5min)
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析の結果、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜4)、1,4−ジオキサン、9−クラウン−3−エーテル、12−クラウン−4−エーテルを検出した。この結果から、ポリマー溶液は、メタクリル酸由来の構造単位と、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート由来の構造単位とから構成されていることが判った。
【0036】
以上のNMR分析、GPC分析、酸滴定、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析の結果を総合的に判断すると、得られたポリマーは、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとメタクリル酸の部分ナトリウム塩との共重合体であり、メタクリル酸の部分ナトリウム塩はメタクリル酸ナトリウム換算で25重量%共重合していることが確認できた。
さらに、精製後、ポリマーの5重量%水溶液のpHを測定したところ、7.2であり、カルボン酸は部分中和されている事が確認できた。また、ICP分析を行ったところ、ナトリウムを検出し、ナトリウム塩を確認できた。
【0037】
(実施例2)
実施例1で得られたポリマー溶液100重量部と、ポリエチレングリコール(重量平均分子量1,000)2重量部とを混合して得たポリマー溶液を用いて、実施例1と同様の前処理を行い、その後、得られた前処理済みのポリマー溶液について、NMR分析、GPC分析、酸滴定、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
その結果、ポリエチレングリコールは前処理で除去されており、いずれの分析においても実施例1と同様の結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、例えばポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリカルボン酸を製造するに際し、反応生成物として得られるポリアルキレングリコール構造含有ポリカルボン酸を的確に分析することができ、ポリカルボン酸の製造を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるGPCチャートである。
【図2】実施例1における電気泳動チャートである。
【図3】実施例1における1H−NMRチャートである。
【図4】実施例1における酸滴定のチャートである。
Claims (2)
- ポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸の分析方法であって、非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を併用する、
ことを特徴とするポリマー分析方法。 - ポリアルキレングリコール系不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを重合させてポリアルキレングリコール構造を有するポリカルボン酸を製造する方法において、
非水溶性成分および低分子量成分を除去する前処理を行った後、NMR分析、GPC分析、および酸滴定とともに、電気泳動分析および熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析を行うことにより、工程管理を行う、
ことを特徴とするポリカルボン酸の製造方法。
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2002
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