JP2004155690A - 養毛剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物において、熱による経時的な着色を低減することのできる養毛剤組成物を提供することにある。
【解決手段】ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする養毛剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする養毛剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、養毛剤組成物、特にミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物における熱による着色の抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミノキシジルとは、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキサイドと表される化合物のことであり、外用として局所に適用することによって、脱毛の治療に効果のあることから、養毛剤の配合成分として用いられることが知られている。
【0003】
しかしながら、このようなミノキシジル製剤を頭皮に処方する場合、皮膚は薬物透過に対する抵抗性を有しているため、養毛効果が十分に発揮される程度にミノキシジルを頭皮に吸収させるには、多量の製剤を頻繁に適用する必要があった。このために、従来、頭皮におけるミノキシジルの吸収性を向上し、養毛効果を増強させる目的で様々な試みがなされている。例えば、ミノキシジルとともに多価アルコールのモノアルキルエーテルを配合する方法(例えば、特許文献1参照)、ミノキシジルとともにジプロピレングリコールを配合する方法(例えば、特許文献2参照)等が報告されている。
また一方で、従来、高級脂肪酸類は、経皮吸収を促進する効果、更には経毛吸収を促進する効果を有することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−277209号公報
【特許文献2】
特開平10−265343号公報
【特許文献3】
特開2002−71682号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ミノキシジル含有製剤において、養毛効果を増強する目的で、前述した経皮・経毛吸収促進剤として知られる高級脂肪酸を配合した場合、高温条件下、あるいは室温下であっても、熱によって経時的に着色してしまうため、着色により使用者に対して不潔感や、変質又は劣化の不安感を与えてしまい、また、使用の際に衣類や寝具等を汚染してしまうという恐れがあった。このため、従来、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤を実用化することは困難であった。
【0006】
本発明は、前述のような課題に鑑み行われたものであり、その目的は、ミノキシジルと、経皮・経毛吸収促進剤である高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物において、熱による経時的な着色を低減することのできる養毛剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意研究を行った結果、ミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物中に、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明にかかる養毛剤組成物は、ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする。また、前記養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤が塩化ベンザルコニウム、又はN−アルカノイル−L−アルギニンエチルエステル−D,L−ピロリドンカルボン酸塩であることが好適である。また、前記養毛剤組成物において、高級脂肪酸の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%、カチオン性界面活性剤の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができることを見出したものである。このため、本発明にかかる養毛剤組成物は、ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明において、ミノキシジルとは、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキサイドで表される化合物のことである。本発明の養毛剤組成物において、ミノキシジルの配合量は、0.5〜10.0W/V%であることが好ましい。ミノキシジルの配合量が0.5W/V%未満であると薬効が充分に得られない場合があり、10.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。なお、下記一般式化1にミノキシジルの化学構造を示す。
【0011】
【化1】
【0012】
また、本発明に用いられる高級脂肪酸とは、炭素数8以上の脂肪酸のことをいい、このような化合物であれば、特に制限されることなく用いることができる。本発明に用いられる高級脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【0013】
また一方で、通常の養毛剤組成物は、薬効成分を含む各種配合成分を、水と揮発性溶媒との混合溶媒中に溶解した形態のものであるが、本発明の養毛剤組成物における水の配合量は、脱脂による皮膚の乾燥防止、及び速乾性の観点から、水/揮発性溶媒混合系において1.0〜50.0W/V%が好ましい。そして、本発明にかかる養毛剤組成物が不均一系の場合には、高級脂肪酸の経皮・経毛吸収促進効果が十分に発揮できない場合があることから、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、前記水/揮発性溶媒混合系に溶解可能な高級脂肪酸であることが好ましい。
【0014】
なお、本発明に用いられる揮発性溶媒としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルコール、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの揮発性有機溶媒のうち、毒性や安全性の点から好ましいものとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール等の低級アルコールが挙げられ、安全性の点から、特にエタノール、イソプロパノールが好ましい。
【0015】
また、高級脂肪酸は酸化による変性を起こすことが知られているが、これは、光、熱等の影響により、高級脂肪酸の不飽和二重結合部分に酸素が付加することによって起こる。すなわち、不飽和高級脂肪酸の二重結合に隣接する炭素原子は水素原子を失い易く、光や熱の影響によってフリーラジカルを形成し、つづいて、このフリーラジカルに、酸素が付加して過酸化物ラジカルを生じる。そして、この過酸化物ラジカル生成は連鎖的に起こり、結果的に低級炭化水素化合物への分解が進行していくのである。
【0016】
このように、不飽和二重結合を有している高級脂肪酸は、酸化による分解を受け易く、また、さらに本発明の毛髪組成物に配合した場合では、高級脂肪酸の酸化により生じた過酸化物ラジカルがミノキシジルの安定性に悪影響を及ぼすものとも考えられることから、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、不飽和結合数が1以下の高級脂肪酸が好ましく、更には、飽和高級脂肪酸であることが好ましい。また、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、液状の飽和高級脂肪酸であるイソステアリン酸が、酸化安定性に加え、ミノキシジルの経皮・経毛吸収性の促進効果に優れている点から、最も好ましい。
【0017】
また、本発明の養毛剤組成物において、高級脂肪酸の配合量は組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好ましい。高級脂肪酸の配合量が、0.01W/V%未満であると、経皮・経毛吸収促進効果が充分に得られない場合があり、5.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。
【0018】
本発明に用いられるカチオン性界面活性剤としては、通常のカチオン性界面活性剤であれば、特に制限されることなく用いることができる。本発明に用いられるカチオン性界面活性剤としては、例えば、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N、N’−ジメチル−3、5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を挙げることができる。また、これらのカチオン性界面活性剤のうち、特に、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩等のN−アルカノイル−L−アルギニンエチルエステル−D,L−ピロリドンカルボン酸塩、及び塩化ベンザルコニウムを、本発明に好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明の養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤の配合量は組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好ましい。カチオン性界面活性剤の配合量が0.01W/V%未満であると、着色抑制効果が充分に得られない場合があり、5.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。
【0020】
また、本発明の養毛剤組成物においては、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品等に通常用いられる他の成分を、必要に応じて適宜配合して製造することができる。例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられる。
【0021】
また、本発明にかかる養毛剤組成物を、医薬品、医薬部外品、化粧料として用いる場合、その剤型は本発明の効果を発揮できるものであれば任意に選択することができ、例えば、ローション、エアゾール 等が挙げられる。
【0022】
また、本発明にかかる養毛組成物は、各種剤型に応じた容器中で保存することができ、この容器としては、材質、形状等によって特に限定されることなく、適宜選択したものを用いることができるが、光による製剤の着色の問題から、遮光性の容器を用いることが好ましい。樹脂容器の場合は、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り、W/V%で示す。
【0024】
本発明者らは、まず最初にミノキシジル配合製剤中に高級脂肪酸を配合した組成物を調整し、熱による安定性についての検討を行った。
試験例1〜3
下記表1に示す配合処方により製造した組成物を、50℃で2週間保持したもの、及び60℃で2週間保持したものをそれぞれ準備し、各組成物について着色評価試験を行った。
試験に用いた組成物の配合処方と試験結果とを併せて表1に示す。なお、試験に用いた着色評価の評価方法は以下の通りである。
【0025】
(着色評価)
各試料を20mlガラス管に充填し、白色背景下、目視にて下記評価基準に従い評価を行った。
◎ :変化なし(無色透明)
○ :わずかに着色
△ :着色
× :強く着色
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示されるように、ミノキシジル配合製剤中にイソステアリン酸等の高級脂肪酸を配合した試験例1〜3では、高温で保持することにより何れの組成物においても着色を呈している。このことから、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤においては、熱により経時的に着色が起こることが確認された。
【0028】
以上のことから、本発明者らは、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤における熱による着色を抑えるための、他成分の配合について検討を行った。
実施例1〜4、比較例1〜5
下記表2及び3に示す配合処方により製造した組成物を、50℃で2週間保持したもの、及び60℃で2週間保持したものをそれぞれ準備し、各組成物について着色評価試験を行った。
試験に用いた組成物の配合処方と試験結果とを併せて表2及び3に示す。なお、試験に用いた着色評価の評価方法は前記の通りである。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
表2に示されるように、ミノキシジルと高級脂肪酸の配合製剤において、更に、塩化ベンザルコニウム、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩といったカチオン性界面活性剤を共に配合した実施例1〜4では、これを配合していない前記試験例1〜3と比較して、熱による経時的な着色が低減されていることが分かる。
一方で、表3に示されるように、抗酸化物質やアミノ酸等を共に配合した比較例1〜5においては、これらを配合していない前記試験例1〜3と比較して、着色を低減するといった効果は特に認められなかった。
【0032】
以上のことから、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合する製剤において、さらにカチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による着色を低減することができると考えられる。
【0033】
以下に、本発明にかかる養毛剤組成物の好適な処方例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[処方例1]養毛ローション
室温下、常法に従い混合することにより、液状の養毛ローションを得た。
【0034】
[処方例2]養毛ローション
室温下、常法に従い混合することにより、液状の養毛ローションを得た。
【0035】
[処方例3]養毛エアゾール
常法に従い調製した原液を缶に充填し、バルブ装着後DMEを充填して、養毛エアゾールを得た。
【0036】
[処方例4]養毛エアゾール
常法に従い調製した原液を缶に充填し、バルブ装着後LPGを充填して、養毛エアゾールを得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合する養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、養毛剤組成物、特にミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物における熱による着色の抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミノキシジルとは、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキサイドと表される化合物のことであり、外用として局所に適用することによって、脱毛の治療に効果のあることから、養毛剤の配合成分として用いられることが知られている。
【0003】
しかしながら、このようなミノキシジル製剤を頭皮に処方する場合、皮膚は薬物透過に対する抵抗性を有しているため、養毛効果が十分に発揮される程度にミノキシジルを頭皮に吸収させるには、多量の製剤を頻繁に適用する必要があった。このために、従来、頭皮におけるミノキシジルの吸収性を向上し、養毛効果を増強させる目的で様々な試みがなされている。例えば、ミノキシジルとともに多価アルコールのモノアルキルエーテルを配合する方法(例えば、特許文献1参照)、ミノキシジルとともにジプロピレングリコールを配合する方法(例えば、特許文献2参照)等が報告されている。
また一方で、従来、高級脂肪酸類は、経皮吸収を促進する効果、更には経毛吸収を促進する効果を有することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−277209号公報
【特許文献2】
特開平10−265343号公報
【特許文献3】
特開2002−71682号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ミノキシジル含有製剤において、養毛効果を増強する目的で、前述した経皮・経毛吸収促進剤として知られる高級脂肪酸を配合した場合、高温条件下、あるいは室温下であっても、熱によって経時的に着色してしまうため、着色により使用者に対して不潔感や、変質又は劣化の不安感を与えてしまい、また、使用の際に衣類や寝具等を汚染してしまうという恐れがあった。このため、従来、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤を実用化することは困難であった。
【0006】
本発明は、前述のような課題に鑑み行われたものであり、その目的は、ミノキシジルと、経皮・経毛吸収促進剤である高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物において、熱による経時的な着色を低減することのできる養毛剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意研究を行った結果、ミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物中に、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明にかかる養毛剤組成物は、ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする。また、前記養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤が塩化ベンザルコニウム、又はN−アルカノイル−L−アルギニンエチルエステル−D,L−ピロリドンカルボン酸塩であることが好適である。また、前記養毛剤組成物において、高級脂肪酸の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%、カチオン性界面活性剤の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ミノキシジルと高級脂肪酸とを含有する養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができることを見出したものである。このため、本発明にかかる養毛剤組成物は、ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明において、ミノキシジルとは、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキサイドで表される化合物のことである。本発明の養毛剤組成物において、ミノキシジルの配合量は、0.5〜10.0W/V%であることが好ましい。ミノキシジルの配合量が0.5W/V%未満であると薬効が充分に得られない場合があり、10.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。なお、下記一般式化1にミノキシジルの化学構造を示す。
【0011】
【化1】
【0012】
また、本発明に用いられる高級脂肪酸とは、炭素数8以上の脂肪酸のことをいい、このような化合物であれば、特に制限されることなく用いることができる。本発明に用いられる高級脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【0013】
また一方で、通常の養毛剤組成物は、薬効成分を含む各種配合成分を、水と揮発性溶媒との混合溶媒中に溶解した形態のものであるが、本発明の養毛剤組成物における水の配合量は、脱脂による皮膚の乾燥防止、及び速乾性の観点から、水/揮発性溶媒混合系において1.0〜50.0W/V%が好ましい。そして、本発明にかかる養毛剤組成物が不均一系の場合には、高級脂肪酸の経皮・経毛吸収促進効果が十分に発揮できない場合があることから、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、前記水/揮発性溶媒混合系に溶解可能な高級脂肪酸であることが好ましい。
【0014】
なお、本発明に用いられる揮発性溶媒としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルコール、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの揮発性有機溶媒のうち、毒性や安全性の点から好ましいものとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール等の低級アルコールが挙げられ、安全性の点から、特にエタノール、イソプロパノールが好ましい。
【0015】
また、高級脂肪酸は酸化による変性を起こすことが知られているが、これは、光、熱等の影響により、高級脂肪酸の不飽和二重結合部分に酸素が付加することによって起こる。すなわち、不飽和高級脂肪酸の二重結合に隣接する炭素原子は水素原子を失い易く、光や熱の影響によってフリーラジカルを形成し、つづいて、このフリーラジカルに、酸素が付加して過酸化物ラジカルを生じる。そして、この過酸化物ラジカル生成は連鎖的に起こり、結果的に低級炭化水素化合物への分解が進行していくのである。
【0016】
このように、不飽和二重結合を有している高級脂肪酸は、酸化による分解を受け易く、また、さらに本発明の毛髪組成物に配合した場合では、高級脂肪酸の酸化により生じた過酸化物ラジカルがミノキシジルの安定性に悪影響を及ぼすものとも考えられることから、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、不飽和結合数が1以下の高級脂肪酸が好ましく、更には、飽和高級脂肪酸であることが好ましい。また、本発明に用いられる高級脂肪酸としては、液状の飽和高級脂肪酸であるイソステアリン酸が、酸化安定性に加え、ミノキシジルの経皮・経毛吸収性の促進効果に優れている点から、最も好ましい。
【0017】
また、本発明の養毛剤組成物において、高級脂肪酸の配合量は組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好ましい。高級脂肪酸の配合量が、0.01W/V%未満であると、経皮・経毛吸収促進効果が充分に得られない場合があり、5.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。
【0018】
本発明に用いられるカチオン性界面活性剤としては、通常のカチオン性界面活性剤であれば、特に制限されることなく用いることができる。本発明に用いられるカチオン性界面活性剤としては、例えば、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N、N’−ジメチル−3、5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を挙げることができる。また、これらのカチオン性界面活性剤のうち、特に、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩等のN−アルカノイル−L−アルギニンエチルエステル−D,L−ピロリドンカルボン酸塩、及び塩化ベンザルコニウムを、本発明に好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明の養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤の配合量は組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることが好ましい。カチオン性界面活性剤の配合量が0.01W/V%未満であると、着色抑制効果が充分に得られない場合があり、5.0W/V%を超えての配合は安全性の点で好ましくない。
【0020】
また、本発明の養毛剤組成物においては、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品等に通常用いられる他の成分を、必要に応じて適宜配合して製造することができる。例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられる。
【0021】
また、本発明にかかる養毛剤組成物を、医薬品、医薬部外品、化粧料として用いる場合、その剤型は本発明の効果を発揮できるものであれば任意に選択することができ、例えば、ローション、エアゾール 等が挙げられる。
【0022】
また、本発明にかかる養毛組成物は、各種剤型に応じた容器中で保存することができ、この容器としては、材質、形状等によって特に限定されることなく、適宜選択したものを用いることができるが、光による製剤の着色の問題から、遮光性の容器を用いることが好ましい。樹脂容器の場合は、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り、W/V%で示す。
【0024】
本発明者らは、まず最初にミノキシジル配合製剤中に高級脂肪酸を配合した組成物を調整し、熱による安定性についての検討を行った。
試験例1〜3
下記表1に示す配合処方により製造した組成物を、50℃で2週間保持したもの、及び60℃で2週間保持したものをそれぞれ準備し、各組成物について着色評価試験を行った。
試験に用いた組成物の配合処方と試験結果とを併せて表1に示す。なお、試験に用いた着色評価の評価方法は以下の通りである。
【0025】
(着色評価)
各試料を20mlガラス管に充填し、白色背景下、目視にて下記評価基準に従い評価を行った。
◎ :変化なし(無色透明)
○ :わずかに着色
△ :着色
× :強く着色
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示されるように、ミノキシジル配合製剤中にイソステアリン酸等の高級脂肪酸を配合した試験例1〜3では、高温で保持することにより何れの組成物においても着色を呈している。このことから、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤においては、熱により経時的に着色が起こることが確認された。
【0028】
以上のことから、本発明者らは、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合した製剤における熱による着色を抑えるための、他成分の配合について検討を行った。
実施例1〜4、比較例1〜5
下記表2及び3に示す配合処方により製造した組成物を、50℃で2週間保持したもの、及び60℃で2週間保持したものをそれぞれ準備し、各組成物について着色評価試験を行った。
試験に用いた組成物の配合処方と試験結果とを併せて表2及び3に示す。なお、試験に用いた着色評価の評価方法は前記の通りである。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
表2に示されるように、ミノキシジルと高級脂肪酸の配合製剤において、更に、塩化ベンザルコニウム、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩といったカチオン性界面活性剤を共に配合した実施例1〜4では、これを配合していない前記試験例1〜3と比較して、熱による経時的な着色が低減されていることが分かる。
一方で、表3に示されるように、抗酸化物質やアミノ酸等を共に配合した比較例1〜5においては、これらを配合していない前記試験例1〜3と比較して、着色を低減するといった効果は特に認められなかった。
【0032】
以上のことから、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合する製剤において、さらにカチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による着色を低減することができると考えられる。
【0033】
以下に、本発明にかかる養毛剤組成物の好適な処方例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[処方例1]養毛ローション
室温下、常法に従い混合することにより、液状の養毛ローションを得た。
【0034】
[処方例2]養毛ローション
室温下、常法に従い混合することにより、液状の養毛ローションを得た。
【0035】
[処方例3]養毛エアゾール
常法に従い調製した原液を缶に充填し、バルブ装着後DMEを充填して、養毛エアゾールを得た。
【0036】
[処方例4]養毛エアゾール
常法に従い調製した原液を缶に充填し、バルブ装着後LPGを充填して、養毛エアゾールを得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、ミノキシジルと高級脂肪酸とを配合する養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤を共に配合することにより、熱による経時的な着色を低減することができる。
Claims (3)
- ミノキシジルと、高級脂肪酸と、カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする養毛剤組成物。
- 請求項1に記載の養毛剤組成物において、カチオン性界面活性剤が塩化ベンザルコニウム、又はN−アルカノイル−L−アルギニンエチルエステル−D,L−ピロリドンカルボン酸塩であることを特徴とする養毛剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の養毛剤組成物において、高級脂肪酸の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%、カチオン性界面活性剤の配合量が組成物全量中0.01〜5.0W/V%であることを特徴とする養毛剤組成物。
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