JP5245117B2 - 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス - Google Patents

有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5245117B2
JP5245117B2 JP2007556826A JP2007556826A JP5245117B2 JP 5245117 B2 JP5245117 B2 JP 5245117B2 JP 2007556826 A JP2007556826 A JP 2007556826A JP 2007556826 A JP2007556826 A JP 2007556826A JP 5245117 B2 JP5245117 B2 JP 5245117B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
thin film
film transistor
organic thin
organic semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007556826A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007088768A1 (ja
Inventor
康 大久保
利恵 片倉
秀謙 尾関
弘志 北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2007556826A priority Critical patent/JP5245117B2/ja
Publication of JPWO2007088768A1 publication Critical patent/JPWO2007088768A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5245117B2 publication Critical patent/JP5245117B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/30Coordination compounds
    • H10K85/341Transition metal complexes, e.g. Ru(II)polypyridine complexes
    • H10K85/346Transition metal complexes, e.g. Ru(II)polypyridine complexes comprising platinum
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K10/00Organic devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching; Organic capacitors or resistors having potential barriers
    • H10K10/40Organic transistors
    • H10K10/46Field-effect transistors, e.g. organic thin-film transistors [OTFT]
    • H10K10/462Insulated gate field-effect transistors [IGFETs]
    • H10K10/464Lateral top-gate IGFETs comprising only a single gate
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K10/00Organic devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching; Organic capacitors or resistors having potential barriers
    • H10K10/40Organic transistors
    • H10K10/46Field-effect transistors, e.g. organic thin-film transistors [OTFT]
    • H10K10/462Insulated gate field-effect transistors [IGFETs]
    • H10K10/466Lateral bottom-gate IGFETs comprising only a single gate
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/60Organic compounds having low molecular weight
    • H10K85/615Polycyclic condensed aromatic hydrocarbons, e.g. anthracene
    • H10K85/622Polycyclic condensed aromatic hydrocarbons, e.g. anthracene containing four rings, e.g. pyrene
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/60Organic compounds having low molecular weight
    • H10K85/615Polycyclic condensed aromatic hydrocarbons, e.g. anthracene
    • H10K85/623Polycyclic condensed aromatic hydrocarbons, e.g. anthracene containing five rings, e.g. pentacene

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイスに関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、情報化の進展に伴い、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には通常、スパッタリング、プラズマCVD等の高温あるいは高真空の製造プロセスが必要とされる。
このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料のほか、例えば非特許文献1等において論じられているような有機レーザー発振素子や、例えば非特許文献2等、多数の論文に報告されている有機薄膜トランジスタ素子(有機TFT素子)への応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、基板耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基板上にも、例えばTFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基板上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
さらには、有機半導体材料の分子構造を適切に改良することによって、溶剤に溶解できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も可能となり、従来のフォトリソグラフによってパターニングする方法と比べて大幅な工程数の削減が可能となるため、さらなる低コスト化が可能になると期待される。
しかしながら、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、ペンタセンやテトラセンといったアセン類(例えば、特許文献1参照)、鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物(例えば、特許文献2参照)や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー(例えば、特許文献3参照)、ナフタレン、アントラセンに5員の芳香族複素環が対称に縮合した化合物(例えば、特許文献4参照)、モノ、オリゴ及びポリジチエノピリジン(例えば、特許文献5参照)、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等限られた種類の化合物(例えば、非特許文献1〜3参照)でしかなく、溶剤への十分な溶解性を保持しながら、十分なキャリア移動度・ON/OFF比を示す材料は見出されていない。
最近、溶解性の高いアセン類であるルブレンの単結晶が非常に高い移動度を有することが報告(非特許文献4参照)されているが、このような単結晶は気相成長法で作成したものであり、溶液キャストで製膜した膜は通常アモルファスであり、十分な移動度は得られていない。
また、真空蒸着によって高いキャリア移動度を有する化合物であるペンタセンに官能基を付与した化合物等も開示され、溶液塗布によって比較的良好なキャリア移動度が得られるとの報告(例えば、特許文献6参照)もなされている。
しかし、ルブレンやペンタセン等のアセン系の化合物は、空気中に含まれる酸素によって容易に酸化されてエンドパーオキシドと呼ばれる酸化体に転化し、電界効果トランジスタとしての性能が大きく劣化してしまうことが知られており、溶液での保存安定性や塗布膜の安定性についてはいまだ解決すべき課題が残されている。
このような有機半導体素子の経時安定性については、例えば、特開2003−292588号公報、米国特許出願公開第2003/136958号明細書、同第2003/160230号明細書、同第2003/164495号明細書において、「マイクロエレクトロニクス用の集積回路論理素子にポリマーTFTを用いると、その機械的耐久性が大きく向上し、その使用可能寿命が長くなる。しかし半導体ポリチオフェン類の多くは、周囲の酸素によって酸化的にドープされ、導電率が増大してしまうため空気に触れると安定ではないと考えられる。この結果、これらの材料から製造したデバイスのオフ電流は大きくなり、そのため電流オン/オフ比は小さくなる。従って、これらの材料の多くは、材料加工とデバイス製造の間に環境酸素を排除して酸化的ドーピングを起こさない、あるいは最小とするよう厳重に注意しなければならない。この予防措置は製造コストを押し上げるため、特に大面積デバイスのための、アモルファスシリコン技術に代わる経済的な技術としてのある種のポリマーTFTの魅力が削がれてしまう。従って、酸素に対して強い対抗性を有し、比較的高い電流ON/OFF比を示すエレクトロニックデバイスが望まれている」との記載があるように、有機半導体材料が経時で劣化することをいかに防ぐかといった課題が、実用化を行う上での大きな課題となってきている。
酸化に対して比較的安定なアセン系化合物の例としては、非特許文献5や6、特許文献7において、ペンタセンの6、13位をシリルエチニル基で置換した一部の化合物が、塗布膜の安定性がよいとの報告がある程度である。
しかしこれらの報告においては、文章中において酸化に対する安定性が向上したと定性
的な性状を述べているのみであり、いまだ実用に耐えうる程度の安定性は得られていない。
このように、高移動度と耐久性、さらには溶解性を兼ね備えた有機半導体材料は未だ得られていない。
特開平5−55568号公報 特開平5−190877号公報 特開平8−264805号公報 特開平11−195790号公報 特開2003−155289号公報 国際公開第03/016599号パンフレット 米国特許第6,690,029号明細書 『サイエンス』(Science)誌289巻,599ページ(2000) 『ネイチャー』(Nature)誌403巻,521ページ(2000) 『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Material)誌,2002年,第2号,99ページ Science,vol.303(2004),1644ページ Org.Lett.,vol.4(2002),15ページ J.Am.Chem.Soc.,vol.127(2005),4986ページ
本発明の目的は、低温で製造することができ、トランジスタとしての特性が良好であり、空気中の酸素に対して安定で経時劣化が十分抑制された有機半導体材料、それを用いた有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ、さらには、簡便な塗布プロセスによって形成可能な有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.平面4座配位のオルトメタル化錯体を半導体層に含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2.前記平面4座配位のオルトメタル化錯体の中心金属がPt、AuまたはPdであることを特徴とする1に記載の有機薄膜トランジスタ。
3.前記平面4座配位のオルトメタル化錯体の配位子が3環以上縮合した縮合多環構造を有することを特徴とする1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
4.前記平面4座配位のオルトメタル化錯体が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
(式中、MはPt、AuまたはPdの金属原子を表し、Z1〜Z3は置換または無置換の芳香族環を表す。)
5.前記一般式(1)のMで表される金属原子がPtであることを特徴とする4に記載の有機薄膜トランジスタ。
6.前記一般式(1)のZ1〜Z3で表される縮合多環が、下記一般式(2)で表される置換基を有する化合物であることを特徴とする4または5に記載の有機薄膜トランジスタ。
(式中、Lは単結合、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、−C=C−、−C≡C−、アリーレン基から選ばれる(n+1)価の連結基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシリル基、(アルキルシリル)アルキル基から選ばれる置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
7.前記一般式(2)のLで表される連結基Lが−C≡C−であることを特徴とする6に記載の有機薄膜トランジスタ。
本発明によれば、低温で製造することができ、トランジスタとしての特性が良好であり、空気中の酸素に対して安定で経時劣化が十分抑制された有機半導体材料、それを用いた有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ、さらには、簡便な塗布プロセスによって形成可能な有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタを提供することができる。
本発明に係る有機TFTの構成例を示す図である。 本発明の有機TFTの概略等価回路図の1例である。 封止構造を有する有機EL素子の一例を示す模式図である。 有機EL素子に用いる、TFTを有する基板の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 ゲートバスライン
8 ソースバスライン
10 有機薄膜トランジスタシート
11 有機薄膜トランジスタ
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
101 基板
102 有機EL素子
102a 陽極
102b 有機EL層
102c 陰極
103 封止膜
601 ガラス基板
602 TFT
上記課題について本発明者等が鋭意検討を行ったところ、平面4座配位のオルトメタル化錯体が半導体としての優れた特性を持つことを見出した。
また、有機半導体として優れた特性を有する特定構造の芳香族系化合物を、酸素に対して安定である特定の貴金属と組み合わせた構造を有するオルトメタル化錯体が、半導体としての優れた特性と、酸素に対する安定性を兼ね備えた有機半導体材料となることを見出した。
また、これらのオルトメタル化錯体を特定の置換基によって置換することによって、有機溶媒に溶解することのできる化合物となり、常圧塗布プロセスによって半導体素子を形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求の範囲第1〜7項のいずれか1項に規定される構造を有する化合物は、有機薄膜トランジスタ用途に有用な有機半導体材料となる。また、該有機半導体材料を用いて作製した本発明の有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ(以下、有機TFTともいう)は、キャリア移動度が高く、良好なON/OFF特性を示す等、優れたトランジスタ特性を示しながら、かつ、高耐久性であることが判明した。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について説明する。
〔有機半導体材料〕
本発明の有機半導体材料は、平面4座配位のオルトメタル化錯体であることを特徴とする。
オルトメタル化錯体とは、山本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」,150頁及び232頁,裳華房社(1982年)、H.Yersin著「Photochemistry
and Photophysics of Coordination Compounds」,71〜77頁及び135〜146頁,Springer−Verlag社(1987年)等に記載されている化合物群の総称である。
本発明の効果を得るためには配位子が平面4座配位で錯体を形成することが必要である。平面4座配位構造を有することで分子の結晶性が向上し、移動度の高い有機薄膜を得ることができるようになる。
そのため、オルトメタル化錯体を形成する中心金属としては、2価または3価の金属種である必要がある。そのような金属種であれば、制限なく用いることができる。それらの金属種の中でも、2価の白金、パラジウム、3価の金を好ましく用いることができる。このような金属種を用いることで、錯体の構造が平面となり、結晶性が高く移動度の高い有機半導体薄膜を得ることができる。さらには、酸化されにくい金属種であるため、酸素による劣化を非常に低く抑えることができる。
オルトメタル化錯体を形成する配位子としては、平面構造を形成しうる配位子であれば特に限定されないが、高い移動度を有する有機半導体薄膜を得るためには、3環以上が縮合した縮合多環を有する配位子であることが好ましい。このような構造とすることで、有機薄膜の結晶性が向上し、かつ、結晶内で縮合多環同士のπスタック面積が増大し、高い移動度を得ることができる。
このような配位子の中でも、縮合多環自体がオルトメタル化錯体を形成する、前記一般式(1)で表されるような化合物であることが好ましい。
前記一般式(1)において、Z1〜Z3は置換または無置換の芳香族環を表す。これらのZ1〜Z3で表される芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、テトラジン環等の6員環構造、また、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、フラザン環、チオフェン環、チアゾール環等の5員環構造のどちらであっても制限なく用いることができる。ただし、Z3で表される芳香族環は、少なくとも1つ以上窒素原子を有する芳
香族環である必要がある。
このような縮合多環としては、例えば、ベンゾ[h]キノリン、ベンゾ[h]シンノリン、ベンゾ[f]キノキサリン、ベンゾ[c]ナフチリジン、ベンゾ[h]ナフチリジン、1,7−フェナントロリン、1,8−フェナントロリン、1,9−フェナントロリン、2,3,5−トリアザフェナントレン、2,5,9−トリアザフェナントレン、4,9,10−トリアザフェナントレン、チエノ[2,3−h]キノリン、ナフト[1,2−d]チアゾール、ベンゾ[4,5]チエノ[3,2−b]ピリジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のような構造を有するオルトメタル化錯体の中でも、より好ましくは中心金属が2価のPtである錯体である。Ptからなるオルトメタル化錯体では、非常に酸化が起こりにくく、形成した有機薄膜を安定なものとすることができるためである。
上記の有機半導体材料からなる有機薄膜は、真空蒸着で形成しても溶液塗布によって形成してもよいが、真空蒸着で製膜した際には、真空蒸着によってベタで製膜した後に5〜10工程にもわたるフォトリソグラフィーによってパターニングを行う必要があり、溶液塗布が可能であれば各種の印刷法やインクジェット法によって直接パターニングすることができ、製造工程を簡便なものとすることができるため、溶液塗布によって形成できる材料である方が好ましい。
このような溶解性の有機半導体材料を得るためには、上記の構造を有するオルトメタル化錯体に対して、溶解性を与えるような置換基を付与する必要がある。
そのような溶解性の置換基としては、前記一般式(2)で表される置換基であることが好ましい。
前記一般式(2)において、Lは単結合、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、−C=C−、−C≡C−、アリーレン基から選ばれる(n+1)価の連結基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシリル基、アルキルシリルアルキル基から選ばれる置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。
このような構造を有する置換基によって上記のオルトメタル化錯体の一部を置換することで、溶解性の材料とすることができる。
前記一般式(2)でRによって表される置換基の例としては、以下のような置換基を挙げることができる。
アルキル基:例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、
シクロアルキル基:例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、
シリル基:例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、シラトラン基、
(アルキルシリル)アルキル基:(トリエチルシリル)メチル基、(トリイソプロピルシリル)プロピル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、トリス(トリメチルシリル)メチル基。
これらの置換基Rは、(n+1)価の連結器Lによってオルトメタル化錯体の配位子と連結される。nが0ではオルトメタル化錯体の溶解度が不十分であり、4以上では塗布製膜後の有機薄膜の結晶性が低下し、半導体としての特性が低下することがあるため、nは1〜3であることが好ましい。より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1である。
また、前記一般式(2)で表される置換基がオルトメタル化錯体の配位子を置換する数としては、化合物を0.1質量%程度に溶解することができる溶解性を付与できれば何個でもよいが、あまり多くの置換基によって置換されると結晶性が低下し、ひいては半導体としての特性が低下するため、好ましくは1〜4個の間であることが好ましい。より好ましくは2個であり、さらに好ましくは2つの配位子のそれぞれを1つずつ置換した化合物である。
上記一般式(2)で表される置換基のうち、好ましくは連結基Lが−C≡C−である化合物が好ましい。
有機半導体の導電性は、主に芳香族環が形成する平面と垂直な方向に伝わることが知られており、結晶薄膜中において芳香族環(オルトメタル化錯体の配位子)同士の重なりが大きいほど、良好な半導体特性を得ることができる。
オルトメタル化錯体の配位子と連結される置換基Rは立体的に大きな置換基であり、アセン系母核近傍に存在すると、アセン系母核同士のスタック面積を減少させ、半導体特性を低下させることがあるため、連結基Lによってアセン系母核同士のスタックを阻害しない程度に離れた位置に存在することが好ましい。
−C≡C−はアルキレン基、アルケニレン基等と異なり直線状の連結基であり、大きさもアセン系母核と同じ厚さであるため、アセン系母核のスタックを阻害しない。そのため、オルトメタル化錯体を可溶化させながら、塗布によって得られる薄膜の結晶性を高いものにすることができる。
これらのオルトメタル化錯体の分子量は300〜5000の範囲であることが好ましい。分子量を300以上とすることで、化合物の揮発性を十分低くすることができ、生産時の揮発・工程汚染を防止することができる。また5000以下とすることで、溶媒への溶解性を良好な範囲に保つことができる。なお、蒸着で半導体層を形成する場合には、分子量は1000以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、製膜を比較的低真空度で行うことができ、生産性を高くすることができる。なお本発明の有機半導体材料の分子量は、質量分析装置、GPC等によって測定することができる。
以下、本発明の有機半導体材料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
なお、上記の化合物は、Inorg.Chem.,vol.41(2002),p3055を参考にして合成することができる。
〔有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ〕
本発明の有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタについて説明する。
本発明の有機半導体材料は、有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタの半導体層に用いることにより、良好に駆動する有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタを提供することができる。有機薄膜トランジスタは、支持体上に、半導体層として有機半導体で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
本発明の有機半導体材料を有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタの半導体層に設置するには、材料の特性に応じて真空蒸着法、溶液塗布法を適宜選択することができる。しかし溶液塗布法によって製膜する方が簡便であり、大面積化も容易であるため、溶解度が高い材料であれば溶液塗布法で有機半導体層を形成することが好ましい。溶液塗布法としては、キャストコート、スピンコート、印刷、インクジェット法、アブレーション法等が挙げられるが、塗布速度、精細度、製膜する基板材料、用いる溶液の粘度等に応じて選択すればよい。
この場合、本発明の有機半導体材料を溶解する溶媒は、有機半導体材料を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。これらの溶媒のうち、非ハロゲン系溶媒を含む溶媒が好ましく、非ハロゲン系溶媒で構成することが好ましい。また、絶縁膜表面を疎水化処理した絶縁膜上に塗布する場合には、そのような疎水化表面の表面エネルギーよりも表面エネルギーが小さい非極性な溶媒であることが好ましく、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、本発明の有機半導体材料を半導体層に用いることが好ましい。前記半導体層は、これらの有機半導体材料を含有する溶液または分散液を塗布することにより形成することが好ましい。
本発明において、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO及び炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶媒あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また有機化合物皮膜として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
また、支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
以下に、本発明の有機半導体材料を用いて形成された有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタについて説明する。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの構成例を示す図である。同図(a)は、支持体6上に金属箔等によりソース電極2、ドレイン電極3を形成し、両電極間に本発明の有機半導体材料からなる有機半導体層1を形成し、その上に絶縁層5を形成し、さらにその上にゲート電極4を形成して有機薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、有機半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極及び支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体6上に先ずコート法等を用いて、有機半導体層1を形成し、その後ソース電極2、ドレイン電極3、絶縁層5、ゲート電極4を形成したものを表す。
同図(d)は、支持体6上にゲート電極4を金属箔等で形成した後、絶縁層5を形成し、その上に金属箔等で、ソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該電極間に本発明の有機半導体材料により形成された有機半導体層1を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図2は、有機薄膜トランジスタシートの概略等価回路図の1例を示す図である。
有機薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ11を有する。7は各有機薄膜トランジスタ11のゲートバスラインであり、8は各有機薄膜トランジスタ11のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ11のソース電極には、出力素子12が接続され、この出力12は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。画素電極は光センサの入力電極として用いてもよい。図示の例では、出力素子として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
有機薄膜トランジスタの性能としては、その用途に応じて必要とされる性能は変化するが、例えば電子ペーパーのような用途においては、キャリア移動度は0.01(1.0×10-2)〜1.0cm2/Vsecの範囲であることが好ましく、ON/OFF比としては1.0×105〜1.0×107の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることで十分な速度でディスプレイを駆動することができ、またディスプレイに良好な階調を付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《有機薄膜トランジスタ1の作製》
ゲート電極としての比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、オクタデシルトリクロロシランによる表面処理を行った。
このような表面処理を行ったSiウェハー上に、比較化合物1(ペンタセン、アルドリッチ社製、市販試薬を昇華精製して用いた)を蒸着した後、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソース電極及びドレイン電極を形成した。ソース電極及びドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ1を作製した。
《有機薄膜トランジスタ2の作製》
比較化合物2(2,3,9,10−テトラヘキシルペンタセン)は、Organic Letters、vol.2(2000),p85に記載の方法で合成した。
有機薄膜トランジスタ1の作製において、比較化合物1を比較化合物2に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ2を作製した。
《有機薄膜トランジスタ3の作製》
有機薄膜トランジスタ1の作製において、比較化合物1を比較化合物3(ルブレン、アルドリッチ社製、市販試薬を昇華精製して用いた)に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ3を作製した。
《有機薄膜トランジスタ4〜8の作製》
有機薄膜トランジスタ1の作製において、比較化合物1の代わりに、表1に記載の本発明の有機半導体材料に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ4〜8を作製した。
《キャリア移動度及びON/OFF比の評価》
得られた有機薄膜トランジスタ1〜8について、各素子のキャリア移動度とON/OFF比を、素子作成直後に測定した。なお、本発明では、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率からON/OFF比を求めた。
また同様の評価を、各素子を40℃90%RHの環境室に48時間投入した後、キャリア移動度及びON/OFF比の再測定を行った。
得られた結果を表1に示す。
表1から、これまで公知の化合物である比較化合物1〜3を用いた有機薄膜トランジスタ1〜3では、蒸着直後は十分なTFT性能を示したが、耐久試験後では移動度は10-3台、ON/OFF比も104台と、ディスプレイの駆動が可能な値まで保持されていない。
他方、本発明の有機半導体材料を用いて作製した有機薄膜トランジスタ4〜8では、作製直後においてキャリア移動度、ON/OFF比ともに優れた特性を示し、かつ、耐久試験後においても移動度が10-2台以上、ON/OFF比も105台以上であり,経時劣化が少なく高い耐久性を併せ持つということが分かる。
本発明の有機半導体素子の中でも、3環縮合型の配位子を有するオルトメタル化錯体を用い、中心金属としてPtを用いた有機薄膜トランジスタ8では、耐久試験後においても移動度が10-1台と非常に優れた耐久性を有していることが確認された。
実施例2
《有機薄膜トランジスタ9〜13の作製》
実施例1と同様に、ゲート電極としての比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、オクタデシルトリクロロシランによる表面処理を行った。
このような表面処理を行ったSiウェハー上に、窒素雰囲気下で窒素を30分間バブリングしたトルエンに対して0.5質量%の濃度で比較化合物1を溶解させ、窒素雰囲気下でスピンコート塗布(回転数2500rpm、15秒)し、自然乾燥することによりキャスト膜を形成して、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソース電極及びドレイン電極を形成した。ソース電極及びドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ9を作製した。
また、比較化合物1の代わりに、表2に記載の本発明の有機半導体材料に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ10〜13を作製した。
《キャリア移動度及びON/OFF比の評価》
実施例1と同様に、得られた有機薄膜トランジスタ9〜13について各素子のキャリア移動度とON/OFF比を、素子作成直後に測定した。なお、本発明では、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率からON/OFF比を求めた。
また同様の評価を、各素子を40℃90%RHの環境室に48時間投入した後、キャリア移動度・ON/OFF比の再測定を行った。
得られた結果を表2に示す。
表2から、比較化合物1は、溶解性が低く、塗布によって膜を作ることができず、有機薄膜トランジスタ9は半導体としての駆動を確認できなかった。
また比較化合物2、3は、比較化合物1に比べて溶解性が向上し、塗布膜を形成することができ、有機薄膜トランジスタ10、11は半導体としての駆動を確認することができたが、ON/OFF比が103台以下と比較的低く、また耐久試験の後では大きく性能が劣化する材料であることが分かる。
しかし、特定の溶解性基を有する本発明の化合物を用いて作製した有機薄膜トランジスタ12、13では、有機溶剤に溶解することが可能であり、有機半導体としての駆動を確認できる薄膜を得ることができた。しかも、耐久試験後であっても移動度が10-2台以上、ON/OFF比も105台以上であり、高い半導体特性と高い耐久性を併せ持つ素子を
塗布プロセスによって形成できることが確認された。
実施例3
《有機EL素子の作製》
有機EL素子の作製は、Nature,395巻,151〜154頁に記載の方法を参考にして、図3に示したような封止構造を有するトップエミッション型の有機EL素子を作製した。なお、図3において、101は基板、102aは陽極、102bは有機EL層(具体的には、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等が含まれる)、102cは陰極を示し、陽極102a、有機EL層102b、陰極102cにより、有機EL素子102が形成されている。103は封止膜を示す。なお、本発明の有機EL素子は、ボトムエミッション型でもトップエミッション型のどちらでもよい。
本発明の有機EL素子と本発明の有機薄膜トランジスタ(ここで、本発明の有機薄膜トランジスタは、スイッチングトランジスタや駆動トランジスタ等として用いられる)を組み合わせて、アクティブマトリクス型の発光素子を作製したが、その場合は、例えば、図4に示すように、ガラス基板601上にTFT602(有機薄膜トランジスタ602でもよい)が形成されている基板を用いる態様が一例として挙げられる。ここで、TFT602の作製方法は公知のTFTの作製方法が参照できる。もちろん、TFTとしては、従来公知のトップゲート型TFTであってもボトムゲート型TFTであっても構わない。
上記で作製した有機EL素子は、単色、フルカラー、白色等の種々の発光形態において、良好な発光特性を示した。

Claims (7)

  1. 平面4座配位のオルトメタル化錯体を半導体層に含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記平面4座配位のオルトメタル化錯体の中心金属がPt、AuまたはPdであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記平面4座配位のオルトメタル化錯体の配位子が3環以上縮合した縮合多環構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記平面4座配位のオルトメタル化錯体が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。

    (式中、MはPt、AuまたはPdの金属原子を表し、Z1〜Z3は置換または無置換の芳香族環を表す。)
  5. 前記一般式(1)のMで表される金属原子がPtであることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記一般式(1)のZ1〜Z3で表される縮合多環が、下記一般式(2)で表される置換基を有する化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の有機薄膜トランジスタ。
    (式中、Lは単結合、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、−C=C−、−C≡C−、アリーレン基から選ばれる(n+1)価の連結基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシリル基、(アルキルシリル)アルキル基から選ばれる置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
  7. 前記一般式(2)のLで表される連結基Lが−C≡C−であることを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
JP2007556826A 2006-02-01 2007-01-25 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス Expired - Fee Related JP5245117B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007556826A JP5245117B2 (ja) 2006-02-01 2007-01-25 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006024291 2006-02-01
JP2006024291 2006-02-01
PCT/JP2007/051158 WO2007088768A1 (ja) 2006-02-01 2007-01-25 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス
JP2007556826A JP5245117B2 (ja) 2006-02-01 2007-01-25 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007088768A1 JPWO2007088768A1 (ja) 2009-06-25
JP5245117B2 true JP5245117B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=38327346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007556826A Expired - Fee Related JP5245117B2 (ja) 2006-02-01 2007-01-25 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5245117B2 (ja)
WO (1) WO2007088768A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120199794A1 (en) * 2009-10-16 2012-08-09 Merck Patent Gmbh Metal complexes

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8372977B2 (en) 2009-07-14 2013-02-12 The University Of Hong Kong Luminescent gold(III) compounds containing bidentate ligand for organic light-emitting devices and their preparation
DE102010027316A1 (de) * 2010-07-16 2012-01-19 Merck Patent Gmbh Metallkomplexe
JP5348162B2 (ja) * 2011-03-22 2013-11-20 大日本印刷株式会社 正孔注入輸送層形成用材料及びその製造方法
KR101711917B1 (ko) 2013-12-09 2017-03-13 제일모직 주식회사 화합물, 이를 포함하는 유기광전자소자 및 표시장치
CN105849859B (zh) 2013-12-26 2019-11-01 柯尼卡美能达株式会社 电子器件的印刷制造系统
US11882759B2 (en) * 2018-04-13 2024-01-23 Universal Display Corporation Organic electroluminescent materials and devices
US12035615B2 (en) * 2018-12-13 2024-07-09 Samsung Display Co., Ltd. Organic light-emitting device, apparatus including the same, and organometallic compound
CN114478636A (zh) * 2020-11-12 2022-05-13 季昀 铂错合物、含氮双牙配位基及可发出可见光或近红外光的装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001181616A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Fuji Photo Film Co Ltd オルトメタル化パラジウム錯体からなる発光素子材料および発光素子
JP2001181617A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Fuji Photo Film Co Ltd オルトメタル化白金錯体からなる発光素子材料および発光素子
JP2002540572A (ja) * 1999-03-23 2002-11-26 ザ ユニバーシティー オブ サザン カリフォルニア 有機ledの燐光性ドーパントとしてのシクロメタル化金属錯体
JP2004158669A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Konica Minolta Holdings Inc 半導体性組成物及びそれを用いる電界効果トランジスタ

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3929689B2 (ja) * 2000-03-28 2007-06-13 富士フイルム株式会社 高効率赤色発光素子、イリジウム錯体から成る発光素子材料及び新規イリジウム錯体
JP4340401B2 (ja) * 2000-07-17 2009-10-07 富士フイルム株式会社 発光素子及びイリジウム錯体
JP4506071B2 (ja) * 2002-11-06 2010-07-21 株式会社豊田中央研究所 機能素子及び有機金属錯体化合物
JP2004319438A (ja) * 2003-03-28 2004-11-11 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及びロジウム錯体化合物
JP2007091660A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Fujifilm Corp 金属錯体の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002540572A (ja) * 1999-03-23 2002-11-26 ザ ユニバーシティー オブ サザン カリフォルニア 有機ledの燐光性ドーパントとしてのシクロメタル化金属錯体
JP2001181616A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Fuji Photo Film Co Ltd オルトメタル化パラジウム錯体からなる発光素子材料および発光素子
JP2001181617A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Fuji Photo Film Co Ltd オルトメタル化白金錯体からなる発光素子材料および発光素子
JP2004158669A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Konica Minolta Holdings Inc 半導体性組成物及びそれを用いる電界効果トランジスタ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120199794A1 (en) * 2009-10-16 2012-08-09 Merck Patent Gmbh Metal complexes
US9181289B2 (en) * 2009-10-16 2015-11-10 Merck Patent Gmbh Metal complexes

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007088768A1 (ja) 2007-08-09
JPWO2007088768A1 (ja) 2009-06-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5245117B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス
US7800103B2 (en) Organic thin film transistor material, organic thin film transistor, field-effect transistor, switching element, organic semiconductor material and organic semiconductor film
JP5499422B2 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタの製造方法
JP2007067262A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP2007299852A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
WO2007123030A1 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
WO2007105473A1 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
WO2006038459A1 (ja) 有機薄膜トランジスタ材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子
JP2006028055A (ja) 有機半導体材料、有機トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子
JP5223337B2 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP5104428B2 (ja) 有機半導体材料、これを用いた電界効果トランジスタ
WO2006098121A1 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタの形成方法
JP2008283104A (ja) 有機半導体材料、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法
JP2008078279A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP2007207966A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP5034196B2 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP2007207968A (ja) 有機半導体素子及びその製造方法
JP2007081288A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP2006028054A (ja) 有機薄膜トランジスタ材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子
JP2008004725A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP5949815B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ
JP5835386B2 (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜及び有機薄膜トランジスタ
JP2004158669A (ja) 半導体性組成物及びそれを用いる電界効果トランジスタ
JP2007027168A (ja) 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ
JP2004006758A (ja) 有機半導体材料、これを用いた電界効果トランジスタ及びスイッチング素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100112

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121012

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5245117

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees