JP2004155300A - 軌道回路装置とその故障検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動列車制御システムの中央送電型無絶縁軌道回路において、軌道回路追跡結果と送信器、受信器の受信レベルの組合せ論理により軌道回路故障と送信器、受信器故障を検知する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動列車制御システムの送受信器、軌道回路の故障部位を特定できる軌道回路装置とその故障検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動列車制御システムは、軌道回路、この軌道回路に信号を送信する送信器、軌道回路から信号を受信する受信器を含んで構成され、受信器で受信した信号の受信レベルとその時系列的な変化、すなわち、軌道回路追跡結果を軌道回路追跡論理に基づいて判断し、列車の位置を認識する機能を持っている。
【0003】
従来は、送信器、受信器に故障検知用の機器を付加することにより、軌道回路、送信器、受信器の故障を検知していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、軌道回路追跡を行うような高密度運転区間では長い間有絶縁軌道回路が主流で、無絶縁軌道回路は補助的な役割として使用されてきた。しかし、近年では、保守コストの低い無絶縁軌道回路を用いた自動列車制御システムが注目を浴びてきている。ただし、有絶縁軌道回路から無絶縁軌道回路への変更時は列車の運行を遅らせることなく無絶縁軌道回路システムに変更しなければならず、既設の有絶縁軌道回路システムと無絶縁軌道回路システムを併設する必要がある。
【0005】
しかし、従来の軌道回路システムのように、送信器、受信器に個別に故障検知装置を付加すると、既存の設置スペースと同等のスペースが必要となる。都市中心部ではそのようなスペースを確保するのは非常に難しい。そこで、少ないスペースに機器を設置しなければならず、機器の小型化が必要になる。
【0006】
本発明の課題は、無絶縁軌道回路を用いた自動列車制御システムにおいて、送信器、受信器に故障検知装置を付加することなく、軌道回路故障と送信器、受信器故障を検知するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、軌道回路追跡結果及び受信器の受信レベルの組合せ論理により軌道回路故障と送信器、受信器故障を検知することにより達成される。
【0008】
すなわち、上記課題を解決する本発明の第1の手段は、複数の区間に区画されている中央送電型無絶縁軌道回路システムにおいて、自動列車制御システムの軌道回路追跡結果と、受信器の受信レベルの比較により、軌道回路、送信器、受信器のいずれが故障しているかを検知する演算手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の第2の手段は、複数の区間に区画された軌道回路と、各軌道回路の境界に交互に接続された受信器及び送信器と、前記受信器に接続され前記受信器が出力する受信レベルの変化に基づいて列車位置を検知する演算手段と、を有してなる中央送電型無絶縁軌道回路システムにおいて、前記演算手段は、受信器の受信レベルが低下したときに、受信器、送信器、軌道回路のいずれが異常であるかを判定する判定論理を格納し、列車が検知されていない軌道回路に隣接する軌道回路に係る受信器の受信レベルが低下したとき、前記判定論理に照らして異常が生じた機器がどれであるかを判定するよう構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する本発明の第3の手段は、複数の区間に区画されている中央送電型無絶縁軌道回路システムの故障を検知する方法において、自動列車制御システムの軌道回路追跡結果と、左右の受信器の受信レベルの比較により、軌道回路、送信器、受信器のいずれが故障しているかを検知することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する本発明の第4の手段は、複数の区間に区画された軌道回路と、各軌道回路の境界に交互に接続された受信器及び送信器と、前記受信器に接続され前記受信器が出力する受信レベルの変化に基づいて列車位置を検知する演算手段と、を有してなる中央送電型無絶縁軌道回路システムの故障を検知する方法において、前記演算手段には、受信器の受信レベルが低下したときに、受信器、送信器、軌道回路のいずれが異常であるかを判定する判定論理が格納され、列車が検知されていない軌道回路に隣接する軌道回路に係る受信器の受信レベルが低下したとき、前記判定論理に照らして異常が生じた機器がどれであるかを判定することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。本発明が適用される中央送電型無絶縁軌道回路システムを用いた自動列車制御システムは、図1に示すように、軌道が複数の無絶縁軌道回路1T,2T,…,NT区間に区画され、無絶縁軌道回路の各境界に交互に接続された送信器(A1,A2,…,AN)と受信器(B1,B2,…,BN)及び送信器(A1,A2,…,AN)と受信器(B1,B2,…,BN)に接続された図示されていない制御部を含んで構成されている。この制御部は、受信器(B1,B2,…,BN)の出力信号を入力として演算を行う演算手段と、送信器(A1,A2,…,AN)及び 受信器(B1,B2,…,BN)の制御を行う制御手段に分けたものであってもよい。
【0013】
中央送電型無絶縁軌道回路システムと呼ばれる方式は、図1のように、前記送信器(A1,A2,…,AN)は異なる周波数の電気信号(f1,f2,…,fN)を両隣接軌道回路に送信し、前記受信器(B1,B2,…,BN)は両隣接軌道回路から周波数の異なる受信レベルを受信するようになっている。
【0014】
つまり、図1に示すように、送信器A1は周波数f1の電気信号を軌道回路(軌道回路1T,2Tの境界部)に送信し、送信器A2は周波数f2の電気信号を軌道回路(軌道回路3T,4Tの境界部)に送信する。一方、受信器B1は周波数f1の電気信号を軌道回路1Tから受信し、受信器B2は周波数f1の電気信号と周波数f2の電気信号を軌道回路(軌道回路2T,3Tの境界部)から受信するのである。
【0015】
したがって、受信器B1が受信する周波数f1の電気信号のレベルが軌道回路1Tにおける列車の有無を示し、受信器B2が受信する周波数f1の電気信号のレベルが軌道回路2Tにおける列車の有無を示している。同様に、受信器B2が受信する周波数f2の電気信号のレベルが軌道回路3Tにおける列車の有無を示し、受信器B3が受信する周波数f2の電気信号のレベルが軌道回路4Tにおける列車の有無を示している。
【0016】
図1で受信器B1の周波数f1の電気信号の受信レベルが落下し、ある一定時分経過後に受信器B2の周波数f1の電気信号の受信レベルが落下することにより、前記制御部あるいは演算手段(以下、演算手段という)は、軌道回路2Tには列車が在線していると認識し、その後ある時間経過後に軌道回路1Tの受信器B1の受信レベルが扛上することにより、演算手段は軌道回路1Tから列車が移動したと認識する。各受信器は、受信した電気信号のレベルが、前記落下のレベルか、扛上のレベルかを、連続的にあるいは定められたサンプリング間隔で前記演算手段に出力し、演算手段は各受信器からの入力に基づいて、前述のような受信レベルの変化が順次発生すること、すなわち軌道回路追跡論理により、列車検知を行う。受信レベルの変化は自動列車制御システムの軌道回路追跡結果であり、言い換えると、演算手段には、自動列車制御システムの軌道回路追跡結果が入力され、演算手段はこの軌道回路追跡結果に基づいて列車位置を検知するのである。
【0017】
このように列車検知を行う自動列車制御システムにおいて、上記動作、すなわち、列車進行方向上流側に隣接する受信器の受信レベルの落下が時系列的に前の段階で発生していないのに、ある受信器の受信レベルが落下した時、下記の方法により故障機器あるいは故障部位を特定できる。
【0018】
なお、以下の説明における信号のレベルダウンは、前記受信レベルの落下と同じ意味である。
【0019】
図2のように、受信器B2の受信レベルの内、周波数f1の電気信号がレベルダウンし、且つ受信器B1の受信レベルの内、f1の受信レベル正常、且つ受信器B2の受信レベルの内f2の受信レベル正常であれば、軌道回路2Tが異常と認識する。つまり、受信器B1の周波数f1の受信レベルが正常であるから、送信器A1及び受信器B1は正常であり、受信器B2の周波数f2の受信レベルが正常であるから、送信器A2及び受信器B2は正常である。軌道回路1T,3Tも正常である。したがって、軌道回路2Tが異常であると判断できる。
【0020】
すなわち、列車進行方向上流側に隣接する受信器B1の受信レベルの落下が時系列的に前の段階で発生していない状態(軌道回路追跡結果が列車の存在を指示していない状態)で、ある受信器B2が受信する二つの周波数f1,f2のうち、一方の周波数f1の電気信号の受信レベルがレベルダウンし、他の周波数f2の電気信号の受信レベルが正常で、かつ隣接する他の受信器B1の受信レベルが正常であれば、受信器B2が接続されている軌道位置と周波数f1の電気信号が送信されている軌道位置の間の軌道回路に異常が発生している(判定論理1)。
【0021】
図3のように、受信器B2の受信レベルの内、周波数f1、f2が同時にレベルダウンし、且つ受信器B1の受信レベルの内、周波数f1の受信レベル正常、且つ受信器B3の受信レベルの内、周波数f2の受信レベル正常であれば、受信器B2が異常であると認識する。つまり、受信器B1の周波数f1の受信レベルが正常であるから、送信器A1及び受信器B1は正常であり、受信器B3の周波数f2の受信レベルが正常であるから送信器A2及び受信器B3は正常である。軌道回路1T,4Tも正常である。したがって、受信器B2が異常であると判断できる。軌道回路2T、3Tが同時に異常になった場合、同様の現象となるが、軌道回路2T、3Tが瞬間的に同時に異常になることは通常考えられないから、受信器B2が異常であると判断できる。
【0022】
すなわち、ある受信器B2が受信する複数の周波数f1,f2の受信レベルがすべてレベルダウンし、隣接する受信器B1,B3の周波数f1,f2の受信レベルが正常である場合、前記ある受信器B2に異常が発生している(判定論理2)。
【0023】
図4のように、受信器B2の受信レベルの内、周波数f1の電気信号のレベルが正常で、周波数f2の電気信号がレベルダウンし、且つ受信器B3の受信レベルの内、周波数f2の電気信号がレベルダウンし、周波数f3の電気信号が正常であれば、送信器A2が異常と認識する。つまり、受信器B2の周波数f1の電気信号の受信レベルが正常であるから送信器A1及び受信器B2は正常であり、受信器B3の周波数f3の電気信号が正常であるから送信器A3及び受信器B3は正常である。軌道回路2T,5Tも正常である。したがって、送信器A2が異常であると判断できる。軌道回路3T、4Tが同時に異常になった場合、同様の現象となるが、軌道回路3T、4Tが同じ瞬間に異常になることは通常考えられないから、送信器A2が異常であると判断できる。
【0024】
すなわち、受信器B2が受信する二つの周波数f1,f2のうち周波数f1の受信レベルは正常で周波数f2がレベルダウンし、かつ受信器B2に送信器A2を挟んで隣接する受信器B3が受信する二つの周波数f2,f3のうち周波数f3の受信レベルは正常で周波数f2がレベルダウンした場合、周波数f2の電気信号を軌道回路に送信する送信器A2に異常が発生している(判定論理3)。
【0025】
図5のように、受信器B2の受信レベルの内、周波数f2の電気信号がレベルダウンし、周波数f1の電気信号が正常であり、且つ受信器B3の受信レベルの内、周波数f2の電気信号の受信レベル正常であれば、軌道回路3Tが異常と認識する。つまり、受信器B2の周波数f1の電気信号の受信レベルが正常であるから送信器A1及び受信器B2は正常であり、受信器B3の周波数f2の電気信号の受信レベルが正常であるから送信器A2及び受信器B3は正常である。軌道回路2T,4Tも正常である。したがって、軌道回路3Tが異常であると判断できる。
【0026】
すなわち、ある受信器B2が受信する二つの周波数f1,f2のうち、一方の周波数f2の電気信号の受信レベルがレベルダウンし、他の周波数f1の電気信号の受信レベルが正常で、かつ隣接する他の受信器の受信レベルが正常であれば、当該受信器B2が接続されている軌道位置と周波数f2の電気信号が送信されている軌道位置の間の軌道回路に異常が発生している(判定論理1)。
【0027】
図示されていない前記演算手段に前記各判定論理が格納されており、軌道回路追跡結果が列車の存在を示していない状態で、受信レベルの低下が生じたとき、演算手段は、前記格納されている判定論理に照らしてどの機器あるいは軌道回路に異常が生じたかを判断し、画面表示、音声、印字、表示灯の点滅のいずれか若しくはその組合せで、異常が生じた機器あるいは軌道回路を示す警報を出力する。
【0028】
上述のように、本実施の形態によれば、複数の区間に区画されている中央送電型無絶縁軌道回路において、軌道回路、送信器と受信器の故障検知を受信器の受信レベルだけを検知することにより故障検知でき、送信器、受信器に故障検知装置を付ける必要がなくなり、機器の小型化が実現でき、且つコストパフォーマンスにも優れた軌道回路装置が得られる。
【0029】
【発明の効果】
上記のように軌道回路追跡結果と受信器の受信レベルを検知することにより、軌道回路、送信器、受信器の故障を検知することができるので、送信器、受信器に故障検知装置を付ける必要がなくなり、機器の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される中央送電型無絶縁軌道回路における送受信器の配置と軌道回路に流れる周波数の関係を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態において軌道回路の故障検知条件を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態において受信器B2の故障検知条件を示す概念図である。
【図4】本発明の実施の形態において送信器A2の故障検知条件を示す概念図である。
【図5】本発明の実施の形態において軌道回路3Tの故障検知条件を示す概念図である。
【符号の説明】
1T〜NT:無絶縁軌道回路
f1〜fN:送信器A1〜ANが軌道回路に送信する周波数
Claims (4)
- 複数の区間に区画されている中央送電型無絶縁軌道回路システムにおいて、自動列車制御システムの軌道回路追跡結果と、受信器の受信レベルの比較により、軌道回路、送信器、受信器のいずれが故障しているかを検知する演算手段を備えたことを特徴とする軌道回路装置。
- 複数の区間に区画された軌道回路と、各軌道回路の境界に交互に接続された受信器及び送信器と、前記受信器に接続され前記送信器が出力する受信レベルの変化に基づいて列車位置を検知する演算手段と、を有してなる中央送電型無絶縁軌道回路システムにおいて、
前記演算手段は、受信器の受信レベルが低下したときに、受信器、送信器、軌道回路のいずれが異常であるかを判定する判定論理を格納し、列車が検知されていない軌道回路に隣接する軌道回路に係る受信器の受信レベルが低下したとき、前記判定論理に照らして異常が生じた機器がどれであるかを判定するよう構成されていることを特徴とする軌道回路装置。 - 複数の区間に区画されている中央送電型無絶縁軌道回路システムの故障を検知する方法において、自動列車制御システムの軌道回路追跡結果と、左右の受信器の受信レベルの比較により、軌道回路、送信器、受信器のいずれが故障しているかを検知することを特徴とする軌道回路装置の故障検知方法。
- 複数の区間に区画された軌道回路と、各軌道回路の境界に交互に接続された受信器及び送信器と、前記受信器に接続され前記送信器が出力する受信レベルの変化に基づいて列車位置を検知する演算手段と、を有してなる中央送電型無絶縁軌道回路システムの故障を検知する方法において、
前記演算手段には、受信器の受信レベルが低下したときに、受信器、送信器、軌道回路のいずれが異常であるかを判定する判定論理が格納され、列車が検知されていない軌道回路に隣接する軌道回路に係る受信器の受信レベルが低下したとき、前記判定論理に照らして異常が生じた機器がどれであるかを判定することを特徴とする軌道回路装置の故障検知方法。
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JP2012201121A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-22 | Nippon Signal Co Ltd:The | 列車検知装置および列車検知方法 |
JP2016014537A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-28 | 日本信号株式会社 | センサ |
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