JP2023148081A - (メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物 - Google Patents

(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アルカリ水への溶解性が良好な(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物を提供することにある。【解決手段】(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位を有するグラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物である、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物。グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応によって(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位から酸基が生成し、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位がt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位であると特に有用である。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物に関する。
従来、塗料やインク、塗料、接着剤、粘着剤、高分子材料の表面処理材料の分野においては、有機溶剤を媒体とする溶剤系重合体組成物が主流であった。しかし、近年、環境問題、省資源化、労働安全等の観点より、水を媒体とする樹脂組成物への切り替えが進んでいる。水を媒体とする樹脂組成物の製造方法には様々あるが、乳化剤等を介して水中に分散、懸濁させたエマルジョン樹脂組成物は、本質的に耐水性、耐薬品性等の化学的な性能が溶剤系の重合体組成物よりも劣る。
これに対して、重合体組成物に含有される重合体に酸基を持たせることで、重合体を水中へ分散させる手法が開発されてきた。これは乳化剤等を用いないため、エマルジョン樹脂組成物よりも化学的な性能が優れている。
特許文献1には、重合体組成物が水溶液の形で用いられるが、重合体をアルカリ性水溶液に溶解させ、前記重合体の水溶液を調製していることが記載されている。しかしながら、重合体組成物はしばしばアルカリ性水溶液への溶解に要する時間が長いか、溶解性を示さない。従って、前記のような重合体において、アルカリ水溶液に対する溶解性を向上させることができれば、前記重合体の水溶液を調整する上で作業性を向上させることができ、その技術的意味は大きい。
特表平10-502097号公報
本発明は、前記記のような重合体組成物の性能を改良することを目的としてなされたものであって、アルカリ水溶液への溶解性が良好な(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を要旨とする。
[1](メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位を有するグラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物である、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物。
[2]前記酸基がカルボキシ基、スルホン基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種以上である、[1]に記載の組成物。
[3]前記重合体が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、コハク酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルスルホン酸、及びモノ(2-メタクロイルオキシエチル)アシッドホスフェートからなる群から選ばれる1種以上の酸基を有する単量体由来の構成単位を有する、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記重合体が有する酸基の全モル数に対して30モル%以上100モル%以下の酸基が、前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基である、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応生成物が、加水分解反応以外の反応生成物を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記酸(D)が強酸を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]前記グラフトポリマー(A)がt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[8]前記グラフトポリマー(A)の側鎖(C)がt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する、[7]に記載の組成物。
[9]前記グラフトポリマー(A)の全構成単位に対して、前記グラフトポリマー(A)の主鎖(B)が疎水性単量体由来の構成単位を5質量%以上100質量%以下有する、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]前記酸基を有する重合体の側鎖の酸価が5mgKOH/g以上600mgKOH/g以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記グラフトポリマー(A)が、前記グラフトポリマー(A)の全質量に対して側鎖(C)を20質量%以上50質量%以下有し、主鎖(B)を50質量%以上80質量%以下有する、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]前記グラフトポリマー(A)の(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位の総モル量に対する、前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基の割合が、20mol%以上95mol%以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
本発明によれば、アルカリ水への溶解性が良好な(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物を提供することができる。
以下に発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の総称を意味する。
本発明の一実施形態に係る組成物は、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位を有するグラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物である、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体(以下、単に「重合体(E)」とも記す。)を含む組成物である。
重合体(E)が有する酸基としては、特に限定されず、例えば、カルボキシ基、スルホン基、リン酸基等が挙げられる。重合体(E)のアルカリ水への溶解性が良好となる点から、酸基としては、カルボキシ基、スルホン基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。重合体(E)が有する酸基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
重合体(E)は(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有するアクリル樹脂としては、例えば、酸基を有さない(メタ)アクリル系単量体(a)(以下、単に「単量体(a)」とも記す。)由来の構成単位を有し、かつ酸基を有する単量体(b)(以下、単に「単量体(b)」とも記す。)由来の構成単位を有する重合体が挙げられる。
単量体(a)の具体例としては、例えば、以下の化合物を例示できる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、i-ペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖もしくは分岐状の炭化水素骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート。
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート。
グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル。
フェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、o-ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル。
(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩。
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテルを有する(メタ)アクリレート。
N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート。
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシ5-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、1,1-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,1-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,1-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2,3-トリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2,3-トリヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1,2-トリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,1,2-トリヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート。
2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート。
ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド-ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド-ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシポリエチルオキシド(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、1,2,3-トリヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,1,2-トリヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のヒドロキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレート。
重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性が良好になる点から、単量体(a)としては、直鎖もしくは分岐状の炭化水素骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート、及び脂環式骨格を有するアルキル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つを含むことがより好ましく、t-ブチル(メタ)アクリレートを含むことがさらに好ましい。単量体(a)は、1種を単独用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)の具体例としては、例えば、以下の単量体が挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、クロトン酸、イソクロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等のカルボキシ基を有する単量体。
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体。
モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3-クロロ-2-アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する単量体。
重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性が良好になる点から、単量体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、コハク酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルスルホン酸、及びモノ(2-メタクロイルオキシエチル)アシッドホスフェートからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物がより好ましい。
単量体(b)は1種を単独用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂は、単量体(a)由来の構成単位及び単量体(b)由来の構成単位以外に、単量体(a)及び単量体(b)以外の他の単量体(c)由来の構成単位を有していてもよい。
他の単量体(c)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等の多官能単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;1,3-ブタジエン、イソプレン、2-クロロ-1、3-ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン単量体;等が挙げられる。他の単量体(c)は1種を単独用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(E)が有する酸基の少なくとも一部は、グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応により、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位から生成する酸基である。なお、重合体(E)が有するすべての酸基がグラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基である場合、重合体(E)は単量体(b)由来の構成単位を有していなくてもよい。
重合体(E)に用いるグラフトポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル由来の構成単位を有する。これにより、グラフトポリマー(A)と酸(D)が反応することで、(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル由来の構成単位から3級アルキル基が脱離して酸基を生成し、酸基を有する重合体(E)が得られる。
(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステルの具体例としては、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジエチルプロピル(メタ)アクリレート、1,1-ジエチルブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
グラフトポリマー(A)が有する(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル由来の構成単位は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応によってイソブチレンが脱離して酸基を生じやすく、酸基を有する重合体が効率良く得られる点、及び重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性が良好になる点から、(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステルとしてはt-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応において3級アルキルが脱離しやすく、酸基を有する重合体が効率良く得られる点から、(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル由来の構成単位は、グラフトポリマー(A)の側鎖(C)に含まれていることがより好ましい。
また、グラフトポリマー(A)の3級アルキルエステル由来の構成単位から3級アルキル基が脱離しやすく、酸基を有する重合体(E)が効率良く得られる点から、グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応生成物は、加水分解反応以外の反応生成物を含むことが好ましい。
重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性が良好となる点から、重合体(E)が有する酸基の全モル数に対して、30モル%以上100モル%以下の酸基が、グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基であることが好ましい。
グラフトポリマー(A)の(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位の総モル量に対する、グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基の割合は、20mol%以上95mol%以下である。30mol%以上90mol%以下がより好ましく、35mol%以上80mol%以下がさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であれば、副生成物の発生が十分に抑えられ、重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性や貯蔵安定性といった特性への悪影響が少なくなる。前記割合が前記下限値以上であれば、重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性が良好となる。なお、前記割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
グラフトポリマー(A)は、グラフトポリマー(A)の全質量に対して、側鎖(C)を20質量%以上50質量%以下有し、主鎖(C)を50質量%以上80質量%以下有することが好ましい。側鎖(C)及び主鎖(B)の量が前記範囲内であれば、グラフトポリマー(A)の製造過程で主鎖のみのポリマーや側鎖のみのポリマーといった副生成物の発生を抑制しやすい。
グラフトポリマー(A)の主鎖(B)は、グラフトポリマー(A)の全構成単位に対して、疎水性単量体由来の構成単位を5質量%以上100質量%以下有することが好ましく、20質量%以上90質量%以下有することがより好ましく、50質量%以上80質量%有することがさらに好ましい。疎水性単量体由来の構成単位の含有量が前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性がより良好になる。前記疎水性単量体由来の構成単位の含有量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
疎水性単量体としては、例えば、前記単量体(a)で例示した脂環式骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、前記他の単量体(c)で例示した芳香族ビニル単量体、多官能単量体、共役ジエン単量体が挙げられる。
グラフトポリマー(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、3000以上500000以下が好ましく、4000以上300000以下がより好ましい。Mwが前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性がさらに良好になる。グラフトポリマー(A)のMwの下限と上限は任意に組み合わせることができる。
グラフトポリマー(A)の側鎖(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、2000以上400000以下が好ましく、2500以上250000以下がより好ましい。側鎖(C)のMwの下限と上限は任意に組み合わせることができる。
また、グラフトポリマー(A)の側鎖(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以上5.0未満が好ましい。ただし、Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した数平均分子量である。
側鎖(C)のMw及びMw/Mnが前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性がさらに良好になる。
グラフトポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、-20℃以上150℃以下が好ましく、-5℃以上100℃以下がより好ましく、0℃以上80℃以下がさらに好ましい。Tgが前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性がさらに良好になる。
なお、本明細書において「ガラス転移温度(Tg)」(単位:℃)は、下記式(1)で示されるFoxの計算式により算出した値を意味する。
Figure 2023148081000001
前記式(1)中の略号は以下を意味する。
Wi:単量体iの質量分率
Tgi:単量体iの単独重合体のTg(℃)
なお、単独重合体のTgは、「ポリマーハンドブック第4版 John Wiley & Sons著」に記載の数値を用いることができる。
「ポリマーハンドブック第4版 John Wiley & Sons著」に記載のない単独重合体のTgは、JIS規格K-7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法で測定した実測値を用いることができる。
重合体(E)を含む組成物の酸価は、5mgKOH/g以上700mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上500mgKOH/g以下がより好ましい。重合体(E)を含む組成物の酸価が前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物のアルカリ水への溶解性が良好になる。
重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性が良好になる点から、酸基は重合体(E)の側鎖に多く含まれることが好ましい。
重合体(E)の側鎖の酸価は、5mgKOH/g以上600mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上400mgKOH/g以下がより好ましい。重合体(E)の側鎖の酸価が前記範囲内であれば、重合体(E)を含む組成物を水に分散させた際の分散安定性が良好になる。
重合体(E)を含む組成物は、そのままでも使用できるが、酸基を中和して使用することができる。酸基を中和するアルカリ性物質としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物あるいは炭酸塩、アンモニア、アミン類が挙げられる。具体的には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、モルホリン、N-メチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
酸基を有する重合体(E)を容易に中和できる点から、酸基を中和するアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミンが好ましい。前記アルカリ性物質にて、重合体(E)が有する酸基の一部又は全部を中和することによって、重合体(E)を水溶性にすることや、重合体(E)のエマルジョンや水分散液を得たりすることができる。
本発明の組成物は、酸基を有する重合体(E)を含むので、重合体(E)がグラフトポリマーであっても完全中和又は部分中和することによって、アルカリ水への溶解性がさらに良好になる。そのため、例えば、水性塗料、水性インク、粘着剤、接着剤として好適に使用することができる。
以下、重合体(E)を含む組成物の製造方法の一例について説明する。
重合体(E)を含む組成物は、例えば、グラフトポリマー(A)を製造した後、得られたグラフトポリマー(A)と酸(D)とを反応させることによって得ることができる。
グラフトポリマー(A)の製造方法としては、例えば、以下の方法(i)~(iii)が挙げられる。
(i)主鎖となる重合体に、側鎖となる単量体と水素引き抜き能を持つ開始剤を混合することで主鎖のポリマーから反応性のラジカルを発生させ側鎖となるモノマーと反応させる方法。
(ii)側鎖として末端に付加重合性二重結合基(α,β-エチレン性不飽和基)が結合したマクロモノマーを利用し、主鎖となる単量体と開始剤を混合して反応させる方法。
(iii)主鎖となる重合体の水酸基やグリシジル基、酸基などの反応性官能基と、側鎖となる重合体又は単量体の反応性官能基を反応させる方法。
製造におけるグラフトポリマー(A)の反応収率の再現性の高さから、方法(ii)が好ましい。
本発明において、「マクロモノマー」とは比較的高分子量の単量体であり、その末端には付加重合性二重結合基(α,β-エチレン性不飽和基)が結合した重合体タイプの単量体である。マクロモノマーをグラフトポリマー(A)に組み込むことによって、マクロモノマー由来のグラフト鎖(側鎖(C))がグラフトポリマー(A)に導入される。
マクロモノマーの製造方法としては、例えば、Co触媒のような連鎖移動剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。また、2-ヒドロキシエチルチオールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用して単量体の重合を行い、片末端にヒドロキシ基を導入した重合体を得た後、前記重合体にメタクリル酸クロライドやメタクリロイロオキシエチルイソシアネート等の、活性水素と反応し得る反応性基を有する単量体を反応させる方法が挙げられる。さらに、イオン重合やリビングラジカル重合によって得られる重合体の末端に水酸基等の活性水素含有基を導入し、活性水素と反応し得る反応性基を有し、且つ付加重合性の反応基を有する化合物と反応して得る方法を挙げることもできる。
製造の容易な点から、マクロモノマーの製造方法としては、Co触媒を連鎖移動剤として使用する方法が好ましい。
マクロモノマーとしては、その主鎖の末端にラジカル重合性基を有するマクロモノマーが好ましく、下記式(2)で表されるマクロモノマーがより好ましい。
Figure 2023148081000002
(式(2)中、Rは水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、又は非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、Qは2以上の構成単位(a’)を含む主鎖部分を示し、Zは末端基を示す。)但し、構成単位(a’)は下記式(a’)で示される。
Figure 2023148081000003
式中、Rは水素原子、メチル基又はCHOHを示し、RはOR、ハロゲン原子、COR、COOR、CN、CONR又はRを示し、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、又は非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、カルボン酸基(COOH)、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基(SOH)及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Rは非置換の若しくは置換基を有するアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するオレフィン基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
Zとしては、例えば、公知のラジカル重合で得られる重合体の末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマーとしては、下記式(3)で表されるマクロモノマーが特に好ましい。
Figure 2023148081000004
(式(3)中、R及びZは前記と同義であり、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するへテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、又は非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、ラジカル重合性基を有する基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、カルボジイミド基、酸無水物基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、nは2以上の自然数を示す。)
マクロモノマーに用いる単量体としては、例えば、前記した(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル、単量体(a)、単量体(b)、他の単量体(c)が挙げられ、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルを含むことが好ましい。
マクロモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフトポリマー(A)の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の通常知られる重合方法によって製造することができる。これらの中でも、製造が容易である点から、溶液重合が好ましい。
溶液重合においては、例えば、マクロモノマー、単量体、及び生成物であるグラフトポリマー(A)を溶解させる有機溶剤中で重合を行うことでグラフトポリマー(A)を製造できる。
前記溶液重合に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン、酢酸エチル、酢酸ノルマル(n-)ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、スーパーゾール100(新日本石油(株)製、製品名)、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル(炭素数:1~6、以下のアルキル基も同様)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。前記溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記の重合は従来公知の開始剤で行うことができる。開始剤の例として、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸化合物等が挙げられる。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の具体例としては、例えば、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート)、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,6-ジ-(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソナノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
過硫酸化合物としては、例えば、過硫酸カリウム等が挙げられる。
重合の際には、さらに連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、オクチルチオグリコレート、α-メチルスチレンダイマー、メルカプトエタノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体の重合速度の点から、重合反応の温度は、30℃以上200℃以下が好ましく、50℃以上160℃以下がより好ましい。
グラフトポリマー(A)と酸(D)とを反応させることにより、重合体(E)を含む組成物が得られる。
重合体(E)を製造するための反応容器としては、工業的に樹脂と添加物を混合させるために使用する反応容器であれば特に限定されないが、例えば、混合機能、温度調節機能を備え、原料の供給口と反応液の取り出し口を有する反応容器が挙げられる。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応は、反応容器にグラフトポリマー(A)及び酸(D)を仕込み、必要に応じてさらに溶剤、重合禁止剤、その他添加剤を仕込み、加熱混合、撹拌することにより容易に進行する。
グラフトポリマー(A)と反応させる酸(D)としては、無機酸、塩基酸が用いられる。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸;ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、トリフルオロメタスルホン酸等の有機酸;塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸;あるいは固体酸等が挙げられる。
本発明においては、酸(D)が強酸を含有することが好ましい。酸(D)が強酸を含有することで、酸基を有する重合体(E)を効率良く得ることができる。
酸(D)は単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
酸(D)の使用量は、グラフトポリマー(A)の固形分100質量部に対し、0.001質量部以上30質量部以下が好ましく、0.005質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.01質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。酸(D)の使用量が前記下限値以上であれば、重合体(E)の生成反応が十分に早く進行する。酸(D)の使用量が前記上限値以下であれば、重合体(E)を含む組成物の特性への悪影響が少ない。なお、酸(D)の使用量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応においては、溶剤を用いてもよい。溶剤としては、例えば、水、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル(炭素数:1~6、以下のアルキル基も同様)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。溶剤を添加する場合で、特に親水性の重合体を含む組成物を得ることが望ましい場合には、水溶性の有機溶剤として、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤を使用することが好ましい。
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応においては重合反応を抑制するために重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等が挙げられる。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応においては、酸素含有ガスをバブリングする等の方法をとってもよい。
グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応温度は、特に制限されないが、20℃以上200℃以下が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましい。反応温度が前記下限値以上であれば、反応が進行しやすい。反応温度が前記上限値以下であれば、反応の制御が容易である。なお、前記反応温度の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明における「部」は「質量部」を意味する。
重合体の固形分中の酸価は以下に記載の方法で測定した。
[重合体の酸価の測定方法]
重合体の含有量として約2.5mmolの組成物の試料をビーカーに精秤し(重合体の固形分A(g))、極微量のフェノールフタレインと0.476質量%パラトルエンスルホン酸水溶液5mL、トルエンと95%エタノール溶液(質量比50:50)の混合溶液50mLを加えた。室温で15分間撹拌させた後、キシダ化学製の20℃でのファクター(F)が1.003である0.5mol/L水酸化カリウム溶液(エタノール溶液)で中和滴定を行い、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とした。以下の式に従って固形酸価を算出した。
固形酸価(mgKOH/g)={(B×0.5-0.125)×56.11×f}/A
式中、Bは滴定量(mL)、fはKOH溶液の力価を意味する。
[合成例]
(分散剤1の製造)
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメタクリル酸メチル12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
(連鎖移動剤1の製造)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g及びジフェニルグリオキシム1.93g、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mLを入れ、室温で30分間撹拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mLを加え、さらに6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤1を2.12g得た。
(マクロモノマー1の製造)
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水160部、硫酸ナトリウム0.4部及び分散剤1(固形分10質量%)0.5部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、t-ブチルメタクリレートを60部、メチルメタクリレートを40部、連鎖移動剤1を0.0015部、及び重合開始剤としてパーオクタ(登録商標)O(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日油(株)製)0.4部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して1時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー1を得た。このマクロモノマー1の酸価を計測した結果、0mgKOH/gであった。
(マクロモノマー2の製造)
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水160部、硫酸ナトリウム0.4部及び分散剤1(固形分10質量%)0.5部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、t-ブチルメタクリレートを60部、2-エチルヘキシルメタクリレートを40部、連鎖移動剤1を0.0015部、及び重合開始剤としてパーオクタ(登録商標)O(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日油(株)製)0.4部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して1時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー2を得た。このマクロモノマー2の酸価を計測した結果、0mgKOH/gであった。
(マクロモノマー3の製造)
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水160部、硫酸ナトリウム0.4部及び分散剤1(固形分10質量%)0.5部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、t-ブチルメタクリレートを60部、2-エチルヘキシルメタクリレートを40部、連鎖移動剤1を0.003部、及び重合開始剤としてパーオクタ(登録商標)O(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日油(株)製)0.4部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して1時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー3を得た。このマクロモノマー3の酸価を計測した結果、0mgKOH/gであった。
(マクロモノマー4の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを56.5部、連鎖移動剤1を0.01部添加し、100℃に加温した。また別の容器において、i-ブチル(メタ)アクリレート30部、メタクリル酸30部、2-エチルヘキシルメタクリレート40部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)5部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応温度が100℃になるように滴下し、滴下終了後1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)1.5部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加え、次いで同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のマクロモノマー4を得た。このマクロモノマー4の酸価を計測した結果、200mgKOH/gであった。
(マクロモノマー5の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを90部、連鎖移動剤1を0.01部添加し、100℃に加温した。また別の容器において、スチレン55部、メタクリル酸25部、2-エチルヘキシルメタクリレート20部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)9部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応温度が100℃になるように滴下し、滴下終了後1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)1.5部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加え、次いで同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のマクロモノマー5を得た。このマクロモノマー5の酸価を計測した結果、163mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー1の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー1を40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを58部添加し、100℃に加温した。また別の容器にスチレン40部、2-エチルヘキシルアクリレート20部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が100℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで、溶液状のグラフトポリマー1を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー1の酸価を計測した結果、0mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー2の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー2を60部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを53部添加し、100℃に加温した。また別の容器にスチレン26.7部、2-エチルヘキシルアクリレート13.3部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が100℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー2を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー2の酸価を計測した結果、0mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー3の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー3を40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを58部添加し、110℃に加温した。また別の容器にスチレン39部、2-エチルヘキシルアクリレート20部、アクリル酸1部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が110℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後にパーブチル(登録商標)O(tert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日本油脂株式会社製)1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー3を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー3の酸価を計測した結果、7mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー4の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー3を40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを58部添加し、110℃に加温した。また別の容器にスチレン35部、2-エチルヘキシルアクリレート20部、アクリル酸5部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が110℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後にパーブチル(登録商標)O(tert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日本油脂株式会社製)1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー4を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー4の酸価を計測した結果、40mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー5の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー4を66.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを41部添加し、100℃に加温した。また別の容器にスチレン40部、2-エチルヘキシルアクリレート20部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)2部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が100℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)1.2部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー5を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー5の酸価を計測した結果、78mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー6の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた反応装置に、前記マクロモノマー5を84.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを27.6部添加し、100℃に加温した。また別の容器にスチレン40部、2-エチルヘキシルアクリレート20部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)2部を混合してモノマー混合溶液を得た。次いで反応液に、このモノマー混合溶液を4時間にわたって反応系が100℃になるように滴下し、滴下終了から1時間後に2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を加え、同じ温度で1時間重合した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー6を含む組成物を得た。この組成物中のグラフトポリマー6の酸価を計測した結果、65mgKOH/gであった。
(グラフトポリマー7の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管を取り付けた反応装置に、前記グラフトポリマー1を100部、p-トルエンスルホン酸一水和物を0.14部添加し、反応系が110℃になるようにし、4時間反応させた。その後80℃に降温し、4mol/Lに調整した水酸化ナトリウム水溶液0.36部とプロピレングリコールモノメチルエーテル2.8部を添加して、1時間撹拌した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー7を含む組成物を得た。
この組成物中のグラフトポリマー7の酸価を計測した結果、40.5mgKOH/gであった。また、このグラフトポリマー7の酸基は、グラフトポリマー1のt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総モル量に対して76mol%であった。
(グラフトポリマー8の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管を取り付けた反応装置に、前記グラフトポリマー2を150部、p-トルエンスルホン酸一水和物を0.31部添加し、反応系が110℃になるようにし、4時間反応させた。その後80℃に降温し、4mol/Lに調整した水酸化ナトリウム水溶液0.81部とプロピレングリコールモノメチルエーテル4.3部を添加して、1時間撹拌した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー8を含む組成物を得た。
この組成物中のグラフトポリマー8の酸価を計測した結果、61.2mgKOH/gであった。また、このグラフトポリマー8の酸基は、グラフトポリマー2のt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総モル量に対して77mol%であった。
(グラフトポリマー9の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管を取り付けた反応装置に、前記グラフトポリマー3を200部、p-トルエンスルホン酸一水和物を1.35部添加し、反応系が110℃になるようにし、4時間反応させた。その後80℃に降温し、4mol/Lに調整した水酸化ナトリウム水溶液1.78部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5.5部を添加して、1時間撹拌した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー9を含む組成物を得た。
この組成物中のグラフトポリマー9の酸価を計測した結果、41.9mgKOH/gであった。また、このグラフトポリマー9のt-ブチルメタクリレート由来の構成単位とp-トルエンスルホン酸一水和物の反応で生成した酸基は、グラフトポリマー3のt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総モル量に対して75mol%であった。
(グラフトポリマー10の製造)
撹拌装置、還流コンデンサー、温度計、窒素導入管を取り付けた反応装置に、前記グラフトポリマー4を200部、p-トルエンスルホン酸一水和物を1.4部添加し、反応系が110℃になるようにし、4時間反応させた。その後80℃に降温し、4mol/Lに調整した水酸化ナトリウム水溶液1.8部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5.8部を添加して、1時間撹拌した。室温まで冷却することで溶液状のグラフトポリマー10を含む組成物を得た。
この組成物中のグラフトポリマー10の酸価を計測した結果、68.3mgKOH/gであった。また、このグラフトポリマー10のt-ブチルメタクリレート由来の構成単位とp-トルエンスルホン酸一水和物の反応で生成した酸基は、グラフトポリマー4のt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総モル量に対して87mol%であった。
[アミン水溶液への溶解性]
重合体を含む組成物のアミン水溶液への溶解性は、重合体を含む組成物と、アミンを含有する水溶液を混合した後の溶液の様子を目視で観察することで評価した。
(判定基準)
〇:溶解している。
×:残渣又は不溶分が見られる。
[実施例1]
水10部とN,N-ジメチルエタノールアミン(以下DMAEと略す。)1部とを混合したアミン水溶液に、グラフトポリマー7を含む組成物を1部添加し、10分間室温で撹拌した。得られた水溶液の評価結果を表1に示す。
[実施例2~4及び比較例1~6]
用いるグラフトポリマーを含む組成物を表1及び表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に水溶液を調整して評価を行った。評価結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2023148081000005
Figure 2023148081000006
表1に示すように、グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物である、実施例1~4の(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体(グラフトポリマー7~10)を含む組成物は、アミン水溶液への溶解性が優れていた。
一方、表2に示すように、比較例1~4ではグラフトポリマーがt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するものの、酸基を有さないため、アミン水溶液への溶解性が不良であった。比較例5、6では、t-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有さず、また酸基を有するものの、グラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物ではないグラフトポリマー5、6を使用したため、アミン水溶液への溶解性が不良であった。
本発明の(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物は、アミン水溶液への溶解性に優れているため、水性塗料や水性インク、粘着剤、接着剤等として好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. (メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位を有するグラフトポリマー(A)と酸(D)の反応生成物である、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位及び酸基を有する重合体を含む組成物。
  2. 前記酸基がカルボキシ基、スルホン基及びリン酸基からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記重合体が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、コハク酸モノ(2-メタクロイルオキシエチル)エステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルスルホン酸、及びモノ(2-メタクロイルオキシエチル)アシッドホスフェートからなる群から選ばれる1種以上の酸基を有する単量体由来の構成単位を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記重合体が有する酸基の全モル数に対して30モル%以上100モル%以下の酸基が、前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応生成物が、加水分解反応以外の反応生成物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記酸(D)が強酸を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記グラフトポリマー(A)がt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記グラフトポリマー(A)の側鎖(C)がt-ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記グラフトポリマー(A)の全構成単位に対して、前記グラフトポリマー(A)の主鎖(B)が疎水性単量体由来の構成単位を5質量%以上100質量%以下有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記酸基を有する重合体の側鎖の酸価が5mgKOH/g以上600mgKOH/g以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記グラフトポリマー(A)が、前記グラフトポリマー(A)の全質量に対して側鎖(C)を20質量%以上50質量%以下有し、主鎖(B)を50質量%以上80質量%以下有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 前記グラフトポリマー(A)の(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル由来の構成単位の総モル量に対する、前記グラフトポリマー(A)と酸(D)との反応で生成した酸基の割合が、20mol%以上95mol%以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
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