JP5148203B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は医療用の超音波診断装置に関し、特に血管壁を測定する超音波診断装置に関する。
近年、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾病を患う人々が増加してきており、このような疾病の予防および治療を行うことが大きな課題となっている。
心筋梗塞や脳梗塞の発病には、動脈硬化が深く関係している。具体的には、血管壁に粥腫が形成されたり、高血圧等の種々の要因によって動脈の新しい細胞が作られなくなったりすると、動脈は弾力性を失い、硬く、脆くなる。そして、粥腫が形成された部分において血管が閉塞したり、粥腫を覆う血管組織が破裂することにより粥腫が血管内へ流出し、別の部分において動脈を閉塞させたり、動脈が硬化した部分が破裂したりすることによって、これらの疾病が引き起こされる。このため、動脈硬化を早期に診断することがこれらの疾病予防や治療には重要となる。
従来、動脈硬化病変の診断は、血管カテーテルを用いて血管内部の様子を直接観察することによって行われていた。しかし、この診断には、血管カテーテルを血管に挿入する必要があるため、被験者への負荷が大きいという問題があった。このため、血管カテーテルによる観察は、動脈硬化病変が存在していることが確かである被験者に対して、その場所を特定するために用いられ、例えば、健康管理のための検査として、この方法が用いられることはなかった。
動脈硬化の一因であるコレステロール値を測定したり、血圧値を測定したりすることは、被験者への負担が少なく、容易に行うことのできる検査である。しかし、これらの値は、動脈硬化の度合いを直接示すものではない。
また、動脈硬化を早期に診断して、動脈硬化の治療薬を被験者に対して投与することができれば、動脈硬化の治療に効果を発揮する。しかし、動脈硬化が進行してしまうと、治療薬によって動脈硬化の進展を抑制することはできても、硬化した動脈を完全に回復させることは難しいと言われている。
こうした理由から、被験者への負担が少なく、動脈硬化が進行する早期段階において、動脈硬化の度合いを診断する診断方法あるいは診断装置が求められている。
被験者への負担が少ない非侵襲の医療診断装置としては、超音波診断装置が広く用いられている。従来の超音波診断装置は、エコー信号の強度を対応する画素の輝度に変換することにより、被検体の構造を示す断層画像を得る。断層画像はリアルタイムで取得され、断層画像から被検体の内部の構造を診断するために利用されている。
近年のエレクトロニクス技術の進歩によって、超音波診断装置の測定精度を飛躍的に向上させることが可能となり、これに伴って、生体組織の微小運動を測定する超音波診断装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献1は、制約付き最小二乗法を用いて超音波エコー信号の振幅と位相を解析することにより、測定対象を高精度でトラッキングする技術を開示している。この技術を位相差トラッキング法と呼ぶ。この技術によれば、血管運動による振幅が数ミクロンであり、周波数が数百Hzまでの速い振動成分を高精度に測定できる。このため、血管壁の厚さ変化や歪みを数ミクロンのオーダーで高精度に測定をすることが可能になると報告されている。
特許文献2、3は、特許文献1の技術を利用して血管壁の形状値を取得し、弾性率を算出する技術を開示している。
図14(a)および(b)は超音波診断装置を用いて動脈血管(以下、単に血管と称する)の血管壁の運動を解析する場合の探触子と血管51との配置を模式的に示している。図14(a)は血管の軸に平行でありかつ軸を含む血管壁の断面を示し、図14(b)は、軸に垂直な断面を示している。これらの図に示すように、血管51は血管内を移動する血液の血流および血圧変化に応じて径方向Eに拡張・収縮する。つまり、血管の拡張・収縮によって血管壁は軸51aを中心として放射状に移動するため、血管51の血管壁の各組織は、軸51aと平行であり、かつ、軸51aおよびその組織を含む平面上において移動する。
また、血管の拡張・収縮は、血管壁の軸51aと垂直な方向のみの運動による。したがって、図14(a)に示すように、軸51aを含む平面において超音波ビームL1を軸51aと垂直な方向に走査させた場合、各超音波ビームの音響線上においてのみ各組織は移動することになる。したがって、各超音波ビームから得られるエコー信号によって血管壁の運動を解析することが可能である。言い換えれば、各超音波ビーム上にある血管壁の組織の運動は、隣接する超音波ビームによるエコー信号を用いることなく、求めることができる。例えば図14(a)に示すように位置A1にある組織は血管51の拡張によって位置A1’へ移動するが、移動前後において同じ音響線に位置している。このため、位置A1を通る音響線を持つ超音波ビームによるエコー信号のみを用いることによって位置A1にある組織の運動を解析することができる。このため、動脈の軸を通る断面において、軸方向と垂直な方向から超音波ビームを動脈へ入射させ、超音波エコーを受信することにより、比較的少ない演算量で、血管壁組織の厚さ変化量の二次元分布を測定することができ、弾性率を求めることができる。
図14(b)に示すように、血管の軸51aを通らない平面上において、血管51の位置A2の組織に超音波ビームL1’を送信した場合、血管51の拡張によって位置A2にあった組織は位置A2’へ移動する。しかし、超音波ビームL1’の音響線は、位置A2’上にはない。したがって、A2の位置にある組織の運動は、軸51aを通らない超音波ビームL1’を用いて解析することはできない。このように、血管壁各組織の運動を超音波を用いて解析する場合、血管壁の軸に平行でありかつ軸を含む断面において超音波ビームを走査させることが重要である。
特開平10−5226号公報 国際公開第2006/011504号パンフレット 国際公開第2006/043528号パンフレット 特開2006−456号公報
上述の方法によって血管壁の運動を解析し、組織の弾性率を求める場合、血管は拡張・収縮するものの血管の位置は変化しないことを前提としている。一般的には、血管の周囲には血管外組織が存在し、血管の位置を維持しているため、血管の位置が変化しないという前提は成立する。しかし、血管の位置や、被験者によっては、血管の位置が軸と平行な方向へ横ぶれするように移動することがある。例えば図15に示すように、血管外組織52内にある血管51が破線51’で示すように軸51aに対して矢印Dで示すように平行に移動することがある。これは、血管51を囲む血管外組織52が不均一な組成を有しており、例えば、血管51の一部は脂肪で囲まれ、他の部分は筋肉に囲まれる場合などに、血管51の拡張・収縮に伴って軸51aの位置が移動することが考えられる。このような移動は、血管51の拡張・収縮に関連するため、一心周期に一致した周期で生じる。
血管が横ぶれする場合、軸51aを通る平面上において走査される超音波ビームは、血管の移動に伴って軸51aを外れる。その結果、軸51aを通る平面に設定されていた位置A1の組織は、超音波ビームの音響線から外れてしまい、正しい運動の解析ができなくなる。
このような課題を解決するために、血管を3次元的に解析することが考えられる。例えば特許文献4は、血管の形状を3次元的に画像化し、得られた3次元画像から任意の断面における血管壁の厚さを求める技術を開示している。しかしこの技術は単にある時刻における血管の3次元形状を求めているに過ぎず、血管壁の動きを3次元的に解析してはいない。
血管の動きを3次元的に解析することも理論上は可能である。しかし、血管壁の運動を3次元的に解析するためには、大規模な測定回路が必要となり、また、測定対象点の追跡を行うための演算量も膨大なものになってしまう。特に、生体組織の厚さ変化量や弾性率を求めるための演算量は、測定対象点の運動速度を求めるための演算量に比べ膨大である。このため、従来の超音波診断装置に用いられていた演算回路では、そのような膨大な演算を行うことが非常に困難である。また、演算能力が非常に高いコンピュータを超音波診断装置に採用する場合、超音波診断装置が高価になってしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、血管壁の横ぶれを考慮し、生体組織の厚さ変化量や弾性率を簡単な演算回路を用いて正確に測定することのできる超音波診断装置を提供することを目的とする。
本発明の超音波診断装置は、複数の振動子が一次元に配列された探触子であって、前記探触子内部において、前記配列方向に対して垂直な方向に前記複数の振動子が移動可能な探触子を用い、動脈血管の血管壁を含む被検体に前記探触子を接触させることにより、前記被検体の測定を行う超音波診断装置であって、前記動脈血管の血管壁を含む被検体の測定領域へ、第1および第2の送信波を送信するように前記探触子の振動子を駆動する送信部と、前記配列方向に対して垂直な方向における振動子の位置を制御する探触子制御部と、前記第1および第2の送信波が前記被検体において反射することによりそれぞれ得られる反射波を前記探触子を用いて受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する受信部と、前記探触子制御部を制御し、一心周期ごとに前記振動子の位置を変化させながら前記第1の受信信号の強度を測定し、前記強度に基づき、前記一心周期中の動脈血管の軸の位置変化を推定し、推定した位置変化と一致するように前記振動子の位置が変化するように前記探触子制御部を制御する測定位置決定部と、前記推定した位置変化と一致するように前記振動子の位置を変化させることによって得られた前記第2の受信信号に基づいて前記被検体の形状値を算出する演算部とを備える。
ある好ましい実施形態において、前記送信部は、前記複数の振動子を順に駆動することにより、前記測定領域を前記第2の送信波で走査するごとに1フレーム分の前記第2の受信信号を前記一心周期ごとに複数フレーム分繰り返して送信し、かつ、前記第1の送信波を前記フレームごとに送信する。
ある好ましい実施形態において、前記測定位置決定部は、フレームごとに前記第1の受信信号が最大となる振動子の位置を決定し、決定した位置に一致するように前記振動子の位置が変化するように、前記探触子制御部を制御する。
ある好ましい実施形態において、超音波診断装置は、前記第1の受信信号の振幅情報に基づいてBモード画像用信号を生成する断層画像生成部をさらに備える。
本発明の超音波診断装置は、複数の振動子が一次元に配列された探触子であって、前記探触子内部において、前記配列方向に対して垂直な方向に前記複数の振動子が移動可能な探触子を用い、動脈血管の血管壁を含む被検体に前記探触子を接触させることにより、前記被検体の測定を行う超音波診断装置であって、前記配列方向に対して垂直な方向における前記振動子の位置を制御する探触子制御部と、前記動脈血管の血管壁を含む被検体の測定領域へ、第1および第2の送信波を送信するように前記探触子の振動子を駆動する送信部であって、前記複数の振動子を順に駆動することにより、前記測定領域を前記第2の送信波で走査するごとに1フレーム分の前記第2の受信信号を一心周期ごとに複数フレーム分繰り返して送信し、かつ、前記フレームごとに前記第2の送信波を送信する前に前記第1の送信波を少なくとも1回送信するように前記探触子を駆動する送信部と、前記第1および第2の超音波送信波が前記被検体において反射することによりそれぞれ得られる反射波を前記探触子を用いて受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する受信部と、第1の受信信号の強度を、フレームごとに直前のフレームと比較し、前記強度が所定の値に低下していた場合、前記振動子が前記配列方向に対して垂直な方向に移動するように、前記探触子制御部を制御する移動方向決定部と、前記第2の受信信号に基づいて前記被検体の形状値を算出する演算部とを備える。
ある好ましい実施形態において、前記送信部は、前記移動方向決定部が、前記振動子が移動するように前記探触子制御部を制御した場合に2回目の第1の送信波を送信するように前記探触子を駆動し、前記移動方向決定部は、前記2回目の第1の送信波による第1の受信信号と最初の第1の受信信号との強度を比較し、前記強度が増加していない場合、その心周期における測定を終了する信号を出力する。
ある好ましい実施形態において、前記移動方向決定部は、前記振動子の移動方向を記憶し、直前の心周期における測定が途中で終了した場合、直前の心周期における前記振動子の移動方向とは逆の方向に前記振動子が移動するように移動方向を決定する。
ある好ましい実施形態において、前記演算部は、前記形状値に基づいて前記被検体の性状値を算出する。
ある好ましい実施形態において、前記性状値は弾性率である。
このように本発明によれば、測定位置決定部が、探触子制御部を制御し、一心周期ごとに振動子の位置を変化させながら第1の受信信号の強度を測定する。測定値決定部は、測定した強度に基づき、一心周期中の血管軸の位置変化をさらに推定し、推定した位置変化と一致するように振動子の位置が変化するよう、探触子制御部を制御する。このため、血管が軸と平行な方向に移動する場合でも、血管の動きを3次元的に解析することなく、比較的簡単な回路構成で血管の移動による測定誤差の発生を抑制し、正しい弾性率を求めることが可能となる。
(第1の実施形態)
以下本発明による超音波診断装置の第1の実施形態を説明する。図1は、本発明による超音波診断装置101の構造を示すブロック図である。
超音波診断装置101は、受信部12、送信部13、遅延時間制御部14、位相検波部15、演算部16、断層画像生成部17、測定位置決定部18および画像合成部19および探触子制御部25を備える。また、操作者が超音波診断装置101に指令を与えるためのユーザインターフェース24と、ユーザインターフェース24からの指令に基づき、これらの各構成要素を制御するマイコンなどからなる制御部23とを備えている。
なお、図1に示す各構成要素は必ずしも独立したハードウエアによって構成される必要はない。例えば、位相検波部15、演算部16、測定位置決定部18などは、マイコンおよびソフトウェアにより構成され、各部の機能が実現されていてもよい。
超音波診断装置101には、超音波を送受信するための探触子11および測定結果を表示する表示部20が接続される。これらは、超音波診断装置101が備えていてもよいし、汎用の探触子11および表示部20を利用してもよい。表示部20には、例えば、パーソナルコンピュータなどで利用されるモニタを好適に用いることができる。
探触子11は、一次元に配列された複数の振動子を含む。振動子は例えば圧電体によって構成され、圧電体を駆動することにより、超音波を送信し、また、超音波を圧電体が受けることによって超音波を電気信号に変換する。探触子11において、超音波を送受信する複数の振動子は、配列方向に対して垂直な方向に移動可能である。このような探触子11はメカニカル3Dプローブとして知られている。
図2(a)および(b)は、メカニカル3Dプローブの一例を示している。これらの図において、複数の振動子11aは紙面の手前から奥に向かって1次元に配列されている。複数の振動子11aは支持部11bに支持されており、図2(a)において矢印で示すように、支持部11bをモーターなどの駆動機構などによって駆動することにより、複数の振動子11aがその配列方向に対して垂直な方向に移動する。あるいは、図2(b)に示すように、支持部11bは複数の振動子11aの配列方向と平行な軸11cによって回転可能に支持されており、矢印で示すように、軸11cの回りに駆動機構によって回転駆動されてもよい。
また、探触子11として2Dアレイプローブを用いてもよい。この場合、2次元に配列された複数の振動子のうち、1方向の配列を測定領域の走査に用い、走査に用いる配列を変えることによって、超音波を送受信する複数の振動子を走査の配列方向に対して垂直な方向に移動させることができる。2Dアレイプローブのこの機能は、どの振動子を駆動するかによって実現することができるため、以下において詳細に説明する探触子制御部25の機能は、送信部13および遅延時間制御部14に含まれることになる。
探触子制御部25は、以下において説明するように、測定位置決定部18からの指令に基づき、上述した振動子11aの配列方向に対して垂直な方向における振動子11aの位置を制御する。
送信部13は、制御部23の指令を受けて、指定されたタイミングで探触子11を駆動する高圧の送信信号を発生する。探触子11は、送信部13で発生した送信信号を超音波に変換して被検体に照射する。以下において詳細に説明するように、探触子11から、第1の送信波および第2の送信波が送信されるように、送信部13は探触子11を駆動する。第1の送信波は、被検体に含まれる血管壁の移動方向を決定するために用いられ、第2の送信波は、血管壁の形状値を算出し、さらに性状値を算出するために用いられる。好ましくは、送信部13は、さらに測定領域の断層画像(Bモード画像)を生成するための送信波を生成する。この断層画像の送信波は第1の送信波を兼ねることができる。
被検体内部から反射してきた第1および第2の送信波による第1および第2の反射波は、探触子11を用いて電気信号に変換され、受信部12により増幅される。これにより第1および第2の受信信号がそれぞれ生成する。
遅延時間制御部14は、送信部13および受信部12を制御することによって、探触子11内の圧電素子の選択、および、圧電素子に電圧を与えるタイミングの調整を行い、第1および第2の送信波の音響線の偏向角およびフォーカスを制御する。また、第1および第2の反射波として受信すべき超音波の偏向角およびフォーカスを制御する。
送信部13、受信部12および遅延時間制御部14のこのような動作により、探触子11から照射する第1および第2の超音波が被検体の測定領域を超音波で走査し、1フレーム分の第1および第2の受信信号を得る。被検体の一心周期中にこの走査を複数回繰り返し、複数のフレーム分の第1および第2の受信信号を得る。たとえば、数十フレーム分の受信信号を取得する。
位相検波部15は、第2の受信信号を直交検波する。演算部16は、形状値算出部16aおよび性状値算出部16bを含む。形状値算出部16aは、直交検波された第2の受信信号に基づいて被検体の形状値を算出する。具体的には、被検体の測定領域内に設定される関心領域(ROI)内において二次元に設定された測定対象位置の運動速度を第2の受信信号から算出し、運動速度から位置変位量を求める。性状値算出部16bは、各測定対象位置間または任意の2つの測定対象位置間の歪み量を位置変位量から求める。また、血圧計21から動脈の血圧に関する情報を受け取り、歪み量から弾性率を求める。歪み量や弾性率などの性状値は、測定対象位置で挟まれる対象組織ごとに求められるため、関心領域内において性状値の二次元分布が求められる。性状値算出部16bは、画像表示に適した分布信号をさらに生成する。演算部16における演算は、心電計22から受け取る心電波形などをトリガとして心周期ごとに行われる。
断層画像生成部17は、例えば、フィルタ、対数増幅器および検波器などを含み、第1の受信信号からその信号強度(振幅の大きさ)に応じた輝度情報を有するBモード画像用信号を生成する。
測定位置決定部18は、探触子制御部25を制御し、一心周期ごとに前記振動子の位置を変化させながら前記第1の受信信号の強度を測定する。また、測定した受信信号の強度に基づいて、一心周期中の血管軸の位置変化を推定する。そして、推定した位置変化と一致するように振動子11aの位置が変化するように探触子制御部25を制御する。
測定位置決定部18は、遅延時間制御部から出力される第1の受信信号を受け取って、第1の受信信号の信号強度を求めてもよいし、第1の受信信号を断層画像生成部17に入力し、断層画像生成部17において受信信号の振幅情報を求め、測定位置決定部18へ出力してもよい。また、第1の送信波が断層画像用送信波である場合には、測定位置決定部18は、断層画像生成部17において得られる受信信号の振幅情報を受け取る。
画像合成部19は、断層画像生成部17が生成したBモード画像用信号による測定領域の断層画像と演算部16の性状値算出部16bが生成した分布信号による性状値の二次元分布画像を重畳した画像信号を生成し表示部20へ出力する。表示部20は画像信号に基づきこれらの画像を表示する。
次に、超音波診断装置101の動作を詳細に説明する。まず、血管軸の位置変化を推定する方法を説明する。図3(a)は、本実施形態の超音波診断装置を用いて血管51の運動を解析する場合における探触子11と血管51との配置を模式的に示している。図3(a)に示すように、振動子11aの配列方向は、紙面に垂直であり、振動子11aの配列方向に対して垂直に血管51の軸が位置するように、探触子11を被検体に接触させる。図3(a)において、矢印a〜eは、支持部11bを移動させることによって振動子11aが送信可能な超音波ビームの音響線の位置を示している。図3(a)において矢Dで示すように、血管51が一心周期中に最大で破線51’で示す位置へ横ずれをする場合、血管51の移動に対応して振動子11aから送信する超音波ビームの音響線の位置をcからeへ移動させる。これにより、常に、血管51の軸51aを通るように超音波ビームを探触子11から送信し、反射波を探触子11によって受信することができる。
被検者が安静にしている場合、前述したように血管51の横ずれは心周期に一致すると考えられる。したがって、血管51の軸51aの位置変化を一心周期分推定し、推定した位置変化に一致させて振動子11aから送信する超音波ビームの音響線の位置を変化させてやれば、血管の横ぶれの影響を抑制し、正しく血管壁の運動を解析し、血管壁の弾性率分布を求めることができる。
血管51の軸51aの位置は、反射波の受信強度を測定することによって推定することができる。図3(b)は、血管51の軸に垂直な断面において超音波ビームを送信した場合に得られる反射波の強度と超音波ビームの音響線の位置との関係を示すグラフである。グラフの上に血管51の断面を模式的に示している。
血管51は軸51aを中心とした管形状を有しているため、血管外組織と血管壁の外膜との境界や内膜と血流との境界において反射する超音波は半径方向(接線に垂直な線)に対して超音波が入射する角度と等しい角度で反射する。したがって、音響線の方向と半径方向一致するほど、検出される反射波の強度は強くなり、音響線の方向と半径方向とがなす角度が90度に近いほど検出される反射波の強度は小さくなる。たとえば、図3(b)に示すように血管51の軸を通る音響線L1を持つ超音波ビームを送信した場合、音響線L1の超音波による反射波の強度は最も強い。これに対し、音響線L2と半径方向とのなす角度は小さくないため、反射波の強度は小さくなる。したがって、図3(b)に示すように、反射波の強度は、超音波ビームが血管51の軸を通る場合に最も強く、軸の位置から遠ざかるにつれて、反射波の強度も低下する。
この関係を利用すれば、血管51が横ぶれをしていない場合、図3(a)に示すように、探触子11内において振動子11aの位置を変化させながら超音波を送信し、反射波の強度を測定すれば、最も強い反射波が得られた音響線上あるいはその近傍に血管の軸が位置していると推定することができる。
血管が横ぶれしている場合には、振動子11aの位置を変化させる間に血管の軸も移動し得る。しかし、血管の横ぶれは心周期に一致した周期をもつため、一心周期中における血管の軸位置の変化は、どの心周期においても同じである。つまり、心周期開始から所定の時間を経過したときの軸の位置は、どの心周期においても同じである。このことを利用すれば、心周期ごとに図3(a)において例えばa〜eで示すように、振動子11aの位置を変えて超音波を送受信して反射波の強度を測定すれば、一心周期中の任意の時刻において、a〜eの全ての位置における反射強度を取得することができる。よって、一心周期中の各時刻における反射強度が最も強い位置を決定することにより、その時刻に血管の軸がある位置を推定でき、一心周期中の血管軸の位置変化を推定できる。本発明は、この方法によって、一心周期中の血管軸の位置変化を推定し、推定した位置の情報を用いて弾性特性を測定する。
次に図1、図3(a)、図4、図5および図6を参照しながら、超音波診断装置101を用いて弾性特性を測定する手順を詳細に説明する。
図4に示すように、まず、一心周期ごとに振動子の位置を変化させながら反射波の強度を測定する(ステップS101)。図3(a)に示すように、まず、血管51の軸の移動量に合わせて、振動子11aを移動させる量を決定する。通常、血管が横ぶれする場合の移動量は数mm程度であり、振動子11aの移動量を所望の分解能に合わせて決定する。図3(a)では、a〜eの5つの位置に振動子11aを移動させる例を示している。
図5(a)は、一心周期ごとの振動子11aの位置を示している。最初の心周期S1では、振動子11aを位置aに固定し、第1の送信波を送信する。心周期がS2、S3、S4、S5と変わるたびに、振動子11aの位置をb、c、dおよびeへ移動させ、同様に第1の送信波を送信する。振動子11aの位置は、測定位置決定部18から出力される制御信号に基づき、探触子制御部25が探触子11の振動子11aを所定の位置へ移動させる。
以下において説明するように、弾性率の測定は、一心周期中m回の測定値を取得することにより求められる。このため、推定する血管の軸の位置も1/mの分解能で求めればよい。一心周期中、m回の測定値を取得するそれぞれの期間をフレームと呼ぶ。弾性率の測定を行う場合、フレームごとに第2の超音波で測定領域を走査し反射波を得る。血管の軸の位置変化を推定するための第1の送信波による反射波の反射強度も各心周期においてフレームごとに求められる。
第1の送信波は、反射強度を得ることができる限り、どのような種類の超音波でもよい。断層画像生成部17は、受信信号の振幅を輝度に変化することによって得られる信号を生成するので第1の送信波として、断層画像用の送信波を第1の送信波として用い、断層画像生成部17から得られる信号の強度情報を測定位置決定部18は受け取ってもよい。あるいは、遅延時間制御部14から出力される受信信号を受け取り、測定位置決定部18が受信信号の信号強度の情報に変換してもよい。
図3(a)に示すように、各心周期において、心周期の開始時には血管51の軸51aは位置cと一致しており、矢印Dで示すように、最も横へぶれた場合、破線で示す位置51’へ移動するものとする。このとき血管の軸は、位置51a’へ移動しており、位置eと一致している。
図6は、このようして得られた反射波による受信信号の強度をフレームに対してプロットしたグラフである。心周期ごとに振動子11aの位置をa、b、c、d、eと変化させて測定行っているため、フレームごとに位置a、b、c、d、eにおける反射波による受信信号の強度が得られている。振動子11aの位置a、b、c、d、eごとに得られたデータを曲線で繋いでいる。また、フレームごとに最も強度の大きいデータに白丸をつけている。
測定位置決定部18は、このように得られた反射強度から一心周期における血管の軸の位置変化を推定する(ステップS102)。前述したように最も反射強度の強い振動子位置が血管の軸の位置を示している。図3(a)に示すように各心周期における最初のフレームつまりフレームf1では、血管51の軸51aは位置cにある。このため、図6に示すように位置cで得られた反射波の強度が強い。時間の経過、つまりフレーム数が大きくなるにつれて、軸51aは位置d、eへと移動するため、反射波の強度が最も強くなる位置もd、eと移動する。その後、最も横ぶれした位置から元の位置へ血管51は戻ってくる。このため、反射強度が最大となる位置も、d、cと移動する。
このように、図6から血管51の軸51aの位置は、一心周期中、c、d、e、d、cと変化していると推定できる。したがって、振動子11aをこの軸51aに位置変化に一致させて移動させれば、血管が横ぶれしている場合でも、常に血管51の軸51aを通るように超音波を送信することができる。
次に、推定した血管の位置変化と一致するように振動子を移動させ、第2の超音波を送受信する(ステップS103)。図5(b)は、第2の送信波を送信する際に移動させる振動子11aの位置を示している。図6から決定した振動子11aの軸51aの位置変化に一致させて振動子を移動さる。この位置変化を心周期ごとに繰り返す。
血管壁の運動の解析および弾性率の測定を行う場合、フレームごとに第2の送信波を送信し、第2の受信信号を得る。このため、図5(c)に示すように第2の送信波P2はフレームごとに送信する。また、好ましくは断層画像をフレーム周期ごとに取得するため、断層画像用送信波W0もフレームごとに送信する。
このように振動子11aを振動子の配列方向に対して垂直な方向へ移動させながら複数の振動子を配列方向に順に駆動し、測定領域を第2の送信波で走査することにより、血管が横ぶれする場合でも、同じ振動子から送信される送信波によって、血管壁の各組織を追跡することが可能となる。
次に第2の送信波を受信することにより得られる第2の受信信号から形状測定値および性状測定値を求める方法を説明する。
図7に示すように、音響線L上に位置する血管壁51(前壁)の複数の測定対象位置Pn(P1、P2、P3、Pk・・・Pn、nは3以上の自然数)は、ある一定間隔で探触子11に近い順にP1、P2、P3、Pk・・・Pnと配列している。図7上方を正、下方を負とする座標軸を深さ方向に設け、測定対象位置P1、P2、P3、Pk・・・Pnの座標をそれぞれZ1、Z2、Z3、Zk、・・・Znとすると、測定対象位置Pkからの反射は、時間軸上でtk=2Zk/cに位置することになる。ここでcは体組織内での超音波の音速を示す。反射波信号r(t)を位相検波部15において位相検波し、検波した信号を実部信号および虚部信号に分離して演算部16に入力する。測定対象位置Pnは一心周期中の基準となる時刻、例えば、最も血管壁が収縮する時刻において、血管壁組織に設定される。これらの測定対象位置Pnは血管壁の拡張・伸縮に伴い音響線L上を移動し、次の心周期における基準時刻に再び元の位置に戻る。
前述したように音響線Lは、血管の横ぶれによる軸の位置変化に一致するように、振動子11aの配列方向(x方向)に垂直に移動しているため、基準となる時刻において設定した測定対象位置Pnは常に音響線L上にある。
演算部16は位相検波した信号から形状値算出部16aにおいて位置変位量を求め、性状値算出部16bにおいて、厚さ変化量および厚さ変化量の最大値、最小値を順に求める。具体的には、形状値算出部16aは、反射波信号r(t)と微小時間Δt後の反射波信号r(t+Δt)において振幅は変化せず、位相および反射位置のみが変化するという制約のもとで、反射波信号r(t)とr(t+Δt)との波形の整合誤差が最小となるよう最小二乗法によって位相差を求める(制約付最小二乗法)。この位相差から、測定対象位置Pnの運動速度Vn(t)を求め、さらにこれを積分することにより、位置変位量dn(t)を求める。
図8は、測定対象位置Pnと弾性率を求める対象組織Tnとの関係を模式的に示している。対象組織Tkは、隣接する測定対象位置PkとPk+1とに挟まれた範囲に厚さhを有して位置している。本実施形態ではn個の測定対象位置P1・・・・Pnから(n−1)個の対象組織T1・・・・Tn-1を規定している。
性状値算出部16bは、測定対象位置PkとPk+1の位置変位量dk(t)とdk+1(t)とから、厚さ変化量Dk(t)をDk(t)=dk(t)−dk+1(t)の関係を用いて求める。
さらに性状値算出部16bは、厚さ変化量の最大値および最小値を求める。血管前壁の組織Tkの厚さの変化は、血管前壁が構成する血管を流れる血液が心拍によって変化することにより生じる。よって、対象組織Tkの厚さの最大値Hk(最低血圧時の値)、対象組織の厚さ変化量Dk(t)の最大値と最小値との差Δhkおよび最低血圧値と最高血圧値との差である脈圧Δpを用い、対象組織Tkの歪み率である血管半径方向の弾性率Ekを以下の式によって求めることができる。最低血圧値と最高血圧値とは、血圧計21から受け取る。
=Δ×H/Δh
上記説明では、隣接する測定対象位置間の対象組織Tnの弾性率を求めているが、弾性率は複数ある測定対象位置の任意の2点を選択することができる。この場合には、選択した2点間の厚さの最大値および選択した2点間の厚さ変化量の最大値と最小値との差を用いて同様に計算することができる。
このようにして、第2の送信波の音響線上において、複数の対象組織Tnが設定され、その弾性率が算出される。第2の送信波は、測定領域を走査するように、血管壁51の軸方向にそって複数送信されるため、測定領域内において弾性率が二次元で求められる。
図9は、表示部20に表示される画面の一例を示している。表示部20の画面には断層画像生成部17が生成した血管壁51を含む断層画像54が示されている。断層画像54には、血管外組織52および血管腔53も示されている。
断層画像54には、弾性率を求める領域を指定する関心領域56が示される。関心領域56はユーザインターフェース24により、操作者が任意の位置に指定することができる。
求めた弾性率の二次分布画像55は、断層画像54に重畳され、画面に表示される。二次分布画像55は、弾性率の値に応じた諧調あるいは色調で示され、弾性率と諧調あるいは色調との対応を示すバー57が合わせて画面に示される。弾性率の平均値や、標準偏差などの数値58を画面表示してもよい。
このように本実施形態の超音波診断装置によれば、測定位置決定部が、探触子制御部を制御し、一心周期ごとに振動子の位置を変化させながら第1の受信信号の強度を測定する。測定値決定部は、測定した強度に基づき、一心周期中の血管軸の位置変化をさらに推定し、推定した位置変化と一致するように振動子の位置が変化するよう、探触子制御部を制御する。このため、本実施形態の超音波診断装置によれば、血管が軸と平行な方向に移動する場合でも、血管の動きを3次元的に解析することなく、比較的簡単な回路構成で血管の移動による測定誤差の発生を抑制し、正しい弾性率を求めることが可能となる。
(第2の実施形態)
以下本発明による超音波診断装置の第2の実施形態を説明する。図10は、本発明による超音波診断装置102の構造を示すブロック図である。
超音波診断装置102は、第1の実施形態の測定位置決定部18に換えて移動方向決定部27を備えている点で第1の実施形態とは異なる。
第1の実施形態では、探触子の振動子を移動させながら反射波の強度を測定することによって血管の軸の位置変化を最初に推定し、推定した位置変化と一致するように振動子を移動させて測定を行っていた。これに対し、本実施形態では、リアルタイムで、血管の軸の移動方向を探索しながら測定を行う。
図11は、血管に向けて送信した超音波の反射強度の分布を示している。図3(b)を参照して説明したように、血管の軸に対して垂直な断面において、超音波を送信し、反射波の強度を測定した場合、軸を通る音響線の超音波ビームの反射波の強度が最も強くなり、軸から離れるにつれて反射強度は弱くなる。図11では、位置iにおいて最も強い強度I0が得られ、位置iに血管の軸が位置している。
血管が横ぶれを生じ、軸が移動する場合、移動方向は血管の軸に対して垂直な断面において、2方向しかない。例えば軸が図11において負の方向へ移動し、血管の軸が位置hへ移動したとする。移動後の血管に対して超音波を送信し反射波の強度を測定した場合、反射強度は、破線で示す分布を示す。血管の移動後位置iにおいて同様に超音波を送信し、反射波の強度を測定すると、強度はI1に低下する。血管の軸が移動し、位置i上にはないからである。
このとき、超音波ビームの音響線の位置を換えて再度超音波を送信し反射波の強度を測定する。血管の移動方向と、2回目の超音波を送信する位置の移動方向とが一致すれば、2回目の反射強度は、血管の移動後に最初に測定したときに得られた反射強度I1よりも強くなる。2回目の超音波を送信する位置を移動させることによって、移動後の血管の軸の位置に近づくからである。例えば、位置hで再度超音波を送信すれば、反射波の強度はI0となり、I1よりも増大する。
これに対し、血管の移動方向と、2回目の超音波を送信する位置の移動方向とが逆であれば、2回目の反射強度は、血管の移動後に最初に測定したときに得られた反射強度I1よりも低下する。2回目の超音波を送信する位置を移動させることによって、移動後の血管の軸の位置からより遠ざかるからである。例えば、位置jで再度超音波を送信すれば、反射波の強度はI2となり、I1よりも低下する。
したがって、反射波の強度を監視し、強度が所定の値以上に低下すれば、血管が移動したとみなし、振動子の位置をいずれかの方向へ移動させる。振動子の移動方向と血管の移動方向とが一致した場合には、反射強度が増加することにより確認できる。また、反射強度がさらに低下する場合には、振動子の移動方向と血管の移動方向とが逆であることが分かる。
血管の移動は心周期に一致するため、振動子の移動方向が血管の移動方向と逆であった場合には、その心周期での測定を終了し、次の心周期において、前回と逆の方向へ振動子を移動させればよい。図15に示すように、血管は、心周期の開始から一方向へ移動し、初期位置から最も離れた位置において移動方向が逆転し、元の位置へ戻る。
このような動作を行うため、移動方向決定部27は、第1の受信信号の強度を、フレームごとに直前のフレームと比較し、前記強度が所定の値以上低下していた場合、振動子11aが配列方向に対して垂直な方向に移動するように、探触子制御部25を制御する。
送信部13は、移動方向決定部27が、振動子11aが移動するように探触子制御部25を制御した場合に2回目の第1の送信波を送信するように探触子11を駆動し、移動方向決定部27は、2回目の第1の送信波による第1の受信信号と最初の第1の受信信号との強度を比較する。強度が増加していない場合、振動子の移動方向は血管の移動方向と逆であるので、その心周期における測定を終了する信号を制御部23に出力する。また、振動子の移動方向を記憶し、直前の心周期における測定が途中で終了した場合、直前の心周期における振動子の移動方向とは逆の方向に振動子が移動するように移動方向を決定する。
次に図12および図13を参照しながら超音波診断装置102の動作をより詳細に説明する。図12は、送信部13から送信される送信波のタイミングを示す図であり、図13は、超音波診断装置102の動作を説明するフローチャートである。
図12に示すように、一心周期内の第1のフレームでは、血管の位置をモニタするための第1の送信波W1を出力し、その後、断層画像を生成するための画像生成用送信波W0、および、測定領域内の各組織の運動を解析し、弾性特性を求めるための第2の送信波W2を出力する。第2フレーム以降では、第1の送信波W1を出力し、時間tの経過後、再び第1の送信波W1’を出力する。W1’の出力後、時間t’が経過したら画像生成用送信波W0、および、第2の送信波W2を出力する。2回目の第1の送信波W1’は、2フレームめ以降において、直前のフレームと比べて反射波の強度が低下している場合に利用される。このため、反射波の強度が低下している場合にのみ2回目の第1の送信波W1’を送信してもよい。しかし、第1の送信波W1’を出力しない場合でも、各フレームにおいて、画像生成用送信波W0および第2の送信波W2を出力するタイミングは同じであることが好ましい。
まず、初期状態として、振動子11aから送信される超音波の音響線が血管51の軸またはその近傍に位置するように、振動子11aの位置を予め設定する。例えば、第1の実施形態で用いたように、心周期ごとに振動子の位置を変化させながら心周期の開示時において超音波を送信し、反射強度を測定することにより、心周期の開示時の血管の軸の位置を決定することができる。
図13に示すように、超音波診断装置102は、測定開始後、まず1フレームの測定を行う(ステップS201)。具体的には、第1の送信波W1、画像生成用送信波W0および第2の送信波W2を探触子11から送信し、それぞれ受信信号を得る。
次に2フレーム(u=2)の第1の送信波W1を探触子11から送信し、受信信号を得る(ステップS202)。第1のフレームと第2のフレームとにおいて、第1の送信波W1による反射波の受信信号の強度を比較する(ステップS203)。強度が所定の閾値以上に低下している場合(ステップS204においてYES)には、血管の軸が移動し、超音波の音響線が軸から外れていることを意味しているため、振動子11aを移動させ、移動方向およびそのフレームを記憶する(ステップS205)。このとき、直前の心周期における測定が途中で終了している場合には、直前の心周期における振動子の移動方向が記憶されているので、ほぼ同時刻となるフレームにおける振動子の移動方向と逆の方向へ振動子を移動させるように移動方向決定部27は探触子制御部25へ指令する。
次に2回目の第1の送信波W1’を探触子11から送信し、受信信号を得る(ステップS206)。また、1回目の第1の送信波による反射波の受信信号の強度と、2回目の第1の送信波W1’による反射波の受信信号の強度とを比較する(ステップS207)。強度が所定の閾値以上に増加していなければ(ステップS207おいてNO)、振動子11aの移動方向と血管の軸の移動方向とは逆であり、正しく血管の動きを追跡できなかったと推定される。このため、この心周期での測定を終了する。
第1のフレームと第2のフレームとにおいて、第1の送信波W1による反射波の受信信号の強度が所定の閾値以上に低下しなかった場合(ステップS204においてNO)には、血管が移動していないと推定されるので、第2フレームにおいて、画像生成用送信波W0および第2の送信波W2を探触子11から送信し、それぞれ受信信号を得る(ステップS209)。
次に、現在の測定が何フレーム目であるかを判定する(ステップS210)。現在のフレーム数uが、一心周期の最後のフレーム数m以上である場合には、この心周期での測定を終了する。uがmより小さければ、u+1を新たなuとして、ステップS202に戻り、同様の手順で測定を繰り返す。これにより、送信する超音波の音響線が移動する血管の軸またはその近傍に位置するように、リアルタイムで血管の移動を追跡することができ、血管壁の正確な形状値および性状値を求めることが可能となる。
なお、上記第1および第2の実施形態では、血管の軸は、図15においてDで示すように音響線L1に対して垂直な方向へ移動する場合を例示した。しかし、血管の軸は、D’で示すように深さ方向にも移動していてもよい。血管の軸がD’の方向へ移動する場合、血管の軸の運動は、音響線L1と垂直な成分および平行な成分とに分けられる。このうち、音響線L1と垂直な方向の成分は、第1および第2の実施形態で説明したように振動子の位置を変化させることによって相殺することができる。垂直な方向の成分が相殺されれば、結局、血管の軸は、音響線L1上において移動することになるため、対象となる組織が常に音響線L1上にあることになり、上述した手順による測定によって正しく、血管壁組織の形状値や性状値を求めることが可能である。
本発明の超音波診断装置は、生体組織の性状特性の測定に好適に用いられ、特に弾性率を正確に測定するのに適している。
本発明の超音波診断装置の第1の実施形態を示すブロック図である。 (a)および(b)は、第1の実施形態で用いる探触子の構造を模式的に示す図である。 (a)は、血管の移動と振動子11aの移動を説明する模式図であり、(b)は、血管の軸と垂直な断面における超音波の反射強度の分布を示す模式図である。 第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。 (a)は、血管の位置変化を推定するための測定における振動子の位置を示している。(b)は、推定した血管の位置変化に一致するように振動子を移動させるための位置を示す図である。(c)は、血管の形状値および性状値を求めるための送信波のタイミングを示す図である。 振動子の位置を心周期ごと変化させながら反射波の強度を測定した結果を示す図である。 第2の送信波の音響線上に設定する測定対象位置を説明する図である。 測定対象位置と対象組織および弾性率の関係を示す図である。 第1の実施形態の表示部に表示される画像の一例を示す図である。 本発明の超音波診断装置の第2の実施形態を示すブロック図である。 第2の実施形態において血管の移動を追跡する方法を説明する図である。 第2の実施形態における送信波のタイミングを示す図である。 第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。 (a)および(b)は、血管の測定を行う場合の血管と探触子との配置を説明する図である。 血管の軸に平行な方向への移動を説明する図である。
符号の説明
11 探触子
11a 振動子
12 受信部
13 送信部
14 遅延時間制御部
15 位相検波部
16 演算部
16a 形状値算出部
16b 性状値算出部
17 断層画像生成部
18 測定位置決定部
19 画像合成部
20 表示部
21 血圧計
22 心電計
27 移動方向決定部
101、102 超音波診断装置

Claims (9)

  1. 複数の振動子が一次元に配列された探触子であって、前記探触子内部において、前記配列方向に対して垂直な方向に前記複数の振動子が移動可能な探触子を用い、動脈血管の血管壁を含む被検体に前記探触子を接触させることにより、前記被検体の測定を行う超音波診断装置であって、
    前記動脈血管の血管壁を含む被検体の測定領域へ、第1および第2の送信波を送信するように前記探触子の振動子を駆動する送信部と、
    前記配列方向に対して垂直な方向における振動子の位置を制御する探触子制御部と、
    前記第1および第2の送信波が前記被検体において反射することによりそれぞれ得られる反射波を前記探触子を用いて受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する受信部と、
    前記探触子制御部を制御し、一心周期ごとに前記振動子の位置を変化させながら前記第1の受信信号の強度を測定し、前記強度に基づき、前記一心周期中の動脈血管の軸の位置変化を推定し、推定した位置変化と一致するように前記振動子の位置が変化するように前記探触子制御部を制御する測定位置決定部と、
    前記推定した位置変化と一致するように前記振動子の位置を変化させることによって得られた前記第2の受信信号に基づいて前記被検体の形状値を算出する演算部と、
    を備えた超音波診断装置。
  2. 前記送信部は、前記複数の振動子を順に駆動することにより、前記測定領域を前記第2の送信波で走査するごとに1フレーム分の前記第2の受信信号を前記一心周期ごとに複数フレーム分繰り返して送信し、かつ、前記第1の送信波を前記フレームごとに送信する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記測定位置決定部は、フレームごとに前記第1の受信信号が最大となる振動子の位置を決定し、決定した位置に一致するように前記振動子の位置が変化するように、前記探触子制御部を制御する請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記第1の受信信号の振幅情報に基づいてBモード画像用信号を生成する断層画像生成部をさらに備える請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 複数の振動子が一次元に配列された探触子であって、前記探触子内部において、前記配列方向に対して垂直な方向に前記複数の振動子が移動可能な探触子を用い、動脈血管の血管壁を含む被検体に前記探触子を接触させることにより、前記被検体の測定を行う超音波診断装置であって、
    前記配列方向に対して垂直な方向における前記振動子の位置を制御する探触子制御部と、
    前記動脈血管の血管壁を含む被検体の測定領域へ、第1および第2の送信波を送信するように前記探触子の振動子を駆動する送信部であって、前記複数の振動子を順に駆動することにより、前記測定領域を前記第2の送信波で走査するごとに1フレーム分の前記第2の受信信号を一心周期ごとに複数フレーム分繰り返して送信し、かつ、前記フレームごとに前記第2の送信波を送信する前に前記第1の送信波を少なくとも1回送信するように前記探触子を駆動する送信部と、
    前記第1および第2の超音波送信波が前記被検体において反射することによりそれぞれ得られる反射波を前記探触子を用いて受信し、第1および第2の受信信号をそれぞれ生成する受信部と、
    第1の受信信号の強度を、フレームごとに直前のフレームと比較し、前記強度が所定の値に低下していた場合、前記振動子が前記配列方向に対して垂直な方向に移動するように、前記探触子制御部を制御する移動方向決定部と、
    前記第2の受信信号に基づいて前記被検体の形状値を算出する演算部と、
    を備えた超音波診断装置。
  6. 前記送信部は、前記移動方向決定部が、前記振動子が移動するように前記探触子制御部を制御した場合に2回目の第1の送信波を送信するように前記探触子を駆動し、
    前記移動方向決定部は、前記2回目の第1の送信波による第1の受信信号と最初の第1の受信信号との強度を比較し、前記強度が増加していない場合、その心周期における測定を終了する信号を出力する請求項5に記載の超音波診断装置。
  7. 前記移動方向決定部は、前記振動子の移動方向を記憶し、直前の心周期における測定が途中で終了した場合、直前の心周期における前記振動子の移動方向とは逆の方向に前記振動子が移動するように移動方向を決定する請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記演算部は、前記形状値に基づいて前記被検体の性状値を算出する請求1から7のいずれかに記載の超音波診断装置。
  9. 前記性状値は弾性率である請求項8に記載の超音波診断装置。
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