JP2007027168A - 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単なプロセスで製造され、トランジスタとしての特性が良好であり、さらに経時劣化が抑えられた有機半導体材料、それを用いた有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタを提供することである。
【解決手段】 シクロファン化合物を含有することを特徴とする有機半導体材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタに関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、さらに情報化の進展に伴い、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には通常、スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
しかしながら、このようなTFT素子の製造では、真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスを何度も繰り返して各層を形成せざるを得ず、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっていた。例えば、TFT素子では、通常それぞれの層の形成のために真空蒸着、ドープ、フォトリソグラフ、現像等の工程を何度も繰り返す必要があり、何十もの工程を経て素子を基板上に形成している。スイッチング動作の要となる半導体部分に関しても、p型、n型等、複数種類の半導体層を積層している。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされる等、設備の変更が容易ではない。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料のほか、例えば非特許文献1等において論じられているような有機レーザー発振素子や、例えば非特許文献2等、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタ素子(有機TFT素子)への応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、比較的低い温度での真空ないし低圧蒸着による製造プロセスの簡易化や、さらにはその分子構造を適切に改良することによって、溶液化できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も考えられる。これらの低温プロセスによる製造は、従来のSi系半導体材料については不可能と考えられてきたが、有機半導体を用いたデバイスにはその可能性があり、従って前述の基板耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基板上にも例えばTFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基板上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
しかしながら、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、ペンタセンやテトラセンといったアセン類(例えば、特許文献1参照)、鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物(例えば、特許文献2参照)や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー(例えば、特許文献3参照)、ナフタレン、アントラセンに5員の芳香族複素環が対称に縮合した化合物(例えば、特許文献4参照)、モノ、オリゴ及びポリジチエノピリジン(例えば、特許文献5参照)、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等限られた種類の化合物(例えば、非特許文献1〜3参照)でしかなく、溶剤への十分な溶解性を保持しながら、十分なキャリア移動度・ON/OFF比を示す材料は見出されていない。
また特許文献6では、真空蒸着によって高いキャリア移動度を有する化合物であるペンタセンに官能基を付与した化合物等も開示され、溶液塗布によって比較的良好なキャリア移動度が得られているものもあるが、キャリア移動度とともに重要な特性であるON/OFF比についてはその値の開示がない。また用いている溶媒も、環境負荷の大きく人体への安全性が懸念されるハロゲン系溶媒であったり(34頁実施例16)、メシチレンのような揮発性の低い溶媒を用いているために生産性に課題があったり(31頁実施例12)、トルエンのような比較的揮発性の高い溶媒に溶けるものではキャリア移動度が不十分である(31頁実施例11)等というように、溶解性とキャリア移動度の両立にもいまだ課題を有する化合物である。
さらに、ペンタセン等の化合物は溶液状態では非常に酸化されやすい化合物であり、その溶液の保存性が非常に低いため、塗布によって高性能の半導体膜を得ることが非常に困難であることが知られている。
また、溶解性が良好で、高い移動度が得られる化合物としては、非特許文献4に開示されているルブレンが挙げられるが、これはルブレンの単結晶の測定結果であって、塗布によって得た膜の値ではない。ルブレンは有機溶媒への溶解性は良好であるものの、塗布膜はアモルファスであり、キャリア移動度も非常に低いものしか得られていない。またルブレンもペンタセン化合物と同様に、溶液状態で酸化されやすい化合物であり、同様に塗布によって高性能の半導体膜を得ることは非常に困難である。
また、非特許文献5において、比較的高濃度(1〜2質量%)に溶解し、高いキャリア移動度を有する化合物が開示されているが、本発明の研究者らが検討したところ、その溶液状態での安定性についてはいまだ課題を有していることが判明した。
従って、工程適性を有する溶媒に高濃度に溶解し、かつ十分なキャリア移動度、ON/OFF比を有し、さらには溶液状態での安定性を有するような、新規な電荷輸送性材料を用いた半導体性組成物の開発が待望されている。
有機半導体素子の経時安定性については、例えば、特開2003−292588号公報、米国特許出願公開第2003/136958号明細書、同2003/160230号明細書、同2003/164495号明細書において、「マイクロエレクトロニクス用の集積回路論理素子にポリマーTFTを用いると、その機械的耐久性が大きく向上し、その使用可能寿命が長くなる。しかし半導体ポリチオフェン類の多くは、周囲の酸素によって酸化的にドープされ、導電率が増大してしまうため空気に触れると安定ではないと考えられる。この結果、これらの材料から製造したデバイスのオフ電流は大きくなり、そのため電流ON/OFF比は小さくなる。従ってこれらの材料の多くは、材料加工とデバイス製造の間に環境酸素を排除して酸化的ドーピングを起こさない、あるいは最小とするよう厳重に注意しなければならない。この予防措置は製造コストを押し上げるため、特に大面積デバイスのための、アモルファスシリコン技術に代わる経済的な技術としてのある種のポリマーTFTの魅力が削がれてしまう。これら及びその他の欠点は、本発明の実施の形態において回避され、あるいは最小となる。従って、酸素に対して強い対抗性を有し、比較的高い電流ON/OFF比を示すエレクトロニックデバイスが望まれている」との記載があり、その解決手段が種々提案されている(例えば、特許文献7〜9参照)が、改善のレベルは満足できるものではなく、さらなる改良が望まれている。
特開平5−55568号公報 特開平5−190877号公報 特開平8−264805号公報 特開平11−195790号公報 特開2003−155289号公報 国際公開第03/016599号パンフレット 特開2003−261655号公報 特開2003−264327号公報 特開2003−268083号公報 『サイエンス』(Science)誌289巻、599ページ(2000) 『ネイチャー』(Nature)誌403巻、521ページ(2000) 『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Material)誌、2002年、第2号、99ページ Science,vol.303(2004),1644ページ J.Am.Chem.Soc.,vol.127(2005),4986ページ
本発明の目的は、簡単なプロセスで製造され、トランジスタとしての特性が良好であり、さらに経時劣化が抑えられた有機半導体材料、それを用いた有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
シクロファン化合物を含有することを特徴とする有機半導体材料。
(請求項2)
前記シクロファン化合物が、少なくとも3環以上が縮合した縮合芳香族環構造を分子内に有することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
(請求項3)
前記シクロファン化合物が、前記3環以上が縮合した縮合芳香族環構造以外に第2の芳香族環を有し、それらの芳香族環同士が、3つの原子からなる連結基によって2箇所連結されている、[3,3]−シクロファン化合物であることを特徴とする請求項2に記載の有機半導体材料。
(請求項4)
前記シクロファン化合物が、下記一般式(1)で表される、[3,3]−シクロファン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
Figure 2007027168
(式中、R1〜R18は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、それぞれ連結して環を形成してもよい。X、Yはそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子または硫黄原子を表し、これらの原子は置換基を有していてもよい。a〜dは0〜3の整数を表すが、1≦a+b≦4、0≦c+d≦4の範囲である。)
(請求項5)
前記シクロファン化合物が、前記一般式(1)において、Xが炭素原子、Yが硫黄原子で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機半導体材料。
(請求項6)
前記シクロファン化合物が、前記一般式(1)において、a=2、b=1で表される化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の有機半導体材料。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含有することを特徴とする有機半導体膜。
(請求項8)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を、有機溶媒に溶解し、得られた溶液を塗布・乾燥することによって形成されることを特徴とする有機半導体膜。
(請求項9)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を用いることを特徴とする有機半導体デバイス。
(請求項10)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を半導体層に用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
本発明によれば、簡単なプロセスで製造され、トランジスタとしての特性が良好であり、さらに経時劣化が抑えられた有機半導体材料、それを用いた有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタを提供することができる。
本発明の有機半導体材料においては、請求項1〜6のいずれか1項に規定される構成を用いることにより、薄膜トランジスタ用途に有用な有機半導体材料を得ることができる。また、該有機半導体材料を用いて作製した本発明の有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ(以下、有機TFTともいう)は、キャリア移動度が高く、良好なON/OFF特性を示す等、優れたトランジスタ特性を示しながら、かつ、高耐久性であることが分かった。
有機半導体材料としてはペンタセンに代表されるような、アセン系の化合物がよく知られているが、ペンタセンは不溶性のため従来は蒸着によってしか膜を形成できず、塗布膜を作製することは難しい。また、無置換6Tに代表されるようなチオフェンオリゴマーも有機半導体材料としてよく知られているが、ペンタセン同様に不溶性であり蒸着によってしか膜を形成できない問題点があった。また、末端チオフェンの4位の活性が高いため、材料及び塗膜の経時安定性に問題があった。
ポリチオフェンにヘキシル基を付与したポリヘキシルチオフェン(PHT)、あるいはJ.Am.Chem.Soc.,vol.126(2004)3378ページに開示されているようなアルキルチオフェンポリマー等も提案されているが、分子量分布を持つポリマーではπスタックの形成が不十分であり、分子配列が乱れている部分が多く、満足できるTFT性能は得られていない。
また、前期特許文献6で開示されているような、置換基を有するペンタセンでは、無置換のペンタセンに比べて溶解性がある程度向上するものの、塗布膜のキャリア移動度は不十分な値にとどまっており、溶解性とキャリア移動度の両立にはいまだ課題を有している。また、そのON/OFF比については開示がない。また、本発明の研究者等の検討の結果、溶液状態での溶存酸素に対する安定性はほとんど改良されていないことが判明した。前期非特許文献4で開示されているような化合物では、溶解性とキャリア移動度が良好であるものの、同様に溶液状態での溶存酸素に対する安定性に課題を有している。
本発明者等は、上記の問題点を種々検討した結果、3環以上が縮合した縮合芳香族環(炭化水素系または複素環系で、3環以上が縮合した化合物)を含有するシクロファン化合物とすると、半導体分子への酸素の付加が効率的に抑止され、さらには溶媒への溶解性、TFT特性ともに良好であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について説明する。
〔有機半導体材料〕
本発明の有機半導体材料は、3環以上が縮合した縮合芳香族環を分子内に有するシクロファン化合物を有機半導体膜として含有することが特徴である。3環以上が縮合した縮合芳香族環の存在によって、薄膜の半導体特性を良好なものとすることができる。また、シクロファンのような芳香族環同士が近接して対向した構造とすることによって、さらに移動度やON/OFF比等といった半導体特性を良好なものとすることができる。さらに驚くべきことに、縮合芳香族環系化合物の欠点であった、溶液中での溶存酸素に対する安定性が大きく向上することができる。
前記3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、オクトコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、ベンゾフルオレン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、オバレン環等が挙げられる。
また、3環以上が縮合した芳香族複素縮合環としては、好ましくはN、O及びSから選択されたヘテロ原子を縮合環を構成する元素として含有する芳香族複素縮合環であることが好ましく、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環等が挙げられる。
これらの縮合芳香族環は、ペリ縮環(縮合芳香族環を構成する元素のうち、3環の芳香族環の頂点として共有される原子がある縮合環)よりもカタ縮環(3環の芳香族環の頂点として共有される原子がなく、芳香族環が線状に伸びた縮合環)であることが好ましく、さらにカタ縮環のうちフェン系列(芳香族環が屈曲して縮合した縮合環)の縮合環よりもアセン系列(芳香族環が一直線状に縮合した縮合環)である方が好ましい。
より好ましくは、置換または無置換のアントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環を挙げることができる。また、シクロファン化合物は、2つの芳香族環を連結している原子の数が2つなら[2、2]−シクロファン化合物、3つなら[3、3]−シクロファン化合物、4つなら[4、4]−シクロファン化合物と称されるが、[2、2]−シクロファン化合物は合成が難しく、また芳香族環が平面から歪んでしまうことがあり、半導体としての性質が低下することがある。また[4、4]シクロファン以上では、2つの芳香族環の距離が大きくなりすぎ、半導体特性や酸素への耐久性が劣ることがあるため、より好ましくは[3、3]−シクロファン化合物である。
このような[3、3]−シクロファン化合物の中でも、縮合芳香族環が炭化水素系アセン構造であり、かつ、2つの芳香族環を連結する連結基が全てパラ位で連結したような、前記一般式(1)で表されるような化合物であることが好ましい。
一般式(1)において、R1〜R18は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、それぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。a〜dは0〜3の整数を表すが、1≦a+b≦4、0≦c+d≦4の範囲である。X、Yはそれぞれ置換基を有してもよい炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子、硫黄原子のいずれかの原子を表す。
このように、縮合芳香族環を炭化水素系アセン構造とすることによって良好な半導体性能を得ることができ、また、連結基がパラ位で結合することによって酸素に対する安定性をさらに高めることができる。
1〜R18で表される置換基や、連結基を置換する置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジニル基、2,2,6,6−テトタメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(ジフェニルホスフェニル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物の分子量は300〜5000の範囲であることが好ましい。分子量を300以上とすることで、化合物の揮発性を十分低くすることができ、生産時の揮発・工程汚染を防止することができる。また5000以下とすることで、溶媒への溶解性を良好な範囲に保つことができる。また、分子間のスタック性を良好なものとすることができ、TFT性能を良好なものとすることができる。分子量は、より好ましくは500〜2000の範囲である。なお本発明の有機半導体材料の分子量は、質量分析装置等によって測定することができる。
さらに好ましくは、前記一般式(1)において、Xが炭素、Yが硫黄である(3)−チオシクロファン化合物である。詳細は不明であるが、化合物中に硫黄原子が入ることで、有機半導体としての特性がより向上する傾向が見られるためである。
さらに、縮合芳香族環がペンタセン環(a=2、b=1)とすると、最も半導体性能の良好な有機半導体薄膜を得ることができる。
以下、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007027168
Figure 2007027168
Figure 2007027168
Figure 2007027168
Figure 2007027168
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また、特開2004−47329号公報7〜12頁に記載の化合物や特開2004−152527号公報9〜16頁に記載されているような化合物でもよい。
なお、上記の化合物は、例えば、シクロファン化合物はBull.Chem.Soc.Jpn.,vol.52(1979)p3759、J.Am.Chem.Soc.,vol.105(1983),p4758等を参考にして合成することができる。
また、アザシクロファン化合物(連結基に窒素原子を含むシクロファン化合物)は、Chem.Lett.,vol.3(1990),p419,J.Org.Chem.,vol.53(1988),p3521等を参考にして合成することができる。
また、チオシクロファン化合物(連結基に硫黄原子を含むシクロファン化合物)は、J.Chem.Soc.,(1964)p2121、J.Org.Chem.,vol.62(1997),p4500等を参考にして合成することができる。
〔有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ〕
本発明の有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタについて説明する。
本発明の有機半導体材料は、有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタの半導体層に用いることにより、良好に駆動する有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタを提供することができる。有機薄膜トランジスタは、支持体上に、半導体層として有機半導体で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
本発明の有機半導体材料を有機半導体膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタの半導体層に設置するには、真空蒸着により基板上に設置することもできるが、適切な溶媒に溶解し必要に応じ添加剤を加えて調製した溶液をキャストコート、スピンコート、印刷、インクジェット法、アブレーション法等によって基板上に設置するのが好ましい。
この場合、本発明の有機半導体材料を溶解する溶媒は、有機半導体材料を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。これらの溶媒のうち、非ハロゲン系溶媒を含む溶媒が好ましく、非ハロゲン系溶媒で構成することが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、本発明の有機半導体材料を前述のように半導体層に用いることが好ましい。前記半導体層は、これらの有機半導体材料を含有する溶液または分散液を塗布することにより形成することが好ましい。有機半導体材料を溶解する溶媒は、前記非ハロゲン系溶媒を含む溶媒が好ましく、非ハロゲン系溶媒で構成することが好ましい。
本発明において、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO及び炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶媒あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また有機化合物皮膜として、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
また、支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
以下に、本発明の有機半導体材料を用いて形成された有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタについて説明する。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの構成例を示す図である。同図(a)は、支持体6上に金属箔等によりソース電極2、ドレイン電極3を形成し、両電極間に本発明の有機半導体材料からなる有機半導体層1を形成し、その上に絶縁層5を形成し、さらにその上にゲート電極4を形成して有機薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、有機半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極及び支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体6上に先ずコート法等を用いて、有機半導体層1を形成し、その後ソース電極2、ドレイン電極3、絶縁層5、ゲート電極4を形成したものを表す。
同図(d)は、支持体6上にゲート電極4を金属箔等で形成した後、絶縁層5を形成し、その上に金属箔等で、ソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該電極間に本発明の有機半導体材料により形成された有機半導体層1を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図2は、有機薄膜トランジスタシートの概略等価回路図の1例を示す図である。
有機薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ11を有する。7は各有機薄膜トランジスタ11のゲートバスラインであり、8は各有機薄膜トランジスタ11のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ11のソース電極には、出力素子12が接続され、この出力12は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。画素電極は光センサの入力電極として用いてもよい。図示の例では、出力素子として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
有機薄膜トランジスタの性能としては、その用途に応じて必要とされる性能は変化するが、例えば電子ペーパーのような用途においては、キャリア移動度は0.05(5.0×10-2)〜1.0cm2/Vsecの範囲であることが好ましく、ON/OFF比としては1.0×105〜1.0×107の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることで十分な速度でディスプレイを駆動することができ、またディスプレイに良好な階調を付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
(有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製)
ゲート電極としての比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、オクタデシルトリクロロシランによる表面処理を行った。
1時間窒素をバブリングしたトルエンに、比較化合物1(ペンタセン、アルドリッチ社製)を0.5%で溶解させ、この溶液を、上記表面処理を行ったSiウェハー上にスピンコート塗布(回転数2500rpm、15秒)し、自然乾燥することによりキャスト膜を形成して、さらに窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソース電極及びドレイン電極を形成した。ソース電極及びドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ1aを作製した。
同様に、溶液を調製した後、大気中(23℃55%RH)に1時間保存した溶液を用いて同様の有機薄膜トランジスタ1bを作製した。
(有機薄膜トランジスタ2a、2bの作製)
有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製において、比較化合物1を比較化合物2に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ2a、2bを作製した。なお、比較化合物2(2,3,9,10−テトラヘキシルペンタセン)は、Organic Letters、vol.2(2000),p85に記載の方法で合成した。
(有機薄膜トランジスタ3a、3bの作製)
有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製において、比較化合物1を比較化合物3(ルブレン、アルドリッチ社製市販試薬を昇華精製して用いた)に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ3a、3bを作製した。
(有機薄膜トランジスタ4a、4bの作製)
有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製において、比較化合物1を比較化合物4に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ4a、4bを作製した。なお、比較化合物4(5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)は、非特許文献5に記載の方法で合成した。
(有機薄膜トランジスタ5a、5bの作製)
有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製において、比較化合物1を比較化合物5(ポリヘキシルチオフェン、アルドリッチ社製市販試薬)に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ5a、5bを作製した。
(有機薄膜トランジスタ6a、6b〜11a、11bの作製)
有機薄膜トランジスタ1a、1bの作製において、比較化合物1の代わりに、表1に記載の本発明の有機半導体材料に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ6a、6b〜11a、11bを作製した。
Figure 2007027168
得られた有機薄膜トランジスタについて下記の評価を行った。
(キャリア移動度及びON/OFF値の評価)
有機薄膜トランジスタのキャリア移動度とON/OFF値を、作製直後に測定した。なお、本発明ではI−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率からON/OFF比を求めた。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2007027168
表1から分かるように、比較化合物1は溶解性が低く、塗布によって膜を作ることができず、有機半導体としての駆動は確認できなかった。また、比較化合物3、5は、溶剤への溶解性は良好であるものの、塗布膜では半導体としての特性は不十分なものであった。
他方、比較例の化合物2は、比較化合物1に比べて溶解性が向上し、有機半導体としての駆動を確認することができたが、比較化合物2の溶液を大気中で1時間放置した溶液から作製した薄膜では有機半導体としての駆動は確認できず、耐久性の低い半導体材料であることが分かる。比較化合物4では、それらの溶液を1時間放置した溶液から作製しても半導体としての駆動を確認できたが、溶液を調製後、即時に作製した有機薄膜トランジスタと比べると劣化が認められる。
他方、本発明の有機半導体材料を用いて作製した有機薄膜トランジスタは、溶液を調製後、即時に作製した有機薄膜トランジスタ5a〜11aはキャリア移動度・ON/OFF比ともに優れた特性を示し、かつ、溶液を1時間放置した溶液から作製した有機薄膜トランジスタ5b〜11bでも十分な半導体性能を維持しており、溶存酸素に対して劣化しにくい、高い耐久性を有する材料であることが分かる。
中でも、チオシクロファン化合物である例示化合物8〜11を使用した有機薄膜トランジスタが、キャリア移動度・ON/OFF比ともに高く、溶解性に優れ、かつ溶液安定性性も良好であることが確認された。
実施例2
(有機EL素子の作製)
例示したシクロファン化合物を用い、Nature,395巻,151−154頁に記載の方法を参考にして、図3に示したような封止構造を有するトップエミッション型の有機EL素子を作製した。なお、図3において、101は基板、102aは陽極、102bは有機EL層(具体的には、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等が含まれる)、102cは陰極を示し、陽極102a、有機EL層102b、陰極102cにより、発光素子102が形成されている。103は封止膜を示す。なお、本発明の有機EL素子は、ボトムエミッション型でもトップエミッション型のどちらでもよい。
本発明の有機EL素子と本発明の有機薄膜トランジスタ(ここで、本発明の有機薄膜トランジスタは、スイッチングトランジスタや駆動トランジスタ等として用いられる)を組み合わせて、アクティブマトリクス型の発光素子を作製したが、その場合は、例えば、図4に示すように、ガラス基板601上にTFT602(有機薄膜トランジスタ602でもよい)が形成されている基板を用いる態様が一例として挙げられる。ここで、TFT602の作製方法は公知のTFTの作製方法が参照できる。もちろん、TFTとしては、従来公知のトップゲート型TFTであってもボトムゲート型TFTであっても構わない。
上記で作製した有機EL素子は、単色、フルカラー、白色等の種々の発光形態において、良好な発光特性を示した。
本発明の有機薄膜トランジスタの構成例を示す図である。 本発明の有機薄膜トランジスタシートの概略等価回路図の1例を示す図である。 封止構造を有する有機EL素子の一例を示す模式図である。 有機EL素子に用いる、TFTを有する基板の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 ゲートバスライン
8 ソースバスライン
10 有機薄膜トランジスタシート
11 有機薄膜トランジスタ
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
101、201 基板
102 有機EL素子
102a、202 陽極
102b 有機EL層
102c、204 陰極
103 封止膜
205 駆動用素子
206 正孔輸送層
207 発光層
208 電子輸送層
601 基板
602 TFT

Claims (10)

  1. シクロファン化合物を含有することを特徴とする有機半導体材料。
  2. 前記シクロファン化合物が、少なくとも3環以上が縮合した縮合芳香族環構造を分子内に有することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
  3. 前記シクロファン化合物が、前記3環以上が縮合した縮合芳香族環構造以外に第2の芳香族環を有し、それらの芳香族環同士が、3つの原子からなる連結基によって2箇所連結されている、[3,3]−シクロファン化合物であることを特徴とする請求項2に記載の有機半導体材料。
  4. 前記シクロファン化合物が、下記一般式(1)で表される、[3,3]−シクロファン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体材料。
    Figure 2007027168
    (式中、R1〜R18は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、それぞれ連結して環を形成してもよい。X、Yはそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子または硫黄原子を表し、これらの原子は置換基を有していてもよい。a〜dは0〜3の整数を表すが、1≦a+b≦4、0≦c+d≦4の範囲である。)
  5. 前記シクロファン化合物が、前記一般式(1)において、Xが炭素原子、Yが硫黄原子で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機半導体材料。
  6. 前記シクロファン化合物が、前記一般式(1)において、a=2、b=1で表される化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の有機半導体材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含有することを特徴とする有機半導体膜。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を、有機溶媒に溶解し、得られた溶液を塗布・乾燥することによって形成されることを特徴とする有機半導体膜。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を用いることを特徴とする有機半導体デバイス。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体材料を半導体層に用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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