JP2004215968A - 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 - Google Patents

超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 Download PDF

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真 加藤
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雅彦 橋本
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Abstract

【課題】生体内組織の性状診断を行える超音波診断装置を提供する。
【解決手段】測定対象物の複数の測定対象位置における測定対象物の運動速度を位相検波された信号からそれぞれ求め、測定対象物を第1の面積を有する単位セルに分割したときの各単位セルにおける第1の伸縮量および/または第1の弾性率、ならびに、測定対象物を第1の面積よりも大きい第2の面積を単位セルとして分割したときの各単位セルにおける第2の伸縮量および/または第2の弾性率を運動速度からそれぞれ求める演算部とを備え、測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、第2の伸縮量および/または第2の弾性率を用い、測定データの収集後に測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、第1の伸縮量および/または第1の弾性率を用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に生体内の組織の性状診断を行うための超音波診断装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾病を患う人々が増加してきており、このような疾病の予防および治療を行うことが大きな課題となっている。
【0003】
心筋梗塞や脳梗塞の発病には、動脈の硬化が深く関係している。具体的には、動脈壁に粥腫が形成されたり、高血圧等の種々の要因によって動脈の新しい細胞が作られなくなったりすると、動脈は弾力性を失い、硬く、脆くなる。そして、粥腫が形成された部分において血管が閉塞したり、粥腫を覆う血管組織が破裂することにより粥腫が血管内へ流出し、別の部分において動脈を閉塞させたり、動脈が硬化した部分が破裂したりすることによって、これらの疾病が引き起こされる。このため、動脈硬化を診断することがこれらの疾病予防や治療には重要となる。
【0004】
従来より、動脈が硬化しているかどうかは、血管カテーテルを用いて血管内部の様子を直接観察することによって診断されていた。しかし、この診断には、血管カテーテルを血管に挿入する必要があるため、患者への負担が大きいという問題があった。このため、血管カテーテルによる観察は、動脈が硬化していることが確かである患者に対して、その場所を特定するために用いられ、例えば、健康管理のための検査として、この方法が用いられることはなかった。
【0005】
動脈硬化の一因であるコレステロール値を測定したり、血圧値を測定したりすることは、患者への負担が少なく、容易に行うことのできる検査である。しかし、これらの値は、動脈が硬化している度合いを直接示すものではない。
【0006】
また、動脈硬化の治療薬を動脈の硬化が余り進行していない患者に対して投与することができれば、動脈硬化の治療に効果を発揮する。しかし、動脈硬化が進行してしまうと、治療薬によって動脈の硬化を抑制することはできても、硬化した動脈を完全に回復させることは難しいと言われている。
【0007】
こうした理由から、患者への負担が少なく、動脈の硬化が進行する前に動脈の硬化の度合いを診断する診断方法あるいは診断装置が求められている。
【0008】
一方、患者への負担が少ない医療診断装置として、超音波診断装置が従来より用いられている。超音波診断装置を用いて超音波を体外から照射することによって、患者に苦痛を与えることなく、体内の形状情報、運動情報あるいは質情報を得ることができる。
【0009】
特に超音波による計測を行えば、測定対象物の運動情報が得られるため、変位量から、測定対象物の弾性率を求めることができる。つまり、生体内の血管の弾性率を求めることができ、動脈の硬化の度合いを直接知ることが可能となる。また、患者に超音波プローブをあてるだけで測定できるため、患者への負担も少ない。このため、超音波診断装置を用いれば、動脈硬化の正確な診断も可能であるし、予防のための検診を被験者に対して負担を与える場合がなく行うことが期待される。
【0010】
しかし、従来より用いられている超音波診断装置は、例えば胎児の形状を観察したり、胎児の心音を聴診したりする超音波診断装置に代表されるように、形状情報や運動情報の分解能はそれほど高くない。このため、従来の超音波診断装置を用いて、心拍に合わせて収縮する動脈の弾性率を求めることは不可能であった。例えば、特許文献1に示されているもののように、測定対象の変位量計測が十分ではないものが多かった。
【0011】
近年、エレクトロニクス技術の進歩によって、超音波診断装置の測定精度を飛躍的に向上させることも可能になってきた。これに伴って、生体組織の微小運動を計測する超音波診断装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献2は、検波信号の振幅および位相の両方を用い、制約付最小二乗法によって対象の瞬時の位置を決定し、高精度な位相のトラッキングを実現する超音波振動装置を開示している。この装置は、拍動により大きく動いている組織上の微小振動を計測することができる。特許文献2によれば、振幅が10mm以上ある拍動に伴う大振幅変位運動上の数百Hzまでの微小振動を拍動が10回程度繰り返されても十分再現よく計測することができる。
【0012】
特許文献の装置は、数百Hzまでの高い周波数成分を再現性よく計測でき、超音波ビームを収束させることによって心筋や動脈壁上の直径1〜2mm程度の領域の弾性特性を得ることができる。また、一心拍中、あらゆる時相の成分の超音波信号が得られ、その信号の周波数スペクトル解析が可能である等の優れた特徴を備えていると報告されている。
【0013】
したがって、この公報の技術を用いた超音診断装置によれば、たとえば、健康診断などにおいて、被験者に負担を与えることなく、経時的に動脈硬化の進行度合いを調べ、動脈硬化による疾病を予防することが可能となると期待される。また、動脈の微小領域における弾性特性を測定することによって、血管破裂が生じ易い部位を特定し、その部位を治療することが可能になると期待される。
【0014】
【特許文献1】
特開昭62−266040号公報
【特許文献2】
特開平10−5226号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
超音波により計測された生体組織の運動情報は、従来より、モニタなどの画像表示装置を用いて二次元マッピングをすることによって可視化される。たとえば、超音波受信信号を振幅強度に応じて輝度変調することによって描いた直線を超音波ビームの走査につれて画像に書き込み、二次元の生体の断層像をリアルタイムで表示する方法が広く用いられている。この方法はBモード法と呼ばれ、この方法により、たとえば、胎児の形状を観察したり、胆石を発見したりすることが可能となる。
【0016】
形状情報や運動情報の分解能がそれほど高くない従来の超音波診断装置では、このようなリアルタイムの画像表示がその診断の目的に合致していた。しかし、特許文献2に開示される技術などを用いる時間的および空間的に高い分解能を有する超音波診断装置においては、分解能が高いため、リアルタイムで得られる画像における変化が大きすぎ、かえって生体組織の観察をすることが困難になる場合がある。また、分解能が高いため、超音波診断装置のプローブを被験者の計測部位にあてて計測を行っている間、被験者が不要な動作をすることによって、リアルタイムで得られる画像が大きく変化したり乱れたりする可能性がある。この場合にもリアルタイムで得られる画像により生体組織の観察をすることは困難となる。このような不具合を防ぐため、計測中、不要な動作をしないよう被験者に求めることは、被験者に好ましくない緊張を与える可能性もある。
【0017】
本発明はこのような問題を解決し、リアルタイム表示においても見やすい画像表示が可能なであり、測定対象物の各部の運動速度や各微小な領域の伸縮量や弾性率を計測することのできる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、測定対象物へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する超音波プローブ駆動部と、前記超音波送信波が前記測定対象物において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅する受信部と、前記超音波反射波を位相検波する位相検波部と、前記測定対象物の複数の測定対象位置における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求める運動速度演算部と、前記測定対象物を第1の面積を有する単位セルに分割したときの各単位セルにおける第1の伸縮量および/または第1の弾性率、ならびに、前記測定対象物を第1の面積よりも大きい第2の面積を単位セルとして分割したときの各単位セルにおける第2の伸縮量および/または第2の弾性率を前記運動速度からそれぞれ求める演算部とを備え、前記超音波反射波の受信による測定データの収集を行いながら、前記測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、前記第2の伸縮量および/または第2の弾性率を用い、測定データの収集後に前記測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を用いる。
【0019】
ある好ましい実施形態において、超音波診断装置は、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率、あるいは、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を求めるためのデータを記憶するデータ記憶部を更に備える。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を求めるためのデータは、前記位相検波された信号、前記運動速度または前記運動速度から求められる位置変位量である。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は力を受けることにより各測定対象位置において運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記生体の血圧値である。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置は、前記超音波反射波の音響線上においてP、P、・・・P(nは3以上の自然数)の順に配列しており、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率の各単位セルは少なくともPおよびPk+1(k=1、2、・・・、n−1)により規定される。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記第2の伸縮量および/または第2の弾性率の各単位セルは少なくともP(a+mk’)およびP(a+mk’)+m(mは2以上の自然数、aはm以下の任意の自然数であり、k’=0、1、2、・・・、n’、ただしa+m(n’+1)はnを超えない最大の値)により規定される。
【0025】
また本発明は、超音波を送受信する送受信部と、受信した超音波を位相検波する位相検波部と、位相検波した超音波に基づいて伸縮量および/または弾性率を計算する演算部とを備えた超音波診断装置の制御方法であって、測定対象物へ超音波を送信し、前記超音波が前記測定対象物において反射することにより得られる超音波反射波を受信するステップ(A)と、前記超音波反射波を位相検波するステップ(B)と、前記測定対象物の複数の測定対象位置における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求めるステップ(C)と、前記測定対象物を所定の単位セルに分割したときの各単位セルにおける伸縮量および/または弾性率を前記運動速度から求めるステップ(D)と、前記伸縮量および/または弾性率を画像表示するステップ(E)とを備え、ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行する場合に比べ、少なくともステップ(A)および(B)を実行後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を実行する場合において、ステップ(D)における前記各単位セルの面積を小さくする。
【0026】
ある好ましい実施形態において、超音波診断装置の制御方法は、前記少なくともステップ(A)および(B)を実行後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を実行する場合に、前記位相検波された信号、または、前記ステップ(C)またはステップ(D)において求められる計算結果を記憶するステップを更に備える。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は力を受けることにより各測定対象位置において運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記生体の血圧値である。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記複数の測定対象位置は、前記音響線上にP、P、・・・P(nは3以上の自然数)の順に配列しており、ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行する場合において、前記各単位セルは少なくともP(a+mk’)およびP(a+mk’)+m(mは2以上の自然数、aはm以下の任意の自然数、であり、k’=0、1、2、・・・、n’、ただしa+m(n’+1)はnを超えない最大の値)により規定される。
【0030】
ある好ましい実施形態において、ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行した後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を再度実行する場合において、前記各単位セルは少なくともPおよびPk+1(k=1、2、・・・・n−1)により規定される。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波診断装置は測定対象物の各部の運動速度や各微小な領域における伸縮量および弾性率を測定する。物体自体は移動しないが、超音波を反射し、各位置における運動速度が異なっている種々の物体を好適に本発明の超音波診断装置の測定対象物とすることができる。特に、生体の各部の弾性率を計測するのに適している。以下では、生体の各部を「組織」と称する場合がある。
【0032】
まず、本発明による超音波診断装置の一実施形態を概略的に説明する。図1は、超音波診断装置50の構成を示すブロック図である。超音波診断装置50は、超音波診断装置本体1と、超音波プローブ2と、モニタ13とを備えている。また、血圧計14とECG(心電計)15が超音波診断装置本体1へ接続されている。
【0033】
超音波診断装置本体1は、超音波送受信部3、CPU4、遅延時間制御部5、遅延データ記憶部6、位相検波部7、およびフィルタ8を含む。
【0034】
超音波プローブ2は超音波診断装置本体1の超音波送受信部3に接続されており、測定対象物である生体に対して超音波の送受信を行う。超音波プローブ2は、アレイ状に配列された複数の超音波振動子(超音波振動子群)を有している。
【0035】
超音波送受信部3は、電子部品等を用いて構成され、超音波プローブ駆動部となる超音波プローブ2を駆動する駆動回路と、超音波反射波を増幅する受信部となる受信回路を含む。超音波診断装置本体1全体の制御等を行うCPU4の制御にしたがって、超音波プローブ駆動回路は所定の駆動パルス信号を超音波プローブ2に与える。駆動パルスにより超音波プローブ2から送信される超音波送信波は、生体において反射し、生じた超音波反射波が超音波プローブ2で受信される。超音波プローブ2により受信された超音波反射波は、受信回路において増幅される。超音波送受信部3はまたA/D変換回路を含み、受信回路において増幅された超音波反射波はデジタル信号に変換される。
【0036】
遅延時間制御部5は超音波送受信部3に接続されており、超音波送受信部3から超音波プローブ2の超音波振動子群に与える駆動パルス信号の遅延時間を制御する。これにより、超音波プローブ2から送信される超音波送信波の超音波ビームの音響線の方向や焦点深度を変化させる。また、超音波プローブ2によって受信され、超音波送受信部3によって増幅された超音波反射波信号の遅延時間を制御することにより、受信される超音波の音響線の方向を変化させることができる。遅延時間制御部5の出力は位相検波部7に入力される。駆動パルス信号および受信反射波信号の遅延時間を制御するためのデータは、遅延データ記憶部6に記憶されている。
【0037】
位相検波部7は、遅延時間制御部5で遅延制御された受信反射波信号を位相検波し、実部信号と虚部信号とに分離する。分離された実部信号および虚部信号はフィルタ8に入力される。フィルタ8は組織運動以外の反射成分を除去する。なお、遅延時間制御部5および位相検波部7はソフトウエアによってもハードウエアによっても実現される。
【0038】
超音波診断装置本体1は、演算部9、演算データ記憶部10、DSC(デジタル・スキャン・コンバータ)11、および表示制御部12をさらに含み、位相検波した信号から対象となる生体組織の運動速度および位置変位量を演算する。演算部9および演算データ記憶部10はソフトウエアまたはハードウエアにより実行され、DSC11および表示制御部12は電子部品を用いた回路により構成される。
【0039】
具体的には、フィルタ8の出力は演算部9に入力される。演算部9は、運動速度演算部と、位置演算部と、伸縮演算部と、弾性率演算部とを含む。位相検波された信号の実部信号および虚部信号を用いて、運動速度演算部が対象となる生体組織の運動速度を求め、位置演算部および伸縮演算部が運動速度を積分することにより位置変位量および伸縮量を求める。さらに、弾性率演算部において、血圧計14から入力される最低血圧値および最高血圧値に関するデータを用いて対象となる組織の弾性率を求める。演算部9の出力はDSC11に入力される。また、以下において詳述するように、位相検波された信号の実部信号および虚部信号、あるいは、演算部9において求められた運動速度または、位置変位量が演算データ記憶部10へ出力され、演算データ記憶部10において記憶される。演算部9は、演算データ記憶部10に記憶されたデータを用いて、伸縮量および弾性率を同様に求めることができる。
【0040】
DSC11は演算部9から出力される信号のデータフォーマットをモニタ13で表示するための画像フォーマットに変換する。たとえば、二次元マッピングデータに変換する。DSC11の出力は表示制御部12に入力される。表示制御部12には、血圧計14から得られる最低血圧値および最高血圧値とECG(心電計)15から得られる心電図の波形信号も入力される。表示制御部12は、これらの信号を映像信号に変換し、DSC11からの映像信号に重畳する。表示制御部12の出力はモニタ13に入力され、モニタ13はこれを表示する。
【0041】
次に、超音波診断装置50の動作を概略的に説明する。本発明の超音波診断装置50は、リアルタイム表示モードとオフライン表示モードとを備える。リアルタイム表示モードでは、生体に向けて超音波送信波の送信し、生体から反射する超音波反射波を受信することにより、測定データを収集しながら生体の伸縮量や弾性率を画像表示する。オフライン表示モードでは、測定データの収集後、演算データ記憶部10からデータを読み出して生体の伸縮量や弾性率を画像表示する。
【0042】
ここで「リアルタイム表示」とは、計測データを取得するために、生体に対して超音波プローブ2を当てて超音波の送受信を行っている間に、受信した超音波反射波に基づく画像を逐次表示することをいう。受信した超音波反射波が瞬時に演算され、超音波反射波の受信と実質的に同時に画像表示が行われてもよいし、演算に時間を要するため、受信から画像の表示までに数ミリ秒から数十ミリ秒程度のタイムラグが存在していてもかまわない。リアルタイム表示は、表示された画像に基づいて計測領域を移動させたり、目的としている部位を探索するために用いられる。したがって、上述の時間程度のタイムラグが存在する場合であっても、その期間、超音波プローブ2を生体に対して静止させておくことが可能である限り、「リアルタイム表示」として機能することができる。また、超音波反射波の受信と画像表示とが上述の関係を満たす限り、超音波反射波に基づく種々の演算データがレジスタや一時記憶のためのメモリなどに記憶されてもかまわない。
【0043】
なお、以下において詳述するように、血管の弾性率を計測する場合、弾性率の計算に血管を流れる血液の脈圧が必要となる。この脈圧は、一心拍ごとに更新されるため、弾性率も一心拍ごとに求められる。つまり、弾性率の表示速度は約1フレーム/秒となる。しかし、弾性率の表示そのものタイムラグは上述した程度の値となる。
【0044】
リアルタイム表示モードでは、遅延時間制御部5により遅延時間が制御された複数の駆動パルス信号が超音波送受信部3から出力され、超音波プローブ2は、各駆動パルス信号を超音波送信波に変換し、生体へ送信する。生体組織によって反射して得られる超音波反射波は、超音波プローブ2で受信され、電気信号に変換される。超音波送受信部3において受信した受信反射波信号は、遅延時間制御部5を経て位相検波部7に入力される。遅延データ記憶部6には予め設定した超音波送信波および受信波の音響線の偏向角度や焦点深度に基づいた遅延時間データが複数記憶されており、駆動パルス信号ごとに遅延時間制御部5が異なる遅延時間データを読み出すことによって、駆動パルス信号ごとに異なる偏向角度で超音波の送受信を行うことができる。
【0045】
位相検波部7は、受信反射波信号を位相検波し、実部信号および虚部信号に分離する。実部信号および虚部信号は、フィルタ8によって組織の運動速度以外の反射波成分が除去され、演算部9に入力される。
【0046】
演算部9では、位相検波された受信反射波信号の実部信号および虚部信号に基づいて、組織の運動速度が求められる。また、運動速度を積分することにより組織の位置変位量、伸縮量および弾性率を計算し、DSC11に出力する。また、位相検波された信号の実部信号および虚部信号、あるいは、演算部9において求められた運動速度または位置変位量が演算データ記憶部10へ出力され、演算データ記憶部10において記憶される。DSC11は、求められた組織の運動速度、位置変位量および/または弾性率を映像信号に変換し、表示制御部12を経て、モニタ13に出力する。また表示制御部12では、血圧計14から得られる最低血圧値および最高血圧値とECG15から得られる心電図の波形とを映像信号に変換し、DSC11からの映像信号に重畳して、モニタ13に出力する。これらの手順によるデータ処理が超音波送信波の送信ごとに逐次実行される。
【0047】
オフライン表示モードは、計測したデータを精査し、データに基づいて生体の診断や分析を正確に行うことを目的としている。オフライン表示モードでは、演算データ記憶部10に記憶された位相検波された信号の実部信号および虚部信号、あるいは、演算部9において求められた運動速度または位置変位量を読み出して必要に応じ、演算部9において上述の演算を行う。そして、運動速度、位置変位量、伸縮量および/または弾性率を求め、DSC11へ出力する。DSC11は、リアルタイム表示モードと同様に信号の処理を行い、モニタ13に計測結果が画像表示される。
【0048】
以下において詳述するように、リアルタイム表示モードおよびオフライン表示モードにおいて、伸縮量および/または弾性率を求める最小単位となる生体の単位セルの面積の大きさは、リアルタイム表示モードのほうがオフライン表示モードより大きくなっている。そして、CPU4の指令によって演算部9は、表示モードに応じて自動的に単位セルの大きさを選択し、リアルタイム表示モードでは、オフライン表示モードよりも面積の大きい単位セルに基づいて伸縮量および/または弾性率を計算し、オフライン表示モードでは、リアルタイム表示モードよりも面積の小さい単位セルに基づいて伸縮量および/または弾性率を計算する。
【0049】
次に、演算部9における組織の位置変位量の演算について、図2を用いて説明する。ここでは、生体組織として血管壁組織の位置変位量および弾性率を求める。図2は、生体21および血管壁23を伝播する超音波ビーム24を模式的に示している。生体21の表面に配置された超音波プローブ2から発信した超音波送信波は、生体21および血管壁23中を進行する。超音波送信波は、ある有限の幅を持つ超音波ビーム24として生体21および血管壁23中を伝播し、その過程において生体21および血管壁23によって反射または散乱した超音波の一部が超音波プローブ2へ戻り、超音波反射波として受信される。超音波反射波は時系列信号r(t)として検出され、超音波プローブ2に近い組織から得られる反射の時系列信号ほど、時間軸上で原点近くに位置する。超音波ビーム24の幅(ビーム径)は、遅延時間を変化させることにより制御することができる。
【0050】
上述したように超音波反射波は生体21および血管壁23の両方により生じる。しかし、本実施形態では、血管壁組織が測定対象であるので、以下の説明では血管壁23にのみ着目する。超音波ビームの中心軸である音響線22上に位置する血管壁23中の複数の測定対象位置P(P、P、P、P・・・P、nは3以上の自然数)は、ある一定間隔Hで超音波プローブ2に近い順にP、P、P、P・・・Pと配列している。生体21の表面を原点とする深さ方向の座標をZ、Z、Z、Z、・・・Zとすると、測定対象位置Pからの反射は、時間軸上でt=2Z/cに位置することになる。ここでcは生体組織内での超音波の音速を示す。反射波信号r(t)を位相検波部7において位相検波し、検波した信号を実部信号および虚部信号に分離してフィルタ8を通過させる。演算部9では、反射波信号r(t)と微小時間Δt後の反射波信号r(t+Δt)において振幅は変化せず、位相および反射位置のみが変化するという制約のもとで、反射波信号r(t)とr(t+Δt)との波形の整合誤差が最小となるよう最小二乗法によって位相差を求める。この位相差から、測定対象位置Pの運動速度V(t)が求められ、さらにこれを積分することにより、位置変位量d(t)を求めることができる。
【0051】
次に、これらの測定演算結果を用いた伸縮量および弾性率の演算・表示について、図3を用いて説明する。図3は、測定対象位置Pと弾性率演算の対象組織Tとの関係を示す図である。対象組織Tは、隣接する測定対象位置PとPk+1とに挟まれた範囲に厚みHを有して位置している。n個の測定対象位置P・・・・Pからは(n−1)個の対象組織T・・・・Tn−1を設けることができる。
【0052】
対象組織Tの伸縮量である厚み変化量D(t)は、測定対象位置PとPk+1の位置変位量d(t)とdk+1(t)とから、D(t)=dk+1(t)−d(t)として求められる。血管壁23の組織Tの厚みの変化は、血管壁23が構成する血管を流れる血液が心拍によって変化することにより生じる。よって、対象組織Tの厚みH(最低血圧時の値)、対象組織の厚み変化量D(t)の最大値Dkmax、および最低血圧値と最高血圧値との差である脈圧Bを用い、対象組織Tの歪み率である弾性率χをχ=(B×H)/Dkmaxにより求めることができる。ここで、弾性率χは血管半径方向の弾性率である。そして、遅延時間を制御し、超音波ビームが重ならないように送受信する超音波の偏向角度を走査させることによって、血管壁23の任意の断面における弾性率を二次元マッピング表示することができる。二次元マッピング表示では、弾性率の大きさにしたがって、輝度を分布させたり色に濃淡をつけたりすることができる。たとえば弾性率の大きい箇所および小さい箇所をそれぞれ青色および赤色で表示し、弾性率がその中間の値である箇所は青色と赤色の中間色で表示することができる。色相の組み合わせは、ユーザが自由に選択できるようにしてもよい。
【0053】
上述の説明から明らかなように、伸縮量および弾性率の空間分解能は、測定対象位置Pの間隔と超音波ビームのビーム径とによって決まる。したがって、これらにより定まる領域は伸縮量および弾性率を求める最小単位となる。この最小単位を単位セルと呼ぶ。単位セルが小さいほど、計測により求められる伸縮量および弾性率の分解能も高くなるので、生体の診断や分析をより正確に行うことできる。このため空間分解能は高いほうが好ましい。
【0054】
しかし、高い空間分解能で伸縮量や弾性率を二次元画像表示すると、ノイズや超音波プローブ2と生体との接触状態の変化等の影響を受けやすくなり、各単位セルにおける伸縮量や弾性率の変化が大きくなる場合がある。その結果、高い空間分解能で二次元画像をリアルタイム表示すると、画像に基づいて、超音波プローブ2の位置や角度を変化させることにより、計測領域を移動させたり、目的としている部位を探索することが困難となる場合がある。
【0055】
このため、リアルタイム表示を行う場合の二次元画像では、伸縮量や弾性率の空間分解能を低くする。具体的には、図4に示すように、超音波ビーム上の測定対象位置P(k=1、2、・・・n)のうち、例えば、kが偶数となる測定対象位置(P、P、P、・・・)のデータのみを用いて、伸縮量および弾性率を求める。つまり、リアルタイムの二次元画像表示では、伸縮量および弾性率の単位セルは、超音波ビームの音響線方向において測定対象位置PおよびPr+2(r=2、4、6、・・・・)によって規定される。このため、隣接する一対の対象組織を1つの組織T’として扱うことになる。
【0056】
図4に示すように、測定対象位置P、P、P、・・・における位置変異量はd(t)、d(t)、d(t)、・・・であるので、TとTr+1とをあわせた組織の伸縮量である厚み変化量D(t)は、測定対象位置PとPr+2の位置変位量d(t)とdr+2(t)とから、D’(t)=dr+2(t)−d(t)として求められる。血管壁23の組織T’の厚みの変化は、血管壁23が構成する血管を流れる血液が心拍によって変化することにより生じる。よって、対象組織T’の厚み2H(最低血圧時の値)、対象組織の厚み変化量D’(t)の最大値D’rmax、および最低血圧値と最高血圧値との差である脈圧Bを用い、対象組織T’の歪み率である弾性率χ’をχ’=(B×2H)/D’rmaxにより求めることができる。
【0057】
伸縮量や弾性率の空間分解能を低くするために、上述の例のほか、kが奇数となる測定対象位置(P、P、P、・・・)のデータのみを用いてもよい。また、3つ以上の対象組織を1つの組織とみなし、伸縮量や弾性率の空間分解能をさらに低くしてもよい。一般に、超音波ビーム上の測定対象位置P(k=1、2、・・・n)のうち、m番目ごとのデータのみを採用して、空間分解能を低くくする場合には、伸縮量や弾性率の各単位セルはP(a+mk’)およびP(a+mk’)+m(mは2以上の自然数、aはm以下の任意の自然数であり、k’=0、1、2、・・・、n’、ただしa+m(n’+1)はnを超えない最大の値)により規定されることになる。リアルタイムで画像表示を行う場合の空間分解能は、計測におけるノイズの大きさや超音波プローブ2と生体との接触状態の変化等を考慮して定められる。
【0058】
上述したようにリアルタイム表示モードでは、伸縮量や弾性率の空間分解能を低くするために測定対象位置(P、P、P、・・・)におけるデータの一部のみを画像表示に用いる。しかし、超音波診断装置50は、リアルタイム表示モードにおいて、すべての測定対象位置(P、P、P、・・・)における運動速度V(t)を求めるのに必要な超音波反射波の信号をすべて取得する。そして受信した超音波反射波を位相検波することによって得られる実部信号および虚部信号、あるいは、演算部9において求められた運動速度または位置変位量を演算データ記憶部10へ出力して、演算データ記憶部10において、これらのデータを記憶する。
【0059】
一方、オフライン表示モードでは、計測したデータを精査し、データに基づいて生体の診断や分析を正確に行う。このためには、高い空間分解能で伸縮量や弾性率を二次元画像表示することが好ましいので、演算データ記憶部10に記憶されている測定対象位置Pにおけるすべてのデータを用いて、伸縮量や弾性率を二次元画像表示する。
【0060】
これら2つのモードの切り替えに対応して、CPU4は、演算部9において伸縮量および弾性率の計算を行う場合の単位セルの大きさを自動的に切り換える。つまり、CPU4の指令によって、リアルタイム表示モードでは、オフライン表示モードよりも面積の大きい単位セルに基づいて計算される伸縮量および/または弾性率を画像表示し、オフライン表示モードでは、リアルタイム表示モードよりも面積の小さい単位セルに基づいて計算される伸縮量および/または弾性率を画像表示する。 このように演算部9は、リアルタイム表示モードでは、フィルタ8から位相検波された実部信号および虚部信号を受け取って、リアルタイムで伸縮量および/または弾性率を計算する。このときの伸縮量および/または弾性率は測定対象位置Pの一部を用いて計算され、計算の単位セルは、測定対象位置Pの全部を用いて計算する場合に比べて大きくなっている。また、オフライン表示モードでは、演算部9は、演算データ記憶部10に記憶されたデータを読み出して、伸縮量および/または弾性率を計算する。この時の伸縮量および/または弾性率は、測定対象位置Pのすべてを用いて計算されるため、単位セルはリアルタイム表示モードにおける単位セルに比べて小さくなっている。
【0061】
本実施形態の超音波診断装置によれば、リアルタイム表示モードにおいて測定対象物である生体組織の各部の伸縮量および/または弾性率を表示する場合には、伸縮量や弾性率の空間分解能を低くして、二次元画像表示する。このため、ノイズや超音波プローブと生体との接触状態の変化等の影響を受けにくい安定した画像表示を行うことができ、表示された画像に基づいて超音波プローブを移動させることにより計測領域を移動させたり、目的としている部位を探索することが容易となる。また、被験者が不要な動作をしても、表示している画像が大きく変化しにくいため、被験者に厳密な静止状態を強いる必要が無く、被験者に好ましくない緊張を与えることを避けることができる。
【0062】
さらに、伸縮量や弾性率の空間分解能を低くすることにより、リアルタイム表示モードにおける画像表示のための計算量を低減させることができる。このため、超音波診断装置のCPUに要求される演算処理能力を低くすることができ、演算処理能力がさほど高くない安価なCPUを超音波診断装置に用いることが可能となる。これより、超音波診断装置のコストを低減させることできる。また、計算量が少なくてすむため、超音波反射波の受信後速やかに画像表示をさせることが可能となり、タイムラグの少ないリアルタイム表示をおこなうこともできる。
【0063】
なお、上記実施形態では超音波反射波信号から測定対象組織の運動速度および位置変位量を特許文献2に開示された方法によって求めている。しかし、たとえばRF信号に対するゼロクロス点検出法、組織ドプラ法のような他の方法を用いて運動速度および位置変位量を求めてもよい。
【0064】
また、深さ方向における計測エリアが狭い(短い)場合には、超音波の送信焦点深度および受信焦点深度の両方を固定しても、分解能の高い計測をおこなうことできる場合が多い。深さ方向における計測エリアが広い(長い)場合には、送信焦点深度を変えたり、受信時にダイナミックフォーカシングを行う等により分解能の高い像を得ることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、リアルタイム表示モードにおいて測定対象位置におけるデータの一部のみを用い、相対的に大きな単位セルによる伸縮量および/または弾性率のみを求めて画像表示を行っている。しかしこのとき、オフライン表示モードのための小さな単位セルによる伸縮量および/または弾性率を並行して求めておき、オフライン表示用の伸縮量および/または弾性率を演算データ記憶部10に記憶させてもよい。この場合、オフラインモードにおいて、CPU4は、演算データ記憶部10に記憶されていたオフライン表示用の伸縮量および/または弾性率を読み出し、演算部9で演算を行うことなく、DSC11へデータを送り、画像表示する。
【0066】
以下、超音波診断装置50のより具体的な一例を説明する。図5は、超音波診断装置50を用いて頸動脈の検診を行った結果を表した画像を模式的に示している。この例では、頸動脈の血管壁の弾性率を計測し、血管壁中の微小な石灰化部位を探索する。血管壁の石灰化は典型的な動脈硬化である。
【0067】
図5において、左半分にはBモードによる生体の二次元画像31が示されている。二次元画像31には血管前壁34、血管後壁36およびそれらに挟まれた空間(血管の内空間)35が示されている。また二次元画像31には、二次元画像31を撮像するのに用いられた超音波ビームの音響線33と、血管前壁34と空間35との境界を示すマーカ37と、検査領域(Region Of Inspection、ROIとも略す)38と、検査領域38における測定対象位置P〜Pを示すマーカ39とが示されている。この例では、9つの測定位置が検査領域38内に設定されている。
【0068】
一方、図5の右半分にはBモードの二次元画像32と、検査領域38内の各部の弾性率を求めた弾性特性マップ40が示されている。弾性特性マップ40の位置は二次元画像31における検査領域38に対応している。図5において、弾性特性マップ40は、各部の弾性率の値に応じたモノクロの濃淡で示されているが、二次元画像31および32をモノクロ表示し、弾性特性マップ40を弾性率の値に応じたカラー表示を行ってもよい。
【0069】
なお、二次元画像31および32は、超音波のBモード画像であるため、たとえば、30フレーム/秒程度の表示速度でリアルタイムで更新することができる。これに対して、弾性率の計算は被験者の心拍間隔で行われるため、弾性特性マップ40は被験者の心拍間隔(約1フレーム/秒)で更新される。このため、二次元画像31および32を30フレーム/秒程度の表示速度で更新しながら表示し、弾性特性マップ40を被験者の心拍間隔(約1フレーム/秒)で更新して表示してもよい。しかし、弾性特性マップ40と重ねられる二次元画像32は弾性特性マップ40と同期して更新したほうが、見易い画像が得られる。また、二次元画像31は、二次元画像32の弾性特性マップ40で隠れた部分を参照する目的で利用されることが多いため、二次元画像31も弾性特性マップ40と同期して更新したほうがより見易い画像を得ることができる。
【0070】
超音波診断装置50を用いて弾性率を計測する場合、まず、超音波プローブ2(図1)を生体に当てて図5に示す二次元画像31および32を得る。そして、二次元画像31上において弾性率を計測したい部分へ検査領域38を移動させる。血管壁の弾性率を求める場合には、血管の内径を求めることが有用であるため、検査領域38に空間35と血管後壁36との境界が含まれるようにする。また、マーカ33を空間35と血管前壁34との境界に合わせる。 二次元画像31上において検査領域38を設定すると、リアルタイムで二次元画像32上に弾性特性マップ40が表示される。図6(a)〜(c)は、被験者の心拍の時間間隔で更新される弾性特性マップ40の時間的に連続した3つ計測結果を示している。図6(a)〜(c)に示すように、弾性特性マップ40は、a〜dで示される4つの領域に縦方向に分割されており、a〜hで示される8つの領域に横方向に分割されている。横方向および縦方向を(x、y)の座標で示すと、(a,a)〜(a,h)・・・(d,a)〜(d,h)で特定される32の単位セルに分割されている。この例において、各単位セルの大きさは、横0.4mm×縦0.2mmである。図5のマーカ39で示すように、測定対象位置は9つ設定されているが、リアルタイム表示モードにおける弾性特性マップ40は、縦方向(音響線方向)において4つの領域にしか分割されていない。これは、奇数番目の測定対象位置P、P、・・・Pにおけるデータのみを弾性率の計算に用い、縦方向の空間分解能を低下させているからである。図6(a)〜(c)に示すように、(b,b)で特定される単位セルにおける濃度が濃く示されており、この位置において弾性率が高くなっていることが分かる。この弾性率が高い単位セルの位置は、図6(a)〜(c)において変化していない。このため、リアルタイムで図6(a)〜(c)に示される弾性特性マップ40を観察する操作者にとって、弾性率が高い部位を特定し易く、図6(a)〜(c)に示される弾性特性マップ40に基づいて、たとえば更に、(b,b)近傍における計測を重点的に行ったりすることが可能である。
【0071】
検診の終了後、オフライン表示モードに切り替えると、検診により取得したデータが読み出だされ、読み出したデータに基づいて、図5に示す画像と同じ画像が表示される。ただし、二次元画像32に重ねて表示される弾性特性マップ40は図7(a)〜(c)で示されるものである。図7(a)〜(c)に示すように、弾性特性マップ40は、a、a〜d、dで示される8つの領域に縦方向に分割されており、a〜hで示される8つの領域に横方向に分割されている。したがって、(a,a)〜(h,a)・・・(a,d)〜(h,d)で特定される64の単位セルに分割されている。オフライン表示モードでは、図5のマーカ39で示すように、9つの測定対象位置におけるデータをすべて用いているため、単位セルが縦方向に短くなっており、縦方向における分解能がリアルタイム表示モードにくらべて高くなっている(横0.4mm×縦0.1mm)。
【0072】
図7(a)〜(c)において、最も弾性率の高い単位セルの位置は、それぞれ(b,b)、(b,b)、(b,b)であり、図7(a)と図7(b)および図7(c)とで最も弾性率の高い単位セルの位置が変化している。また、このほかに、薄い濃度で示される単位セルが、その位置を変えながら図7(a)〜(c)の複数の位置において存在している。
【0073】
これは、ノイズや生体と超音波プローブとの接触状態の変化によるものである。図7(a)〜(c)に示すこのような変化がリアルタイムで表示される場合、最も弾性率の高い部分を特定するのが困難となり、リアルタイム表示モードにおいて図7(a)〜(c)に示す画像を表示することは、弾性特性マップ40を観察する操作者にとって、弾性率が高い部位を特定しにくいという問題を引き起こしうる。しかし、オフライン表示モードでは、操作者が、任意のタイミングで図7(a)〜(c)示す画像を切り換えることができる。このため、図7(a)〜(c)に示すより高い分解能の弾性特性マップ40を用いて、弾性率が高い部位を正確に特定したり、弾性率が高い部位の大きさを正確に測ることが可能となる。
【0074】
以上、本実施形態では、生体を測定対象物として用い、本発明の超音波装置および超音波計測方法を説明したが、測定対象物は生体以外の物体であってもよい。たとえば、壁内の配管パイプの機械振動測定などに用いることができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置およびその制御方法によれば、リアルタイム表示においては、計測結果を示す画像の表示が見易いものとなり、それによって計測中の操作性を高めることができる。また、オフライン表示においては、高い分解能で計測結果を精密に分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】生体の血管壁を伝播する超音波ビームを模式的に示している。
【図3】オフライン表示モードにおける測定対象位置と弾性率を求める対象組織との関係を示す図である。
【図4】リアルタイム表示モードにおける測定対象位置と弾性率を求める対象組織との関係を示す図である。
【図5】本発明による超音波診断装置によって、頸動脈を診断した場合の画像の一例を示している。
【図6】(a)から(c)は、リアルタイム表示モードにおける弾性特性マップを示している。
【図7】(a)から(c)は、オフライン表示モードにおける弾性特性マップを示している。
【符号の説明】
1 超音波診断装置本体
2 超音波プローブ
3 超音波送受信部
4 CPU
5 遅延時間制御部
6 遅延データ記憶部
7 位相検波部
8 フィルタ
9 演算部
10 演算データ記憶部
11 DSC
12 表示制御部
13 モニタ
14 血圧計
15 ECG
21 生体
22 音響線
23 血管壁
24 超音波ビーム
31、32 二次元画像
33 音響線
34 血管前壁
35 空間
36 血管後壁
37、39 マーカ
38 検査領域
40 弾性特性マップ
50 超音波診断装置

Claims (13)

  1. 測定対象物へ超音波送信波を送信するための超音波プローブを駆動する超音波プローブ駆動部と、
    前記超音波送信波が前記測定対象物において反射することにより得られ、前記超音波プローブにより受信する超音波反射波を増幅する受信部と、
    前記超音波反射波を位相検波する位相検波部と、
    前記測定対象物の複数の測定対象位置における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求める運動速度演算部と、
    前記測定対象物を第1の面積を有する単位セルに分割したときの各単位セルにおける第1の伸縮量および/または第1の弾性率、ならびに、前記測定対象物を第1の面積よりも大きい第2の面積を単位セルとして分割したときの各単位セルにおける第2の伸縮量および/または第2の弾性率を前記運動速度からそれぞれ求める演算部と、
    を備え、前記超音波反射波の受信による測定データの収集を行いながら、前記測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、前記第2の伸縮量および/または第2の弾性率を用い、測定データの収集後に前記測定対象物の伸縮量および/または弾性率を画像表示する場合には、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を用いる超音波診断装置。
  2. 前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率、あるいは、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を求めるためのデータを記憶するデータ記憶部を更に備える請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率を求めるためのデータは、前記位相検波された信号、前記運動速度または前記運動速度から求められる位置変位量である請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記測定対象物は力を受けることにより各測定対象位置において運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める請求項1に記載の超音波診断装置。
  5. 前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記生体の血圧値である請求項4に記載の超音波診断装置。
  6. 前記複数の測定対象位置は、前記超音波反射波の音響線上においてP、P、・・・P(nは3以上の自然数)の順に配列しており、前記第1の伸縮量および/または第1の弾性率の各単位セルは少なくともPおよびPk+1(k=1、2、・・・、n−1)により規定される請求項1に記載の超音波診断装置。
  7. 前記第2の伸縮量および/または第2の弾性率の各単位セルは少なくともP(a+mk’)およびP(a+mk’)+m(mは2以上の自然数、aはm以下の任意の自然数であり、k’=0、1、2、・・・、n’、ただしa+m(n’+1)はnを超えない最大の値)により規定される請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 超音波を送受信する送受信部と、受信した超音波を位相検波する位相検波部と、位相検波した超音波に基づいて伸縮量および/または弾性率を計算する演算部とを備えた超音波診断装置の制御方法であって、
    測定対象物へ超音波を送信し、前記超音波が前記測定対象物において反射することにより得られる超音波反射波を受信するステップ(A)と、
    前記超音波反射波を位相検波するステップ(B)と、
    前記測定対象物の複数の測定対象位置における前記測定対象物の運動速度を前記位相検波された信号からそれぞれ求めるステップ(C)と、
    前記測定対象物を所定の単位セルに分割したときの各単位セルにおける伸縮量および/または弾性率を前記運動速度から求めるステップ(D)と、
    前記伸縮量および/または弾性率を画像表示するステップ(E)と、
    を備え、
    ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行する場合に比べ、少なくともステップ(A)および(B)を実行後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を実行する場合において、ステップ(D)における前記各単位セルの面積を小さくする超音波診断装置の制御方法。
  9. 前記少なくともステップ(A)および(B)を実行後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を実行する場合に、前記位相検波された信号、または、前記ステップ(C)またはステップ(D)において求められる計算結果を記憶するステップを更に備える請求項8に記載の超音波診断装置の制御方法。
  10. 前記測定対象物は力を受けることにより各測定対象位置において運動し、前記力に関する情報にもとづいて、前記伸縮量から弾性率を求める請求項8に記載の超音波診断装置の制御方法。
  11. 前記測定対象物は生体の血管壁であり、前記力に関する情報は前記生体の血圧値である請求項10に記載の超音波診断装置の制御方法。
  12. 前記複数の測定対象位置は、前記音響線上にP、P、・・・P(nは3以上の自然数)の順に配列しており、ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行する場合において、前記各単位セルは少なくともP(a+mk’)およびP(a+mk’)+m(mは2以上の自然数、aはm以下の任意の自然数、であり、k’=0、1、2、・・・、n’、ただしa+m(n’+1)はnを超えない最大の値)により規定される請求項8に記載の超音波診断装置の制御方法。
  13. ステップ(A)から(D)を実行しながら逐次ステップ(E)を実行した後、前記位相検波された信号にもとづいて、ステップ(D)および(E)を再度実行する場合において、前記各単位セルは少なくともPおよびPk+1(k=1、2、・・・・n−1)により規定される請求項12に記載の超音波診断装置の制御方法。
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