JP2004162224A - 緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具(10)は、二輪車の運転者等の着用者を保護するためのものであり、単体のエアバッグ(1)と、このエアバッグ(1)を膨張させるインフレーター(2)とを備える。該インフレーターは高圧ガスが密封充填されたカートリッジ(4)とこのカートリッジを開封する開封装置(5)を有している。該エアバッグは縫着部(3)を有し、該縫着部の隙間は該エアバッグの膨張に伴って拡開し、該カートリッジから噴出される高圧ガスの流出量より小さい流出量で該エアバッグの内部から外部へ逸出させるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二輪車の運転者を衝突事故の衝撃から保護するための胴衣具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
交通事故における衝撃から運転者や搭乗者を保護する方法として、エアバッグが広く知られている。このエアバッグは一般に乗用車のフロントや座席側方に搭載される装置であるが、近年、二輪車の運転者を保護するための安全装置も考案されている。そのような安全装置として、例えば、特許文献1には、緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具が開示されている。
【0003】
上記緩衝胴衣具は、運転者自身が着用する胴衣具本体に、ガス発生器を装着すると共にその内面に合成樹脂よりなるチューブ状の胸袋部、脇袋部、背袋部、首袋部及び腰袋部を構成したもので、前記ガス発生器によりガスを充填させた前記各袋部で運転者を保護するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−185109号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具によれば、運転者が衝撃を受ける際に各袋部の内圧が高い状態に維持されているため、衝撃を受けた各袋部が充分に変形せずその衝撃が充分に吸収されないまま運転者に伝わってしまうおそれがあった。また、衝撃を受けた各袋部が弾性変形した場合には、衝撃力がそのまま反対向きの力となって運転者に衝撃を与えるおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、事故の衝撃を充分に吸収することができる緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具は、着用者を保護する緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具であって、単体のエアバッグと、該エアバッグを膨張させるインフレーターとを備え、該インフレーターは高圧ガスが密封充填されたカートリッジと該カートリッジを開封する開封装置を有し、該エアバッグは縫着部を有し、該縫着部の隙間は該エアバッグの膨張に伴って拡開し、該カートリッジから噴出される該高圧ガスの流出量より小さい流出量で該エアバッグの内部から外部へ逸出させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、カートリッジから噴出される高圧ガスをエアバッグの縫着部から逸出させることにより、衝撃を受けた際にエアバッグが適度に変形してその衝撃を充分に吸収することができる。また、縫着部の隙間は膨張に伴って拡開するため、エアバッグの内圧が低い状態では充分な隙間が形成されず外部に逸出する高圧ガスの流出量は低く抑えられる。そのため、折り畳まれた状態にあるエアバッグが着用者を保護できる状態となるまで膨張するために必要となる時間に影響を及ぼすおそれがない。更に、外部に逸出する高圧ガスの流出量はカートリッジから噴出される流出量より小さいため、エアバッグの膨張時すなわち衝撃を受ける前にエアバッグの内圧が過剰に低下するおそれがない。そのため、エアバッグの備え持つ保護機能を損なうことなく高圧ガスを逸出させることができる。
【0009】
なお、複数の型を接合してエアバッグを形成する場合、それらの型の接合法については、少なくともどこかが縫着されたものであれば制限はなく、例えば高周波による溶着であってもよい。その場合、エアバッグを溶着及び縫着で形成することにより、その比率を変更することで外部に逸出する高圧ガスの流出量を調整することができ好ましい。例えば、接合部の半分を縫着させた場合を基準として、縫着部の割合を増やすことで高圧ガスの流出量が多いエアバッグを形成することができ、逆に溶着部の割合を増やすことで高圧ガスの流出量が少ないエアバッグを形成することができる。
【0010】
該カートリッジは複数設置されており、該複数のカートリッジは順次開封されるようになっていてもよい。
この場合、一つのカートリッジに充填された高圧ガスが全て噴出された後、別のカートリッジから高圧ガスを供給することで、高圧ガスの逸出によるエアバッグの内圧低下を防止し、着用者を保護できる時間を延ばすことが可能となる。
【0011】
該開封装置は、該複数のカートリッジのうちの主カートリッジに取り付けられる主開封部と、該主カートリッジの開封後に開封される副カートリッジに取り付けられる副開封部とを備え、該主開封部は該高圧ガスの流出路を有し、該副開封部は該流出路と連通し該高圧ガスの噴出圧を利用して該副カートリッジを開封するようになっていてもよい。
この場合、簡単な構造で、二つのカートリッジが開封されるタイミングをずらすことができる。
【0012】
該インフレーターは、該高圧ガスを透過させる素材からなるホース内に該高圧ガスが噴出される側を開口させて装入され、該ホースは該エアバッグの内部に延設されていてもよい。
この場合、噴出された高圧ガスにより、まずホースが膨らんで高圧ガスの流路が形成されるので、折り畳まれた状態にあるエアバッグの内部に高圧ガスを、より短い時間で行き渡らせることが可能となる。また、ホースは高圧ガスを透過させる素材からなっているので、ホースが高圧ガスの拡散の妨げとなるおそれがない。更に、インフレーターはホースに装入されてエアバッグの内部に配置されるので、インフレーター本体への衝撃をホースとエアバッグにより緩和させ、インフレーターを衝撃から保護することができることができる。更にまた、インフレーターが外部に露出しないので、需要者による分解等の不正使用を防止することができる。
【0013】
【発明実施の形態】
図1〜4に、本発明にかかる緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具の具体例を示す。
図1はエアバッグが膨張した状態を説明する図であり、(a)は同緩衝胴衣具全体の概観を示す斜視図、(b)はエアバッグのみを示す斜視図である。図2はエアバッグが折り畳まれて収容された状態を示す斜視図である。図3はインフレーターの概観を示す斜視図である。図4は開封装置を拡大して示す断面図であり、(a)は副カートリッジが開封されていない状態を示し、(b)は副カートリッジが開封された状態を示している。
【0014】
緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具10は、図示しない着用者(二輪車の運転者)を保護するためのものであり、単体のエアバッグ1と、このエアバッグ1を膨張させるインフレーター2とを備える。インフレーター2は高圧ガスが密封充填されたカートリッジ4とこのカートリッジ4を開封する開封装置5を有している。
エアバッグ1は複数の型を接合して形成されたもので縫着部3を有し、縫着部3の隙間はエアバッグ1の膨張に伴って拡開し、カートリッジ4から噴出される高圧ガスの流出量より小さい流出量でエアバッグ1の内部から外部へ逸出させるようになっている。
【0015】
この緩衝胴衣具10によれば、カートリッジ4から噴出される高圧ガスをエアバッグ1の縫着部3から逸出させることにより、衝撃を受けた際にエアバッグ1が適度に変形してその衝撃を充分に吸収することができる。また、縫着部3の隙間は膨張に伴って拡開するため、エアバッグ1の内圧が低い状態では充分な隙間が形成されず外部に逸出する高圧ガスの流出量は低く抑えられる。そのため、図2に示すような、折り畳まれた状態にあるエアバッグ1が着用者を保護できる状態となるまで膨張するために必要となる時間に影響を及ぼすおそれがない。更に、外部に逸出する高圧ガスの流出量はカートリッジ3から噴出される流出量より小さいため、エアバッグ1の膨張時すなわち衝撃を受ける前にエアバッグ1の内圧が過剰に低下するおそれがない。そのため、エアバッグ1の備え持つ保護機能を損なうことなく高圧ガスを逸出させることができる。
【0016】
エアバッグ1は、自身に着脱自在の被覆材11で覆われている。
こうすると、汚れた場合には被覆材11を取り外して容易に洗濯をしたり、夏用冬用と素材を季節にあわせたり、また好みの色彩や形状のものに費用をかけずに交換したりすることが可能となり、一般需要者の使用勝手を向上させることができ好ましい。
【0017】
また、エアバッグ1は、膨張した際に着用者の前面において肩口から胸部及び腹部を経て股間部に至る細長のチューブにより構成されている。そして、前面に配置される両端部1a、1b及び背面に配置される折曲部1cがそれぞれ折返され、クッション性が高められた形状とされている。
こうすると、衝突事故において、二輪車の運転者をガソリンタンクやハンドルによる衝撃から保護することができる。
【0018】
カートリッジ4は複数設置されており、これら複数のカートリッジ4a、4bは順次開封されるようになっていてもよい。
こうすると、一つのカートリッジ4aに充填された高圧ガスが全て噴出された後、別のカートリッジ4bから高圧ガスを供給することで、高圧ガスの逸出によるエアバッグ1の内圧低下を防止し、着用者を保護できる時間を延ばすことが可能となる。
なお、図3及び図4には、複数のカートリッジ4として2個のカートリッジ4a、4bが示されているが、カートリッジ4の個数に制限はなく、着用者を保護しなければならない時間に応じて増やすことも可能である。ただし、カートリッジ4の個数を増やした場合、インフレーター2が大きくなり設置位置が制限される等の問題が生じるため、この点を充分に考慮する必要がある。
【0019】
開封装置5は、複数のカートリッジ4a、4bのうちの主カートリッジ4aに取り付けられる主開封部5aと、主カートリッジ4aの開封後に開封される副カートリッジ4bに取り付けられる副開封部5bを備えている。
主開封部5aは、主カートリッジ4aへの固定部12と、この固定部12を図示しない支持手段により支持しているケーシング13とを有している。固定部12は、公知の開封手段であり、撃針及び起爆剤を内包している。そして、撃針が主カートリッジ4aの封板を開封すると、外周に形成されたスリット12aから高圧ガスが噴出されるようになっている。ケーシング13は筒状をなし、その内部空間が流出路6となっている。
副開封部5bは、撃針14を内包するケーシング15を有している。撃針14は筒状をなし、開封用尖端14aの反対側が支持材16に固定されている。支持材16には撃針14の中空部の開口となる透孔が形成され、撃針14が副カートリッジ4bを開封した際には、高圧ガスが撃針14の中空部を通って噴出されるようになっている。ケーシング15には副カートリッジ4bが固定されており、その反対側は前記主開封部5aのケーシング13に連通部17を介して連結されている。そして、撃針14が配置されているケーシング15の内部空間18は流出路6に連通し、主カートリッジ4aから噴射される高圧ガスの噴出圧により支持材16が副カートリッジ4bに向けて摺動し、副カートリッジ4bを開封するようになっている。なお、支持材16の摺動は副カートリッジ4bとの間に介装されたスプリング19により制限され、副カートリッジ4bが誤って開封されないようになっている。
こうすると、簡単な構造で、二つのカートリッジが開封されるタイミングをずらすことができる。また、主カートリッジ4aに充填された高圧ガスが全て噴出された後のエアバッグ1の内圧及び膨張時間は、副カートリッジ4bの封板の開放率、すなわち撃針14の直径で調整することが可能となる。
【0020】
インフレーター2は、高圧ガスを透過させる素材からなるホース7内に高圧ガスが噴出される側を開口させて装入され、ホース7はエアバッグ1の内部に延設されている。
こうすると、噴出された高圧ガスにより、まずホース7が膨らんで高圧ガスの流路が形成されるので、図2に示すような折り畳まれた状態にあるエアバッグ1の内部に高圧ガスを、より短い時間で行き渡らせることが可能となる。また、ホース7は高圧ガスを透過させる素材からなっているので、ホース7が高圧ガスの拡散の妨げとなるおそれがない。更に、インフレーター2はホース7に装入されてエアバッグ1の内部に配置されるので、インフレーター2本体への衝撃をホース7とエアバッグ1により緩和させ、インフレーター2を衝撃から保護することができる。更にまた、インフレーター2が外部に露出しないので、需要者による分解等の不正使用を防止することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、カートリッジから噴出される高圧ガスをエアバッグの縫着部から逸出させることにより、衝撃を受けた際にエアバッグが適度に変形してその衝撃を充分に吸収することができる。また、縫着部の隙間は膨張に伴って拡開するため、エアバッグの内圧が低い状態では充分な隙間が形成されず外部に逸出する高圧ガスの流出量は低く抑えられる。そのため、折り畳まれた状態にあるエアバッグが着用者を保護できる状態となるまで膨張するために必要となる時間に影響を及ぼすおそれがない。更に、外部に逸出する高圧ガスの流出量はカートリッジから噴出される流出量より小さいため、エアバッグの膨張時すなわち衝撃を受ける前にエアバッグの内圧が過剰に低下するおそれがない。そのため、エアバッグの備え持つ保護機能を損なうことなく高圧ガスを逸出させることができる。
【0022】
請求項2によれば、一つのカートリッジに充填された高圧ガスが全て噴出された後、別のカートリッジから高圧ガスを供給することで、高圧ガスの逸出によるエアバッグの内圧低下を防止し、着用者を保護できる時間を延ばすことが可能となる。
【0023】
請求項3によれば、簡単な構造で、二つのカートリッジが開封されるタイミングをずらすことができる。
【0024】
請求項4によれば、折り畳まれた状態にあるエアバッグの内部に高圧ガスを、その拡散を妨げることなく、より短い時間で行き渡らせることが可能となる。また、インフレーター本体への衝撃をホースとエアバッグにより緩和させ、インフレーターを衝撃から保護することができることができる。更にまた、需要者による分解等のインフレーターの不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具のエアバッグが膨張した状態を説明する図であり、(a)は同緩衝胴衣具全体の概観を示す斜視図、(b)はエアバッグのみを示す斜視図である。
【図2】エアバッグが折り畳まれて収容された状態を示す斜視図である。
【図3】インフレーターの概観を示す斜視図である。
【図4】開封装置を拡大して示す断面図であり、(a)は副カートリッジが開封されていない状態を示し、(b)は副カートリッジが開封された状態を示している。
【符号の説明】
1 エアバッグ
2 インフレーター
3 縫着部
4 カートリッジ
4a 主カートリッジ
4b 副カートリッジ
5 開封装置
5a 主開封部
5b 副開封部
6 流出路
7 ホース
Claims (4)
- 着用者を保護する緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具であって、単体のエアバッグ(1)と、該エアバッグ(1)を膨張させるインフレーター(2)とを備え、該インフレーター(2)は高圧ガスが密封充填されたカートリッジ(4)と該カートリッジ(4)を開封する開封装置(5)を有し、該エアバッグ(1)は縫着部(3)を有し、該縫着部(3)の隙間は該エアバッグ(1)の膨張に伴って拡開し、該カートリッジ(4)から噴出される該高圧ガスの流出量より小さい流出量で該エアバッグ(1)の内部から外部へ逸出させることを特徴とする緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具。
- 該カートリッジ(4)は複数設置されており、該複数のカートリッジ(4a,4b)は順次開封される請求項1に記載の緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具。
- 該開封装置(5)は、該複数のカートリッジ(4a,4b)のうちの主カートリッジ(4a)に取り付けられる主開封部(5a)と、該主カートリッジ(4a)の開封後に開封される副カートリッジ(4b)に取り付けられる副開封部(5b)とを備え、該主開封部(5a)は該高圧ガスの流出路(6)を有し、該副開封部(5b)は該流出路(6)と連通し該高圧ガスの噴出圧を利用して該副カートリッジ(4b)を開封する請求項2に記載の緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具。
- 該インフレーター(2)は、該高圧ガスを透過させる素材からなるホース(7)内に該高圧ガスが噴出される側を開口させて装入され、該ホース(7)は該エアバッグ(1)の内部に延設されている請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の緊急用エアバッグ付緩衝胴衣具。
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