JP2004162642A - 気筒休止内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気筒休止内燃機関において、自動速度制御を行なったときに発生する休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えを防止し、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができるようにした気筒休止内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】自動速度制御時の全筒運転判定開度(休筒運転から全筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH2を非自動速度制御時の全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定すると共に、自動速度制御時の休筒運転判定開度(全筒運転から休筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH4を非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定する。
【選択図】 図4
【解決手段】自動速度制御時の全筒運転判定開度(休筒運転から全筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH2を非自動速度制御時の全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定すると共に、自動速度制御時の休筒運転判定開度(全筒運転から休筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH4を非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は気筒休止内燃機関の制御装置に関し、より詳しくは、車両を目標車速で走行させる自動速度制御を行なう自動速度制御手段を備えた気筒休止内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数個の気筒を備えた多気筒内燃機関においては、機関負荷に基づき、機関の運転を気筒の全てを運転する全筒運転とその一部の運転を休止する休筒運転の間で切り換えて燃料消費量を低減させることが提案されている。また、この種の気筒休止内燃機関にあっては、運転の切り換え時にトルク変動によってショックが生じるため、切り換え過渡期にスロットル開度を補正してショックを解消することも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、従来より、運転者が設定した目標車速で車両を走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)を行なう定速走行制御装置に関する技術も提案されている。また、レーザレーダなどによって自車と前走車の距離を認識し、自車と前走車の車間距離が所定の距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)を行なう前走車追従走行制御装置に関する技術も知られている。この種の制御装置にあっては、運転者がセットスイッチを操作したときの車速を目標車速として記憶し、車両が記憶した目標車速で走行するように、あるいは前走車と所定の車間距離を維持するのに必要な目標車速で走行するように、アクチュエータを介してスロットル開度を調整するようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−103097号公報
【特許文献2】
特開平9−290665号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した定速走行制御や前走車追従走行制御に代表される自動速度制御にあっては、目標車速に対する現在の車速の低下や上昇に対し、スロットル開度を機敏に調整することで車速を目標車速に追従させるように制御している。従って、上述した休筒運転中に自動速度制御を行なった場合、内燃機関の発生するトルクが全筒運転に比して低下しているため、車速の僅かな低下に対してスロットル開度を大きく開ける必要がある。
【0006】
ところで、休筒運転と全筒運転の切り換えは機関負荷に基づいて行なわれるのは前述した通りである。機関負荷を示すパラメータは、一般に機関回転数や吸気管内負圧、スロットル開度などが使用される。このため、休筒運転中に自動速度制御を行なうと、車速の僅かな低下に対してスロットル開度が大きく開かれ(さらにはそれに起因して吸気菅内負圧や機関回転数も大きく変動し)、機関負荷が高いと判断されて全筒運転に切り換えられる。
【0007】
しかしながら、全筒運転に切り換えられた際、上記したようにスロットル開度が大きく(過剰に)開かれていることから、目標車速を維持するのに必要とされる以上のトルクが発生し、スロットル開度が閉じられて(機関負荷が低いと判断されて)再度休筒運転に切り換えられる可能性がある。休筒運転に切り換えられると、上記した理由から、直ぐさま全筒運転に切り換えられる恐れがある。
【0008】
このように、気筒休止内燃機関で自動速度制御を行なうと、休筒運転と全筒運転の切り換えが頻繁に行なわれ(ハンチングが生じ)、トルク変動が繰り返されて運転者に不快感を与える恐れがあった。また、休筒運転が継続して実行されないため、燃料消費量を低減させるという効果が十分に得られないという不都合があった。
【0009】
従って、この発明の目的は上記した不具合を解消し、気筒休止内燃機関において自動速度制御を行なったときに発生する休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えを防止し、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができるようにした気筒休止内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両に搭載された多気筒内燃機関の負荷に基づき、前記多気筒内燃機関の運転を気筒の全てを運転させる全筒運転とその一部を休止させる休筒運転との間で切り換える運転切り換え手段を備え、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が第1の所定値を超えたとき、前記休筒運転から前記全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、前記車両を目標車速で走行させる定速走行制御と前記車両を前走車と所定の車間距離を維持して走行させる前走車追従走行制御の少なくともいずれかからなる自動速度制御を行なう自動速度制御手段を備えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成した。
【0011】
機関負荷が第1の所定値を超えたとき、休筒運転から全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成したので、自動速度制御実行中の休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、休筒運転から全筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0012】
尚、この明細書において「自動速度制御」とは、車両を目標車速で走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)や、前走車との車間距離が所定の車間距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)といった、運転者のアクセルペダルやブレーキペダルの操作を必要としない自動的な速度制御を総称する意味で使用する。
【0013】
請求項2項にあっては、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が前記第1の所定値より小さい値に設定された第2の所定値を下回ったとき、前記全筒運転から前記休筒運転に切り換えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成した。
【0014】
機関負荷が第2の所定値を下回ったとき、全筒運転から休筒運転に切り換えると共に、自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成したので、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、全筒運転から休筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動を一層抑制して運転者に不快感を与えることがない。
【0015】
請求項3項にあっては、前記運転切り換え手段は、スロットル開度に基づいて前記多気筒内燃機関の運転を全筒運転と休筒運転との間で切り換えるように構成した。
【0016】
請求項1項または2項に記載した気筒休止内燃機関の制御装置にあっては上記の効果を有するので、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度に基づいて行なうように構成した場合であっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の1つの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置について説明する。
【0018】
図1は、この実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の全体構成を示す概略図である。
【0019】
同図において符合10は多気筒内燃機関(以下「エンジン」という)を示す。エンジン10は、4サイクルのV型6気筒のDOHCエンジンからなり、右バンク10RにC1,C2,C3の3個の気筒(シリンダ)を備えると共に、左バンク10LにC4,C5,C6の3個の気筒を備える。また、エンジン10の左バンク10Lには気筒休止機構12が設けられる。
【0020】
気筒休止機構12は、気筒C4からC6の吸気バルブ(図示せず)を休止(閉鎖)させる吸気側休止機構12iと、気筒C4からC6の排気バルブ(図示せず)を休止(閉鎖)させる排気側休止機構12eとからなる。吸気側休止機構12iと排気側休止機構12eは、それぞれ油路14iと14eを介して図示しない油圧ポンプに接続される。油路14iと14eの途中にはそれぞれリニアソレノイド(電磁ソレノイド)16iと16eが配置され、吸気側休止機構12iおよび排気側休止機構12eに対する油圧の供給と遮断を行なう。
【0021】
吸気側休止機構12iは、リニアソレノイド16iが消磁されることによって油路14iが開放され、油圧が供給されると、気筒C4からC6の吸気バルブと吸気カム(図示せず)の当接を解除し、吸気バルブを休止状態(閉鎖状態)にする。また、リニアソレノイド16eが消磁されることによって油路14eが開放され、排気側休止機構12eに油圧が供給されると、気筒C4からC6の排気バルブと排気カム(図示せず)の当接を解除し、排気バルブを休止状態(閉鎖状態)にする。これにより、気筒C4からC6の運転が休止され、エンジン10は休筒運転となる。
【0022】
一方、リニアソレノイド16iが励磁されることによって油路14iが閉鎖され、吸気側休止機構12iへの作動油の供給が遮断されると、気筒C4からC6の吸気バルブと吸気カムの当接が開始され、吸気バルブは動作状態になる(開閉駆動される)。また、リニアソレノイド16eが励磁されることによって油路14eが閉鎖され、排気側休止機構12eへの作動油の供給が遮断されると、気筒C4からC6の排気バルブと排気カム(図示せず)の当接が開始され、排気バルブは動作状態になる(開閉駆動される)。これにより、気筒C4からC6の運転が行なわれ、エンジン10は全筒運転となる。このように、エンジン10は、その運転を全筒運転の休筒運転の間で切り換えすることのできる気筒休止エンジン(内燃機関)として構成される。
【0023】
エンジン10の吸気管20にはスロットルバルブ22が配置され、吸入空気量を調量する。スロットルバルブ22は、電動モータ24に接続され、電動モータ24の駆動によって開閉させられる。電動モータ24の付近にはスロットル開度センサ26が設けられ、電動モータ24の操作量を通じてスロットルバルブ22の開度(以下「スロットル開度」という)θTHに応じた信号を出力する。
【0024】
スロットルバルブ22の下流のインテークマニホルド30の直後の各気筒C1からC6の吸気ポート付近には、インジェクタ(燃料噴射弁)32が設けられる。インジェクタ32は燃料タンクに燃料供給管および燃料ポンプ(全て図示せず)を介して接続され、ガソリン燃料の圧送を受けて噴射する。
【0025】
吸気管20のスロットルバルブ22の下流側には絶対圧センサ34および吸気温センサ36が設けられ、それぞれ吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAおよび吸気温TAを示す信号を出力する。また、エシジン10のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ40が取り付けられ、エンジン冷却水温TWに応じた信号を出力する。
【0026】
エンジン10のカム軸またはクランク軸(図示せず)の付近には気筒判別センサ42が取り付けられて特定気筒(例えばC1)の所定クランク角度位置で気筒判別信号CYLを出力すると共に、TDCセンサ44およびクランク角センサ46が取り付けられ、それぞれ各気筒のピストンのTDC位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号と、TDC信号よりも周期の短いクランク角度(例えば30度)でCRK信号を出力する。
【0027】
エンジン10はエキゾーストマニホルド50を介して排気管に接続され、燃焼によって生じた排出ガスを排気管の途中に設けられた触媒装置(図示せず)で浄化しつつ外部に排出する。
【0028】
また、ドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ52が配置され、ドライブシャフトの所定回転ごとに信号を出力する。さらに、エンジンルーム(図示せず)の適宜位置には大気圧センサ54が配置され、車両が位置する場所の大気圧PAを示す信号を出力する。
【0029】
車両の運転席床面に設置されたアクセルペダル56の付近にはアクセル開度センサ58が配置され、運転者によって操作されるアクセルペダル56の位置(踏み込み量。アクセル開度)APに応じた信号をする。また、ブレーキペダル60の付近にはブレーキ・スイッチ62が設けられ、運転者がブレーキペダル60を踏み込んでブレーキ操作を行ったとき、オン信号を出力する。
【0030】
車両の運転席に配置されたステアリングホイール(図示せず)の付近には、オートクルーズ・スイッチ66が設けられる。オートクルーズ・スイッチ66は、運転者からの自動速度制御、より具体的には、定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)と、それと並行して行なわれる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)の実行指示と目標車速を入力するためのセット・スイッチ66aと、ブレーキ操作などで自動速度制御を中断した後に復帰するためのリジューム・スイッチ66bと、自動速度制御をキャンセル(終了)するためのキャンセル・スイッチ66cと、車両を加速させる加速走行制御の実行指示を入力するためのアクセラレート・スイッチ66dと、車両を減速させる減速走行制御の実行指示を入力するためのディセラレート・スイッチ66eと、上記した各スイッチの操作を有効にするメイン・スイッチ66fとからなる。
【0031】
尚、上記の各スイッチはそれぞれ個別に配置しても良いし、操作の組み合わせによって複数の指示を入力できるようにしても良い。例えば、自動速度制御の実行中にセット・スイッチを操作するとキャンセルを意味するなど、任意のスイッチを統合しても良い。
【0032】
また、車両の前方を望む位置には、レーザレーダ68が設けられる。レーザレーダ68は、図示しない送信部と受信部とからなり、送信部から車両前方に向けてレーザ波を発射すると共に、前走車などによって反射されたレーザ波(反射波)を受信部で受信する。
【0033】
上記した各種センサおよびスイッチの出力は、ECU(電子制御ユニット)70に送られる。
【0034】
ECU70はマイクロコンピュータからなり、制御演算を行なうCPUと、制御演算プログラムと各種のデータ(テーブルなど)を格納するROMと、CPUの制御演算結果などを一時的に記憶するRAMと、入力回路と、出力回路と、カウンタ(いずれも図示せず)とを備える。
【0035】
ECU70は、クランク角センサ46が出力するCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出すると共に、車速センサ52が出力する信号をカウンタでカウントして車両の走行速度を示す車速VPを検出する。また、ECU70は、レーザレーダ68がレーザ波を発射してからその反射波を受信するまでの時間を計測し、自車と前走者の車間距離を検出する。
【0036】
また、ECU70は、入力値に基づいて制御演算を実行し、燃料噴射量を決定してインジェクタ32を駆動すると共に、点火時期を決定して点火装置(図示せず)の点火を制御する。さらに、ECU70は入力値に基づいて電動モータ24の駆動量(操作量)を決定してスロットル開度θTHを調整すると共に、リニアソレノイド16i,16eに通電するか否か決定してエンジン10の運転を全筒運転と休筒運転の間で切り換える。さらに、ECU70は、入力値に基づいて自動速度制御、より具体的には、運転者が設定した目標車速で車両を走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)と、自車と前走車の車間距離が所定の距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)を行なう。
【0037】
次いで、図2以降を参照してこの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の動作について説明する。
【0038】
図2は、その動作のうち、自動速度制御、より具体的には、定速走行制御と前走者追従走行制御の実行判断動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ44からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0039】
以下説明すると、S10においてキャンセル・スイッチ66cがオンしているか、換言すれば、運転者から自動速度制御のキャンセル(終了)指示が入力されたか否か判断し、否定されるときはS12に進み、メイン・スイッチ66fがオンしているか否か判断する。S12で肯定されるときは、次いでS14に進み、ブレーキ・スイッチ62がオンしているか否か、即ち、運転者によってブレーキ60が踏み込まれたか否か判断する。
【0040】
S14で否定されるときはS16に進み、フラグF.ACのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.ACのビットは、後述するステップで1にセットされ、そのビット(初期値0)が1にセットされているとき、自動速度制御(即ち、運転者によるアクセルペダル56やブレーキペダル60の操作を必要としない定速走行制御および前走車追従走行制御(スイッチ操作による加速や減速走行制御を含む))が実行されていることを示す。S16で否定されるときは、次いでS18に進み、セット・スイッチ66aがオンしているか否か、換言すれば、運転者から自動速度制御の実行指示と目標車速が入力されたか否か判断する。
【0041】
S18で肯定されるときはS20に進み、セット・スイッチ66aを介して入力された目標車速VDを検出して記憶し、S22に進んでフラグF.ACのビットを1にセットした後、S23に進み、前走車が所定の車間距離以内に接近しているか否か判断する。
【0042】
S23で否定されるときは、次いでS24に進み、記憶した目標車速VDに従って定速走行制御を実行する。具体的には、目標車速VDと現在の車速(検出車速)VPの偏差に応じてPID制御則などを用いてスロットルバルブ22を駆動する電動モータ24の駆動量(操作量。より具体的には通電指令値)を算出し、電動モータ24に出力してスロットル開度θTHを調整する。尚、定速走行制御の実行中にスロットル開度θTHの調整では対応しきれない所定以上の減速度が必要とされたときは、スロットル開度θTHの調整(閉じ方向への駆動)のみならず、ブレーキ操作やシフトチェンジ(ダウン)が併せて行なわれる。
【0043】
また、S23で肯定されるときは、次いでS25に進み、前走車追従走行制御を実行する。具体的には、レーザレーダ68で検出した自車と前走車の車間距離が予め設定された所定の車間距離を維持するように、スロットル開度θTHを小さくして車両を減速させる。尚、前走車追従走行制御を実行中にスロットル開度θTHの調整では対応しきれない所定以上の減速度が必要とされたときは、定速走行制御と同様に、スロットル開度θTHの調整(閉じ方向への駆動)のみならず、ブレーキ操作やシフトチェンジ(ダウン)が併せて行なわれる。
【0044】
他方、S10またはS14で肯定されるとき、あるいはS12で否定されるときはS26に進み、フラグF.ACのビットを0にリセットする。また、S16で肯定されるとき、即ち、定速走行制御が実行されているときは、次いでS28に進み、アクセラレート・スイッチ66dがオンされているか否か、即ち、運転者から加速の要求がなされているか否か判断する。
【0045】
S28で肯定されるときは、次いでS30に進み、一定の加速度で加速するようにスロットル開度θTHを大きくする加速走行制御を実行すると共に、S32に進んで目標車速VDを加速後の車速に更新する。他方、S28で否定されるときは、S34に進み、ディセラレート・スイッチ66eがオンされているか否か、即ち、運転者から減速の要求がなされているか否か判断する。
【0046】
S34で肯定されるときは、次いでS36に進み、車両が減速するようにスロットル開度θTHを小さくする減速走行制御を実行し、S32で目標車速VDを減速後の車速に更新する。他方、S34で否定されるときは、S37に進み、前走車が所定の車間距離以内に接近しているか否か判断する。S37で否定されるときは、次いでS38に進み、記憶されている目標車速VDに従って定速走行制御を実行する一方、S37で肯定されるときはS39に進んで前走車追従走行制御を実行する。
【0047】
また、S18で否定されるときはS40に進み、リジューム・スイッチ66bがオンしているか否か、即ち、ブレーキ操作によって一旦自動速度制御がキャンセルされた(F.ACのビットが0にリセットされた)後、運転者から自動速度制御の再開指示が入力されたか否か判断する。S40で肯定されるときはS42に進み、F.ACのビットが0にリセットされる以前に記憶されていた目標車速VDを読み込み、S22に進んでF.ACのビットを1にセットし、S24に進んで自動速度制御を実行する。尚、S40で否定されるときは、F.ACのビットを0のままとし、自動速度制御は再開しないでプログラムを終了する。
【0048】
次いで、図3を参照し、全筒運転と休筒運転の切り換え動作について説明する。
【0049】
図3は、全筒運転と休筒運転の切り換え動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ44からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0050】
以下説明すると、先ずS100において、フラグF.CSTPのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.CSTPのビットは、後述するステップで1にセットされ、そのビット(初期値0)が1にセットされているとき、休筒運転が実行されることを示す。
【0051】
S100で肯定されて休筒運転中と判断されるときは、次いでS102に進み、前記したフラグF.ACのビットが1にセットされているか否か、即ち、自動速度制御(スイッチ操作による加速や減速走行制御を含む)が実行されているか否か判断する。
【0052】
S102で否定されるときは、S104に進んで全筒運転を実行すべきか否かを判定するためのしきい値θTHall(以下「全筒運転判定開度」と呼ぶ)に第1のしきい値θTH1(以下「非AC時全筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットし、S106に進んで検出したスロットル開度θTHが全筒運転判定開度θTHallより大きいか否か、換言すれば、エンジン10の負荷が大きいか否か判断する。
【0053】
S106で肯定されてエンジン10の負荷が大きいと判断されるときは、次いでS108に進み、フラグF.CSTPのビットを0にリセットして全筒運転に切り換える。他方、S106で否定されるときは、フラグF.CSTPのビットを1のままとして休筒運転を継続する。
【0054】
一方、S102で肯定されて自動速度制御が実行されていると判断されるときは、次いでS110に進み、加速走行制御を実行しているか否か判断する。S110で否定されるときはS112に進み、アクセル開度センサ58が出力APを生じているか否か、即ち、運転者によってアクセルペダル56が踏まれているか否か判断する。
【0055】
S112で否定されるときはS114に進み、全筒運転判定開度θTHallに第2のしきい値θTH2(以下「AC時全筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットした後、S106およびS108に進んで上記した処理を行なう。
【0056】
ここで、図4に示すように、AC時全筒運転判定開度θTH2は、非AC時全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定される。前述したように、気筒休止内燃機関(即ちエンジン10)で自動速度制御を行なうと、同図に1点鎖線で示すようにスロットル開度θTHが大きく変化(開閉)し、全筒運転と休筒運転が頻繁に切り換えられる恐れがある。
【0057】
しかしながら、自動速度制御時の全筒運転判定開度θTH2を、非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定することで、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、休筒運転から全筒運転への切り換え)が防止され、スロットル開度θTHも安定する。このため、トルク変動が抑制されて運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転が継続して実行されるため、燃料消費量を低減させることができる。
【0058】
尚、S110で肯定されて加速走行制御が実行されていると判断されるとき、あるいはS112で肯定されてアクセルペダル56が踏まれていると判断されるとき、即ち、大きな加速度が要求されると判断されるときは、S104に進んで非AC時全筒運転判定開度θTH1を全筒運転判定開度θTHallにセットし、全筒運転への切り換えを促す。これにより、運転者からの加速の要求に対して迅速に対応することができる。
【0059】
図3フロー・チャートの説明を続けると、S100で否定されて全筒運転中と判断されるときはS116に進み、フラグF.ACのビットが1にセットされているか否か判断する。S116で否定されるときはS118に進み、休筒運転を実行すべきか否かを判定するためのしきい値θTHstp(以下「休筒運転判定開度」と呼ぶ)に第3のしきい値θTH3(以下「非AC時休筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットし、S120に進んで検出したスロットル開度θTHが休筒運転判定開度θTHstpより小さいか否か、換言すれば、エンジン10の負荷が小さいか否か判断する。
【0060】
S120で肯定されてエンジン10の負荷が小さいと判断されるときは、次いでS122に進み、フラグF.CSTPのビットを1にセットして休筒運転に切り換える。他方、S120で否定されるときは、フラグF.CSTPのビットを0のままとして全筒運転を継続する。
【0061】
一方、S116で肯定されて自動速度制御が実行されていると判断されるときは、次いでS124に進み、休筒運転判定開度θTHstpに第4のしきい値θTH4(以下「AC時休筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットした後、S120およびS122で上記した処理を行なう。
【0062】
ここで、図4に示すように、AC時休筒運転判定開度θTH4は、非AC時休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定される。このため、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、全筒運転から休筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動が抑制されて運転者に不快感を与えることがない。
【0063】
尚、全筒運転から休筒運転への切り換えを抑制することは、休筒運転を多く行なって燃料消費量を低減するという意図に反するが、休筒運転に切り換えてもスロットル開度θTHが過剰に開かれてしまうと燃料消費量の低減という効果が十分に得られないため、ここでは休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(ハンチング)を防止してトルクの変動を抑制し、運転者に不快感を与えないような構成にすることを優先した。
【0064】
このように、この実施の形態に係る気筒休止内燃機関(エンジン)の制御装置にあっては、自動速度制御時(即ち、定速走行制御または前走車追従走行制御を実行しているとき)の全筒運転判定開度(休筒運転から全筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH2を非自動速度制御時(即ち、定速走行制御および前走車追従走行制御のいずれも実行していないとき)の全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定すると共に、自動速度制御時の休筒運転判定開度(全筒運転から休筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH4を非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定するようにしたので、休筒運転と全筒運転の切り換えをスロットル開度θTHに基づいて行なっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(ハンチング)が防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0065】
上記した如く、この実施の形態においては、車両に搭載された多気筒内燃機関(エンジン10)の負荷(スロットル開度θTH)に基づき、前記多気筒内燃機関の運転を気筒の全て(C1からC6)を運転させる全筒運転とその一部(C4からC6)を休止させる休筒運転との間で切り換える運転切り換え手段(ECU70、気筒休止機構12、油路14i,14e、リニアソレノイド16i,16e)を備え、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が第1の所定値(全筒運転判定開度θTHall)を超えたとき、前記休筒運転から前記全筒運転に切り換える(S106,S108)ようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、前記車両を目標車速VDで走行させる定速走行制御と前記車両を前走車と所定の車間距離を維持して走行させる前走車追従走行制御の少なくともいずれかからなる自動速度制御を行なう自動速度制御手段(ECU70、スロットルバルブ22、電動モータ24、S10からS42)を備えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値(AC時全筒運転判定開度θTH2)を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれ(非AC時全筒運転判定開度θTH1)に比して大きい値に設定する(S102,S104,S114)ように構成した。
【0066】
また、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が前記第1の所定値より小さい値に設定された第2の所定値(休筒運転判定開度θTHstp)を下回ったとき、前記全筒運転から前記休筒運転に切り換える(S120,S122)と共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値(AC時休筒運転判定開度θTH4)を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれ(非AC時休筒運転判定開度θTH3)に比して小さい値に設定する(S116,S118,S124)ように構成した。
【0067】
また、前記運転切り換え手段は、スロットル開度θTHに基づいて前記多気筒内燃機関の運転を全筒運転と休筒運転との間で切り換える(S100からS124)ように構成した。
【0068】
尚、上記において、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度θTHのみで判断するようにしたが、エンジン冷却水温TWや車速VP、吸気管内絶対圧PBA、走行路の勾配などを勘案して判断するようにしても良い。
【0069】
また、自動速度制御として定速走行制御と前走車追従走行制御を例示した、具体的には、定速走行制御の実行中に自車が前走車に接近したとき、前走車追従走行制御を実行するようにしたが、この発明は定速走行制御のみを実行する場合にも妥当することは言うまでもない。
【0070】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、機関負荷が第1の所定値を超えたとき、休筒運転から全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、自動速度制御(定速走行制御または前走車追従走行制御)が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成したので、自動速度制御実行中の休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0071】
請求項2項にあっては、機関負荷が第2の所定値を下回ったとき、全筒運転から休筒運転に切り換えると共に、自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成したので、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を一層抑制して運転者に不快感を与えることがない。
【0072】
請求項3項にあっては、請求項1項または2項に記載した気筒休止内燃機関の制御装置が上記した効果を有するので、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度に基づいて行なうように構成した場合であっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置の動作のうち、自動速度制御の実行判断動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図1に示す装置の動作のうち、全筒運転と休筒運転の切り換え動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートで説明する全筒運転判定開度(θTH1,θTH2)と休筒運転判定開度(θTH3,θTH4)を、検出したスロットル開度θTHなどと共に示すタイム・チャートである。
【符号の説明】
10 エンジン(多気筒内燃機関)
12 気筒休止機構(運転切り換え手段)
12e 排気側休止機構(運転切り換え手段)
12i 吸気側休止機構(運転切り換え手段)
14i,14e 油路(運転切り換え手段)
16i,16e リニアソレノイド(運転切り換え手段)
22 スロットルバルブ(自動速度制御手段)
24 電動モータ(自動速度制御手段)
70 ECU(運転切り換え手段および自動速度制御手段)
【発明の属する技術分野】
この発明は気筒休止内燃機関の制御装置に関し、より詳しくは、車両を目標車速で走行させる自動速度制御を行なう自動速度制御手段を備えた気筒休止内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数個の気筒を備えた多気筒内燃機関においては、機関負荷に基づき、機関の運転を気筒の全てを運転する全筒運転とその一部の運転を休止する休筒運転の間で切り換えて燃料消費量を低減させることが提案されている。また、この種の気筒休止内燃機関にあっては、運転の切り換え時にトルク変動によってショックが生じるため、切り換え過渡期にスロットル開度を補正してショックを解消することも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、従来より、運転者が設定した目標車速で車両を走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)を行なう定速走行制御装置に関する技術も提案されている。また、レーザレーダなどによって自車と前走車の距離を認識し、自車と前走車の車間距離が所定の距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)を行なう前走車追従走行制御装置に関する技術も知られている。この種の制御装置にあっては、運転者がセットスイッチを操作したときの車速を目標車速として記憶し、車両が記憶した目標車速で走行するように、あるいは前走車と所定の車間距離を維持するのに必要な目標車速で走行するように、アクチュエータを介してスロットル開度を調整するようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−103097号公報
【特許文献2】
特開平9−290665号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した定速走行制御や前走車追従走行制御に代表される自動速度制御にあっては、目標車速に対する現在の車速の低下や上昇に対し、スロットル開度を機敏に調整することで車速を目標車速に追従させるように制御している。従って、上述した休筒運転中に自動速度制御を行なった場合、内燃機関の発生するトルクが全筒運転に比して低下しているため、車速の僅かな低下に対してスロットル開度を大きく開ける必要がある。
【0006】
ところで、休筒運転と全筒運転の切り換えは機関負荷に基づいて行なわれるのは前述した通りである。機関負荷を示すパラメータは、一般に機関回転数や吸気管内負圧、スロットル開度などが使用される。このため、休筒運転中に自動速度制御を行なうと、車速の僅かな低下に対してスロットル開度が大きく開かれ(さらにはそれに起因して吸気菅内負圧や機関回転数も大きく変動し)、機関負荷が高いと判断されて全筒運転に切り換えられる。
【0007】
しかしながら、全筒運転に切り換えられた際、上記したようにスロットル開度が大きく(過剰に)開かれていることから、目標車速を維持するのに必要とされる以上のトルクが発生し、スロットル開度が閉じられて(機関負荷が低いと判断されて)再度休筒運転に切り換えられる可能性がある。休筒運転に切り換えられると、上記した理由から、直ぐさま全筒運転に切り換えられる恐れがある。
【0008】
このように、気筒休止内燃機関で自動速度制御を行なうと、休筒運転と全筒運転の切り換えが頻繁に行なわれ(ハンチングが生じ)、トルク変動が繰り返されて運転者に不快感を与える恐れがあった。また、休筒運転が継続して実行されないため、燃料消費量を低減させるという効果が十分に得られないという不都合があった。
【0009】
従って、この発明の目的は上記した不具合を解消し、気筒休止内燃機関において自動速度制御を行なったときに発生する休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えを防止し、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができるようにした気筒休止内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両に搭載された多気筒内燃機関の負荷に基づき、前記多気筒内燃機関の運転を気筒の全てを運転させる全筒運転とその一部を休止させる休筒運転との間で切り換える運転切り換え手段を備え、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が第1の所定値を超えたとき、前記休筒運転から前記全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、前記車両を目標車速で走行させる定速走行制御と前記車両を前走車と所定の車間距離を維持して走行させる前走車追従走行制御の少なくともいずれかからなる自動速度制御を行なう自動速度制御手段を備えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成した。
【0011】
機関負荷が第1の所定値を超えたとき、休筒運転から全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成したので、自動速度制御実行中の休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、休筒運転から全筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0012】
尚、この明細書において「自動速度制御」とは、車両を目標車速で走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)や、前走車との車間距離が所定の車間距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)といった、運転者のアクセルペダルやブレーキペダルの操作を必要としない自動的な速度制御を総称する意味で使用する。
【0013】
請求項2項にあっては、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が前記第1の所定値より小さい値に設定された第2の所定値を下回ったとき、前記全筒運転から前記休筒運転に切り換えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成した。
【0014】
機関負荷が第2の所定値を下回ったとき、全筒運転から休筒運転に切り換えると共に、自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成したので、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、全筒運転から休筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動を一層抑制して運転者に不快感を与えることがない。
【0015】
請求項3項にあっては、前記運転切り換え手段は、スロットル開度に基づいて前記多気筒内燃機関の運転を全筒運転と休筒運転との間で切り換えるように構成した。
【0016】
請求項1項または2項に記載した気筒休止内燃機関の制御装置にあっては上記の効果を有するので、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度に基づいて行なうように構成した場合であっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の1つの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置について説明する。
【0018】
図1は、この実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の全体構成を示す概略図である。
【0019】
同図において符合10は多気筒内燃機関(以下「エンジン」という)を示す。エンジン10は、4サイクルのV型6気筒のDOHCエンジンからなり、右バンク10RにC1,C2,C3の3個の気筒(シリンダ)を備えると共に、左バンク10LにC4,C5,C6の3個の気筒を備える。また、エンジン10の左バンク10Lには気筒休止機構12が設けられる。
【0020】
気筒休止機構12は、気筒C4からC6の吸気バルブ(図示せず)を休止(閉鎖)させる吸気側休止機構12iと、気筒C4からC6の排気バルブ(図示せず)を休止(閉鎖)させる排気側休止機構12eとからなる。吸気側休止機構12iと排気側休止機構12eは、それぞれ油路14iと14eを介して図示しない油圧ポンプに接続される。油路14iと14eの途中にはそれぞれリニアソレノイド(電磁ソレノイド)16iと16eが配置され、吸気側休止機構12iおよび排気側休止機構12eに対する油圧の供給と遮断を行なう。
【0021】
吸気側休止機構12iは、リニアソレノイド16iが消磁されることによって油路14iが開放され、油圧が供給されると、気筒C4からC6の吸気バルブと吸気カム(図示せず)の当接を解除し、吸気バルブを休止状態(閉鎖状態)にする。また、リニアソレノイド16eが消磁されることによって油路14eが開放され、排気側休止機構12eに油圧が供給されると、気筒C4からC6の排気バルブと排気カム(図示せず)の当接を解除し、排気バルブを休止状態(閉鎖状態)にする。これにより、気筒C4からC6の運転が休止され、エンジン10は休筒運転となる。
【0022】
一方、リニアソレノイド16iが励磁されることによって油路14iが閉鎖され、吸気側休止機構12iへの作動油の供給が遮断されると、気筒C4からC6の吸気バルブと吸気カムの当接が開始され、吸気バルブは動作状態になる(開閉駆動される)。また、リニアソレノイド16eが励磁されることによって油路14eが閉鎖され、排気側休止機構12eへの作動油の供給が遮断されると、気筒C4からC6の排気バルブと排気カム(図示せず)の当接が開始され、排気バルブは動作状態になる(開閉駆動される)。これにより、気筒C4からC6の運転が行なわれ、エンジン10は全筒運転となる。このように、エンジン10は、その運転を全筒運転の休筒運転の間で切り換えすることのできる気筒休止エンジン(内燃機関)として構成される。
【0023】
エンジン10の吸気管20にはスロットルバルブ22が配置され、吸入空気量を調量する。スロットルバルブ22は、電動モータ24に接続され、電動モータ24の駆動によって開閉させられる。電動モータ24の付近にはスロットル開度センサ26が設けられ、電動モータ24の操作量を通じてスロットルバルブ22の開度(以下「スロットル開度」という)θTHに応じた信号を出力する。
【0024】
スロットルバルブ22の下流のインテークマニホルド30の直後の各気筒C1からC6の吸気ポート付近には、インジェクタ(燃料噴射弁)32が設けられる。インジェクタ32は燃料タンクに燃料供給管および燃料ポンプ(全て図示せず)を介して接続され、ガソリン燃料の圧送を受けて噴射する。
【0025】
吸気管20のスロットルバルブ22の下流側には絶対圧センサ34および吸気温センサ36が設けられ、それぞれ吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAおよび吸気温TAを示す信号を出力する。また、エシジン10のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ40が取り付けられ、エンジン冷却水温TWに応じた信号を出力する。
【0026】
エンジン10のカム軸またはクランク軸(図示せず)の付近には気筒判別センサ42が取り付けられて特定気筒(例えばC1)の所定クランク角度位置で気筒判別信号CYLを出力すると共に、TDCセンサ44およびクランク角センサ46が取り付けられ、それぞれ各気筒のピストンのTDC位置に関連した所定のクランク角度位置でTDC信号と、TDC信号よりも周期の短いクランク角度(例えば30度)でCRK信号を出力する。
【0027】
エンジン10はエキゾーストマニホルド50を介して排気管に接続され、燃焼によって生じた排出ガスを排気管の途中に設けられた触媒装置(図示せず)で浄化しつつ外部に排出する。
【0028】
また、ドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ52が配置され、ドライブシャフトの所定回転ごとに信号を出力する。さらに、エンジンルーム(図示せず)の適宜位置には大気圧センサ54が配置され、車両が位置する場所の大気圧PAを示す信号を出力する。
【0029】
車両の運転席床面に設置されたアクセルペダル56の付近にはアクセル開度センサ58が配置され、運転者によって操作されるアクセルペダル56の位置(踏み込み量。アクセル開度)APに応じた信号をする。また、ブレーキペダル60の付近にはブレーキ・スイッチ62が設けられ、運転者がブレーキペダル60を踏み込んでブレーキ操作を行ったとき、オン信号を出力する。
【0030】
車両の運転席に配置されたステアリングホイール(図示せず)の付近には、オートクルーズ・スイッチ66が設けられる。オートクルーズ・スイッチ66は、運転者からの自動速度制御、より具体的には、定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)と、それと並行して行なわれる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)の実行指示と目標車速を入力するためのセット・スイッチ66aと、ブレーキ操作などで自動速度制御を中断した後に復帰するためのリジューム・スイッチ66bと、自動速度制御をキャンセル(終了)するためのキャンセル・スイッチ66cと、車両を加速させる加速走行制御の実行指示を入力するためのアクセラレート・スイッチ66dと、車両を減速させる減速走行制御の実行指示を入力するためのディセラレート・スイッチ66eと、上記した各スイッチの操作を有効にするメイン・スイッチ66fとからなる。
【0031】
尚、上記の各スイッチはそれぞれ個別に配置しても良いし、操作の組み合わせによって複数の指示を入力できるようにしても良い。例えば、自動速度制御の実行中にセット・スイッチを操作するとキャンセルを意味するなど、任意のスイッチを統合しても良い。
【0032】
また、車両の前方を望む位置には、レーザレーダ68が設けられる。レーザレーダ68は、図示しない送信部と受信部とからなり、送信部から車両前方に向けてレーザ波を発射すると共に、前走車などによって反射されたレーザ波(反射波)を受信部で受信する。
【0033】
上記した各種センサおよびスイッチの出力は、ECU(電子制御ユニット)70に送られる。
【0034】
ECU70はマイクロコンピュータからなり、制御演算を行なうCPUと、制御演算プログラムと各種のデータ(テーブルなど)を格納するROMと、CPUの制御演算結果などを一時的に記憶するRAMと、入力回路と、出力回路と、カウンタ(いずれも図示せず)とを備える。
【0035】
ECU70は、クランク角センサ46が出力するCRK信号をカウンタでカウントしてエンジン回転数NEを検出すると共に、車速センサ52が出力する信号をカウンタでカウントして車両の走行速度を示す車速VPを検出する。また、ECU70は、レーザレーダ68がレーザ波を発射してからその反射波を受信するまでの時間を計測し、自車と前走者の車間距離を検出する。
【0036】
また、ECU70は、入力値に基づいて制御演算を実行し、燃料噴射量を決定してインジェクタ32を駆動すると共に、点火時期を決定して点火装置(図示せず)の点火を制御する。さらに、ECU70は入力値に基づいて電動モータ24の駆動量(操作量)を決定してスロットル開度θTHを調整すると共に、リニアソレノイド16i,16eに通電するか否か決定してエンジン10の運転を全筒運転と休筒運転の間で切り換える。さらに、ECU70は、入力値に基づいて自動速度制御、より具体的には、運転者が設定した目標車速で車両を走行させる定速走行制御(いわゆるクルーズ・コントロール)と、自車と前走車の車間距離が所定の距離を維持するように車両を走行させる前走車追従走行制御(いわゆるアダプティブ・クルーズ・コントロール)を行なう。
【0037】
次いで、図2以降を参照してこの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の動作について説明する。
【0038】
図2は、その動作のうち、自動速度制御、より具体的には、定速走行制御と前走者追従走行制御の実行判断動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ44からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0039】
以下説明すると、S10においてキャンセル・スイッチ66cがオンしているか、換言すれば、運転者から自動速度制御のキャンセル(終了)指示が入力されたか否か判断し、否定されるときはS12に進み、メイン・スイッチ66fがオンしているか否か判断する。S12で肯定されるときは、次いでS14に進み、ブレーキ・スイッチ62がオンしているか否か、即ち、運転者によってブレーキ60が踏み込まれたか否か判断する。
【0040】
S14で否定されるときはS16に進み、フラグF.ACのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.ACのビットは、後述するステップで1にセットされ、そのビット(初期値0)が1にセットされているとき、自動速度制御(即ち、運転者によるアクセルペダル56やブレーキペダル60の操作を必要としない定速走行制御および前走車追従走行制御(スイッチ操作による加速や減速走行制御を含む))が実行されていることを示す。S16で否定されるときは、次いでS18に進み、セット・スイッチ66aがオンしているか否か、換言すれば、運転者から自動速度制御の実行指示と目標車速が入力されたか否か判断する。
【0041】
S18で肯定されるときはS20に進み、セット・スイッチ66aを介して入力された目標車速VDを検出して記憶し、S22に進んでフラグF.ACのビットを1にセットした後、S23に進み、前走車が所定の車間距離以内に接近しているか否か判断する。
【0042】
S23で否定されるときは、次いでS24に進み、記憶した目標車速VDに従って定速走行制御を実行する。具体的には、目標車速VDと現在の車速(検出車速)VPの偏差に応じてPID制御則などを用いてスロットルバルブ22を駆動する電動モータ24の駆動量(操作量。より具体的には通電指令値)を算出し、電動モータ24に出力してスロットル開度θTHを調整する。尚、定速走行制御の実行中にスロットル開度θTHの調整では対応しきれない所定以上の減速度が必要とされたときは、スロットル開度θTHの調整(閉じ方向への駆動)のみならず、ブレーキ操作やシフトチェンジ(ダウン)が併せて行なわれる。
【0043】
また、S23で肯定されるときは、次いでS25に進み、前走車追従走行制御を実行する。具体的には、レーザレーダ68で検出した自車と前走車の車間距離が予め設定された所定の車間距離を維持するように、スロットル開度θTHを小さくして車両を減速させる。尚、前走車追従走行制御を実行中にスロットル開度θTHの調整では対応しきれない所定以上の減速度が必要とされたときは、定速走行制御と同様に、スロットル開度θTHの調整(閉じ方向への駆動)のみならず、ブレーキ操作やシフトチェンジ(ダウン)が併せて行なわれる。
【0044】
他方、S10またはS14で肯定されるとき、あるいはS12で否定されるときはS26に進み、フラグF.ACのビットを0にリセットする。また、S16で肯定されるとき、即ち、定速走行制御が実行されているときは、次いでS28に進み、アクセラレート・スイッチ66dがオンされているか否か、即ち、運転者から加速の要求がなされているか否か判断する。
【0045】
S28で肯定されるときは、次いでS30に進み、一定の加速度で加速するようにスロットル開度θTHを大きくする加速走行制御を実行すると共に、S32に進んで目標車速VDを加速後の車速に更新する。他方、S28で否定されるときは、S34に進み、ディセラレート・スイッチ66eがオンされているか否か、即ち、運転者から減速の要求がなされているか否か判断する。
【0046】
S34で肯定されるときは、次いでS36に進み、車両が減速するようにスロットル開度θTHを小さくする減速走行制御を実行し、S32で目標車速VDを減速後の車速に更新する。他方、S34で否定されるときは、S37に進み、前走車が所定の車間距離以内に接近しているか否か判断する。S37で否定されるときは、次いでS38に進み、記憶されている目標車速VDに従って定速走行制御を実行する一方、S37で肯定されるときはS39に進んで前走車追従走行制御を実行する。
【0047】
また、S18で否定されるときはS40に進み、リジューム・スイッチ66bがオンしているか否か、即ち、ブレーキ操作によって一旦自動速度制御がキャンセルされた(F.ACのビットが0にリセットされた)後、運転者から自動速度制御の再開指示が入力されたか否か判断する。S40で肯定されるときはS42に進み、F.ACのビットが0にリセットされる以前に記憶されていた目標車速VDを読み込み、S22に進んでF.ACのビットを1にセットし、S24に進んで自動速度制御を実行する。尚、S40で否定されるときは、F.ACのビットを0のままとし、自動速度制御は再開しないでプログラムを終了する。
【0048】
次いで、図3を参照し、全筒運転と休筒運転の切り換え動作について説明する。
【0049】
図3は、全筒運転と休筒運転の切り換え動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えばTDCセンサ44からTDC信号が出力されるたびに実行される。
【0050】
以下説明すると、先ずS100において、フラグF.CSTPのビットが1にセットされているか否か判断する。フラグF.CSTPのビットは、後述するステップで1にセットされ、そのビット(初期値0)が1にセットされているとき、休筒運転が実行されることを示す。
【0051】
S100で肯定されて休筒運転中と判断されるときは、次いでS102に進み、前記したフラグF.ACのビットが1にセットされているか否か、即ち、自動速度制御(スイッチ操作による加速や減速走行制御を含む)が実行されているか否か判断する。
【0052】
S102で否定されるときは、S104に進んで全筒運転を実行すべきか否かを判定するためのしきい値θTHall(以下「全筒運転判定開度」と呼ぶ)に第1のしきい値θTH1(以下「非AC時全筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットし、S106に進んで検出したスロットル開度θTHが全筒運転判定開度θTHallより大きいか否か、換言すれば、エンジン10の負荷が大きいか否か判断する。
【0053】
S106で肯定されてエンジン10の負荷が大きいと判断されるときは、次いでS108に進み、フラグF.CSTPのビットを0にリセットして全筒運転に切り換える。他方、S106で否定されるときは、フラグF.CSTPのビットを1のままとして休筒運転を継続する。
【0054】
一方、S102で肯定されて自動速度制御が実行されていると判断されるときは、次いでS110に進み、加速走行制御を実行しているか否か判断する。S110で否定されるときはS112に進み、アクセル開度センサ58が出力APを生じているか否か、即ち、運転者によってアクセルペダル56が踏まれているか否か判断する。
【0055】
S112で否定されるときはS114に進み、全筒運転判定開度θTHallに第2のしきい値θTH2(以下「AC時全筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットした後、S106およびS108に進んで上記した処理を行なう。
【0056】
ここで、図4に示すように、AC時全筒運転判定開度θTH2は、非AC時全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定される。前述したように、気筒休止内燃機関(即ちエンジン10)で自動速度制御を行なうと、同図に1点鎖線で示すようにスロットル開度θTHが大きく変化(開閉)し、全筒運転と休筒運転が頻繁に切り換えられる恐れがある。
【0057】
しかしながら、自動速度制御時の全筒運転判定開度θTH2を、非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定することで、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、休筒運転から全筒運転への切り換え)が防止され、スロットル開度θTHも安定する。このため、トルク変動が抑制されて運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転が継続して実行されるため、燃料消費量を低減させることができる。
【0058】
尚、S110で肯定されて加速走行制御が実行されていると判断されるとき、あるいはS112で肯定されてアクセルペダル56が踏まれていると判断されるとき、即ち、大きな加速度が要求されると判断されるときは、S104に進んで非AC時全筒運転判定開度θTH1を全筒運転判定開度θTHallにセットし、全筒運転への切り換えを促す。これにより、運転者からの加速の要求に対して迅速に対応することができる。
【0059】
図3フロー・チャートの説明を続けると、S100で否定されて全筒運転中と判断されるときはS116に進み、フラグF.ACのビットが1にセットされているか否か判断する。S116で否定されるときはS118に進み、休筒運転を実行すべきか否かを判定するためのしきい値θTHstp(以下「休筒運転判定開度」と呼ぶ)に第3のしきい値θTH3(以下「非AC時休筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットし、S120に進んで検出したスロットル開度θTHが休筒運転判定開度θTHstpより小さいか否か、換言すれば、エンジン10の負荷が小さいか否か判断する。
【0060】
S120で肯定されてエンジン10の負荷が小さいと判断されるときは、次いでS122に進み、フラグF.CSTPのビットを1にセットして休筒運転に切り換える。他方、S120で否定されるときは、フラグF.CSTPのビットを0のままとして全筒運転を継続する。
【0061】
一方、S116で肯定されて自動速度制御が実行されていると判断されるときは、次いでS124に進み、休筒運転判定開度θTHstpに第4のしきい値θTH4(以下「AC時休筒運転判定開度」と呼ぶ)をセットした後、S120およびS122で上記した処理を行なう。
【0062】
ここで、図4に示すように、AC時休筒運転判定開度θTH4は、非AC時休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定される。このため、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(特に、全筒運転から休筒運転への切り換え)が防止され、よってトルク変動が抑制されて運転者に不快感を与えることがない。
【0063】
尚、全筒運転から休筒運転への切り換えを抑制することは、休筒運転を多く行なって燃料消費量を低減するという意図に反するが、休筒運転に切り換えてもスロットル開度θTHが過剰に開かれてしまうと燃料消費量の低減という効果が十分に得られないため、ここでは休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(ハンチング)を防止してトルクの変動を抑制し、運転者に不快感を与えないような構成にすることを優先した。
【0064】
このように、この実施の形態に係る気筒休止内燃機関(エンジン)の制御装置にあっては、自動速度制御時(即ち、定速走行制御または前走車追従走行制御を実行しているとき)の全筒運転判定開度(休筒運転から全筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH2を非自動速度制御時(即ち、定速走行制御および前走車追従走行制御のいずれも実行していないとき)の全筒運転判定開度θTH1に比して大きい値に設定すると共に、自動速度制御時の休筒運転判定開度(全筒運転から休筒運転に切り換えるか否かを判断するためのしきい値)θTH4を非自動速度制御時の休筒運転判定開度θTH3に比して小さい値に設定するようにしたので、休筒運転と全筒運転の切り換えをスロットル開度θTHに基づいて行なっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換え(ハンチング)が防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0065】
上記した如く、この実施の形態においては、車両に搭載された多気筒内燃機関(エンジン10)の負荷(スロットル開度θTH)に基づき、前記多気筒内燃機関の運転を気筒の全て(C1からC6)を運転させる全筒運転とその一部(C4からC6)を休止させる休筒運転との間で切り換える運転切り換え手段(ECU70、気筒休止機構12、油路14i,14e、リニアソレノイド16i,16e)を備え、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が第1の所定値(全筒運転判定開度θTHall)を超えたとき、前記休筒運転から前記全筒運転に切り換える(S106,S108)ようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、前記車両を目標車速VDで走行させる定速走行制御と前記車両を前走車と所定の車間距離を維持して走行させる前走車追従走行制御の少なくともいずれかからなる自動速度制御を行なう自動速度制御手段(ECU70、スロットルバルブ22、電動モータ24、S10からS42)を備えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値(AC時全筒運転判定開度θTH2)を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれ(非AC時全筒運転判定開度θTH1)に比して大きい値に設定する(S102,S104,S114)ように構成した。
【0066】
また、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が前記第1の所定値より小さい値に設定された第2の所定値(休筒運転判定開度θTHstp)を下回ったとき、前記全筒運転から前記休筒運転に切り換える(S120,S122)と共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値(AC時休筒運転判定開度θTH4)を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれ(非AC時休筒運転判定開度θTH3)に比して小さい値に設定する(S116,S118,S124)ように構成した。
【0067】
また、前記運転切り換え手段は、スロットル開度θTHに基づいて前記多気筒内燃機関の運転を全筒運転と休筒運転との間で切り換える(S100からS124)ように構成した。
【0068】
尚、上記において、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度θTHのみで判断するようにしたが、エンジン冷却水温TWや車速VP、吸気管内絶対圧PBA、走行路の勾配などを勘案して判断するようにしても良い。
【0069】
また、自動速度制御として定速走行制御と前走車追従走行制御を例示した、具体的には、定速走行制御の実行中に自車が前走車に接近したとき、前走車追従走行制御を実行するようにしたが、この発明は定速走行制御のみを実行する場合にも妥当することは言うまでもない。
【0070】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、機関負荷が第1の所定値を超えたとき、休筒運転から全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、自動速度制御(定速走行制御または前走車追従走行制御)が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成したので、自動速度制御実行中の休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【0071】
請求項2項にあっては、機関負荷が第2の所定値を下回ったとき、全筒運転から休筒運転に切り換えると共に、自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定するように構成したので、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を一層抑制して運転者に不快感を与えることがない。
【0072】
請求項3項にあっては、請求項1項または2項に記載した気筒休止内燃機関の制御装置が上記した効果を有するので、全筒運転と休筒運転の切り換えをスロットル開度に基づいて行なうように構成した場合であっても、休筒運転と全筒運転の頻繁な切り換えが防止され、よってトルク変動を抑制して運転者に不快感を与えることがないと共に、休筒運転を継続させて燃料消費量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る気筒休止内燃機関の制御装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置の動作のうち、自動速度制御の実行判断動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図1に示す装置の動作のうち、全筒運転と休筒運転の切り換え動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートで説明する全筒運転判定開度(θTH1,θTH2)と休筒運転判定開度(θTH3,θTH4)を、検出したスロットル開度θTHなどと共に示すタイム・チャートである。
【符号の説明】
10 エンジン(多気筒内燃機関)
12 気筒休止機構(運転切り換え手段)
12e 排気側休止機構(運転切り換え手段)
12i 吸気側休止機構(運転切り換え手段)
14i,14e 油路(運転切り換え手段)
16i,16e リニアソレノイド(運転切り換え手段)
22 スロットルバルブ(自動速度制御手段)
24 電動モータ(自動速度制御手段)
70 ECU(運転切り換え手段および自動速度制御手段)
Claims (3)
- 車両に搭載された多気筒内燃機関の負荷に基づき、前記多気筒内燃機関の運転を気筒の全てを運転させる全筒運転とその一部を休止させる休筒運転との間で切り換える運転切り換え手段を備え、前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が第1の所定値を超えたとき、前記休筒運転から前記全筒運転に切り換えるようにした気筒休止内燃機関の制御装置において、前記車両を目標車速で走行させる定速走行制御と前記車両を前走車と所定の車間距離を維持して走行させる前走車追従走行制御の少なくともいずれかからなる自動速度制御を行なう自動速度制御手段を備えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第1の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して大きい値に設定するように構成したことを特徴とする気筒休止内燃機関の制御装置。
- 前記運転切り換え手段は、前記機関負荷が前記第1の所定値より小さい値に設定された第2の所定値を下回ったとき、前記全筒運転から前記休筒運転に切り換えると共に、前記自動速度制御が実行されているときの前記第2の所定値を、前記自動速度制御が実行されていないときのそれに比して小さい値に設定したことを特徴とする請求項1項記載の気筒休止内燃機関の制御装置。
- 前記運転切り換え手段は、スロットル開度に基づいて前記多気筒内燃機関の運転を全筒運転と休筒運転との間で切り換えることを特徴とする請求項1項または2項記載の気筒休止内燃機関の制御装置。
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KR102075133B1 (ko) | 2014-12-01 | 2020-03-02 | 현대자동차(주) | 가변 실린더 엔진의 제어방법 |
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