JPH0693421B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JPH0693421B2
JPH0693421B2 JP10683590A JP10683590A JPH0693421B2 JP H0693421 B2 JPH0693421 B2 JP H0693421B2 JP 10683590 A JP10683590 A JP 10683590A JP 10683590 A JP10683590 A JP 10683590A JP H0693421 B2 JPH0693421 B2 JP H0693421B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、固体電解コンデンサに関し、特に有機導電
性化合物を利用したチップ形の固体電解コンデンサの改
良にかかる。
〔従来の技術〕
近年の電子機器の小型化、プリント基板への実装の効率
化等の要請から電子部品のチップ化が進められている。
これに伴い、電解コンデンサのチップ化の要請も高ま
り、各種の提案がなされている。
ところが、電解コンデンサ、特に電解質として電解液を
使用した電解コンデンサの場合、電解液を一定の収納空
間に密閉しておくことが必要である。そのため、電解コ
ンデンサをチップ化するには、各種の提案がなされてい
るものの、例えばプリント基板からの高さ寸法を10mmな
いし4mm程度とすることが限界であり、セラミックコン
デンサの外形寸法と同等の1mmないし3mm程度のチップ形
電解コンデンサを実現することは極めて困難であった。
一方、電解液を使用しない固体電解コンデンサは、一般
的に、表面に酸化皮膜層が形成されたタンタル等からな
る陽極体に、例えば二酸化マンガン等からなる固体電解
質層を形成し、更にカーボンペーストおよび銀ペースト
等からなる導電層を形成した構成からなる。このような
固体電解コンデンサは、電解質が固体であるため小型化
が比較的容易であり、チップ化が可能である。
しかしながら、従来の固体電解コンデンサでは静電容量
範囲が0.1〜10μF程度に限られてしまう。またそのイ
ンピーダンス特性は、電解液を使用した電解コンデンサ
よりは優れるものの、セラミックコンデンサ等と比較す
ると未だ充分ではなく、また陽極体にタンタルを使用し
た場合はコスト高となってしまう。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、近年テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポ
リピロール等の有機導電性化合物を固体電解コンデンサ
に応用したものが提案されている。これらの固体電解コ
ンデンサは、従来の金属酸化物半導体からなる固体電解
質と比較して、電導度が高いことから、特に高周波のイ
ンピーダンス特性に優れるとともに、液体を電解コンデ
ンサ本体に密封する必要がないことから小型化が容易で
ある。特に、ポリピロールは高い電導度が得られ、これ
を電解質として用いた固体電解コンデンサは、電解質が
ポリマー化しているため、耐熱性、耐薬品性に優れ、チ
ップ化に最適と言われている。
このポリピロールからなる電解質層は、ピロールの化学
重合、電解重合あるいは気相重合等の手段によって陽極
体表面に生成される。特に、電解重合によりポリピロー
ル層を生成する場合は、陽極体表面に絶縁体である酸化
皮膜層が形成されているため、予め陽極体をピロール溶
液中に浸漬して、導電体であるピロール薄膜を化学重合
により生成したのち、この陽極体をピロールを溶解した
電解重合用の電解液中に浸漬するとともに、電圧を印加
して陽極体の表面にポリピロール層を生成している。
ところが、前処理となる化学重合においては、陽極体の
表面全体にピロール薄膜が形成されてしまう。そのた
め、電圧を印加して電解重合した場合、ピロール薄膜の
全域にわたってポリピロール層が生成されることにな
る。したがって、陽極体の所望箇所以外にも電解質層が
生成され、これを除去することが必要になる。
特に、製造工程の効率化のために、陽極体表面にポリピ
ロール等からなる電解質層を選択的に複数生成し、これ
を断裁して大量の陽極体を製造する場合、電解質層の余
剰分を除去する付加的な工程が必要となる。あるいは、
陽極体の所望箇所以外に電解質層が生成されないよう、
所望箇所の近傍に、例えばピン状の電極を個別に配置し
て選択的な電解質層を生成するほかなく、製造工程が煩
雑になるとともに、ピン状の電極が耐久性に欠けるた
め、大量生産には不向きであった。
一方、ポリピロールからなる電解質層は機械的ストレス
に対して脆弱であり、陽極体のねじれ等により破損して
しまうことがある。そのため、電解質層の余剰分を、切
削等の手段で除去する場合、所望の電解質層をも破損し
てしまうおそれがある。
また、有機溶剤等で余剰分の電解質層を洗浄することも
考えられるが、選択的な洗浄は煩雑であるとともに、ポ
リピロールが耐薬品性に優れることから、有機溶剤によ
る除去も困難であった。
この発明の目的は、ポリピロール等の固体電解質による
固体電解コンデンサにおいて、電解質層を破損すること
なく、大量生産に適した固体電解コンデンサの製造方法
を実現することにある。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、固体電解コンデンサの製造方法において、
板状の陽極体の表面に、複数の選択的な凹部を形成する
とともに、非選択面に合成樹脂層を生成し、凹部に電解
質層を生成したのち、合成樹脂層を除去し、少なくとも
凹部を単位とする所望箇所で陽極体を断裁することを特
徴としている。
〔作用〕
図面に示すように、この発明では、機械的に脆弱な電解
質層3、例えばポリピロール層は、導電層4とともに陽
極体1の一部に形成した凹部6に形成される。そして、
この電解質層3を生成するに際しては、予め陽極体1の
凹部6以外、すなわち相対的な凸部7の表面が合成樹脂
層9で覆われる。そのため、電解質層3が生成されたの
ち、この合成樹脂層9を除去すると、電解質層3は陽極
体1の凹部6にのみ生成されることになり、その他の後
処理を必要としない。
また、複数の凹部6を備える陽極体1の表面全域に電解
質層3を生成できるとともに、その余剰分を除去するこ
とも容易となり、大量の陽極体1を効率的に製造するこ
とができるようになる。
また、電解質層3は、凸部7によって囲繞されることに
なり、陽極体1自体の機械的強度もその一部に凸部7が
形成されることにより向上する。そのため、電解質層3
の余剰分を除去する工程においても、陽極体1の凹部6
に生成された電解質層3の破損を防止することができ
る。
〔実施例〕
次いでこの発明の実施例を図面にしたがい説明する。
第1図は、この発明の実施例による固体電解コンデンサ
の製造方法を説明する斜視図、第2図は、実施例による
単体の陽極体を示した斜視図である。また、第3図はこ
の発明の実施例による固体電解コンデンサの概念構造を
示した部分断面図、第4図は、実施例による固体電解コ
ンデンサを示す斜視図である。
陽極体1は、アルミニウム等の弁作用金属からなり、第
1図(a)に示すように、板状に形成されるとともに、
その表面の一部にプレス等の手段による深さ約100μm
程度の凹部6が選択的に形成されている。この凹部6
は、他に化学エッチング処理等の手段で設けてもよい。
そして、この凹部6に、その表面積を拡大するためにエ
ッチング処理、例えば電解エッチング処理を施してその
表面を粗面化した後、化成処理を施して凹部6の表面に
酸化皮膜層を形成する。酸化皮膜層は、アルミニウムで
ある陽極体1の表層が酸化した酸化アルミニウムからな
り、誘電体となる。なお、エッチング処理および化成処
理は、例えば容量の調整等の必要に応じて凹部6の内側
面にも施してもよい。
そして、第1図(b)に示すように、この陽極体1の凹
部6以外の表面に合成樹脂層9を被覆する。この合成樹
脂層9は、例えばビニル樹脂等からなり、ベンゼン、ト
ルエン等の非塩素系の有機溶剤で溶解するもの、あるい
は固化したのちに剥離できる合成樹脂を被覆する。
更に、この陽極体1に形成された凹部6には、その表面
の一部を覆うレジスト層8を被覆する。このレジスト層
8は、耐熱性の合成樹脂、例えばエポキシ樹脂からな
り、スクリーン印刷等の手段で形成する。なお、このレ
ジスト層8と先の合成樹脂層9はいずれを先に形成して
もよい。
次いで、第1図(c)に示すように、合成樹脂層9およ
びレジスト層8の非被覆面にポリピロール等からなる電
解質層3を生成する。電解質層3は、陽極体1を酸化剤
を含有するピロール溶液中に浸漬して、化学重合により
ピロール薄膜を形成し、更にピロールを溶解した電解重
合用の電解液中に浸漬するとともに電圧を印加して、厚
さ数μmないし数十μmに生成する。
また電解質層3の表面には導電層4をスクリーン印刷す
る。その結果、第3図の概念構造図にも示したように、
陽極体1の凹部6には電解質層3および導電層4が順次
生成されることになる。導電層4は、カーボンペースト
および銀ペーストからなる多層構造、もしくは導電性の
良好な金属粉を含有する導電性接着剤からなる単層構造
の何れでもよい。
陽極体1の凹部6、すなわち合成樹脂層9およびレジス
ト層8の非被覆面に電解質層3が生成されたのち、合成
樹脂層9を溶剤等により除去するとともに、第1図
(c)に示した切断線X1ないしX3および切断線Y1ないし
Y3で陽極体1を断裁し、第2図に示したような単体の陽
極体1aを得る。このとき、切断線Y1およびY3において
は、陽極体1の凹部6に設けたレジスト層8上で断裁す
ると、断裁面における陽極体1のバリの発生を防止する
ことができる。
そして、このように形成した複数の陽極体1a、1bを、第
4図に示すように、帯状の陰極体5の両面に、各々の導
電層4が互いに対面するように配置する。また、陰極体
5が導出された陽極体1a、1bの側面と対向する側面に
は、陽極引き出し用の陽極端子2をレーザ溶接等の手段
で接続して固体電解コンデンサ10を得る。
このようにして得られた固体電解コンデンサ10では、第
3図の概念構造図に示したように、電解質層3が陰極体
5の両面に配置され、導電層4を介して陰極体5を挟み
込むように接続されるので、電解質層3と陰極体5との
接続構造が簡略になると同時に、電解質層3が陽極体
1a、1bによって外部から遮断されることになり、外部か
らの機械的ストレスに対して強固になる。
また、電解質層3を生成するに際しては、予め陽極体1
の凹部6以外の表面が合成樹脂層9で覆われているた
め、合成樹脂層9上にポリピロール等の固体電解質が生
成された場合でも、この合成樹脂層9を除去することに
より、所望の生成箇所、すなわち陽極体1の凹部6にの
み電解質層3が生成されることになる。そのため、切削
等の手段で余分なポリピロール等を除去する必要がな
く、工程が簡略になる。
〔発明の効果〕
以上のようにこの発明は、固体電解コンデンサに製造方
法において、板状の陽極体の表面に、複数の選択的な凹
部を形成するとともに、非選択面に合成樹脂層を生成
し、凹部に電解質層を生成したのち、合成樹脂層を除去
し、少なくとも凹部を単位とする所望箇所で陽極体を断
裁することを特徴としているので、所望箇所以外の電解
質層、すなわち余剰分は、前記合成樹脂層の剥離等によ
り除去される。そのため、複数の凹部を選択的に設けた
陽極体に、一括して電解質層を生成することが可能にな
る。また、陽極体を所望箇所で断裁することで、微細な
陽極体を大量に供給することが可能となり、製造工程が
簡略になる。
また、陽極体の表面に被覆された合成樹脂層は、溶剤等
による溶解、剥離等の手段で一括して除去することがで
き、切削等の手段による機械的ストレスが陽極体にかか
ることもない。そのため、製造工程が煩雑になることも
ないほか、電解質層の電気的特性が劣化することもな
く、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例による固体電解コンデンサ
の製造方法を説明する斜視図、第2図は、実施例による
単体の陽極体を示した斜視図である。また、第3図はこ
の発明の実施例による固体電解コンデンサの概念構造を
示した部分断面図、第4図は、実施例による固体電解コ
ンデンサを示す斜視図である。 1…陽極体、2…陽極端子、 3…電解質層、4…導電層、 5…陰極体、6…凹部、 7…凸部、8…レジスト層、 9…合成樹脂層、10…固体電解コンデンサ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状の陽極体の表面に、複数の選択的な凹
    部を形成するとともに、非選択面に合成樹脂層を生成
    し、凹部に電解質層を生成したのち、合成樹脂層を除去
    し、少なくとも凹部を単位とする所望箇所で陽極体を断
    裁することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
    法。
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