JP2004156504A - 電気化学素子及び排気ガス浄化方法 - Google Patents

電気化学素子及び排気ガス浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過剰の酸素と微量の窒素酸化物を含む排気ガスを接触させ、当該電極間に直流電圧を印加することにより、排気ガス中の窒素酸化物を分解、除去できる電気化学素子及び排気ガス浄化方法を提供する。
【解決手段】被処理物に対し電気化学反応を行うための素子であって、第1の集電電極、カソード、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、アノード、及び第2の集電電極の5層構造からなり、前記カソード及びアノードを、イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導性物質で構成し、当該混合伝導性物質を所定の組成比のイオン伝導性物質又は電子伝導性物質で複合化したことを特徴とする電気化学素子、及び窒素酸化物の浄化方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する専門分野】
本発明は、イオン伝導性固体電解質の両面に混合伝導性を有する酸化物電極と電子伝導性を有する集電電極が塗布された、窒素酸化物の浄化、電気化学的発電等を行う電気化学素子に関するものであり、更に詳しくは、固体電解質として、例えば、ジルコニア又はセリア等を使用し、電極として、ペロブスカイト型酸化物を使用することによって、低温作動を可能にした新しい電気化学素子に関するものである。本発明は、過剰の酸素存在下においても排気ガス中の窒素酸化物及び酸素等を効率よく浄化、分解する電気化学素子、及びその電気化学素子を用いた窒素酸化物の浄化方法を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガソリンエンジンから発生する窒素酸化物は、三元機能触媒法で無害化されているが、リーンバーンエンジン、ディーゼルエンジンのように排気ガス中に数%の酸素が過剰に存在する場合には、三元機能触媒表面への酸素の被毒によって触媒活性の激減が問題となり、三元機能触媒は全く機能しない。一方、安定化ジルコニアと三元機能触媒からなる固体電解質型リアクタシステムが提案されている。このシステムは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質膜の両面に触媒電極を付与し、そこへ電流を流す方法である。この固体電解質リアクタシステムに電流を流すと、カソード電極上においては、排ガス中に含まれている過剰酸素及び窒素酸化物が触媒表面で還元され、酸素イオン及び窒素に分解する。分解された酸素イオンは、固体電解質を介して拡散し、アノード電極上において酸素として放出されるため、カソード電極は常に酸素リーンの状態であり、過剰酸素による触媒機能の減少等はなく、排気ガス中の窒素酸化物の浄化は連続的に行われる。
【0003】
ここで、先行技術を提示すると、先行技術文献には、酸化イットリウムで安定化したジルコニアの両面に白金及び様々な酸化物電極を形成し、電圧を印加することにより、窒素酸化物が窒素と酸素に分解することが示されている(非特許文献1参照)。また、先行技術文献には、酸化イットリウムで安定化したジルコニアの両面にLa0.8 Sr0.2 Co0.9 Ru0.1 電極を形成し、電圧を印加することにより、窒素酸化物、酸素、炭化水素の混合ガス中において、窒素酸化物が窒素と酸素に分解することが示されている(非特許文献2参照)。しかしながら、上記先行技術文献に提示されている手法では、排気ガス中の窒素酸化物を浄化するために必要な印加電圧が2〜2.5Vで、非常に高くなっている。そして、上記手法では、何より、カソード及びアノードとして、白金、パラジウム、金又は銀等の高価な貴金属が多量に用いられている。
【0004】
【非特許文献1】
Applied Catalysis B:Environmental 19、137−172(1998)
【非特許文献2】
Solid State Ionics、136−137、775−782(2000)
【0005】
上記固体電解質型電気化学素子の効率は、素子に印加する電流及び電圧に左右される。一般的に、排気ガス中には数%以上の酸素が存在し、カソード電極部において、共存している酸素が優先的にイオン化し、固体電解質中を流れるため、窒素酸化物を分解するにはある程度以上の電流を流す必要がある。このように、過剰酸素をポンピングすることにより、カソード電極と固体電解質の界面付近は酸素希薄状態になり、窒素酸化物の分解反応が開始される。一方、電気化学素子に電流を流すためには高い電圧の印加が要求され、窒素酸化物を浄化するための消費電力が増大してしまうという問題点が指摘されており、実用化の上で大きな障害となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、排気ガス中に過剰の酸素が存在する場合においても、電気化学素子のカソードにおいて、(1)窒素酸化物に対する選択性を向上させ、窒素酸化物の分解に必要な電流量を減らす方法と、(2)酸素及び窒素酸化物のイオン化を促進し得る電極の構造を開発し、酸素及び窒素酸化物のイオン化のための印加電圧を低減させることを技術的課題とするものである。
すなわち、本発明は、燃焼排ガス中に過剰の酸素が存在する場合においても、酸素及び窒素酸化物をイオン化するために必要な印加電圧値を減らすことにより、電気化学素子を低抵抗化し、少ない消費電力で高効率に窒素酸化物を浄化できる電気化学素子を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)被処理物に対し電気化学反応を行うための素子であって、第1の集電電極、カソード、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、アノード、及び第2の集電電極の5層構造からなり、前記カソード及びアノードを、イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導性物質で構成し、当該混合伝導性物質を所定の組成比のイオン伝導性物質又は電子伝導性物質で複合化したことを特徴とする電気化学素子。
(2)前記混合伝導性物質で構成したカソード及びアノードが、(a)イオン伝導性物質の粒子と、(b)白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分、を担持してなることを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(3)カソード及びアノードの混合伝導性物質が、一般式Ln11−X M11−y M23 − δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物であることを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(4)カソード及びアノードが、混合伝導性物質の一般式Ln1−X M11−y M23− δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物と、イオン伝導性物質の粒子10〜80容積%を含有することを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(5)カソード及びアノードが、混合伝導性物質の一般式Ln1−X M11−yM23− δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物と、イオン伝導性物質の粒子10〜80容積%、及び電子伝導性を有する白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分0.01〜1容積%を含有することを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(6)イオン伝導性物質の粒子が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、前記(4)又は(5)記載の電気化学素子。
(7)電子伝導性を有する白金、パラジウム、金又は銀が、その粒径が、0.1μm以下であり、1,000℃以上の温度で熱処理を施すことによりペロブスカイト化合物及びイオン伝導性物質の粒子の表面に均一に被覆されていることを特徴とする、前記(5)記載の電気化学素子。
(8)前記集電電極が、電子伝導性物質の粒子と、イオン伝導性物質の粒子からなることを特徴とする、前記(1)に記載の電気化学素子。
(9)集電電極の電子伝導性物質の粒子が、白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分からなり、イオン伝導性物質の粒子が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、前記(7)記載の電気化学素子。
(10)集電電極の電子伝導性物質とイオン伝導性物質の体積比が8:2〜5:5の範囲にあることを特徴とする、前記(7)記載の電気化学素子。
(11)前記固体電解質の両面が、集電電極、及び混合伝導性物質で被覆されていることを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(12)固体電解質が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、前記(1)記載の電気化学素子。
(13)イオン伝導性物質の粒子の比表面積が、1〜10m /gであることを特徴とする、前記(4)又は(5)記載の電気化学素子。
(14)前記(1)から(13)のいずれかに記載の電気化学素子により窒素酸化物を浄化する方法であって、窒素酸化物を前記電気化学素子を構成要素として含む電気化学セルに供給し、そのカソードとアノード間に電圧を印加することにより、カソードで窒素酸化物を浄化することを特徴とする、窒素酸化物の浄化方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の電気化学素子は、電子伝導性物質からなる集電電極、イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導性物質、そして、イオン伝導性を有する固体電解質からなる。本発明では、上記混合伝導性物質にイオン伝導性物質又は電子伝導性物質を複合化することが重要であり、混合伝導性物質とイオン伝導性物質又は混合伝導性物質と電子伝導性物質の組成比を特定の範囲に設定することにより、排気ガス中の窒素酸化物及び過剰酸素の分解効率が向上し、消費電力、印加電圧の大幅な低減化が実現できる。例えば、カソード電極を構成する混合伝導性物質とイオン伝導性物質の体積比として、90:10〜20:80の範囲を選択するか、あるいは、電子伝導性物質を0.01〜1vol%の割合で含有させることにより、窒素酸化物浄化率及び酸素分解率が向上し、かつ消費電力の低減化と、電気化学素子の抵抗の低下に伴う印加電圧の低減化が達成される。
【0009】
カソード及びアノード電極に用いられる混合伝導性物質としては、好適には、一般式Ln1−X M11−y M23− δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウム、M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト型化合物が用いられる。このようなものとしては、例えば、La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 、Nd0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 、Pr0.6Ba0.4 MnO 、La0.6 Sr0.4 Cu0.2 Fe0.8 O3 、Sm0.5 Sr0.5CoO 、LaCo0.7 Ni0.3 、LaCo0.7 Cr0.3 、La0.6 Sr0.4 MnO 等を挙げることができる。
【0010】
また、イオン伝導性物質としては、酸素イオン伝導性物質が好ましく用いられる。この酸素イオン伝導性物質としては、好適には、酸化イットリウム又は酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、酸化ガドリニウム又は酸化サマリウムで安定化したセリア、ランタンガレイト等が用いられる。混合伝導性物質とイオン伝導性物質の複合化を考える際に、イオン伝導性物質の選択は、用いられる混合伝導性物質の組成によって慎重に行わなければならない。例えば、上記一般式Ln1−X M11−y M23− δで表されるペロブスカイト化合物の中で、M1又はM2の何れかにコバルトが含まれる場合、酸化サマリウム又は酸化ガドリニウムで安定化したセリアを用いることが好ましい。これは、後述の電気化学素子製造過程に必ず含まれる1000℃以上での高温熱処理中において、コバルト酸化物と酸化イットリウム又は酸化スカンジウムで安定化したジルコニアとの界面反応により、イオン伝導性及び電子伝導性の低い絶縁相が生成するためである。
【0011】
上記一般式Ln1−X AX M11−y M23− δで表されるペロブスカイト化合物の中で、M1又はM2の何れかにコバルトが含まれない場合は、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又は酸化サマリウム若しくは酸化ガドリニウムで安定化したセリアが用いられる。電子伝導性物質としては、白金、パラジウム、金、銀から選ばれた少なくとも一つの成分が用いられる。これらの電子伝導性物質を、酸化物、硝酸塩等を出発原料として、混合、仮焼して合成してもいいが、無電解メッキ法等の化学的手法を用いて微細な粒子を合成することが好ましい。
【0012】
カソードとして用いられるペロブスカイト型混合伝導性物質とイオン伝導性物質の割合は、イオン伝導性物質の体積割合として、10%以上かつ80%以下の割合とすることが、後記する実施例に示されるように、電気化学素子により高効率に窒素酸化物の浄化を行うことができ、消費電力を低減できることから好ましい。また、ペロブスカイト型混合伝導性物質の粒子とイオン伝導性物質の粒子は互いに均一に分散していることが好ましい。イオン伝導性物質の役割としては、(1)混合伝導性物質/イオン伝導性物質の新しい界面を形成し、排気ガスに含まれる窒素酸化物及び酸素を還元・浄化する活性サイトを提供する、(2)高温熱処理等のような、電気化学素子の製造過程において、ペロブスカイト型混合伝導性物質の粒成長を抑え、窒素酸化物及び酸素の浄化効率の長期安定性を向上させる、(3)カソード及びアノード電極の熱膨張係数を下げることができ、電気化学素子の耐久性と信頼性を改善する、等を挙げることができる。
【0013】
従って、イオン伝導性物質の割合は大きいほうが望ましいが、イオン伝導性物質の割合が80%以上の場合には、混合伝導性物質からなる粒子同士が接触することができず、孤立してしまうこととなり、電子伝導性が大きく低下してしまう。窒素酸化物を高効率に分解するためには、吸着した窒素酸化物に電子を供給し、酸素原子をイオン化する反応と、イオン化した酸素イオンを吸着部から除去する反応がスムーズに進行する必要があるが、電子伝導性が低下している場合には、これらの反応のいずれかが律速となり、高効率な窒素酸化物及び酸素の分解ができない。
【0014】
混合伝導性物質の割合が20%以上であり、かつ互いの粒子がカソード及びアノード電極中に均一に分散していることが望ましい。また、イオン伝導性物質の比表面積は、1〜10m /gであることが望ましい。イオン伝導性物質の比表面積が1m /g以下の場合は、混合伝導性物質とイオン伝導性物質との間で形成される三相界面の面積が小さすぎて、窒素酸化物及び酸素の分解・浄化能が低下してしまう。逆に、イオン伝導性物質の比表面積が10m /g以上の場合は、イオン伝導性物質同士の凝集が激しくなり、混合伝導性物質とイオン伝導性物質の均一分散が困難になるため、窒素酸化物及び酸素の浄化、分解サイトである三相界面の面積が著しく減少する結果となる。
【0015】
カソードとして用いられるペロブスカイト型混合伝導性物質と電子伝導性物質の割合は、電子伝導性物質の体積割合として、0.01%以上かつ1%以下の割合とすることが、後記する実施例に示されるように、電気化学素子により高効率に窒素酸化物の浄化を行うことができ、消費電力を低減できることから好ましい。0.01容積%未満であると、添加による触媒能向上効果が顕著ではなく、1容積%を超えると電子伝導性粒子の凝集や合体が起こり、電気化学的特性に悪影響を及ぼすので、上記範囲に限定される。
【0016】
本発明においては、電子伝導性粒子として、白金、パラジウム、金又は銀等の貴金属を用いているので、コストの面からも電子伝導性物質の含有量は少ないほうが望ましい。また、ペロブスカイト型混合伝導性物質の粒子と電子伝導性物質の粒子は互いに均一に分散していることが好ましい。白金、パラジウム、金又は銀等の電子伝導性物質は、混合伝導性物質及びイオン伝導性物質の表面を被覆し、混合伝導性物質の表面を改質することにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物及び酸素の物理的・化学的吸着及び解離を促進する。
【0017】
また、本発明のカソード及びアノード電極は、好適には、粒径が0.1 μ以下の白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分の電子伝導性粒子が上記ペロブスカイト型混合伝導性物質のマトリックスを形成する粒子の表面に均一に分散している構造を有し、いわゆるナノ組織を呈する複合セラミックス電極である。電子伝導性物質の粒径は、なるべく小さく抑えることが重要である。粒径を小さくすることにより、電子伝導性物質の粒子と混合伝導性物質及びイオン伝導性物質の粒子との接触面積が増加し、三相界面が増える結果となり、高効率の電気化学素子の作製ができる。
【0018】
酸素イオン伝導性を有する固体電解質は、酸素イオン伝導性を有する物質であれば、いずれでも用いることができる。酸素イオン伝導性を有する固体電解質としては、酸化イットリウム又は酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、酸化ガドリニム又は酸化サマリウムで安定化したセリア、ランタンガレイト等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの中で、低温領域において高い酸素イオン伝導性を有し、かつ、上記カソード及びアノード電極として用いられるペロブスカイト型化合物と化学的、熱的安定性に優れた酸化ガドリニム又は酸化サマリウムで安定化したセリアが好ましく用いられる。
【0019】
集電電極に用いられる電子伝導性物質としては、例えば、白金、パラジウム、金、銀等の貴金属、ランタンマンガナイト、ランタンコバルタイト等のペロブスカイト型複合金属酸化物が用いられる。また、イオン伝導性物質としては、酸素イオン伝導性物質が好ましく用いられる。この酸素イオン伝導性物質としては、酸化イットリウム又は酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、酸化ガドリニウム又は酸化サマリウムで安定化したセリア、ランタンガレイト等が用いられる。イオン伝導性物質との反応性、導電率を考慮すると、白金、パラジウムが電子伝導性物質として好ましく用いられる。
【0020】
また、高温安定性とコストの面からは、ランタンマンガナイト、ランタンコバルタイトが好ましく用いられる。イオン伝導性物質としては、ペロブスカト型混合伝導性カソード及びアノードとの優れた相安定性を示す酸化ガドリニウム又は酸化サマリウムで安定化したセリアを用いることが好ましい。集電電極として用いられる電子伝導性物質とイオン伝導性物質の割合は、電子伝導性物質の体積割合として、50%以上かつ80%以下の割合とすることが、電気化学素子の抵抗を低減できることと、集電電極の微細組織を多孔質にすることができることから好ましい。
【0021】
集電電極は、カソード及びアノード電極のインプレイン抵抗を低減するため、十分高い導電率を示さなければならない。また、窒素酸化物及び酸素を含む排気ガスの流れに対して妨げにならないためには、高い多孔率を有する微細構造が要求される。電子伝導性物質の割合が50%未満の場合には、電子伝導性物質からなる粒子同士がお互いに接触する確率が低くなり、集電電極の導電率が低下し、電気化学素子の抵抗が増加してしまうこととなる。一方、電子伝導性物質の割合が80%を超える場合には、集電電極の導電率は十分確保できるが、電気化学素子の高温熱処理過程において、集電電極の緻密化が進行してしまい、多孔質組織を維持できなくなる。
【0022】
電気化学素子を形成する方法としては、固体電解質を基材として用いた場合には、予めカソードとアノード電極及び集電電極を構成する物質を含んだペーストや溶液を調製しておき、個々のペーストを固体電化質上にスクリーン印刷や塗布により成膜し、焼成する方法を用いることができる。平板状の固体電解質基材を用いてスクリーン印刷により化学反応器を形成する場合を例にとると、まず、固体電解質基材の片面上にカソード電極を構成する物質を含んだペーストをスクリーン印刷し、乾燥する。次に、固体電解質基材の反対面にアノード電極を構成する物質を含んだペーストをスクリーン印刷し、乾燥する。
【0023】
次に、第1及び第2の集電電極を、先に形成したカソード及びアノード電極を被覆するようにスクリーン印刷し、乾燥及び焼成することにより電気化学素子を形成することができる。カソード及びアノードの成膜方法は、上記スクリーン印刷や塗布に限られるものではなく、それぞれを構成する物質を含んだ溶液を調製し、ディップコートやスピンコートによって基材上に成膜する方法も用いることができる。他に、PVDやCVDにより成膜する方法も用いることができる。
【0024】
基材として用いることができるのは、固体電解質に限られるものではなく、化学反応器を形成する工程中に破損しない程度の適度な機械的強度を有していれば、カソード又はアノードを基材として用いることもできる。また、シート成形法により、カソード、固体電解質、アノードそれぞれを構成する物質を含んだ各シート成形体を作製し、そのシート成形体を圧着することにより接合、焼成することにより、基材を用いることなく、電気化学素子を形成することができる。これらの方法の中で、固体電解質を基材として用い、各構成物質を含んだペーストを調製し、スクリーン印刷や塗布により成膜、焼成する方法が、使用する設備が比較的安価であり、容易に成膜することが可能であることなどから好ましく用いられる。
【0025】
作製された電気化学素子は、集電電極及びカソードが窒素酸化物を含んだ排気ガスに接触するように配置し、第1及び第2の集電電極からそれぞれ取り出したリードを外部電源に接続し、直流電圧を印加することにより、カソードにおいて窒素酸化物を分解した際に生成する酸素イオンを固体電解質を通してアノードへ移動させ、アノードにおいて酸素分子とすることにより、排気ガス中の窒素酸化物を効率的に分解する。
【0026】
次に、本発明の電気化学素子の基本構成を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る平板状の電気化学素子の構成を示す断面図である。酸素イオン伝導性を有する固体電解質3の一方の面にカソード2と集電電極1を形成し、他方の面にアノード4と集電電極5を形成する。カソード2は、固体電解質3と集電電極1の双方に接するように、固体電解質3と集電電極1の中間に配置する。集電電極1とカソード2が窒素酸化物を含んだ排ガスに接触するように配置する。集電電極1と集電電極5からそれぞれリードを取り出し、外部電源に接続し、集電電極1及びカソード2側がマイナス電位、アノード4及び集電電極5側がプラス電位となるように直流電圧を印加することにより、カソード2において窒素酸化物を分解する。
【0027】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
イオン伝導性を有する固体電解質3として、酸化ガドリニウムで安定化したセリア粉末(阿南化成(株)製)を0.5ton/cm の圧力で直径30mm、厚さ1.0mmの寸法からなる円板状にプレス成形し、更に、2ton/cmの圧力でCIP成形を行った。これらの成形体をPtシート上に配置し、1400℃で2時間焼成し、直径21mm、厚さ0.5mmの円板状の固体電解質を作製した。La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8(日本ファインセラミックス(株)製)からなる混合伝導性物質とガドリニウムで安定化したセリアからなるイオン伝導性物質の混合比が体積比で60:40になるように秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで湿式混合し、乾燥した後、有機溶媒を加えペーストを作製した。
【0028】
カソード2及びアノード4電極は、上記ペーストを固体電解質3の両面に面積1.0cm となるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。集電電極1及び5は、白金からなる電子伝導性物質とガドリニウムで安定化したセリアからなるイオン伝導性物質の混合比を体積比で60:40とした混合粉末に有機溶媒を加えペーストを作製し、カソード2とアノード4上に面積1.0cmとなるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。
【0029】
作製した電気化学素子の断面の一部を電子顕微鏡で観察した結果を図2に示す。イオン伝導性固体電解質3の上に、混合伝導性物質のカソード2と電子伝導性物質の集電電極1が塗布されていることを示している。また、図3に、混合伝導性物質のカソード2とイオン伝導性固体電解質3の界面付近をより詳細に観察した電子顕微鏡写真を示す。図3の右図は、混合伝導性物質のみから作製したカソード2の微細構造(比較例2)であり、左図は、混合伝導性物質にイオン伝導性物質の粒子を40vol%添加し、形成したコンポジットカソード(実施例1)である。イオン伝導性物質の粒子で複合化することにより、混合伝導性物質の粒成長が著しく抑制され、カソード電極を微細化することができた。
【0030】
このように形成した本発明の電気化学素子の集電電極1と集電電極5に白金線をリード線として固定し、排気ガス浄化用素子を作製した。この素子の集電電極1及びカソード側に、NO 1000ppm、O 2%、Heバランスのモデル排気ガスを流し(50ml/min)、集電電極5及びアノード側4には、O 21%、He 79%の参照ガスを流した(50ml/min)。集電電極1と集電電極5の間に直流電圧を印加し、電気化学素子の作動温度直600℃での窒素酸化物(NO)分解率、酸素分解率、電流密度を調べた結果を表1に示す。また、図4及び図5には、電気化学素子の交流インピーダンス特性(実施例1及び後記の実施例6、比較例1、比較例3)及び窒素酸化物浄化特性(実施例1、比較例3)を示す。実施例1の方が、比較例3に比べ、窒素酸化物を浄化するために必要な消費電力を大きく低減することができた。
【0031】
実施例2
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で70:30とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0032】
実施例3
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で80:20とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0033】
実施例4
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で50:50とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0034】
実施例5
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で30:70とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0035】
実施例6
イオン伝導性を有する固体電解質3として、酸化ガドリニウムで安定化したセリア粉末(阿南化成(株)製)を0.5ton/cm の圧力で直径30mm、厚さ1.0mmの寸法からなる円板状にプレス成形し、更に、2ton/cmの圧力でCIP成形を行った。これらの成形体をPtシート上に配置し、1400℃で2時間焼成し、直径21mm、厚さ0.5mmの円板状の固体電解質を作製した。La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 (日本ファインセラミックス(株)製)からなる混合伝導性物質と白金からなる電子伝導性物質の混合比が体積比で99:1になるように、上記La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 粉末と酸化第2白金(PtO 、高純度化学研究所製)粉末を秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで湿式混合し、乾燥した後、有機溶媒を加えペーストを作製した。
【0036】
カソード2及びアノード4電極は、上記ペーストを固体電解質3の両面に面積1.0cm となるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。集電電極1及び5は、白金からなる電子伝導性物質とガドリニウムで安定化したセリアからなるイオン伝導性物質の混合比を体積比で60:40とした混合粉末に有機溶媒を加えペーストを作製し、カソード2とアノード4上に面積1.0cm となるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0037】
実施例7
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質と電子伝導性物質の混合比を体積比で99.5:0.5とした以外は、実施例6と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0038】
実施例8
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質と電子伝導性物質の混合比を体積比で99.9:0.1とした以外は、実施例6と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0039】
実施例9
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質と電子伝導性物質の混合比を体積比で99.995:0.005とした以外は、実施例6と同様に電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0040】
実施例10
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質と電子伝導性物質の混合比を体積比で98:2とした以外は、実施例6と同様に電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0041】
実施例11
イオン伝導性を有する固体電解質3として、酸化ガドリニウムで安定化したセリア粉末(阿南化成(株)製)を0.5ton/cm の圧力で直径30mm、厚さ1.0mmの寸法からなる円板状にプレス成形し、更に、2ton/cmの圧力でCIP成形を行った。これらの成形体をPtシート上に配置し、1400℃で2時間焼成し、直径21mm、厚さ0.5mmの円板状の固体電解質を作製した。La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 (日本ファインセラミックス(株)製)からなる混合伝導性物質、ガドリニウムで安定化したセリアからなるイオン伝導性物質、白金からなる電子伝導性物質の混合比が体積比で59:40:1になるように、上記La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 粉末、Gd0.1 Ce0.9粉末、酸化第2白金粉末を秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで湿式混合し、乾燥した後、有機溶媒を加えペーストを作製した。
【0042】
カソード2及びアノード4電極は、上記ペーストを固体電解質3の両面に面積1.0cm となるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。集電電極1及び5は、白金からなる電子伝導性物質とガドリニウムで安定化したセリアからなるイオン伝導性物質の混合比を体積比で60:40とした混合粉末に有機溶媒を加えペーストを作製し、カソード2とアノード4上に面積1.0cmとなるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0043】
実施例12
イオン伝導性を有する固体電解質3として、酸化イットリウムで安定化したジルコニア粉末(東ソー株式会社製)を0.5ton/cmの圧力で直径30mm、厚さ1.0mmの寸法からなる円板状にプレス成形し、更に、2ton/cm の圧力でCIP成形を行った。これらの成形体をPtシート上に配置し、1400℃で2時間焼成し、直径20mm、厚さ0.5mmの円板状の固体電解質を作製した。La0.8 Ca0.2 MnO からなる混合伝導性物質とイットリウムで安定化したジルコニアからなるイオン伝導性物質の混合比が体積比で60:40になるように秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで湿式混合し、乾燥した後、有機溶媒を加えペーストを作製した。カソード2及びアノード4電極としては、上記ペーストを固体電解質3の両面に面積1.0cmとなるようにスクリーン印刷した後、1150℃で熱処理することにより形成した。集電電極1及び5は、白金からなる電子伝導性物質とイットリウムで安定化したジルコニアからなるイオン伝導性物質の混合比を体積比で60:40とした混合粉末に有機溶媒を加えペーストを作製し、カソード2とアノード4上に面積1.0cmとなるようにスクリーン印刷した後、1000℃で熱処理することにより形成した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で100:0とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0045】
比較例2
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で10:90とした以外は、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0046】
比較例3
固体電解質3として、直径20mm、厚さ0.5mmの円板状のガドリニウムで安定化したセリアを用い、混合伝導性物質層であるカソード2及びアノード4を形成することなく、固体電解質3の両面に集電電極1と2を形成し、3 層構造の電気化学セルを作製した。この電気化学セルの窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0047】
比較例4
カソード2及びアノード4の混合伝導性物質とイオン伝導性物質の混合比を体積比で100:0とした以外は、実施例12と同様にして電気化学素子を作製した。この電気化学素子の窒素酸化物の浄化特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 2004156504
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、混合伝導性物質からなる酸化物触媒電極にイオン伝導性及び電子伝導性物質の粒子が均一に分散していることを特徴とする、電気化学素子に係るものであり、本発明によって、排気ガスに含まれる窒素酸化物及び過剰酸素を高効率に無害な窒素と酸素イオンに分解、浄化することができる。従って、窒素酸化物の浄化を妨害する酸素が過剰に存在する場合においても、低消費電力、低印加電圧で窒素酸化物を処理できる電気化学素子を提供することが可能である。また、酸素ポンピング素子として応用すると、酸素過剰の雰囲気から酸素を、高効率に、かつ瞬時に除去、又は濃度を下げることを可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る平板状の電気化学素子の断面図である。
【図2】本発明の電気化学素子の断面構造を示す。
【図3】混合伝導性カソードの微細構造(実施例1及び比較例2)を示す。
【図4】電気化学素子の交流インピーダンス特性(実施例1、6、比較例1、3)を示す。
【図5】電気化学素子の窒素酸化物浄化特性(実施例1、比較例3)を示す。
【符号の説明】
(図1の符号)
1 第1の集電電極1
2 カソード
3 固体電解質
4 アノード
5 第2の集電電極2

Claims (14)

  1. 被処理物に対し電気化学反応を行うための素子であって、第1の集電電極、カソード、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、アノード、及び第2の集電電極の5層構造からなり、前記カソード及びアノードを、イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導性物質で構成し、当該混合伝導性物質を所定の組成比のイオン伝導性物質又は電子伝導性物質で複合化したことを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記混合伝導性物質で構成したカソード及びアノードが、(1)イオン伝導性物質の粒子と、(2)白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分、を担持してなることを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  3. カソード及びアノードの混合伝導性物質が、一般式Ln11−X M11−y M23 − δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物であることを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  4. カソード及びアノードが、混合伝導性物質の一般式Ln1−X M11−y M23− δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物と、イオン伝導性物質の粒子10〜80容積%を含有することを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  5. カソード及びアノードが、混合伝導性物質の一般式Ln1−XM11−y M23− δ(式中、Lnは、ランタン、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、プラセオジム、又はジスプロシウムを表す。Aは、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムを表す。M1、M2は、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、又はクロムを表す。0≦x、y≦1)で表されるペロブスカイト化合物と、イオン伝導性物質の粒子10〜80容積%、及び電子伝導性を有する白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分0.01〜1容積%を含有することを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  6. イオン伝導性物質の粒子が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、請求項4又は5記載の電気化学素子。
  7. 電子伝導性を有する白金、パラジウム、金又は銀が、その粒径が、0.1μm以下であり、1,000℃以上の温度で熱処理を施すことによりペロブスカイト化合物及びイオン伝導性物質の粒子の表面に均一に被覆されていることを特徴とする、請求項5記載の電気化学素子。
  8. 前記集電電極が、電子伝導性物質の粒子と、イオン伝導性物質の粒子からなることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学素子。
  9. 集電電極の電子伝導性物質の粒子が、白金、パラジウム、金又は銀から選ばれた少なくとも一つの成分からなり、イオン伝導性物質の粒子が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、請求項7記載の電気化学素子。
  10. 集電電極の電子伝導性物質とイオン伝導性物質の体積比が8:2〜5:5の範囲にあることを特徴とする、請求項7記載の電気化学素子。
  11. 前記固体電解質の両面が、集電電極、及び混合伝導性物質で被覆されていることを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  12. 固体電解質が、酸化イットリウム若しくは酸化スカンジウムで安定化したジルコニア、又はサマリウム若しくはガドリニウムで安定化したセリアからなることを特徴とする、請求項1記載の電気化学素子。
  13. イオン伝導性物質の粒子の比表面積が、1〜10m /gであることを特徴とする、請求項4又は5記載の電気化学素子。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の電気化学素子により窒素酸化物を浄化する方法であって、窒素酸化物を前記電気化学素子を構成要素として含む電気化学セルに供給し、そのカソードとアノード間に電圧を印加することにより、カソードで窒素酸化物を浄化することを特徴とする、窒素酸化物の浄化方法。
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