JP2004160347A - 炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭酸ナトリウム含有水溶液を高度に清澄化でき、特別な設備を必要とせず簡便であり、しかも清澄化のコストが低い技術を提供することを課題とする。
【解決手段】炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加えて、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を加えて、凝集沈殿物を除去することを特徴とする炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加えて、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を加えて、凝集沈殿物を除去することを特徴とする炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ナトリウム含有水溶液、例えば、パルプ製造工程における緑液の清澄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸ナトリウムは、化学工業上最も重要な製品の一つであり、工業的製法にはルブランソーダ法、アンモニアソーダ法および電解法があるが、現在は専らアンモニアソーダ法だけが行われている。この炭酸ナトリウムの工業的用途は、ナトリウムおよび炭酸基を利用する場合と、単に安価なアルカリとして利用する場合とがある。具体的には、セッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの原料として、また製紙、染料工業、アミノ酸製造、洗濯用の薬剤としてなど、様々な分野で炭酸ナトリウム含有水溶液が広汎に用いられている。
【0003】
この炭酸ナトリウム含有水溶液を工業的に使用するには、不純物を極力除去することが求められている。しかし、炭酸ナトリウム含有水溶液を凝集沈殿法で清澄化する場合、炭酸ナトリウム含有水溶液は強アルカリ性であるため、この強アルカリ性条件下で効率よく凝集物を生成し、また長時間凝集効果を維持できる高分子凝集剤は開発されていなかった。
【0004】
紙パルプ工業における化学パルプの製造方法としては、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムから成る白液と呼ばれる蒸解液で木材チップをパルプ化するクラフトパルプ法が主に採用されており、その修正法であるMCC、EMCC、ITC、Lo−solid法の操業も行われている。蒸解後の液には、溶解したリグニンやヘミセルロースなどの有機物が多量に含有されており、黒液と呼ばれている。この黒液からのナトリウムやイオウなどの無機物質の回収と、黒液中の有機物を熱源として利用する目的で、黒液は真空蒸発缶で濃縮され回収ボイラーで燃焼される。燃焼後、ナトリウムやイオウなどの無機物質はスメルトという溶融した形となり、このスメルトを水あるいは弱液に溶解したものを緑液と呼んでいる。この緑液は炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とし、未燃カーボンや木材由来の各種金属の硫化物などの不純物を含有している。この緑液は緑液クラリファイヤーで不純物を沈降分離させる。上澄み液には酸化カルシウムが投入され、炭酸ナトリウムは水酸化ナトリウムへと変化し、液組成は水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムに再生し、再び白液として使用される。現状、緑液クラリファイヤーでの沈降は自然沈降が主流であり、沈降効率が優れている凝集沈降による清澄化の技術開発が望まれている。
【0005】
炭酸ナトリウム含有水溶液中の不純物を除去し、炭酸ナトリウムを生成する従来の技術としては、例えば、アンモニアソーダ法で製造され、塩素、鉄、二酸化珪素などの不純物を含む炭酸ナトリウムの工業塩の精製方法として、水溶液を加熱して二酸化炭素を通じ、これを蒸発させ炭酸ナトリウムを析出させることが行われている(非特許文献1参照)。また、ソーダスラグのようなイオウ化合物、珪素化合物、燐化合物などの不純物含有量が多い炭酸ナトリウム水溶液から、蒸発法により炭酸ナトリウム1水塩を晶析させる方法において、溶液のpHを11.5〜12.5の範囲内に保ちながら炭酸ナトリウムを晶析させる技術が開示されている(特許文献1参照)。しかし、これらの晶析技術では、水分を蒸発させるために多くの熱エネルギーを必要とし、炭酸ナトリウムの精製コストが極めて高くなるという問題がある。
【0006】
パルプ製造工場の苛性化工程における炭酸ナトリウム含有水溶液である緑液の清澄化の従来技術としては、例えば、パルプ蒸解工程において緑液中の炭酸ナトリウムを消石灰又は生石灰を用いて苛性化したのち、生成した炭酸カルシウムを分離回収するに当たり、苛性化する前に、該緑液中に空気を吹き込んで、その中に懸濁している遊離カーボンを主体とする黒色浮遊物を凝集させ、次いでこのものを除去して該緑液を清澄化する技術が登録されており、凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤などの有機系凝集剤が好ましく用いられることが示されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では浮選のための特別な装置を必要とし、また除去できるのは遊離カーボンのみであり、緑液に溶解している例えば硫化鉄などの不純物は除去できないという欠点がある。
【0007】
また、クラフトパルプの製造の苛性化サイクルにおける石灰泥を使用して紙の塗料用顔料として使用することができる炭酸カルシウムを回収する方法において、緑液を濾過する技術が開示され、緑液を任意の適当な手段によって、例えば、静置デカンテーションに引き続く最終濾過によって、遠心処理によって、またはプレフィルターでの濾過によって濾過すること、該濾過は約80℃以上、好ましくは90℃以上の温度で実施することが記載されている(特許文献3参照)。しかし、この方法では、既存のデカンテーションのための沈降装置の他に、別に濾過装置が必要であり現実的な方法とは言えない。
【0008】
また、クラフトパルプ製造工程の薬品回収工程で発生する緑液に生石灰を添加して消和、苛性化する工程において、該生石灰の添加を二段階に分割し、第一段階で添加総量の0.5〜50%の生石灰を先に添加し、緑液中に懸濁する不純物を苛性化反応で生成した炭酸カルシウムと共沈させて除去する方法が示されている(特許文献4参照)。しかし、この方法では、生石灰の二段階分割添加の設備を必要とし、また、この分割添加により生成した炭酸カルシウムをそれぞれ別処理することが必要となるため、この方法も実用的ではない。
【0009】
【非特許文献1】
「化学大辞典」共立出版株式会社、1961年4月15日、p.731,734
【特許文献1】
特開昭60−77126号公報
【特許文献2】
特許第1741083号明細書(特公平4−29606号公報)
【特許文献3】
特開昭61−183120号公報
【特許文献4】
特開平01−226719号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、炭酸ナトリウム含有水溶液を高度に清澄化でき、特別な設備を必要とせず簡便であり、しかも清澄化のコストが低い技術を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加することにより、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加することにより、該水溶液に含まれる懸濁物質のみならず、コロイド状の金属硫化物などの金属塩なども凝集沈殿させて除去でき、該水溶液を高度に清澄化でき、上記の従来技術の問題や欠点を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
本発明の炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加し、炭酸ナトリウム含有水溶液に含まれている固形の懸濁物質やコロイド状の各種の金属を凝集させ、この凝集物を除去し、清澄化することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加し、炭酸ナトリウム含有水溶液に含まれている固形の懸濁物質やコロイド状の各種の金属を凝集させ、この凝集物を除去し、清澄化することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における「炭酸ナトリウム含有水溶液」としては、炭酸ナトリウムが主成分の一つとして含まれていれば特に限定されず、具体的には、セッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの原料、また製紙、染料工業、アミノ酸製造、洗濯用の薬剤などで使用される炭酸ナトリウム含有水溶液を挙げることができる。また、パルプ製造工程で副生する炭酸ナトリウムを含む緑液に本発明の清澄方法を適用すると効果が大きく、高度に清澄化した緑液を得ることができる。しかも、緑液の清澄化による付随する他の様々な効果も期待できる。
【0015】
本発明の清澄化方法で用いられる「カチオン系高分子凝集剤」は、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される。
本発明においてカチオン系高分子凝集剤として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物の一方のモノマーである「(メタ)アクリル酸エステル系化合物」とは、例えば、アクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウムクロライド、アクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウム硫酸塩、メタクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウムクロライドなどのアクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物を意味する。
【0016】
そして、このアクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとを公知の方法で共重合させて、本発明の(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物が得られる。その重量平均分子量は、5万〜1,000万程度が好ましく、100万〜1,000万程度がより好ましい。
【0017】
本発明においてカチオン系高分子凝集剤として用いられる「ポリアミン系化合物」としては、例えば、ジアルキルアミンアルキルアクリレート、ジアルキルアミンアルキルメタクリレートなどのアミン系化合物を公知の方法により重合させたものが挙げられ、その重量平均分子量は、1万〜100万程度が好ましく、1万〜50万程度がより好ましい。
【0018】
なお、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物、ポリアミン系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
【0019】
本発明の清澄方法では、炭酸ナトリウム含有水溶液に、カチオン系高分子凝集剤を添加し、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加して、凝集沈殿物を生成させ、この凝集物を除去してもよい。
「アニオン系高分子凝集剤」としては、例えば、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、ポリメタクリルアミドの部分加水分解物またはその共重合物などが挙げられる。ポリアクリルアミドの部分加水分解物をアニオン系高分子凝集剤として用いる場合、その重量平均分子量は、5万〜3,000万程度が好ましく、500万〜2,000万程度がより好ましい。
【0020】
本発明の清澄方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、前記のカチオン系高分子凝集剤を添加して、あるいはカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤を順次添加して処理するが、これらの高分子凝集剤は、そのまま用いてもよいが、予め水に溶解して用いるのが好ましい。
【0021】
カチオン系高分子凝集剤の添加量は、炭酸ナトリウム含有水溶液に対して、1〜100mg/L、好ましくは2〜50mg/Lである。
また、アニオン系高分子凝集剤の添加量は、1〜100mg/L、好ましくは2〜50mg/Lである。
各高分子凝集剤の添加量がこの範囲であれば、炭酸ナトリウム含有水溶液中の懸濁物質は勿論のこと、コロイドの状態であり、水溶液の着色の一原因となっている各種の金属塩を除去することができる。炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、懸濁物質としては未燃カーボンであり、コロイド状の金属塩としては硫化鉄、硫化マグネシウム、硫化マンガンなどの硫化金属塩である。
【0022】
カチオン系高分子凝集剤の添加により生成した凝集沈殿物は、公知の例えば、シックナーなどの連続式の沈降分離装置などの方法で除去することができる。カチオン系高分子凝集剤に加えてアニオン系高分子凝集剤を用いる場合、凝集沈殿物の除去は、カチオン系高分子凝集剤による凝集沈殿物を先ず除去し、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加して生成する凝集沈殿物を除去してもよいし、両高分子凝集剤による凝集沈殿物をまとめて一度に除去してもよい。
【0023】
炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、パルプ工場で通常設置されている沈降分離型装置である緑液クラリファイヤーなどの装置内で、緑液に本発明の高分子凝集剤を添加し凝集物を生成させ、沈降分離した凝集沈殿物を汲み上げ、ドレッグスフィルターなどの濾過装置で凝集物を濾過し、系外へ排出する。
【0024】
【実施例】
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄度は、吸光光度計(株式会社日立製作所製、型式:V−3210)を用いて、波長645nmにおける吸光度を測定し評価した。吸光度が低いほど、清澄化の度合が高い。
炭酸ナトリウム含有水溶液としては、パルプ工場の緑液(日本製紙株式会社岩国工場、クラフトパルプ)を用いた。この緑液中の炭酸ナトリウムの濃度は、110.5g/Lであった。また不純物の量は、5.832g/Lであり、有機分(未燃カーボン)/無機分=18/82であった。また、無機分としては、S(27%)、Ca(22%)、Na(16%)、K(12%)、Fe(10%)、Mg(5%)、Mn(2%)、他(6%)であった。
【0025】
実施例1
緑液500mLに、カチオン系高分子凝集剤としてアクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウム硫酸塩とアクリルアミドとの共重合物(分子量:300万)を5mg/L添加して、混合し、生成する凝集沈殿物を除去した。除去後の緑液の吸光度を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
実施例1のカチオン系高分子凝集剤の代わりに、アニオン系高分子凝集剤としてポリアクリルアミドの部分加水分解物(分子量:1200万)を5mg/L添加すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0027】
参考例1
市販の炭酸ナトリウム試薬を用いて、110.5g/Lの炭酸ナトリウム水溶液を調製し、水溶液の吸光度を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
比較例2
高分子凝集剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様に行い、吸光度を測定したが、殆どの光が吸収され、測定不能であった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の結果から、カチオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去した緑液(実施例1)の吸光度は、アニオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去した緑液(比較例1)よりも吸光度が低いことがわかる。すなわち、特定のカチオン系高分子凝集剤を添加して生成する凝集沈殿物を除去することにより、緑液中の不純物を効率的に除去できることがわかる。
【0031】
実施例2〜6
緑液に表2に示す各種高分子凝集剤を3mg/L添加し、生成する凝集沈殿物を除去した。実施例3については、緑液に2種類の高分子凝集剤を▲1▼、▲2▼の順に添加して、生成する凝集沈殿物を除去し、更に10分間静置した後の上澄み液の吸光度を測定した。上澄み液の液温は80℃であった。結果を表3に示す。
【0032】
比較例3〜6
比較例3〜5では、表2に示す高分子凝集剤を添加し、生成する凝集沈殿物を除去し、更に10分間静置した後の上澄み液の吸光度を測定した。上澄み液の液温は80℃であった。比較例6では高分子凝集剤を添加しなかった。結果を表3に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
表3の結果から、特定のカチオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去して得られる緑液、および特定のカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤とをこの順に添加し、生成する凝集沈殿物を除去した緑液は、吸光度が低く、不純物が効率的に除去され、清澄化の度合が高いことがわかる。
【0036】
【発明の効果】
炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加することにより、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加することにより、該水溶液に含まれる懸濁物質のみならず、コロイド状の金属塩なども凝集沈殿させて除去でき、該水溶液を高度に清澄化できる。また、清澄化した炭酸ナトリウム含有水溶液を原料としたセッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの各種製品の品質を向上させることができる。また染色の改善、アミノ酸の品質向上、洗剤の品質向上などの効果もある。
【0037】
また、炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、本発明の方法で緑液が清澄化されることにより、以下の効果が期待できる。
▲1▼緑液に生石灰を添加して再生される白液中の不純物が低減される。
▲2▼このことにより、この白液で蒸解されたパルプの品質が安定、向上する。
▲3▼白液クラリファイヤーにおける沈降物の量を低減でき、その分、この沈殿物を焼成し生石灰を再生するロータリーキルンなどの焼成炉の負荷を低減できる。
▲4▼焼成炉で再生製造する生石灰中の不純物が低減できる。
▲5▼以上のことにより、苛性化サイクル全体の効率が改善される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ナトリウム含有水溶液、例えば、パルプ製造工程における緑液の清澄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸ナトリウムは、化学工業上最も重要な製品の一つであり、工業的製法にはルブランソーダ法、アンモニアソーダ法および電解法があるが、現在は専らアンモニアソーダ法だけが行われている。この炭酸ナトリウムの工業的用途は、ナトリウムおよび炭酸基を利用する場合と、単に安価なアルカリとして利用する場合とがある。具体的には、セッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの原料として、また製紙、染料工業、アミノ酸製造、洗濯用の薬剤としてなど、様々な分野で炭酸ナトリウム含有水溶液が広汎に用いられている。
【0003】
この炭酸ナトリウム含有水溶液を工業的に使用するには、不純物を極力除去することが求められている。しかし、炭酸ナトリウム含有水溶液を凝集沈殿法で清澄化する場合、炭酸ナトリウム含有水溶液は強アルカリ性であるため、この強アルカリ性条件下で効率よく凝集物を生成し、また長時間凝集効果を維持できる高分子凝集剤は開発されていなかった。
【0004】
紙パルプ工業における化学パルプの製造方法としては、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムから成る白液と呼ばれる蒸解液で木材チップをパルプ化するクラフトパルプ法が主に採用されており、その修正法であるMCC、EMCC、ITC、Lo−solid法の操業も行われている。蒸解後の液には、溶解したリグニンやヘミセルロースなどの有機物が多量に含有されており、黒液と呼ばれている。この黒液からのナトリウムやイオウなどの無機物質の回収と、黒液中の有機物を熱源として利用する目的で、黒液は真空蒸発缶で濃縮され回収ボイラーで燃焼される。燃焼後、ナトリウムやイオウなどの無機物質はスメルトという溶融した形となり、このスメルトを水あるいは弱液に溶解したものを緑液と呼んでいる。この緑液は炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とし、未燃カーボンや木材由来の各種金属の硫化物などの不純物を含有している。この緑液は緑液クラリファイヤーで不純物を沈降分離させる。上澄み液には酸化カルシウムが投入され、炭酸ナトリウムは水酸化ナトリウムへと変化し、液組成は水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムに再生し、再び白液として使用される。現状、緑液クラリファイヤーでの沈降は自然沈降が主流であり、沈降効率が優れている凝集沈降による清澄化の技術開発が望まれている。
【0005】
炭酸ナトリウム含有水溶液中の不純物を除去し、炭酸ナトリウムを生成する従来の技術としては、例えば、アンモニアソーダ法で製造され、塩素、鉄、二酸化珪素などの不純物を含む炭酸ナトリウムの工業塩の精製方法として、水溶液を加熱して二酸化炭素を通じ、これを蒸発させ炭酸ナトリウムを析出させることが行われている(非特許文献1参照)。また、ソーダスラグのようなイオウ化合物、珪素化合物、燐化合物などの不純物含有量が多い炭酸ナトリウム水溶液から、蒸発法により炭酸ナトリウム1水塩を晶析させる方法において、溶液のpHを11.5〜12.5の範囲内に保ちながら炭酸ナトリウムを晶析させる技術が開示されている(特許文献1参照)。しかし、これらの晶析技術では、水分を蒸発させるために多くの熱エネルギーを必要とし、炭酸ナトリウムの精製コストが極めて高くなるという問題がある。
【0006】
パルプ製造工場の苛性化工程における炭酸ナトリウム含有水溶液である緑液の清澄化の従来技術としては、例えば、パルプ蒸解工程において緑液中の炭酸ナトリウムを消石灰又は生石灰を用いて苛性化したのち、生成した炭酸カルシウムを分離回収するに当たり、苛性化する前に、該緑液中に空気を吹き込んで、その中に懸濁している遊離カーボンを主体とする黒色浮遊物を凝集させ、次いでこのものを除去して該緑液を清澄化する技術が登録されており、凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤などの有機系凝集剤が好ましく用いられることが示されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では浮選のための特別な装置を必要とし、また除去できるのは遊離カーボンのみであり、緑液に溶解している例えば硫化鉄などの不純物は除去できないという欠点がある。
【0007】
また、クラフトパルプの製造の苛性化サイクルにおける石灰泥を使用して紙の塗料用顔料として使用することができる炭酸カルシウムを回収する方法において、緑液を濾過する技術が開示され、緑液を任意の適当な手段によって、例えば、静置デカンテーションに引き続く最終濾過によって、遠心処理によって、またはプレフィルターでの濾過によって濾過すること、該濾過は約80℃以上、好ましくは90℃以上の温度で実施することが記載されている(特許文献3参照)。しかし、この方法では、既存のデカンテーションのための沈降装置の他に、別に濾過装置が必要であり現実的な方法とは言えない。
【0008】
また、クラフトパルプ製造工程の薬品回収工程で発生する緑液に生石灰を添加して消和、苛性化する工程において、該生石灰の添加を二段階に分割し、第一段階で添加総量の0.5〜50%の生石灰を先に添加し、緑液中に懸濁する不純物を苛性化反応で生成した炭酸カルシウムと共沈させて除去する方法が示されている(特許文献4参照)。しかし、この方法では、生石灰の二段階分割添加の設備を必要とし、また、この分割添加により生成した炭酸カルシウムをそれぞれ別処理することが必要となるため、この方法も実用的ではない。
【0009】
【非特許文献1】
「化学大辞典」共立出版株式会社、1961年4月15日、p.731,734
【特許文献1】
特開昭60−77126号公報
【特許文献2】
特許第1741083号明細書(特公平4−29606号公報)
【特許文献3】
特開昭61−183120号公報
【特許文献4】
特開平01−226719号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、炭酸ナトリウム含有水溶液を高度に清澄化でき、特別な設備を必要とせず簡便であり、しかも清澄化のコストが低い技術を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加することにより、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加することにより、該水溶液に含まれる懸濁物質のみならず、コロイド状の金属硫化物などの金属塩なども凝集沈殿させて除去でき、該水溶液を高度に清澄化でき、上記の従来技術の問題や欠点を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
本発明の炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加し、炭酸ナトリウム含有水溶液に含まれている固形の懸濁物質やコロイド状の各種の金属を凝集させ、この凝集物を除去し、清澄化することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加し、炭酸ナトリウム含有水溶液に含まれている固形の懸濁物質やコロイド状の各種の金属を凝集させ、この凝集物を除去し、清澄化することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における「炭酸ナトリウム含有水溶液」としては、炭酸ナトリウムが主成分の一つとして含まれていれば特に限定されず、具体的には、セッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの原料、また製紙、染料工業、アミノ酸製造、洗濯用の薬剤などで使用される炭酸ナトリウム含有水溶液を挙げることができる。また、パルプ製造工程で副生する炭酸ナトリウムを含む緑液に本発明の清澄方法を適用すると効果が大きく、高度に清澄化した緑液を得ることができる。しかも、緑液の清澄化による付随する他の様々な効果も期待できる。
【0015】
本発明の清澄化方法で用いられる「カチオン系高分子凝集剤」は、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される。
本発明においてカチオン系高分子凝集剤として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物の一方のモノマーである「(メタ)アクリル酸エステル系化合物」とは、例えば、アクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウムクロライド、アクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウム硫酸塩、メタクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウムクロライドなどのアクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物を意味する。
【0016】
そして、このアクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとを公知の方法で共重合させて、本発明の(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物が得られる。その重量平均分子量は、5万〜1,000万程度が好ましく、100万〜1,000万程度がより好ましい。
【0017】
本発明においてカチオン系高分子凝集剤として用いられる「ポリアミン系化合物」としては、例えば、ジアルキルアミンアルキルアクリレート、ジアルキルアミンアルキルメタクリレートなどのアミン系化合物を公知の方法により重合させたものが挙げられ、その重量平均分子量は、1万〜100万程度が好ましく、1万〜50万程度がより好ましい。
【0018】
なお、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物、ポリアミン系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
【0019】
本発明の清澄方法では、炭酸ナトリウム含有水溶液に、カチオン系高分子凝集剤を添加し、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加して、凝集沈殿物を生成させ、この凝集物を除去してもよい。
「アニオン系高分子凝集剤」としては、例えば、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、ポリメタクリルアミドの部分加水分解物またはその共重合物などが挙げられる。ポリアクリルアミドの部分加水分解物をアニオン系高分子凝集剤として用いる場合、その重量平均分子量は、5万〜3,000万程度が好ましく、500万〜2,000万程度がより好ましい。
【0020】
本発明の清澄方法は、炭酸ナトリウム含有水溶液に、前記のカチオン系高分子凝集剤を添加して、あるいはカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤を順次添加して処理するが、これらの高分子凝集剤は、そのまま用いてもよいが、予め水に溶解して用いるのが好ましい。
【0021】
カチオン系高分子凝集剤の添加量は、炭酸ナトリウム含有水溶液に対して、1〜100mg/L、好ましくは2〜50mg/Lである。
また、アニオン系高分子凝集剤の添加量は、1〜100mg/L、好ましくは2〜50mg/Lである。
各高分子凝集剤の添加量がこの範囲であれば、炭酸ナトリウム含有水溶液中の懸濁物質は勿論のこと、コロイドの状態であり、水溶液の着色の一原因となっている各種の金属塩を除去することができる。炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、懸濁物質としては未燃カーボンであり、コロイド状の金属塩としては硫化鉄、硫化マグネシウム、硫化マンガンなどの硫化金属塩である。
【0022】
カチオン系高分子凝集剤の添加により生成した凝集沈殿物は、公知の例えば、シックナーなどの連続式の沈降分離装置などの方法で除去することができる。カチオン系高分子凝集剤に加えてアニオン系高分子凝集剤を用いる場合、凝集沈殿物の除去は、カチオン系高分子凝集剤による凝集沈殿物を先ず除去し、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加して生成する凝集沈殿物を除去してもよいし、両高分子凝集剤による凝集沈殿物をまとめて一度に除去してもよい。
【0023】
炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、パルプ工場で通常設置されている沈降分離型装置である緑液クラリファイヤーなどの装置内で、緑液に本発明の高分子凝集剤を添加し凝集物を生成させ、沈降分離した凝集沈殿物を汲み上げ、ドレッグスフィルターなどの濾過装置で凝集物を濾過し、系外へ排出する。
【0024】
【実施例】
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄度は、吸光光度計(株式会社日立製作所製、型式:V−3210)を用いて、波長645nmにおける吸光度を測定し評価した。吸光度が低いほど、清澄化の度合が高い。
炭酸ナトリウム含有水溶液としては、パルプ工場の緑液(日本製紙株式会社岩国工場、クラフトパルプ)を用いた。この緑液中の炭酸ナトリウムの濃度は、110.5g/Lであった。また不純物の量は、5.832g/Lであり、有機分(未燃カーボン)/無機分=18/82であった。また、無機分としては、S(27%)、Ca(22%)、Na(16%)、K(12%)、Fe(10%)、Mg(5%)、Mn(2%)、他(6%)であった。
【0025】
実施例1
緑液500mLに、カチオン系高分子凝集剤としてアクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウム硫酸塩とアクリルアミドとの共重合物(分子量:300万)を5mg/L添加して、混合し、生成する凝集沈殿物を除去した。除去後の緑液の吸光度を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
実施例1のカチオン系高分子凝集剤の代わりに、アニオン系高分子凝集剤としてポリアクリルアミドの部分加水分解物(分子量:1200万)を5mg/L添加すること以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0027】
参考例1
市販の炭酸ナトリウム試薬を用いて、110.5g/Lの炭酸ナトリウム水溶液を調製し、水溶液の吸光度を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
比較例2
高分子凝集剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様に行い、吸光度を測定したが、殆どの光が吸収され、測定不能であった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の結果から、カチオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去した緑液(実施例1)の吸光度は、アニオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去した緑液(比較例1)よりも吸光度が低いことがわかる。すなわち、特定のカチオン系高分子凝集剤を添加して生成する凝集沈殿物を除去することにより、緑液中の不純物を効率的に除去できることがわかる。
【0031】
実施例2〜6
緑液に表2に示す各種高分子凝集剤を3mg/L添加し、生成する凝集沈殿物を除去した。実施例3については、緑液に2種類の高分子凝集剤を▲1▼、▲2▼の順に添加して、生成する凝集沈殿物を除去し、更に10分間静置した後の上澄み液の吸光度を測定した。上澄み液の液温は80℃であった。結果を表3に示す。
【0032】
比較例3〜6
比較例3〜5では、表2に示す高分子凝集剤を添加し、生成する凝集沈殿物を除去し、更に10分間静置した後の上澄み液の吸光度を測定した。上澄み液の液温は80℃であった。比較例6では高分子凝集剤を添加しなかった。結果を表3に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
表3の結果から、特定のカチオン系高分子凝集剤を添加して、生成する凝集沈殿物を除去して得られる緑液、および特定のカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤とをこの順に添加し、生成する凝集沈殿物を除去した緑液は、吸光度が低く、不純物が効率的に除去され、清澄化の度合が高いことがわかる。
【0036】
【発明の効果】
炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択される特定のカチオン系高分子凝集剤を添加することにより、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を添加することにより、該水溶液に含まれる懸濁物質のみならず、コロイド状の金属塩なども凝集沈殿させて除去でき、該水溶液を高度に清澄化できる。また、清澄化した炭酸ナトリウム含有水溶液を原料としたセッケン、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの各種製品の品質を向上させることができる。また染色の改善、アミノ酸の品質向上、洗剤の品質向上などの効果もある。
【0037】
また、炭酸ナトリウム含有水溶液が緑液の場合、本発明の方法で緑液が清澄化されることにより、以下の効果が期待できる。
▲1▼緑液に生石灰を添加して再生される白液中の不純物が低減される。
▲2▼このことにより、この白液で蒸解されたパルプの品質が安定、向上する。
▲3▼白液クラリファイヤーにおける沈降物の量を低減でき、その分、この沈殿物を焼成し生石灰を再生するロータリーキルンなどの焼成炉の負荷を低減できる。
▲4▼焼成炉で再生製造する生石灰中の不純物が低減できる。
▲5▼以上のことにより、苛性化サイクル全体の効率が改善される。
Claims (3)
- 炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加えて、凝集沈殿物を除去することを特徴とする炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法。
- 炭酸ナトリウム含有水溶液に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とアクリルアミドとの共重合物およびポリアミン系化合物から選択されるカチオン系高分子凝集剤を加え、次いでアニオン系高分子凝集剤を加えて、凝集沈殿物を除去することを特徴とする炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法。
- 炭酸ナトリウム含有水溶液が、パルプ製造工程における緑液である請求項1または2に記載の炭酸ナトリウム含有水溶液の清澄化方法。
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