JP2004154715A - 枚葉塗工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス基板4の下面にノズル6の先端の塗布液を塗布していないガラス基板4の着脱の期間に、スリット6aの乾燥を防ぐため、一定の時間が経過すると、ノズル6が上昇し、ローラ32に捨塗りを行う。ガラス基板4が吸着テーブル10に装着されると、吸着テーブル10が反転して、ガラス基板4の下面がノズル6に対向するようになり、移動フレーム14が移動し、塗布が行われる。塗布の終了後、移動フレーム14が仮想線で示す位置から実線で示す位置まで戻り、ガラス基板4の着脱が可能となるとともに、捨塗りをローラ32で受けることも可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材の表面に、枚葉式に塗膜を形成するための枚葉塗工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子部品工業や光学部品工業では、各種板材の表面に塗膜を形成する工程が多く設けられている。たとえば、液晶表示装置でカラー表示を行うために用いられるカラーフィルタでは、フォトレジストなどの各種薬液をガラス基板上に繰り返し塗布することで生産されており、この意味では、精密塗布技術は最重要な要素技術であるといえる。
【0003】
このような薬液の塗布装置としては、スピンコータが代表的なものである。スピンコータは、板材を表面に垂直な軸線まわりに高速回転させ、塗布すべき薬液を回転中心付近に滴下し、遠心力と薬液の表面張力とを利用して、薬液の薄膜を精度良く形成することができる利点がある。
【0004】
これに対して、スリット状のノズルから塗布すべき薬液を精密に押し出し、これを被塗布面上に置くことで、薄膜を直接塗布するダイコータを用いる方法も提案されている。さらに、被塗布面を下方に向けておき、スリット状のノズルを上向きにして、スリット間から薬液を流出させて塗布するキャピラリコータを用いる方法も提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−62370号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
生産技術や材料の進歩、さらには需要の開拓によって液晶表示装置は年々大画面化しており、これに使用されるカラーフィルタも大型化している。
【0007】
また、液晶表示素子などの平面素子の製造は、大型基板上に多数の画面を一括形成することが可能であることから、生産性向上、コストダウンの観点からも、生産時に使用する基板の大面積化傾向は今後も継続することが予想されている。
【0008】
液晶ディスプレイは、レジストや着色材、保護膜といった多数の薬液の塗布やパターン形成を繰り返すことで生産される。従来は、これらの塗膜の形成はスピンコータを要素とする塗布装置が使用されてきたが、スピンコータをこのような大型化した基板への薬液塗布に用いた場合、高価な薬液の90%以上を飛散する結果となり、コスト的なロスが大きい問題がある。また、塗布する薬液は、通常樹脂や顔料などの固型分を溶剤で溶解・分散しているもので、飛散した薬液に由来する乾燥物が塗膜上に再付着して製品上に欠陥を発生する問題もある。さらに、ガラス基板が大型化した場合、スピンコータのような高速回転を必要とする装置の製造が困難である点も問題となる。このように、スピンコータは、大面積化が著しい液晶表示装置用部材製造に用いる塗布装置としては、限界にあるといえる。
【0009】
これに対してキャピラリコータでは、ノズルに、毛管作用を生じるような狭いスリットが塗布すべき板材の幅方向に長く延びるように形成されている。塗布液となる各種薬液は、スリット状の隙間を毛管作用と静圧とによって、重力に抗して上昇する。塗布された薬液は、乾燥して固体の膜となる。
【0010】
液晶表示素子などのガラス基板を用いた生産は、枚葉方式で(1枚ずつ)行う必要があり、塗布すべき板材の装置への装着や、装置からの板材の装置からの脱着工程がある。一方、工場での生産では、ロット切り替えや各種トラブルに伴う数分から数十分の待機時間が発生することは不可避である。コータは断続的に運転されることを前提としなければならない。
【0011】
一方、ガラス基板に塗布される薬液は、一般に有機溶媒を多量に含んでいる。このため静止状態で、長時間空気に曝された場合、薬液表面から溶剤が揮発することで、粘度増加や、固化し、塗布不良を誘発することが想定される。このような塗布不良の危険は、特に上方に開口を有する長いスリット状のノズルを有するキャピラリコータでは重大な関心である。すなわち、ノズルの清浄度が塗膜の品質、ひいては製品(たとえばカラーフィルタ、液晶表示素子)の品位を決定することから、ノズルの清浄度を常に良好に保つことが要求される。
【0012】
本発明は、キャピラリコータを用いた枚葉塗工方法に関する。さらに詳細には、キャピラリコータのノズルの清浄度を維持した枚葉塗工方法に関する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水平な姿勢の板材の下面側に、上向きのスリット状ノズルを配置して、スリット状ノズルから静圧によって塗布液を流出させ、板材とスリット状ノズルとを相対的に移動させて、該下面に塗膜を形成する枚葉塗工方法であって、スリット状ノズルから板材への塗布を行わない時間が予め設定される基準を超えると、該スリット状ノズルから塗布液を流出させることを特徴とする枚葉塗工方法である。
【0014】
本発明に従えば、枚葉塗工方法では、水平な姿勢の板材の下面側に、上向きのスリット状ノズルを配置して、スリット状ノズルから静圧によって塗布液を流出させ、板材とスリット状ノズルとを相対的に移動させて、下面に塗膜を形成するキャピラリコータを用いる。板材は、1枚ずつ塗布するので、板材の装着や除去を行っている間は、塗布を行うことができない。塗布を行わない間、塗布液はノズルのスリット内に滞留し、時間の経過とともに固まりやすくなるけれども、スリット状ノズルから板材への塗布を行わない時間が予め設定される基準を超えると、スリット状ノズルから塗布液を流出させるので、ノズルの乾燥を防止して清浄度の劣化を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の実施の一形態としての枚葉塗工方法に使用するキャピラリコータ2の概略的な構成を示す。図1は正面視、図2は左側面視してそれぞれ示す。キャピラリコータ2は、ガラス基板4にレジストなどの薬液の塗膜を形成するために使用する。ガラス基板4は、たとえば1100mm×1250mm程度の大きさを有し、カラーフィルタ製造工程には、その一表面に0.5〜2μmの厚みに塗膜を形成する工程を含んでいる。ノズル6は、一定の幅を有するスリット6aが上方に開口するようにベースフレーム8内に配置され、ガラス基板4の下面にスリット6aから上昇して流出する薬液を塗布することができる。
【0016】
薬液を塗布するガラス基板4は、吸着テーブル10の表面に真空吸着などで保持される。吸着テーブル10は、軸線が水平な回転軸12を中心として回転可能であり、吸着面を上向きにする状態でガラス基板4を吸着し、ガラス基板4が下側となるように180°回転する。回転軸12の軸線方向の両端には、移動フレーム14,16が設けられ、回転軸12を支持している。移動フレーム14,16は、ベースフレーム8の正面側および背面側にそれぞれ設けられる走行ガイド18,20に沿って、図1の左右方向に移動可能である。移動フレーム14,16内には、移動のためのリニアモータがそれぞれ設けられており、円滑かつ正確な移動を行うことができる。移動フレーム14,16が移動すると、吸着テーブル10の下面に吸着されているガラス基板4も移動する。ノズル6は、移動するガラス基板4の下面に臨む位置に配置されている。ノズル6には、一定の隙間のスリットが正面側から背面側に延びるように設けられている。ノズル6の全幅は、たとえば前述のガラス基板4を使用することを前提とする場合、1300mm程度である。
【0017】
ノズル6は、昇降機構22によって昇降変位可能である。ノズル6が上昇すると、移動するガラス基板4の下面に薬液を塗布することができる。ノズル6を下降させると、塗布している薬液を切ることができる。ノズル6に対する薬液の供給は、タンク24からホース26を介して行われる。タンク24は、昇降機構28によって昇降変位可能である。タンク24の上方には、タンク24内の薬液の液面の高さを検知する液面センサ30が設けられている。タンク24には、別に設けた薬液タンクから薬液が所定のタイミングで補給される。
【0018】
本実施形態のキャピラリコータ2には、移動フレーム14,16の一方端側に、ローラ32、ケーシング34および駆動部36が設けられる。実線で示すように、移動フレーム14,16がベースフレーム8の他方端側に移動しているときに、ガラス基板4の着脱が行われ、その間にローラ32がノズル6の上方の位置となる。ガラス基板4の着脱の間、ノズル6は待機状態となるけれども、間欠的にローラ32に対して薬液を吐出す捨塗りを行い、ノズル6の乾燥を防止することができる。このときノズル6から吐出する薬液は、ノズル6を上昇させてロール32の表面に付着させる。ケーシング34内には、後述するようなロール32の清浄化機構が設けられ、ロール32の表面が清浄な状態でノズル6からの薬液を付着させることができる。ロール32は、駆動部36によって回転駆動され、常に清浄な表面がノズル6に臨むようにすることが可能である。
【0019】
塗布の概要を説明する。まず、塗布基板装着工程では、吸着テーブル10の吸着面を上向きにして、薬膜形成面を上向きにしたガラス基板4を吸着テーブル10に装着する。ノズル6は、下方で待機している。ノズル6には、前述のスリット32が形成され、スリット32には塗布液である薬液34が充填されている。吸着テーブル反転工程では、ガラス基板4が装着された吸着テーブル10を回転軸12周りに180°回転して反転させる。ガラス基板4は、吸着テーブル10の下側となり、塗膜形成面が下面側となる。
【0020】
この工程の間、ロール32がノズル6の上方に位置し、ノズル6からの薬液40の吐出を受けることができる。
【0021】
塗布開始位置への移動工程では、ガラス基板4を下方に吸着した吸着テーブル10を含めて、図1および図2に示す移動フレーム14,16が移動し、ガラス基板4で塗布を開始すべき一端がノズル6の直上の位置に達するまで移動する。接液工程では、ノズル6を上昇させ、ガラス基板4の表面とノズル6の先端との間の間隔を、20〜40μmとする。タンク24は、図2に示す昇降機構28で上下し、薬液34の液面の高さをガラス基板4の下面の高さに合わせる。この結果、ノズル6の開口部から、静圧で薬液34が流れ出し、ガラス基板4の下面に接触し、接液がなされる。
【0022】
塗布工程では、接液に続いて、150〜300μm程度の距離がガラス基板4とノズル6との間に生じるように、ノズル6とタンク24が下降する。この際、タンク24内の液面はノズル6の先端の高さとなるように調節される。
【0023】
次に、吸着テーブル10の移動が再開される。定常的な塗布速度としては、2〜3m/min前後が選択されるが、場合によってはこれ以上とすることも可能である。
【0024】
吸着テーブル10の移動によって、ノズル6の先端に対してガラス基板4の表面が相対的に移動し、スリット32を通じて薬液34がガラス基板4の表面に供給される。定常状態では、極めて安定な供給が実現され、均一な膜厚が得られる。
【0025】
塗布終了工程では、吸着テーブル10が逆方向に移動し、吸着テーブル反転ならびに基板アンロード工程では、吸着テーブル10が回転軸12まわりに反転して、上側となるガラス基板4の吸着を停止し、薬液の塗布を完了したガラス基板4が取出される。
【0026】
次のガラス基板4を装着することで、塗布基板装着工程に戻る。この工程ではローラ32も、吸着テーブル10とともに移動し、ノズル6の上方の位置に戻って、ノズル6から吐出される薬液40を受けることが可能な状態となる。
【0027】
図3は、図1のローラ32、ケーシング34および駆動部36についての構成を示す。ローラ32は、たとえば直径が30mm程度のEPDMなどのゴム材料で形成される。ローラ32の回転方向について、ノズル6からの薬液が付着する部分の下流側で、スキージ50の先端がローラ32の外周面に当接し、ローラ32の表面に付着している薬液がかき落される。さらにローラ32の表面波、洗浄機構52によって洗浄され、清浄化された表面が一周して再度ノズル6の直上の位置に回ってくる。捨塗りを行うときには、図1の昇降機構22でノズル6をローラ32の表面に薬液が塗布可能な位置まで上昇させる。
【0028】
図4は、捨塗りを行う工程(a)と、そのタイミング(b)の一例をそれぞれ示す。塗布終了工程の後、塗布開始位置への移動工程が始まる塗布開始までの間に、ノズル6は待機状態となっており。この間に、タンク24内への薬液40の補充などが行われる。図4(a)に示すように、捨塗りも、塗布終了と塗布開始との間に行う。
【0029】
図4(b)に示すように、塗布開始位置への移動と接液の間には、5秒程度の時間を要し、塗布工程では、20秒程度の時間を要する。また離液工程では、5秒程度の時間を要し、離液後、次の接液までに20秒程度の時間を要する。
【0030】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
実施例
ポジ型感光性レジスト(クラリアント社製:AZTFP−310K)を用い、ヒラノテクシード社製キャピラリコータを用いてガラス基板に連続、塗布試験を行なった。この間、待機中に表1の条件で捨塗りを行なった。
【0032】
塗布完了後、90〜120度でプリベークし、溶媒を除去した後、ナトリウムランプの反射照明、ならびに透過光を用いた目視観察を行ない、スリット状ノズルの清浄度低下に起因する塗布むらの有無を観察した。
【0033】
【表1】
【0034】
本発明は、実施例のようなポジレジスト液40をガラス基板4に塗布する工程ばかりではなく、カラーレジスト、黒色レジスト、透明保護膜などの薬液を、液状の状態で塗布して形成する工程に同様に適用することができる。また、移動フレーム14,16によってガラス基板4が静止しているノズル6に対して移動するけれども、ガラス基板4が静止して、ノズル6の方が移動するようにすることもできる。
【0035】
また、捨塗りの際に、ゴム製のロール32を用いているけれども、金属や合成樹脂など、他の材料であってもよい。ゴムなどの軟質の材料を用いれば、ノズル6に接触しても破損させないようにすることができる。また、ロール32ばかりではなく、連続したシートを接触させて、液を付着させ、液が付着したシートをそのまま巻取って廃棄するようにすることもできる。また、単にノズル6から塗布液を流出させるだけでもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、板材の装着を待つなど塗布を行わない間、スリット状ノズルの吐出口周辺での塗布液の乾燥物付着による塗膜の均一性の悪化を防止することができる。すなわち、塗布を行わない時間が予め設定される基準を超えると、スリット状ノズルから塗布液を流出させ、ノズルの乾燥を防止して清浄度の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による塗布に使用するキャピラリコータ2の一部を切り欠いて示す正面図である。
【図2】図1のキャピラリコータ2の左側面図である。
【図3】図1のローラ32に関連する部分の構成を示す簡略化した正面断面図の一例である。
【図4】図1および図2のキャピラリコータ2で捨塗りを行う工程図、およびタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
2 キャピラリコータ
4 ガラス基板
6 ノズル
6a スリット
10 吸着テーブル
14,16 移動フレーム
22,28 昇降機構
24 タンク
30 液面センサ
32 ローラ
40 薬液
Claims (1)
- 水平な姿勢の板材の下面側に、上向きのスリット状ノズルを配置して、スリット状ノズルから静圧によって塗布液を流出させ、板材とスリット状ノズルとを相対的に移動させて、該下面に塗膜を形成する枚葉塗工方法であって、
スリット状ノズルから板材への塗布を行わない時間が予め設定される基準を超えると、該スリット状ノズルから塗布液を流出させることを特徴とする枚葉塗工方法。
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JP2002324304A JP4141805B2 (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 枚葉塗工方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008042083A (ja) * | 2006-08-09 | 2008-02-21 | Sony Corp | 配線基板修正方法及び配線基板修正装置 |
US7914843B2 (en) | 2004-12-31 | 2011-03-29 | Lg Display Co., Ltd. | Slit coater having pre-applying unit and coating method using the same |
JP2013023401A (ja) * | 2011-07-20 | 2013-02-04 | Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd | 分断装置 |
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2002
- 2002-11-07 JP JP2002324304A patent/JP4141805B2/ja not_active Expired - Lifetime
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