JP2004160899A - 自動車用バンパーの射出成形型と射出成形方法 - Google Patents

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秀昭 青戸
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Abstract

【課題】射出成形型から成形された自動車用バンパーを離型する際に、バンパーに傷が付くのを防止する技術を提供する。
【解決手段】射出成形型10は、周縁部に内面側を向くフランジ22を持つ自動車用バンパー12を成形する。本発明の射出成形型10は、フランジ22内面を含むバンパー12内面を成形する第1成形型14と、フランジ22外面とそれ以外のバンパー12外面の一部を成形する第2成形型16とを備えている。第2成形型16は、フランジ22に挿入されて係止する凸部16aおよび/またはフランジを受入れて係止する凹部を有しているとともに、第1成形型14の成形面14aから離反する方向にスライド可能である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用バンパーの射出成形型と射出成形方法に関するものである。特に、射出成形型からバンパーを離型する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、自動車用バンパーの端部を構成する樹脂製の部材(以下、バンパー100と称する)を内面側から見た斜視図である。このようなバンパー100を成形する際には、分割可能な射出成形型の成形空間内に、加熱したポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を高圧で射出注入する。そして、熱可塑性樹脂を冷却して硬化させた後に射出成形型を分割し、成形されたバンパー100を射出成形型から離型する。
図6に示されているように、バンパー100の周縁部には、内面側を向くフランジ102が形成されている。フランジ102が形成されていると、バンパー100見栄えが良くなるとともに、そこを利用してマットガード等を取付けることができる。
【0003】
バンパー100を射出成形型から離型する技術が、例えば、実用新案文献1に記載されている。この技術では、バンパー100外面とフランジ102外面の一部を成形する固定型と、固定型が成形する部分以外のフランジ102外面を成形する脱型コアと、バンパー100内面を成形する可動型と、フランジ102内面とバンパー100内面を成形するスライド型を備える射出成形型を用いてバンパー100を成形する。脱型コアは、フランジ102係止用の凹凸部を有している。スライド型と脱型コアは、可動型中央方向に同期して移動可能とされている。また、脱型コアは、可動型とスライド型に対して、可動型外部方向に向けて単独でも移動可能とされている。
【0004】
【実用新案文献1】
実開平3−116907号公報
【0005】
バンパー100が成形された状態では、固定型に対してフランジ102外面の一部が干渉し、可動型と脱型コアとスライド型を一体で固定型から抜き取ることができない(いわゆる「アンダーカット」になっている)。そこで、凹凸部によってフランジ102を係止した脱型コアが、スライド型とともに可動型中央方向に移動する。脱型コアがスライド型とともに可動型中央方向に移動すると、バンパー100が変形し、固定型に対するフランジ102外面のアンダーカットが解消され、可動型とスライド型と脱型コアを一体で固定型から抜き取ることができる。この状態では、スライド型に対してフランジ102がアンダーカットになっており、依然としてバンパー100を離型することができない。次いで、脱型コアが単独で可動型外部方向に移動する。脱型コアが単独で可動型外部方向に移動すると、バンパー100が変形してスライド型に対するフランジ102のアンダーカットが解消され、バンパー100を離型することができる。
【0006】
射出成形においては、成形型の成形面どうしの合わせ部に対応する製品面に、パーティングライン(分割線)が転写されることが避けられない。上述した実用新案文献1に記載の技術は、バンパー100外面とフランジ102外面の一部を成形する固定型を用いる。バンパー100外面とフランジ102外面の一部を成形する固定型を用いると、パーティングラインはフランジ102外面に形成される。フランジ102外面は、外部から視認しにくい。従って、バンパー100の見栄えを良くすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した技術は、スライド型と脱型コアの2つの型を用い、かつアンダーカットを解消するためにスライド型と脱型コアを同期して移動させたり、脱型コアを単独で移動させたりする複雑な動きが要求される。従って、射出成形型のコストが高くなってしまう。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用と効果】パーティングラインがフランジ102以外のパンパー100外面に形成されていても、それが許容される場合がある。例えば、フランジ102がホイールアーチを兼用するような場合には、フランジ102にパーティングラインが形成されていても、それほど気にならない。そこで、図7に示すような射出成形型110が開発された。
図7は、射出成形型110を構成する可動型114と、脱型コア116と、固定型112とが組合わされ、バンパー100を成形する成形空間が形成された状態を示している。可動型114は、フランジ102内面を含むパンパー100内面を成形する。脱型コア116は、フランジ102外面と、フランジ102とバンパー本体103を結ぶアール部105の外面を成形する。固定型112は、脱型コア116が形成する部分以外のバンパー100外面を成形する。脱型コア116は、図示しない油圧シリンダによって駆動され、図7に示されている状態から、可動型114の成形面114aから離反する方向(図7の右方向)に移動することができる。
【0009】
成形されたバンパー100を離型する際には、まず最初に、可動型114と脱型コア116が図7に示されている位置関係を保ちながら、固定型112から抜き取られる。続いて、図8に示されているように、脱型コア116が可動型114の成形面114aから離反する方向に移動する。脱型コア116がフランジ102の端面102aを係止するので、脱型コア116の移動とともにフランジ102は可動型114から離れる。フランジ102が可動型114から離れると、バンパー100は、可動型114から引き剥がされるようにして、変形しながら可動型114から離型する。そして、図9に示されているように、バンパー100は、矢印118の方向に沿って射出成形型110から抜き取られる。
【0010】
バンパー100は、デザイン上の観点から複数の曲面が組合わされた形状を有している。このため、バンパー100は、可動型114から離型される際に全体が複雑に変形する。バンパー100全体が複雑に変形すると、フランジ102の長手方向に作用する力が発生し、脱型コア116に対してバンパー100が擦れながら移動することがある。脱型コア116に対してバンパー100が擦れながら移動すると、フランジ外面102bやアール部105の外面等のバンパー100外面に傷が付いてしまう。また、バンパー100の剛性が高いと、可動型114からバンパー100を引き剥がすのに大きな力を要するので、バンパー100と可動型114はより強く擦れ、バンパー100に付く傷も酷くなる。
射出成形型110は、構成が簡単であるが故に安価であるが、バンパー100を傷付けてしまうことがある。このため、射出成形型110からバンパーを離型する際に、バンパー100を傷付けない改良が必要とされている。
【0011】
本発明は、図7に示す射出成形型をさらに改良するために創作されたものであり、射出成形型から成形されたバンパーを離型する際に、バンパーに傷が付くのを防止する。
【0012】
請求項1に記載の射出成形型は、周縁部に内面側を向くフランジを持つ自動車用バンパーを成形する。本発明の射出成形型は、フランジ内面を含むバンパー内面を成形する第1成形型と、フランジ外面とそれ以外のバンパー外面の一部を成形する第2成形型とを備えている。第2成形型は、フランジに挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を有しているとともに、第1成形型の成形面から離反する方向にスライド可能である。
上記の射出成形型の第2成形型は、フランジに挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を有している。このため、第2成形型が第1成形型の成形面から離反する方向にスライドするときに、第2成形型とバンパーの間に擦れが発生するのを防止して、バンパーが傷付くのを防ぐことができる。
【0013】
請求項2に記載の射出成形方法は、周縁部に内面側を向くフランジを持つ自動車用バンパーを、フランジ内面を含むバンパー内面を成形する第1成形型と、フランジ外面とそれ以外のバンパー外面の一部を成形するとともにフランジに挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を持つ第2成形型を備える射出成形型を用いて成形する。そして、第2成形型が第1成形型の成形面から離反する方向にスライドして第1成形型からバンパーを離型する。
上記の射出成形方法に用いる射出成形型の第2成形型は、フランジ挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を有している。このため、第2成形型が第1成形型の成形面から離反する方向にスライドして第1成形型からバンパーを離型するときに、第2成形型とバンパーの間に擦れが発生するのを防止して、バンパーが傷付くのを防ぐことができる。
【0014】
請求項3に記載の自動車用バンパーは、請求項1に記載の射出成形型を用いて製造される。
上記の自動車用バンパーは、請求項1に記載の射出成形型を用いて製造される。従って、傷が付いていない自動車用バンパーを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施形態について説明する。
第2成形型は、その成形面から突出した係止部を有している。第2成形型が係止部を有していると、第2成形型がスライドしてバンパーを第1成形型から離型するときに、第2成形型とバンパーが、フランジ長手方向に擦れ合うのが防止される。係止部は、第2成形型の成形面から突出しているものに限られない。例えば、第2成形型の成形面に形成された凹状のものであってもよいし、凹凸状のものであってもよい。
【0016】
【実施例】
本発明に係る射出成形型10の実施例について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1に示されているように、本実施例の射出成形型10が成形するバンパー12は、周縁部に、内面側(図1の左方)に向かうフランジ22を有している。なお、ここでパンバー12の内面とは、バンパー12が自動車に取付けられたときに、内側となる面を意味する。射出成形型10は、固定型18、可動型14、脱型コア16を備えている。固定型18、可動型14、脱型コア16が組合わされて形成される成形空間に加熱したポリプロピレン等を高圧で射出注入してから冷却することにより、バンパー12が成形される。
可動型14は、フランジ22の内面を含むバンパー12の内面を成形する。脱型コア16は、フランジ22の外面とバンパー本体17を結ぶアール部19の外面を成形する。なお、脱型コア16は、上記の成形範囲に加えて、それに連なるバンパー本体17の一部を形成することもできる。固定型18は、脱型コア16が成形する部分以外のバンパー12外面を成形する。
なお、可動型14が、請求項に記載の第1成形型に相当する。脱型コア16が、請求項に記載の第2成形型に相当する。
【0017】
図1および図2に良く示されているように、脱型コア16のフランジ22外面を成形する面から突出して、係止部16aが設けられている。係止部16aの軸方向(図1、図2の上下方向)に直角な横断面は、例えば、矩形状とすることもできるし、円形状とすることもできる。脱型コア16に係止部16aが設けられているので、成形されたフランジ22には、係止穴22aが形成される。
脱型コア16は、油圧シリンダ(図示省略)に駆動され、図1に示されている位置と、可動型14の成形面14aから離反する方向に移動した位置との間をスライドする。
可動型14も油圧シリンダ(図示省略)と連結されている。可動型14は、油圧シリンダに駆動されて、脱型コア16とともに図1に示されている位置と、固定型18から離反した位置との間を移動する。
【0018】
射出成形型10で成形されたバンパー12を離型する際には、可動型14と脱型コア16が一体で固定型18から離反する。この状態が図3に示されている。
図3から明らかなように、可動型14と脱型コア16が固定型18から離反しても、フランジ22は、可動型14と脱型コア16との間に挟まれている。すなわち、フランジ22がアンダーカットとなっており、このままではバンパー12を離型することができない。
続いて、図4に示されているように、脱型コア16が油圧シリンダに駆動されて可動型14の成形面14aから離反する方向にスライドする。脱型コア16がフランジ22の端面22bと係止穴22aを係止しているので、脱型コア16の移動にともなって、バンパー12は可動型14から引き剥がされるようにして離型される。
【0019】
バンパー12は、複雑な曲面が組合わされた形状を有している。このため、バンパー12が可動型14から離型されるときには、バンパー12は複雑に変形する。バンパー12が複雑に変形すると、脱型コア16に対してバンパー12をフランジ22の長手方向に移動させようとする力が発生する。脱型コア16の係止部16aは、フランジ22の係止穴22aを係止している。このため、脱型コア16に対してバンパー12がフランジ22の長手方向に移動するのが禁止される。従って、脱型コア16に対してバンパー12が移動して擦れが起き、フランジ22外面やアール部22外面等のバンパー12外面に傷が付くのが防止される。
脱型コア16が可動型14の成形面14aから離反する方向に移動すると、フランジ22のアンダーカットが解消される。フランジ22のアンダーカットが解消されたバンパー12は、矢印25の方向に沿って射手成形型10から抜き取られる。
【0020】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(バンパーを成形する状態)。
【図2】図1のII−II線断面。
【図3】実施例に係る射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(固定型から離れた状態)。
【図4】実施例に係る射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(脱型コアが可動型の成形面から離れる方向に移動した状態)。
【図5】実施例に係る射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(バンパーが射出成形型から抜き取られる状態)
【図6】バンパーの斜視図。
【図7】射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(バンパーを成形する状態)。
【図8】射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(脱型コアが可動型の成形面から離れる方向に移動した状態)。
【図9】射出成形型のバンパー周縁成形部分の拡大断面図(バンパーが射出成形型から抜き取られる状態)。
【符号の説明】
10:射出成形型
12:バンパー
14:可動型、14a:成形面
16:脱型コア、16a:係止部
17:バンパー本体
18:固定型
22:フランジ、22a:係止穴、22b:端面
25:バンパーを射出成形型から抜き取る方向を示す矢印

Claims (3)

  1. 周縁部に内面側を向くフランジを持つ自動車用バンパーの射出成形型であり、
    フランジ内面を含むバンパー内面を成形する第1成形型と、フランジ外面とそれ以外のバンパー外面の一部を成形する第2成形型とを備えており、
    第2成形型は、フランジに挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を有しているとともに、第1成形型の成形面から離反する方向にスライド可能であることを特徴とする射出成形型。
  2. 周縁部に内面側を向くフランジを持つ自動車用バンパーを、フランジ内面を含むバンパー内面を成形する第1成形型と、フランジ外面とそれ以外のバンパー外面の一部を成形するとともにフランジに挿入されて係止する凸部および/またはフランジを受入れて係止する凹部を持つ第2成形型とを備える射出成形型を用いて成形し、第2成形型が第1成形型の成形面から離反する方向にスライドして第1成形型からバンパーを離型することを特徴とする射出成形方法。
  3. 請求項1に記載の射出成形型を用いて製造された自動車用バンパー。
JP2002331300A 2002-11-14 2002-11-14 自動車用バンパーの射出成形型と射出成形方法 Pending JP2004160899A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011048487A1 (en) * 2009-10-21 2011-04-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Mold structure and bumper
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