JP2004160913A - 印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラム - Google Patents
印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】印刷装置毎の特性に応じて各ドットの混在比率を変更することができないという課題があった。
【解決手段】小中大ドットの混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この中から、バンディングの少ない印刷画像を選択し、同印刷画像を形成する小中大ドットの混在比率に基づいたドット分配パターンにて印刷を行うことによって、機体毎に上記混在比率を最適化することができるとともに、カラープリンタ22のヘッドの経年変化にも対応することが可能になる。
【選択図】 図2
【解決手段】小中大ドットの混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この中から、バンディングの少ない印刷画像を選択し、同印刷画像を形成する小中大ドットの混在比率に基づいたドット分配パターンにて印刷を行うことによって、機体毎に上記混在比率を最適化することができるとともに、カラープリンタ22のヘッドの経年変化にも対応することが可能になる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムに関し、特に、径の異なる2種類以上のドットを混在させて構成される印刷データを生成する印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムに関する。
【従来の技術】
従来、この種の印刷制御装置は、予め複数の各ドットの混在比率と階調値との対応関係を記憶しておき、印刷条件と画像データの階調値に応じて、対応関係を選択し、同選択した対応関係に基づいて印刷を行っていた。(例えば、特許文献1。)
特開2000−79710号(特許文献1)
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷制御装置においては、印刷装置毎の特性に応じて各ドットの混在比率を変更することができないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、印刷装置毎に混在比率を変更することが可能な印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解説するため、本発明は次の構成を採用した。本発明の印刷制御装置は、径の異なる2種類以上のドットの発生数を所定混在比率に基づいて混在させた印刷データを生成する印刷制御装置であって、画像印刷手段にて径の異なる2種類以上のドットの混在比率を異ならせた複数の印刷データを生成するとともに、同各印刷データに基づく印刷画像を印刷させる。ここで、印刷画像選択受付手段にて、印刷された複数の印刷画像から選択された所定の印刷画像に対する指定を受け付ける。そして、印刷データ生成手段にて、印刷画像選択受付手段にて受け付けられた印刷画像を形成する径の異なる2種類以上のドットの混在比率に基づいて印刷データを生成することを要旨とする。
このとき、径の異なる2種類以上のドットの混在比率を、径の異なる2種類以上のドットのうち、特定ドットの発生数を制限する特定ドット制限値を変化させることにより異ならせると望ましい。また、混在比率を変化させる他の手法としては、径の異なる2種類以上のドットの総発生数を制限する総ドット制限値を変化させることにより異ならせると望ましい。ここで、上述した特定ドットは、印刷時にドットのピッチと略同一の径からなる特定ドットであることが望ましい。画像印刷手段にて印刷する印刷画像の態様は特に限定されない。このとき、印刷画像として、混在比率を異ならせた複数のパッチ画像を印刷させると望ましい。また、他の態様として、混在比率を異ならせた複数の所定画像のサムネイル画像を印刷させると望ましい。ここで、印刷データを同一色相の濃淡を複数のドットにて表現可能な場合、濃度の異なるインク毎に複数の印刷画像を印刷させると、濃度の異なるインク毎に最適な所望の印刷画像が選択可能になる。そこで、径の異なる2種類以上のドットを同一色相の濃度の異なるインクにて形成可能な場合に、同濃度の異なるインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させると望ましい。一方、異なる色相を複数のドットにて表現可能な場合、色相の異なるインク毎に複数の印刷画像を印刷させると、色相の異なるインク毎に最適な所望の印刷画像が選択可能になる。
そこで、径の異なる2種類以上のドットを異なる色相のインクにてそれぞれを形成可能な場合、同異なる色相のインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させると望ましい。なお、上述してきた印刷制御装置は、印刷制御方法としても発明が成立することは言うまでもない。さらに、かかる印刷制御装置を駆動するプログラム自体として構成することもできるし、そのようなプログラムを記録した媒体として構成することもできる。なお、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、コンピュータが上述してきた機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様を含むことは言うまでもない。
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)装置構成:
(2)ドット形成制御:
(3)まとめ:
(1)装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての印刷制御装置と印刷装置の構成を示すブロック図である。同図においては、コンピュータ90にスキャナ12とカラープリンタ22とが接続されている。このコンピュータ90に所定のプログラムがロードされ実行されることにより印刷制御装置として機能する他、カラープリンタ22と併せて印刷装置として機能する。このコンピュータ90は、プログラムに従って画像処理に関わる動作を制御するための各種演算処理を実行するCPU81を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。ROM82は、CPU81で各種演算処理を実行するのに必要なプログラムやデータを予め格納しており、RAM83は、同じくCPU81で各種演算処理を実行するのに必要な各種プログラムやデータが一時的に読み書きされるメモリである。そして、入力インターフェイス84は、スキャナ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出力インタフェース85は、カラープリンタ22へのデータの出力を司る。
CRTC86は、カラー表示可能なCRT21への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DDC)87は、ハードディスク16やフレキシブルドライブ15あるいは図示しないCD−ROMドライブとの間のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバの形式で提供される各種プログラムなどが記憶されている。このほか、バス80には、シリアル入出力インタフェース(SIO)88が接続されている。このSIO88は、モデム18に接続されており、モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コンピュータ90は、このSIO88およびモデム18を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバーSVに接続することにより、画像処理に必要なプログラムをハードディスク16にダウンロードすることも可能である。また、必要なプログラムをフレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロードし、コンピュータ90に実行させることも可能である。
図2は、印刷制御装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。同図において、コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からはこれらのドライバを介して、カラープリンタ22に転送するための画像データDT1が出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ21に画像を表示している。
スキャナ12では、カラー原稿から読みとられ、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データORGがアプリケーションプログラム95に供給される。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データDT1をアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラープリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、色変換テーブル102と、ハーフトーンモジュール99と、インタレースデータ生成部100および印刷条件入力モジュール101とが備えられている。印刷条件入力モジュール101は、キーボード14などの入力手段を通して設定された印刷条件を入力する。
入力された印刷条件は、解像度変換モジュール97に受け渡され、プリンタドライバ96の各モジュールが実行する各処理内容の細部を決定するパラメータとなる。指定可能な印刷条件としては、印刷用紙の種類、カラー印刷を実行するか否かの指定、オーバラップ方式による印刷を実行するか否かの指定などがある。オーバラップ方式による印刷とは、周知の通り、各ラスタを2回以上の主走査に分けて形成する印刷方法をいう。例えば、各ラスタを2回の主走査で印刷する場合には、1回目の主走査では各ラスタの奇数番目の画素を印刷し、2回目の主走査では異なるノズルで偶数番目の画素を印刷するのである。以下、各ラスタの形成に要する主走査の回数をパス数と呼ぶ。
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データDT1は、まだRGBの3色からなる画像情報であるから、色変換モジュール98は、色変換テーブル102を参照しつつ、各画素ごとにRGBデータをカラープリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換する。カラー印刷を実行しないという印刷条件が設定されている場合には、当該色変換処理は行われない。色変換されたデータは、例えば256階調等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりカラープリンタ22でかかる階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。
本実施形態のカラープリンタ22は、後述する通り濃淡のインクを用いて小中大の径からなるドットを形成可能な多値プリンタである。ここで、ハフトーンモジュール99は、上記色変換された各CMYKデータの各階調において、小中大ドットの発生を所定の混在比率にて規定したドット分配テーブル103を参照することにより、画像データDT1の階調値に応じて、小中大それぞれの径のドットの記録率を設定した上で、当該記録率を実現するようにハーフトーン処理を実行する。こうして処理された画像データDT1は、インタレースデータ生成部100によりカラープリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられて、最終的な印刷データDT2として出力される。本実施形態では、カラープリンタ22は、印刷データDT2に従ってドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、もちろんこれらの処理をカラープリンタ22で行うものとしても差し支えない。ここで、ドットの記録率とは、ある階調のベタ領域を形成する際に該領域内に形成されるドットが、該領域内の画素に対して占める割合をいう。
ここで、本実施形態においては、上述したドット分配テーブル103における小中大ドットの混在比率を変更可能に構成されている。このとき、ドット分配パターン生成モジュール104にて混在比率を変化させて形成した複数のドット分配パターンに基づいて印刷画像データ作成モジュール105にて異なる混在比率の複数の印刷画像を有する印刷物を印刷可能な印刷画像データDT3を作成して、ハーフトーンモジュール99に受け渡す。このとき、ハーフトーンモジュール99は、ドット分配テーブル103を参照しない。そして、ユーザがこの印刷物の複数の印刷画像からバンディングの影響が少ない印刷画像を指定する。この指定は選択受付モジュール106にて受け付けられる。選択受付モジュール106は、この指定された印刷画像のドット分配パターンをドット分配テーブル生成モジュール104から取得し、ドット分配テーブル103として設定する。そして、以降は、このドット分配テーブル103が参照され、上述したハーフトーン処理が行われる。これによって、カラープリンタ22毎に最適なドット分配テーブル103を設定することが可能となる。すなわち、カラープリンタ22毎に最適な小中大ドットの混在比率を設定することができる。これによって、バンディングを低減することが可能になる。
次に、図3にカラープリンタ22の概略構成を説明する。同図において、このカラープリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
なお、このキャリッジ31には、黒インク(Bk)用のカートリッジ71とライトシアン(C1)、シアン(C2)、ライトマゼンダ(M1)、マゼンタ(M2),イエロ(Y)の5色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし66が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管67(図4参照)が立設されている。キャリッジ31に黒(Bk)インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジ71,72に設けられた接続孔に導入管67が挿入され、各インクカートリッジ71,72から吐出用ヘッド61ないし64へのインクの供給が可能となる。
ここで、インクの吐出およびドット形成を行う機構について説明する。図4はインク吐出用ヘッド28の内部の概略構成を示す説明図である。インク用カートリッジ71,72がキャリッジ31に装着されると、図4に示すように毛細管現象を利用してインク用カートリッジ内のインクが導入管67を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし66に導かれる。なお、初めてインクカートリッジが装着されたときには、専用のポンプによりインクを各色のヘッド61ないし66に吸引する動作が行われるが、本実施形態では吸引のためのポンプ、吸引時に印字ヘッド28を覆うキャップ等の構成については図示および説明を省略する。
各色のヘッド61ないし66には、各色毎に48個のインクジェットノズルNzが設けられており(図6参照)、各インクジェットノズルNz毎に電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEとインクジェットノズルNzとの構造を詳細に示したのが図5である。図5上段に図示するように、ピエゾ素子PEは、インクジェットノズルNzまでインクを導くインク通路68に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図5下段に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、インクヘットノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより印刷が行われる。
図6は、インク吐出用ヘッド61〜66におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っており、48個のインクジェットノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されている。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致している。なお、各ノズルアレイに含まれる48個のインクジェットノズルNzは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配置されていてもよい。但し、図6に示すように千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく設定し易いという利点がある。本発明のカラープリンタ22は、図6に示した通り一定の径からなるノズルNzを備えているが、かかるインクジェットノズルNzを用いて径の異なる3種類のドットを形成することができる。この原理について説明する。
図7は、インクが吐出される際のインクジェットノズルNzの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した説明図である。同図においては、破線で示した駆動波形が通常のドットを吐出する際の波形である。区間d2において一旦、マイナスの電圧をピエゾ素子PEに印加すると、先に図5を用いて説明したのとは逆にインク通路68の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形する。導入管67からのインクの供給速度には限界があるため、インク通路68の拡大に対してインクの供給量が不足する。この結果、図7の状態Aに示した通り、メニスカスと呼ばれるインク界面Meは、インクジェットノズルNzの内側にへこんだ状態となる。一方、図7の実線で示す駆動波形を用い、区間d2に示すようにマイナス電圧を急激に印加すると、インクの供給量はさらに不足した状態となる。
従って、状態aで示す通りメニスカスは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる。次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を正にすると(区間d3)、先に図5を用いて説明した原理に基づいてインクが吐出される。このとき、メニスカスがあまり内側にへこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態Cに示すごとく大きなインク滴が吐出され、メニスカスが大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよび状態cに示すごとく小さなインク滴が吐出されることになる。以上に示した通り、駆動電圧を負にする際(区間d1,d2)の変化率に応じて、ドット径を変化させることができる。本実施形態では、駆動波形とドット径との間のこのような関係に基づいて、ドット径の小さい小ドットIP1を形成するための駆動波形と、2番目のドット径からなるの中ドットIP2を形成するための駆動波形の2種類を用意している。
図8に本実施形態において用いている駆動波形を示す。駆動波形W1が小ドットIP1を形成するための波形であり、駆動波形W2が中ドットIP2を形成するための波形である。これらの駆動波形を使い分けることにより、一定のノズル径からなるノズルNzからドット径が小中の2種類のドットを形成することができる。本実施形態のカラープリンタ22では、これらの駆動波形をキャリッジ31の移動とともにW1,W2の順で連続的かつ周期的に出力している。また、図8の駆動波形W1,W2の双方を使ってドットを形成することにより、大ドットを形成することができる。この様子を図8の下段に示した。図8下段の図は、ノズルから吐出された小ドットおよび中ドットのインク滴IPs、IPmが吐出されてから用紙Pに至るまでの様子を示している。小中2種類のドットを形成する場合、図7で示したメニスカスの様子から明らかな通り、小ドットを形成する時よりも中ドットを形成する時の方がインク通路68に供給されているインク量が多い。
従って、小ドットのインク滴IPsよりも中ドットのインク滴IPmの方が勢いよく吐出される。このようなインクの飛翔速度差があるため、キャリッジ31が主走査方向に移動しながら、小ドットと中ドットを連続してする場合、キャリッジ31の走査速度および両ドットの吐出タイミングをキャリッジ31と用紙Pの間の距離に応じて調整すれば、両インク滴をほぼ同じタイミングで用紙Pに到達させることができる。本実施形態では、このようにして図8上段の2種類の駆動波形から最もドット径が最も大きい大ドットを形成しているのである。なお、本実施形態では、制御を容易にするため、こうして形成される3種類のドットのうち、大小の2種類のドットを印刷に用いている。当然、3種類全てのドットを用いて画像を印刷するものとしても構わない。本実施形態では、小ドットのドット径は、副走査方向のドットの記録ピッチと略同一となっている。すなわち、画素の一辺の長さに対し、略同一と呼べる範囲で若干大きい径となっている。
次に、カラープリンタ22の制御回路40の内部構成を説明するとともに、図6に示した複数のインクジェットノズルNzからなるヘッド28を駆動する方法について説明する。図9は制御回路40の内部構成を示す説明図である。同図において、この制御回路40の内部には、CPU81,PROM42,RAM43の他、コンピュータ90とのデータのやりとりを行うPCインタフェース44と、紙送りモータ23、キャリッジモータ24および操作パネル32などとの信号をやりとりする周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46と、ヘッド61〜66にドットのオン・オフの信号を出力する駆動用バッファ47などが設けられており、これらの素子および回路はバス48で相互に接続されている。また、制御回路40には、所定周波数で駆動波形(図8参照)を出力する発信器51、および発信器51からの出力をヘッド61〜66に所定のタイミングで分配する分配器55も設けられている。制御回路40は、コンピュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ47に出力する。
ヘッド61〜66の一つのノズル列は、駆動用バッファ47をソース側とし、分配出力器55をシンク側とする回路に介装されており、ノズル列を構成する各ピエゾ素子PEは、その電極の一方が駆動用バッファ47の各出力端子に、他方が一括して分配出力器55の出力端子に、それぞれ接続されている。分配出力器55からは、発信器51の駆動波形が出力される。CPU81から各ノズル毎にオン・オフを定め、駆動用バッファ47の各端子に信号を出力すると、駆動波形に応じて、駆動用バッファ47側からオン信号を受け取っていたピエゾ素子PEだけが駆動される。この結果、転送用バッファ47からオン信号を受け取っていたピエゾ素子PEのノズルから一斉にインク粒子Ipが吐出される。つまり、駆動波形としての電圧自体は、ドットを形成するか否かに関わらず全ノズルのピエゾ素子に印加されるが、駆動用バッファ47から出力される電圧を各ノズルごとに制御することによって、前記駆動波形の有効/無効を各ノズルごとに制御しているのである。
図6に示す通り、ヘッド61〜66は、キャリッジ31の搬送方向に沿って配列されているから、それぞれのノズル列が用紙Pに対して同一の位置に至るタイミングはずれている。図示を省略したが、分配出力器55の出力側にはディレイ回路が設けられており、ヘッド61〜66の各ノズルの位置のずれおよびキャリッジ31の搬送速度に応じ、各ノズルにより形成されるドットの主走査方向の位置が合うタイミングで駆動波形が出力されている。従って、CPU81は、このヘッド61〜66の各ノズルの位置のずれを勘案した上で、必要なタイミングで各ドットのオン・オフの信号を駆動用バッファ47を介して出力し、各色のドットを形成している。また、図6に示した通り、各ヘッド61〜66もノズルが2列に形成されている点も同様に考慮してオン・オフの信号の出力が制御されている。
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ(以下、主走査という)、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61〜64のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。なお、本実施形態では、上述の通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたカラープリンタ22を用いているが、他の方法によりインクを吐出するカラープリンタを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのカラープリンタに適用するものとしてもよい。
次に、本実施形態におけるドットの記録率の設定について説明する。ある記録率で小ドットが記録された場合の様子を図10に示す。同図において、図中の左側の四角は、ノズルを5つ備えたヘッドを示している。右側に示した「○」はそれぞれ小ドットを示している。そして、このヘッドにおいては、一部のノズルの特性に応じてヘッドからインクが吐出される方向が曲がっており、ドットの形成位置がずれた場合を示している。図示する通り、上から1番目および2番目のノズルにより形成されるドットの位置がずれている。ここで、図10に示すような低い記録率で小ドットが記録された場合は、ドット間の隙間が比較的多い。つまり、ドットが形成されない画素が比較的多く存在する。従って、ドットの形成位置にずれに起因するバンディングは目立ちにくい。例えば、図10では、ドットの記録密度が低いことに起因する隙間B2が存在することによって、バンディングB1が目立ちにくくなっている。
一方、若干記録率を増大させた場合のドットの形成の様子を図11に示す。同図において、ハッチングを施した「○」が、図10に対し新たに形成されたドットを意味している。ドットの記録密度が増大すると、ドット間の隙間が少なくなるため、バンディングが顕著になる。例えば、図11ではハッチングを施したドットの存在によって、図10で見られた隙間B2が消滅している。この結果、図11では、バンディングB1がドット間の隙間として発生し、視認されやすくなるのである。もちろん、図11に示したのは、一例に過ぎず、同じ記録率でもバンディングB1が比較的目立たないパターンでドットが形成される場合もある。但し、一般に小ドットの記録率を増大していくと、上述の理由によってバンディングが目立ちやすくなる傾向にある。印刷された画像の粒状感という観点からは、ドットが視認されにくい小ドットを多用することが好ましいが、バンディングの発生による画質の低下を避ける観点から、適用可能な記録率には上限があることになる。
このようにノズルの特性に応じてインクが吐出される方向が曲がってしまうインクの飛行特性は、カラープリンタ22の機体毎に異なる。すなわち、バンディングが目立ちやすくなる小ドットの上限は機体毎に異なることになる。かかる場合、この小ドットの上限を機体毎に適切に設定できると好適である。そこで、本実施形態においては、小ドットの上限を適宜変更し、小中大ドットの発生を規定する混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この複数の印刷画像からバンディングが目立たない小ドットの記録率が最大となる印刷画像をユーザに選択させる。そして、この選択された印刷画像における小中ドットの混在比率によって、印刷を行うことによって、バンディングを抑制できるとともに、粒状性を向上させることを可能にする。
図12は、ユーザに提供する複数の印刷画像を印刷した印刷物を示している。同図において、印刷物PRには、小ドット記録率上限を0%〜100%に10%毎に変化させるとともに、中ドット記録率上限を0%〜100%に10%毎に変化させた複数の印刷画像PR(0%,0%)〜(0%,90%)(90%,0%)が印刷されている。ここで、印刷画像(x%,y%)において、x%は小ドットの記録率を示し、y%は中ドットの記録率を示している。この場合、大ドットは吐出されない。この印刷画像は所定の画像を、該当する小中ドットの混在比率で印刷したサムネイル画像であっても良いし、当該混在比率で印刷したパッチ画像であっても良い。そして、ユーザはこの印刷画像PR(x%,y%)からバンディングが目立たない印刷画像を選択する。ここで、図13に小ドットのドット発生制限(上述した上限)から、ドットサイズ分配パターンを作成する方法を示す。ここでは、一例として、ドットサイズ順に、小中大ドットを1画素に選択して記録可能な場合を示す。
かかる場合、小中大ドットを重ねて形成できないため、小中大ドットまでの記録率の総和は、100%を超えられない。本実施形態においては、位置自由度aをa=10%とした場合について説明する。このとき、総ドット数制限値bは、b=100−a=90%となる。同図において、横軸は階調値(0〜255階調)を示すとともに、縦軸は総画素数に対するドット発生率、すなわち、記録率を示す。先ず「ステップ1」にて、小ドットを1つづつ制限値まで増加させる。そして、「ステップ2」にて、小ドットの発生を据え置き、中ドットをその制限値、もしくは、総ドット数(ここでは小ドット+中ドット)の制限値であるデューティー90%になるまで増加させていく。このとき、総ドット数制限値は、空白ドットを残すために設定され、特に誤差拡散時のドット発生自由度を高めることで高画質となる効果がある。
また、ディザにおいても、空白ドットを常に混在させた方が高画質となる場合がある。次に、「ステップ3」にて、総ドット数制限値にかかった場合は、中ドットを増加させた分、1レベル下のドット、すなわち、小ドット数を減らしていき、総ドット制限値を超えないように、中ドット制限値まで濃度を増加させ、「ステップ4」にて、既に総ドット数制限値にかかっている場合は、最大ドットである大ドットを発生させた分、画素分を小中ドットを減らす。小中ドットの減少率は大ドット発生直前の発生数比率に比例させる。以上のアルゴリズムを適宜組み合わせると、図14に示すように種々のドット分配パターンを形成することができる。そして、上述した手法によって小中大ドットのドット分配パターンが決定されると、小中大ドットの吐出量に基づいて、各階調値毎に総吐出インク量(重量または体積)を算出し、インク量を図15上段の記録率から図15下段のリニアな階調値(後述するレベルデータ)に修正する。そして、ドット分配パターンから図16に示したドット分配テーブル103を生成する。
(2)ドット形成制御:
次に、本実施形態におけるドット形成の制御処理について説明する。ドット形成制御処理ルーチンの流れを図17に示す。これは、コンピュータ90のCPU81が実行する処理である。同図において、ドット形成制御処理が開始されると、CPU81は、画像データおよび印刷条件を入力する(ステップS100)。この画像データは、図2に示したアプリケションプログラム95から受け渡されるデータであり、画像を構成する各画素ごとにR,G,Bそれぞれの色について、値0〜255の256段階の階調値を有するデータである。この画像データの解像度は、原画像のデータORGの解像度等に応じて変化する。印刷条件としては、印刷用紙の種類、カラー印刷を実行するか否かの指定、オーバラップ方式による印刷を実行するか否かの指定などがある。そして、CPU81は、入力された画像データの解像度をカラープリンタ22が印刷するための解像度に変換する(ステップS105)。画像データが印刷解像度よりも低い場合には、線形補間により隣接する原画像データの間に新たなデータを生成することで解像度変換を行う。逆に画像データが印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合でデータを間引くことにより解像度変換を行う。なお、解像度変換処理は本実施形態において本質的なものではなく、かかる処理を行わずに印刷を実行するものとしても構わない。
次に、CPU81は、色変換処理を行う(ステップS110)。色変換処理とはR,G,Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ22で使用するC,M,Y,Kの各色の階調値のデータに変換する処理である。この処理は、R,G,Bのそれぞれの組み合わせからなる色をカラープリンタ22で表現するためのC,M,Y,Kの組み合わせを記憶した色変換テーブル102(図2参照)を用いて行われる。色変換テーブル102を用いて色変換する処理自体については、公知の種々の技術が適用可能であり、例えば補間演算による処理が適用できる。こうして色変換された画像データに対して、CPU81は多値化処理を行う(ステップS115)。
多値化とは、原画像データの階調値(本実施形態では256階調)をカラープリンタ22が各画素ごとに表現可能な階調値に変換することをいう。後述する通り、本実施形態では「ドットの形成なし」「小ドットの形成」「中ドットの形成」「大ドットの形成」の4階調への多値化を行っているが、更に多くの階調への多値化を行うものとしてもよい。本実施形態における多値化処理の内容を図18を用いて説明する。多値化処理では、CPU81は画像データおよび印刷条件を入力する(ステップS200)。ここで入力される画像データDT1とは、色変換処理を施され、C,M,Y,Kの各色につき256階調を有するデータである。この画像データDT1に対し、大ドットのレベルデータLVLを取得する(ステップS205)。
このレベルデータLVLとは、ドットの記録率を値0〜255の256段階に変換したデータを言い、図15下段の縦軸にて表現される。ステップS205では、曲線LDから階調値に応じたレベルデータLVLを読みとる。例えば、図15に示した通り、画像データDT1の階調値がgrであれば、レベルデータLVLは曲線LDを用いてldと求められる。この曲線LDは図16のドット分配テーブル103に示される通り、1次元のテーブルとして記憶されているので、該ドット分配テーブル103を参照してレベルデータLVLを取得することになる。
次に、こうして設定されたレベルデータLVLと閾値THLとの大小を比較する(ステップS210)。いわゆるディザ法によるドットのオン・オフ判定を行うのである。閾値THLはいわゆるディザマトリックスにより各画素ごとに異なる値が設定される。本実施形態では16×16の正方形の画素に値0〜255までが現れるブルーノイズマトリックスを用いている。ここで、図19にディザ法によるドットのオン・オフ判定の考え方を示す。図示の都合上、一部の画素についてのみ示す。同図において、レベルデータLVLの各画素とディザテーブルの対応箇所の大小を比較する。レベルデータLVLの方がディザテーブルに示された閾値THLよりも大きい場合にはドットをオンにし、レベルデータLVLの方が小さい場合にはドットをオフとする。図19中でハッチングを付した画素がドットをオンにする画素を意味している。ステップS210において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、大ドットをオンにすべきと判断する(ステップS215)。このとき、図8に示した駆動波形W1,W2の双方でインクを吐出するため大ドットが形成される。
一方、ステップS210において、レベルデータLVLが閾値THLよりも小さい場合には、大ドットを形成すべきではない判断して、次の処理に移行し、中ドットのレベルデータLVMを設定する(ステップS215)。そして、中ドットのレベルデータLVMと閾値LVMの大小関係を比較し、中ドットのオン・オフの判定を行う(ステップS220)。オン・オフの判定方法は、大ドットの場合と同じであるが、判定に用いる閾値LVMを次に示す通り大ドットの場合の閾値LVLとは異なる値としている。大ドットと中ドットで同じディザマトリックスを用いてオン・オフの判定を行えば、ドットがオンになりやすい画素が両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高い。この結果、中ドットの記録率は所望の記録率よりも低くなる可能性がある。本実施形態ではかかる現象を回避するため、両者でディザマトリックスを変えている。つまり、オンになりやすくなる画素の位置を、大ドットと中ドットとで変えることで、それぞれが適切に形成されることを確保している。
ステップS220において、中ドットのレベルデータLVMが閾値THMよりも大きい場合には、中ドットとオンにすべきと判断する(ステップS225)。かかる場合、図8に示した駆動波形W2でインク滴が吐出され、駆動波形W1はマスクされ、中ドットが形成される。一方、ステップS220にて中ドットのレベルデータLVMが閾値THMよりも小さい場合には、中ドットを形成すべきではない判断して、次の処理に移行し、小ドットのレベルデータLVSを設定する(ステップS230)。そして、小ドットのレベルデータLVSと閾値LVSの大小関係を比較し、小ドットのオン・オフの判定を行う(ステップS235)。オン・オフの判定方法は、大ドットの場合と同じであるが、判定に用いる閾値LVSを同様に上述した閾値LVL,LVMとは異なる値としている。
ステップS235において、小ドットのレベルデータLVSが閾値THSよりも大きい場合には、小ドットとオンにすべきと判断する(ステップS240)。かかる場合、図8に示した駆動波形W1でインク滴が吐出され、駆動波形W2はマスクされ、小ドットが形成される。一方、ステップS235において、小ドットのレベルデータLVSが閾値THSよりも小さい場合には、小ドットを形成すべきでないと判断する(ステップS245)。かかる場合、図8に示す駆動波形W1,W2の両者がマスクされるから、いずれのドットも形成されなくなる。以上の処理により、一つの画素についていずれのドットを形成すべきかの判定がなされた。CPU81は、全画素について処理が終了するまで(ステップS250)、ステップS205〜S250までの処理を繰り返す。全画素について処理が終了すると、多値化処理ルーチンを一旦終了してドット形成制御処理ルーチンに戻る。
次に、CPU81はインタレースデータの生成を行う(ステップS120)。これは、1ラスタ分のデータをカラープリンタ22のヘッドに転送する順序に並べ替えることをいう。カラープリンタ22がラスタを形成する記録方法には種々のモードがある。最も単純なのは、ヘッドの1回の往運動で各ラスタのドットを全て形成するモードである。この場合には1ラスタ分のデータを処理された順序でヘッドに出力すればよい。他のモードとしては、いわゆるオーバラップがある。例えば、1回目の主走査では各ラスタのドットを例えば1つおきに形成し、2回目の主走査で残りのドットを形成する記録方法である。この場合は各ラスタを2回の主走査で形成することになる。このとき、ステップS100で入力した印刷条件により指定された内容に基づいて実行すべきインタレースデータの生成方法が選択される。こうしてカラープリンタ22が印刷可能なデータが生成されると、CPU81は該データを出力し、カラープリンタ22に転送する(ステップS125)。カラープリンタ22は、このデータを受け取って各画素にそれぞれのドットを形成して画像を印刷する。
以上の実施形態では、小中大ドットの3種類のドットを形成することにより各画素ごとに4値の表現が可能なプリンタを例にとって説明したが、さらに多くの階調値を表現可能な多値プリンタに適用することも可能である。例えば、さらに多くの径からなるドットを形成可能なプリンタや、さらに多くの濃度のインクでドットを形成可能なプリンタなどに適用することも可能である。また、上述の実施形態ではピエゾ素子を備えるインクジェットプリンタを例に説明したが、いわゆるノズルに備えたヒータに通電することによりインク内に生じるバブルでインクを吐出するタイプのプリンタを始め種々のプリンタその他の印刷装置に適用可能である。
以上で説明した印刷制御装置は、上述した各処理などコンピュータによる処理を含んでいることから、かかる処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体としての実施の態様を採ることもできる。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。また、コンピュータに上記で説明した画像処理等を行うコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様も可能である。また、以上、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実施が可能である。例えば、上記実施形態で説明した種々の制御処理は、その一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。
(3)まとめ:
このように、小中大ドットの混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この中から、バンディングの少ない印刷画像を選択し、同印刷画像を形成する小中大ドットの混在比率に基づいたドット分配パターンにて印刷を行うことによって、機体毎に上記混在比率を最適化することができるとともに、カラープリンタ22のヘッドの経年変化にも対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷制御装置の概略構成図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示す説明図である。
【図3】プリンタの概略構成図である。
【図4】プリンタのドット記録ヘッドの概略構成を示す説明図である。
【図5】プリンタにおけるドット形成原理を示す説明図である。
【図6】プリンタにおけるノズル配置例を示す説明図である。
【図7】径の異なるドットを形成する原理を説明する説明図である。
【図8】ノズルの駆動波形および該駆動波形の説明図である。
【図9】プリンタの制御装置の内部構成を示す説明図である。
【図10】小ドットの記録の様子を示す説明図である。
【図11】小ドットの記録の様子を示した説明図である。
【図12】印刷画像の構成を示した図である。
【図13】ドット分配パターンの作成方法を示した図である。
【図14】ドット分配パターンの他の構成を示した図である。
【図15】ドット分配パターンを修正した図である。
【図16】ドット分配テーブルの構成を示した図である。
【図17】ドット形成制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図18】多値化処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】ディザ法の考え方を示す説明図である。
【符号の説明】
12…スキャナ、14…キーボード、15…フレキシブルドライブ、16…ハードディスク、18…モデム、21…カラーディスプレイ、22…カラープリンタ、23…紙送りモータ、24…キャリッジモータ、26…プラテン、28…印字ヘッド、31…キャリッジ、32…操作パネル、34…摺動軸、36…駆動ベルト、38…プーリ、39…位置検出センサ、40…制御回路、41…CPU、42…プログラマブルROM(PROM)、43…RAM、44…PCインタフェース、45…周辺入出力部(PIO)、46…タイマ、47…転送用バッファ
48…バス、51…発信器、55…分配出力器、61〜66…インク吐出用ヘッド、67…導入管、68…インク通路、71…黒インク用のカートリッジ、72…カラーインク用カートリッジ、80…バス、81…CPU、82…ROM、83…RAM、84…入力インターフェイス、85…出力インタフェース、86…CRTC、87…ディスクコントローラ(DDC)、88…シリアル入出力インタフェース(SIO)、90…パーソナルコンピュータ、91…ビデオドライバ、95…アプリケーションプログラム、96…プリンタドライバ、97…解像度変換モジュール、98…色変換モジュール、99…ハーフトーンモジュール、100…インタレースデータ生成部、101…印刷条件入力モジュール、102…色変換テーブル、103…ドット分配テーブル、104…ドット分配テーブル生成モジュール、105…印刷画像データ作成モジュール、106…選択受付モジュール
本発明は、印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムに関し、特に、径の異なる2種類以上のドットを混在させて構成される印刷データを生成する印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムに関する。
【従来の技術】
従来、この種の印刷制御装置は、予め複数の各ドットの混在比率と階調値との対応関係を記憶しておき、印刷条件と画像データの階調値に応じて、対応関係を選択し、同選択した対応関係に基づいて印刷を行っていた。(例えば、特許文献1。)
特開2000−79710号(特許文献1)
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷制御装置においては、印刷装置毎の特性に応じて各ドットの混在比率を変更することができないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、印刷装置毎に混在比率を変更することが可能な印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解説するため、本発明は次の構成を採用した。本発明の印刷制御装置は、径の異なる2種類以上のドットの発生数を所定混在比率に基づいて混在させた印刷データを生成する印刷制御装置であって、画像印刷手段にて径の異なる2種類以上のドットの混在比率を異ならせた複数の印刷データを生成するとともに、同各印刷データに基づく印刷画像を印刷させる。ここで、印刷画像選択受付手段にて、印刷された複数の印刷画像から選択された所定の印刷画像に対する指定を受け付ける。そして、印刷データ生成手段にて、印刷画像選択受付手段にて受け付けられた印刷画像を形成する径の異なる2種類以上のドットの混在比率に基づいて印刷データを生成することを要旨とする。
このとき、径の異なる2種類以上のドットの混在比率を、径の異なる2種類以上のドットのうち、特定ドットの発生数を制限する特定ドット制限値を変化させることにより異ならせると望ましい。また、混在比率を変化させる他の手法としては、径の異なる2種類以上のドットの総発生数を制限する総ドット制限値を変化させることにより異ならせると望ましい。ここで、上述した特定ドットは、印刷時にドットのピッチと略同一の径からなる特定ドットであることが望ましい。画像印刷手段にて印刷する印刷画像の態様は特に限定されない。このとき、印刷画像として、混在比率を異ならせた複数のパッチ画像を印刷させると望ましい。また、他の態様として、混在比率を異ならせた複数の所定画像のサムネイル画像を印刷させると望ましい。ここで、印刷データを同一色相の濃淡を複数のドットにて表現可能な場合、濃度の異なるインク毎に複数の印刷画像を印刷させると、濃度の異なるインク毎に最適な所望の印刷画像が選択可能になる。そこで、径の異なる2種類以上のドットを同一色相の濃度の異なるインクにて形成可能な場合に、同濃度の異なるインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させると望ましい。一方、異なる色相を複数のドットにて表現可能な場合、色相の異なるインク毎に複数の印刷画像を印刷させると、色相の異なるインク毎に最適な所望の印刷画像が選択可能になる。
そこで、径の異なる2種類以上のドットを異なる色相のインクにてそれぞれを形成可能な場合、同異なる色相のインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させると望ましい。なお、上述してきた印刷制御装置は、印刷制御方法としても発明が成立することは言うまでもない。さらに、かかる印刷制御装置を駆動するプログラム自体として構成することもできるし、そのようなプログラムを記録した媒体として構成することもできる。なお、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、コンピュータが上述してきた機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様を含むことは言うまでもない。
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)装置構成:
(2)ドット形成制御:
(3)まとめ:
(1)装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての印刷制御装置と印刷装置の構成を示すブロック図である。同図においては、コンピュータ90にスキャナ12とカラープリンタ22とが接続されている。このコンピュータ90に所定のプログラムがロードされ実行されることにより印刷制御装置として機能する他、カラープリンタ22と併せて印刷装置として機能する。このコンピュータ90は、プログラムに従って画像処理に関わる動作を制御するための各種演算処理を実行するCPU81を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。ROM82は、CPU81で各種演算処理を実行するのに必要なプログラムやデータを予め格納しており、RAM83は、同じくCPU81で各種演算処理を実行するのに必要な各種プログラムやデータが一時的に読み書きされるメモリである。そして、入力インターフェイス84は、スキャナ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出力インタフェース85は、カラープリンタ22へのデータの出力を司る。
CRTC86は、カラー表示可能なCRT21への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DDC)87は、ハードディスク16やフレキシブルドライブ15あるいは図示しないCD−ROMドライブとの間のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバの形式で提供される各種プログラムなどが記憶されている。このほか、バス80には、シリアル入出力インタフェース(SIO)88が接続されている。このSIO88は、モデム18に接続されており、モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コンピュータ90は、このSIO88およびモデム18を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバーSVに接続することにより、画像処理に必要なプログラムをハードディスク16にダウンロードすることも可能である。また、必要なプログラムをフレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロードし、コンピュータ90に実行させることも可能である。
図2は、印刷制御装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。同図において、コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からはこれらのドライバを介して、カラープリンタ22に転送するための画像データDT1が出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ21に画像を表示している。
スキャナ12では、カラー原稿から読みとられ、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データORGがアプリケーションプログラム95に供給される。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データDT1をアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラープリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、色変換テーブル102と、ハーフトーンモジュール99と、インタレースデータ生成部100および印刷条件入力モジュール101とが備えられている。印刷条件入力モジュール101は、キーボード14などの入力手段を通して設定された印刷条件を入力する。
入力された印刷条件は、解像度変換モジュール97に受け渡され、プリンタドライバ96の各モジュールが実行する各処理内容の細部を決定するパラメータとなる。指定可能な印刷条件としては、印刷用紙の種類、カラー印刷を実行するか否かの指定、オーバラップ方式による印刷を実行するか否かの指定などがある。オーバラップ方式による印刷とは、周知の通り、各ラスタを2回以上の主走査に分けて形成する印刷方法をいう。例えば、各ラスタを2回の主走査で印刷する場合には、1回目の主走査では各ラスタの奇数番目の画素を印刷し、2回目の主走査では異なるノズルで偶数番目の画素を印刷するのである。以下、各ラスタの形成に要する主走査の回数をパス数と呼ぶ。
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データDT1は、まだRGBの3色からなる画像情報であるから、色変換モジュール98は、色変換テーブル102を参照しつつ、各画素ごとにRGBデータをカラープリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換する。カラー印刷を実行しないという印刷条件が設定されている場合には、当該色変換処理は行われない。色変換されたデータは、例えば256階調等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりカラープリンタ22でかかる階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。
本実施形態のカラープリンタ22は、後述する通り濃淡のインクを用いて小中大の径からなるドットを形成可能な多値プリンタである。ここで、ハフトーンモジュール99は、上記色変換された各CMYKデータの各階調において、小中大ドットの発生を所定の混在比率にて規定したドット分配テーブル103を参照することにより、画像データDT1の階調値に応じて、小中大それぞれの径のドットの記録率を設定した上で、当該記録率を実現するようにハーフトーン処理を実行する。こうして処理された画像データDT1は、インタレースデータ生成部100によりカラープリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられて、最終的な印刷データDT2として出力される。本実施形態では、カラープリンタ22は、印刷データDT2に従ってドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、もちろんこれらの処理をカラープリンタ22で行うものとしても差し支えない。ここで、ドットの記録率とは、ある階調のベタ領域を形成する際に該領域内に形成されるドットが、該領域内の画素に対して占める割合をいう。
ここで、本実施形態においては、上述したドット分配テーブル103における小中大ドットの混在比率を変更可能に構成されている。このとき、ドット分配パターン生成モジュール104にて混在比率を変化させて形成した複数のドット分配パターンに基づいて印刷画像データ作成モジュール105にて異なる混在比率の複数の印刷画像を有する印刷物を印刷可能な印刷画像データDT3を作成して、ハーフトーンモジュール99に受け渡す。このとき、ハーフトーンモジュール99は、ドット分配テーブル103を参照しない。そして、ユーザがこの印刷物の複数の印刷画像からバンディングの影響が少ない印刷画像を指定する。この指定は選択受付モジュール106にて受け付けられる。選択受付モジュール106は、この指定された印刷画像のドット分配パターンをドット分配テーブル生成モジュール104から取得し、ドット分配テーブル103として設定する。そして、以降は、このドット分配テーブル103が参照され、上述したハーフトーン処理が行われる。これによって、カラープリンタ22毎に最適なドット分配テーブル103を設定することが可能となる。すなわち、カラープリンタ22毎に最適な小中大ドットの混在比率を設定することができる。これによって、バンディングを低減することが可能になる。
次に、図3にカラープリンタ22の概略構成を説明する。同図において、このカラープリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
なお、このキャリッジ31には、黒インク(Bk)用のカートリッジ71とライトシアン(C1)、シアン(C2)、ライトマゼンダ(M1)、マゼンタ(M2),イエロ(Y)の5色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし66が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管67(図4参照)が立設されている。キャリッジ31に黒(Bk)インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジ71,72に設けられた接続孔に導入管67が挿入され、各インクカートリッジ71,72から吐出用ヘッド61ないし64へのインクの供給が可能となる。
ここで、インクの吐出およびドット形成を行う機構について説明する。図4はインク吐出用ヘッド28の内部の概略構成を示す説明図である。インク用カートリッジ71,72がキャリッジ31に装着されると、図4に示すように毛細管現象を利用してインク用カートリッジ内のインクが導入管67を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし66に導かれる。なお、初めてインクカートリッジが装着されたときには、専用のポンプによりインクを各色のヘッド61ないし66に吸引する動作が行われるが、本実施形態では吸引のためのポンプ、吸引時に印字ヘッド28を覆うキャップ等の構成については図示および説明を省略する。
各色のヘッド61ないし66には、各色毎に48個のインクジェットノズルNzが設けられており(図6参照)、各インクジェットノズルNz毎に電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEとインクジェットノズルNzとの構造を詳細に示したのが図5である。図5上段に図示するように、ピエゾ素子PEは、インクジェットノズルNzまでインクを導くインク通路68に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図5下段に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、インクヘットノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより印刷が行われる。
図6は、インク吐出用ヘッド61〜66におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っており、48個のインクジェットノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されている。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致している。なお、各ノズルアレイに含まれる48個のインクジェットノズルNzは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配置されていてもよい。但し、図6に示すように千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく設定し易いという利点がある。本発明のカラープリンタ22は、図6に示した通り一定の径からなるノズルNzを備えているが、かかるインクジェットノズルNzを用いて径の異なる3種類のドットを形成することができる。この原理について説明する。
図7は、インクが吐出される際のインクジェットノズルNzの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した説明図である。同図においては、破線で示した駆動波形が通常のドットを吐出する際の波形である。区間d2において一旦、マイナスの電圧をピエゾ素子PEに印加すると、先に図5を用いて説明したのとは逆にインク通路68の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形する。導入管67からのインクの供給速度には限界があるため、インク通路68の拡大に対してインクの供給量が不足する。この結果、図7の状態Aに示した通り、メニスカスと呼ばれるインク界面Meは、インクジェットノズルNzの内側にへこんだ状態となる。一方、図7の実線で示す駆動波形を用い、区間d2に示すようにマイナス電圧を急激に印加すると、インクの供給量はさらに不足した状態となる。
従って、状態aで示す通りメニスカスは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる。次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を正にすると(区間d3)、先に図5を用いて説明した原理に基づいてインクが吐出される。このとき、メニスカスがあまり内側にへこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態Cに示すごとく大きなインク滴が吐出され、メニスカスが大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよび状態cに示すごとく小さなインク滴が吐出されることになる。以上に示した通り、駆動電圧を負にする際(区間d1,d2)の変化率に応じて、ドット径を変化させることができる。本実施形態では、駆動波形とドット径との間のこのような関係に基づいて、ドット径の小さい小ドットIP1を形成するための駆動波形と、2番目のドット径からなるの中ドットIP2を形成するための駆動波形の2種類を用意している。
図8に本実施形態において用いている駆動波形を示す。駆動波形W1が小ドットIP1を形成するための波形であり、駆動波形W2が中ドットIP2を形成するための波形である。これらの駆動波形を使い分けることにより、一定のノズル径からなるノズルNzからドット径が小中の2種類のドットを形成することができる。本実施形態のカラープリンタ22では、これらの駆動波形をキャリッジ31の移動とともにW1,W2の順で連続的かつ周期的に出力している。また、図8の駆動波形W1,W2の双方を使ってドットを形成することにより、大ドットを形成することができる。この様子を図8の下段に示した。図8下段の図は、ノズルから吐出された小ドットおよび中ドットのインク滴IPs、IPmが吐出されてから用紙Pに至るまでの様子を示している。小中2種類のドットを形成する場合、図7で示したメニスカスの様子から明らかな通り、小ドットを形成する時よりも中ドットを形成する時の方がインク通路68に供給されているインク量が多い。
従って、小ドットのインク滴IPsよりも中ドットのインク滴IPmの方が勢いよく吐出される。このようなインクの飛翔速度差があるため、キャリッジ31が主走査方向に移動しながら、小ドットと中ドットを連続してする場合、キャリッジ31の走査速度および両ドットの吐出タイミングをキャリッジ31と用紙Pの間の距離に応じて調整すれば、両インク滴をほぼ同じタイミングで用紙Pに到達させることができる。本実施形態では、このようにして図8上段の2種類の駆動波形から最もドット径が最も大きい大ドットを形成しているのである。なお、本実施形態では、制御を容易にするため、こうして形成される3種類のドットのうち、大小の2種類のドットを印刷に用いている。当然、3種類全てのドットを用いて画像を印刷するものとしても構わない。本実施形態では、小ドットのドット径は、副走査方向のドットの記録ピッチと略同一となっている。すなわち、画素の一辺の長さに対し、略同一と呼べる範囲で若干大きい径となっている。
次に、カラープリンタ22の制御回路40の内部構成を説明するとともに、図6に示した複数のインクジェットノズルNzからなるヘッド28を駆動する方法について説明する。図9は制御回路40の内部構成を示す説明図である。同図において、この制御回路40の内部には、CPU81,PROM42,RAM43の他、コンピュータ90とのデータのやりとりを行うPCインタフェース44と、紙送りモータ23、キャリッジモータ24および操作パネル32などとの信号をやりとりする周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46と、ヘッド61〜66にドットのオン・オフの信号を出力する駆動用バッファ47などが設けられており、これらの素子および回路はバス48で相互に接続されている。また、制御回路40には、所定周波数で駆動波形(図8参照)を出力する発信器51、および発信器51からの出力をヘッド61〜66に所定のタイミングで分配する分配器55も設けられている。制御回路40は、コンピュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ47に出力する。
ヘッド61〜66の一つのノズル列は、駆動用バッファ47をソース側とし、分配出力器55をシンク側とする回路に介装されており、ノズル列を構成する各ピエゾ素子PEは、その電極の一方が駆動用バッファ47の各出力端子に、他方が一括して分配出力器55の出力端子に、それぞれ接続されている。分配出力器55からは、発信器51の駆動波形が出力される。CPU81から各ノズル毎にオン・オフを定め、駆動用バッファ47の各端子に信号を出力すると、駆動波形に応じて、駆動用バッファ47側からオン信号を受け取っていたピエゾ素子PEだけが駆動される。この結果、転送用バッファ47からオン信号を受け取っていたピエゾ素子PEのノズルから一斉にインク粒子Ipが吐出される。つまり、駆動波形としての電圧自体は、ドットを形成するか否かに関わらず全ノズルのピエゾ素子に印加されるが、駆動用バッファ47から出力される電圧を各ノズルごとに制御することによって、前記駆動波形の有効/無効を各ノズルごとに制御しているのである。
図6に示す通り、ヘッド61〜66は、キャリッジ31の搬送方向に沿って配列されているから、それぞれのノズル列が用紙Pに対して同一の位置に至るタイミングはずれている。図示を省略したが、分配出力器55の出力側にはディレイ回路が設けられており、ヘッド61〜66の各ノズルの位置のずれおよびキャリッジ31の搬送速度に応じ、各ノズルにより形成されるドットの主走査方向の位置が合うタイミングで駆動波形が出力されている。従って、CPU81は、このヘッド61〜66の各ノズルの位置のずれを勘案した上で、必要なタイミングで各ドットのオン・オフの信号を駆動用バッファ47を介して出力し、各色のドットを形成している。また、図6に示した通り、各ヘッド61〜66もノズルが2列に形成されている点も同様に考慮してオン・オフの信号の出力が制御されている。
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ(以下、主走査という)、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61〜64のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。なお、本実施形態では、上述の通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたカラープリンタ22を用いているが、他の方法によりインクを吐出するカラープリンタを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのカラープリンタに適用するものとしてもよい。
次に、本実施形態におけるドットの記録率の設定について説明する。ある記録率で小ドットが記録された場合の様子を図10に示す。同図において、図中の左側の四角は、ノズルを5つ備えたヘッドを示している。右側に示した「○」はそれぞれ小ドットを示している。そして、このヘッドにおいては、一部のノズルの特性に応じてヘッドからインクが吐出される方向が曲がっており、ドットの形成位置がずれた場合を示している。図示する通り、上から1番目および2番目のノズルにより形成されるドットの位置がずれている。ここで、図10に示すような低い記録率で小ドットが記録された場合は、ドット間の隙間が比較的多い。つまり、ドットが形成されない画素が比較的多く存在する。従って、ドットの形成位置にずれに起因するバンディングは目立ちにくい。例えば、図10では、ドットの記録密度が低いことに起因する隙間B2が存在することによって、バンディングB1が目立ちにくくなっている。
一方、若干記録率を増大させた場合のドットの形成の様子を図11に示す。同図において、ハッチングを施した「○」が、図10に対し新たに形成されたドットを意味している。ドットの記録密度が増大すると、ドット間の隙間が少なくなるため、バンディングが顕著になる。例えば、図11ではハッチングを施したドットの存在によって、図10で見られた隙間B2が消滅している。この結果、図11では、バンディングB1がドット間の隙間として発生し、視認されやすくなるのである。もちろん、図11に示したのは、一例に過ぎず、同じ記録率でもバンディングB1が比較的目立たないパターンでドットが形成される場合もある。但し、一般に小ドットの記録率を増大していくと、上述の理由によってバンディングが目立ちやすくなる傾向にある。印刷された画像の粒状感という観点からは、ドットが視認されにくい小ドットを多用することが好ましいが、バンディングの発生による画質の低下を避ける観点から、適用可能な記録率には上限があることになる。
このようにノズルの特性に応じてインクが吐出される方向が曲がってしまうインクの飛行特性は、カラープリンタ22の機体毎に異なる。すなわち、バンディングが目立ちやすくなる小ドットの上限は機体毎に異なることになる。かかる場合、この小ドットの上限を機体毎に適切に設定できると好適である。そこで、本実施形態においては、小ドットの上限を適宜変更し、小中大ドットの発生を規定する混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この複数の印刷画像からバンディングが目立たない小ドットの記録率が最大となる印刷画像をユーザに選択させる。そして、この選択された印刷画像における小中ドットの混在比率によって、印刷を行うことによって、バンディングを抑制できるとともに、粒状性を向上させることを可能にする。
図12は、ユーザに提供する複数の印刷画像を印刷した印刷物を示している。同図において、印刷物PRには、小ドット記録率上限を0%〜100%に10%毎に変化させるとともに、中ドット記録率上限を0%〜100%に10%毎に変化させた複数の印刷画像PR(0%,0%)〜(0%,90%)(90%,0%)が印刷されている。ここで、印刷画像(x%,y%)において、x%は小ドットの記録率を示し、y%は中ドットの記録率を示している。この場合、大ドットは吐出されない。この印刷画像は所定の画像を、該当する小中ドットの混在比率で印刷したサムネイル画像であっても良いし、当該混在比率で印刷したパッチ画像であっても良い。そして、ユーザはこの印刷画像PR(x%,y%)からバンディングが目立たない印刷画像を選択する。ここで、図13に小ドットのドット発生制限(上述した上限)から、ドットサイズ分配パターンを作成する方法を示す。ここでは、一例として、ドットサイズ順に、小中大ドットを1画素に選択して記録可能な場合を示す。
かかる場合、小中大ドットを重ねて形成できないため、小中大ドットまでの記録率の総和は、100%を超えられない。本実施形態においては、位置自由度aをa=10%とした場合について説明する。このとき、総ドット数制限値bは、b=100−a=90%となる。同図において、横軸は階調値(0〜255階調)を示すとともに、縦軸は総画素数に対するドット発生率、すなわち、記録率を示す。先ず「ステップ1」にて、小ドットを1つづつ制限値まで増加させる。そして、「ステップ2」にて、小ドットの発生を据え置き、中ドットをその制限値、もしくは、総ドット数(ここでは小ドット+中ドット)の制限値であるデューティー90%になるまで増加させていく。このとき、総ドット数制限値は、空白ドットを残すために設定され、特に誤差拡散時のドット発生自由度を高めることで高画質となる効果がある。
また、ディザにおいても、空白ドットを常に混在させた方が高画質となる場合がある。次に、「ステップ3」にて、総ドット数制限値にかかった場合は、中ドットを増加させた分、1レベル下のドット、すなわち、小ドット数を減らしていき、総ドット制限値を超えないように、中ドット制限値まで濃度を増加させ、「ステップ4」にて、既に総ドット数制限値にかかっている場合は、最大ドットである大ドットを発生させた分、画素分を小中ドットを減らす。小中ドットの減少率は大ドット発生直前の発生数比率に比例させる。以上のアルゴリズムを適宜組み合わせると、図14に示すように種々のドット分配パターンを形成することができる。そして、上述した手法によって小中大ドットのドット分配パターンが決定されると、小中大ドットの吐出量に基づいて、各階調値毎に総吐出インク量(重量または体積)を算出し、インク量を図15上段の記録率から図15下段のリニアな階調値(後述するレベルデータ)に修正する。そして、ドット分配パターンから図16に示したドット分配テーブル103を生成する。
(2)ドット形成制御:
次に、本実施形態におけるドット形成の制御処理について説明する。ドット形成制御処理ルーチンの流れを図17に示す。これは、コンピュータ90のCPU81が実行する処理である。同図において、ドット形成制御処理が開始されると、CPU81は、画像データおよび印刷条件を入力する(ステップS100)。この画像データは、図2に示したアプリケションプログラム95から受け渡されるデータであり、画像を構成する各画素ごとにR,G,Bそれぞれの色について、値0〜255の256段階の階調値を有するデータである。この画像データの解像度は、原画像のデータORGの解像度等に応じて変化する。印刷条件としては、印刷用紙の種類、カラー印刷を実行するか否かの指定、オーバラップ方式による印刷を実行するか否かの指定などがある。そして、CPU81は、入力された画像データの解像度をカラープリンタ22が印刷するための解像度に変換する(ステップS105)。画像データが印刷解像度よりも低い場合には、線形補間により隣接する原画像データの間に新たなデータを生成することで解像度変換を行う。逆に画像データが印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合でデータを間引くことにより解像度変換を行う。なお、解像度変換処理は本実施形態において本質的なものではなく、かかる処理を行わずに印刷を実行するものとしても構わない。
次に、CPU81は、色変換処理を行う(ステップS110)。色変換処理とはR,G,Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ22で使用するC,M,Y,Kの各色の階調値のデータに変換する処理である。この処理は、R,G,Bのそれぞれの組み合わせからなる色をカラープリンタ22で表現するためのC,M,Y,Kの組み合わせを記憶した色変換テーブル102(図2参照)を用いて行われる。色変換テーブル102を用いて色変換する処理自体については、公知の種々の技術が適用可能であり、例えば補間演算による処理が適用できる。こうして色変換された画像データに対して、CPU81は多値化処理を行う(ステップS115)。
多値化とは、原画像データの階調値(本実施形態では256階調)をカラープリンタ22が各画素ごとに表現可能な階調値に変換することをいう。後述する通り、本実施形態では「ドットの形成なし」「小ドットの形成」「中ドットの形成」「大ドットの形成」の4階調への多値化を行っているが、更に多くの階調への多値化を行うものとしてもよい。本実施形態における多値化処理の内容を図18を用いて説明する。多値化処理では、CPU81は画像データおよび印刷条件を入力する(ステップS200)。ここで入力される画像データDT1とは、色変換処理を施され、C,M,Y,Kの各色につき256階調を有するデータである。この画像データDT1に対し、大ドットのレベルデータLVLを取得する(ステップS205)。
このレベルデータLVLとは、ドットの記録率を値0〜255の256段階に変換したデータを言い、図15下段の縦軸にて表現される。ステップS205では、曲線LDから階調値に応じたレベルデータLVLを読みとる。例えば、図15に示した通り、画像データDT1の階調値がgrであれば、レベルデータLVLは曲線LDを用いてldと求められる。この曲線LDは図16のドット分配テーブル103に示される通り、1次元のテーブルとして記憶されているので、該ドット分配テーブル103を参照してレベルデータLVLを取得することになる。
次に、こうして設定されたレベルデータLVLと閾値THLとの大小を比較する(ステップS210)。いわゆるディザ法によるドットのオン・オフ判定を行うのである。閾値THLはいわゆるディザマトリックスにより各画素ごとに異なる値が設定される。本実施形態では16×16の正方形の画素に値0〜255までが現れるブルーノイズマトリックスを用いている。ここで、図19にディザ法によるドットのオン・オフ判定の考え方を示す。図示の都合上、一部の画素についてのみ示す。同図において、レベルデータLVLの各画素とディザテーブルの対応箇所の大小を比較する。レベルデータLVLの方がディザテーブルに示された閾値THLよりも大きい場合にはドットをオンにし、レベルデータLVLの方が小さい場合にはドットをオフとする。図19中でハッチングを付した画素がドットをオンにする画素を意味している。ステップS210において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、大ドットをオンにすべきと判断する(ステップS215)。このとき、図8に示した駆動波形W1,W2の双方でインクを吐出するため大ドットが形成される。
一方、ステップS210において、レベルデータLVLが閾値THLよりも小さい場合には、大ドットを形成すべきではない判断して、次の処理に移行し、中ドットのレベルデータLVMを設定する(ステップS215)。そして、中ドットのレベルデータLVMと閾値LVMの大小関係を比較し、中ドットのオン・オフの判定を行う(ステップS220)。オン・オフの判定方法は、大ドットの場合と同じであるが、判定に用いる閾値LVMを次に示す通り大ドットの場合の閾値LVLとは異なる値としている。大ドットと中ドットで同じディザマトリックスを用いてオン・オフの判定を行えば、ドットがオンになりやすい画素が両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高い。この結果、中ドットの記録率は所望の記録率よりも低くなる可能性がある。本実施形態ではかかる現象を回避するため、両者でディザマトリックスを変えている。つまり、オンになりやすくなる画素の位置を、大ドットと中ドットとで変えることで、それぞれが適切に形成されることを確保している。
ステップS220において、中ドットのレベルデータLVMが閾値THMよりも大きい場合には、中ドットとオンにすべきと判断する(ステップS225)。かかる場合、図8に示した駆動波形W2でインク滴が吐出され、駆動波形W1はマスクされ、中ドットが形成される。一方、ステップS220にて中ドットのレベルデータLVMが閾値THMよりも小さい場合には、中ドットを形成すべきではない判断して、次の処理に移行し、小ドットのレベルデータLVSを設定する(ステップS230)。そして、小ドットのレベルデータLVSと閾値LVSの大小関係を比較し、小ドットのオン・オフの判定を行う(ステップS235)。オン・オフの判定方法は、大ドットの場合と同じであるが、判定に用いる閾値LVSを同様に上述した閾値LVL,LVMとは異なる値としている。
ステップS235において、小ドットのレベルデータLVSが閾値THSよりも大きい場合には、小ドットとオンにすべきと判断する(ステップS240)。かかる場合、図8に示した駆動波形W1でインク滴が吐出され、駆動波形W2はマスクされ、小ドットが形成される。一方、ステップS235において、小ドットのレベルデータLVSが閾値THSよりも小さい場合には、小ドットを形成すべきでないと判断する(ステップS245)。かかる場合、図8に示す駆動波形W1,W2の両者がマスクされるから、いずれのドットも形成されなくなる。以上の処理により、一つの画素についていずれのドットを形成すべきかの判定がなされた。CPU81は、全画素について処理が終了するまで(ステップS250)、ステップS205〜S250までの処理を繰り返す。全画素について処理が終了すると、多値化処理ルーチンを一旦終了してドット形成制御処理ルーチンに戻る。
次に、CPU81はインタレースデータの生成を行う(ステップS120)。これは、1ラスタ分のデータをカラープリンタ22のヘッドに転送する順序に並べ替えることをいう。カラープリンタ22がラスタを形成する記録方法には種々のモードがある。最も単純なのは、ヘッドの1回の往運動で各ラスタのドットを全て形成するモードである。この場合には1ラスタ分のデータを処理された順序でヘッドに出力すればよい。他のモードとしては、いわゆるオーバラップがある。例えば、1回目の主走査では各ラスタのドットを例えば1つおきに形成し、2回目の主走査で残りのドットを形成する記録方法である。この場合は各ラスタを2回の主走査で形成することになる。このとき、ステップS100で入力した印刷条件により指定された内容に基づいて実行すべきインタレースデータの生成方法が選択される。こうしてカラープリンタ22が印刷可能なデータが生成されると、CPU81は該データを出力し、カラープリンタ22に転送する(ステップS125)。カラープリンタ22は、このデータを受け取って各画素にそれぞれのドットを形成して画像を印刷する。
以上の実施形態では、小中大ドットの3種類のドットを形成することにより各画素ごとに4値の表現が可能なプリンタを例にとって説明したが、さらに多くの階調値を表現可能な多値プリンタに適用することも可能である。例えば、さらに多くの径からなるドットを形成可能なプリンタや、さらに多くの濃度のインクでドットを形成可能なプリンタなどに適用することも可能である。また、上述の実施形態ではピエゾ素子を備えるインクジェットプリンタを例に説明したが、いわゆるノズルに備えたヒータに通電することによりインク内に生じるバブルでインクを吐出するタイプのプリンタを始め種々のプリンタその他の印刷装置に適用可能である。
以上で説明した印刷制御装置は、上述した各処理などコンピュータによる処理を含んでいることから、かかる処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体としての実施の態様を採ることもできる。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。また、コンピュータに上記で説明した画像処理等を行うコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様も可能である。また、以上、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実施が可能である。例えば、上記実施形態で説明した種々の制御処理は、その一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。
(3)まとめ:
このように、小中大ドットの混在比率を異ならせた複数の印刷画像を印刷し、この中から、バンディングの少ない印刷画像を選択し、同印刷画像を形成する小中大ドットの混在比率に基づいたドット分配パターンにて印刷を行うことによって、機体毎に上記混在比率を最適化することができるとともに、カラープリンタ22のヘッドの経年変化にも対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷制御装置の概略構成図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示す説明図である。
【図3】プリンタの概略構成図である。
【図4】プリンタのドット記録ヘッドの概略構成を示す説明図である。
【図5】プリンタにおけるドット形成原理を示す説明図である。
【図6】プリンタにおけるノズル配置例を示す説明図である。
【図7】径の異なるドットを形成する原理を説明する説明図である。
【図8】ノズルの駆動波形および該駆動波形の説明図である。
【図9】プリンタの制御装置の内部構成を示す説明図である。
【図10】小ドットの記録の様子を示す説明図である。
【図11】小ドットの記録の様子を示した説明図である。
【図12】印刷画像の構成を示した図である。
【図13】ドット分配パターンの作成方法を示した図である。
【図14】ドット分配パターンの他の構成を示した図である。
【図15】ドット分配パターンを修正した図である。
【図16】ドット分配テーブルの構成を示した図である。
【図17】ドット形成制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図18】多値化処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】ディザ法の考え方を示す説明図である。
【符号の説明】
12…スキャナ、14…キーボード、15…フレキシブルドライブ、16…ハードディスク、18…モデム、21…カラーディスプレイ、22…カラープリンタ、23…紙送りモータ、24…キャリッジモータ、26…プラテン、28…印字ヘッド、31…キャリッジ、32…操作パネル、34…摺動軸、36…駆動ベルト、38…プーリ、39…位置検出センサ、40…制御回路、41…CPU、42…プログラマブルROM(PROM)、43…RAM、44…PCインタフェース、45…周辺入出力部(PIO)、46…タイマ、47…転送用バッファ
48…バス、51…発信器、55…分配出力器、61〜66…インク吐出用ヘッド、67…導入管、68…インク通路、71…黒インク用のカートリッジ、72…カラーインク用カートリッジ、80…バス、81…CPU、82…ROM、83…RAM、84…入力インターフェイス、85…出力インタフェース、86…CRTC、87…ディスクコントローラ(DDC)、88…シリアル入出力インタフェース(SIO)、90…パーソナルコンピュータ、91…ビデオドライバ、95…アプリケーションプログラム、96…プリンタドライバ、97…解像度変換モジュール、98…色変換モジュール、99…ハーフトーンモジュール、100…インタレースデータ生成部、101…印刷条件入力モジュール、102…色変換テーブル、103…ドット分配テーブル、104…ドット分配テーブル生成モジュール、105…印刷画像データ作成モジュール、106…選択受付モジュール
Claims (10)
- 径の異なる2種類以上のドットの発生数を所定混在比率に基づいて混在させた印刷データを生成する印刷制御装置であって、
上記径の異なる2種類以上のドットの混在比率を異ならせた複数の印刷データを生成するとともに、同各印刷データに基づく印刷画像を印刷させる画像印刷手段と、
上記印刷された複数の印刷画像から選択された所定の印刷画像に対する指定を受け付ける印刷画像選択受付手段と、
上記印刷画像選択受付手段にて受け付けられた印刷画像を形成する上記混在比率に基づいて上記印刷データを生成する印刷データ生成手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。 - 上記画像印刷手段は、上記径の異なる2種類以上のドットのうち、特定ドットの発生数を制限する特定ドット制限値を変化させることにより上記混在比率を異ならせることを特徴とする上記請求項1に記載の印刷制御装置。
- 上記画像印刷手段は、上記径の異なる2種類以上のドットの総発生数を制限する総ドット制限値を変化させることにより上記混在比率を異ならせることを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記特定ドットは、印刷時にドットのピッチと略同一の径からなる特定ドットであることを特徴とする上記請求項2または請求項3のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記画像印刷手段は、上記印刷画像として上記混在比率を異ならせた複数のパッチ画像を印刷させることを特徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記画像印刷手段は、上記印刷画像として上記混在比率を異ならせた複数の所定画像のサムネイル画像を印刷させることを特徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記画像印刷手段は、上記径の異なる2種類以上のドットを同一色相の濃度の異なるインクにて形成可能な場合、同濃度の異なるインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させることを特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記画像印刷手段は、上記径の異なる2種類以上のドットを異なる色相のインクにてそれぞれを形成可能な場合、同異なる色相のインク毎に上記混在比率を変化させた複数の印刷画像を印刷させることを特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 径の異なる2種類以上のドットの発生数を所定の混在比率に基づいて混在させた印刷データを生成する印刷制御方法であって、
上記径の異なる2種類以上のドットの混在比率を異ならせた複数の印刷データを生成するとともに、同各印刷データに基づく印刷画像を印刷させる画像印刷工程と、
上記印刷された複数の印刷画像から選択された所定の印刷画像に対する指定を受け付ける印刷画像選択受付工程と、
上記印刷画像選択受付工程にて受け付けられた印刷画像を形成する上記混在比率に基づいて上記印刷データを生成する印刷データ生成工程とを具備することを特徴とする印刷制御方法。 - 径の径の異なる2種類以上のドットの発生数を所定の混在比率に基づいて混在させた印刷データを生成する処理をコンピュータにて実現可能にする印刷制御プログラムであって、
上記径の異なる2種類以上のドットの混在比率を異ならせた複数の印刷データを生成するとともに、同各印刷データに基づく印刷画像を印刷させる画像印刷機能と、
上記印刷された複数の印刷画像から選択された所定の印刷画像に対する指定を受け付ける印刷画像選択受付機能と、
上記印刷画像選択受付手段にて受け付けられた印刷画像を形成する上記混在比率に基づいて上記印刷データを生成する印刷データ生成機能とを具備することを特徴とする印刷制御プログラム。
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JP2010042583A (ja) * | 2008-08-12 | 2010-02-25 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像処理装置、画像記録装置、及び画像処理プログラム |
JP2012187812A (ja) * | 2011-03-10 | 2012-10-04 | Fujifilm Corp | 画像生成装置及び方法、画像形成装置 |
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2002
- 2002-11-15 JP JP2002331691A patent/JP2004160913A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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