JP4698565B2 - 電子軌道端末装置 - Google Patents

Description

本発明は、軌道回路から列車検知情報を入力する電子軌道端末装置に関する。

駅構内などで列車運行の安全を確保する従来の電子連動システムは図４に例示するような構成になっており、電子軌道端末装置５０で検知した軌道回路３６からの列車検知情報や、進路てこ３４、転てつてこ３５、転てつ機３２の動作情報などを電子連動装置３１に集約し、該電子連動装置３１にて安全に進路が確保されるように信号機３３、転てつ機３２、踏切制御装置３７（踏切）などに対する制御値を演算し、この制御値を電子連動装置３１から各現場の機器３２、３３、５１、３７に伝送して制御する。

たとえば、踏切制御では、現場に配置した電子軌道端末装置５０によって各軌道回路３６から列車検知情報を入力し、この列車検知情報を電子軌道端末装置５０から電子連動装置３１に伝送する。電子連動装置３１は、内蔵する踏切制御論理を電子軌道端末装置５０から受信した列車検知情報などに基づいて実行することによって踏切の制御情報を演算し、この制御情報をリレー出力端末装置５１に伝送して、リレー出力端末装置５１から踏切制御装置３７を制御するようになっている（たとえば、特許文献１参照。）。

特開平９−２０２４７号公報

踏切制御装置３７は、リレー出力端末装置５１からの制御信号が途絶えると、安全側に制御して踏切警報を鳴動させるようになっている。そして、上述したように従来は、電子連動装置３１からリレー出力端末装置５１を通じて踏切制御装置３７を制御するので、電子連動装置３１やリレー出力端末装置５１あるいは途中の通信回線などが故障すると上記の安全側制御が作動して、列車が周辺に在線していない場合であっても踏切警報が鳴動し続けるという問題があった。

本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、電子連動装置やリレー出力端末装置、通信回線などに故障が生じた場合でも踏切周辺の列車の在線状況に応じて踏切警報の鳴動を停止させることのできる電子軌道端末装置を提供することを目的としている。

かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。

［１］制御対象の踏切周辺の予め定めた範囲の軌道回路から列車検知情報を入力する入力部と、
前記入力部によって入力した前記列車検知情報を電子連動装置に送信すると共に、前記電子連動装置から踏切の制御情報を受信する伝送部と、
前記入力部によって入力した前記列車検知情報に基づいて前記踏切の制御値を求める踏切制御論理部と、
前記踏切に制御信号を出力する出力部と、
前記制御情報が正常に受信されるときは前記制御情報に応じた制御信号が前記出力部から出力され、前記制御情報が正常に受信されないときは前記踏切制御論理部で求めた前記制御値に応じた制御信号が前記出力部から出力されるように切り替える切替部と、
を有する
ことを特徴とする電子軌道端末装置。

上記発明では、電子連動装置からの制御情報が正常に受信されるときは、電子連動装置からの制御情報に基づいて踏切を制御し、電子連動装置の故障時や通信回線の異常時には、軌道回路から当該電子軌道端末装置に入力されている列車検知情報に基づいて当該電子軌道端末装置内の踏切制御論理部で求めた制御値に応じて踏切を制御する。なお、入力部には、少なくとも制御対象の踏切を制御するために必要な範囲の軌道回路から列車検知情報が入力される。

本発明に係る電子軌道端末装置によれば、電子連動装置やリレー出力端末装置、通信回線などに故障が生じた場合でも、踏切周辺の列車の在線状況に応じて踏切警報の鳴動を停止させることができる。

以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。

図１は、本発明の実施の形態に係る電子軌道端末装置１０を含む電子連動システム３０のシステム構成を示している。電子連動システム３０は、電子連動装置３１にネットワーク回線などの伝送路を通じて転てつ機３２、信号機３３、電子軌道端末装置１０などを接続して構成される。さらに電子連動装置３１には、開通させる進路を示す情報が進路てこ３４から入力され、転てつ機３２の転換方向を指示する情報が転てつてこ３５から入力される。

電子軌道端末装置１０には、軌道回路３６および踏切制御装置３７が接続されている。軌道回路３６は、軌道上に列車が存在するか否かを検知するための回路であり、電子軌道端末装置１０は、列車の存否を示す列車検知情報を軌道回路３６から入力し、この列車検知情報をネットワーク回線などの伝送路を通じて電子連動装置３１へ伝送する。

電子連動装置３１は、連動論理を実行する情報処理装置であり、電子軌道端末装置１０から伝送されてくる列車検知情報に基づいて認識した列車の在線位置、進路てこ３４や転てつてこ３５からの情報、転てつ機３２からの転換状態や鎖錠状態を示す情報などから、駅構内などで列車が安全に運行されるように転てつ機３２や信号機３３、踏切制御装置３７などを制御して進路を確保したり、鎖錠したりする機能を果たす。

正常時の踏切制御においては、電子連動装置３１は、自装置の保持している踏切制御論理を実行することによって踏切警報の鳴動／停止を指示する制御情報を求めて電子軌道端末装置１０へ送信し、該制御情報を受信した電子軌道端末装置１０が対応する制御信号を踏切制御装置３７へ出力することによって踏切警報の鳴動／停止が行われる。

図２は、電子軌道端末装置１０の構成を示すブロック図である。電子軌道端末装置１０は、軌道回路３６から列車検知情報を入力する入力部１１と、入力部１１で入力した列車検知情報の正常性を検証する入力検査部１２と、入力部１１で入力し入力検査部１２によって正常性の検証された列車検知情報を電子連動装置３１へ送信すると共に、電子連動装置３１から踏切の制御情報を受信する伝送部１３と、入力部１１によって入力し入力検査部１２によって正常性の検証された列車検知情報に基づいて、当該電子軌道端末装置１０に接続された踏切（踏切制御装置３７）の制御値を求める踏切制御論理部１４と、伝送部１３を通じて電子連動装置３１から受信した制御情報と踏切制御論理部１４で求めた制御値のいずれか一方を選択してリレー出力回路１６へ出力する切替部１５とを備えている。 リレー出力回路１６は、切替部１５から選択出力される制御情報または制御値に応じた制御信号を踏切制御装置３７に対して出力する出力部をなしている。

踏切制御論理部１４に実装される踏切制御論理は、電子連動装置３１に実装された踏切制御論理のうち当該電子軌道端末装置１０に接続された踏切制御装置３７に関する部分と実質的に同一であり、入力部１１から入力される列車検知情報に基づいて、電子連動装置３１から受信される制御情報と同じ制御値、あるいは同等に鳴動を停止させるための制御値が導出される。

切替部１５は、伝送部１３によって電子連動装置３１から制御情報が正常に受信されているときは該制御情報をリレー出力回路１６へ出力し、制御情報が正常に受信されないときは踏切制御論理部１４で求めた制御値をリレー出力回路１６へ出力する。

正常に制御情報が受信されているか否かは、たとえば、電子連動装置３１から電子軌道端末装置１０へ制御情報を伝送する際のキャリア信号の断によって判断したり、正常時には一定の周期で特定の判別信号が受信されるように構成する場合は該判別信号が一定周期で受信されないときに受信異常ありと判断したりすることができる。

入力部１１および入力検査部１２は、軌道リレーと同等の機能と信頼性を有して列車検知情報を入力する。リレー出力回路１６は、従来のリレー出力端末装置（ＤＣ端末）５１と同等の機能と信頼性を有するフェールセーフな出力回路である。踏切制御論理部１４は、電子連動装置３１の連動論理部と同等の機能と信頼性を有する情報処理部であり、フェールセーフＣＰＵ（Central Processing Unit）などで構成される。

次に電子軌道端末装置１０の動作を説明する。

電子軌道端末装置１０は、入力部１１によって軌道回路３６から列車検知情報を入力し、その正常性を入力検査部１２によって検査し、正常性の確認された列車検知情報をネットワーク回線などの伝送路を通じて電子連動装置３１へ送信する。また、軌道回路３６から得た列車検知情報を入力として踏切制御論理部１４で踏切制御論理を実行し、当該電子軌道端末装置１０に接続されている踏切制御装置３７に対する制御値を求める。

ここでは、踏切警報の鳴動／停止に関する制御値を求める。たとえば、制御対象の踏切およびその周辺のあらかじめ定めた範囲内に列車が検知されている間は踏切警報を鳴動させ、その範囲内に列車が検知されないときは踏切警報の鳴動を停止させるように制御値を求める。

電子連動装置３１は、電子軌道端末装置１０から受信した列車検知情報や進路てこ３４、転てつてこ３５などを入力にして、自装置で保持している踏切制御論理を実行して踏切制御装置３７の制御情報を求め、これを伝送路を通じて電子軌道端末装置１０に送信する。

切替部１５は、電子連動装置３１から制御情報が正常に受信されているときは該制御情報に応じた制御信号をリレー出力回路１６へ出力する。これにより、正常時は、電子連動装置３１からの制御情報に従って踏切制御装置３７での踏切警報の鳴動／停止が制御される。

切替部１５は、電子連動装置３１から制御情報が正常に受信されないときは踏切制御論理部１４で求めた制御値をリレー出力回路１６へ出力する。これにより、当該電子軌道端末装置１０の踏切制御論理部１４で独自に求めた制御値に応じて踏切制御装置３７での踏切警報の鳴動／停止などが制御される。

このように本発明の電子軌道端末装置１０は、電子連動装置３１の故障時やネットワーク回線異常時などでも踏切警報の鳴動／停止を制御することができる。すなわち、図４に示す従来のシステムでは、電子連動装置３１や直流出力端末装置やネットワーク回線が故障した場合には、安全側制御となって踏切が鳴動し続けていたが、本発明の電子軌道端末装置１０では、軌道回路３６から自装置１０に入力される列車検知情報に基づいて自装置内の踏切制御論理部１４で踏切の制御値を演算するので、列車の在線状況に応じて踏切警報の鳴動を停止させることができる。

図３は、踏切Ａの制御に関連する範囲の線路の配線略図４１と、踏切Ａの下り列車に関する鳴動条件を示す連動図表４２と、この連動図表の動作を実現するためのリレー回路４３の一例を示している。電子軌道端末装置１０でこの踏切Ａの下り列車に関する制御を行う場合、電子軌道端末装置１０には、少なくとも連動図表４２に記載された範囲の軌道回路（２１イＴ、１ＲＴ、３２Ｔ、２ＲＴ、３１ロＴ）から列車検知情報が入力される。

踏切制御論理部１４は連動図表４２の鳴動条件に相当する論理を実行して踏切警報の鳴動／停止に関する制御値を求める。なお、電子軌道端末装置１０は３Ｒ、４Ｒなどの信号に関する情報や鳴動進路（通過・進出など）に関する情報は把握していないので、軌道回路における列車検知情報のみから踏切警報の鳴動／停止を制御する。たとえば、下りの制御に関しては、２１イＴ、１ＲＴ、３２Ｔ、２ＲＴ、３１ロＴのいずれかの軌道上で列車が検知されている間は警報を鳴動させ、上記すべての軌道上で列車が検知されないとき、あるいは列車が３ＲＴからＣへ進出したことを認識したとき鳴動を停止させるように制御する。

上記は一例であり、踏切制御論理部１４に組み込む踏切制御論理は、電子軌道端末装置１０が制御する踏切およびその周辺の線路の状況に応じて設定すればよい。

以上、本発明の実施の形態および実施例を図面によって説明してきたが、具体的な構成は例示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。

たとえば、電子軌道端末装置１０を電子連動装置３１と接続せずに単独で使用してもかまわない。この場合、切替部１５、もしくは切替部１５と伝送部１３とを取り除いた構成とし、踏切制御論理部１４で求めた制御値が常にリレー出力回路１６へ出力されるようになされてもよい。単独使用により、小型の踏切制御システムを構築することができる。

本発明の実施の形態にかかわる電子軌道端末装置を含む電子連動システムを例示したシステム構成図である。 本発明の実施の形態にかかわる電子軌道端末装置の構成を示すブロック図である。 踏切Ａの制御に関連する範囲の線路の配線略図と、連動図表と、リレー回路の一例を示す説明図である。 従来の電子軌道端末装置を含む電子連動システムの構成例を示すシステム構成図である。

符号の説明

１０…電子軌道端末装置
１１…入力部
１２…入力検査部
１３…伝送部
１４…踏切制御論理部
１５…切替部
１６…リレー出力回路
３０…電子連動システム
３１…電子連動装置
３２…転てつ機
３３…信号機
３４…進路てこ
３５…転てつてこ
３６…軌道回路
３７…踏切制御装置
４１…配線略図
４２…連動図表
４３…リレー回路
５０…従来の電子軌道端末装置
５１…リレー出力端末装置

Claims (1)

1. 制御対象の踏切周辺の予め定めた範囲の軌道回路から列車検知情報を入力する入力部と、
   前記入力部によって入力した前記列車検知情報を電子連動装置に送信すると共に、前記電子連動装置から踏切の制御情報を受信する伝送部と、
   前記入力部によって入力した前記列車検知情報に基づいて前記踏切の制御値を求める踏切制御論理部と、
   前記踏切に制御信号を出力する出力部と、
   前記制御情報が正常に受信されるときは前記制御情報に応じた制御信号が前記出力部から出力され、前記制御情報が正常に受信されないときは前記踏切制御論理部で求めた前記制御値に応じた制御信号が前記出力部から出力されるように切り替える切替部と、
   を有する
   ことを特徴とする電子軌道端末装置。

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