JP2008283104A - 有機半導体材料、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機半導体材料、該有機半導体材料を有機半導体層に含有する有機薄膜トランジスタ及び該有機薄膜トランジスタの製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、さらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機EL素子ともいう)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ素子(以下、TFT素子ともいう。)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になりつつある。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFT素子を用いるフラットパネルディスプレイの製造には、通常CVD、スパッタリング等の真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要であり、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きく、さらに近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている。
上記有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている。
大気圧下で印刷や塗布等のウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。また、有機半導体による種々の有機薄膜トランジスタが提案されており、印刷やインクジェット法により簡便な方法で作製できることが一般的に知られている。
しかしながら、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体材料としてこれまでに検討されてきたのは、ペンタセンやテトラセンといったアセン類(例えば、特許文献1参照)、鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物(例えば、特許文献2参照)や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー(例えば、特許文献3参照)、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等限られた種類の化合物でしかなく、高いキャリア移動度を示す新規な有機半導体材料の開発が待望されていた。
特開平5−55568号公報
特開平4−167561号公報
特開平8−264805号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便なウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体材料、該有機半導体材料を有機半導体層に含有する有機薄膜トランジスタ及び該有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機半導体材料。
(式中、Bは縮合多環化合物を表し、Ar1、Ar2は芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、A1、A2、A3はBで表される縮合多環化合物を構成する原子を表し、nは3〜5の整数を表す。)
2.前記一般式(1)において、Bは直線的に配列した3環以上の縮合多環化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機半導体材料。
2.前記一般式(1)において、Bは直線的に配列した3環以上の縮合多環化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機半導体材料。
3.前記一般式(1)において、Bは縮合多環芳香族化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の有機半導体材料。
4.前記一般式(1)において、n=3のとき、Ar1、Ar2は3環が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
5.前記一般式(1)において、n=4のとき、Ar1、Ar2は2環以上が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
6.前記一般式(1)において、n=5のとき、Ar1、Ar2は2環以上が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
7.前記一般式(1)において、Ar1、Ar2が同一構造であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
8.前記一般式(1)において、A1、A2、A3で表される原子が、C、N、O、S及びSiから選ばれる原子であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
9.前記一般式(1)において、A1、A2、A3で表される原子が、C原子であることを特徴とする前記8に記載の有機半導体材料。
10.支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記有機半導体層に前記1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
11.前記有機半導体層が形成される基板表面に、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
12.前記有機半導体層が形成される基板表面に、Ar1またはAr2と同一構造を有する芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していることを特徴とする前記11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
13.前記有機半導体層が、前記有機半導体材料の有機溶媒溶液を用いた塗布法により形成されることを特徴とする前記10〜12のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
14.前記10〜13のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により得られることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
本発明により、簡便なウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体材料、該有機半導体材料を有機半導体層に含有する有機薄膜トランジスタ、及び該有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、前記一般式(1)で表される特徴を有する有機半導体材料により、ウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体材料が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
このような効果が発現される理由については、以下のように考えている。
有機TFTにおいて、高いキャリア移動度を達成するためには、有機TFTの活性層(有機半導体層)として、欠陥のない高結晶性の有機薄膜、すなわち分子配向性の高い有機薄膜を基板表面、すなわち電荷が移動する基板との界面領域に形成させる必要がある。このような、高結晶性有機薄膜を得るためには、溶液状態では完全に溶解しているが、基板上に堆積すると、基板との界面からのみ結晶化が進行することが求められる。
本発明の前記一般式(1)で表される有機半導体材料は、一般的な有機溶媒中では、バルキーな置換基(縮合多環化合物Bの置換基Ar1、Ar2は、例えば、アントラセンのようにバルキーな芳香族炭化水素環または芳香族複素環である)同士の立体障害により溶解性が向上し、室温においても完全な溶液状態を保つことができる。基板上へ有機半導体材料溶液を堆積後、溶媒が除去されると、「物理的はめ込み効果」により有機半導体材料分子同士の相互作用が強くなるため、高い結晶性の薄膜を得ることができる。
ここで、「物理的はめ込み効果」とは、有機半導体材料分子が凸部(突起部)と凹部(凹み部)を有し、その形状が物理的に似ていれば、有機半導体材料分子が基板上へ堆積される際に、ブロックのように上手くはめ込まれることをいう。模式的には、図3に示すように、Ar1−A1−(A3)n−A2−Ar2で形成される凹部に、Ar1、Ar2の凸部がはめ込まれる。有機半導体材料が「物理的はめ込み効果」を期待できるかどうかは、分子設計の計算で予測することができる。
さらに、本発明の有機半導体材料は、凸凹部にフェニル基のような芳香族基を用いることで、π共役分子同士によるスタック効果が働き、より強い相互作用によりはめ込まれる、といった分子間相互作用も利用している。これにより、有機半導体分子を容易に結晶化させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
《一般式(1)で表される有機半導体材料》
前記一般式(1)において、Bは縮合多環化合物を表し、Ar1、Ar2は芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、A1、A2、A3はBで表される縮合多環化合物を構成する原子を表し、nは3〜5の整数を表す。
前記一般式(1)において、Bは縮合多環化合物を表し、Ar1、Ar2は芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、A1、A2、A3はBで表される縮合多環化合物を構成する原子を表し、nは3〜5の整数を表す。
縮合多環化合物としては、3環以上の環が縮合した芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族環等が挙げられる。本発明においては、3環以上の環が縮合した芳香族炭化水素環、芳香族複素環が好ましい。
Bで表される3環以上の環が縮合した芳香族炭化水素環としては、具体的には、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
Bで表される3環以上の環が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アクリンドリン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。
Ar1、Ar2で表される芳香族炭化水素環としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、フルオレン、フェナントレン、インデン、ピレン等が挙げられ、芳香族複素環としては、具体的には、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、キナゾール等が挙げられる。
一般式(1)において、Bは直線的に配列した3環以上の縮合多環化合物であることが好ましく、Bは縮合多環芳香族化合物であることが好ましい。
一般式(1)において、n=3のとき、Ar1、Ar2は3環が縮合した芳香族縮合環であることが好ましく、n=4、5のとき、Ar1、Ar2は2環以上が縮合した芳香族縮合環であることが好ましい。一般式(1)において、Ar1、Ar2が同一構造であることが好ましい。この場合、「物理的はめ込み効果」、π共役分子同士によるスタック効果が期待できる。
一般式(1)において、A1、A2、A3で表される原子が、C、N、O、S及びSiから選ばれる原子であることが好ましく、さらにC原子であることが好ましい。
これらの例としては下記の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《例示化合物(1)の合成》
例示化合物(1)は、下記合成スキームで、以下の文献を参考に合成した。
例示化合物(1)は、下記合成スキームで、以下の文献を参考に合成した。
Tetrahedron Letters,Volume 44,Issue 48,24 November 2003,8665−8668
その他の化合物も例示化合物(1)と同様にして合成できる。
その他の化合物も例示化合物(1)と同様にして合成できる。
《有機溶媒》
本発明に係る有機半導体層は、有機半導体材料の有機溶媒溶液から塗布法(ウェットプロセス)で形成することが好ましい。有機溶媒は、本発明の有機半導体材料を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。
本発明に係る有機半導体層は、有機半導体材料の有機溶媒溶液から塗布法(ウェットプロセス)で形成することが好ましい。有機溶媒は、本発明の有機半導体材料を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。
本発明においては有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
芳香族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、m−ジヨードベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、ジクロロトルエン、ジブロモトルエン、ジフルオロトルエン、クロロキシレン、ブロモキシレン、ヨードキシレン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼン、ヨードエチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、クロロシクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
脂肪族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、デカン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン、3,3,5−トリメチルヘプタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、4−エチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2−メチルオクタン、ドデカン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、p−メンタン、デカリン、シクロヘキシルベンゼン等の環状脂肪族炭化水素等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる脂肪族炭化水素としては、環状脂肪族炭化水素が好ましい。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。
《有機薄膜トランジスタ》
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよく、またその形態を問わない。
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよく、またその形態を問わない。
本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、真空蒸着により形成する蒸着プロセス、あるいはキャストコート、ディップコート、スピンコート等の塗布法やインクジェット印刷、スクリーン印刷等の印刷法等に代表される溶液プロセス等が挙げられるが、本発明ではウエットプロセスにより基板上に有機半導体膜を形成することが好ましい。中でも、ドロップキャストコートにより、室温あるいは室温以上に加熱した基板上に有機半導体溶液を塗布する方法が、有機半導体の配向性向上あるいは結晶性膜成長を促進する上でより好ましい。
また、本発明をより効果的なものとするため、有機半導体層上あるいは必要な構成要素により構成された有機薄膜トランジスタ自体に公知の無機材料あるいは有機ポリマー材料等を用いて、有機半導体膜を保護する保護膜(封止膜)を形成することが好ましい。保護膜を形成する方法としては、特表2003−525521号、同2004−506985号、特開2002−314093号、同2003−258164号の各公報に記載されているような公知の技術を適用することができる。また、後述するゲート絶縁層として用いる絶縁膜を保護膜として適用することもできるし、後述する支持体を支持体上に作製した有機薄膜トランジスタ上にさらに貼り付けたり、ポリマーシートによってラミネートしたりすることで、保護膜を形成してもよい。
本発明で用いられる基板(例えば、シリコン基板上に形成された熱酸化膜等の絶縁膜)は、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、シランカップリング剤による処理のように、基板上に自己配列型の薄膜を形成するようなものがより好ましい。前記シランカップリング剤としては、オクタデシルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、i−ブチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、4−フェニルブチルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリクロロシラン等の公知の材料が好ましい例として挙げられるが、本発明はこれらに限らない。
本発明において、有機半導体層を形成する基板表面に、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していることが好ましい。このような「物理的はめ込み効果」を助長するような官能基が基板表面に存在すると、基板表面のみで選択的に結晶化が起こり、高い配向性を有する結晶性の薄膜を形成することができ、よりトランジスタ性能を向上させることができる。基板表面に、Ar1またはAr2と同一構造を有する芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していると、「物理的はめ込み効果」及びπ共役分子同士によるスタック効果が期待でき、さらに好ましい。
基板表面に、このような芳香族炭化水素環または芳香族複素環、好ましくは有機半導体材料の置換基Ar1、Ar2と同一構造を有する芳香族炭化水素環または芳香族複素環を結合させるには、このような末端基を有する、例えばフェニルトリクロロシラン等のシランカップリング剤(表面処理剤)で基板表面を処理する。
シランカップリング剤を用いた表面処理方法については、特開2004−327857号、同2005−32774号、同2005−158765号の各公報に開示されているような、公知の方法を適用することができる。例えば、CVD法等の気相法、スピンコート法やディップコート法等の液相法、さらにスクリーン印刷法、マイクロモールド法、マイクロコンタクト法、インクジェット法等の印刷法等を適用することができる。
また、シランカップリング剤による処理を行う前に、基板表面に対して酸素プラズマ処理、UVオゾン処理等の親水化処理(表面に水酸基−OHを形成する処理)を行うことが、緻密で強固な自己組織化単分子膜を形成する上で好ましいことが一般的に知られており、前述した特許文献等にも記載されている。さらに、一般的によく知られたラビング等の配向処理を施しても構わない。
本発明において形成される有機半導体層の膜厚としては特に制限はないが、得られた有機薄膜トランジスタ(TFT)の特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は有機半導体材料により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
また有機半導体層には、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えば、アミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、所謂ドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)、または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして有機半導体層(薄膜)に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、本発明の有機半導体材料とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては、アクセプター、ドナーのいずれも使用可能であり、アクセプター、ドナーとしては公知の材料を用い、その導入には公知のプロセスを用いることができる。
本発明の好ましい態様の一つである前記ボトムゲート型の有機薄膜トランジスタを例にとれば、有機薄膜トランジスタは支持体上にゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層、ソース電極、ドレイン電極がそれぞれ最適に配置されることで構成されるものである。
従って、例えば、支持体上にゲート電極を形成した後、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上に前記の方法にて、活性層(有機半導体層)を形成した後、それぞれソース、ドレイン電極を形成することにより本発明の有機薄膜トランジスタは形成される。
また、例えば、ゲート絶縁膜形成後、ゲート絶縁膜上にソース、ドレイン電極パターンを形成し、該ソース、ドレイン電極間に有機半導体チャネルをパターニングにより形成してもよい。
このように支持体上にゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層(有機半導体層)、ソース電極、ドレイン電極をそれぞれ必要な場合には適宜パターニングし、最適に配置することで、本発明の有機薄膜トランジスタは得られる。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタの活性層(有機半導体層)以外の有機薄膜トランジスタを構成するその他の構成要素について説明する。
本発明において、前記ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、スズ、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ、アンチモン、酸化インジウム−錫(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト、及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物が用いられるが、特に白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO及び炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも、有機半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いて電極形成する方法がある。また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明においては、前記ソース、ドレイン電極は、前記導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液等の流動性電極材料から形成されることが好ましく、例えば、金属等からなる導電性微粒子を好ましくは有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や有機溶剤またはその混合物である分散媒中に分散させ、ペーストあるいはインク等の導電性微粒子分散液とし、これを塗設、パターニングすることで電極を形成することが好ましい。
導電性微粒子の金属材料(金属微粒子)としては、白金、金、銀、コバルト、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができるが、特に仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
このような金属微粒子分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853号の各公報に示されたコロイド法、特開2001−254185号、同2001−53028号、同2001−35255号、同2000−124157号、同2000−123634号の各公報に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子分散物である。
分散される金属微粒子の平均粒径としては、20nm以下であることが本発明の効果の点で好ましい。
また、金属微粒子分散物に導電性ポリマーを含有させることが好ましく、これをパターニングして押圧、加熱等によりソース電極、ドレイン電極を形成すれば、導電性ポリマーにより有機半導体層とのオーミック接触を可能とできる。即ち、金属微粒子の表面に導電性ポリマーを介在させて、有機半導体への接触抵抗を低減させ、且つ金属微粒子を加熱融着させることで、さらに本発明の効果を高めることができる。
導電性ポリマーとしては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることが好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が好適に用いられる。
金属微粒子の含有量は、導電性ポリマーに対する質量比で0.00001〜0.1が好ましい。この量を超えると金属微粒子の融着が阻害されることがある。
これらの金属微粒子分散物で電極を形成した後、加熱により前記の金属微粒子を熱融着させてソース電極、ドレイン電極を形成する。また電極形成時に、概ね1〜50000Pa、さらに1000〜10000Pa程度の押圧をかけ、融着を促進することも好ましい。
上記金属微粒子分散物を用いて電極様にパターニングする方法としては、例えば、金属微粒子分散物をインクとして用いて印刷法によりパターニング方法がある。また、インクジェット法によりパターニングする方法があり、これは金属微粒子分散物をインクジェットヘッドより吐出し、金属微粒子の分散物をパターニングする方法であり、インクジェットヘッドからの吐出方式としては、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式等のオンデマンド型や静電吸引方式等の連続噴射型のインクジェット法等公知の方法によりパターニングすることができる。
加熱また加圧する方法としては、加熱ラミネータ等に用いられる方法をはじめ、公知の方法を用いることができる。
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化錫、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。これらの内好ましいのは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化珪素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法(大気圧プラズマCVD法)、ディップコート法、キャスト法、リールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布乾燥する所謂ゾルゲル法が用いられる。
これらの内、好ましいのは大気圧プラズマ法である。
大気圧プラズマ法による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号、同11−133205号、特開2000−121804号、同2000−147209号、同2000−185362号の各公報に記載されている。これによって、高機能性の薄膜を生産性高く形成することができる。
また、有機化合物皮膜の形成法としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
また、支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可とう性を高めることができると共に衝撃に対する耐性を向上できる。
特にプラスチックフィルムを支持体として用いる場合は、例えば、特開2004−134694号公報に開示されているようなガスバリア層を始めとして、酸素、液体(水)、光等から有機薄膜トランジスタ素子を保護するための少なくとも一層、あるいは多層構成のバリア層をさらに有することが好ましい。
図1に本発明の有機薄膜トランジスタ(TFT)の構成例を示す。
図1(a)は、支持体6上にマスクを用いて金等を蒸着によりパターン形成することにより、あるいは、金属微粒子を含む層のパターンを形成した後、金属微粒子を含む層を加熱加圧して融着させる等して、ソース電極2、ドレイン電極3を形成し、ソース、ドレイン電極間に有機半導体材料層1を形成し、その上にゲート絶縁層5を形成し、さらにその上にゲート電極4を形成して有機TFTを形成したものである。
図1(b)、(c)に、トップゲート型の有機薄膜トランジスタの他の構成例を示す。
また、図1(d)〜(f)はボトムゲート型の有機TFTの構成例を示す。図1(d)は支持体6上にゲート電極4を形成した後、ゲート絶縁層5を形成し、その上にソース電極2、ドレイン電極3を形成して、該ソース、ドレイン電極間のゲート絶縁層上に有機半導体材料層1を形成してボトムゲート型の有機TFTを形成したものである。同様に他の構成例を図1(e)、(f)に示す。中でも図1(f)は支持体6上にゲート電極4を形成した後、ゲート絶縁層5を形成し、その上に有機半導体材料層1を形成した後、さらにソース電極2、ドレイン電極3を形成して有機TFTを形成したものである。
図2は、前記有機薄膜トランジスタを用いて、液晶、電気泳動素子等の出力素子用に構成されたTFTシートの概略等価回路図の1例である。
TFTシート10は、マトリクス配置された多数の有機TFT11を有する。7は各有機TFT11のゲートバスラインであり、8は各有機TFT11のソースバスラインである。各有機TFT11のソース電極には、例えば、液晶、電気泳動素子等の出力素子12が接続され、表示装置における画素を構成する。画素電極は光センサの入力電極として用いてもよい。図示の例では、出力素子として液晶が抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例
実施例1
《有機TFT素子1の作製》
図1(f)に記載の層構成を有する有機TFT素子1を作製した。
実施例1
《有機TFT素子1の作製》
図1(f)に記載の層構成を有する有機TFT素子1を作製した。
まず、ゲート電極4としての比抵抗0.02Ω/cmのSiウエハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層5とした。以下、これを基板と呼ぶ。
基板上に、比較化合物(C−1)のクロロホルム溶液をアプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ25nm)を形成した。さらにこの膜の表面にマスクを用いて金を蒸着して、ソース及びドレイン電極を形成し、ソース及びドレイン電極は幅100μm、厚さ100nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機TFT素子1を作製した。
《有機TFT素子2〜6の作製》
有機TFT素子1の作製において、比較化合物(C−1)を比較化合物(C−2)、(C−3)及び本発明に係る例示化合物(1)〜(3)に代えて同様にして有機TFT素子2〜6を作製した。
有機TFT素子1の作製において、比較化合物(C−1)を比較化合物(C−2)、(C−3)及び本発明に係る例示化合物(1)〜(3)に代えて同様にして有機TFT素子2〜6を作製した。
《有機TFT素子の評価》
(トランジスタ特性)
以上のように作製したTFT素子3〜6は、pチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。TFT素子1においては、有機薄膜は形成できたものの、トランジスタ駆動を確認することはできなかった。また、TFT素子2においては、本実施例の溶液プロセスでは、有機溶媒に対する溶解性が極端に低いために、連続した有機薄膜を得ることはできなかったため、TFT素子を作製することはできなかった。TFT素子3〜6について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらにON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求め、結果を表1に示した。
(トランジスタ特性)
以上のように作製したTFT素子3〜6は、pチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。TFT素子1においては、有機薄膜は形成できたものの、トランジスタ駆動を確認することはできなかった。また、TFT素子2においては、本実施例の溶液プロセスでは、有機溶媒に対する溶解性が極端に低いために、連続した有機薄膜を得ることはできなかったため、TFT素子を作製することはできなかった。TFT素子3〜6について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらにON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求め、結果を表1に示した。
表1より、本発明の有機半導体材料を有機半導体層に用いた有機薄膜トランジスタは、トランジスタ駆動が得られた比較化合物(C−3)と比べても、はるかに移動度が高く、トランジスタ特性に優れることが分かった。また、一般的な有機溶媒を用いた簡易的な溶液プロセスにおいて、容易に高性能の有機薄膜トランジスタを得ることができることも分かった。
実施例2
《有機薄膜トランジスタ素子7〜10の作製》
まず、実施例1で作製した熱酸化膜を有する基板に、フェニルトリクロロシランによる表面処理(60℃に加熱したフェニルトリクロロシランの1%トルエン溶液中に基板を10分間浸漬後、トルエンで洗浄し、乾燥)を施した。
《有機薄膜トランジスタ素子7〜10の作製》
まず、実施例1で作製した熱酸化膜を有する基板に、フェニルトリクロロシランによる表面処理(60℃に加熱したフェニルトリクロロシランの1%トルエン溶液中に基板を10分間浸漬後、トルエンで洗浄し、乾燥)を施した。
この表面処理を施した基板を用いて、有機半導体層に本発明に係る例示化合物(1)〜(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、TFT素子7〜9を作製した。
また、表面処理剤をフェニルトリクロロシランの代わりにアセニルトリクロロシランを用いた以外は、TFT素子9と同様にして、TFT素子10を作製した。
《TFT素子の評価》
(トランジスタ特性)
以上のように作製したTFT素子7〜10は、pチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。TFT素子7〜10について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらにON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求めた。実施例1で評価したTFT素子4〜6と合わせて、結果を表2に示した。
(トランジスタ特性)
以上のように作製したTFT素子7〜10は、pチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。TFT素子7〜10について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらにON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求めた。実施例1で評価したTFT素子4〜6と合わせて、結果を表2に示した。
表2より、本発明の有機半導体材料を有機半導体層に用い、さらに有機半導体層形成表面上にフェニル基を有するTFT素子7〜9は、表面にフェニル基がないTFT素子4〜6に比べ、より高移動度を得られることが分かった。また、有機半導体層形成表面上にフェニル基を有するTFT素子9と、有機半導体層形成表面上にアセニル基を有するTFT素子10を比較すると、有機半導体材料の置換基と同じ構造を有する置換基を基板表面に有することで、さらに移動度を向上させる効果があることが分かった。
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 ゲートバスライン
8 ソースバスライン
10 TFTシート
11 有機TFT
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 ゲートバスライン
8 ソースバスライン
10 TFTシート
11 有機TFT
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
Claims (14)
- 前記一般式(1)において、Bは直線的に配列した3環以上の縮合多環化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、Bは縮合多環芳香族化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、n=3のとき、Ar1、Ar2は3環が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、n=4のとき、Ar1、Ar2は2環以上が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、n=5のとき、Ar1、Ar2は2環以上が縮合した芳香族縮合環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、Ar1、Ar2が同一構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、A1、A2、A3で表される原子が、C、N、O、S及びSiから選ばれる原子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
- 前記一般式(1)において、A1、A2、A3で表される原子が、C原子であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体材料。
- 支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記有機半導体層に請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体層が形成される基板表面に、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体層が形成される基板表面に、Ar1またはAr2と同一構造を有する芳香族炭化水素環または芳香族複素環が結合していることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体層が、前記有機半導体材料の有機溶媒溶液を用いた塗布法により形成されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項10〜13のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により得られることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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JP2007127723A JP2008283104A (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | 有機半導体材料、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2009176999A (ja) * | 2008-01-25 | 2009-08-06 | Keio Gijuku | 縮環構造を持つ芳香族化合物を用いてなる有機トランジスタ |
JP2011187893A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-22 | Univ Of Tokyo | 電荷輸送材料、それを用いた薄膜及び有機電子デバイス、並びにパイ電子系化合物 |
WO2011129386A1 (ja) | 2010-04-16 | 2011-10-20 | ダイセル化学工業株式会社 | 架橋性組成物 |
-
2007
- 2007-05-14 JP JP2007127723A patent/JP2008283104A/ja active Pending
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