JP2004159672A - 超音波診断装置および超音波計測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定対象物へ超音波送信波を送信し、測定対象物からの超音波反射波を受信する超音波送受信部3と、超音波ビームの音響線の方向を制御するための遅延時間制御部4と、超音波反射波を位相検波する位相検波部7と、測定対象物の音響線上において順番に配列している複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pn(nは3以上の自然数)における測定対象物の運動速度を位相検波された信号からそれぞれ求め、運動速度から隣接する一対の測定対象位置に挟まれる測定対象物の各部の伸縮量を求める演算部9とを備え、測定対象物の正常な2つの端点の正常な運動速度を用いて測定領域全体における測定対象物の伸縮量を求める。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置および超音計測方法に関し、特に生体内の組織の性状診断を行うための超音波診断装置および超音計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾病を患う国民が増加してきており、このような疾病の予防および治療を行うことが大きな課題となっている。
【0003】
心筋梗塞や脳梗塞の発病には、動脈の硬化が深く関係している。具体的には、動脈壁に粥腫が形成されたり、高血圧等の種々の要因によって動脈の新しい細胞が作られなくなったりすると、動脈は弾力性を失い、硬く、脆くなる。そして、粥腫が形成された部分において血管が閉塞したり、粥腫を覆う血管組織が破裂することにより粥腫が血管内へ流出し、別の部分において動脈を閉塞させたり、動脈が硬化した部分が破裂したりすることによって、これらの疾病が引き起こされる。このため、動脈硬化を診断することがこれらの疾病予防や治療には重要となる。
【0004】
従来より、動脈が硬化しているかどうかは、血管カテーテルを用いて血管内部の様子を直接観察することによって診断されていた。しかし、この診断には、血管カテーテルを血管に挿入する必要があるため、患者への負担が大きいという問題があった。このため、血管カテーテルによる観察は、動脈が硬化していることが確かである患者に対して、その場所を特定するために用いられ、例えば、健康管理のための検査として、この方法が用いられることはなかった。
【0005】
動脈硬化の一因であるコレステロール値を測定したり、血圧値を測定したりすることは、患者への負担が少なく、容易に行うことのできる検査である。しかし、これらの値は、動脈が硬化している度合いを直接示すものではない。
【0006】
また、動脈硬化の治療薬を動脈の硬化が余り進行していない患者に対して投与することができれば、動脈硬化の治療に効果を発揮する。しかし、動脈硬化が進行してしまうと、治療薬によって動脈の硬化を抑制することはできても、硬化した動脈を完全に回復させることは難しいと言われている。
【0007】
こうした理由から、患者への負担が少なく、動脈の硬化が進行する前に動脈の硬化の度合いを診断する診断方法あるいは診断装置が求められている。
【0008】
一方、患者への負担が少ない医療診断装置として、超音波診断装置が従来より用いられている。超音波診断装置を用いて超音波を体外から照射することによって、患者に苦痛を与えることなく、体内の形状情報、運動情報あるいは質情報を得ることができる。
【0009】
特に超音波による計測を行えば、測定対象物の運動情報が得られるため、変位量から、測定対象物の弾性率を求めることができる。つまり、生体内の血管の弾性率を求めることができ、動脈の硬化の度合いを直接知ることが可能となる。また、患者に超音波プローブをあてるだけで測定できるため、患者への負担も少ない。このため、超音波診断装置を用いれば、動脈硬化の正確な診断も可能であるし、予防のための検診を被験者に対して負担を与える場合がなく行うことが期待される。
【0010】
しかし、従来より用いられている超音波診断装置は、例えば胎児の形状を観察したり、胎児の心音を聴診したりする超音波診断装置に代表されるように、形状情報や運動情報の分解能はそれほど高くない。このため、従来の超音波診断装置を用いて、心拍に合わせて収縮する動脈の弾性率を求めることは不可能であった。例えば、特許文献1に示されているもののように、測定対象の変位量計測が十分ではないものが多かった。
【0011】
近年、エレクトロニクス技術の進歩によって、超音波診断装置の測定精度を飛躍的に向上させることも可能になってきた。これに伴って、生体組織の微小運動を計測する超音波診断装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献2は、検波信号の振幅および位相の両方を用い、制約付最小二乗法によって対象の瞬時の位置を決定し、高精度な位相のトラッキングを実現する超音波振動装置を開示している。この装置は、拍動により大きく動いている組織上の微小振動を計測することができる。この公報によれば、振幅が10mm以上ある拍動に伴う大振幅変位運動上の数百Hzまでの微小振動を拍動が10回程度繰り返されても十分再現よく計測することができる。
【0012】
この公報の装置は、数百Hzまでの高い周波数成分を再現性よく計測でき、超音波ビームを収束させることによって心筋や動脈壁上の直径1〜2mm程度の領域の弾性特性を得ることができる。また、一心拍中、あらゆる時相の成分の超音波信号が得られ、その信号の周波数スペクトル解析が可能である等の優れた特徴を備えていると報告されている。
【0013】
したがって、この公報の技術を用いた超音診断装置によれば、たとえば、健康診断などにおいて、被験者に負担を与えることなく、経時的に動脈硬化の進行度合いを調べ、動脈硬化による疾病を予防することが可能となると期待される。また、動脈の微小領域における弾性特性を測定することによって、血管破裂が生じ易い部位を特定し、その部位を治療することが可能になると期待される。
【0014】
【特許文献1】
特開昭62−266040号公報
【特許文献2】
特開平10−5226号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
超音波診断装置による画像には、しばしば、スペックルと呼ばれる干渉波による特有の模様が現れることが知られている。スペックルは、使用する超音波の波長以下の大きさを有し、ランダムに配置された反射体や散乱体からの反射波が重なり合って発生する現象であり、観測している対象の形状などの情報とは無関係な情報を含む。スペックルが見られる場合、反射波の振幅が、対象の実態とは無関係に小さくなったり、大きくなったりする。超音波エコー画像では、スペックルによる模様が、包絡線の振幅が大きい箇所において明るく、振幅の小さい箇所において暗く表示される。
【0016】
スペックルは、従来より用いられている超音波診断装置においても発生していた。この場合、スペックルの模様と同程度以下の分解能で対象物の形状情報や運動情報を得ることは困難となる。しかし、従来の超音波診断装置では、スペックルの影響が問題となるような高い分解能が必要とされることは少なかったため、実用上、スペックルの影響は問題とならないことが多かった。
【0017】
これに対して、特許文献2の技術を用いた超音波診断装置は、特に運動速度をサブミクロンのオーダで測定することを目的としているため、スペックルによる影響は大きな問題となる。具体的には、観測している対象から得られるべき必要な情報が正確に得られなかったり、反射波の位相が不連続に変化してしまい、微小運動の計測を正確に行うことができないという問題が生じる。
【0018】
本発明はこのような問題を解決し、スペックルによる影響を少なくし、測定対象物の各部の運動速度や各微小な領域の伸縮量や弾性率を計測することのできる超音波診断装置および超音波計測方法を提供する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、超音波プローブから測定対象物へ超音波送信波を送信するための駆動パルス信号を出力する超音波プローブ駆動部と、前記測定対象物からの超音波反射波を受信する受信部と、前記超音波送信波および前記超音波反射波の超音波ビームの音響線の方向を制御するための遅延時間制御部と、前記超音波反射波を位相検波する位相検波部と、前記測定対象物の前記音響線上において順番に配列している複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pn(nは3以上の自然数)における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求める運動速度演算部と、前記それぞれの運動速度から隣接する一対の前記測定対象位置に挟まれる前記測定対象物の各部の伸縮量を求める伸縮演算部とを備える。前記測定対象物の1または連続した複数の測定対象位置Pi、・・・・Pj(i、jは2≦i≦j≦n−1を満たす自然数)における運動速度が正常な値ではなく、測定対象位置Pi−1およびPj+1における運動速度が正常な値である場合、測定対象位置Pi−1およびPj+1における正常な運動速度を用いて測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域全体における測定対象物の伸縮量を求める。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記超音波診断装置は、前記測定対象物は力を受けることにより前記各部が運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める弾性率演算部をさらに備える。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記超音波診断装置は、前記各部の弾性率を二次元マッピングする表示部をさらに備える。
【0022】
ある好ましい実施形態において、 前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記血管壁が構成する血管を流れる血液の血圧値である。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を、前記超音波反射波の振幅の大きさまたは前記超音波反射波の包絡線の振幅の大きさに基づいて行う。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数に基づいて行う。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を前記運動速度を積分した値に基づいて行う。
【0026】
また、本発明の超音波計測方法は、駆動パルス信号により、超音波プローブから測定対象物へ超音波送信波を送信するステップと、前記測定対象物からの超音波反射波を受信するステップと、遅延時間制御を制御することにより、前記超音波送信波および前記超音波反射波の超音波ビームの音響線の方向を制御するステップと、前記超音波反射波を位相検波するステップと、前記位相検波された信号から前記測定対象物の前記音響線上に配列している複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pn(nは3以上の自然数)における前記測定対象物の運動速度をそれぞれ求めるステップと、前記それぞれの運動速度から隣接する一対の前記測定対象位置に挟まれる前記測定対象物の各部の伸縮量を求めるステップとを包含する。前記測定対象物の1または連続した複数の測定対象位置Pi、・・・・Pj(i、jは2≦i≦j≦n−1を満たす自然数)における運動速度が正常な値ではなく、測定対象位置Pi−1およびPj+1における運動速度が正常な値である場合、測定対象位置Pi−1およびPj+1における正常な運動速度を用いて測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域全体における測定対象物の伸縮量を求める。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は力を受けることにより前記各部が運動し、前記力に関する情報に基づいて、前記伸縮量から弾性率を求める。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記方法は、前記各部の弾性率を二次元マッピンして表示するステップをさらに包含する。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記血管壁が構成する血管を流れる血液の血圧値である。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を前記超音波反射波の振幅の大きさまたは前記超音波反射波の包絡線の振幅の大きさに基づいて行う。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数に基づいて行う。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を前記運動速度を積分した値に基づいて行う。
【0033】
また、本発明の超音波計測方法は、駆動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物に関する情報を得る。前記受信した超音波反射波のうち、包絡線の振幅が所定の閾値以上である部分のみを計測の演算に用いることにより、前記測定対象物に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する。
【0034】
また、本発明の超音波計測方法は、駆動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物に関する情報を得る。前記駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数を求め、前記受信した超音波反射波のうち前記相関係数が所定の閾値以上である部分のみを計測の演算に用いることにより、前記測定対象物に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する。
【0035】
また、本発明の超音波計測方法は、動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物の各部の運動に関する情報を得る。前記受信した超音波反射波を位相検波し、検波した信号から各部の運動速度および運動速度を積分した値を求め、前記積分した値が、所定の閾値以上となる部分の運動速度を除外することにより、前記測定対象物の各部の運動に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波診断装置は測定対象物の各部の運動速度や各微小な領域における伸縮量および弾性率を測定する。物体自体は移動しないが、超音波を反射し、各位置における運動速度が異なっている種々の物体を好適に本発明の超音波診断装置の測定対象物とすることができる。特に、生体の各部の弾性率を計測するのに適している。以下では、生体の各部を「組織」と称する場合がある。
【0037】
まず、本発明による超音波診断装置の一実施形態を概略的に説明する。図1は、超音波診断装置50の構成を示すブロック図である。超音波診断装置50は、超音波診断装置本体1と、超音波プローブ2と、モニタ13とを備えている。また、血圧計14とECG(心電計)15が超音波診断装置本体1へ接続されている。
【0038】
超音波診断装置本体1は、超音波送受信部3、CPU4、遅延時間制御部5、遅延データ記憶部6、位相検波部7、およびフィルタ8を含む。
【0039】
超音波プローブ2は超音波診断装置本体1の超音波送受信部3に接続されており、測定対象物である生体に対して超音波の送受信を行う。超音波プローブ2は、アレイ状に配列された複数の超音波振動子(超音波振動子群)を有している。
【0040】
超音波送受信部3は、電子部品等を用いて構成され、超音波プローブ駆動部となる超音波プローブ2を駆動する駆動回路と、超音波反射波を増幅する受信部となる受信回路を含む。超音波診断装置本体1全体の制御等を行うCPU4の制御にしたがって、超音波プローブ駆動回路は所定の駆動パルス信号を超音波プローブ2に与える。駆動パルスにより超音波プローブ2から送信される超音波送信波は、生体において反射し、生じた超音波反射波が超音波プローブ2で受信される。超音波プローブ2により受信された超音波反射波は、受信回路において増幅される。超音波送受信部3はまたA/D変換回路を含み、受信回路において増幅された超音波反射波はデジタル信号に変換される。
【0041】
遅延時間制御部5は超音波送受信部3に接続されており、超音波送受信部3から超音波プローブ2の超音波振動子群に与える駆動パルス信号の遅延時間を制御する。これにより、超音波プローブ2から送信される超音波送信波の超音波ビームの音響線の方向や焦点深度を変化させる。また、超音波プローブ2によって受信され、超音波送受信部3によって増幅された超音波反射波信号の遅延時間を制御することにより、受信される超音波の音響線の方向を変化させることができる。遅延時間制御部5の出力は位相検波部7に入力される。駆動パルス信号および受信反射波信号の遅延時間を制御するためのデータは、遅延データ記憶部6に記憶されている。
【0042】
位相検波部7は、遅延時間制御部5で遅延制御された受信反射波信号を位相検波し、実部信号と虚部信号とに分離する。分離された実部信号および虚部信号はフィルタ8に入力される。フィルタ8は組織運動以外の反射成分を除去する。なお、遅延時間制御部5および位相検波部7はソフトウエアによってもハードウエアによっても実現される。
【0043】
超音波診断装置本体1は、演算部9、演算データ記憶部10、DSC(デジタル・スキャン・コンバータ)11、および表示制御部12をさらに含み、位相検波した信号から対象となる生体組織の運動速度および位置変位量を演算する。演算部9および演算データ記憶部10はソフトウエアまたはハードウエアにより実行され、DSC11および表示制御部12は電子部品を用いた回路により構成される。
【0044】
具体的には、フィルタ8の出力は演算部9に入力される。演算部9は、運動速度演算部と、位置演算部と、伸縮演算部と、弾性率演算部とを含む。位相検波された信号の実部信号および虚部信号を用いて、運動速度演算部が対象となる生体組織の運動速度を求め、位置演算部および伸縮演算部が運動速度を積分することにより位置変位量および伸縮量を求める。さらに、弾性率演算部において、血圧計14から入力される最低血圧値および最高血圧値に関するデータを用いて対象となる組織の弾性率を求める。演算部9の出力はDSC11に入力される。また、適宜演算データ記憶部10に出力され、演算部9で演算されたデータが記憶される。
【0045】
DSC11は演算部9から出力される信号のデータフォーマットをモニタ13で表示するための画像フォーマットに変換する。たとえば、二次元マッピングデータに変換する。DSC11の出力は表示制御部12に入力される。表示制御部12には、血圧計14から得られる最低血圧値および最高血圧値とECG(心電計)15から得られる心電図の波形信号も入力される。表示制御部12は、これらの信号を映像信号に変換し、DSC11からの映像信号に重畳する。表示制御部12の出力はモニタ13に入力され、モニタ13はこれを表示する。
【0046】
次に、超音波診断装置50の動作を概略的に説明する。遅延時間制御部5により遅延時間が制御された複数の駆動パルス信号が超音波送受信部3から出力され、超音波プローブ2は、各駆動パルス信号を超音波送信波に変換し、生体へ送信する。生体組織によって反射して得られる超音波反射波は、超音波プローブ2で受信され、電気信号に変換される。超音波送受信部3において受信した受信反射波信号は、遅延時間制御部5を経て位相検波部7に入力される。遅延データ記憶部6には予め設定した超音波送信波および受信波の音響線の偏向角度や焦点深度に基づいた遅延時間データが複数記憶されており、駆動パルス信号ごとに遅延時間制御部5が異なる遅延時間データを読み出すことによって、駆動パルス信号ごとに異なる偏向角度で超音波の送受信を行うことができる。
【0047】
位相検波部7は、受信反射波信号を位相検波し、実部信号および虚部信号に分離する。実部信号および虚部信号は、フィルタ8によって組織の運動速度以外の反射波成分が除去され、演算部9に入力される。
【0048】
演算部9では、位相検波された受信反射波信号の実部信号および虚部信号に基づいて、組織の運動速度が求められる。また、運動速度を積分することにより組織の位置変位量、伸縮量および弾性率を計算し、演算データ記憶部10に記憶するとともに、DSC11に出力する。DSC11は、求められた組織の運動速度、位置変位量および弾性率を映像信号に変換し、表示制御部12を経て、モニタ13に出力する。また表示制御部12では、血圧計14から得られる最低血圧値および最高血圧値とECG15から得られる心電図の波形とを映像信号に変換し、DSC11からの映像信号に重畳して、モニタ13に出力する。
【0049】
次に、演算部9における組織の位置変位量の演算について、図2を用いて説明する。ここでは、生体組織として血管壁組織の位置変位量を求める。図2は、生体21および血管壁23を伝播する超音波ビーム24を模式的に示している。生体21の表面に配置された超音波プローブ2から発信した超音波送信波は、生体21中を進行する。超音波送信波は、ある有限の幅を持つ超音波ビーム24として生体21中を伝播し、その過程において生体21によって反射または散乱した超音波の一部が超音波プローブ2へ戻り、超音波反射波として受信される。超音波反射波は時系列信号r(t)として検出され、超音波プローブ2に近い組織から得られる反射の時系列信号ほど、時間軸上で原点近くに位置する。超音波ビーム24の幅(ビーム径)は、遅延時間を変化させることにより制御することができる。
【0050】
超音波ビームの中心軸である音響線22上に位置する血管壁23中の複数の測定対象位置Pn(P1、P2、P3、Pk・・・Pn、nは3以上の自然数)は、ある一定間隔Hで超音波プローブ2に近い順にP1、P2、P3、Pk・・・Pnと配列している。生体21の表面を原点とする深さ方向の座標をZ1、Z2、Z3、Zk、・・・Znとすると、測定対象位置Pkからの反射は、時間軸上でtk=2Zk/cに位置することになる。ここでcは生体組織内での超音波の音速を示す。反射波信号r(t)を位相検波部7において位相検波し、検波した信号を実部信号および虚部信号に分離してフィルタ8を通過させる。演算部9では、反射波信号r(t+Δt)と微小時間Δt後の反射波信号r(t)において振幅は変化せず、位相および反射位置のみが変化するという制約のもとで、反射波信号r(t)とr(t+Δt)との波形の整合誤差が最小となるよう最小二乗法によって位相差を求める。この位相差から、測定対象位置Pnの運動速度Vn(t)が求められ、さらにこれを積分することにより、位置変位量dn(t)を求めることができる。
【0051】
次に、これらの測定演算結果を用いた弾性率の演算・表示について、図3を用いて説明する。図3は、測定対象位置Pnと弾性率演算の対象組織Tnとの関係を示す図である。対象組織Tkは、隣接する測定対象位置PkとPk+1とに挟まれた範囲に厚みHを有して位置している。n個の測定対象位置P1・・・・Pnからは(n−1)個の対象組織T1・・・・Tn−1を設けることができる。
【0052】
対象組織Tkの伸縮量である厚み変化量Dk(t)は、測定対象位置PkとPk+1の位置変位量dk(t)とdk+1(t)とから、Dk(t)=dk+1(t)−dk(t)として求められる。血管壁23の組織Tkの厚みの変化は、心拍による血圧の変化に応じて生じる。よって、対象組織Tkの厚みH(最低血圧時の値)、対象組織の厚み変化量Dk(t)の最大値Dkmax、および最低血圧値と最高血圧値との差である脈圧Bを用い、対象組織Tkの歪み率である弾性率χkをχk=(B×H)/Dkmaxにより求めることができる。ここで、弾性率χkは血管半径方向の弾性率である。そして、遅延時間を制御し、送受信する超音波の偏向角度を走査させることにより、血管壁23の任意の断面における弾性率を二次元マッピング表示することができる。二次元マッピング表示では、弾性率の大きさにしたがって、輝度を分布させたり色に濃淡をつけたりすることができる。たとえば弾性率の大きい箇所および小さい箇所をそれぞれ青色および赤色で表示し、弾性率がその中間の値である箇所は青色と赤色の中間色で表示することができる。色相の組み合わせは、ユーザが自由に選択できるようにしてもよい。
【0053】
超音波反射波画像にスペックルが発生している場合、スペックルは、超音波反射波信号r(t)上では振幅の大小として現れる。このような信号を用いて上述した位置変位量や弾性率を求める場合、スペックルによりある測定対象位置Pkからの反射波信号r(t)の振幅が小さくなり、運動速度や位置変位量を正しく求めることが困難となる。これは、信号の振幅が小さい箇所ではS/Nが悪化し、ノイズ成分の影響を大きく受けてしまうためである。測定対象位置Pkの運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)が正しい値を示さないと、この値を用いて演算する厚み変化量Dk−1(t)およびDk(t)の二つの値も正しい値を示さなくなる。さらには、厚み変化量Dk−1(t)およびDk(t)から求める弾性率χk−1およびχkも正しい値を示さなくなる。
【0054】
この場合、不正確な弾性率χk−1およびχを有する組織Tk−1およびTkに隣接する組織Tk−2およびTk+1の弾性率χk−2およびχk+1の平均値を求め、この平均値を組織Tk−1およびTkの弾性率とすることが考えられる。しかし、組織Tk−1およびTkの内部に、例えば悪性腫瘍など特異的な弾性率を有する微小領域があった場合、隣接する組織Tk−2およびTk+1の弾性率で組織Tk−1およびTkの弾性率を求めてしまうと、この微小領域を見落としてしまうことになる。
【0055】
本発明の超音波診断装置では、スペックルにより正しい位置変位量dk(t)が得られない場合でも、このような問題を回避しうる。図4は、本発明による弾性率の演算方法を示している。図4に示すように、測定対象位置Pkの位置変位量dk(t)が正しい値でない場合、つまり、異常な値である場合、隣接する測定対象位置Pk−1およびPk+1によって挟まれる、厚さ2Hの組織T’kを1つの組織として全体の弾性率χ’kを求める。具体的には、測定対象位置Pk−1およびPk+1の位置変位量dk−1(t)およびdk+1(t)から、厚み変化量D’k(t)=dk+1(t)−dk−1(t)として求める。
【0056】
そして、対象組織T’kの厚さ2H、対象組織の厚み変化量D’k(t)および最低血圧値・最高血圧値を用いて、対象組織T’kの歪み率、すなわち弾性率χ’kを求める。DSC11では、これらのデータを用いて二次元にマッピングする際、組織T’kを一つのセルとして表示する。組織T’kを示すセルは、他のセルよりも長いため、分解能は低下する。しかし、特異的な弾性率を有する微小領域の見落としは回避することができる。
【0057】
図4では、1つの測定対象位置Pkの位置変位量dk(t)が正しい値でない場合において弾性率を求める方法を説明したが、位置変位量の値が正しくない測定対象位置Pkが2つ以上連続していてもよい。図5に示すように、測定対象位置PkおよびPk+1の位置変位量dk(t)およびdk+1(t)の値が正確でない場合、測定対象位置PkおよびPk+1を挟むように音響線22上に位置する測定対象位置Pk−1およびPk+2によって挟まれる厚さ3Hの組織T’k+1を1つの組織として弾性率χ’’kを求める。具体的には、測定対象位置Pk−1およびPk+2の位置変位量dk−1(t)およびdk+2(t)から、厚み変化量D’’k+1(t)=dk+2(t)−dk−1(t)として求める。そして、対象組織T’’k+1の厚さ3H、対象組織の厚み変化量D’’k+1(t)および最低血圧値・最高血圧値を用いて、対象組織T’’k+1の歪み率、すなわち弾性率χ’’kを求める。
【0058】
このように、超音波プローブから測定対象物へ送信される超音波ビームの音響線上の測定対象位置P1、P2、P3、・・・Pn(nは3以上に自然数)において、1または連続した複数の測定対象位置Pi、・・・・Pj(i、jは2≦i≦j≦n−1を満たす自然数)における運動速度が正常な値ではなく、測定対象位置Pi−1およびPj+1における運動速度が正常であると判断される場合には、測定対象位置PiおよびPjに隣接する測定対象位置Pi−1およびPj+1における正常な運動速度を用いて、測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域を1つの領域とし、測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域全体における測定対象物の厚み変化量および弾性率を求める。
【0059】
測定対象位置Pkにおける運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)がスペックルによる影響を受けておらず、厚み変化量を求めるのに適した値であるかどうかは、言い換えれば、運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)が正常な値か異常な値であるかは、たとえば、前記超音波反射波信号r(t)の振幅の大きさ、または、超音波反射波信号r(t)の包絡線の振幅の大きさから判断することができる。演算部9において、ある任意の大きさの閾値を予め決定しておき、前記超音波反射波信号r(t)の振幅の大きさまたは超音波反射波信号r(t)の包絡線の振幅が閾値より小さい場合には、該当する個所の反射波信号を運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)に使用しないようにすればよい。たとえば閾値を、包絡線の最大振幅の10%とし、超音波反射波信号r(t)の包絡線の振幅が最大振幅の10%よりも小さい部分の反射波信号を運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)に使用しないようすることによって、いいかえれば、超音波反射波信号r(t)の包絡線の振幅が最大振幅の10%以上である部分の反射波信号のみを運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)に使用すればよい。
【0060】
あるいは、演算部9において、駆動パルス信号ごとに発生する超音波反射波信号r(t)間の相関係数を求め、相関係数の大小から判断してもよい。超音波反射波信号の振幅が大きい箇所では、スペックルの影響を受けていないため、ノイズ成分は少ない。このため、駆動パルス信号ごとに発生する超音波反射波信号での相関を取ると、非常に高い相関性が得られる。これに対して、超音波反射波信号の振幅が小さい箇所では、スペックルの影響によってノイズ成分が多くなり、相関性は非常に低くなる。したがって、ある任意の大きさの閾値を予め決定しておき、相関係数がその閾値以上である場合に、該当する箇所の反射波信号を運動速度の演算に使用すればよい。
【0061】
また、測定対象位置Pnにおける位置変位量dk(t)から直接、その値が厚み変化量を求めるのに適した値であるかを判断してもよい。超音波反射波の振幅が小さい箇所では、位相が不連続になっており、この箇所の反射波信号を用いて位相検波を行うと、正しい運動速度を得ることができない。この時、運動速度の積分値である位置変位量には、ドリフト成分が重畳する。このため、ある任意の大きさの閾値を予め決定しておき、運動速度の積分値、すなわち位置変位量がその閾値よりも大きい場合には、該当する箇所の運動速度は後の演算に使用しないようにすればよい。
【0062】
このような方法により、超音波反射波のデータがスペックルによる影響を受けて、測定対象位置Pkにおける測定対象物の運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)が正しい値となるかどうかを判断することができる。また、このように判断した場合、スペックル等の影響により、測定対象位置Pkの位置変位量dk(t)が正しくない値になっている場合でも、測定の分解能は低下するものの、微小領域の組織弾性率を適切に演算・表示することが可能となる。
【0063】
なお、上記実施形態では超音波反射波信号から測定対象組織の運動速度および位置変位量を特許文献2に開示された方法によって求めている。しかし、たとえばRF信号に対するゼロクロス点検出法、組織ドプラ法のような他の方法を用いて運動速度および位置変位量を求めてもよい。
【0064】
また、深さ方向における計測エリアが狭い(短い)場合には、超音波の送信焦点深度および受信焦点深度の両方を固定しても、分解能の高い計測をおこなうことできる場合が多い。深さ方向における計測エリアが広い(長い)場合には、送信焦点深度を変えたり、受信時にダイナミックフォーカシングを行う等により分解能の高い像を得ることができる。
【0065】
また、上述した測定対象位置Pkにおける運動速度Vk(t)および位置変位量dk(t)がスペックルによる影響を受けておらず、厚み変化量を求めるのに適した値であるかどうかを判断する方法は、本発明以外の超音波計測方法において、測定対象物に関する情報を画像化した際、画像からスペックルを除去する方法としても有用である。
【0066】
以下、超音波診断装置50を用いて、弾性体材料の厚み変化量を測定した一例を説明する。
【0067】
図6は、計測に用いる生体ファントムの厚さを変化させる微小振動発生装置30を模式的に示している。微小振動発生装置30は、ポリエチレン板33、ガラス板35、ポリエチレン板33およびガラス板35に挟まれた生体ファントム34、およびポリエチレン板33とガラス板35との間の距離を変化させるアクチュエータ36を含む。生体ファントム34は、寒天、水、およびグラファイト粉末(重量比3:100:5)からなる厚さ約7mmの弾性体であり、アクチュエータ36の伸縮に伴い、その厚みが変化する。ガラス板35およびアクチュエータ36は、固定治具37によって水槽31に対する相対位置が変化しないよう固定されている。ポリエチレン板33、生体ファントム34、およびガラス板35は、水32中に位置しており、超音波診断装置50の超音波プローブ2を介在して送受信される超音波ビームにより、生体ファントム34の運動が計測される。本実施の形態においては、周波数0.5Hzの正弦波電圧によりアクチュエータ36を駆動し、約3μmの振幅で生体ファントム34の厚みを変化させ、その運動を計測した。
【0068】
図7は、生体ファントム34からの超音波反射波信号の一部を示すグラフである。縦軸は超音波反射波の強度(任意単位)を示し、横軸は時間を示している。超音波プローブ2から発信される超音波ビームは、周波数500Hzにて3000ショット発信される。図7はそのうちの1ショット目のパルス反射波信号を示している。図7中に設けた3つの領域P1、P2、P3(ドットで示す領域)はそれぞれ、生体ファントム34中で音響線22上に隣接している測定対象位置を示しており、位置P1は生体ファントム34の上面から深さ約4.5mmの位置にある。また、P1およびP2ならびにP2およびP3の間隔は、時間軸上では1μsである。生体ファントム34中の超音波の音速は1500m/sであることが計測から分かっており、P1とP2との空間的な間隔およびP2とP3との空間的間隔はそれぞれ750μmとなる。図7から明らかなように、位置P2からの反射波信号の振幅は非常に小さくなっている。これはスペックルの影響によるので、位置P2において本来観測されるべき信号が著しく小さなり、S/N比が悪化している。
【0069】
図8(a)〜(c)は、位置P1、P2、P3からの反射波信号を基に演算した位置変化量d1(t)、d2(t)、d3(t)のグラフである。d1(t)およびd3(t)には大きなドリフト成分も見られず、0.5Hzの正弦波状の位置変位が確認できる。一方、d2(t)では+方向に大きなドリフトが見られ、また0.5Hzで繰り返される周期性も認められない。位置P1とP2とに挟まれた領域T1の厚み変化量D1(t)は、D1(t)=d2(t)−d1(t)として求められるが、d2(t)の値が適切ではないため、領域T1の厚み変化量D1(t)も適切な値を示さない。同様に、領域T2の厚み変化量D2(t)も、D2(t)=d3(t)−d2(t)として求めるため、適切な値を示さない。
【0070】
図8(a)および(b)から、正常な信号の振幅は3μmより小さいことが分かる。したがって、閾値を±3μmとし、位置変化量d1(t)、d2(t)、d3(t)の値が±3μmより大きくなる場合には、位置変化量が厚み変化量を求めるのには適した値ではないと判断する。図8(b)に示す位置変化量d2(t)の場合、およそ1.5秒後に位置変化量d2(t)が3μmを超え、厚み変化量を求めるのには適した値でないと判断することができる。
【0071】
したがって、計測開始時には、D1(t)=d2(t)−d1(t)およびD2(t)=d3(t)−d2(t)によって、領域T1およびT2の厚み変化量D1(t)およびD2(t)を求める。また、位置変化量d1(t)、d2(t)、d3(t)の値を継続してモニタし、位置変化量d2(t)が3μmを超えるおよそ1.5秒からは位置変化量d2(t)の値が厚み変化量を求めるのには適した値でないと判断する。そして、二つの領域T1およびT2を一つの領域T’2としてとらえ、T’2の厚み変化量D’2(t)をD’2(t)=d3(t)−d1(t)から求める。図9は、1.5秒後以降、位置変化量d1(t)およびd3(t)を用いてT’2の厚み変化量D’2(t)を求めた結果を示している。図9に示すように、0.5Hzの周波数で振幅が約1μm変化していることがわかる。
【0072】
図9に示すT’2の厚み変化量D’2(t)から、生体ファントム34に加えられた力を用いて弾性率を求めることができる。
【0073】
以上、本実施形態では、生体を測定対象物として用い、本発明の超音波装置および超音波計測方法を説明したが、測定対象物は生体以外の物体であってもよい。たとえば、化学プロセスにおいて反応容器内の物質の運動情報を計測したり、配管を流れる流体の運動情報を計測する場合にも本発明の超音波装置や超音波計測方法を好適に用いることができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置および超音波計測方法によれば、スペックルによる影響を少なくし、測定対象物の各部の運動速度や各微小な領域の伸縮量および弾性率を計測するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】生体の血管壁を伝播する超音波ビームを模式的に示している。
【図3】測定対象位置と弾性率を求める対象組織との関係を示す図である。
【図4】本発明による測定対象位置と弾性率を求める対象組織との関係を示す図である。
【図5】本発明による測定対象位置と弾性率を求める対象組織との関係を示す他の図である。
【図6】本実施形態で用いる生体ファントムに微小振動を与える微小振動発生装置を示す模式図である。
【図7】生体ファントムからの超音波反射波信号の一部を示すグラフである。
【図8】(a)から(c)は、図7に示す信号に基づいて求めた各測定対象位置における位置変化量を示すグラフである。
【図9】図7に示す信号に基づいて求めた厚さ変化量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 超音波診断装置本体
2 超音波プローブ
3 超音波送受信部
4 CPU
5 遅延時間制御部
6 遅延データ記憶部
7 位相検波部
8 フィルタ
9 演算部
10 演算データ記憶部
11 DSC
12 表示制御部
13 モニタ
14 血圧計
15 ECG
21 生体
22 音響線
23 血管壁
24 超音波ビーム
30 微小振動発生装置
31 水槽
32 水
33 ポリエチレン板
34 生体ファントム
35 ガラス板
36 アクチュエータ
37 固定治具
Claims (17)
- 超音波プローブから測定対象物へ超音波送信波を送信するための駆動パルス信号を出力する超音波プローブ駆動部と、
前記測定対象物からの超音波反射波を受信する受信部と、
前記超音波送信波および前記超音波反射波の超音波ビームの音響線の方向を制御するための遅延時間制御部と、
前記超音波反射波を位相検波する位相検波部と、
前記測定対象物の前記音響線上において順番に配列している複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pn(nは3以上の自然数)における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求める運動速度演算部と、
前記それぞれの運動速度から隣接する一対の前記測定対象位置に挟まれる前記測定対象物の各部の伸縮量を求める伸縮演算部と、
を備えた超音波診断装置であって、
前記測定対象物の1または連続した複数の測定対象位置Pi・・・・Pj(i、jは2≦i≦j≦n−1を満たす自然数)における運動速度が正常な値ではなく、測定対象位置Pi−1およびPj+1における運動速度が正常な値である場合、測定対象位置Pi−1およびPj+1における正常な運動速度を用いて測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域全体における測定対象物の伸縮量を求める超音波診断装置。 - 前記測定対象物は力を受けることにより前記各部が運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める弾性率演算部をさらに備える請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記各部の弾性率を二次元マッピングする表示部をさらに備える請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記血管壁が構成する血管を流れる血液の血圧値である請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を、前記超音波反射波の振幅の大きさまたは前記超音波反射波の包絡線の振幅の大きさに基づいて行う請求項1から4のいずれかに記載の超音波診断装置。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数に基づいて行う請求項1から4のいずれかに記載の超音波診断装置。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を前記運動速度を積分した値に基づいて行う請求項1から4のいずれかに記載の超音波診断装置。
- 駆動パルス信号により、超音波プローブから測定対象物へ超音波送信波を送信するステップと、
前記測定対象物からの超音波反射波を受信するステップと、
遅延時間制御を制御することにより、前記超音波送信波および前記超音波反射波の超音波ビームの音響線の方向を制御するステップと、
前記超音波反射波を位相検波するステップと、
前記位相検波された信号から前記測定対象物の前記音響線上に配列している複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pn(nは3以上の自然数)における前記測定対象物の運動速度をそれぞれ求めるステップと、
前記それぞれの運動速度から隣接する一対の前記測定対象位置に挟まれる前記測定対象物の各部の伸縮量を求めるステップと、
を包含する超音波計測方法であって、
前記測定対象物の1または連続した複数の測定対象位置Pi・・・・Pj(i、jは2≦i≦j≦n−1を満たす自然数)における運動速度が正常な値ではなく、測定対象位置Pi−1およびPj+1における運動速度が正常な値である場合、測定対象位置Pi−1およびPj+1における正常な運動速度を用いて測定対象位置Pi−1およびPj+1に挟まれる領域全体における測定対象物の伸縮量を求める超音波計測方法。 - 前記測定対象物は力を受けることにより前記各部が運動し、前記力に関する情報に基づいて、前記伸縮量から弾性率を求める請求項8に記載の超音波計測方法。
- 前記各部の弾性率を二次元マッピングして表示するステップをさらに包含する請求項9に記載の超音波計測方法。
- 前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記血管壁が構成する血管を流れる血液の血圧値である請求項9に記載の超音波計測方法。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を、前記超音波反射波の振幅の大きさまたは前記超音波反射波の包絡線の振幅の大きさに基づいて行う請求項8から11のいずれかに記載の超音波計測方法。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数に基づいて行う請求項8から11のいずれかに記載の超音波計測方法。
- 前記複数の測定対象位置P1、P2、・・・Pnにおける運動速度が正常な値であるかのどうかの判断を前記運動速度を積分した値に基づいて行う請求項8から11のいずれかに記載の超音波計測方法。
- 駆動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物に関する情報を得る、超音波計測方法であって、
前記受信した超音波反射波のうち、包絡線の振幅が所定の閾値以上である部分のみを計測の演算に用いることにより、前記測定対象物に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する、超音波計測方法。 - 駆動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物に関する情報を得る、超音波計測方法であって、
前記駆動パルス信号ごとに生じる前記超音波反射波間の相関係数を求め、前記受信した超音波反射波のうち前記相関係数が所定の閾値以上である部分のみを計測の演算に用いることにより、前記測定対象物に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する、超音波計測方法。 - 駆動パルス信号によって超音波振動子を駆動し、前記超音波振動子から測定対象物へ超音波送信波を送信し、前記測定対象物から超音波反射波を受信し、受信した超音波反射波に基づいて、前記測定対象物の各部の運動に関する情報を得る、超音波計測方法であって、
前記受信した超音波反射波を位相検波し、検波した信号から各部の運動速度および運動速度を積分した値を求め、前記積分した値が、所定の閾値以上となる部分の運動速度を除外することにより、前記測定対象物の各部の運動に関する情報を画像化した際、前記画像からスペックルの影響を除去する、超音波計測方法。
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