JP2004155608A - 酸化チタン膜形成用液体、酸化チタン膜の形成法、酸化チタン膜及び光触媒性部材 - Google Patents

酸化チタン膜形成用液体、酸化チタン膜の形成法、酸化チタン膜及び光触媒性部材 Download PDF

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豊 郷
Shuhei Yoshikawa
修平 吉川
Makoto Murakami
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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れ、基材への塗布時に弾きや寄りが無く、100〜250℃で短時間で乾燥し、均一で、干渉色が出にくく、透明で、硬度が高く、密着性、耐磨耗性、耐久性、光触媒能に優れる酸化チタン膜を形成しうる酸化チタン膜形成用液体を提供する。
【解決手段】ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル、ペルオキソチタン酸水溶液又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液に対し、ポリエーテル構造を有する有機物質を溶解してなる酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液に対し、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類、ブチルセロソルブ及び水を混合して得られる混合溶媒を混合して得られる酸化チタン膜形成用液体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護皮膜、紫外線カット皮膜、着色コーティング、及び有機物分解、水若しくは空気の浄化、防汚染、防曇、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭及び有害ガス分解機能等に用いられる光触媒などの分野に利用される酸化チタン膜形成用液体、酸化チタン膜の形成法、酸化チタン膜及び光触媒性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン膜形成方法は、酸化チタン粉体スラリーあるいは塩化チタンや硫酸チタンの水溶液を基体に塗布後、焼成する塗布法、金属アルコキシドの加水分解で作製したゾルを基体に塗布後、焼成するゾルゲル法、高真空中で酸化物のターゲットをスパッタリングし基体上に成膜するスパッタ法、有機金属やハロゲン化物を揮発させ電気炉の中で分解して基体上に膜を作製するCVD法、固体粒子を大気中で発生させたプラズマ中で溶融し基体表面にたたきつけるプラズマ溶射法等がある。
【0003】
酸化チタン粉末スラリーの塗布法は簡単ではあるが、緻密で密着性良好な膜は得られ難く、合成温度が一般に高いため基体の種類にかなりの制限がある。塩化チタンや硫酸チタン等の水溶液を塗布する方法は有害なハロゲン化合物を生成し、前記の産業上の利用分野には使用されない。
プラズマ溶射は固体をプラズマ中で溶融し機体表面にたたきつける成膜法で成膜速度は速いが、緻密な膜は得られ難く、均一で密着性に富んだ酸化チタン膜を作製することは出来なかった。
【0004】
また、スパッタ法やCVD法などは減圧下でなければ良好な膜が得られず、真空排気できる反応容器が必要であり、一般に成膜速度が遅いという欠点がある。ゾルゲル法で作製された市販の酸化チタンゾルは塗布や含浸処理が可能で、大面積コーティングが可能で工業的な利点が多いが、チタンテトライソプロポキサイドやテトラブチルチタネイトなどの有機金属を利用して合成しなければならなかったため、原料が高価で、しかも原料が化学的に不安定で温度制御や雰囲気に影響されやすく取り扱い難いという課題があった。また、ゾルゲル法は原料ゾル中に酸や有機物を含むので焼成除去するのに400℃以上の加熱が必要であり、酸に侵されやすい材料には不向きで、低温焼成では多孔質になりやすい。また、ゾルゲル法によって作製した酸化チタンゾル中には酸やアルカリあるいは有機物が加えられており、被コーティング材の腐食の問題や有機物焼却のための温度(400℃以上)が必要で、加熱焼成中に有害なハロゲン化物や窒素酸化物などが副成する等の欠点があった。
【0005】
これらの欠点を改良するため、塩化チタン水溶液とアンモニア等のアルカリ水溶液から水酸化チタンゲルを沈殿させ、さらに過酸化水素水を加えて得られる透明粘性液体、すなわち、ペルオキソチタン酸水溶液を、80℃以上で加熱処理を行ない得られる結晶化した酸化チタンの超微粒子を含む液体、すなわちペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾルを基体上に塗布乾燥、又は低温で加熱処理することにより、付着性に優れた緻密なチタニア膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法で得られるペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル、又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液は、単独で基材に塗布すると、液が液滴状に弾く現象や、部分的に液が寄ってしまう現象があり、均一な膜ができないといった問題があった。
【0006】
これらのペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル、又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液は、一般に基材との塗れ性及び塗装時の乾燥性を向上させるために、エタノール等の揮発性の高い有機溶媒を併用して使用されるが、基材がプラスチック等の有機物や、有機物を含有する塗料を塗布して得られた膜のように撥水性の高い場合は、十分な塗れ性が得られないという問題が残っていた。
【0007】
また、有機溶媒の選定を誤ると、ペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル、又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液と有機溶媒とを容量比1:1ほどで混合すると、白濁、ゲル化等が起こり易くなり、また、混合時に問題無く使用できたとしても、経時で、白濁、ゲル化等が起こってしまい、使用可能な時間が短く、また得られた塗膜は、干渉色や濁りが出たり、また、著しく乾燥に時間がかかったり、若しくは有機物の基材に悪影響を与えない乾燥温度100〜250℃、保持時間10〜600秒程の条件では乾かないといった問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−71418号公報(段落0008〜段落0012)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、可使時間を十分取れ、弱酸性から弱アルカリ性であるために安全性も高く、基材への塗布又は含浸作業時に弾きや寄りが無く、有機物の基材に悪影響を与えない乾燥温度100〜250℃、保持時間10〜600秒程の条件で十分乾燥し、均一な膜が成膜可能であり、得られた塗膜は、干渉色が出にくく、透明で、硬度が高く、密着性、耐磨耗性、耐久性に優れ、さらには、従来のペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液を用いた酸化チタン膜よりも光触媒能が高い優れた特性を有する酸化チタン膜を形成することができる酸化チタン膜形成用液体を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来の酸化チタン膜の形成法では高温加熱することでしか発現しなかった酸化チタンの有機物分解、水若しくは空気の浄化、防汚染、防曇、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭及び有害ガス分解機能機能を有機物の基材に悪影響を与えない乾燥温度100〜250℃、保持時間10〜600秒程の条件で乾燥するだけで発現できるようにした酸化チタン膜の形成法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、上記の特性に優れた酸化チタン膜及びこの酸化チタン膜が設けられた上記の優れた特性を有する光触媒性部材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような問題に鑑み鋭意研究の結果、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)100重量部に対し、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)0.05〜1.5重量部を溶解してなる酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)100重量部に対し、さらに、総量100重量部となるように、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)5〜40重量部、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)30〜95重量部、ブチルセロソルブ0〜30重量部、水0〜30重量部を混合して得られる混合溶媒(VIII)を30〜600重量部混合することにより、貯蔵安定性に優れ、可使時間を十分取れ、弱酸性から弱アルカリ性であるために安全性も高く、基材への塗布又は含浸作業時に弾きや寄りが無く、有機物の基材に悪影響を与えない乾燥温度100〜250℃、保持時間10〜600秒程の条件で十分乾燥し、均一な膜が成膜可能である酸化チタン膜形成用液体が得られ、得られた塗膜は、干渉色が出にくく、透明で、硬度が高く、密着性、耐磨耗性、耐久性に優れ、さらには、従来のペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル、又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液を用いた酸化チタン膜よりも優れた光触媒活性を発現することを見いだし、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は次のものに関する。
(1) 0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)100重量部に対し、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)0.05〜1.5重量部を溶解してなる酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)100重量部に対し、さらに、総量100重量部となるように、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)5〜40重量部、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)30〜95重量部、ブチルセロソルブ0〜30重量部、水0〜30重量部を混合して得られる混合溶媒(VIII)を30〜600重量部混合してなることを特徴とする酸化チタン膜形成用液体。
(2) 沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールの何れか一種、若しくは二種以上の組合せで有り、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノールの何れか一種、若しくは二種以上の組合せであることを特徴とする(1)記載の酸化チタン膜形成用液体。
(3) 0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)中の酸化チタン種の平均粒子径が5〜130nm、アナターゼ結晶子径が0.5〜10nm、アナターゼ結晶の存在率が10〜95%であることを特徴とする(1)記載の酸化チタン膜形成用液体。
(4) 酸化チタン膜形成用液体に含有されるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)が、ポリエーテル構造及びアルキルシリケート構造を有することを特徴とする(1)〜(3)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
(5) 酸化チタン膜形成用液体に含有されるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)が、ポリエチレンオキサイド重合体変性ポリジメチルシロキサン又はポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする(1)〜(3)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
(6) 酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に紫外線をあてた時に発現する光触媒能が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は、前記で用いた酸化チタン膜形成用液体と全く同じ組成を持った液体を前記と同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に同じ紫外線をあてた時に発現する光触媒能よりも高いことを特徴とする(1)〜(5)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
(7) 酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(A)が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は、前記で用いた酸化チタン膜形成用液体と全く同じ組成を持った液体を前記と同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(B)よりも小さいことを特徴とする(1)〜(5)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
(8) 酸化チタン膜形成用液体が、貯蔵安定性に優れる、塗布又は含浸作業時に基材への塗れ性に優れる、乾燥が速い、均一な膜が形成される性能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の性能を有し、及び/又は酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜が、干渉色が少ない、濁りが少なく透明性に優れる、基材との密着性に優れる、耐磨耗性に優れる、硬度が高い、屋外に暴露した時の耐久性に優れる性能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の性能を有することを特徴とする(1)〜(7)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
(9) (1)〜(8)何れか記載の酸化チタン膜形成用液体を、基材に塗布又は含浸後、乾燥して作製することを特徴とする酸化チタン膜の形成法。
(10) 酸化チタン膜形成用液体を、基材に塗布又は含浸後、100〜250℃の温度で10〜600秒乾燥して作製することを特徴とする(9)記載の酸化チタン膜の形成法。
(11) 基材が有機物である(9)又は(10)記載の酸化チタン膜の形成法。
(12) 基材がプラスチックである(9)又は(10)記載の酸化チタン膜の形成法。
(13) 基材が有機物を含有する塗料を塗布して得られた膜を有し、その膜上に酸化チタン膜を形成する(9)又は(10)記載の酸化チタン膜の形成法。
(14) (9)〜(13)何れか記載の酸化チタン膜の形成法により得られた酸化チタン膜。
(15) (14)記載の酸化チタン膜を有してなる光触媒性部材。
(16) 酸化チタン膜が、有機物分解、水若しくは空気の浄化、防汚染、防曇、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭、有害ガス分解の機能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の機能を有する膜である(15)記載の光触媒性部材。
【0013】
【発明の実施の形態】
前述のような問題点を解決するために、本発明では以下のような手段によって酸化チタン膜形成用液体を得た。
本発明に用いるペルオキソチタン酸水溶液(II)は、次の方法で得られる。まず、チタン化合物(四塩化チタンなどの塩化チタンや硫酸チタン水溶液等)と塩基性溶液(アンモニアや苛性ソーダ等)からオルトチタン酸と呼ばれる水酸化チタンを得る。次いで、水を用いたデカンテーションによって、アンモニウムイオン及び塩素イオン等の副生成物及び不純物を適宜取除き、沈殿した水酸化チタンを分離する。この際、イオン交換樹脂を用いて、副生成物及び不純物を適宜取除くこともできる。原料となるチタン化合物は安価で取扱が容易な硫酸塩や塩化物、しゅう酸塩等が望ましく、また、水酸化チタンの沈殿物を生成する塩基性溶液はアンモニア水、苛性ソーダ等が望ましい。反応によって副成する塩は安定で無害な塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムあるいは塩化アンモニウム等になるような組み合わせが望ましい。
【0014】
チタン化合物の濃度は特に制限はないが、通常は5〜80重量%の濃度で市販されている水溶液を0.3〜10重量%に希釈した水溶液で反応が行われる。チタン化合物の濃度が0.3重量%未満だと、沈殿の生成に時間がかかる傾向があり、10重量%を超えると、沈殿生成時の温度管理が困難になる傾向がある。沈殿させるpHは好ましくは1〜3、より好ましくは2程度で行い、Fe等の不純物が共沈しないようにすることが望ましい。また、沈殿の生成は5〜40℃で1〜24時間行うことが好ましい。
【0015】
またデカンテーションに用いる水は、イオン交換水が好ましく、イオン交換と蒸留を併用した純水(以下、イオン交換と蒸留を併用した水を純水と称する)が更に好ましい。
【0016】
沈殿した水酸化チタンは、オルトチタン酸と呼ばれる場合もあり、OH同志の重合や水素結合によって高分子化したゲル状態で、このままでは酸化チタン膜の塗布液としては使用できない。
【0017】
次に、分離した水酸化チタンに過酸化水素水を作用させ、余分な過酸化水素を分解除去することにより黄褐色の透明粘性液体、すなわちペルオキソチタン酸水溶液を得ることができる。ここでペルオキソチタン酸水溶液とは、ペルオキソチタン錯体(Ti(OH) (2−x)−(x>2))及び/又は水中に分散しているペルオキソチタン水和物(Ti(OH))等の酸化チタン種が水中に溶解、あるいはゾル状態、あるいは分散した形態を取っていると考えられている。
【0018】
本発明における酸化チタン種とは、表面水酸基を有する二酸化チタン等も含め、一般式Ti(OH)で表される、チタン、酸素、水素からなる化合物のことを表す。
【0019】
酸化チタン種の濃度を0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.8重量%となるように純水を加え、ペルオキソチタン酸水溶液(II)を得ることができる。
【0020】
水酸化チタンに過酸化水素水を添加するとOHの一部が過酸化状態になりペルオキソチタン酸イオンとして溶解、あるいは一種のゾル状態になり、余分な過酸化水素は水と酸素になって分解し、酸化チタン膜形成用の粘性液体として使用ができるようになる。この酸化チタンゾル溶液は、チタン以外に酸素と水素しか含まないので、乾燥や焼成によって酸化チタンに変化する場合に水と酸素しか発生しないため、ゾルゲル法や硫酸塩等の熱分解法に必要な炭素成分やハロゲン成分の除去が必要でなく、常温でも密度の高い酸化チタン膜を作製することができる。また、pHは弱酸性から弱アルカリ性なので、使用における人体への影響や基材の腐食などを考慮する必要がない。さらに、過酸化水素はゾル化剤としてだけではなく安定化剤として働き、ゾルの室温域で安定性が極めて高く長期の保存に耐える。
【0021】
過酸化水素としては安全性の点から好ましくは1〜40重量%過酸化水素水が用いられ、その好ましい添加量は、水酸化チタン(固形分)に対して過酸化水素(H)分として、重量比で水酸化チタン/過酸化水素=1/0.5〜1/5.0の割合で、好ましくは0.5〜6時間攪拌させて作用させる。
水酸化チタンと過酸化水素水を反応させると発熱するので、液温は−5〜40℃に管理する必要が有る。またこの際、発泡が有るので、容器から内容物が流出しないように注意を要する。
【0022】
また、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)は、このペルオキソチタン酸水溶液(II)を好ましくは、65℃以上で2〜40時間、好ましくは4〜15時間、加熱して、ペルオキソチタン酸の一部又は全部をアモルファス型酸化チタンさらにアナターゼ結晶の前駆体をへて、アナターゼ結晶化させ、酸化チタン種の濃度を0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.8重量%になるように純水を加えて調整することで得ることができる。
この際、加熱する温度は、反応をすみやかに行うため、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、副反応を押さえ、水等の揮発を抑制するために好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下とされる。
【0023】
ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)及びペルオキソチタン酸水溶液(II)は、それぞれの酸化チタン種の濃度が0.1重量%未満だと、その後製造する、本発明の酸化チタン膜形成用液体の有効成分濃度が、少なすぎて、目的の性能を有する塗膜を得るために、何度も塗布又は含浸を繰り返すことが必要となり、実使用に耐えない。また、2.0重量%を超えると、本発明の酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸、乾燥して得た酸化チタン膜の透明性、硬度、密着性、耐磨耗性、耐久性が劣ることになる。
【0024】
次に本発明になる、酸化チタン膜形成用液体で使用される、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)、ペルオキソチタン酸水溶液(II)のどちらか単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)について説明する。
【0025】
本発明に用いるペルオキソチタン酸水溶液(II)は、通常、そのペルオキソチタン酸水溶液(II)中の酸化チタン種の平均粒子径が、粒子のブラウン運動とレーザー散乱光のマルチタウ・オートコリレーション分光分析により50〜300nmと測定されるものである。
【0026】
また、ペルオキソチタン酸水溶液(II)から水を蒸発させて得た酸化チタン種の検体をX線回折分析し、得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法によりアナターゼ結晶子径を算出すると、通常、0.5〜4nmと算出され、アナターゼ結晶の存在率は、X線回折で得られるアナターゼ結晶ピークの積分強度について、アモルファス型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンのピーク分離ソフトを用いて、それぞれの積分強度比から算出すると、通常、10〜40%と算出される。このペルオキソチタン酸水溶液(II)を、塗布又は含浸して、乾燥して得た塗膜は、実質的に光触媒活性を示さない。しかしながら、ペルオキソチタン酸水溶液(II)に、本発明に用いられるポリエーテル構造を有する有機物質を混合することで、塗布又は含浸後、乾燥して得た塗膜は、光触媒活性を示すようになる。
【0027】
また、本発明に用いるペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)は、通常、そのペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)中の酸化チタン種の平均粒子径が、粒子のブラウン運動とレーザー散乱光のマルチタウ・オートコリレーション分光分析により5〜200nmと測定されるものである。
【0028】
また、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)から水を蒸発させて得た酸化チタン種の検体をX線回折分析し、得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法によりアナターゼ結晶子径を算出すると、通常、5〜12nmと算出され、また、アナターゼ結晶の存在率は、X線回折で得られるアナターゼ結晶ピークの積分強度について、アモルファス型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンのピーク分離ソフトを用いて、それぞれの積分強度比から算出すると、通常、50〜100%と算出される。このペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)を、塗布又は含浸後、乾燥して得た塗膜は、光触媒活性を示す。さらに、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)に、本発明に用いられるポリエーテル構造を有する有機物質を混合することで、これを塗布又は含浸後、乾燥して得た塗膜の光触媒活性は、ポリエーテル構造を有する有機物質を混合していないものより光触媒活性が高くなる。
【0029】
本発明に用いる酸化チタン系化合物混合液(III)のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)と、ペルオキソチタン酸水溶液(II)の混合割合は、製造されたペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)のアナターゼ型酸化チタンの存在率と、本発明の酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、乾燥して得た酸化チタン膜に必要とされる、透明性、硬度、密着性、耐磨耗性、耐久性及び光触媒性能によって決定されるもので特に制限はないが、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)100重量部に対して、ペルオキソチタン酸水溶液(II)を20〜400重量部とすることが好ましく、40〜250重量部とすることがより好ましい。ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)の量を増やすと、本発明の酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、含浸後、乾燥して得た酸化チタン膜の光触媒性能が高くなり、ペルオキソチタン酸水溶液(II)の量を増やすと、本発明の酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、乾燥して得た酸化チタン膜の透明性、硬度、密着性、耐磨耗性、耐久性が向上する傾向がある。
【0030】
ここで、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)中の酸化チタン種の平均粒子径を5〜130nm、アナターゼ結晶子径を0.5〜10nm、アナターゼ結晶/アモルファス混合酸化チタンにおけるアナターゼ結晶の存在率を10〜95%に制御することが好ましい。すなわち、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独で用いる場合は、その酸化チタン種の平均粒子径を5〜130nm、アナターゼ結晶子径を5〜10nm、アナターゼ結晶/アモルファス混合酸化チタンにおけるアナターゼ結晶の存在率を50〜95%に制御することが好ましい。0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独で用いる場合は、その酸化チタン種の平均粒子径を50〜130nm、アナターゼ結晶子径を0.5〜4nm、アナターゼ結晶/アモルファス混合酸化チタンにおけるアナターゼ結晶の存在率を10〜40%に制御することが好ましい。また、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)と0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)とを混合して酸化チタン系化合物混合液(III)として用いる場合は、酸化チタン系化合物混合液(III)中の酸化チタン種の平均粒子径が5〜130nm、アナターゼ結晶子径が0.5〜10nm、アナターゼ結晶/アモルファス混合酸化チタンにおけるアナターゼ結晶の存在率が10〜95%になるように両者を混合することが好ましい。いずれの場合も、このように制御することによって、酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、乾燥してなる膜が、透明性、密着性、耐磨耗性に優れ、硬度が高く、屋外に暴露した時の耐久性に優れるようにすることができる。
【0031】
酸化チタン種の平均粒子径、アナターゼ結晶子径を制御せしめる方法は、ペルオキソチタン酸水溶液(II)及びペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)製造毎でバラツキが大きく、正確に条件を限定することは至難であるが、チタン化合物と塩基性溶液からなる原料にカチオン及びアニオン等の不純物が少ない物を用いること、水酸化チタンを、水でデカンテーションによって、アンモニウムイオン及び塩素イオン等の副生成物を十分取除くこと、水酸化チタンゲルと過酸化水素水を反応させる際の発熱による液温上昇を−5〜40℃、好ましくは0〜20℃、より好ましくは、0〜10℃に管理することによって制御できる。
【0032】
また、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)の酸化チタン種の平均粒子径は、ペルオキソチタン酸水溶液(II)を加熱すると、徐々に値は小さくなり、その後大きくなっていく。ここで、平均粒子径が極小を迎える少し前に制御することが、塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に有効な光触媒能を持たせしめ、透明性、密着性、耐磨耗性に優れ、硬度が高く、屋外に暴露した時の耐久性に優れるようにするために好適である。また、アナターゼ結晶子径は、ペルオキソチタン酸水溶液(II)を加熱する時間を長くするほど大きくなる。また、ペルオキソチタン酸水溶液(II)の量を少なくすること及びペルオキソチタン酸水溶液(II)の酸化チタン種濃度を高くすること、加熱する温度を高くすることによって、短時間でアナターゼ結晶子径は大きくなる。例えば、1重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)の量を1リットルとし、95℃で加熱した場合の加熱時間は、2〜10時間とされ、好ましくは5〜7時間とされる。
ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)及びペルオキソチタン酸水溶液(II)の酸化チタン種の平均粒子径、アナターゼ結晶子径は、平均粒子径及びアナターゼ結晶子径の両方の制御方法を適宜組み合せることにより、制御することができる。
【0033】
0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)と0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)とを混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)中の酸化チタン種におけるアナターゼ結晶の存在率を10〜95%に制御する方法は、アナターゼ結晶の存在率が既知のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)とペルオキソチタン酸水溶液(II)を適宜混合する方法がある。
【0034】
本発明に用いるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)は、本発明に用いる0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)100重量部に対して、0.05〜1.5重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部混合し溶解することで、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)として用いられる。
【0035】
このポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有する本発明の酸化チタン膜形成用液体は、これを基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に紫外線をあてた時に発現する光触媒能が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は全く同じ組成を持った液体を同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に同じ紫外線をあてた時に発現する光触媒能よりも高くなるものである。
【0036】
具体的には、このポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有する本発明の酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に紫外線をあてた時に発現する有機物分解能が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は全く同じ組成を持った液体を同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に同じ紫外線をあてた時に発現する有機物分解能よりも高くなるものや、このポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有する本発明の酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に紫外線をあてた時に発生する電流値(A)が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は全く同じ組成を持った液体を同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に同じ紫外線をあてた時に発生する電流値(B)よりも高くなるもの等が挙げられる。
【0037】
またこのポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有する本発明の酸化チタン膜形成用液体は、これを基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(A)が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は全く同じ組成を持った液体を同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(B)よりも小さくなるものである。
【0038】
ここでバンドギャップが小さいと、光触媒能が高いということについては、更なる原理解明を要するところではあるが、本発明者等は、電子伝導帯と価電子帯との間のエネルギーの幅が小さくなることで、光励起すなわち電子が価電子帯から電子伝導帯に移動し易くなるためだと解釈している。この意味で、本発明となる酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(A)と、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は、酸化チタン膜形成用液体と全く同じ組成を持った液体を塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(B)との差(B−A)は、0.1eV以上であることが好ましい。
【0039】
本発明に用いるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)のエーテル構造とは、ポリアルキレンオキサイド等の、アルキレン基をエーテル結合で結合した構造をさす。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール−ポリプロピレンオキサイド共重合体等の構造を有するものが挙げられる。その中でも、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体はそのブロック度や分子量により、濡れ性を制御できる観点からもさらに好適であるが、それらに限定されるわけではない。
これらの内、酸化チタンゾル等の水分散体に混合することや、撥水性基材への濡れ性を向上させること等の観点から、分子中にアルキルシリケート構造と、ポリエーテル構造の双方を有する有機物質がより好ましい。
ここで、アルキルシリケート構造とは、シロキサン骨格のシラン原子にアルキル基が付加した構造をさす。具体的には、ポリジメチルシロキサンに代表されるシロキサン結合(−Si−O−)を主鎖とするものが好適であるがそれらに限定されるものではない。
【0040】
アルキルシリケート構造と、ポリエーテル構造の双方を有する有機物質としては、具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のポリエーテル変性ポリシロキサン系塗料用添加剤が使用でき、例えば、ポリエチレンオキサイド重合体変性ポリジメチルシロキサン、両末端メタリルポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体とジヒドロポリジメチルシロキサンとを反応させて得られるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンが好適に用いられる。
【0041】
アルキルシリケート構造と、ポリエーテル構造の双方を有する有機物質の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法でポリスチレン換算した重量平均分子量で100〜10,000が好ましく1,000〜7,000がより好ましい。分子量が100未満では基材との濡れ性が劣る傾向にあり、分子量が10,000を超えるとチタンゾルの安定性に悪影響を与える傾向がある。このようなアルキルシリケート構造と、ポリエーテル構造の双方を有する有機物質は、例えばポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして日本ユニカー(株)より商品名FZ−2161で販売されているものを使用することができる。
【0042】
いずれにせよ本発明に用いるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)は、混合溶媒(VIII)、すなわち、総量100重量部となるように、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)5〜40重量部、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)30〜95重量部、ブチルセロソルブ0〜30重量部、水0〜30重量部を混合して得られる混合溶媒(VIII)に可溶であることが好ましい。
【0043】
混合溶媒(VIII)に用いる沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、列挙したエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールが好適に用いられる。
【0044】
また、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、3−ペンタノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、s−イソアミルアルコール等のアミルアルコール類等が挙げられ、列挙したもののうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノールが好適に用いられる。ここで、ブチルセロソルブは、沸点が120℃を超える水に可溶な一価のアルコール類であるが、混合溶媒(VIII)の総量100重量部の内、0〜30重量部の範囲、好ましくは10〜25重量部の範囲で好適に使用することができる。混合溶媒(VIII)の総量100重量部の内、ブチルセロソルブ30重量部を超えると、乾燥性が低下する傾向が有る。
【0045】
本発明に用いる混合溶媒(VIII)は、混合溶媒(VIII)の総量100重量部の内、0〜30重量部の範囲、好ましくは3〜20重量部の範囲で、水を含有していてもよい。水を3重量部以上配合することで、本発明に用いる酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)に混合溶媒(VIII)を混合した後の、酸化チタン種の粒子径の増大を抑えることが可能となる。これにより、酸化チタン膜形成用液体の貯蔵安定性を格段に向上させ、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)と混合溶媒(VIII)の2液タイプとした場合、混合した酸化チタン膜形成用液体の使用可能な時間を十分確保することができる。さらに、この酸化チタン膜形成用液体を塗布又は含浸後、乾燥してなる膜は、透明性、密着性、耐磨耗性に優れ、硬度が高く、屋外に暴露した時の耐久性に優れるようにすることができる。
この効果は、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又はペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)の酸化チタン種の濃度を下げて、酸化チタン膜形成用液体中の水の割合を増やすことでは実現できない。
【0046】
沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)を配合することで、塗布又は含浸作業時に基材への塗れ性が向上し、均一な塗膜が得られるが、混合溶媒(VIII)の総量100重量部の内、5重量部未満ではこの特性が得られ難く、40重量部を超えると、乾燥性が低下する傾向が有る。沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)の好ましい配合量は、8〜35重量部である。
また、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)を配合することで、塗布又は含浸した液の乾燥性が向上し、塗装作業がやり易くなるが、混合溶媒(VIII)の総量100重量部の内、30重量部未満ではこの特性が得られ難く、95重量部を超えると、塗布又は含浸作業時に基材への塗れ性が低下し、均一な塗膜が得られ難くなる傾向が有る。沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)の好ましい配合量は、40〜90重量部である。
【0047】
本発明に用いられる混合溶媒(VIII)には、必要に応じて、混合溶媒(VIII)の20重量%以下で、本発明の目的の特性を妨げない範囲で、他のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等の、水溶性の有機溶媒を併用することもできる。
【0048】
本発明の酸化チタン膜形成用液体には、必要に応じて公知の界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、防腐剤、染料、顔料、充填剤等を酸化チタン膜の特性を損なわない程度に添加することも出来る。また、必要に応じて、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース等の多糖類及びそれらのシリコーン、アミン、エポキシ変性樹脂等の各種樹脂類を酸化チタン膜の特性を損なわない程度に添加することもできる。
【0049】
ここで、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)と混合溶媒(VIII)の混合割合は、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)100重量部に対し、混合溶媒(VIII)を30〜600重量部の範囲とされる。
混合溶媒(VIII)が、30重量部以下だと、塗布又は含浸した液の乾燥性が低下して塗装作業が悪くなり、また濡れ性が悪く基材に塗布又は含浸できないこともあり、塗布又は含浸できたものでも干渉色があり、光触媒能の向上効果に劣る傾向にある。600重量部を超えると、酸化チタン膜形成用液体の成分濃度が低下し、常温での造膜性が悪くなったり、塗膜の耐久性が劣ったりする傾向にある。この意味で、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)と混合溶媒(VIII)の混合割合は、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)100重量部に対し、混合溶媒(VIII)を50〜500重量部が好ましく、70〜400重量部がより好ましい範囲とされる。
【0050】
本発明に用いられる材料を混合し、本発明となる酸化チタン膜形成用液体を製造する方法としては、均一に分散混合させうる方法であれば特に制限は無いが、例えば、デゾルバー、スタテックミキサー、ホモジナイザー、ペイントシェイキング等の攪拌装置が挙げられる。
【0051】
本発明の酸化チタン膜形成用液体の材料の混合の順序は、特に制限はないが、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)と0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)とを混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)を用いる場合には、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)と0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)とを先に混合しておくことが本発明の酸化チタン膜形成用液体の貯蔵安定性を保つ意味で好ましい。この意味で、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)各々の一部と、混合溶媒(VIII)の材料の沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)、ブチルセロソルブ、水の1部又は全部を先に混合することは好ましくない。
【0052】
この際の混合温度に特に制限はないが、酸化チタン系化合物混合液(III)自体の貯蔵安定性を保つ意味で、好ましくは2〜40℃、より好ましくは5〜25℃の範囲とされる。0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、及び両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)のいずれも、2℃以下では凍る場合があり、一旦凍らせると酸化チタン種が凝集沈殿してもとに戻らないので、注意を要する。また、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、及び両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)のいずれも、40℃を超えると、粘度の上昇やゲル化等が起こりやすく、著しく貯蔵安定性が低下する場合があるので、注意を要する。
【0053】
また、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、及び両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)のいずれも、そのpHに特に制限はないが、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)と混合溶媒(VIII)を溶解、混合した後の酸化チタン膜形成用液体が基材に劣化等の悪影響を与えないpH6〜9の弱酸性から弱塩基性域であることが好ましく、この意味で好ましくは5〜11、より好ましくは6〜9とされる。
【0054】
また、混合溶媒(VIII)の材料である、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)、ブチルセロソルブ、水を混合する順序にも特に制限はないが、それぞれを混合する際に、発熱する場合があるので、温度が上がらないように注意を要する。この意味で、水を混合する場合には、水に、他の材料となるアルコール類を徐々に混合することが好ましい。
【0055】
この際の混合温度に特に制限はないが、混合溶媒(VIII)自体の揮発を押さえる意味で、好ましくは0〜40℃、より好ましくは5〜25℃の範囲とされる。0℃以下では水が凍る場合があり、40℃を超えると、エタノール等の沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)は、非常に揮発しやすくなるので、注意を要する。
また、混合溶媒(VIII)のpHに特に制限はないが、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)とポリエーテル構造を有する有機物質(IV)及び混合溶媒(VIII)を溶解、混合した後の酸化チタン膜形成用液体が、基材に劣化等の悪影響を与えないpH6〜9の弱酸性から弱塩基性域であることが好ましく、この意味で好ましくは5〜11、より好ましくは6〜9とされる。
【0056】
ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を溶解する、本発明の酸化チタン膜形成用液体の他の材料には特に制限はないが、本発明の酸化チタン膜形成用液体の貯蔵安定性を保つ意味で、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)各々の全部、及び/又は、混合溶媒(VIII)の一部又は全部、及び/又は、混合溶媒(VIII)の材料である、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)、ブチルセロソルブ、水の一部又は全部に溶解することが好ましい。この意味で、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)各々の一部に、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を溶解することは好ましくない。ここで、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)各々の全部にポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を溶解する場合でも、混合溶媒(VIII)の全部にポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を溶解し、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)としておくと、混合溶媒(VIII)の混合量で、適宜、本発明の酸化チタン膜形成用液体の濃度を調整可能で、また混合溶媒(VIII)の混合量を適宜調整することで、各種基材に対する本発明の酸化チタン膜形成用液体の濡れ性を調整して使用することもできるので都合がよい。
【0057】
このポリエーテル構造を有する有機物質(IV)の溶解温度に特に制限はないが、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)に溶解する場合には、混合水溶液(V)自体の貯蔵安定性を保つ意味で、好ましくは2〜40℃、より好ましくは5〜25℃の範囲とされる。2℃未満では、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)自体が凍る場合があり、一旦凍らせると酸化チタン種が凝集沈殿して元に戻らないので、注意を要する。40℃を超えると、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)自体が粘度の上昇やゲル化等が起こりやすく、著しく貯蔵安定性が低下する場合があるので、注意を要する。
また、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を溶解した溶液のpHに特に制限はないが、混合した後の酸化チタン膜形成用液体が基材に劣化等の悪影響を与えないpH6〜9の弱酸性から弱塩基性域であることが好ましく、この意味で好ましくは5〜11、より好ましくは6〜9とされる。
【0058】
さらに、混合溶媒(VIII)の一部又は全部、及び/又は、混合溶媒(VIII)の材料である、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)、ブチルセロソルブ、水の一部又は全部に、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)の一部又は全部、及び/又は、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)の一部又は全部を混合することは、本発明の酸化チタン膜形成用液体が濁りを生じたり、粘度の上昇やゲル化等が起こりやすく、著しく貯蔵安定性が低下することがあるので、好ましくない。このため、できるだけ、逆に、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独、0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独、又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)の一部又は全部に対して、徐々に混合溶媒(VIII)の一部又は全部、及び/又は、混合溶媒(VIII)の材料である、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)、ブチルセロソルブ、水の一部又は全部を混合するようにすることが好ましい。
【0059】
この際の溶解温度に特に制限はないが、本発明の酸化チタン膜形成用液体の貯蔵安定性を保つ意味で、好ましくは2〜40℃、より好ましくは5〜25℃の範囲とされる。2℃未満では、本発明の酸化チタン膜形成用液体が凍る場合があり、一旦凍らせると酸化チタン種が凝集沈殿して元に戻らないので、注意を要する。40℃を超えると、本発明の酸化チタン膜形成用液体が粘度の上昇やゲル化等が起こりやすく、著しく貯蔵安定性が低下する場合があるので、注意を要する。また、本発明の酸化チタン膜形成用液体のpHに特に制限はないが、上述のように、基材に劣化等の悪影響を与えないpH6〜9の弱酸性から弱塩基性域が好ましい。
【0060】
本発明となる酸化チタン膜形成用液体の光触媒能は、特に制限は無く、一般に知られている、光触媒による水若しくは空気の浄化、防汚染、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭、有害ガス分解等の機能が向上することを示す。
【0061】
次に具体的な光触媒能の評価方法について説明する。
まず有機物分解性としては、例えば、酸化チタン膜に水で適宜希釈した水溶性インキ、メチレンブルー、インジゴカルミン、マラカイトグリーン、ジニトロフェノール溶液等の染料をスプレー、ディップ等で塗装、又は滴下して、着色させた後、ブラックライトブルー等で紫外線を照射して、その消失の度合いを目視観察又は色差、吸光度等を測定することで確認することができる。
【0062】
次に、酸化チタン膜に紫外線をあてた時に発生する電流値すなわち光起電流値を測定する方法としては、例えば、ITO(インジウムチンオキサイド)等の導電性塗膜を有する基材上に、酸化チタン膜を形成し作用電極とし、さらに銀/塩化銀電極等の参照電極、白金電極等の対極を、石英等の透明セルに入れた硫酸ナトリウム水溶液等の電解液に浸漬させて、それぞれの電極をポテンシオスタットに接続し、酸化チタン膜に紫外線を照射することで測定することができる。
【0063】
また、バンドギャップとは、酸化チタン等の半導体金属のもつ電子伝導帯と価電子帯との間のエネルギーの幅、すなわち禁制帯幅を差す。ここで光触媒機能の発現とは、バンドギャップ以上の紫外線等の光エネルギーを用いて、励起条件におかれることにより、電子が価電子帯から電子伝導帯に移動し、電子が抜けた価電子帯には正孔が生じ、空気中の水と酸素から・OH(ヒドロキシルラジカル)、O (スーパーオキシドイオン) 等の活性酸素種を生じせしめ、これら活性酸素種及び正孔自身の酸化作用によって有機物化合物等を分解することが、一般的に理解されている原理である。
【0064】
このバンドギャップを測定する方法としては、例えば、上述の光起電流値を測定する方法と同様な装置に、光源と酸化チタン膜の間にモノクロメーター等の波長を変化させうる装置を介して、波長を変化させたときに起電流が発生する波長を測定し得られた波長を、光量子のエネルギーEの式(式1)から求めたバンドギャップ値E(eV)と波長λ(nm)の関係式(式2)に代入して求められる。
【0065】
式1:E=hν=h(c/λ)
[h;プランク定数(6.63×10−34J・s)、ν;振動数(1/s)、
C;光速度(3×10 m/s)、λ;波長(m)、1(eV)=1.6×10−19(J)]
式2:バンドギャップ値E(eV)=1240/λ(nm)
この際、ペルオキソチタン酸水溶液(II)が多い場合のように、起電流が著しく弱く、正確に測定し難い場合には、当該試験片に任意に印可電圧を変化させて与えながら、電流値を測定し、印可電圧とそれぞれの印可電圧値で求められたエネルギーギャップ値の関係から、印可電圧を与えないときのエネルギーギャップ値(真のエネルギーギャップ値)を外挿する方法を用いることができる。
【0066】
次に本発明となる酸化チタン膜の形成法について説明する。
本発明となる酸化チタン膜の形成法は、本発明となる酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布あるいは含浸させ、乾燥して作製することを特徴とし、特に制限はないが、酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、45℃以下の低温で乾燥しても付着性に優れた緻密な酸化チタン膜を形成できることを一つの特徴としている。この意味で、乾燥温度は、10〜50℃の室温域でもかまわないが、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)の量が多い場合に、乾燥に時間を要する。生産効率を鑑みた短い乾燥時間で且つプラスチックや有機物を含有する塗料を塗布して得られた膜のような有機物の基材を変質させない乾燥条件として、100〜250℃の温度で10〜600秒乾燥して作製することが好ましい。
これにより、本発明になる酸化チタン膜形成用液体は、生産効率の高い機械塗装法にも適用が可能である。
【0067】
基材に塗布あるいは含浸させる具体的な方法としては、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、バーコーティング法、超音波コーティング法、スクリーン印刷法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が適用できるが、粘度の低い酸化チタン膜形成用液体の場合、スプレーコーティング法が好ましい。
【0068】
基材に塗布あるいは含浸し、乾燥させた酸化チタン膜は、紫外線を照射することで、塗膜強度を向上させることができる。紫外線の照射量としては、2J/cm以上、好ましくは2.2〜5.4J/cmで十分な塗膜強度を得ることができる。紫外線照射の方法としては、太陽光、蛍光灯、ブラックライト、高圧水銀灯などを用いることができるが短時間で大量の紫外線が照射できること、装置の簡便さの点からブラックライトブルーが好ましい。
【0069】
また、酸化チタン膜の厚さは、特に制限はないが、0.01〜1.5μmが好ましく、0.01μm未満では、十分な光触媒能が得られない場合があり、また1.5μmを超えると、酸化チタン種の色がでて透明性を低下させたり、基材との密着性が低下して剥がれ易くなる場合がある。この意味で0.03〜1.0μmがより好ましく、0.05〜0.3μmがさらに好ましい。
【0070】
本発明の酸化チタン膜を形成する基材としては、特に制限はなく、塗布又は含浸後、乾燥するだけで良好な被膜が形成でき、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又はペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)中の水、及び混合溶媒(VIII)を揮発せしめることを速める以外には焼成(熱をかけて膜等の固体にならしめること又は熱をかける行為)等をする必要がないため、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機物の基材上に塗布することもできる。前記熱可塑性樹脂の基材としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、ポリ塩化ビニール、これらの複合材等の一般的にプラスチックと総称される基材が挙げられる。またこれらの複合材を用いることもできる。
また、各種塗料製品のように有機物を含有する塗料を塗布して得られた膜も基材として好適に用いられる。
但し、本発明の酸化チタン膜は、光触媒能が高く、酸化分解の能力が高いと考えられるため、有機物基材に用いる場合には、その耐久性等に注意を要する。有機物の酸化分解を避ける方法としては、シリコーン系被膜、アモルファス型酸化チタン被膜等の既知光触媒活性に耐えうる被膜をバリア層として設け、その上にを本発明の酸化チタン膜を形成することができる。
さらに、ガラス、石英板、タイル、陶器等のセラミックス、各種金属、これらの複合材などの無機物の基材にも適用可能である。
【0071】
本発明になる光触媒性部材は、本発明になる酸化チタン膜を有してなる光触媒性部材であることを特徴とし特に制限はないが、光触媒能による、水若しくは空気の浄化、防汚染染、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭、有害ガス分解等の機能の何れか一つ若しくは、二つ以上の機能を有することができる全ての部材が挙げられる。
【0072】
具体的な例としては、例えば、道路壁パネル、反射板、交通標識、案内表示板等の各種道路部材、建築用内外装材、車両、船舶、航空機等の内外部材、空調機、清掃機、冷蔵庫、洗濯機等の家電品、浄水器、浄水場処理槽等の水処理施設、板ガラス、ガラス繊維、ガラス粉等の各種ガラス、鏡、照明器具、タイル等が挙げられる。さらには、干渉色がない被膜を与えることから、視認性の要求される車輌、船舶、航空機、建築物の窓部材や、意匠性の要求される車輌、建築の内外装が好適である。
【0073】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら制限されるものではない。
[ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1、MZ−2):合成例1]
室温(25℃)でpH2の0.8重量%の四塩化チタン水溶液1リットルに2.5重量%アンモニア水を滴下しながら4時間反応させると白色の水酸化チタンの沈殿を得た。これを純水でデカンテーションを10回繰り返すことによって、アンモニウムイオン及び塩素イオン等の副生成物及び不純物を適宜取除き、沈殿した水酸化チタン(HT−1)を分離した。
これに過酸化水素水30重量%溶液を20ミリリットル加えて良くかき混ぜながら反応させ発泡と発熱に注意しつつ液温を5℃に管理し、3時間反応させて、ペルオキソチタン酸イオンとして溶解、あるいは一種のゾル状態の黄褐色の透明粘性液体を得た。さらに、この液体の酸化チタン種の濃度が、1.0重量%となるように純水を加え、pH6.4のペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)、0.5重量%となるように純水を加え、pH6.8のペルオキソチタン酸水溶液(MZ−2)を得た。
【0074】
ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)中の酸化チタン種の平均粒子径をベックマン・コールター社製、粒度分布測定装置N4MDを用いて測定した結果、99nmであった。
ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)中の酸化チタン種のアナターゼ結晶子径は、ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)を常温乾燥して得た固体を(株)リガク製広角X線回折装置RU−200BHを用いて、X線源Cu、X線出力50kV−150mA、スリット角度0.5deg、スリット幅0.15mmで、走査範囲=2〜90degを0.1deg毎に積算時間10秒で積算測定し得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法により算出した結果、1.9nmであった。
また、アナターゼ結晶の存在率は、同上のX線回折で得られた回折プロファイルを、ピーク分離処理して得たアナターゼ結晶の回折ピークの積分強度を全体の積分強度で除して算出した結果、22%であった。
【0075】
[ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1、NZ−2):合成例2]
ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)1リットルを20時間静置した後、さらに95℃で5時間加温して、アナターゼ型酸化チタンを含む淡黄色透明〜微濁の液体を作製した。その後、酸化チタン種の濃度が、1.0重量%になるように純水を加え、pH7.8のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)、0.5重量%になるように純水を加え、pH7.4のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−2)を得た。
ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)中の酸化チタン種の平均粒子径をベックマン・コールター社製、粒度分布測定装置N4MDを用いて測定した結果、32nmであった。
ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)中の酸化チタン種のアナターゼ結晶子径は、ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)を常温乾燥して得た固体を(株)リガク製広角X線回折装置RU−200BHを用いて、X線源Cu、X線出力50kV−150mA、スリット角度0.5deg、スリット幅0.15mmで、走査範囲=2〜90degを0.1deg毎に積算時間10秒で積算測定し得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法により算出した結果、7.5nmであった。
また、アナターゼ結晶の存在率は、同上のX線回折で得られた回折プロファイルを、ピーク分離処理して得たアナターゼ結晶の回折ピークの積分強度を全体の積分強度で除して算出した結果、93%であった。
【0076】
[酸化チタン系化合物混合液(OZ−1):配合例1]
合成例1で得たペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)700重量部と、合成例2で得たペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)300重量部を十分混合して、酸化チタン系化合物混合液(OZ−1)を得た。
酸化チタン系化合物混合液(OZ−1)中の酸化チタン種の平均粒子径をベックマン・コールター社製、粒度分布測定装置N4MDを用いて測定した結果、55nmであった。
酸化チタン系化合物混合液(OZ−1)中の酸化チタン種のアナターゼ結晶子径は、酸化チタン系化合物混合液(OZ−1)を常温乾燥して得た固体を(株)リガク製広角X線回折装置RU−200BHを用いて、X線源Cu、X線出力50kV−150mA、スリット角度0.5deg、スリット幅0.15mmで、走査範囲2〜90degを0.1deg毎に積算時間10秒で積算測定して得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法により算出した結果、5.9nmであった。
また、アナターゼ結晶の存在率は、同上のX線回折で得られた回折プロファイルを、ピーク分離処理して得たアナターゼ結晶の回折ピークの積分強度を全体の積分強度で除して算出した結果、74%であった。
【0077】
[酸化チタン系化合物混合液(OZ−2):配合例2]
合成例1で得たペルオキソチタン酸水溶液(MZ−2)700重量部と、合成例2で得たペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−2)300重量部を十分混合して、酸化チタン系化合物混合液(OZ−2)を得た。
酸化チタン系化合物混合液(OZ−2)中の酸化チタン種の平均粒子径をベックマン・コールター社製、粒度分布測定装置N4MDを用いて測定した結果、52nmであった。
酸化チタン系化合物混合液(OZ−2)中の酸化チタン種のアナターゼ結晶子径は、酸化チタン系化合物混合液(OZ−2)を常温乾燥して得た固体を(株)リガク製広角X線回折装置RU−200BHを用いて、X線源Cu、X線出力50kV−150mA、スリット角度0.5deg、スリット幅0.15mmで、走査範囲2〜90degを0.1deg毎に積算時間10秒で積算測定して得られるアナターゼ結晶の最強線の101面のピークを用いてScherrer法により算出した結果、5.8nmであった。
また、アナターゼ結晶の存在率は、同上のX線回折で得られた回折プロファイルを、ピーク分離処理して得たアナターゼ結晶の回折ピークの積分強度を全体の積分強度で除して算出した結果、72%であった。
【0078】
[ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1):合成例3]
原料として、下記構造式
CH=C(CH)CHO−(CO)−(CO)−CH−C(CH)=CH
(n=5〜30、m=0〜5)
で示されるジメタクリルポリエーテル29g、トルエン350g及び白金含量が20ppmになるようにクロル白金酸を3つ口フラスコ中に仕込み十分撹拌後、窒素を20ml/minを流通しつつ100℃に30分で昇温した。その後100℃に保持しつつ、次に下記構造式
【0079】
【化1】
Figure 2004155608
で示されるジヒドロポリジメチルシロキサン73gを徐々に加え2時間反応させた。その後、室温に冷却し、炭酸水素ナトリウムを加えて中和した。その後、ロータリーエバポレータによりこの内容物からトルエンを留去し、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)96gを得た。A1の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したところ、ポリスチレン換算でおよそ2,100であった。
【0080】
[酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T1):調合例1]
ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)100重量部にポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)0.15重量部を加え、室温でA1が均一に溶解するまで十分攪拌して、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T1)を調合した。
【0081】
[酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T2):調合例2]
ペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(NZ−1)100重量部にポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)0.15重量部を加え、室温でA1が均一に溶解するまで十分攪拌して、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T2)を調合した。
【0082】
[酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3):調合例3]
酸化チタン系化合物混合液(OZ−1)100重量部にポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)0.15重量部を加え、室温でA1が均一に溶解するまで十分攪拌して、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)を調合した。
【0083】
[酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T4):調合例4]
酸化チタン系化合物混合液(OZ−2)100重量部にポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)0.075重量部を加え、室温でA1が均一に溶解するまで十分攪拌して、酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T4)を調合した。
【0084】
混合溶媒の調製
[混合溶媒(D−1):配合例3]
エチレングリコール30重量部、エタノール27重量部、イソプロパノール3重量部、イソブタノール20重量部、ブチルセロソルブ15重量部、純水5重量部を十分混合して、混合溶媒(D−1)を得た。
【0085】
[混合溶媒(D−2):配合例4]
エチレングリコール50重量部、エタノール27重量部、イソプロパノ―ル3重量部、ブチルセロソルブ15重量部、純水5重量部を十分混合して、混合溶媒(D−2)を得た。
【0086】
[混合溶媒(D−3):配合例5]
プロピレングリコール10重量部、イソプロパノール70重量部、ブチルセロソルブ20重量部を十分混合して、混合溶媒(D−3)を得た。
【0087】
[混合溶媒(D−4):配合例6]
イソプロパノール80重量部、ブチルセロソルブ20重量部を十分混合して、混合溶媒(D−4)を得た。
【0088】
酸化チタン膜形成用液体の調製
実施例1
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T1)100gと混合溶媒(D−1)200gを十分混合して、pH6.1の酸化チタン膜形成用液体(C1)を得た。C1をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0089】
実施例2
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T2)100gと混合溶媒(D−1)200gを十分混合して、pH6.5の酸化チタン膜形成用液体(C2)を得た。C2をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0090】
実施例3
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)100gと混合溶媒(D−1)200gを十分混合して、pH6.2の酸化チタン膜形成用液体(C3)を得た。C3をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0091】
実施例4
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)100gと混合溶媒(D−3)100gを十分混合して、pH6.1の酸化チタン膜形成用液体(C4)を得た。C4をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0092】
比較例1
ペルオキソチタン酸水溶液(MZ−1)100gと混合溶媒(D−1)200gを十分混合して、pH6.1の酸化チタン膜形成用液体(C5)を得た。C5をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0093】
比較例2
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)100gと混合溶媒(D−2)200gを十分混合して、pH6.6の酸化チタン膜形成用液体(C6)を得た。C6をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0094】
比較例3
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)100gと混合溶媒(D−4)100gを十分混合して、pH6.0の酸化チタン膜形成用液体(C7)を得た。C7をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0095】
比較例4
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T3)100gと混合溶媒(D−1)20gを十分混合して、pH6.8の酸化チタン膜形成用液体(C8)を得た。C8をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管しても、5日以上ゲル化等の問題は無かった。
【0096】
比較例5
酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(T4)100gと混合溶媒エタノール100gを十分混合して、pH6.3の酸化チタン膜形成用液体(C9)を得た。C9をポリエチレン製の瓶に20℃の室温で静置して保管した結果、3日以内にゲル化して使用できなかった。
【0097】
酸化チタン膜の評価
[塗料基材の作製]
ヒタロイド3004(商品名、日立化成工業株式会社製、アクリルポリオール、加熱残分50%、水酸基価30(ワニス))100g、CR−95(商品名、石原産業製、チタン白)40g、キシレン10g、ガラスビーズ100gをマヨネーズ瓶にいれ、ペイントシェーカーで90分かけて分散した。分散終了後、生絹で濾過することにより分散液からガラスビーズを分離した。ガラスビーズ分離後、デュラネートTPA−100(商品名、旭化成工業株式会社製、HDIアダクト無黄変型イソシアネート、NCO%=23.1)を分散液100gに対し9.7g添加し十分攪拌して塗料とした。得られた塗料を10cm×10cmに切断した処理鋼板PBN144M(パルテック製)にバーコータ♯40を用いて1回塗布した。塗布後、20℃で24時間乾燥後、さらに110℃で3時間乾燥させて塗料基材とした。
【0098】
[酸化チタン膜試験板の作製]
作製した塗料基材に、バーコーター#26を用いて1回、酸化チタン膜形成用液体(C1〜C9)を塗布し、直ちに、C1、C2、C3、C5、C6は200℃に、C4、C7、C8、C9は160℃に調整した無風状態の恒温層に、基材が水平に保たれるように注意しつつ投入し、30秒保持して取り出した。作製した試験板を下記の試験に供した。
【0099】
[塗装作業性:乾燥性、液の寄りの有無]
試験板を恒温層から取り出した直後に、酸化チタン膜形成用液体の乾燥性(乾いているかどうか)と酸化チタン膜形成用液体の寄り(基材上で液が弾いて液が部分的に集まった状態)の有無を目視観察し、結果を表1に示した。
【0100】
[干渉色の有無]
上記、試験板の酸化チタン膜を目視観察して、干渉色(ギラツキ)の有無を評価し結果を表1示した。
【0101】
[密着性]
上記、試験板の酸化チタン膜をJIS K 5400の碁盤目試験法に準じ、基材との密着性を評価し結果を表1に示した。
【0102】
[耐磨耗性]
上記、試験板の酸化チタン膜を小津産業(株)製バインダー無しコットン「ベンコット」で摩擦し、目視で剥がれの有無を観察し結果を表1に示した。
【0103】
[1年間暴露後の膜状態]
上記、試験板をJIS Z 2381の屋外暴露試験方法通則に準じ、茨城県日立市の建物屋上に正南面向きに暴露角度30°に設置した直接暴露試験装置に固定し、1年間暴露後酸化チタン膜を目視観察して、消失の度合いを評価し結果を表1に示した。
【0104】
[有機物分解性]
上記、試験板の酸化チタン膜に蒸留水で20倍に希釈した赤インキ(パイロット株式会社製)が1.0gとなるようにスプレー塗装し、25℃で1時間乾燥させた。その後、5cmの距離から20Wのブラックライト(日本電気製、型番FL20SBL−B)を照射して、赤インキの退色の度合いを目視により観察し結果を表1に示した。
【0105】
光起電流値及びバンドギャップ
[試験片(作用電極)の作製(図1参照)]
酸化チタン膜形成用液体C1及びC5をエアーガン(アネスト岩田社製RG−2、口径0.4mm)を用い、空気圧0.098MPaで、ITO(インジウムチンオキサイド)を1500Å付着させた長さ60mm、幅10mm、厚さ1.1mmのITO付きガラス板1のITO表面に、長さ20mmをマスキングして、長さ40mm、幅10mmの部分にスプレー塗装した。20℃で1時間乾燥した後、5cmの距離から20Wのブラックライト(日本電気製、型番FL20SBL−B)を24時間照射して、膜厚約0.7μmの酸化チタン塗装部2を有する図1のような試験片を作製することが出来た。
【0106】
[光起電流値]
これら試験片は、図1のように酸化チタン種未塗装部のITO表面に金線4をインジウム3を溶かして接着して図2に示すように作用電極5とした。さらに、図2に示すように、参照電極6として銀/塩化銀電極、対極7として白金電極を、電解液8として0.1モル硫酸ナトリウム水溶液を入れた石英セル9に図2のようにセットした。10はシリコン製のふたである。それぞれの電極は、図3に示すようにポテンシオスタット11(北斗電工(株)製ポテンシオスタットHAB−151)に接続し電流値を測定するようにセットした。
この石英セル9中のITO付きガラス板の酸化チタン種塗装面12に光を照射するため、光源13(ウシオ電機(株)製UI−50型500Wキセノンランプ)からの照射光14をモノクロメーター15(Action ResearchCroporation製モノクロメーターSPECTRA、Pro−150型)に導入し、波長を変化できるようにして図3のようにセットした。
乾燥窒素ガス導入管16を石英セル9中の電解液8に差し込み、乾燥窒素ガス17を20分間バブリングさせ溶存酸素を抜いた後、乾燥窒素ガス導入管16を電解液8液面より引き上げ、気相中に流しながら、波長320nmの照射光14を照射し光起電流値を測定し結果を表1に示した。
【0107】
[バンドギャップ]
光起電流値の測定と全く同様にして、モノクロメーター15により波長を500〜200nmに変化させて、試験片に0〜1.5Vまで印可電圧を変化させて与えながら、電流値を測定し、起電流が発生する波長を測定した。
得られた波長を、光量子のエネルギーEの式(式1)から求めたバンドギャップ値E(eV)と波長λ(nm)の関係式(式2)に代入した。
式1:E=hν=h(c/λ)
[h;プランク定数(6.63×10−34J・s)、ν;振動数(1/s)、
C;光速度(3×10 m/s)、λ;波長(m)、1(eV)=1.6×10−19(J)]
式2:バンドギャップ値E(eV)=1240/λ(nm)
【0108】
印可電圧とそれぞれの印可電圧値で求められたエネルギーギャップ値の関係から、印可電圧を与えないときのエネルギーギャップ値すなわち真のエネルギーギャップ値を外挿する方法を用いて求めた結果を表1及び2に示した。
【0109】
【表1】
Figure 2004155608
【0110】
【表2】
Figure 2004155608
【0111】
上述の評価結果のように、本発明の酸化チタン膜形成用液体は、弱酸性であるために安全性も高く、貯蔵安定性に優れ、塗布又は含浸作業時に基材への塗れ性に優れ、乾燥も速く、均一な膜が形成が可能であり、形成された酸化チタン膜は、干渉色が無く、基材との密着性に優れ、耐磨耗性に優れ、屋外に暴露した時の耐久性に優れる。
【0112】
さらに有機物分解性に優れることから、汚染防止効果が高いと言える。さらに、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)添加しないものより光起電流値は高く、バンドギャップが小さいことから、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサン(A1)添加しないものより光触媒能が高いと言える。
【0113】
【発明の効果】
本発明により得られる酸化チタン膜形成用液体は、貯蔵安定性に優れ、可使時間を十分取れ、弱酸性から弱アルカリ性であるために安全性も高く、基材への塗布又は含浸作業時に弾きや寄りが無く、有機物の基材に悪影響を与えない乾燥温度100〜250℃、保持時間10〜600秒程の条件で十分乾燥し、均一な膜が成膜可能であり、得られた塗膜は、干渉色が出にくく、透明で、硬度が高く、基材との密着性、耐磨耗性、耐久性に優れる。
さらに、従来のペルオキソチタン酸水溶液又はペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル又は両方の混合物等の酸化チタン系化合物混合液を用いた酸化チタン膜よりも、有機物分解性等の光触媒能が高い酸化チタン膜を形成することができる。このことから、水若しくは空気の浄化、防汚染、防曇、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭及び有害ガス分解機能等に優れる、酸化チタン膜形成用液体、酸化チタン膜の形成法、酸化チタン膜及び光触媒性部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化チタン被膜を形成した試験片の説明図。
【図2】エネルギーギャップを測定する装置のセルに図1の試験片をセットする状態を示す説明図。
【図3】エネルギーギャップを測定する装置の全体を示す説明図。
【符号の説明】
1 ITO付きガラス板
2 酸化チタン塗装部
3 インジウム
4 金線
5 作用電極
6 参照電極
7 対極
8 電解液
9 石英セル
10 シリコン製ふた
11 ポテンシオスタット
12 酸化チタン塗装面
13 光源
14 照射光
15 モノクロメーター
16 乾燥窒素ガス導入管
17 乾燥窒素ガス

Claims (16)

  1. 0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)100重量部に対し、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)0.05〜1.5重量部を溶解してなる酸化チタン系化合物と有機物質の混合水溶液(V)100重量部に対し、さらに、総量100重量部となるように、沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)5〜40重量部、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)30〜95重量部、ブチルセロソルブ0〜30重量部、水0〜30重量部を混合して得られる混合溶媒(VIII)を30〜600重量部混合してなることを特徴とする酸化チタン膜形成用液体。
  2. 沸点が250℃以下の水に可溶な二価のアルコール類(VI)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールの何れか一種、若しくは二種以上の組合せで有り、沸点が120℃以下の水に可溶な一価のアルコール類(VII)が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノールの何れか一種、若しくは二種以上の組合せであることを特徴とする請求項1記載の酸化チタン膜形成用液体。
  3. 0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸改質アナターゼ型酸化チタン水系ゾル(I)単独又は0.1〜2.0重量%濃度のペルオキソチタン酸水溶液(II)単独又は両方を混合して得られる酸化チタン系化合物混合液(III)中の酸化チタン種の平均粒子径が5〜130nm、アナターゼ結晶子径が0.5〜10nm、アナターゼ結晶の存在率が10〜95%であることを特徴とする請求項1記載の酸化チタン膜形成用液体。
  4. 酸化チタン膜形成用液体に含有されるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)が、ポリエーテル構造及びアルキルシリケート構造を有することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
  5. 酸化チタン膜形成用液体に含有されるポリエーテル構造を有する有機物質(IV)が、ポリエチレンオキサイド重合体変性ポリジメチルシロキサン又はポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1〜3何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
  6. 酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に紫外線をあてた時に発現する光触媒能が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は、前記で用いた酸化チタン膜形成用液体と全く同じ組成を持った液体を前記と同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜に同じ紫外線をあてた時に発現する光触媒能よりも高いことを特徴とする請求項1〜5何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
  7. 酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(A)が、ポリエーテル構造を有する有機物質(IV)を含有しない他は、前記で用いた酸化チタン膜形成用液体と全く同じ組成を持った液体を前記と同様に基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜のバンドギャップ(B)よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
  8. 酸化チタン膜形成用液体が、貯蔵安定性に優れる、塗布又は含浸作業時に基材への塗れ性に優れる、乾燥が速い、均一な膜が形成される性能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の性能を有し、及び/又は酸化チタン膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、乾燥してなる膜が、干渉色が少ない、濁りが少なく透明性に優れる、基材との密着性に優れる、耐磨耗性に優れる、硬度が高い、屋外に暴露した時の耐久性に優れる性能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の性能を有することを特徴とする請求項1〜7何れか記載の酸化チタン膜形成用液体。
  9. 請求項1〜8何れか記載の酸化チタン膜形成用液体を、基材に塗布又は含浸後、乾燥して作製することを特徴とする酸化チタン膜の形成法。
  10. 酸化チタン膜形成用液体を、基材に塗布又は含浸後、100〜250℃の温度で10〜600秒乾燥して作製することを特徴とする請求項9記載の酸化チタン膜の形成法。
  11. 基材が有機物である請求項9又は10記載の酸化チタン膜の形成法。
  12. 基材がプラスチックである請求項9又は10記載の酸化チタン膜の形成法。
  13. 基材が有機物を含有する塗料を塗布して得られた膜を有し、その膜上に酸化チタン膜を形成する請求項9又は10記載の酸化チタン膜の形成法。
  14. 請求項9〜13何れか記載の酸化チタン膜の形成法により得られた酸化チタン膜。
  15. 請求項14記載の酸化チタン膜を有してなる光触媒性部材。
  16. 酸化チタン膜が、有機物分解、水若しくは空気の浄化、防汚染、防曇、防結露、防滴、防氷結、防着雪、異物付着防止、抗菌、防カビ、防藻、防臭、有害ガス分解の機能から選ばれる何れか一つ若しくは二つ以上の機能を有する膜である請求項15記載の光触媒性部材。
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