JP2004161800A - 2軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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啓 窪田
Yasuyuki Imanishi
康之 今西
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Abstract

【課題】安価で高い加工性を有するポリエチレンテレフタレートとポリイミドからなるフィルムの紫外線による劣化を抑制することにより、高い耐候性を有するフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも、ポリエステルとポリイミドを構成成分とするポリマーアロイ、および紫外線吸収剤から構成される2軸配向ポリエステルフィルムである。
【発明の効果】本発明は、ポリエステルとポリイミドからなるフィルムに紫外線吸収剤を含有するので、屋外使用時における劣化の少ない、高い耐候性を有するポリエステルフィルムを得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムの品質、特に屋外環境下での長期使用による劣化を防ぎ、耐候性を大幅に向上させた2軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
2軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および加工し易さなどから各種用途に使用されており、その有用性は周知であり、広く工業材料として用いられている。特に、工業材料の中でも、車、ビルなどの窓張り用、ガラスなどの飛散防止用、ビニールハウス天井用などの屋外で使用される用途では、紫外線に曝露された際に、強度低下などの劣化を起こす問題があり、フィルムには耐候性が求められる。
【0003】
この点において、ポリエステルフィルムそのものは十分な耐候性を有しているとはいえず、紫外線防止剤を含有させたり、フィルムに塗布し、耐候性を付与したものが知られている(特許文献1〜4)。
【0004】
しかし、今後、通信用ケーブル、送電線などの被覆材や、太陽電池用部材などにおいて、さらに長時間の耐候性が要求されるなか、上記耐候性ポリエステルフィルムでは、機材のポリエステルの耐候性不足に起因して、十分な耐候性を有しているとはいえない状況となってきた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−38868号公報
【0006】
【特許文献2】特開2001−246687号公報
【0007】
【特許文献3】特開2001−277418号公報
【0008】
【特許文献4】特開2002−120330号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、安価、優れた加工性などの特徴を有するポリエステルフィルムにおいて、屋外使用における耐候性をさらに向上させた、工業用フィルムとして好適な2軸配向ポリエステルフィルムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち、少なくとも、ポリエステルとポリイミドを構成成分とするポリマーアロイ、および紫外線吸収剤から構成される2軸配向ポリエステルフィルムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、2層以上の積層構成である場合には、これを構成するフィルム層の少なくとも1層が2軸に配向している必要がある。全ての層が無配向や一軸配向では本発明の特性を満足させることができない。
【0012】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステル(以下、ポリマー1という)とポリイミド(以下、ポリマー2という)を構成成分とするポリマーアロイおよび紫外線吸収剤から構成される。
【0013】
ここで、ポリマーアロイと紫外線吸収剤より2軸配向ポリエステルフィルムを構成する方法としては、(1)紫外線吸収剤をポリマーアロイ中に含有させる形でも良いし、(2)ポリマーアロイからなるフィルムにコーティングにより紫外線吸収層を形成させる形でもよい。
【0014】
我々は、鋭意検討の結果、ポリマー1とポリマー2、および、紫外線吸収剤を共存させた場合、飛躍的に耐候性が向上することを見出した。これは、ポリマー2による紫外線吸収と紫外線吸収剤の相乗効果であると考えられる。一方、ポリマー1のみである場合は、耐候性が低下し、本発明の効果は得られない。
【0015】
本発明でいうポリマーアロイとは、高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドであってもよい。ただし、ポリイミド粒子を外部添加した場合を除くものである。
【0016】
また、ポリエステルとポリイミドがポリマーアロイ全体の80重量%以上を占めることが好ましい。例えば、上記の場合では、ポリマー1とポリマー2の総量が本発明のフィルムの80重量%以上を占めることをいう。
【0017】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリマー1は、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分とジオール成分から構成されるポリマーである。
【0018】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を用いることができる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。なかでも好ましくは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を用いることができ、特に好ましくは、テレフタル酸を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0019】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコールを用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称する)およびポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(以下、「PEN」と称する)が特に好ましく例示される。
【0021】
中でも、ポリマー1として、PETを用いる場合、より安価にフィルムを製造でき、成形加工性に優れるフィルムを製造することができる。また、製膜破れも少なく、高い生産性が得られ、特に好ましい。これに対して、PENを用いる場合、PETの場合と比較して、高価となり、生産性、加工性に劣るものの、耐候性、耐熱性、強度などに優れたフィルムが得られやすい。
【0022】
本発明のポリエステルがエチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルである場合、ポリエステルは直重法およびDMT法のいずれによるものでもよいが、DMT法の時はエステル交換触媒として酢酸カルシウムを用いることが好ましい。また重合段階では、特に限定されないが、ゲルマニウム化合物を重合触媒として用いることが異物による粗大突起を低減させるため好ましい。ゲルマニウム触媒としては、公知のとおり、(1)無定形酸化ゲルマニウム、(2)5μm以下の結晶性酸化ゲルマニウム、(3)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、および、(4)酸化ゲルマニウムを水に溶解し、これにグリコールを加え水を留去して調整した酸化ゲルマニウムのグリコール溶液等が用いられる。
【0023】
また、ポリエステルには、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸等の多官能化合物、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸あるいはp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の量であればさらに共重合してもよい。
【0024】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリマー2は、ポリマー1と良好な親和性を有し、溶融成形性であるポリイミドである。なお、ここでいう良好な親和性(相溶性)を有するとは、例えば、ポリマー1とポリマー2からなるポリマーアロイを用い、未延伸または2軸延伸フィルムを作成し、該フィルム断面を透過型電子顕微鏡で3万〜50万倍の倍率で観察した場合、外部添加粒子などの添加物に起因しない直径200nm以上の構造(例えば、分散不良のポリマードメインなど)が観察されないことをいう。ただし、ポリマー1とポリマー2の親和性を判定する方法は特にこれに限定されるものではなく、また、必要に応じて、温度変調型DSC(MDSC)によって単一のガラス転移点が観察されることによって良好な親和性があると判定してもよい。
【0025】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリマー2は、PETよりも、ガラス転移温度(Tg)の高い耐熱性ポリイミドが好ましい。PETよりもTgが低い場合には、高い寸法安定性が得られにくい。
【0026】
本発明のポリマー2としては、溶融成形性であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
【0027】
【化1】
Figure 2004161800
【0028】
ただし、式中のRは、
【0029】
【化2】
Figure 2004161800
【0030】
【化3】
Figure 2004161800
【0031】
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表し、
また、式中のRは、
【0032】
【化4】
Figure 2004161800
【0033】
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表す。
【0034】
かかるポリイミドは、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミン、芳香族一級モノアミン、脂肪族一級ジアミンおよび芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得ることができる。
【0035】
ポリマー1との溶融成形性や取り扱い性、表面突起の形成性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
【0036】
【化5】
Figure 2004161800
【0037】
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基
【0038】
【化6】
Figure 2004161800
【0039】
を挙げることができる。(nは1〜5の整数を表す)
本発明では、ポリマー1との親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
【0040】
【化7】
Figure 2004161800
【0041】
または
【0042】
【化8】
Figure 2004161800
【0043】
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数を表す)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。
【0044】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーアロイには、分散径を制御するために、必要に応じて、相溶化剤を併用してもよい。この場合、相溶化剤の種類は、ポリマーの種類によって異なるが、添加量は0.01〜10重量%が好ましい。
【0045】
本発明において、ポリマー2をポリマー1に添加する時期は、ポリマー1の重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。また、溶融押出前に、ポリマー1とポリマー2を混合してペレタイズしてもよい。
【0046】
ペレタイズの際に、一旦、ポリマー2を高濃度(例えば、35〜65重量%、より好ましくは40〜60重量%)含有するポリマー1とポリマー2からなるマスターペレットを作成してから、さらにポリマー1で希釈して、所定の濃度に調整する方法を用いると、ポリマー同士の分散性が向上し、本発明のポリマーアロイとしてより好ましい分散状態を示す。
【0047】
また本発明のポリマーアロイをより好ましい分散状態に調整する他の方法としては、例えば、タンデム押出機を用いて混合する方法、粉砕器で熱可塑性樹脂を粉末状に粉砕した後に混合する方法、両者を溶媒に溶解し共沈させることにより混合する方法、一方を溶媒に溶かした溶液状とした後に他方に混合する方法なども挙げられるが、この限りではない。
【0048】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルム中のポリマー2の含有量は、ポリマーアロイ中の5〜50重量%の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、10〜30重量%である。一般的にポリマー1とポリマー2の溶融粘度は大きく異なるため、ポリマー2の含有量が下限値未満であると、押出機にて十分に微分散することが困難な場合があり、ポリマー2のドメインが粗大となることによって、紫外線吸収効果が低下する場合がある。さらに、フィルムの寸法安定性低下する場合がある。また、ポリマー2の含有量が上限値を超える量であると、押出成形加工や延伸加工を施すことが困難となり、フィルム破れや押出時の口金すじなどの製膜、加工上のトラブルの原因となる場合がある。また、ポリマー1とポリマー2および紫外線吸収剤の相乗効果が十分に得られず、紫外線吸収効果が低下する場合がある。
【0049】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有してなる。紫外線吸収剤はポリマー1とポリマー2からなるフィルム層に直接含有させても良いし、熱可塑性、熱硬化性あるいは活性線硬化型樹脂等の樹脂成分中に含有させて、有機溶剤溶液あるいは水分散体として、フィルムの少なくとも片面に塗布(コーティング)することによって紫外線遮蔽層を形成してもよい。
【0050】
本発明で用いる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、アミン系、シアノアクリレート系、サリチル酸エステル系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系、ベンゾエート系あるいは無機系の紫外線遮蔽剤等が好ましい。その中でも、ポリマー1とポリマー2のポリマーアロイの紫外線吸収効果との兼ね合いから、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0051】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、昇華、分解、ブリードアウトなどの製造上の問題が発生しにくい観点から、2(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが好ましく例示される。
【0052】
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系モノマー共重合アクリル樹脂で構成された紫外線吸収層を形成することが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収モノマー共重合アクリル樹脂とは、ベンゾトリアゾール系反応性モノマーとアクリル系モノマーおよび/またはオリゴマーとの共重合によって得られる樹脂であって、得られる共重合体は有機溶剤可溶のもの、あるいは水分散性のものなどいずれの形態であっても良い。
【0053】
ベンゾトリアゾール系モノマーとしては、基体骨格にベンゾトリアゾールを有し、かつ不飽和二重結合を有するモノマーであれば特に限定しないが、好ましいモノマーとしては2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H− ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H− ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0054】
また、これらのベンゾトリアゾール系モノマーと共重合されるアクリルモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基など)、および架橋性官能基を有するモノマー、例えば、カルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、またはメチロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などを有するモノマーを例示することができる。
【0055】
上記官能基を有するモノマーを例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、および上記アミノ基をメチロール化したもの、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレートなどを挙げることができるが、本発明では必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0056】
さらに、上記以外に、次のようなモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ブチルビニルエーテル、マレイン酸およびイタコン酸のモノあるいはジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニル基を有するアルコキシシラン、および不飽和結合を有するポリエステルなどを共重合成分としても良い。
【0057】
また、アクリレート骨格に、末端に官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(HALS:Hindered Amine Light Stabilizer)を共重合したハルスハイブリッドポリマーも好ましく例示される。官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤としては、旭電化(株)製アデカスタブLA−82、LA−87などの反応型、ヘキスト・ジャパン(株)製ホスタビンN−20、吉富ファインケミカル(株)製トミソープ77などのモノマータイプ、ビーエーエスエフ・ジャパン(株)製Uvinal5050Hなどのオリゴマータイプのものが好ましい。
【0058】
本発明のベンゾトリアゾール系モノマー共重合アクリル樹脂を得るにあたっては、上記アクリル系モノマーおよび/またはオリゴマーの1種あるいは2種以上を、ベンゾトリアゾール系モノマーと任意の比率で共重合させる。ベンゾトリアゾール系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合比は、ベンゾトリアゾール系モノマーの比率が10重量%以上80重量%以下、好ましくは20重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上50重量%以下であることが、耐候性、基材フィルムへの密着性および耐久性の点で好ましい。
【0059】
上記ベンゾトリアゾール系反応性モノマーとアクリル系モノマーおよび/またはオリゴマーとの共重合体は、例えば、ラジカル重合や紫外線照射による架橋などの方法によって得ることができ、製造方法は特に限定されるものではない。
【0060】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤を含有させる手法としては、前述の通り、ポリマー1とポリマー2からなるフィルム層に含有させても良いし、コーティングによって紫外線吸収層を被覆してもよい。
【0061】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤をフィルム層に含有させる場合、押出機において、フィルムを形成するポリマー原料と共に紫外線吸収剤を直接練り込み、押出によってフィルムを形成しても良いし、あらかじめ、ポリマー1またはポリマー2または、ポリマー1とポリマー2のブレンド原料に紫外線吸収剤を所定の割合で練り込んだ原料を作成しておき、それらの原料を押出機に投入して押し出し、フィルムを作成しても良い。
【0062】
この場合、フィルムは単層であってもよいし、積層構成とし、積層部または基層部のみを紫外線吸収剤含有層としてもよいし、あるいは、紫外線吸収剤の含有量の異なる基層部、積層部の積層構成としてもよい。例えば、基層部を紫外線吸収剤含有層とし、基層部の両側に紫外線吸収剤を含有しない積層部を設けることによって、高い耐候性を有しつつ、紫外線含有剤の表面へのブリードアウトを抑制することもできる。なお、ここでいう基層部とは、一般的にフィルム中で最も厚みの厚い層であり、主に強度、寸法安定性の保持などの機能を負担する層である。また、ここでいう積層部とは、基層部よりもフィルム層の厚みが薄い層であり、比較的粗い表面とすることで、フィルムの搬送性や、巻き特性を良化させることができる。
【0063】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤をフィルム層に含有させる場合、紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤を含有するフィルム層を構成するポリマーの0.01重量%〜10重量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01重量%より少ないと耐候性が不足する場合があり、10重量%を超えると、紫外線吸収剤の昇華、ブリードアウトなどによる問題が生じたり、フィルム強度が低下したりする。
【0064】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤をフィルム層に含有させる場合、紫外線吸収剤を含有させるフィルム層の厚みは、耐候性の観点から、全フィルム厚みの1/2以上であることが好ましい。
【0065】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤をフィルム層に含有させる場合、特に好ましい紫外線吸収剤はトリアジン系紫外線吸収剤である。
【0066】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤を含有する層をコーティングによって設ける場合、紫外線吸収剤を含む樹脂は有機溶剤溶液あるいは水分散体として、基材フィルムである熱可塑性フィルムの上に塗布され、紫外線吸収層が形成される。紫外線吸収層形成時、特に紫外線による架橋の場合は光エネルギーが小さいため、光エネルギーの変換や開始の助長のため、光重合開始剤および/または増感剤が添加されることが好ましい。
【0067】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤を含有する層をコーティングによって設ける場合、特に好ましい紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。
【0068】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤を含有する層をコーティングによって設ける場合、、紫外線吸収層を形成するための塗布方法としては、例えば、グラビアロールコート、リバースロールコート、ダイコート、メタリングバーコートなどの塗布方法を用いることができる。紫外線吸収樹脂の有機溶剤溶液あるいは水分散体は、塗工性や塗布外観などを考慮し、適宜有機溶剤あるいは水で希釈して使用してもよい。
【0069】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤を含有する層をコーティングによって設ける場合、紫外線吸収層の厚みは、耐候性、可撓性等の点で、通常0.5〜10μmの範囲、好ましくは0.7〜7μm、さらに好ましくは1〜5μmであることが望ましい。
【0070】
本発明において、基材の熱可塑性フィルムと紫外線吸収層との接着性を向上させる目的で、熱可塑性フィルム表面に各種放電処理、酸化処理、粗面化処理、アンカーコート処理などを施すことができる。
【0071】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、防汚性の観点から、紫外線吸収剤を含有する層の上に、低汚染層を有してもよい。低汚染層としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系骨格を有する樹脂に、コロイダルシリカなどの無機微粒子を複合したものが挙げられる。
【0072】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、本発明を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよい。
【0073】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムには、特に限定されないが、フィルムの製膜・加工工程における搬送性や巻き特性を良化させるなどの目的、あるいは、フィルム中にボイドを発生させ、フィルムの反射率や白色度を高める目的で、不活性粒子を含有させてもよい。なお、本発明で言う不活性粒子とは、平均粒径1nm〜5μm程度の無機または有機の粒子で、本発明のポリマー中で化学反応を起こしたり、電磁気的影響によりフィルム特性に悪影響を与えないものを言う。不活性粒子としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)や、界面活性剤などがある。フィルムに含有させる不活性粒子は1種類でも良いが、2種類以上併用しても構わない。
【0074】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに含有させる不活性粒子の平均粒径や含有量はフィルム用途や積層構成によって大きく異なるが、例えば、工業材料用途として用いる場合、不活性粒子の平均粒径は0.5〜5μmであることが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。不活性粒子の含有量は、フィルムの重量に対して、0.005〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0075】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は、フィルムの使用目的によって大きく異なるが、長手方向と幅方向のヤング率はそれぞれ、フィルムの加工性や伸び変形などの観点から、4〜8GPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは4.5〜6GPaである。
【0076】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮率は、フィルムの使用用途によって大きく異なるが、長手方向の温度120℃、30分における熱収縮率は、加工時の寸法安定性や保存性の観点から、0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3%以下である。幅方向の温度120℃、30分における熱収縮率は、テープの保存性および磁気テープ加工時の安定性の観点から、0.3%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1%以下である。
【0077】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移開始温度(Tg)は、特に限定されないが、フィルムの耐熱性と製膜性の観点から、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜130℃の範囲内である。
【0078】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーアロイの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や熱可塑性樹脂との混合性の観点から、0.55〜3.0(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.60〜2.0(dl/g)である。また、製膜後のフィルムの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や寸法安定性などの観点から、0.50〜2.0(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.55〜1.0(dl/g)である。
【0079】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、ビルや車の窓貼り用、ガラスなどの飛散防止用、各種機器や資材などのカバー、ラベル、ビニールハウス天井、太陽電池部材、道路標識、通信ケーブルの被覆用、ICカード、回路基盤の製造工程での補強用などに用いられる。中でも、屋外使用や蛍光灯の紫外線下で長時間使用される用途に適したものである。
【0080】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常10〜200μmのものが用いられる。
【0081】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
【0082】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの製造方法は、ポリマー1とポリマー2のポリマーアロイ、および、必要に応じて紫外線吸収剤を押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状に成形することが好ましい。その際、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマーアロイ中の未溶融物を除去する手法として好ましく例示される。
【0083】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは該シート状成型物を長手方向と幅方向の2軸に延伸した後、熱処理することにより製造される。この際、長手方向、および、幅方向の延伸は1段階ずつで行っても良いが、フィルムの使用用途に応じて、2段階以上に分けて延伸しても良い。
【0084】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて、さらに、再縦、再横延伸を行ってもよい。
【0085】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、2〜8倍が好ましく、より好ましくは3〜6倍である。長手方向の総延伸倍率が2倍より小さな場合は、長手方向の配向が低下し、耐熱性が低下したり、厚み斑が悪化することがある。長手方向の総延伸倍率が8倍より大きな場合には、フィルム破れが増加して、生産性が低下したりする。
【0086】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、2〜8倍が好ましく、より好ましくは3〜6倍である。幅方向の総延伸倍率が2倍より小さな場合は、幅方向の配向が低下し、耐熱性が低下したり、厚み斑が悪化することがある。幅方向の総延伸倍率が8倍以上である場合、フィルム破れによって生産性が低下することがある。
【0087】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸温度は、特に限定されないが、ポリマー(積層構成の場合、基層部のポリマー)のガラス転移温度Tg〜Tg+50℃の範囲で行う場合、延伸性が良好となるため好ましい。
【0088】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸温度は、特に限定されないが、ポリマー(積層構成の場合、基層部のポリマー)のTg〜Tg+50℃の範囲が好ましい。
【0089】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸速度は、特に限定されないが、5000〜20万%/分の範囲が好ましい。
【0090】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸速度は、特に限定されないが、1000〜10000%/分の範囲が好ましい。
【0091】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理温度は、160℃〜260℃の範囲が好ましく、より好ましくは、210℃〜240℃である。
【0092】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理時間は、0.5〜10秒の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8秒である。
【0093】
本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
【0094】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する際、必要に応じて、水溶性または水分散性樹脂からなる易接着層を塗布してもよい。易接着層を塗布する方法は特に限定されず、未延伸、1軸延伸、2軸延伸のいずれの状態で塗布しても構わない。しかし、逐次2軸延伸の場合、幅方向延伸後のフィルムは広幅であり、均一に塗布することが難しく、またさらに乾燥装置が必要であり生産性が劣るなどの点から、長手方向延伸後に塗布した後に幅方向に延伸する方式が好ましい。また、同時2軸延伸の場合は、同様の理由で、未延伸フィルムに塗布した後に同時2軸延伸する方式が好ましい。
【0095】
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを製造する際、2軸延伸および熱処理の後に、紫外線吸収剤を含有する樹脂の水あるは有機溶剤分散体として、フィルム上にを塗布し、熱風乾燥機などで乾燥し、紫外線吸収層を形成してもよい。
【0096】
以下、本発明の2軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の例について説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリマー1としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリマー2として、ポリエーテルイミド(以下「PEI」と略することがある)“ウルテム”を用い、紫外線吸収剤として、2(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを用いたフィルムの例を示す。また、製造条件は、用いるポリマー1およびポリマー2、または積層構成によって異なる。
【0097】
まず、ポリエステルの製造方法をポリエチレンテレフタレートを例にして説明する。本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
【0098】
また、フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0099】
次に、該PETのペレットに2(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを20重量%添加し、紫外線吸収剤含有のPETのペレットを作成する。
【0100】
次に、該PETのペレットとPEIのペレットを、所定の割合で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、溶融押出し、PEI含有のPETのペレットを作成する。このときの滞留時間は30〜600秒が好ましく、より好ましくは60〜300秒である。さらに、上記条件にて両者が相溶しない場合は、得られたチップを再び2軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。
【0101】
このようにして得られた、PETペレット、紫外線含有PETペレット、および、PEI含有のPETペレットを、180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で、280〜320℃に加熱された押出機に所定の割合で供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
【0102】
次に、この未延伸フィルムを2軸延伸し、2軸配向させる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次2軸延伸法を用いる。延伸温度は、例えば、PETとPEIの混合重量比が90:10である場合を例にとって説明する。未延伸フィルムを70〜130℃の加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜8倍に1段もしくは多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。長手方向の延伸速度は5000〜200000%/分の範囲で行うのが好ましい。続いて、幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。幅方向の延伸倍率は2〜8倍、延伸速度は1000〜10000%/分、温度は90〜120℃の範囲で行うのが好ましい。続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。この場合の熱処理温度は、160℃〜260℃で、時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。
【0103】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0104】
(1)耐候性
紫外線劣化促進試験機(アイスーパーUVテスター SUV−W131:岩崎電気(株)製)を用いて、下記の条件で照射サイクルテストを行ない、フィルムの伸度保持率を評価した。ライト8時間(UV照度:100mW/cm、温湿度:60℃×50%RH)→デュー4時間(温湿度:35℃×100%RH結露)の12時間で照射サイクル1サイクル(積算紫外線量0.5年相当)とし、5サイクル照射後およびの10サイクル照射後サンプルを採取した。
【0105】
JIS−C−2318に従って、紫外線照射なし、5サイクル照射後、10サイクル照射後のサンプルの引張伸びを測定し、E、E、E10とした。下記の式に従って、それぞれ5サイクル照射後、10サイクル照射後の伸度保持率(%)とした。
【0106】
伸度保持率(5サイクル照射後) = E/E (%)
伸度保持率(10サイクル照射後) = E/E10 (%)
ポリマー1としてPETを用いたフィルム(実施例1〜5および比較例1〜4)に関しては、以下の判断基準で耐候性を評価した。
【0107】
5サイクル照射後の伸度保持率が80%を超え、10サイクル照射後の伸度保持率が70%を超えるものを耐候性が良好(○)と判断し、5サイクル照射後の伸度保持率が80%に満たないか、10サイクル照射後の伸度保持率が70%に満たないものを耐候性が不良(×)と判断した。
【0108】
ポリマー1としてPENを用いたフィルム(実施例6および比較例5)に関しては、実施例6と比較例5の10サイクル照射後の伸度保持率を相対比較して、耐候性の優劣を評価した。
【0109】
(2)ヤング率(強度)
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
【0110】
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(3)120℃熱収縮率(寸法安定性)
JIS C2318に従って、測定した。
【0111】
試料サイズ:幅10mm、標線間隔200mm
測定条件:温度120℃、処理時間30分、無荷重状態
熱収縮率を次式より求めた。
【0112】
熱収縮率(%)=[(L−L)/L]×100
:加熱処理前の標線間隔
L:加熱処理後の標線間隔
(4)不活性粒子の平均粒径
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の重量平均を不活性粒子の平均粒径dとした。
【0113】
フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2種類以上のピークを有する分布となるため、そのそれぞれについて、別個に平均粒径を算出する。
【0114】
(5)ポリエステル、ポリイミド、不活性粒子の含有量
ポリエステルとポリイミドとの両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、H核のNMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定する。適切な溶媒は、ポリマーの種類によって異なるが、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/重クロロホルムが用いられる。得られたスペクトルにおいて、ポリエステル、ポリイミドに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、PEIであればビスフェノールAの芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりポリエステルとポリイミドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
【0115】
装置 :BRUKER DRX−500(ブルカー社)
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(テトラメチルシラン)(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。これと、不活性粒子含有量よりPEI比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。
【0116】
また、不活性粒子の含有量については、ポリエステル、ポリイミドは溶解するが不活性粒子は溶解させない溶媒を選んで、ポリエステル、ポリイミドを溶解し、不活性粒子を遠心分離して重量百分率を求めた。
【0117】
(6)積層厚さ
透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO染色)で観察する。その界面の観察結果から、各層の厚さを求める。倍率は、判定したい積層厚さによって適切な倍率を選ぶが、1万〜10万倍が適当である。
【0118】
また、2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定することもできる表層から深さ3000nmの範囲のフィルム中の不活性粒子の内もっとも高濃度の粒子(あるいはPEI)に起因する元素と、ポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を、表面から深さ3000nmまで厚さ方向にSIMSで分析する。表層では不活性粒子(あるいはPEI)に起因する元素濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて不活性粒子(あるいはPEI)に起因する元素濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は一旦極大値となった不活性粒子(あるいはPEI)に起因する元素濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線において、不活性粒子(あるいはPEI)に起因する元素濃度が極大値の1/2まで減少した深さを積層厚さとする。条件は次の通りである。
【0119】
i)測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000
ii)測定条件
1次イオン種 :O
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流 :200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :5.0×10−9Torr
E−GUN :0.5KV−3.0A
なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有する不活性粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めることもできる。
【0120】
(7)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算する。
【0121】
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0122】
(8)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121に従って決定した。
【0123】
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
【0124】
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
【0125】
【実施例】
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPEN、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
【0126】
実施例1
テレフタル酸ジメチル194重量部とエチレングリコール124重量部に、酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチル0.05重量部のエチレングリコール溶液、および三酸化アンチモン0.05重量部を加えて5分間撹拌した後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)のペレット(ペレット1)を得た。ペレット1のTgは80℃であった。
【0127】
上記の方法より得られたPETペレット1に紫外線吸収剤(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを20重量%添加し、紫外線吸収剤含有PET(ペレット2)を作成した。
【0128】
また、上記の方法より得られたペレット1を50重量%とGeneral Electric(GE)社製の固有粘度0.68のポリエーテルイミド“ウルテム”1010(Tg216℃)50重量%を、290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に供給して、PEIを50重量%含有したPET/PEIブレンドチップ(ペレット3)を作成した。
【0129】
次いで、押出機1台を用い、製膜を行った。295℃に加熱された押出機に、上記の実質的に不活性粒子を含有しないPETペレット(ペレット1)69重量部と、上記の紫外線吸収剤含有PETペレット(ペレット2)5重量部と、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子を2重量%含有する固有粘度0.62のPETペレット(ペレット4)6重量部と、上記PET/PEIペレット(ペレット3)20重量部の混合原料(原料1)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給した。
【0130】
次いで、原料1をサンドフィルター、繊維焼結ステンレス金属フィルターの順に濾過した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。
【0131】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度75℃から105℃で3.3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度115℃で4.0倍延伸した。その後、定長下で温度235℃で5秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は4.5(GPa)/5.5(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.3(%)/0.05(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は100℃であった。
【0132】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、優れた耐候性を有していた。なお、このポリエステルフィルムは、紫外線劣化促進試験の照射サイクルを20サイクル行った場合の、伸度保持率も75%と非常に長期の耐候性にも優れていた。
【0133】
実施例2
押出機1台を用い、押出機に供給する原料を、実質的に不活性粒子を含有しないPETペレット(ペレット1)34重量部と、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子を2重量%含有する固有粘度0.62のPETペレット(ペレット4)6重量部と、PET/PEIペレット(ペレット3)60重量部の混合原料(原料2)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、未延伸フィルムを作成した。
【0134】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度75℃から125℃で3.3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度135℃で4.0倍延伸した。その後、定長下で温度235℃で5秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約50μmのポリエステルフィルムを得た。
【0135】
このようにして得られたポリエステルフィルムの片面に、下記の塗料組成物(1)を、塗布後の厚みが2μmとなるように固形分濃度20%の溶液を#6メタリングバーで塗布し、120℃で1分間乾燥し、さらに、下記の塗料組成物(2)を硬化後の厚みが4μmとなるように固形分濃度25%の溶液を#10メタリングバーで塗布し、80℃の熱風乾燥機で溶媒を乾燥した後、コンベア式高圧水銀ランプ(アイグラフィック社製)で紫外線光量300mJ/cmを照射し、硬化させ、紫外線吸収層コートのポリエステルフィルムを作成した。
【0136】
このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は4.2(GPa)/5.1(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.2(%)/0(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は125℃であった。
【0137】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、優れた耐候性を有していた。
塗料組成物(1)
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル−2H−ベンゾトリアゾール(30wt%)共重合メチルメタクリレート 95部
変性飽和ポリエステル樹脂 4部
メチル化メラミン樹脂 1部
トルエン/メチルエチルケトン=1:1 400部
塗料組成物(2)
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール 20部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 68部
ポリエステルアクリルオリゴマー 8部
2−ヒドロキシプロピルアクリレート 4部
イルガキュアー183(チバガイギー社製) 4部
トルエン/メチルエチルケトン=1:1 312部
実施例3
押出機2台を用い、製膜を行った。押出機A(基層部用)には、実質的に不活性粒子を含有しないPETペレット(ペレット1)59.9重量部と、紫外線吸収剤含有PETペレット(ペレット2)0.1重量部と、PET/PEIペレット(ペレット3)40重量部と、の混合原料(原料3)を供給し、押出機B(積層部用)には、実質的に不活性粒子を含有しないPETペレット(ペレット1)54重量部と、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子を2重量%含有するPETペレット(ペレット4)6重量部と、PET/PEIペレット(ペレット3)40重量部の混合原料(原料4)を供給した。原料3、原料4をそれぞれ、サンドフィルター、繊維焼結ステンレス金属フィルターの順に濾過した後、Tダイ中で合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、3層積層未延伸フィルム(積層厚み比:原料4/原料3/原料4=2/21/2)を作成した。
【0138】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度10000%/分、温度75℃から115℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度2000%/分、温度125℃で4.4倍延伸した。その後、定長下で温度225℃で8秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。
【0139】
さらに、表1のように、塗料組成物(1)を2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル−2H−ベンゾトリアゾール(50wt%)共重合メチルメタクリレートに変更する以外は、実施例2と同様にして、紫外線吸収層コートのポリエステルフィルムを作成した。
【0140】
このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は4.8(GPa)/5.7(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.3(%)/0.1(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は115℃であった。
【0141】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、優れた耐候性を有していた。
【0142】
実施例4
表1のように、PET/PEIの含有量比を95:5に変更する以外は、実施例1と全く同様にして、未延伸フィルムを作成した。
【0143】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度75℃から95℃で3.3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度105℃で4.0倍延伸した。その後、定長下で温度225℃で6秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は4.8(GPa)/5.8(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.5(%)/0.2(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は95℃であった。
【0144】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、優れた耐候性を有していた。
【0145】
実施例5
PET/PEIのブレンドチップとして、ペレット3のかわりに、PEI含有量70重量%のペレット(ペレット5)を用い、表1のように、押出機(310℃に加熱)に投入する混合原料のPET/PEI含有量比を45:55とした以外は、実施例1と全く同様にして、未延伸フィルムを作成した。
【0146】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度95℃から145℃で3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度155℃で3倍延伸した。その後、定長下で温度225℃で6秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は3.5(GPa)/3.8(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.1(%)/0(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は155℃であった。
【0147】
このポリエステルフィルムは、強度の点では劣るものであったが、表1に示したとおり、優れた耐候性を有していた。
【0148】
比較例1
表1のように、押出機に供給する原料として、PEIを含有させなかった以外は、実施例1と全く同様にして、未延伸フィルムを作成した。
【0149】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度75℃から95℃で3.3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度100℃で4.0倍延伸した。その後、定長下で温度235℃で5秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は5(GPa)/5.8(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.6(%)/0.2(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は88℃であった。
【0150】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、耐候性が劣るものであった。なお、このポリエステルフィルムは、紫外線劣化促進試験の照射サイクルを20サイクル行った場合、伸度保持率が55%にまで低下しており、長期耐候性の点でも、実施例1に劣るものであった。
【0151】
比較例2
表1のように、押出機に供給する原料として、PEIを含有させなかった以外は、実施例2と全く同様にして、未延伸フィルムを作成した。
【0152】
この未延伸フィルムを比較例1と全く同様にして、2軸延伸し、厚さ約50μmのポリエステルフィルムを得た。その後、実施例2と全く同様にして、塗料組成物(1)、塗料組成物(2)を塗布し、紫外線吸収層コートのポリエステルフィルムを作成した。このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は5(GPa)/5.8(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.6(%)/0.2(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は88℃であった。
【0153】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、耐候性が劣るものであった。
【0154】
比較例3
表1のように、紫外線吸収剤を含有しないこと以外は、実施例1と全く同様にして、未延伸フィルムの作成および2軸延伸を行い、厚さ約25μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムの、ヤング率、熱収縮率、ガラス転移点などは実施例1のフィルムと全く同等であった。
【0155】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、耐候性が劣るものであった。
【0156】
比較例4
表1のように、また、PEIを含有させなかった以外は、実施例2と全く同様にして、未延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0157】
この未延伸フィルムを、比較例1と全く同様にして、2軸延伸し、厚さ約50μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は5.1(GPa)/5.8(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.6(%)/0.2(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は87℃であった。実施例2のような紫外線吸収剤含有のコーティング層を設けなかった。
【0158】
このポリエステルフィルムは、表1に示したとおり、耐候性が劣るものであった。
【0159】
【表1】
Figure 2004161800
【0160】
実施例6
表2のように、押出機に投入する原料を、PENとPEI(PEN/PEI重量比を80:20とした)に変更して、実施例2と同様にして、未延伸フィルムを作成した。なお、粒子種や、粒子含有量は実施例2と同様にした。
【0161】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20000%/分、温度85℃から140℃で4.0倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度3000%/分、温度145℃で4.5倍延伸した。その後、定長下で温度235℃で5秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ約50μmのポリエステルフィルムを得た。
【0162】
このようにして得られたポリエステルフィルムの片面に、実施例2と同様にして、紫外線吸収層を設け、紫外線吸収層コートのポリエステルフィルムを作成した。
【0163】
このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は6.0(GPa)/7.0(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.05(%)/0(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は140℃であった。
【0164】
このポリエステルフィルムは、表2に示したとおり、優れた耐候性を有していた。ただし、実施例2と比較して、製膜中のフィルム破れが多く、加工性は劣るものであった。
【0165】
比較例5
表2のように、押出機に投入する原料を、PENのみとした以外は実施例6と全く同様にして、紫外線吸収層コートのポリエステルフィルムを作成した。
【0166】
このフィルムのヤング率(長手方向/幅方向)は6.2(GPa)/7.1(GPa)、120℃熱収縮率(長手方向/幅方向)は0.1(%)/0(%)であった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
【0167】
このポリエステルフィルムは、表2に示したとおり、実施例6のフィルムと比較して、耐候性が劣るものであった。また、実施例2と比較して、製膜中のフィルム破れが多く、加工性も劣っていた。
【0168】
【表2】
Figure 2004161800
【0169】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステルとポリイミドからなるフィルムに紫外線吸収剤を含有するので、安価で加工性が高く、かつ、屋外使用時における劣化の少ない、高い耐候性を有するポリエステルフィルムを得ることができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも、ポリエステルとポリイミドを構成成分とするポリマーアロイ、および紫外線吸収剤から構成される2軸配向ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルがエチレンテレフタレートを主成分とする請求項1記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  3. ポリマーアロイ中に紫外線吸収剤を含有する請求項1に記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 少なくとも片面に紫外線吸収剤層を形成してなる請求項1に記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  5. フィルム中にポリイミドが5〜50重量%含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
  6. ポリイミドがポリエーテルイミドである請求項1〜5のいずれかに記載の2軸配向ポリエステルフィルム。
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