JP2004162361A - 浴室用防水パン - Google Patents

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明彦 犬塚
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Abstract

【課題】分割型と一体型の長所を生かしつつ、防水パンを折り畳んだ状態で搬入等できて設置を容易に行い得る浴室用防水パンを提供する。
【解決手段】浴槽が設置される浴槽設置部と、該浴槽設置部とは別体で形成されその上面によって洗い場が形成される洗い場部とを備えた浴室用防水パンであって、浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁を開閉可能なヒンジ部材で連結し、該ヒンジ部材の開閉位置によって浴槽設置部と洗い場部とを設置状態と折畳み状態の両状態に設定し得るように構成したことを特徴とする。前記ヒンジ部材は、浴槽設置部及び洗い場部の隣接周側壁と略同一長さのプラスチック蝶番で形成されて、連結機能と防水機能の両機能を有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばシステムバスルーム等の浴室における防水パンに係わり、特に施工現場への搬入等を容易に行える浴室用防水パンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、システムバスルーム等の浴室においては、床面として防水パンが使用されている。そして、従来、この防水パンとしては、例えば特許文献1に示すように、浴槽が設置される浴槽設置部と洗い場を形成する洗い場部とを一体成形した一体型の防水パンか、あるいは特許文献2に示すように、浴槽設置部と洗い場部とを別体で成形して、施工現場で連結する分割型の防水パンが使用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−81410号公報
【特許文献2】
特開平11−61926号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の防水パンにあっては、一体成形であるためコスト的に有利で連結箇所が少なく防水性に優れるものの、外形形状が大きくなり施工現場への運搬や搬入の点で問題がある。また、特許文献2の防水パンにあっては、分割されて外形形状が小さいため施工現場への搬入等が容易に行えるものの、連結を施工現場で行う必要があるため、現場での連結組立作業が非常に面倒であると共に、施工コストや製造コストがアップしてコスト高になり易いという問題点を有している。
【0005】
つまり、一体型及び分割型の防水パンとも、それぞれ長所と短所を有しており、施工現場の状況に応じて所定の防水パンが使用されているが、昨今、住宅のリフォーム時等における防水パンを含めた浴室の設置の容易化が要望されている中で、前記防水パンにおいては、このような要望に十分に答えられていないのが実状である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、分割型と一体型の長所を生かしつつ、防水パンを折り畳んだ状態で搬入等できてその設置を容易に行い得る浴室用防水パンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、浴槽が設置される浴槽設置部と、該浴槽設置部とは別体で形成されその上面によって洗い場が形成される洗い場部とを備えた浴室用防水パンであって、前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁を開閉可能なヒンジ部材で連結し、該ヒンジ部材の開閉位置によって浴槽設置部と洗い場部とを設置状態と折畳み状態の両状態に設定し得るように構成したことを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、防水パンの浴槽設置部と洗い場部はそれぞれ別体で成形され、各部の隣接周側壁の例えば上端が開閉可能なヒンジ部材で連結されることにより一体化される。そして、この浴槽設置部と洗い場部が一体化された防水パンは、ヒンジ部材を閉位置に設定することで浴槽設置部と洗い場部が折畳み状態となり、外形形状が小さくなった状態で施工現場に搬入され、施工現場でヒンジ部材を開位置に設定することで浴槽設置部と洗い場部が設置状態となる。これにより、別体の浴槽設置部と洗い場部とを製造段階で一体化できて、一体型と分割型の防水パンの長所を生かしつつ、折畳み状態での搬入等が可能になって、防水パンの設置が容易に行える。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、ヒンジ部材が、浴槽設置部及び洗い場部の隣接周側壁と略同一長さのプラスチック蝶番で形成されて、連結機能と防水機能の両機能を有することを特徴とする。このように構成することにより、ヒンジ部材が、連結機能と防水機能を有するプラスチック蝶番で形成されることから、浴槽設置部と洗い場部の連結部分における防水性を、両部の連結と同時に確保できて、防水パンの設置が一層容易に行える。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁に、設置状態時のストッパ機能を有するリブが一体成形されていることを特徴とする。このように構成することにより、隣接周側壁に設けられた補強用のリブが設置状態時のストッパ機能を有することから、浴槽設置部と洗い場部を設置する際の両部の位置決めが簡単となり、防水パンの設置がより一層容易に行える。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁が連結部材によっても連結されていることを特徴とする。このように構成することにより、ヒンジ部材による連結とは別に、連結部材によっても浴槽設置部と洗い場部とが連結されることから、浴槽設置部と洗い場部とを確実かつ強固に連結できて、防水パンの安定した設置状態が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明に係わる浴室用防水パンの一実施形態を示し、図1がその設置状態の概略斜視図、図2がその平面図、図3が図2のA部の拡大縦断面図、図4が図2のB部の拡大縦断面図、図5が図4のC−C線に沿った断面図、図6が設置状態の説明図である。
【0013】
図1及び図2において、設置状態の防水パン1は、それぞれFRP等によって別々に成形された、図示しない浴槽が設置される浴槽設置部2と、この浴槽設置部2の側方に一体的に連結された洗い場部3とで形成されている。浴槽設置部2は、底壁2aと該底壁2aの周囲に一体成形された周側壁2b〜2eとで形成され、底壁2aの周側壁2b側には排水孔4が穿設されている。また、洗い場部3は、底壁3aと該底壁3aの周囲に一体成形された周側壁3b〜3eとで形成され、底壁3aの表面(上面)により洗い場が形成されると共に、底壁3aの一端部にカウンタ設置部3fが設けられている。
【0014】
そして、浴槽設置部2と洗い場部3は、その周側壁2b〜2e、3b〜3eのうち互いに隣接する周側壁2b、3b(以下、隣接周側壁2b、3bという)の上面に形成されたフランジ5、6が、ヒンジ部材としてのプラスチック蝶番7で連結されることにより一体化されている。すなわち、プラスチック蝶番7は、その長さが浴槽設置部2及び洗い場部3の隣接周側壁2b、3bの長さと略同一の長尺状に設定されると共に、その幅が隣接する隣接周側壁2b、3bの各フランジ5、6幅の合計寸法と略同一に設定されている。
【0015】
また、プラスチック蝶番7は、図3に示すように、幅方向の裏面中央部分に凹溝7aが形成され、この凹溝7aの両側に固定部7b、7cが形成されるように、所定の剛性(防水性)と弾性力を有する樹脂によって一体成形されている。このプラスチック蝶番7の凹溝7aにより、その板厚が薄くなることで凹溝7a部分を軸にしてその両側の固定部7b、7cが図3の矢印イの如く開閉(回動)するようになっている。
【0016】
そして、このプラスチック蝶番7は、浴槽設置部2と洗い場部3の隣接周側壁2b、3bのフランジ5、6上面に、その固定部7b、7cが防水性のパッキン8を介してネジ9で固定されることにより、浴槽設置部2と洗い場部3とを一体的に連結し、このプラスチック蝶番7で前述した設置状態と後述する搬送・搬入時の折畳み状態に設定されるようになっている。
【0017】
なお、浴槽設置部2と洗い場部3の隣接周側壁2b、3bの外面には、フランジ5、6の長手方向に沿って所定間隔で複数のリブ10、11が一体成形されており、このリブ10、11の外側端面10a、11aが浴槽設置部2と洗い場部3の設置状態時におけるストッパとして機能するようになっている。このストッパ機能を有するリブ10、11により、プラスチック蝶番7で連結された浴槽設置部2と洗い場部3の図3に示す矢印ロ方向への動き(回動)が規制されて、水平な設置状態に容易に設定されることになる。
【0018】
また、防水パン1の設置状態においては、図2に示すように、浴槽設置部2と洗い場部3の隣接周側壁2b、3bが、その長手方向の複数箇所において連結部材12によって連結されている。すなわち、連結部材12は、図4及び図5に示すように、側面視コ字状の連結金具12aと、洗い場部3の底壁3aの下面端部に接着剤、ネジ等で固定された洗い場金具12b等によって構成されている。
【0019】
そして、連結金具12aの両端部の立壁部に設けたネジ孔に、浴槽設置部2の隣接周側壁2b及び前記洗い場金具12bからボルト13をそれぞれ螺合させることにより、浴槽設置部2の隣接周側壁2bと洗い場部3の隣接周側壁3bの下端が連結部材12で連結され、プラスチック蝶番7による連結と併せ、浴槽設置部2と洗い場部3の連結に所定の強度が確保されるようになっている。
【0020】
この防水パン1は、先ず、工場等において、浴槽設置部2と洗い場部3がそれぞれ別々の成形型で成形され、この浴槽設置部2と洗い場部3とがプラスチック蝶番7で連結されることにより、図6(a)に示す状態に設定される。この状態で、例えば浴槽設置部2をプラスチック蝶番7の開閉動作で矢印ハ方向に回動させて、図6(b)に示すように、その周側壁2b〜2eのフランジ5を洗い場部3の周側壁3b〜3eのフランジ6上に載置する。この時、連結部材12を構成する連結金具12aや洗い場金具12b、ボルト13等の防水パン1の設置に必要な付属部品等を洗い場部3内に収納する。
【0021】
これにより、折畳み状態の防水パン1が得られ、この折畳み状態の防水パン1を適宜に梱包して、倉庫に保管したり、施工現場に運搬・搬入して設置する。この保管や運搬・搬入時に、防水パン1が折畳み状態になっていることから、その外形形状を洗い場部3と略同じ大きさに設定できて、保管スペースが効率化されたり、運搬が容易に行えると共に、施工現場への搬入も容易となり、各種形態の施工現場に対応できる。
【0022】
そして、折畳み状態の防水パン1が施工現場に搬入されたら、浴槽設置部2を開方向に回動させて、浴槽設置部2と洗い場部3とを図6(a)に示す略水平状態に設定すると共に、その隣接周側壁2b、3bを前記連結部材12で連結して、防水パン1を設置場所に設置する。
【0023】
この設置時に、折畳み状態の浴槽設置部2を回動させて連結部材12で連結するだけで、防水パン1を設置できることから、連結箇所が少なくなり設置作業が極めて簡単に行え、また、浴槽設置部2と洗い場部3の連結部における防水性が、連結機能を有するプラスチック蝶番7とパッキン8によって確実に確保される。なお、この例における連結部材12の洗い場金具12bは、工場において底壁3a下面に固定することで設置の容易化を図ることもできるが、施工現場で固定することで現場の状況に容易に対応させることもできる。
【0024】
このように、上記実施形態の防水パン1においては、浴槽設置部2と洗い場部3とを別々に成形して、その隣接周側壁2b、3bのフランジ5、6を開閉可能なプラスチック蝶番7で連結して一体化するため、防水パン1を工場等で折畳み状態とすることができて、その小型化が図れ、防水パン1の施工現場への運搬・搬入や保管を容易に行うことができる。
【0025】
その結果、浴槽設置部2と洗い場部3の外形形状を小さくして搬入・運搬が容易に行えるという分割型の防水パンの長所と、工場出荷時にプラスチック蝶番7で浴槽設置部2と洗い場部3とを一体的に連結して施工現場での連結作業を少なくするという一体型の防水パンの長所を生かしつつ、各種形態の施工現場に対応でき、例えば住宅のリフォーム等のように搬入や設置スペースが規制されている場合であっても、防水パン1を現場に簡単に搬入して容易に設置することが可能になる。また同時に、防水パン1の保管場所の省スペース化が図れて保管コストの低減化等も図れる。
【0026】
また、折畳み状態の防水パン1の内部に形成されるデッドスペースを連結部材12等の付属部品の収納部として使用できるため、設置に必要な付属部品を工場出荷時に収納部に収納して施工現場に搬入でき、付属部品の紛失等がなくなって、設置作業をスムーズに行うことができる。また、プラスチック蝶番7が長尺状に形成されて浴槽設置部2と洗い場部3の隣接周側壁2b、3bの略全域を上面から覆っているため、該プラスチック蝶番7に連結機能と連結部の防水機能を同時に持たせることができて、防水機構が簡略化され、例えばシリコン塗布等の防水処理が不要になる。
【0027】
さらに、浴槽設置部2と洗い場部3の隣接周側壁2b、3bの外側に強度アップのために設けられるリブ10、11が設置状態時のストッパ機能を有するため、リブ10、11によって浴槽設置部2や洗い場部3の開き過ぎが確実に防止され、両部2、3の位置決め作業を簡単に行うことができる。これらにより、浴槽設置部2と洗い場部3を有する防水パン1の施工現場への設置作業を簡単かつ効率的に行うことができて、設置コストの低減化を図ることが可能になる。
【0028】
また、防水パン1の浴槽設置部2と洗い場部3とがプラスチック蝶番7とは別体の連結部材12で連結されるため、設置状態の浴槽設置部2と洗い場部3の連結強度を高めることができて、前記プラスチック蝶番7による防水機構と併せ長期に亘り安定した防水パン1の設置状態を得ることができる。また、ヒンジ部材として長尺状で凹溝7aと固定部7b、7cが一体成形されたプラスチック蝶番7が使用されるため、安価なヒンジ部材を使用できて、設置コストの一層の低減化を図ることができる。
【0029】
なお、上記実施形態においては、ヒンジ部材として長尺状のプラスチック蝶番7を使用したが、長手方向に分割状態の複数のプラスチック蝶番7を使用しても良いし、ヒンジ部材としてはプラスチック蝶番7に限らず浴槽設置部2と洗い場部3を開閉し得る他の適宜のヒンジ部材を使用することができる。また、上記実施例における浴槽設置部2と洗い場部3の形状、連結部材12の構成や材質等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、浴槽設置部と洗い場部が開閉可能なヒンジ部材で一体化されているため、分割型と一体型の長所を生かしつつ、搬入時等には折り畳んで外形形状が小さくした状態で搬入したり、ヒンジ部材の開動作で設置状態とすることができて、施工現場での防水パンの設置を容易に行うことができる。
【0031】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ヒンジ部材が連結機能と防水機能を有するプラスチック蝶番で形成されているため、浴槽設置部と洗い場部を連結するだけで、連結部分における防水性も同時に確保できて、防水パンの設置を一層容易に行うことができる。
【0032】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁に設けられた補強用のリブが設置状態時のストッパ機能を有するため、浴槽設置部と洗い場部を設置する際の両部の位置決めが簡単となり、防水パンの設置をより一層容易に行うことができる。
【0033】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、浴槽設置部と洗い場部がヒンジ部材による連結とは別に連結部材によっても連結されるため、浴槽設置部と洗い場部とを確実かつ強固に連結することができて、防水パンの長期に亘る安定した設置状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる浴室用防水パンの一実施形態の設置状態を示す概略斜視図
【図2】同その平面図
【図3】同図2のA部の拡大縦断面図
【図4】同図2のB部の拡大縦断面図
【図5】同図4のC−C線に沿った断面図
【図6】同その搬入時の説明図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・防水パン
2・・・・・・・・・浴槽設置部
2a・・・・・・・・底壁
2b・・・・・・・・隣接周側壁
2c〜2e・・・・・周側壁
3・・・・・・・・・洗い場部
3a・・・・・・・・底壁
3b・・・・・・・・隣接周側壁
3c〜3e・・・・・周側壁
5、6・・・・・・・フランジ
7・・・・・・・・・プラスチック蝶番
7a・・・・・・・・凹溝
7b、7c・・・・・固定部
8・・・・・・・・・パッキン
10、11・・・・・リブ
10a、11a・・・外側端面
12・・・・・・・・連結部材
12a・・・・・・・連結金具
12b・・・・・・・洗い場金具
13・・・・・・・・ボルト

Claims (4)

  1. 浴槽が設置される浴槽設置部と、該浴槽設置部とは別体で形成されその上面によって洗い場が形成される洗い場部とを備えた浴室用防水パンであって、
    前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁を開閉可能なヒンジ部材で連結し、該ヒンジ部材の開閉位置によって浴槽設置部と洗い場部とを設置状態と折畳み状態の両状態に設定し得るように構成したことを特徴とする浴室用防水パン。
  2. 前記ヒンジ部材は、浴槽設置部及び洗い場部の隣接周側壁と略同一長さのプラスチック蝶番で形成されて、連結機能と防水機能の両機能を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室用防水パン。
  3. 前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁に、設置状態時のストッパ機能を有するリブが一体成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴室用防水パン。
  4. 前記浴槽設置部と洗い場部の隣接周側壁が、前記ヒンジ部材とは別の連結部材によっても連結されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の浴室用防水パン。
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