JP2004158577A - 積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法及び該方法によるコンデンサ - Google Patents
積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法及び該方法によるコンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ESRが小さく、コンデンサ特性に優れた積層型アルミ固体電解コンデンサを、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に製造できる方法を提供。
【解決手段】表面に誘電体酸化皮膜を形成させた大面積アルミニウム箔の固体電解質層及び導電体層を形成させる部分に、直径0.1〜0.6mmφの貫通孔2を少なくとも1個穿ったアルミニウム箔1を用いて、導電性高分子からなる固体電解質層4及び導電体層5を順次形成させた平板状コンデンサ素子を、導電体層が重なり合うように、複数枚積層させ、ついで、該貫通孔内に形成させた導電性樹脂9により、導電体層5とリードフレームの陰極8とを導通させ、またアルミニウム箔1とリードフレームの陽極7とを、陽極リード6を介して導通させて作製した積層型大面積アルミ固体電解コンデンサである。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に誘電体酸化皮膜を形成させた大面積アルミニウム箔の固体電解質層及び導電体層を形成させる部分に、直径0.1〜0.6mmφの貫通孔2を少なくとも1個穿ったアルミニウム箔1を用いて、導電性高分子からなる固体電解質層4及び導電体層5を順次形成させた平板状コンデンサ素子を、導電体層が重なり合うように、複数枚積層させ、ついで、該貫通孔内に形成させた導電性樹脂9により、導電体層5とリードフレームの陰極8とを導通させ、またアルミニウム箔1とリードフレームの陽極7とを、陽極リード6を介して導通させて作製した積層型大面積アルミ固体電解コンデンサである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法と該方法により作製された積層型大面積アルミ固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気伝導度が高く、耐熱性に優れた導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、電気抵抗が小さく、周波数特性、電気特性に優れており、また、小型低背位であり、プリント配線基板等への表面実装が可能である。
【0003】
積層型アルミ固体電解コンデンサは、一般に、陽極引出部を設けたアルミニウム箔の表面に、化成処理により誘電体酸化皮膜を形成させた後、順次、導電性高分子からなる固体電解質層、カーボンペースト、銀ペースト等からなる導電体層を形成させて、平板状コンデンサ素子を得、ついで、該コンデンサ素子を複数枚積層し、導電体層同士を導電性材料で接合させた後、該素子のアルミニウム箔とリードフレームの陽極リードとを接合した後、該素子の導電体層を、銀ペースト等の導電性樹脂を用いて、リードフレームの陰極に接合した後、エポキシ樹脂等の外装を施し作製されている。
【0004】
上記積層型アルミ固体電解コンデンサは、導電体層同士を接合する導電性樹脂の電気的接触不良による等価直列抵抗(以下「ESR」と略記する。)の増大という解決すべき課題があった。
【0005】
上記問題を解決するため、一方の先端が断面櫛形形状でコンデンサ素子との接合部が導電性の高い金属で塗布、メッキまたは蒸着された陰極リードフレームの先端部にコンデンサ素子を接合させて、各コンデンサ素子間や陰極端子への通電状態を改善し、高周波領域でのインピーダンス、ESR特性に優れたコンデンサを得ているものがある(例えば、特許文献1。)。しかしながら、大面積のコンデンサ素子を用いる場合には、陰極リードフレームの断面櫛形部分が、作業性の面で問題となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−274003号公報(第2頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ESRが小さく、コンデンサ特性に優れた積層型アルミ固体電解コンデンサを、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に製造できる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、貫通孔を有する平板状コンデンサ素子を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、表面に誘電体酸化皮膜を形成させた大面積アルミニウム箔上に、導電性高分子からなる固体電解質層及び導電体層を順次形成させた平板状コンデンサ素子の導電体層が重なり合うように、複数枚を積層させた後、アルミニウム箔とリードフレームの陽極とを陽極リードを介して、また導電体層とリードフレームの陰極とを導通させる積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法において、アルミニウム箔の固体電解質層及び導電体層を形成させる部分に、直径0.1〜0.6mmφの貫通孔を少なくとも1個有するアルミニウム箔を用いて、平板状コンデンサ素子を作製させ、ついで、該貫通孔内に形成させた導電性樹脂により、導電体層とリードフレームの陰極とを導通させることを特徴とする積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法と、該方法により作製された積層型大面積アルミ固体電解コンデンサである。
【0010】
以下、本発明について、図1を参照して、詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの例を示す概略断面図であり、4枚の平板状コンデンサ素子を積層した時の積層コンデンサ素子を用いたものである。
【0012】
長尺状アルミニウム箔表面をエッチング処理した後、ダイシングソーを用いて、所定のコンデンサ素子サイズに裁断し、ドリル等による穿孔や金型等による打抜き等により、裁断したアルミニウム箔1の固体電解質層4及び導電体層5を形成させる所定の位置に、少なくとも1カ所以上の貫通孔2を穿った後、化成処理により、該箔1の表面に誘電体酸化皮膜3を形成する。
【0013】
本発明に用いられるアルミニウム箔1のサイズは、アルミニウム箔の縦が少なくとも4mm、横が少なくとも2mmである。
【0014】
貫通孔2の径は、通常、直径0.1mmφ〜0.6mmφであり、好ましくは、0.2mmφ〜0.6mmφである。また、貫通孔2は、パターン内の固体電解質層4及び導電体層5を形成させる中央部分に、少なくとも1個穿たれるが、その数は、作製されるコンデンサ素子のサイズにより、コンデンサ特性を損なわない範囲で、適宜選択される。また、貫通孔2の位置は、平板状コンデンサ素子を積層させることを考慮して、各アルミニウム箔1の同位置となるように形成させる。
【0015】
次に、誘電体酸化皮膜3上に、導電性高分子からなる固体電解質層4を形成させる。
【0016】
固体電解質層4となる導電性高分子は、周知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレンあるいは、ポリチオフェンまたはポリ(アルキルチオフェン)等のチオフェン誘導体ポリマーがあげられる。
【0017】
固体電解質層4となる導電性高分子の形成方法としては、酸化剤を用いた導電性高分子モノマーの化学重合法、導電性高分子モノマーと支持電解質を含む電解液の電解重合法等、周知の方法を用いることができ、特に限定されない。
【0018】
例えば、上記アルミニウム箔1の陽極引出部が液中に浸らないように、3,4−エチレンジオキシチオフェンとp−トルエンスルホン酸第二鉄とを溶解させたブタノール溶液中に、浸漬、取り出した後、加熱、乾燥させる操作を、複数回繰り返して、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の固体電解質層4を形成させる。
【0019】
ついで、固体電解質層4上に、カーボンペーストや銀ペースト等を塗布し、加熱、乾燥させて、導電体層5を形成させ、平板状コンデンサ素子を作製する。導電体層5は、コンデンサ素子の陰極部となる。
【0020】
コンデンサ素子の作製は、上記の方法以外に、長尺状アルミニウム箔上に、少なくとも1カ所以上の貫通孔2を有するコンデンサ素子用パターンを複数個形成し、順次、導電性高分子からなる固体電解質層4、カーボン層及び銀層からなる導電体層5を形成させた後、ダイシングソー等で切断してもよい。
【0021】
図1に示すように、作製した平板状コンデンサ素子4枚を、銀ペースト等の導電性樹脂9を用いて、該素子の陰極部である導電体層5同士が重なり合うように積層、接着させると共に、各素子の貫通孔2内に、導電性樹脂9を充填させる。次に、アルミニウム箔1の陽極引出部と陽極リード6とを、レーザー溶接等により、各々接合させる。ついで、金属製リードフレーム上に、積層コンデンサ素子を載置させ、レーザー溶接等により、陽極リード6とリードフレームの陽極7とを、また銀ペースト等の導電性樹脂9により、導電体層5の裏面とリードフレームの陰極8とを各々接合し、導通させる。さらに、エポキシ樹脂等により外装10を施し、本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサを完成する。
【0022】
本発明の製造方法は、積層型大面積アルミ固体電解コンデンサだけでなく、単層型や小面積アルミ固体電解コンデンサにも適用することができる。
【0023】
本発明の製造方法によれば、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に、コンデンサが量産できる。
【0024】
本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサは、素子1個当たりの電気抵抗を低減でき、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を、実施例に基づき、図面を参照して、説明する。実施例中、「%」は「質量%」を表す。なお、本発明は、実施例により、なんら限定されない。
【0026】
実施例1
表面をエッチング処理したアルミニウム箔(縦6mm×横3mm、厚さ150μm)1の陽極引出部を除いた縦5mm×横3mmの中央部分に、直径0.4mmφのエンドミルで、貫通孔2を1カ所穿った後、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬させ、電圧13Vを印加させて化成処理し、表面に誘電体酸化皮膜3を形成させた。
【0027】
次に、上記アルミニウム箔1の誘電体酸化皮膜3を形成した部分を、導電性高分子モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンの15%ブタノール溶液中に、1分間、浸漬させた後、取り出し、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄15%水溶液中に、5分間、浸漬させた後、取り出し、温度150℃で30分間加熱した。この操作を、8回繰り返して、化学重合によるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)からなる固体電解質層4を形成させた。該固体電解質層4は、縦5mm×横3mmであり、かつ貫通孔2部分にも形成されている。
【0028】
ついで、貫通孔2部分を含む固体電解質層4上にカーボンペースト及び銀ペーストを塗布して、陰極部となる導電体層5を形成させて、平板状コンデンサ素子(縦6mm×横3mm、厚さ0.3mm)を得た。
【0029】
得られた平板状コンデンサ素子4枚の陰極部である導電体層5同士が重なり合うように、導電性樹脂9の銀ペーストを用いて接合すると共に、各素子の貫通孔2内も、導電性樹脂9の銀ペーストを充填した。また、アルミニウム箔1の陽極引出部と陽極リード6とを、電気抵抗溶接機によりスポット溶接し、導通させて、該コンデンサ素子4枚を積層した積層コンデンサ素子1組を得た。
【0030】
ついで、上記積層コンデンサ素子を、鉄合金(42−アロイ、厚さ0.1mm)製リードフレームに載置し、陽極リード6とリードフレームの陽極7とを、電気抵抗溶接機によりスポット溶接し、また、導電性樹脂9の銀ペーストを用いて、導電体層5の裏面とリードフレームの陰極8とを接合して、各々導通させた。さらに、エポキシ樹脂で外装10を施し、定格電圧6.3V、定格静電容量45μFの、本発明の積層型アルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦7.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。
【0031】
完成したコンデンサについて、初期特性である、120Hzでの静電容量(以下「C」と略記する。)、120Hzでの誘電損失の正接(以下「tanδ」と略記する。)、漏れ電流(以下「LC」と略記する。)及び100kHzでのESRを測定した結果を、表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例1において、表面をエッチング処理したアルミニウム箔(縦12mm×横3mm、厚さ150μm)の陽極引出部を除いた縦11mm×横3mmの端部から均等となる中央部分の各々の位置に、貫通孔を2カ所穿った以外は、実施例1と同様にして、定格電圧12.2V、定格静電容量45μFの、本発明のアルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦13.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。完成したコンデンサの初期特性を測定した結果を、表1に示す。
【0033】
比較例
実施例1において、貫通孔を形成しないアルミニウム箔を用い、また金ワイヤーを用いて、各々のコンデンサ素子の陰極部である導電体層とリードフレームの陰極とを接合した以外は、実施例1と同様にして、定格電圧6.3V、定格静電容量45μFの積層型アルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦7.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。完成したコンデンサの初期特性を測定した結果を、表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、実施例1及び2は、比較例に比し、ESRがより小さくなっており、また、貫通孔による容量低下や漏れ電流の増大は見られない。
【0036】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に、コンデンサが製造できる。
【0037】
本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサは、素子1個当たりの電気抵抗を低減でき、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔(陽極引出部)
2 貫通孔
3 誘電体酸化皮膜
4 固体電解質層
5 導電体層
6 陽極リード
7 リードフレームの陽極
8 リードフレームの陰極
9 導電性樹脂
10 外装
【産業上の利用分野】
本発明は、積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法と該方法により作製された積層型大面積アルミ固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気伝導度が高く、耐熱性に優れた導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、電気抵抗が小さく、周波数特性、電気特性に優れており、また、小型低背位であり、プリント配線基板等への表面実装が可能である。
【0003】
積層型アルミ固体電解コンデンサは、一般に、陽極引出部を設けたアルミニウム箔の表面に、化成処理により誘電体酸化皮膜を形成させた後、順次、導電性高分子からなる固体電解質層、カーボンペースト、銀ペースト等からなる導電体層を形成させて、平板状コンデンサ素子を得、ついで、該コンデンサ素子を複数枚積層し、導電体層同士を導電性材料で接合させた後、該素子のアルミニウム箔とリードフレームの陽極リードとを接合した後、該素子の導電体層を、銀ペースト等の導電性樹脂を用いて、リードフレームの陰極に接合した後、エポキシ樹脂等の外装を施し作製されている。
【0004】
上記積層型アルミ固体電解コンデンサは、導電体層同士を接合する導電性樹脂の電気的接触不良による等価直列抵抗(以下「ESR」と略記する。)の増大という解決すべき課題があった。
【0005】
上記問題を解決するため、一方の先端が断面櫛形形状でコンデンサ素子との接合部が導電性の高い金属で塗布、メッキまたは蒸着された陰極リードフレームの先端部にコンデンサ素子を接合させて、各コンデンサ素子間や陰極端子への通電状態を改善し、高周波領域でのインピーダンス、ESR特性に優れたコンデンサを得ているものがある(例えば、特許文献1。)。しかしながら、大面積のコンデンサ素子を用いる場合には、陰極リードフレームの断面櫛形部分が、作業性の面で問題となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−274003号公報(第2頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ESRが小さく、コンデンサ特性に優れた積層型アルミ固体電解コンデンサを、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に製造できる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、貫通孔を有する平板状コンデンサ素子を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、表面に誘電体酸化皮膜を形成させた大面積アルミニウム箔上に、導電性高分子からなる固体電解質層及び導電体層を順次形成させた平板状コンデンサ素子の導電体層が重なり合うように、複数枚を積層させた後、アルミニウム箔とリードフレームの陽極とを陽極リードを介して、また導電体層とリードフレームの陰極とを導通させる積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法において、アルミニウム箔の固体電解質層及び導電体層を形成させる部分に、直径0.1〜0.6mmφの貫通孔を少なくとも1個有するアルミニウム箔を用いて、平板状コンデンサ素子を作製させ、ついで、該貫通孔内に形成させた導電性樹脂により、導電体層とリードフレームの陰極とを導通させることを特徴とする積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法と、該方法により作製された積層型大面積アルミ固体電解コンデンサである。
【0010】
以下、本発明について、図1を参照して、詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの例を示す概略断面図であり、4枚の平板状コンデンサ素子を積層した時の積層コンデンサ素子を用いたものである。
【0012】
長尺状アルミニウム箔表面をエッチング処理した後、ダイシングソーを用いて、所定のコンデンサ素子サイズに裁断し、ドリル等による穿孔や金型等による打抜き等により、裁断したアルミニウム箔1の固体電解質層4及び導電体層5を形成させる所定の位置に、少なくとも1カ所以上の貫通孔2を穿った後、化成処理により、該箔1の表面に誘電体酸化皮膜3を形成する。
【0013】
本発明に用いられるアルミニウム箔1のサイズは、アルミニウム箔の縦が少なくとも4mm、横が少なくとも2mmである。
【0014】
貫通孔2の径は、通常、直径0.1mmφ〜0.6mmφであり、好ましくは、0.2mmφ〜0.6mmφである。また、貫通孔2は、パターン内の固体電解質層4及び導電体層5を形成させる中央部分に、少なくとも1個穿たれるが、その数は、作製されるコンデンサ素子のサイズにより、コンデンサ特性を損なわない範囲で、適宜選択される。また、貫通孔2の位置は、平板状コンデンサ素子を積層させることを考慮して、各アルミニウム箔1の同位置となるように形成させる。
【0015】
次に、誘電体酸化皮膜3上に、導電性高分子からなる固体電解質層4を形成させる。
【0016】
固体電解質層4となる導電性高分子は、周知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレンあるいは、ポリチオフェンまたはポリ(アルキルチオフェン)等のチオフェン誘導体ポリマーがあげられる。
【0017】
固体電解質層4となる導電性高分子の形成方法としては、酸化剤を用いた導電性高分子モノマーの化学重合法、導電性高分子モノマーと支持電解質を含む電解液の電解重合法等、周知の方法を用いることができ、特に限定されない。
【0018】
例えば、上記アルミニウム箔1の陽極引出部が液中に浸らないように、3,4−エチレンジオキシチオフェンとp−トルエンスルホン酸第二鉄とを溶解させたブタノール溶液中に、浸漬、取り出した後、加熱、乾燥させる操作を、複数回繰り返して、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の固体電解質層4を形成させる。
【0019】
ついで、固体電解質層4上に、カーボンペーストや銀ペースト等を塗布し、加熱、乾燥させて、導電体層5を形成させ、平板状コンデンサ素子を作製する。導電体層5は、コンデンサ素子の陰極部となる。
【0020】
コンデンサ素子の作製は、上記の方法以外に、長尺状アルミニウム箔上に、少なくとも1カ所以上の貫通孔2を有するコンデンサ素子用パターンを複数個形成し、順次、導電性高分子からなる固体電解質層4、カーボン層及び銀層からなる導電体層5を形成させた後、ダイシングソー等で切断してもよい。
【0021】
図1に示すように、作製した平板状コンデンサ素子4枚を、銀ペースト等の導電性樹脂9を用いて、該素子の陰極部である導電体層5同士が重なり合うように積層、接着させると共に、各素子の貫通孔2内に、導電性樹脂9を充填させる。次に、アルミニウム箔1の陽極引出部と陽極リード6とを、レーザー溶接等により、各々接合させる。ついで、金属製リードフレーム上に、積層コンデンサ素子を載置させ、レーザー溶接等により、陽極リード6とリードフレームの陽極7とを、また銀ペースト等の導電性樹脂9により、導電体層5の裏面とリードフレームの陰極8とを各々接合し、導通させる。さらに、エポキシ樹脂等により外装10を施し、本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサを完成する。
【0022】
本発明の製造方法は、積層型大面積アルミ固体電解コンデンサだけでなく、単層型や小面積アルミ固体電解コンデンサにも適用することができる。
【0023】
本発明の製造方法によれば、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に、コンデンサが量産できる。
【0024】
本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサは、素子1個当たりの電気抵抗を低減でき、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を、実施例に基づき、図面を参照して、説明する。実施例中、「%」は「質量%」を表す。なお、本発明は、実施例により、なんら限定されない。
【0026】
実施例1
表面をエッチング処理したアルミニウム箔(縦6mm×横3mm、厚さ150μm)1の陽極引出部を除いた縦5mm×横3mmの中央部分に、直径0.4mmφのエンドミルで、貫通孔2を1カ所穿った後、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬させ、電圧13Vを印加させて化成処理し、表面に誘電体酸化皮膜3を形成させた。
【0027】
次に、上記アルミニウム箔1の誘電体酸化皮膜3を形成した部分を、導電性高分子モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンの15%ブタノール溶液中に、1分間、浸漬させた後、取り出し、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄15%水溶液中に、5分間、浸漬させた後、取り出し、温度150℃で30分間加熱した。この操作を、8回繰り返して、化学重合によるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)からなる固体電解質層4を形成させた。該固体電解質層4は、縦5mm×横3mmであり、かつ貫通孔2部分にも形成されている。
【0028】
ついで、貫通孔2部分を含む固体電解質層4上にカーボンペースト及び銀ペーストを塗布して、陰極部となる導電体層5を形成させて、平板状コンデンサ素子(縦6mm×横3mm、厚さ0.3mm)を得た。
【0029】
得られた平板状コンデンサ素子4枚の陰極部である導電体層5同士が重なり合うように、導電性樹脂9の銀ペーストを用いて接合すると共に、各素子の貫通孔2内も、導電性樹脂9の銀ペーストを充填した。また、アルミニウム箔1の陽極引出部と陽極リード6とを、電気抵抗溶接機によりスポット溶接し、導通させて、該コンデンサ素子4枚を積層した積層コンデンサ素子1組を得た。
【0030】
ついで、上記積層コンデンサ素子を、鉄合金(42−アロイ、厚さ0.1mm)製リードフレームに載置し、陽極リード6とリードフレームの陽極7とを、電気抵抗溶接機によりスポット溶接し、また、導電性樹脂9の銀ペーストを用いて、導電体層5の裏面とリードフレームの陰極8とを接合して、各々導通させた。さらに、エポキシ樹脂で外装10を施し、定格電圧6.3V、定格静電容量45μFの、本発明の積層型アルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦7.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。
【0031】
完成したコンデンサについて、初期特性である、120Hzでの静電容量(以下「C」と略記する。)、120Hzでの誘電損失の正接(以下「tanδ」と略記する。)、漏れ電流(以下「LC」と略記する。)及び100kHzでのESRを測定した結果を、表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例1において、表面をエッチング処理したアルミニウム箔(縦12mm×横3mm、厚さ150μm)の陽極引出部を除いた縦11mm×横3mmの端部から均等となる中央部分の各々の位置に、貫通孔を2カ所穿った以外は、実施例1と同様にして、定格電圧12.2V、定格静電容量45μFの、本発明のアルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦13.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。完成したコンデンサの初期特性を測定した結果を、表1に示す。
【0033】
比較例
実施例1において、貫通孔を形成しないアルミニウム箔を用い、また金ワイヤーを用いて、各々のコンデンサ素子の陰極部である導電体層とリードフレームの陰極とを接合した以外は、実施例1と同様にして、定格電圧6.3V、定格静電容量45μFの積層型アルミ固体電解コンデンサ(外形寸法:縦7.3mm×横4.3mm×高さ2.7mm)を完成させた。完成したコンデンサの初期特性を測定した結果を、表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、実施例1及び2は、比較例に比し、ESRがより小さくなっており、また、貫通孔による容量低下や漏れ電流の増大は見られない。
【0036】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、大面積のコンデンサ素子を用いた場合でも、作業性よくかつ効率的に、コンデンサが製造できる。
【0037】
本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサは、素子1個当たりの電気抵抗を低減でき、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔(陽極引出部)
2 貫通孔
3 誘電体酸化皮膜
4 固体電解質層
5 導電体層
6 陽極リード
7 リードフレームの陽極
8 リードフレームの陰極
9 導電性樹脂
10 外装
Claims (5)
- 表面に誘電体酸化皮膜を形成させた大面積アルミニウム箔上に、導電性高分子からなる固体電解質層及び導電体層を順次形成させた平板状コンデンサ素子の導電体層が重なり合うように、複数枚を積層させた後、アルミニウム箔とリードフレームの陽極とを陽極リードを介して、また導電体層とリードフレームの陰極とを導通させる積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法において、アルミニウム箔の固体電解質層及び導電体層を形成させる部分に、直径0.1〜0.6mmφの貫通孔を少なくとも1個有するアルミニウム箔を用いて、平板状コンデンサ素子を作製させ、ついで、該貫通孔内に形成させた導電性樹脂により、導電体層とリードフレームの陰極とを導通させることを特徴とする積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法。
- 貫通孔の直径が、0.2〜0・6mmφであることを特徴とする請求項1に記載の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法。
- 平板状コンデンサ素子が、少なくとも2枚であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法。
- アルミニウム箔の縦が少なくとも4mm、横が少なくとも2mmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層型大面積アルミ固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法を用いて作製した積層型大面積アルミ固体電解コンデンサ。
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