JP2004158669A - 半導体性組成物及びそれを用いる電界効果トランジスタ - Google Patents

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Mitsuhiro Fukuda
光弘 福田
Hiroshi Kita
弘志 北
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Abstract

【課題】常圧下にて、キャリア移動度の高い薄膜を得ることができる半導体性組成物と、該半導体性組成物を用いる移動度の高い有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】有機金属錯体と陰イオンを含有し、該陰イオンの共役酸の酸解離定数pKaが2〜15である半導体性組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡単なプロセスで薄膜を形成することが可能な半導体性組成物、および該半導体性組成物で形成された薄膜を用いた電界効果トランジスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。例えば通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
【0004】
ここでTFT素子には主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には通常、スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
【0005】
しかしながら、このようなTFT素子の製造では真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスを何度も繰り返して各層を形成せざるを得ず、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっていた。例えばTFT素子では通常、それぞれの層の形成のために、真空蒸着、ドープ、フォトリソグラフ、現像等の工程を何度も繰り返す必要があり、何十もの工程を経て素子を基板上に形成している。スイッチング動作の要となる半導体部分に関してもp型、n型等、複数種類の半導体層を積層している。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされるなど、設備の変更が容易ではない。
【0006】
又、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
【0007】
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料のほか、例えば非特許文献1等において論じられているような有機レーザー発振素子や、例えば非特許文献2等、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタへの応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、比較的低い温度での真空ないし低圧蒸着による製造プロセスの簡易化や、さらにはその分子構造を適切に改良することによって、溶液化できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も考えられる。これらの低温プロセスによる製造は、従来のSi系半導体材料については不可能と考えられてきたが、有機半導体を用いたデバイスにはその可能性があり、したがって前述の基板耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基板上にも例えばTFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基板上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
【0008】
しかしながら、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、特許文献1にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、同じく特許文献2に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、特許文献3に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など限られた種類の化合物(これらの多くは非特許文献3に記載されている)でしかなく、新規な電荷輸送性材料を用いた半導体性組成物の開発が待望されていた。とくに塗布や印刷など、常圧下にて基板上に薄膜を設置する方法に耐え得る材料の開発には、高い期待がもたれている。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−55568号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平5−190877号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平8−264805号公報
【0012】
【非特許文献1】
『サイエンス』(Science)誌 289巻 599ページ
(2000)
【0013】
【非特許文献2】
『ネイチャー』(Nature)誌 403巻 521ページ
(2000)
【0014】
【非特許文献3】
『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Materi−al)誌 2002年 第2号 99ページ
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリア移動度の高い薄膜を得ることができる半導体性組成物を提供することであり、中でも常圧下にて薄膜を得られる半導体性組成物を提供することであり、また別の目的は該半導体性組成物を用いて移動度の高い有機薄膜トランジスタを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は
1) 有機金属錯体と陰イオンを含有し、該陰イオンの共役酸の酸解離定数pKaが2〜15である半導体性組成物、
2) 陰イオンが有機金属錯体の対イオンである1)の半導体性組成物、
3) 陰イオンの共役酸が有機酸であること1)又は2)の半導体性組成物、
4) 陰イオンの共役酸が炭素数6以上30未満のカルボン酸である1)、2)又は3)の半導体性組成物、
5) 陰イオンの共役酸がアルキルカルボン酸である1)〜4)の何れかの半導体性組成物、
6) 有機金属錯体を構成する配位子が、その化学構造中に複数の配位子部分を有する1)〜5)の何れかの半導体性組成物、
7) 電荷輸送性材料を含有する活性層と、該電荷輸送性材料に直接或いは間接に接するゲート電極を有し、該ゲート電極及び電荷輸送性材料間に電界を印加することで、電荷輸送性材料中の電流を制御する電界効果トランジスタにおいて、活性層が1)〜6)のいずれかに記載の半導体性組成物を含む電界効果トランジスタ、
により達成された。
【0017】
以下、本発明の半導体性組成物およびそれを用いる有機薄膜トランジスタについて説明する。
【0018】
本発明に係る半導体性組成物は有機金属錯体と陰イオンを含んで成るものであるが、含まれる有機金属錯体および陰イオンはそれぞれ単一種類であっても複数種類を含んだものであってもよい。また、さらにその他の有機金属錯体ではない電荷輸送性化合物を含んでいてもよく、その例としては例えばペンタセンやテトラセンなどのアセン類や、アセン類を構成する炭素原子の一部を窒素、酸素、硫黄などによって置き換えた類縁分子、あるいは芳香族環とビニレン基やエチニレン基が任意に組み合わさった拡張共役系を有するオリゴマーもしくはポリマーを挙げることができる。後者の拡張共役化合物の具体例としては、以下のような化合物を挙げることができる。
【0019】
【化1】
Figure 2004158669
【0020】
【化2】
Figure 2004158669
【0021】
【化3】
Figure 2004158669
【0022】
本発明の有機金属錯体を形成する金属イオンは、適切な配位子によって錯体を形成するものであればその元素種や酸化数について格別の制限があるわけではないが、好ましくは周期表第4周期以降の元素であり、なおかつ3〜16族の金属である。より好ましくは第4〜第6周期の元素であり、とくに好ましくは第4〜第6周期かつ4〜15族の元素であり、さらに好ましくは第4〜第6周期かつ4〜12族の元素である。
【0023】
本発明の有機金属錯体を形成する配位子は同じ分子が複数個、金属イオンに配位してもよいし、異なる種類の数分子が配位して金属錯体を形成することもできる。また、以下に示す配位子が共役もしくは非共役結合により連結された、配位子として機能する部位を複数有する分子であってもよいし、その場合には形成される有機金属錯体が、1つの錯体中に複数の金属イオンを有する、いわゆる複核錯体であっても本発明の範疇に含めるものである。配位子としてとくに好ましいのはポルフィリン、フタロシアニンの他、イミダゾールやチアゾール、オキサゾール、トリアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピラジンなどの含窒素芳香族環を部分構造に有する化合物、エチレンジアミンやジエチレントリアミンなどの隣接炭素原子にそれぞれアミノ基を有する構造をもつ分子、アザクラウンやチアクラウンを含むクラウンエーテル類などが挙げられる。また、オルトメタル錯体と呼ばれる、共有結合性の強い結合によって金属と結合した、例えばイリジウムのフェニルピリジン錯体のような有機金属錯体も本発明に用いられる。配位子の基本的構造の具体例としては、以下のような構造を挙げることができる。
【0024】
【化4】
Figure 2004158669
【0025】
本発明に係る有機金属錯体を形成する配位子は以下に例示された構造の分子そのものであってもよいが、前記の例示構造に置換基を導入した化合物であってもよい。置換基の例としてはアルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)基などを挙げることができ、好ましくは炭素数20以下のアルキル基、アルキルチオ基、アリール基、複素環基である。中でも、とくに溶剤溶解性の観点から炭素数20までのアルキル基を少なくとも1つは有していることが好ましい。以下に本発明に係る有機金属錯体を形成する配位子の具体例を挙げるが、本発明の範囲がこの具体例によって限定されるものではない。
【0026】
【化5】
Figure 2004158669
【0027】
【化6】
Figure 2004158669
【0028】
【化7】
Figure 2004158669
【0029】
【化8】
Figure 2004158669
【0030】
一般に、有機金属錯体の中心金属の正電荷は配位子がこれを中和する場合もあるが、対イオンとしての陰イオンにより電荷が中和される場合も多い。本発明に係る半導体性組成物において、含有される陰イオンは該半導体性組成物に含有される有機金属錯体の対イオンとして働いていてもよいし、電気的に中性の有機金属錯体と混合されていてもよいが、好ましくは該有機金属錯体の対イオンとして含有される。
【0031】
本発明に係る陰イオンはその共役酸の酸解離定数(pKa)が2〜15であるもので、この定数については例えばパイン(Pine)らの共著による「Organic Chemistry」第4版(マグロウヒル(McGrawhill)刊)など、一般的な有機化学の成書にて解説されているとおり、プロトン酸の解離平衡定数から導かれ、酸の強度の指標となる定数である。pKaが2〜15の範囲にある、すなわち本発明に係る陰イオンの共役酸の例としては、リン酸、酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、デカン酸、ベヘン酸、安息香酸、ニトロメタン、エタンチオール、アセト酢酸エチル、メタノールなどを挙げることができる。
【0032】
酸解離定数(pKa)が2〜15という、比較的弱い酸の共役陰イオンを含有することで、本発明に係る有機半導体性組成物を用いた有機薄膜トランジスタが良好に駆動する理由は定かでないが、例えば塩酸の共役陰イオンである塩化物イオン、臭化水素酸の共役陰イオンである臭化物イオン、メタンスルホン酸の共役陰イオンであるメタンスルホン酸アニオンなどの、強酸の共役陰イオンを加えた場合と本発明に係る有機金属錯体との間で電子構造に違いが生じ、これにより本発明に係る半導体性組成物がより好ましい半導体特性を示すことになるのではないかと推測される。ただし陰イオン種によっては、該有機薄膜トランジスタ中で含有される有機金属錯体の少なくとも一部が結晶化して電荷輸送性ひいてはトランジスタ特性を損ねており、本発明の態様がその問題点を克服しているということもありえよう。
【0033】
本発明の半導体性組成物は、真空もしくは減圧下における蒸着によって基板上に薄膜を形成することもできるが、好ましくは常圧下で可能な薄膜形成方法に供することが望ましい。具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等の溶剤に溶解して基板上に塗布する方法(スピンコート法やキャストコート法など)、調製した溶液に必要に応じてさらに適切な添加剤を加えた水性もしくは油性インクを用いるスクリーン印刷やインクジェット法などの印刷法、該半導体性組成物を塗布した基板と適切な光熱変換材料を用いて薄膜を形成したい基板に転写を行うアブレーション法などを挙げることができる。
【0034】
これらの方法によって得られる半導体性組成物からなる有機薄膜を各種有機半導体材料や薄膜の電界効果トランジスタ、スイッチング素子等各種デバイスの製造に有利に用いることができ、特にスイッチング素子材料として用いると、良好にスイッチング駆動する。
【0035】
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
【0036】
本発明の半導体性組成物を有機薄膜トランジスタの活性層に設置するには、上述から選ばれる方法を採用すれば良い。
【0037】
本発明おいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0038】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0039】
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0040】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0041】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0042】
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406、同11−133205、特開2000−121804、同2000−147209、同2000−185362等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0043】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
【0044】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0045】
また支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0046】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0047】
実施例1
ゲート電極としての抵抗率0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、COH23COOアニオンを対イオンとして有する例示化合物1のルテニウム錯体1gをクロロホルム15mlに溶解した溶液と、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(regioregular、アルドリッチ社製、平均分子量89000)3gをクロロホルム85mlに溶解した溶液を混合して調製した混合溶液をアプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ50nm)を形成して、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソースおよびドレイン電極を形成した。ソースおよびドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ素子1を形成した。
【0048】
対アニオンをCOH23COOから臭化物イオン(Br)に変更した、例示化合物1のルテニウム錯体を加えた溶液を用いた以外は有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で、比較例としての有機薄膜トランジスタ素子2を作製した。
【0049】
例示化合物1を加えずにポリ(3−ヘキシルチオフェン)のみを含んだ薄膜を活性層とし、有機薄膜トランジスタ素子1と同様の方法で比較例としての有機薄膜トランジスタ素子3を作製した。
【0050】
ペンタセン(アルドリッチ社製市販試薬を昇華精製して用いた)0.2gをクロロホルム100mlに加え、窒素下にて還流温度で撹拌した後に不溶物を濾別して、ペンタセンのクロロホルム溶液を調製し、これを用いて有機薄膜トランジスタ素子1と同様に、比較例としての有機薄膜トランジスタ素子4を作製した。
【0051】
以上のようにして作製した有機薄膜トランジスタ素子のそれぞれにおいて、ソース・ドレイン電極間に−50Vの電圧を印加し、ゲート電圧を−100Vから100Vの範囲で変化させた際の、最大電流値と最小電流値の比をとって、これを各々の有機薄膜トランジスタ素子のON/OFF比として記録した。比較例である有機薄膜トランジスタ素子3の示した値を100としたときの相対値によって結果を示すと以下のとおりであった。
【0052】
Figure 2004158669
この結果より、本発明の半導体性材料を活性層に用いて作製した有機薄膜トランジスタ素子が、優れたON/OFF特性を示すことがわかる。また、ペンタセンを用いた有機薄膜トランジスタ素子4の結果は、塗布による薄膜形成によっては活性層として機能するペンタセン薄膜を得がたいことを示している。
【0053】
実施例2
実施例1にて測定に使用した有機薄膜トランジスタ素子1〜4を、温度40℃、湿度60%にて1週間保存した後、実施例1と同様の測定を行った。結果を実施例1と同様に、実施例1における各々の有機薄膜トランジスタ素子の結果を100とする相対値によって示すと以下のとおりであった。
【0054】
Figure 2004158669
この結果より、本発明の半導体性材料を活性層に用いた場合、作製した有機薄膜トランジスタ素子は保存性においても優れた特性を示し、素子としての寿命を長期化できることがわかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、有機薄膜トランジスタを簡単なプロセスで形成可能な半導体性組成物が得られ、該半導体性組成物薄膜を用いた有機薄膜トランジスタはON/OFF比が大きく保存性に優れる。

Claims (7)

  1. 有機金属錯体と陰イオンを含有し、該陰イオンの共役酸の酸解離定数pKaが2〜15であることを特徴とする半導体性組成物。
  2. 陰イオンが有機金属錯体の対イオンであることを特徴とする請求項1に記載の半導体性組成物。
  3. 陰イオンの共役酸が有機酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体性組成物。
  4. 陰イオンの共役酸が炭素数6以上30未満のカルボン酸であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の半導体性組成物。
  5. 陰イオンの共役酸がアルキルカルボン酸であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の半導体性組成物。
  6. 有機金属錯体を構成する配位子が、その化学構造中に複数の配位子部分を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の半導体性組成物。
  7. 電荷輸送性材料を含有する活性層と、該電荷輸送性材料に直接或いは間接に接するゲート電極を有し、該ゲート電極及び電荷輸送性材料間に電界を印加することで、電荷輸送性材料中の電流を制御する電界効果トランジスタにおいて、活性層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体性組成物を含むことを特徴とする電界効果トランジスタ。
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