JP2004160352A - 乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光層がウエブの凹凸に沿った形状になるように塗布液膜を乾燥する乾燥方法を提供することを課題とする。
【解決手段】粗面化された表面部を有して連続走行するウエブ11に塗布液を塗布した後、ウエブ11を直ちに加熱ロール12によって加熱することにより、塗布してなる塗布液膜の流動を停止させる。加熱ロール12で直ちに加熱することにより、塗布液膜の流動を短時間で停止させ易いので、塗布液膜のレベリングが生じ難い。従って、ウエブの表面の凹凸に沿って感光層を形成し易い。
【選択図】 図1
【解決手段】粗面化された表面部を有して連続走行するウエブ11に塗布液を塗布した後、ウエブ11を直ちに加熱ロール12によって加熱することにより、塗布してなる塗布液膜の流動を停止させる。加熱ロール12で直ちに加熱することにより、塗布液膜の流動を短時間で停止させ易いので、塗布液膜のレベリングが生じ難い。従って、ウエブの表面の凹凸に沿って感光層を形成し易い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエブに塗布してなる塗布液膜を乾燥させる乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光性平板印刷版(PS版)の製造ラインでは、ウエブ(長尺のアルミ基板)を長手方向に搬送させつつ、凹凸状に表面処理されたウエブ表面に感光性の塗布液を塗布し、塗布されてなる塗布液膜を乾燥させることにより塗膜(乾膜である感光層)を形成している。
【0003】
例えば、特許文献1では、ウエブに熱風を吹き付けた後、ウエブに加熱ロールを接触させることにより、ウエブに残留している溶剤量を制御している。また、特許文献2では、ウエブに熱風を吹き付けた後、接触面積を変更できる加熱ロールをウエブに接触させることにより乾燥状態を制御している。また、特許文献3では、乾燥工程中に遠赤外線を照射して、版面の温度を50℃〜130℃の範囲内にすることにより乾燥工程にかかる時間を短縮し、生産効率を向上させている。
【0004】
しかし、感光性の塗布液が塗布されたウエブを乾燥して塗膜を形成する乾燥工程においては、通常の熱風吹き付け法や、その後に加熱ロールを接触させる方法では、塗布液膜の流動性がなくなるまでの間のレベリングにより、ウエブ表面に凹凸が形成されていても塗膜の表面が平坦になってしまう。図を用いて具体例を挙げて説明すると、例えば、図3に示すように、アルミ基板86の上に感光層84を形成した場合、アルミ基板86の凸部92の感光層部分88Sの厚みd1は、アルミ基板86の凹部90の感光層部分88Tの厚みd2に比べ、レベリングにより極端に薄くなってしまう。
【0005】
このため、アルミ基板86の凹部90では、現像時、感光層部分88Tが画像部の中間調部分であるシャドー部になる時、充分に除去され難く、感光性平版印刷版として使用したときに汚れが発生し易いという問題があった。また、凸部92では、薄くなり過ぎた感光層部分88Sでは、耐刷性が不足するという問題も発生していた。
【0006】
なお、このような問題は、PS版に限らず、一般的な感光性平板印刷版であっても生じていた。例えば、アルミ基板86上に感光層及び保護層を順次設けた場合は、凸部92では、保護層の厚みが薄くなり過ぎ、その部分では耐傷性が不良であるという問題が発生していた。
【0007】
この対策として、ウエブの凹部の深さを制御することが考えられるが、ウエブの表面処理条件に制約が加わるという難点がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−70837号公報
【特許文献2】
特開平6−63487号公報
【特許文献3】
特開平6−317896号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、塗膜がウエブの凹凸に沿った形状になるように塗布液膜を乾燥する乾燥方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、粗面化された表面部を有して連続走行するウエブに塗布液を連続塗布し、塗布されてなる塗布液膜を乾燥させる乾燥方法において、塗布液の塗布後にウエブを加熱ロールによって加熱することにより、前記塗布液膜の流動を停止させること(すなわち、いわゆるセットすること)を特徴とする。
【0011】
塗布後に急速に乾燥する方法としては、赤外線照射法、誘導加熱法、加熱ロール法などが考えられるが、加熱ロールを接触させて加熱することが伝熱性の点で優れている。塗布液膜の流動が停止したかどうかは、例えば、目視、或いは、指による感触によって判断する。
【0012】
請求項1に記載の発明により、塗布後、セットし易いので、セットする際に塗布液膜のレベリングが生じ難い。従って、ウエブの表面の凹凸に沿って感光層を形成し易い。
【0013】
塗布液膜の流動を停止させるには、塗布後2秒以内(より好ましくは塗布後1秒以内)に前記塗布液膜の流動を停止させることが好ましく、加熱ロールの温度、寸法等もこれを考慮して設定すると良い。
【0014】
塗布液の溶剤としては、メチルエチルケトンのような低沸点の溶剤を使用すると、加熱ロールの温度が比較的低くても急速に乾燥させることが容易である。但し、この場合、加熱ロールの温度が高過ぎると溶剤が沸騰して良好な塗膜が得られないので、加熱ロールの温度を上げ過ぎないように注意を要する。プロピレングリコールモノメチルエーテルのような比較的高沸点の溶剤を使用した場合、比較的高い温度で溶剤の沸騰が生じるので、加熱ロールの温度を高くすることができる。塗布液の固形分は少ないほど効果が上がるが、塗布量、乾燥後の塗膜厚さ等の観点から適宜選択する。
【0015】
塗布液としては、ポジ型の感光液に限定されず、光重合性感光液を含む溶剤系塗布液、水系塗布液等であっても適用され得る。塗布層は1層以上であり、層数については特に限定されない。また、粗面化処理されたウエブに直接に塗布して乾燥させる場合に限られず、既に塗布層を設けたウエブに塗布液を塗布して乾燥させる場合であっても適用され得る。
【0016】
塗布方式としては、ロールコート、バーコート、グラビアコート、スライドビード等があり、塗布量は、それぞれの塗布方式により最適に決定される。
【0017】
また、乾燥後の平均塗膜厚みが同じになるように塗布液を調製してウエブに塗布する際、塗布量が多いほど、凹部と凸部とでの塗膜の厚み差を小さくすることについて大きな効果が得られる。例えば、加熱ロールに接触する直前の塗布液膜の平均厚さが、ウエブの波状形状の波高さの3倍以上であることが好ましく、4倍以上であることが更に好ましい。
【0018】
加熱ロール自体を加熱する方法は、蒸気、熱媒体、温水等の媒体加熱、赤外線照射等があるが、特に限定されない。また、加熱ロールから乾燥装置までの長さは特に限定されないが、短いほうが好ましく、設備上の観点から2m以内であることが好ましい。
【0019】
塗布液が塗布されてからウエブの非塗布面が加熱ロールに接触するまでの時間は特に限定されないが、その間の溶剤蒸発量が少ないほど好ましいため、溶剤蒸発量が塗布量の10%以下である時間内にすることが好ましい。更には、設備上などの観点からこの時間を5秒以内にすることが好ましい。
【0020】
前記加熱ロールの温度は、実用的な観点上、60℃〜120℃の範囲内であることが多い。また、前記ウエブに塗布液を塗布する際、あまり多量に塗布する必要はなく、実用的には単位面積あたりの塗布液量を20cc/m2以下とすることが多い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態で用いる、感光性平版印刷版の製造ライン10を示す模式的な側面図である。製造ライン10には、ウエブ11に塗布液を塗布する塗布部14と、塗布部14で塗布された直後にウエブ11に当接する加熱ロール12と、加熱ロール12を経由したウエブ11が搬入される乾燥装置16と、が設けられている。
【0022】
本形態では、まず、ブラシグレイン法による機械的砂目立ての後に電気化学的砂目立てを行って、長尺のアルミ基板(ウエブ)11の表面を波長7〜20μm、波高4μmの波状にした。そして、2g/m2の陽極酸化皮膜を形成した後、親水化処理を行った。
【0023】
このウエブを用い、図1に示した製造ライン10で、ウエブ裏面側(非塗布面側)からの加熱ロール12の接触時間が2秒になるようにウエブ11の走行速度を設定した。そして、ウエブ11を走行させ、ポジ型の感光液(濃度10.6%、溶剤はメチルエチルケトン)を塗布量11.3cc/m2でウエブ11に塗布して塗布液膜18を形成し、直ちに加熱ロール12に接触させた。その後、後乾燥として、100℃の熱風により1〜2分間乾燥させることにより、図2に示すように、塗膜である感光層20を形成した。
【0024】
その際、加熱ロール12の温度をパラメータとして変化させた。温度値を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1で、加熱ロール12の温度はウエブ11との接触時の表面温度を示す。加熱ロール12の温度は、実施例1では60℃、実施例2では80℃、実施例3では120℃とした。ウエブ11に塗布されてなる塗布液膜18の流動が停止したか否か(すなわち、セットされたか否か)の判断は、加熱ロール12の通過直後に綿棒で塗布液膜18の表面を擦り、綿棒への塗布液の付着の程度により判断した。付着の程度も表1に示す。
【0027】
加熱温度を高くし過ぎた実験例(加熱ロール12の温度を140℃にした例)も比較例1として行った。また、塗布後、加熱ロール12を加熱せずに100℃の熱風により2分間乾燥させた実験例も比較例2として行った。これらの実験結果も表1に併せて示す。
【0028】
表1で、二重マルは付着なし、1重マルはほとんど付着なし、三角はやや付着あり、バツ印はかなり付着あり、をそれぞれ示す。表1では、ウエブ11の表面の凹凸形状に沿ってセットできるのは三角レベル以上の場合であると推定される。(なお、バツ印に相当する例は、本形態では観察されなかった。)
このようにして得られたPS版を現像処理し、その後、ハイデルブルグ社製SOR−M印刷機に取付け、印刷評価を行った。その際、富士写真フィルム(株)製EU−3(1:100)にイソプロピルアルコールを10%添加したものを湿し水として使用し、東洋インキ(株)製マークファイブニュー墨をインキとして用いた。
【0029】
そして、画像部の中間調部分であるシャドー部の汚れ(すなわち後述の凹部24に起因する汚れ)については印刷機上で湿し水を絞ったときの印刷物の80%の網点が開いているかどうかで判断した。なお、シャドー部の汚れの程度も、Aは完全に開いていている、Bはほぼ開いている、Cはやや詰まっている、Dはかなり詰まっている、としてそれぞれ表1に示す(なお、Cに相当する例は、本形態では観察されなかった)。シャドー部の詰まりが少なく好ましい印刷物が得られるのは、B以上のレベルである。
【0030】
表1からわかるように、実施例1〜実施例3では、綿棒付着状況についてはセット可能な状態であるという結果が得られた。比較例1では、加熱温度が高すぎて塗布液中の溶剤が沸騰し、良好な感光層は得られなかった。また、比較例2では、y値が高過ぎてシャドー部の汚れの程度がひどかった。
【0031】
その後、表面処理されたウエブ11に形成された感光層20の表面の形状が、ウエブ11の表面の凹凸形状をどの程度反映しているかを評価する関係式として、y=(L2−L1)/h の式を用いた。ここで、図2に示すように、L1及びL2は、ウエブ(アルミ基板)11の波状表面のそれぞれ隣接する凹部24及び凸部26における感光層20の膜厚を示し、hは、ウエブ11の波高さ(すなわち、感光層20の下地表面の凹部24と凸部26との高さ差)を示す。
【0032】
L1、L2、hの測定は、作製した感光性平版印刷版の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、写真上で測定された長さに倍率を乗算することによって行った。その際、10ヶ所の断面で測定を行って、得られた各y値の平均値を正しいy値として表1に記載した。
【0033】
表1より、加熱ロール12を用いた実施例1〜実施例3の場合では、綿棒の付着状況の結果から、ウエブ11の表面形状に沿った形状でセットできる程度にまで乾燥していることが判り、また、シャドー部の汚れがあまりなく、好ましい印刷物を得るのに充分な程度であることも判った。また、y値が0.75以下であり、加熱ロール12を用いなかった比較例2のy値0.81に比べて低く、感光層20の表面が充分に波状になっていることも判った。
【0034】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、感光層をウエブ上に複数層形成する場合など、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、塗膜の表面がウエブの凹凸に沿った形状になるように塗布液膜を乾燥させることができる。従って、シャドー部の汚れが改善されるので品質が向上し、しかも、熱風乾燥に比べ省エネ効果を奏する。また、設備コストを低減させることができ、ウエブの表面形状の制約を大幅に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態で、ウエブに塗布液を塗布し、加熱ロールで加熱した後に乾燥装置で乾燥させることを示す模式的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態で感光層が形成されたウエブの側面部分断面図である。
【図3】従来の感光性平版印刷版の問題点を示す側面部分拡大断面図である。
【符号の説明】
11 ウエブ
12 加熱ロール
18 塗布液膜
86 アルミ基板(ウエブ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエブに塗布してなる塗布液膜を乾燥させる乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光性平板印刷版(PS版)の製造ラインでは、ウエブ(長尺のアルミ基板)を長手方向に搬送させつつ、凹凸状に表面処理されたウエブ表面に感光性の塗布液を塗布し、塗布されてなる塗布液膜を乾燥させることにより塗膜(乾膜である感光層)を形成している。
【0003】
例えば、特許文献1では、ウエブに熱風を吹き付けた後、ウエブに加熱ロールを接触させることにより、ウエブに残留している溶剤量を制御している。また、特許文献2では、ウエブに熱風を吹き付けた後、接触面積を変更できる加熱ロールをウエブに接触させることにより乾燥状態を制御している。また、特許文献3では、乾燥工程中に遠赤外線を照射して、版面の温度を50℃〜130℃の範囲内にすることにより乾燥工程にかかる時間を短縮し、生産効率を向上させている。
【0004】
しかし、感光性の塗布液が塗布されたウエブを乾燥して塗膜を形成する乾燥工程においては、通常の熱風吹き付け法や、その後に加熱ロールを接触させる方法では、塗布液膜の流動性がなくなるまでの間のレベリングにより、ウエブ表面に凹凸が形成されていても塗膜の表面が平坦になってしまう。図を用いて具体例を挙げて説明すると、例えば、図3に示すように、アルミ基板86の上に感光層84を形成した場合、アルミ基板86の凸部92の感光層部分88Sの厚みd1は、アルミ基板86の凹部90の感光層部分88Tの厚みd2に比べ、レベリングにより極端に薄くなってしまう。
【0005】
このため、アルミ基板86の凹部90では、現像時、感光層部分88Tが画像部の中間調部分であるシャドー部になる時、充分に除去され難く、感光性平版印刷版として使用したときに汚れが発生し易いという問題があった。また、凸部92では、薄くなり過ぎた感光層部分88Sでは、耐刷性が不足するという問題も発生していた。
【0006】
なお、このような問題は、PS版に限らず、一般的な感光性平板印刷版であっても生じていた。例えば、アルミ基板86上に感光層及び保護層を順次設けた場合は、凸部92では、保護層の厚みが薄くなり過ぎ、その部分では耐傷性が不良であるという問題が発生していた。
【0007】
この対策として、ウエブの凹部の深さを制御することが考えられるが、ウエブの表面処理条件に制約が加わるという難点がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−70837号公報
【特許文献2】
特開平6−63487号公報
【特許文献3】
特開平6−317896号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、塗膜がウエブの凹凸に沿った形状になるように塗布液膜を乾燥する乾燥方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、粗面化された表面部を有して連続走行するウエブに塗布液を連続塗布し、塗布されてなる塗布液膜を乾燥させる乾燥方法において、塗布液の塗布後にウエブを加熱ロールによって加熱することにより、前記塗布液膜の流動を停止させること(すなわち、いわゆるセットすること)を特徴とする。
【0011】
塗布後に急速に乾燥する方法としては、赤外線照射法、誘導加熱法、加熱ロール法などが考えられるが、加熱ロールを接触させて加熱することが伝熱性の点で優れている。塗布液膜の流動が停止したかどうかは、例えば、目視、或いは、指による感触によって判断する。
【0012】
請求項1に記載の発明により、塗布後、セットし易いので、セットする際に塗布液膜のレベリングが生じ難い。従って、ウエブの表面の凹凸に沿って感光層を形成し易い。
【0013】
塗布液膜の流動を停止させるには、塗布後2秒以内(より好ましくは塗布後1秒以内)に前記塗布液膜の流動を停止させることが好ましく、加熱ロールの温度、寸法等もこれを考慮して設定すると良い。
【0014】
塗布液の溶剤としては、メチルエチルケトンのような低沸点の溶剤を使用すると、加熱ロールの温度が比較的低くても急速に乾燥させることが容易である。但し、この場合、加熱ロールの温度が高過ぎると溶剤が沸騰して良好な塗膜が得られないので、加熱ロールの温度を上げ過ぎないように注意を要する。プロピレングリコールモノメチルエーテルのような比較的高沸点の溶剤を使用した場合、比較的高い温度で溶剤の沸騰が生じるので、加熱ロールの温度を高くすることができる。塗布液の固形分は少ないほど効果が上がるが、塗布量、乾燥後の塗膜厚さ等の観点から適宜選択する。
【0015】
塗布液としては、ポジ型の感光液に限定されず、光重合性感光液を含む溶剤系塗布液、水系塗布液等であっても適用され得る。塗布層は1層以上であり、層数については特に限定されない。また、粗面化処理されたウエブに直接に塗布して乾燥させる場合に限られず、既に塗布層を設けたウエブに塗布液を塗布して乾燥させる場合であっても適用され得る。
【0016】
塗布方式としては、ロールコート、バーコート、グラビアコート、スライドビード等があり、塗布量は、それぞれの塗布方式により最適に決定される。
【0017】
また、乾燥後の平均塗膜厚みが同じになるように塗布液を調製してウエブに塗布する際、塗布量が多いほど、凹部と凸部とでの塗膜の厚み差を小さくすることについて大きな効果が得られる。例えば、加熱ロールに接触する直前の塗布液膜の平均厚さが、ウエブの波状形状の波高さの3倍以上であることが好ましく、4倍以上であることが更に好ましい。
【0018】
加熱ロール自体を加熱する方法は、蒸気、熱媒体、温水等の媒体加熱、赤外線照射等があるが、特に限定されない。また、加熱ロールから乾燥装置までの長さは特に限定されないが、短いほうが好ましく、設備上の観点から2m以内であることが好ましい。
【0019】
塗布液が塗布されてからウエブの非塗布面が加熱ロールに接触するまでの時間は特に限定されないが、その間の溶剤蒸発量が少ないほど好ましいため、溶剤蒸発量が塗布量の10%以下である時間内にすることが好ましい。更には、設備上などの観点からこの時間を5秒以内にすることが好ましい。
【0020】
前記加熱ロールの温度は、実用的な観点上、60℃〜120℃の範囲内であることが多い。また、前記ウエブに塗布液を塗布する際、あまり多量に塗布する必要はなく、実用的には単位面積あたりの塗布液量を20cc/m2以下とすることが多い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態で用いる、感光性平版印刷版の製造ライン10を示す模式的な側面図である。製造ライン10には、ウエブ11に塗布液を塗布する塗布部14と、塗布部14で塗布された直後にウエブ11に当接する加熱ロール12と、加熱ロール12を経由したウエブ11が搬入される乾燥装置16と、が設けられている。
【0022】
本形態では、まず、ブラシグレイン法による機械的砂目立ての後に電気化学的砂目立てを行って、長尺のアルミ基板(ウエブ)11の表面を波長7〜20μm、波高4μmの波状にした。そして、2g/m2の陽極酸化皮膜を形成した後、親水化処理を行った。
【0023】
このウエブを用い、図1に示した製造ライン10で、ウエブ裏面側(非塗布面側)からの加熱ロール12の接触時間が2秒になるようにウエブ11の走行速度を設定した。そして、ウエブ11を走行させ、ポジ型の感光液(濃度10.6%、溶剤はメチルエチルケトン)を塗布量11.3cc/m2でウエブ11に塗布して塗布液膜18を形成し、直ちに加熱ロール12に接触させた。その後、後乾燥として、100℃の熱風により1〜2分間乾燥させることにより、図2に示すように、塗膜である感光層20を形成した。
【0024】
その際、加熱ロール12の温度をパラメータとして変化させた。温度値を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1で、加熱ロール12の温度はウエブ11との接触時の表面温度を示す。加熱ロール12の温度は、実施例1では60℃、実施例2では80℃、実施例3では120℃とした。ウエブ11に塗布されてなる塗布液膜18の流動が停止したか否か(すなわち、セットされたか否か)の判断は、加熱ロール12の通過直後に綿棒で塗布液膜18の表面を擦り、綿棒への塗布液の付着の程度により判断した。付着の程度も表1に示す。
【0027】
加熱温度を高くし過ぎた実験例(加熱ロール12の温度を140℃にした例)も比較例1として行った。また、塗布後、加熱ロール12を加熱せずに100℃の熱風により2分間乾燥させた実験例も比較例2として行った。これらの実験結果も表1に併せて示す。
【0028】
表1で、二重マルは付着なし、1重マルはほとんど付着なし、三角はやや付着あり、バツ印はかなり付着あり、をそれぞれ示す。表1では、ウエブ11の表面の凹凸形状に沿ってセットできるのは三角レベル以上の場合であると推定される。(なお、バツ印に相当する例は、本形態では観察されなかった。)
このようにして得られたPS版を現像処理し、その後、ハイデルブルグ社製SOR−M印刷機に取付け、印刷評価を行った。その際、富士写真フィルム(株)製EU−3(1:100)にイソプロピルアルコールを10%添加したものを湿し水として使用し、東洋インキ(株)製マークファイブニュー墨をインキとして用いた。
【0029】
そして、画像部の中間調部分であるシャドー部の汚れ(すなわち後述の凹部24に起因する汚れ)については印刷機上で湿し水を絞ったときの印刷物の80%の網点が開いているかどうかで判断した。なお、シャドー部の汚れの程度も、Aは完全に開いていている、Bはほぼ開いている、Cはやや詰まっている、Dはかなり詰まっている、としてそれぞれ表1に示す(なお、Cに相当する例は、本形態では観察されなかった)。シャドー部の詰まりが少なく好ましい印刷物が得られるのは、B以上のレベルである。
【0030】
表1からわかるように、実施例1〜実施例3では、綿棒付着状況についてはセット可能な状態であるという結果が得られた。比較例1では、加熱温度が高すぎて塗布液中の溶剤が沸騰し、良好な感光層は得られなかった。また、比較例2では、y値が高過ぎてシャドー部の汚れの程度がひどかった。
【0031】
その後、表面処理されたウエブ11に形成された感光層20の表面の形状が、ウエブ11の表面の凹凸形状をどの程度反映しているかを評価する関係式として、y=(L2−L1)/h の式を用いた。ここで、図2に示すように、L1及びL2は、ウエブ(アルミ基板)11の波状表面のそれぞれ隣接する凹部24及び凸部26における感光層20の膜厚を示し、hは、ウエブ11の波高さ(すなわち、感光層20の下地表面の凹部24と凸部26との高さ差)を示す。
【0032】
L1、L2、hの測定は、作製した感光性平版印刷版の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、写真上で測定された長さに倍率を乗算することによって行った。その際、10ヶ所の断面で測定を行って、得られた各y値の平均値を正しいy値として表1に記載した。
【0033】
表1より、加熱ロール12を用いた実施例1〜実施例3の場合では、綿棒の付着状況の結果から、ウエブ11の表面形状に沿った形状でセットできる程度にまで乾燥していることが判り、また、シャドー部の汚れがあまりなく、好ましい印刷物を得るのに充分な程度であることも判った。また、y値が0.75以下であり、加熱ロール12を用いなかった比較例2のy値0.81に比べて低く、感光層20の表面が充分に波状になっていることも判った。
【0034】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、感光層をウエブ上に複数層形成する場合など、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、塗膜の表面がウエブの凹凸に沿った形状になるように塗布液膜を乾燥させることができる。従って、シャドー部の汚れが改善されるので品質が向上し、しかも、熱風乾燥に比べ省エネ効果を奏する。また、設備コストを低減させることができ、ウエブの表面形状の制約を大幅に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態で、ウエブに塗布液を塗布し、加熱ロールで加熱した後に乾燥装置で乾燥させることを示す模式的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態で感光層が形成されたウエブの側面部分断面図である。
【図3】従来の感光性平版印刷版の問題点を示す側面部分拡大断面図である。
【符号の説明】
11 ウエブ
12 加熱ロール
18 塗布液膜
86 アルミ基板(ウエブ)
Claims (4)
- 粗面化された表面部を有して連続走行するウエブに塗布液を連続塗布し、塗布されてなる塗布液膜を乾燥させる乾燥方法において、
塗布液の塗布後にウエブを加熱ロールによって加熱することにより、前記塗布液膜の流動を停止させることを特徴とする乾燥方法。 - 塗布後2秒以内に前記塗布液膜の流動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の乾燥方法。
- 前記加熱ロールの温度が60℃〜120℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥方法。
- 塗布する際、単位面積あたりの塗布液量を20cc/m2以下にすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか1項に記載の乾燥方法。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114367414A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-04-19 | 江阴市乐事康工业设计有限公司 | 一种锂电池极片涂布加热工艺及设备 |
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2002
- 2002-11-13 JP JP2002329096A patent/JP2004160352A/ja active Pending
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