JP2004155982A - 半導体用樹脂ペースト及び半導体装置 - Google Patents

半導体用樹脂ペースト及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間硬化が可能で、熱時接着強度が高く、熱時低弾性率に優れた特性を有し、かつイオン性不純物が少ない半導体用樹脂ペーストを提供すること。
【解決手段】(A)全エポキシ樹脂中に、加水分解性塩素含有量1000ppm以下の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を5重量%以上含むエポキシ樹脂、(B)融点100℃以上のイミダゾール化合物と(C)活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂を含む硬化剤及び(D)フィラーを必須成分とし、かつ(B)/(C)(エポキシ樹脂100重量部に対する重量比)=(0.1〜20)/(0.5〜50)であることを特徴とする半導体用樹脂ペースト。
【化1】
Figure 2004155982

(Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。nは平均値で0〜3の正数。)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC、LSI等の半導体素子をリードフレーム、有機基板等に接着する半導体用樹脂ペースト及び半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSI等の半導体素子をリードフレーム、有機基板等に接着する方法として、半導体用樹脂ペーストが一般的に使用されている。近年の電子機器の小型軽量化、高機能化の動向に対応して、半導体装置の小型化、薄型化、狭ピッチ化が益々加速する方向にあり、これに伴い半導体用樹脂ペーストには、半導体装置の吸湿後の耐半田性や耐湿性の向上が強く求められるようになってきた。耐半田性の向上には、半導体素子とリードフレームが強く接着していることと半田処理時の応力を緩和させることが必要である。しかし、従来の半導体用樹脂ペーストでは、リードフレームと半導体素子との接着性及び熱時の弾性率を低下させることの両立が困難であり、半導体装置の信頼性が期待した程には向上しないといった問題があった。
【0003】
一方、耐湿性の向上には半導体用樹脂ペースト及びエポキシ樹脂組成物からなる封止材中の不純物、特にハロゲンイオンやアルカリ金属イオンの低減が必須である。半導体装置の吸湿処理を行うと各部材界面の水分濃度が増加するため、水分に溶出した上記イオンが半導体素子の表面に多くなることから配線の腐食が発生する。耐半田性を向上させるため、多官能エポキシ樹脂を用いた半導体用樹脂ペーストが提案されており、接着強度は向上するが、弾性率が高くなってしまうため耐半田性が向上しないという欠点があった。脂肪族系多官能エポキシ樹脂や水添エポキシ樹脂を使用した例も報告されており、接着強度と弾性率の両立化が可能であるが、樹脂中に含まれる塩素濃度が高く耐湿性信頼性に劣るという問題があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、最近では半導体装置の生産性を向上するため、半導体用樹脂ペーストをオーブン中で短時間硬化したり、インライン硬化装置を用いて短時間硬化する方法が行われているが、従来の脂肪族系エポキシ樹脂や水添エポキシ樹脂を使用した半導体用樹脂ペーストは、硬化性に劣るため短時間硬化には適さないという問題があった。硬化性を向上させるだけであれば、硬化促進剤やエポキシ樹脂との反応性の高いアミン系硬化剤、ポリチオール、低融点のイミダゾール化合物を配合すればよいが、この場合室温での半導体用樹脂ペーストの保存性が短くなり、硬化時間の短縮と同時に室温での半導体用樹脂ペーストの粘度変化を少なくすることの両立化が課題であった。このため耐半田性試験及び耐湿試験において半導体用樹脂ペースト層の剥離や半導体素子の配線腐食が起こらず、信頼性に優れた短時間硬化が可能な半導体用樹脂ペーストが求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特願2001−390900号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、短時間硬化が可能で、熱時接着強度が高く、熱時低弾性率特性を有し、かつイオン性不純物が少ない半導体用樹脂ペースト及びそれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] (A)全エポキシ樹脂中に、加水分解性塩素含有量1000ppm以下の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を5重量%以上含むエポキシ樹脂、(B)融点100℃以上のイミダゾール化合物と(C)活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂を含む硬化剤及び(D)フィラーを必須成分とし、かつ(B)/(C)(エポキシ樹脂100重量部に対する重量比)=0.1〜20/0.5〜50であることを特徴とする半導体用樹脂ペースト、
【0008】
【化4】
Figure 2004155982
(Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。nは平均値で0〜3の正数。)
【0009】
[2] 一般式(1)で示される化合物が、式(2)又は式(3)である第[1]項記載の半導体用樹脂ペースト、
【0010】
【化5】
Figure 2004155982
(nは平均値で0〜3の正数。)
【0011】
【化6】
Figure 2004155982
(nは平均値で0〜3の正数。)
【0012】
[3] (A)全エポキシ樹脂中に、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む第[1]項又は[2]項記載の半導体用樹脂ペースト、
[4] 第[1]項〜[3]項のいずれかに記載の半導体用樹脂ペーストを用いて製作されてなることを特徴とする半導体装置、
である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、加水分解性塩素含有量が1000ppm以下のエポキシ樹脂である。1000ppmを越えると半導体用樹脂ペースト中の塩素イオン量が多くなり、耐湿信頼性試験において半導体素子の配線を腐食させる。加水分解性塩素含有量が少ないほど耐湿信頼性が向上する。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、分子内に芳香環を含まないため、低粘度で、且つ弾性率を低下させるという特徴がある。通常弾性率が低下すると、半導体用樹脂ペーストの硬化物の機械強度や接着強度が低下する傾向にあるが、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂はエポキシ基間距離が、通常のビスフェノール型エポキシ樹脂と同じであり、これを用いた樹脂ペーストの硬化物の機械強度や接着強度は低下しないという特徴がある。一般式(1)のnの平均値が、3を越えると粘度が上昇したり、エポキシ基間の距離が長くなるため半導体用樹脂ペーストの硬化物の架橋密度が低下し、接着強度が低下する。
【0014】
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の具体例としては、前記した式(2)、式(3)及び式(4)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは、加水分解性塩素含有量の少ない樹脂の入手のし易さ、低粘度で他のエポキシ樹脂との相溶性に優れていることから、特に式(2)及び式(3)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。
【0015】
【化7】
Figure 2004155982
【0016】
加水分解性塩素含有量1000ppm以下の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂中に5重量%以上含む必要がある。5重量%未満だと半導体用樹脂ペーストの硬化物の弾性率を低下させることができない。又一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と併用する場合のエポキシ樹脂としては、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指す。例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂、 ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂、ジグリシジルヒダントイン等の複素環式エポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、アリサイクリックジエポキシーアジペイト等の脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ジフェニレン骨格を含む)型エポキシ樹脂、グリシジルアミン等が挙げられる。これらのうちでは、配合するときの作業性及び配合後の半導体用樹脂ペーストの粘度の点から、分子量が小さく、25℃で液状のものが好ましく、更に好ましくは一般式(1)で示されるエポキシ樹脂との相溶性に優れ、低粘度で接着強度も優れている、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂が望ましい。これらは単独でも併用してもよい。なお一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の加水分解性塩素量は、エポキシ樹脂のジオキサン溶液に1N−KOH・無水エタノール溶液を添加し、30分間煮沸還流することにより遊離した塩素量を0.01N−AgNO規定液で電位差滴定することにより測定した。電位差滴定に用いた自動滴定装置は平沼製作所・製COMTITE−8型、電極には銀電極、比較電極(KSO飽和液)を用いた。
【0017】
本発明においては、用いるエポキシ樹脂が固形や半固形である場合や、液状でも粘度が高い場合は、エポキシ基を有する反応性希釈剤を併用することが好ましい。反応性希釈剤としては、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、バーサティック酸グリシジルエステル、スチレンオサイド、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは単独でも併用してもよい。
【0018】
本発明で用いられる硬化剤は、融点100℃以上のイミダゾール化合物と活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂を必須成分とする。イミダゾール化合物はエポキシ樹脂の硬化剤及びエポキシ樹脂の単独重合の触媒として作用するが、硬化剤にフェノール樹脂を併用すると硬化促進剤としても作用し、単独で使用するより低温で硬化し且つ硬化も速くなるという特徴がある。特に活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂を併用すると、フェノール樹脂が架橋構造内に取り込まれるため、接着強度、特に吸湿後の接着強度の低下が少なく、耐半田性にも優れる。その配合割合[(B)/(C)(エポキシ樹脂100重量部に対する重量比)]は、(0.1〜20)/(0.5〜50)である。0.1/0.5未満だと硬化が遅く、20/50を越えると粘度が高くなり、半導体用樹脂ペーストの保存性も劣る。
本発明においては、上記の特性を損なわない範囲で他の硬化剤を併用してもよい。併用できる硬化剤としては、例えば融点が100℃未満のイミダゾール化合物、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミンアダクト等の変性アミン、酸無水物、ポリアミド、ジシアンジアミド、メラミン誘導体、アミン類とケトンの反応物、ポリメルカプタン等が挙げられる。これらは
単独でも併用してもよい。
【0019】
融点が100℃以上のイミダゾール化合物としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等の一般的なイミダゾールやトリアジンやイソシアヌル酸を付加し、保存安定性を付与した2,4−ジアミノ−6−{2’−メチルイミダゾール−(1’)}−エチル−S−トリアジン、又そのイソシアヌル酸付加物や2−エチルー4−メチルイミダゾールが2分子メチレン基で結合した4,4’−メチレンービスー(2−エチル−5−メチルイミダゾール)等が挙げられ、これらは単独でも併用してもよい。融点が100℃以上であれば得られた半導体用樹脂ペーストを25℃に保存した場合のエポキシ樹脂とイミダゾール化合物との反応速度が遅くなり半導体用樹脂ペーストの粘度の上昇が起こらず、一方加熱するとアニオン重合が速やかに進行して短時間での硬化が可能となる。本発明でのイミダゾール化合物の融点は、日本薬局方に準拠した融点測定器(例:柴田−B545型)を用いて、試料を微細の粉末にして、硬質ガラス製の毛細管(内径1.0mm、肉厚0.2mm、長さ120mmで一端を閉じたもの)に3mm程度に硬く詰めて、昇温速度1℃/分で加熱し、試料が液化したときの温度を融点とした。
【0020】
活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、o−ヒドロキシフェノール、m−ヒドロキシフェノール、p−ヒドロキシフェノール、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、又フェノール、クレゾール、キシレノール等の1価フェノール類とホルムアルデヒドとを稀薄水溶液中強酸性下で反応させることによって得られるフェノールノボラック樹脂、1価フェノール類とアクロレイン、グリオキザール等の多官能アルデヒド類との酸性下の初期縮合物やレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等の多価フェノール類とホルムアルデヒドとの酸性下の初期縮合物、フェノールアラルキル(フェニレン、ジフェニレン骨格を含む)樹脂等が挙げられる。これらは単独でも併用してもよい。
【0021】
融点が100℃未満のイミダゾールとしては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチルー4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等の一般的なイミダゾールや、1―シアノエチルー2−エチルー4−メチルイミダゾール等の1−シアノエチル体等が挙げられる。ジカルボン酸ジヒドラジド化合物としては、例えばアジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ジヒドラジド等のカルボン酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらは単独でも併用してもよい。
【0022】
本発明で用いられるフィラーとしては、例えば無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。無機フィラーとしては、例えば金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉等の金属粉や半田粉、ニッケル・パラジウム粉等の合金粉や、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミ、タルク等が挙げられる。これらのうちでは、金属粉や合金粉は、主に導電性や熱伝導性を付与するために用いられる。有機フィラーとしては、例えばシリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂やメラミン樹脂等が挙げられる。
【0023】
その中でも導電性用途の半導体用樹脂ペーストには、特に銀粉が入手の容易さと形状や粒径の種類の豊富さ、導電性が良好であり加熱しても導電性が変化しない点で好ましく、絶縁性用途の半導体用樹脂ペーストには、シリカが入手の容易さと種類の豊富さの点で好ましい。
これらのフィラーは、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等のイオン性不純物含有量が10ppm以下であることが好ましい。又フィラーの形状としては、例えばフレーク状、鱗片状、樹枝状、球状等のものが用いられる。
【0024】
必要とする半導体用樹脂ペーストの粘度によって、用いるフィラーの粒径は異なるが、通常平均粒径は0.3〜20μm、最大粒径は50μm程度のものが好ましい。平均粒径が下限値未満だと粘度が高くなり、上限値を越えると塗布又は硬化時に樹脂成分が流出するのでブリードが発生する可能性がある。最大粒径が上限値を越えるとディスペンサーで半導体用樹脂ペーストを塗布するときに、ニードルの出口を塞ぎ長時間の連続使用ができない。又比較的粗いフィラーと細かいフィラーとを混合して用いることもでき、種類、形状についても各種のものを適宜混合してもよい。
【0025】
必要とされる特性を付与するためには、前記以外のフィラーを用いてもよい。例えば粒径が1〜100nm程度のナノスケールフィラーや、シリカとアクリル樹脂との複合材、有機フィラー表面に金属コーティングを施したもの等の有機化合物と無機化合物との複合フィラー等が挙げられる。尚、本発明で用いるフィラーは、予め表面をアルコキシシラン、アシロキシシラン、シラザン、オルガノアミノシラン等のシランカップリング剤等で処理したものを用いてもよい。
【0026】
本発明の半導体用樹脂ペーストは(A)〜(D)成分を必須成分とするが、それら以外にも必要に応じて硬化促進剤、ゴムやシリコーン等の低応力化剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、顔料、染料、消泡剤、界面活性剤、溶剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明の半導体用樹脂ペーストは、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等を予備混合し、ロール、ホモジナイザーやビーズミル等を用いて混練した後、真空下脱泡する等の製造方法で得られる。
本発明の半導体用樹脂ペーストを用いて、半導体装置を製造するには、公知の方法を用いることができる。
【0027】
【実施例】
本発明を実施例で具体的に説明する。各成分の配合割合は重量部とする。
<実施例1〜12>
表1の配合に従って、各成分を混合し、ロールで混練し、真空チャンバーを用いて脱泡して半導体用樹脂ペーストを得た。得られた半導体用樹脂ペーストを以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0028】
<比較例1〜15>
実施例と同様にして半導体用樹脂ペーストを得、実施例と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0029】
<用いる原料成分>
・エポキシ樹脂:
式(2)で示される加水分解性塩素含有量700ppmのエポキシ樹脂(粘度400mPa・s/25℃、エポキシ当量190、n=0.3。)(以下EP−1という)
式(3)で示される加水分解性塩素含有量500ppmのエポキシ樹脂(粘度1500mPa・s/25℃、エポキシ当量210、n=0.3。)(以下EP−2という)
式(2)で示される加水分解性塩素含有量1500ppmのエポキシ樹脂(粘度400mPa・s/25℃、エポキシ当量190、n=0.3。)(以下EP−3という)
式(2)で示される加水分解性塩素含有量700ppmのエポキシ樹脂(半固形/25℃、エポキシ当量675、n=4.0。)(以下EP−4という)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(粘度4000mPa・s/25℃、エポキシ当量190。)(以下、BPAEPという)
硬化剤:
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(融点193℃)(以下、2P4MHZという)
2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリルー(1’)]−エチル−s−トリアジン(融点248℃)(以下、2MZ−Aという)
2−エチルー4−メチルイミダゾール(融点約41℃)(以下、2E4MZという。)
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104、軟化点75℃)
フェノールアラルキル(フェニレン骨格)樹脂(水酸基当量175、軟化点75℃)
・フィラー:
銀粉:粒径0.1〜30μm、平均粒径3μm、フレーク状。
シリカ:平均粒径3μm、最大粒径20μm、球状。
【0030】
<評価方法>
・粘度:E型粘度計(3°コーン)を用いて、25℃、2.5rpmでの値を測定した。
・粘度変化率:初期の粘度と25℃で48時間放置した後の粘度を測定し、粘度変化率を次式により求めた。
粘度変化率(%)=[(25℃で48時間放置した後の粘度)/(初期の粘度)]×100
・塩素イオン濃度:半導体用樹脂ペースト5gをオーブンを用いて200℃、60分間で硬化した。この硬化物を粉砕し、200メッシュの篩で篩分して通過した粉を2g前後精秤し蒸留水40gと共に耐圧容器に入れ、120℃、20時間抽出した。抽出水の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。
・接着強度:5mm×5mmのシリコンチップを、半導体用樹脂ペーストを用いて銅フレームにマウントし、オーブンを用いて150℃、15分間で硬化、及びインライン硬化装置を用いて200℃、60秒で硬化した。硬化後、260℃のホットプレートに載置し10秒後のせん断強度をマウント強度測定装置を用いて測定した。
・弾性率:テフロン(R)シート上に半導体用樹脂ペーストを幅4mm、長さ約50mm、厚さ200μmに塗布し、150℃のオーブン中で15分間硬化した後、DMS(粘弾性測定装置)を用いて試験長200mm、−100℃から350℃まで昇温速度3℃/分、10Hzで引張の粘弾性を測定し、260℃での貯蔵弾性率E’を求めた。
・硬化率:シリコンチップ(サイズ9.0mm×9.0mm、厚み0.3mm)を半導体用樹脂ペーストを用いてリードフレーム(銅製)にマウントし、オーブンを用いて窒素雰囲気下、150℃、15分間、及びインライン硬化装置を用いて200℃、60秒で硬化した。硬化後シリコンチップを剥がし、硬化した半導体用樹脂ペーストを削り取り、DSC(示差走査熱量計)で25℃から350℃まで昇温速度10℃/分で測定し、反応熱を測定した。又硬化していない半導体用樹脂ペーストを同様にして反応熱を測定し、次式により硬化率を求めた。
硬化率(%)=[(硬化した半導体用樹脂ペーストの反応熱)/(未硬化の半導体用樹脂ペーストの反応熱)]×100
・耐半田性(剥離率):シリコンチップ(サイズ9.0mm×9.0mm、厚み0.3mm)を半導体用樹脂ペーストを用いてリードフレーム(銅製)にマウントし、オーブンを用いて窒素雰囲気下、150℃、15分間、及びインライン硬化装置を用いて200℃、60秒で硬化した。このリードフレームをエポキシ樹脂封止材(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂系、フィラー量88重量%)を用いて、80ピンQFP(パッケージサイズは14×20mm、厚み2.0mm)を金型温度175℃、射出圧力7.4MPa、硬化時間60秒間でトランスファー成形し、175℃、8時間で後硬化させた。得られたパッケージを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後260℃の半田槽に10秒間浸漬した。透過型の超音波探傷装置を用いてパッケージ内部の剥離面積の合計値を測定し、又反射型の超音波探傷装置を用いてシリコンチップとエポキシ樹脂封止材との剥離面積及びリードフレームとエポキシ樹脂封止材との剥離面積の合計値を測定した。(ダイアタッチ層の剥離面積)=[(透過での剥離面積の合計値)−(反射での剥離面積の合計値)]を求め、半導体用樹脂ペーストの剥離率を、(剥離率)=[(ダイアタッチ層の剥離面積)/(チップ面積)]×100として、5個のパッケージの平均値を求め、%で表示した。
・耐湿性信頼性:IC用TEG(サイズ9.0mm×9.0mm、アルミ配線、線幅1μm)を半導体用樹脂ペーストを用いてリードフレーム(銅製)にマウントし、オーブンを用いて窒素雰囲気下、200℃、60分間で硬化した。硬化後、金線ワイヤーボンディングを行い、エポキシ樹脂封止材(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂系、フィラー量88重量%)を用いて、80ピンQFP(パッケージサイズは14×20mm、厚み2.0mm)を金型温度175℃、射出圧力7.4MPa、硬化時間60秒間でトランスファー成形し、175℃、8時間で後硬化させた。このパッケージを125℃、相対湿度85%の環境下で10Vの電圧を印加し、500時間処理を行った後、発煙硝酸にて開封してTEG表面を観察し、アルミ配線腐食の有無を確認した。
【0031】
【表1】
Figure 2004155982
【0032】
【表2】
Figure 2004155982
【0033】
【発明の効果】
本発明は、短時間硬化が可能で、熱時接着強度が高く、熱時低弾性率に優れた特性を有し、かつイオン性不純物が少ない半導体用樹脂ペーストであり、これを用いた半導体装置は、耐半田性試験及び耐湿試験において半導体用樹脂ペーストの硬化層の剥離や半導体素子の配線腐食が発生せず、信頼性に優れ、又インライン硬化装置での半導体装置の短時間硬化を可能する。

Claims (4)

  1. (A)全エポキシ樹脂中に、加水分解性塩素含有量1000ppm以下の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を5重量%以上含むエポキシ樹脂、(B)融点100℃以上のイミダゾール化合物と(C)活性水素基を1分子当り2個以上有するフェノール樹脂を含む硬化剤及び(D)フィラーを必須成分とし、かつ(B)/(C)(エポキシ樹脂100重量部に対する重量比)=(0.1〜20)/(0.5〜50)であることを特徴とする半導体用樹脂ペースト。
    Figure 2004155982
    (Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。nは平均値で0〜3の正数。)
  2. 一般式(1)で示される化合物が、式(2)又は式(3)である請求項1記載の半導体用樹脂ペースト。
    Figure 2004155982
    (nは平均値で0〜3の正数。)
    Figure 2004155982
    (nは平均値で0〜3の正数。)
  3. (A)全エポキシ樹脂中に、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む請求項1又は2記載の半導体用樹脂ペースト。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の半導体用樹脂ペーストを用いて製作されてなることを特徴とする半導体装置。
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