JP2004161514A - 水素発生装置 - Google Patents

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Yasushi Goto
靖志 五藤
Kazuhiro Fukada
和宏 深田
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Abstract

【課題】余分なエネルギー投入を排除し、エネルギー効率に優れた水素発生装置及び水素発生方法を提供すること。
【解決手段】芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体31を金属担持触媒10と接触させて、水素33を発生させる水素発生装置1であって、水素供給体31を収納する水素供給体貯蔵手段2、金属担持触媒10を水素供給体31に対して接触可能に有すると共に、金属担持触媒10を加熱可能な加熱手段11を有する反応装置3、及び、反応装置3から発生した生成物32を水素33と液体成分34とに分離する気液分離手段4、を有し、生成物32と水素供給体31との熱交換を行うことができるように構成されてなることを特徴とする水素発生装置、及びこれを用いた水素発生方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素発生装置に関し、特に、燃料電池に水素を供給するに好適な水素発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、世界のエネルギー消費は一貫して増加しており、エネルギー利用に伴って排出される有害物質が、地球規模での環境破壊の一因となっている。このような背景から、燃料電池への関心が高まっている。燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させて水と共に電気エネルギーを発生することから、地球温暖化や大気汚染の防止に貢献できるものと考えられている。
【0003】
燃料電池において必要とされる水素の貯蔵・供給技術について種々の検討がなされており、例えば、(i)液化水素タンク等に水素を貯蔵し、必要に応じて液化水素を気化させて水素を供給する方法、(ii)メタノール,液化天然ガス,ガソリン等の液体燃料を水素前駆体として貯蔵し、改質によって水素ガスを供給する方法が知られている。
上記(i),(ii)の方法によれば、水素又は水素前駆体が液体で貯蔵されることから、気体で貯蔵される場合と比較して、貯蔵容量に対する水素ガスの供給量が大きいという利点を有する。しかし、上記(i)の方法では、水素を圧縮して液化水素とするために、さらには、液化水素を維持するために、多大なエネルギーが必要である。一方、上記(ii)の方法では、液体燃料を改質して得られる水素ガス中に、通常、一酸化炭素や二酸化炭素等のガスが副生成物として含有している。
【0004】
上記問題を解決するために、芳香族化合物の水素付加・脱水素化を利用した水素貯蔵・供給システムが提案されている(従来例1;例えば特許文献1〜4参照)。このシステムは、芳香族化合物に水素付加することにより水素化誘導体として貯蔵し、そして、必要時に、この水素化誘導体を脱水素反応させて、水素を取り出すようにしたものである。
上記従来例1のシステムによれば、芳香族化合物及びその水素化誘導体は、常温で液体であることから、貯蔵に要するエネルギーが非常に少なく、また、脱水素反応生成物中に含まれる“芳香族化合物及びその水素化誘導体”と“水素”との分離を確実にかつ容易に実施することができ、しかも、水素ガスに他のガスが副生成物として含有される可能性が極めて低い、という利点を有している。
【0005】
上記水素化誘導体の脱水素反応は、水素化誘導体含む原料液を、加熱された金属担持触媒と接触させることによって行われる。ここで、原料液と触媒との接触部分では、上記脱水素反応による吸熱以外に、原料液を沸点まで上昇させるための熱や原料液の気化熱が奪われるので、原料液と触媒の温度が低下して反応効率を損なう恐れがあるとされている。この温度低下を防止するための方法として反応前の原料液を予備加熱することが提案されている(特許文献3参照。)。
【0006】
一方、上記生成物中の“芳香族化合物及びその水素化誘導体”と“水素”との分離は、冷却水等の冷媒が流通されてなる気液分離装置によって行われる。冷媒により回収された熱は通常廃棄されており、さらには冷却のためにチラー等の冷却装置が用いられている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−198469号公報
【特許文献2】
特開2002−134141号公報
【特許文献3】
特開2002−184436号公報
【特許文献4】
特開2002−187702号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記水素貯蔵・供給システムでは、上記のように触媒を加熱する以外にも外部から多くのエネルギーが投入されており、投入したエネルギーに対する水素発生量が小さいという問題があった。
従って、本発明は上記問題点を鑑み成されたものであって、その目的とするところは、余分なエネルギー投入を排除し、エネルギー効率に優れた水素発生装置及び水素発生方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明の水素発生装置は、
芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体を金属担持触媒と接触させて、水素を発生させる水素発生装置であって、
前記水素供給体を収納する水素供給体貯蔵手段、前記金属担持触媒を前記水素供給体に対して接触可能に有すると共に、前記金属担持触媒を加熱可能な加熱手段を有する反応装置、及び、前記反応装置から発生した生成物を水素と液体成分とに分離する気液分離手段、を有し、
前記生成物と前記水素供給体との熱交換を行うことができるように構成されてなることを特徴とする(請求項1)。
上記構成によれば、気液分離するための冷却装置を有することなく、生成物の気液分離を達成できる。それと共に、脱水素反応前に水素供給体を予備加熱するための手段を有することなく、水素供給体に対して、反応をより効率よく実施できる温度に達するためのエネルギーの一部を付与できる。従って、装置への余分なエネルギーの投入を排除でき、エネルギー効率に優れた水素発生装置とすることができる。
【0010】
また、本発明の水素発生装置は、前記熱交換が、前記気液分離手段において水素供給体を流通させることにより行われるように構成されてなることを特徴とする(請求項2)。
上記構成によれば、前記水素供給体貯蔵手段と前記気液分離手段とを別々に設けることが可能となる。
【0011】
また、本発明の水素発生装置は、前記熱交換が、前記水素供給体貯蔵手段において生成物を流通させることにより行われるように構成されてなることを特徴とする(請求項3)。
上記構成によれば、前記水素供給体貯蔵手段に収納されている水素供給体を加熱することが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の水素発生装置は、前記水素供給体貯蔵手段に収納された水素供給体を前記反応装置に供給する水素供給体供給手段を有することを特徴とする(請求項4)。
本発明の水素発生装置は、上記水素供給体供給手段を有することにより、“反応装置3に対する水素供給体の接触状態”、“水素供給体の供給量”及び“水素供給体を間欠的に供給する際の噴射間隔”等の芳香族の水素化誘導体の脱水素反応に係る諸条件を、より確実に所望のものとでき、水素発生量及び発生効率をより高精度で制御できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の水素発生装置は、前記したとおり、「芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体を金属担持触媒と接触させて、水素を発生させる水素発生装置」を前提とする。ここで、“水素の発生”は、芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体を金属担持触媒と接触させることによって、すなわち、水素化誘導体の脱水素反応によって行われるものである。
本発明において、“水素供給体”とは、「芳香族化合物の水素化誘導体のみからなるもの、及び、芳香族化合物の水素化誘導体と他の化合物(代表的なものとして、前記水素化誘導体が脱水素反応されてなる芳香族化合物)との混合物」を意味する。
【0014】
以下、本発明の水素発生装置の実施形態について、図1(本発明の水素発生装置の第一実施形態を示す模式図)に基づいて説明する。
水素発生装置1は、図1に示すように、水素供給体31を収納する水素供給体貯蔵装置2,金属担持触媒10が水素供給体31に対して接触可能に設けられた反応装置3,反応装置3から発生した生成物32を水素33と液体成分34とに分離する気液分離装置4を有している。
【0015】
上記反応装置3は、容器状に形成されており、その内壁には、加熱部11を介して金属担持触媒10が層状に設けられている。加熱部11は、金属担持触媒10を所望の温度とするためのものであり、公知の加熱手段を任意に適用することができる。
【0016】
金属担持触媒10に用いられる金属成分としては、前記水素供給体(芳香族化合物の水素化誘導体)31の脱水素反応を生じさせるものであればどのようなものでもよく、例えば、金属成分として、ニッケル,パラジウム,白金,ロジウム,イリジウム,ルテニウム,モリブデン,レニウム,タングステン,バナジウム,オスミニウム,クロム,コバルト,鉄等を用いることができる。中でも、脱水素反応に対する活性の高さから、白金族の金属(白金,パラジウム,ロジウム,ルテニウム)を用いることがより好ましい。また、前掲の特許文献1(特開2001−198469号公報)に記載の複合金属系触媒を使用することもできる。
【0017】
上記金属担持触媒10に用いられる担体としては、公知の担体を用いることができ、例えば、活性炭,カーボンナノチューブ,モレキュラシーブ,ゼオライト等の多孔質担体、シリカゲル,アルミナ等を用いることができる。
【0018】
なお、金属担持触媒10の形状としては、どのようなものでも良く、顆粒状または前掲の特許文献3(特開2002−184436号公報)に記載のハニカム形状,格子状,渦巻き状等、いずれの形状のものを用いることができる。
【0019】
反応装置3の上方には配管26が接続されており、配管26の他端に気液分離装置4が接続されている。気液分離装置4は生成物32から水素33と液体成分34とに分離できるように構成されている。
【0020】
水素供給体貯蔵装置2は、原料貯蔵部7,回収液貯蔵部8を有しており、原料貯蔵部7とポンプ12とは、配管21によって接続されている。また、回収液貯蔵部8は気液分離装置4に対して配管27により接続されており、液体成分34が回収液貯蔵部8に導入するように構成されている。
【0021】
さらに、水素供給体供給部5が水素供給体貯蔵装置2と反応装置3との間に介在している。水素供給体供給部5は、水素供給体貯蔵装置2から反応装置3へ送液するポンプ12と、このポンプ12から送られた水素供給体31を反応装置3内の金属担持触媒10に向けて噴射する噴射ノズル13を備える。
ここで、噴射ノズル13は、その噴射口(図示せず)が反応装置3に設けられた金属担持触媒10に向くように、配置されている。(なお、噴射ノズル13としては、スプレー式、シャワー式,滴下式等公知のものを使用することができ、複数のノズルを有してもよい。)
また、水素供給体供給部5は、ポンプ12と噴射ノズル13とが配管24により接続されている。
【0022】
ところで、本発明の水素発生装置は、前記したように『生成物と水素供給体との熱交換を行うことができるように構成されてなる』ことを特徴とするが、その実施形態としては、図1に示す水素発生装置1において以下に詳述するようになっている。
【0023】
すなわち、水素発生装置1は、気液分離装置4において、脱水素反応により得られた生成物32に対して水素供給体31を流通させることにより、生成物32と水素供給体31との熱交換が直接行われるように構成されている。具体的には、ポンプ12と噴射ノズル13とを接続する配管24が気液分離装置4内部を流通できるようになっている。
気液分離装置4内部における配管24の形状は、熱交換が可能であればどのようなものでもよく、直線状、らせん状、多層状、球状等いずれも使用できる。熱交換をできるだけ効率よく行うためには、らせん状、多層状であることが好ましい。
【0024】
また、本発明の水素発生装置は、図2に示す第二実施形態に係る水素発生装置41でもよい。なお、以下に説明する第二実施形態において、既に図1で説明した部材などについては図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を省略又は簡略化する。
すなわち、図2に示すように、水素供給体31に対して脱水素反応により得られた生成物32を流通させることにより熱交換が行われるように構成されている。具体的には、反応装置3から上方に接続された配管56が、気液分離装置14として原料貯蔵部17の内部を流通できるようになっている。
【0025】
なお、水素発生装置1及び41では、水素供給体貯蔵装置2から反応装置3への送液をするポンプ12と、ポンプ12から送られた水素供給体31を反応装置3の金属担持触媒10に対して噴射する噴射ノズル13とを有する水素供給体供給部5及び15が、水素供給体貯蔵装置2と反応装置3との間に介在した形態となっている。
このような構成によれば、“反応装置3に対する水素供給体の接触状態”、“水素供給体の供給量”及び“水素供給体を間欠的に供給する際の噴射間隔”等の芳香族の水素化誘導体の脱水素反応に係る諸条件を、より確実に所望のものとできるので、水素発生量及び発生効率をより高精度で制御できる。しかしながら、本発明の実施形態に係る水素発生装置は、芳香族化合物の水素化誘導体の脱水素反応を達成できれば良く、必ずしも前記した水素供給体供給部5及び15を有する必要はない。
【0026】
なお、本発明の実施形態に係る水素発生装置は、前記した水素発生装置1及び41に限定されるものではなく、実施形態で例示した、反応装置、加熱部、金属担持触媒、気液分離装置、原料貯蔵部、回収液貯蔵部、噴射ノズル、ポンプ、等の材質、形状、形態、数、配置個所等は、本発明を実施できるものであれば、適宜な変形、改良が可能であり、限定されない。
【0027】
一方、本発明の水素発生装置を用いた水素発生方法は、『芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体と、加熱された金属担持触媒とを接触させ、次いで、得られた生成物を水素と液体成分とに分離する水素発生方法であって、前記生成物と前記水素供給体との熱交換を直接行うこと』を特徴としており、前記図1の水素発生装置1又は図2の水素発生装置41を用いて好適に実施できる。
ここで、本発明における熱交換とは、物質同士が混合するのではなく、物質が持つ熱エネルギーのみが移動することをいう。本発明においては、通常、水素供給体と脱水素反応によって得られた生成物との熱交換により、水素供給体は加熱され、生成物は冷却される。
また、本発明において、『熱交換を直接行う』とは、周知の熱媒体(例えば水等)を用いることなく、水素供給体自身を熱媒体として利用して生成物の温度を下げることを意味する。
【0028】
以下、図1に示される水素発生装置1を使用する水素発生方法について詳細に説明する。
先ず、水素供給体貯蔵装置2の原料貯蔵部7に、芳香族化合物の水素化誘導体(以下、単に“水素化誘導体”という)からなる水素供給体30aを入れる。(なお、水素化誘導体としては、シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,デカリン,ジメチルシクロヘキサン,トリメチルシクロヘキサン,テトラリン等を挙げることができ、単独物あるいは2種類以上の混合物として使用できる。また、前掲の特許文献2(特開2002−134141号公報)に記載の化合物も使用できる。単独物及び混合物は、常温で液状であるのが好ましい。芳香族化合物としては、ベンゼン,トルエン,ナフタレン,キシレン,メシチレン等を挙げることができる。)
【0029】
次いで、水素供給体供給部5のポンプ12を作動させることによって、水素供給体31を、配管24を経て噴射ノズル13から、反応装置3に設けられた金属担持触媒10に向けて噴射させ、水素化誘導体の脱水素反応を行う。(なお、金属担持触媒10は、水素化誘導体の種類にもよるが、加熱部11からの熱源によって、通常200℃〜500℃に設定されている。金属担持触媒10の温度をこの範囲内とすることによって、水素化誘導体が金属担持触媒10に接触した際に、その脱水素反応を確実に実施できる。また、噴射ノズル13からの噴射は、脱水素反応を実施できれば、間欠的であっても連続的であっても良い。なお、本発明において噴射ノズルからの噴射が『間欠的』であるとは、噴射と噴射の休止とを交互に繰り返すことをいう。)
【0030】
続いて、上記脱水素反応によって得られた生成物32を、気液分離装置4にて水素33と液体成分34(芳香族化合物とその水素化誘導体との混合物)とに分離する。さらに、分離された液体成分34を、配管27を経て、水素供給体貯蔵装置2の回収液貯蔵部8に回収する。
ここで、液体成分34は、通常“芳香族化合物の水素化誘導体”と“脱水素反応された芳香族化合物”との混合物である。これは、芳香族化合物の水素化誘導体が脱水素反応により芳香族化合物となる反応変換率が100%ではないためである。
回収液貯蔵部8に回収した液体成分34は、“芳香族化合物の水素化誘導体”を含むため、そのままで水素供給体31として再利用することもできる。また、回収された液体成分34中の芳香族化合物に対して水素付加を施した後、原料液貯蔵部7に戻して水素供給体31として利用することもできる。
【0031】
本発明の第一実施形態に係る水素発生方法は、気液分離装置4において、生成物32から水素33と液体成分34に分離する際、生成物32に対して水素供給体31を流通させることにより、生成物32と水素供給体31との熱交換を行う。具体的には、気液分離装置4内部に前記の配管24を流通させる。
すなわち、生成物32は、水素供給体31が加熱された金属担持触媒10に接触することにより生じるため、通常、加熱された状態にある。そして、前記生成物32は“芳香族化合物及びその水素化誘導体”と“水素”との混合気体であり、水素のみを分離するためには、少なくとも“芳香族化合物及びその水素化誘導体”の沸点以下に生成物32を冷却する必要がある。ここでは、液体の水素供給体31を配管24に流通させることによって、生成物32の冷却が可能である。
【0032】
一方、この熱交換によれば、配管24を流通する水素供給体31が、生成物32が有する熱により適当な温度まで予備加熱される。
【0033】
なお、配管24において水素供給体31が加熱される温度は、脱水素反応における反応効率が上昇する温度であればよいが、水素化誘導体の脱水素反応を確実に実施するためには、水素供給体31に含まれる水素化誘導体の沸点以上には加熱されないことが好ましい。好ましくは60〜160℃の範囲である。(例えば、水素化誘導体として“シクロヘキサン”を用いた場合について説明すると、水素のガス化点が−250℃以下であるのに対し、シクロヘキサンのガス化点は約80℃であり、シクロヘキサンが脱水素化されたベンゼンのガス化点は約80℃であることから、上記温度範囲内とすれば、気液分離装置4にて、水素33をガスとして、それ以外の混合物を液体成分34として確実に分離できる。)
【0034】
以上に説明した第一実施形態に係る水素発生装置1によれば、気液分離するための冷却装置を有することなく、生成物32の気液分離を達成できる。それと共に、脱水素反応前に水素供給体31を予備加熱するための手段を有することなく、水素供給体31に対して、反応をより効率よく実施できる温度に達するためのエネルギーの一部を付与できる。従って、装置への余分なエネルギーの投入を排除でき、エネルギー効率に優れた水素発生装置とすることができる。
【0035】
ここで、本発明におけるエネルギー効率とは、水素を発生させるために投入したエネルギーの総和に対する、発生した水素が持つエネルギーの割合のことをいう。
【0036】
なお、前記したように回収液貯蔵部8に回収された液体成分34を水素供給体としてそのまま再利用する場合、液体成分34中に残存する“芳香族化合物の水素化誘導体”の脱水素反応を行うためには、“芳香族化合物”も含めて水素供給体全体を加熱する必要がある。この場合においても、本発明の第一実施形態に係る水素発生方法によれば、液体成分34(“芳香族化合物とその水素化誘導体との混合物”である水素供給体)全体を加熱するためのエネルギーの一部を、反応装置3により得られた生成物32が有する熱によって賄うことができる。
【0037】
次に、図2に示される水素発生装置41を使用する本発明の第二実施形態に係る水素発生方法について説明する。
図2に示される水素発生装置41においては、水素供給体31に対して生成物32を流通させることにより熱交換を行う。具体的には、原料貯蔵部7の内部に、脱水素反応により生じた生成物32を配管56を経由して流通させることにより、水素供給体31と生成物32との熱交換を行うことができる。
すなわち、原料貯蔵部7に収納されている水素供給体31を、生成物32が有する熱により適当な温度まで加熱した後、水素供給体供給部5のポンプ12によって加圧し、噴射ノズル13より反応装置3へと送液する。一方、反応装置3で得られた生成物32を、配管56(気液分離装置14)を経由して原料貯蔵部7内部に流通させることにより冷却し、水素33と液体成分34とに分離することができる。この方法によっても、図1と同様に余分なエネルギーの投入を排除できるため、装置全体のエネルギー効率の向上に寄与できる。
【0038】
以上により、本発明の第二実施形態に係る水素発生装置41によれば、前記第一実施形態と同様の利点を有する水素発生装置とすることができる。
【0039】
また、以上説明したように、第一及び第二実施形態に係る水素発生装置を用いた水素発生方法によれば、脱水素反応により生じた生成物を冷却するためのエネルギーを投入することなく、前記生成物を冷却して水素を取り出すことができると共に、前記生成物の熱を利用して、水素供給体に対して反応をより効率よく実施できる温度にするまでのエネルギーの一部を付与できるので、エネルギー効率に優れた水素発生方法とすることができる。
【0040】
また、水素発生方法について、本発明の実施形態に係る水素発生装置を用いて説明したが、上記の水素発生方法を達成できればどのような装置を使用しても良く、本発明の実施形態に係る水素発生装置を使用する方法には特に限定されない。
【0041】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
図1に示す水素発生装置1を用いて、デカリンの脱水素反応により水素を発生させた。金属担持触媒10として、活性炭により担持された白金触媒(白金成分:10重量%)を用いた。なお、触媒10を350℃に加熱し、噴射ノズル13はスプレー方式のものを用い、噴射間隔を「噴射/休止=1秒/5秒」で行った。
【0043】
まず、原料(デカリン)を水素供給体貯蔵装置2から反応装置3に供給した。デカリンの供給量を2ml/パルスとした。
次に、原料(デカリン)の脱水素反応後の生成物32を気液分離装置4に送り、ここで、水素33と液体成分(未反応のデカリンと脱水素化物の混合物)34とに分離した。なお、反応装置3に噴射する時点でのデカリンの温度は約150℃まで上昇させた。また、生成物32は気液分離装置4にて150℃以下まで冷却された。
【0044】
また、水素発生装置1のエネルギー効率εを以下のようにして算出した。まず、配管27の水素33が発生する側にマスフロメーター(図示せず)を設け、下記式1によって、単位時間(分)あたりの発生した水素エネルギーEを算出した。
(式1)・・・E=H×QH2
ここで、
:発生した水素エネルギー(kJ/min)
:水素発生量(mol/min)
H2:水素が出し得るエネルギー(kJ/mol)=285.83kJ/mol
なお、QH2は下記式により得られた。
+1/2O=HO−285.83kJ
【0045】
一方、水素を発生するためにデカリンに与えたエネルギーEi(前記“水素を発生させるために投入したエネルギーの総和”に相当する)を以下のように算出した。すなわち、水素発生装置1に投入したエネルギーの総和Eoを電力量計(図示せず)によって測定した。次に、ポンプ12及び噴射ノズル13にそれぞれ設置された計器(図示せず)により、ポンプ12及び噴射ノズル13に投入されたエネルギーEaを算出し、EiをEo−Eaによって算出した。
最後に下記式2によってエネルギー効率εを算出した。
(式2)・・・ε=E/Ei
水素発生量は10L/分であり、これより算出したエネルギー効率εは50%であった。
【0046】
(実施例2)
図2に示される水素発生装置41を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で水素を発生させた。水素発生量は10L/分であり、実施例1と同様の方法でエネルギー効率εを求めたところ、エネルギー効率εは約48%であった。
【0047】
(比較例1)
図3の模式図に示す水素発生装置61を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で水素を発生させた。図3において、反応装置3、水素供給体貯蔵装置2、水素供給部15等、既に図1及び図2で説明した部材などについては図中に同一符号を付すことによりその説明を省略する。
図3に示す水素発生装置61は冷却装置70を有しており、冷却装置70では、チラーから5℃の冷却水が循環するように構成されている。なお、水素発生装置61では、水素供給体と生成物とは熱交換できるようには構成されていない。水素発生量は10L/分であった。チラーへの投入したエネルギーをEoに含めてEi(前記“水素を発生させるために投入したエネルギーの総和”に相当する)を算出しエネルギー効率εを算出したところ、エネルギー効率は約10%であった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、余分なエネルギー投入を排除し、エネルギー効率に優れた水素発生装置及び水素発生方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素発生装置の第一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の水素発生装置の第二実施形態を示す模式図である。
【図3】比較例の水素発生装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1,41,61 水素発生装置
2 水素供給体貯蔵装置
3 反応装置
4,14 気液分離装置
5,15 水素供給体供給部
7,17 原料貯蔵部
8 回収液貯蔵部
10 金属担持触媒
11 加熱部
12 ポンプ
13 噴射ノズル
21〜24,26,27,51,54,56 配管
31 水素供給体
32 生成物
33 水素
34 液体成分
70 冷却装置

Claims (4)

  1. 芳香族化合物の水素化誘導体を含む水素供給体を金属担持触媒と接触させて、水素を発生させる水素発生装置であって、
    前記水素供給体を収納する水素供給体貯蔵手段、前記金属担持触媒を前記水素供給体に対して接触可能に有すると共に、前記金属担持触媒を加熱可能な加熱手段を有する反応装置、及び、前記反応装置から発生した生成物を水素と液体成分とに分離する気液分離手段、を有し、
    前記生成物と前記水素供給体との熱交換を行うことができるように構成されてなることを特徴とする水素発生装置。
  2. 前記熱交換が、前記気液分離手段において前記水素供給体を流通させることにより行われるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  3. 前記熱交換が、前記水素供給体貯蔵手段において前記生成物を流通させることにより行われるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  4. 前記水素供給体貯蔵手段に収納された水素供給体を前記反応装置に供給する水素供給体供給手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素発生装置。
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